説明

回転切削装置

【課題】動作時の騒音を防止することができる回転切削装置の提供。
【解決手段】 回転切削装置1は、本体ケース2内にモータ4が収容されている。本体ケース2の上部には、切削液が貯蔵されるタンク23が設けられ、本体ケース2内部には、軸心を中心に回転可能に支持される管状のスピンドルケース61を備える。スピンドルケース61内には、軸心方向に摺動可能に支持されホルソー10が装着されるスピンドル61が配置される。スピンドルケース61内であって、一端がタンク23と連通し、他端がスピンドルケース61内に挿入され、スピンドルケース62に固定され、ホルソー10に切削液を供給する供給管64をさらに有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転切削装置に関する。
【背景技術】
【0002】
市場において、図5に示すような回転切削装置たるボール盤101が販売されている。ボール盤101は、切削液は貯蔵されたタンクから供給管164を通ってスピンドル162、センターピン163及びスピンドル162に着脱自在に設けられたホールソー110に供給される。供給管164は、一部がスピンドル162内に挿入されており、その挿入されている部分の周囲にはセンターピン163を付勢するバネ165が配置されている。供給管164は、本体ケース102によって回転不能に固定されており、供給管164の周囲に配置されるスピンドル162はモータによって回転される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の回転切削装置では、供給管164は本体ケース102に回転不能に固定されていたにも関わらず、供給管164の周囲のスピンドル162はモータによって回転駆動されていて、スピンドル162の周囲にはバネ165が配置されていた。つまり、回転しない供給管164の周囲にはモータにより回転されるスピンドル162やスピンドル162と一端が当接していることによりスピンドル162と共に回転するバネ165が配置されていた。これにより、供給管164が周囲の部材と接触して擦り音や振動などが発生していた。そこで本発明は、動作時の騒音を防止する回転切削装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために、本発明は モータと、該モータを収容するハウジングと、該ハウジングに設けられ、切削液が貯蔵されるタンクと、該モータにより回転駆動され、該ハウジングに軸心を中心に回転可能に支持される管状の支持部材と、該支持部材内に一部が挿通された状態で該軸心方向に摺動可能に支持され回転刃が装着されるスピンドルと、該タンクと連通し、該支持部材内で該軸心方向に延びて該支持部材に固定され、該回転刃に切削液を供給する切削液供給管と、を有することを特徴とする回転切削装置を提供する。
【0005】
このような構成によると、切削液供給管は支持部材に固定されているため、支持部材と一体で回転する。同時に、切削液供給管が挿入されているスピンドルも支持部材と一体で回転する。これにより、切削液供給管の周囲の部材が切削液供給管と共に回転することとなり、切削液供給管がハウジング内の部材と接触することにより発生していた騒音を防止することができる。
【0006】
上記構成の回転切削装置において、該スピンドルには該軸心方向に貫通するように貫通孔が形成されており、該切削液供給管の一部が該貫通孔に挿入され、該切削液供給管の該貫通孔に挿入されている部分の外径と該貫通孔の内径とは略同一であることが好ましい。
【0007】
このような構成によると、切削液供給管の一部が貫通孔に挿入されていて、切削液供給管の貫通孔に挿入されている部分の外径と貫通孔の内径とは略同一であるため、切削作業時のスピンドル(回転刃)の芯ブレを防止することができる。
【0008】
上記構成の回転切削装置において、一部が該貫通孔に挿入され、該スピンドルに対して該軸心方向に摺動可能に支持され、被加工部材と当接可能なセンターピンと、該センターピンを該被加工部材に当接する方向に付勢する付勢部材と、を有し、該付勢部材の一端が該切削液供給管の反タンク側端面に当接し、他端が該センターピンと当接していることが好ましい。
【0009】
このような構成によると、付勢部材が切削液供給管とセンターピンとの間に位置することにより、付勢部材全体に切削液を供給することができる。
【0010】
上記構成の回転切削装置において、該切削液供給管はオイルシールによって該ハウジングに回転可能に支持されていることが好ましい。
【0011】
このような構成によると、切削液供給管はオイルシールによって支持されていることにより、ハウジングによって回転可能に支持することができ、タンクからの切削液を周囲に漏れることなく回転刃に供給することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の回転切削装置によれば、動作時の騒音を防止する回転切削装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態に係る回転切削装置の側面断面図。
【図2】本発明の実施の形態に係る回転切削装置のホールソーと被加工部材当接時のスピンドル部周辺を表す側面部分断面図。
【図3】本発明の実施の形態に係る回転切削装置のホールソーの被加工部材穿孔時のスピンドル部周辺を表す側面部分断面図。
【図4】本発明の実施の形態に係る回転切削装置の図2のIV−IV線に沿った断面図。
【図5】従来の回転切削装置のスピンドル部周辺を表す側面部断面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態による回転切削装置について図1乃至図4に基づき説明する。図1に示される回転切削装置であるボール盤1は、本体ケース2と、電磁ベース3と、モータ4と、ギヤ機構5と、スピンドル部6と、送り機構部7と、から主に構成されており、被削物である金属板S上に設置され、スピンドル部6に装着されるホールソー(hole saw)10によって金属板Sに孔を形成することができる。
【0015】
本体ケース2は、電磁ベース3を介して、金属板S上に載置されており、モータ4等が内蔵される枠体21と、スピンドル部収容部22とから主に構成される。以下の説明においては、金属板Sから本体ケース2に向かう方向を上方向として上下方向を定義する。また上下方向と直交する方向であって本体ケース2からスピンドル部6に向かう方向を前方向として前後方向を定義する。また、図1において紙面手前側を左方向と定義し、反対を右方向として定義する。
【0016】
枠体21は、モータ4を収容するモータ収容部21Aと、電磁ベース3と接続しているベース部21Bとから構成され、モータ収容部21Aの上部にはモータ4のON/OFFの制御を行う駆動源スイッチ24が設けられている。スピンドル部収容部22は、枠体21の前側に位置しており、スピンドル部6が内蔵されている。またスピンドル部収容部22の上には、スピンドル部6に供給される切削液である切削油が貯留されるタンク23が配置されている。タンク23の下部には、スピンドル部6へ供給される切削油の流量を調整する調整弁23Aが設けられている。
【0017】
電磁ベース3は、ベース部21Bの下方に位置して金属板S表面上に設置されており、内部に通電することにより磁力を発する電磁石を有している。電磁ベース3は、磁力によって金属板Sに吸着することができ、ボール盤1を金属板S上に安定して載置することが可能になる。電磁ベース3には、電磁ベース3の電磁石の起動・停止を行う図示せぬ電磁石スイッチが設けられている。
【0018】
モータ4はモータ収容部21A内に内蔵されており、回転力を出力する出力軸41が前後方向を軸方向とするように配置されている。駆動源スイッチ24により、モータ4の回転が制御されている。出力軸41には、モータ4を冷却するための冷却ファン42が同軸回転可能に設けられている。
【0019】
ギヤ機構5は、スピンドル部6とモータ4との間に介在し、ピニオンギヤ51と、接続ギヤ部52と、リングギヤ53とから主に構成されている。ピニオンギヤ51は出力軸41の前端部分に設けられており、出力軸41と同軸一体回転している。接続ギヤ部52は、枠体21に回転可能に支承され前後方向を軸方向とする軸部52Aと、軸部52Aの後端側に配置されてピニオンギヤ51と噛合する平ギヤ52Bと、軸部52Aの前端側に配置されて平ギヤ52Bと同軸一体回転する傘歯ギヤ52Cとを有している。リングギヤ53は、スピンドル部6と同軸回転可能であり、傘歯ギヤ52Cと噛合してモータ4の回転力をスピンドル部6へと伝達している。またリングギヤ53も傘歯状のギヤであるため、傘歯ギヤ52Cと噛合することにより、その回転軸の方向を上下方向に変換している。
【0020】
本体ケース2には、送り機構部7を操作する操作レバー25が回動可能に設けられている。操作レバー25は、回転軸25Aを中心に回動する。回転軸25Aを回動させることにより、図示せぬガイドに案内されて送り機構部7が上下動するように構成されている。ベース部21Bには、モータ4、電磁ベース3に電力を供給する電源ケーブル27が接続されている。
【0021】
図2に示すように、スピンドル部6は、スピンドルケース61と、スピンドル62と、センターピン63と、供給管64とから主に構成されている。スピンドルケース61は、略円筒形状であって上下方向に挿通孔61aが形成され、一対のベアリング61A、61Aを介してスピンドル部収容部22に回転可能に支承されている。スピンドルケース61の外周には、前述のリングギヤ53が同軸一体回転するように設けられている。挿通孔61aの上部には、後述する供給管64の拡径部64Bが圧入される拡径受部61bが設けられ、拡径受部61bの内径は、挿通孔61aの内径よりも大きくなるように構成されている。挿通孔61aの内周面には、スピンドルケース61の半径内方に突出し上下方向に延びる複数のリブ61Bが設けられている。スピンドルケース61は支持部材の一例として機能する。
【0022】
スピンドル62は、筒状部62Aと切削刃保持部62Bとから主に構成されている。筒状部62Aの外周部分には、筒状部62Aの半径方向外方に突出し上下方向に延びる複数のリブ62Cが設けられている。このリブ62Cがスピンドルケース61の複数のリブ61Bとスプライン係合するように筒状部62Aは、スピンドルケース61内に収容されている。筒状部62Aがスピンドルケース61とスプライン係合するため、スピンドル62は、スピンドルケース61に対して上下方向に摺動可能であると共に回転不能に構成されており、スピンドルケース61と同軸一体回転する。筒状部62Aの内部には、供給管64の一部が挿入される切削液通路62aが形成されている。
【0023】
切削刃保持部62Bは、スピンドル62の下部に設けられていて、ホールソー10が着脱可能に装着される。ホールソー10の詳細な着脱動作は後述する。切削刃保持部62Bには、切削液通路62aと連通し、切削液通路62aの内径よりも大きな内径を有する孔部62bが形成され、孔部62b内には保持空間62cが規定される。保持空間62cは、保持空間62cを画成する上端面で切削液通路62aと連通している。よって切削液通路62aを介して、保持空間62c内に切削油を供給することが可能になる。保持空間62aには、切削液通路62aから孔部62bへ拡径する部分と密着して切削液通路62aの開口周囲に配置されるシール部材66が設けられている。孔部62bには、孔部62bの内周面から切削刃保持部62Bの外周面へ連通する連通孔62dが形成されており、後述するボール73がスピンドル62の半径方向に移動可能に配置される。
【0024】
供給管64は、スピンドル部収容部22に回転支持される回転支持部64Aと、拡径部64Bと、その一部が切削液通路62a内に挿入される挿入部64Cとにより構成され、略円筒形状を成し上下方向に貫通する内部通路64aが形成されている。回転支持部64Aは、スピンドル部収容部22にオイルシール22Aを介して回転可能に支持されていて、内部通路64aの上端はタンク23と連通している。調整弁23Aは、回転支持部64Aとタンク23との間に設けられており、タンク23内の切削油は調整弁23Aによって流量を調整されて内部通路64a内に供給される。拡径部64Bは、回転支持部64A及び挿入部64Cと比べて外径が大きく構成されており、拡径受部61bに圧入固定される。これにより、供給管64とスピンドルケース61とは同軸一体回転するように構成される。挿入部64Cは、切削液通路62a内に挿入されており、切削液通路62aの内径と挿入部64Cの外径とは略同一に構成される。ここでいう略同一とは、挿入部64Cがスピンドル62に対して円滑に摺動可能であるとともに、スピンドル62の回転中心と供給管64の回転中心とがブレない程度をいう。スピンドルケース61と、スピンドル62と、供給管64と、ホールソー10とは同一の軸心(図2の一点鎖線)を中心に回転駆動する。
【0025】
センターピン63は、棒状に構成され、上端が切削液通路62a内に上下動可能に挿入されている。センターピン63の最下端は鋭角に尖っており、ボール盤1で金属板Sに穿孔する際の芯だしに用いられている。センターピン63において、シール部材66と嵌合する位置には、上下方向と直交する断面で円形を成しシール部材66と全周に亘って密着する弁部63Aと、弁部63Aの下側に位置してシール部材66との間に隙間を形成する隙間形成部63Bとが規定されている。よってセンターピン63がシール部材66に対して下側から上側へと移動することにより、切削液通路62aと保持空間62cとの間を連通した状態にすることができる(図2)。
【0026】
センターピン63の上方に位置する切削液通路62a内にはバネ65が内蔵されている。バネ65は、上端が供給管64の下面に当接し、下端がセンターピン63の弁部63Aの上面に当接するように切削液通路62a内に配置されている。バネ65によりセンターピン63が下方へと付勢されている。図1に示すようにセンターピン63が下方に付勢されている状態では、弁部63Aがシール部材66と嵌合して切削液通路62aと保持空間62cとの間が遮断された状態に保たれる。このとき、センターピン63の下端はホールソー10の下端より下方に位置することになる。
【0027】
送り機構部7は、主に移動部材71と、操作スリーブ72とボール73とから構成されている。移動部材71は、ベアリング71Aを介してスピンドル62を回転可能に支承している。移動部材71には、図示せぬ2本のガイドがスピンドル62の回転中心を挟んで両側に位置するように設けられている。操作レバー25を回動することにより、移動部材71は図示せぬガイドに案内されて本体ケース2に対して上下方向に移動する。
【0028】
図4に示すように、孔部62bの内周面に形成された連通孔62dは、周方向に3箇所均等配置されており、その連通孔62d内にそれぞれボール73が挿入されている。
【0029】
操作スリーブ72は、図4に示されるように環状であって、その環状の内周面72Aの内径が孔部62bの外形と略同一に構成されている。操作スリーブ72の内周面72Aには、三箇所の連通孔62dに対応する位置にそれぞれ凹部72aが形成されており、それぞれの凹部72aには底面72Bが規定されている。
【0030】
操作スリーブ72には、図示せぬバネが孔部62bと操作スリーブ72との間に介在している。図示せぬバネは、連通孔62dの開口が凹部72a以外の内周面72Aと対峙した位置(連通孔62dの開口が凹部72aと対峙していない状態)になるように操作スリーブ72を付勢している。よって操作スリーブ72をスピンドル62に対して回転するように操作し、連通孔62dの開口に凹部72aが対峙する位置に回転させたとしても、図示せぬバネの付勢力により操作スリーブ72は凹部72a以外の内周面72Aが連通孔62dの開口と対峙する位置に戻ろうとする。
【0031】
ボール73は、それぞれの連通孔62dに配置されており、内周面72Aと当接した状態で一部が保持空間62c内に突出し、凹部72a内に配置された状態で、保持空間62cから離脱するように構成されている。
【0032】
ボール盤1に装着されるホールソー10(スチールコア、環状カッタともいう)は、筒状の切削刃10Aと、切削刃10Aに接続される被保持部10Bとから構成されており、筒状の切削刃10Aによって金属板Sを円形に切り抜いて穿孔することができる。被保持部10Bには、図4に示すようにまたホールソー10の中心軸位置には、被保持部10Bの上面から切削刃10A内を貫通し、センターピン63が挿通される貫通孔10aが形成されている。この貫通孔10aの径は、センターピン63の外形と略同一に構成されている。また被保持部10Bの外周部分には、ボール73の一部を挿入可能な穿孔10bが複数のボール73の数と同数形成されている。
【0033】
上記構成のボール盤1にホールソー10を装着するには、操作スリーブ72を時計回り、若しくは反時計回りに回転させて凹部72aを連通孔62dの開口と対峙する配置する。これにより、連通孔62d内のボール73は凹部72a内に退避することができる。この状態で被保持部10Bを保持空間62c内であってシール部材66に突き当たる位置まで上側に向けて挿入し、その後に操作スリーブ72を元に戻すことにより、ボール73の一部が穿孔10b内に挿入される。操作スリーブ72を元に戻すことにより内周面72Aが連通孔62dの開口と対峙するため、ボール73は内周面72Aと接触して保持空間62cから離脱することができなくなる。よってボール73が穿孔10b内から離脱することが無く、保持空間62c内に被保持部10Bが保持されてホールソー10が保持部7に装着される。
【0034】
尚、ホールソー10を外す時は、装着時と同様に操作スリーブ72を回転操作してボール73を凹部72a内に移動可能にすることによって、容易に保持空間62cから被保持部10Bを離脱させることができる。即ち、操作スリーブ72の操作により、ボール73を介してホールソー10を固定することができるので、ホールソー10の着脱時における信頼性を向上させることができる。
【0035】
次に、ボール盤1の動作について説明する。ホールソー10を装着した後に、図示せぬ電磁石スイッチをONにして電磁ベース3を金属板Sに吸着させ、その後に駆動源スイッチ24をONにしてモータ4を駆動し、ホールソー10を回転させる。このとき、リングギヤ53の回転がスピンドルケース61に伝わることにより、スピンドルケース61と、スピンドル62と、供給管64と、操作スリーブ72と、ホールソー10とが一体的に回転駆動する。操作ハンドル25を操作して送り機構部7を介してスピンドル62及びホールソー10を押し下げ穿孔を開始する。操作ハンドル25を操作する前では、センターピン63の弁部63Aがシール部材66と嵌合しており、切削液通路62aと保持空間62cとは連通していない。この時に、センターピン63が先ず金属板Sに当接し、その後に切削刃10Aが金属板Sに当接するため、図2に示されるようにセンターピン63は保持部7に対して上側に移動する。この移動に伴い、センターピン63のシール部材66と嵌合している箇所が、弁部63Aから隙間形成部63Bへと変わり、切削液通路62aと保持空間62cとが連通する。これにより、タンク23内の切削油が挿通孔61a、切削液通路62a、貫通孔10aを通って切削刃10Aに供給される。
【0036】
ホールソー10による穿孔が終わった後(図3)、センターピン63は、バネ65の付勢力により自動的に下方へと移動する。この移動により、センターピン63のシール部材66と嵌合している箇所が、隙間形成部63Bから弁部63Aへと変わり、シール部材66とセンターピン63との間の隙間が消滅する。これにより、切削油が不要に流れ出ることが抑制される。
【0037】
上記のような構成によると、供給管64はスピンドルケース61に固定されているため、スピンドルケース61と一体で回転する。同時に、供給管64が挿入されているスピンドル62もスピンドルケース61と一体で回転する。これにより、供給管6の周囲の部材が供給管64と共に回転することとなり、供給管64が切削液通路62aの内周面やバネ65等と接触することにより発生していた騒音を防止することができる。
【0038】
また、供給管64の一部が切削液通路62a内に挿入されていて、供給管64の挿入部64Cの外径と切削液通路62aの内径とは略同一であるため、供給管64とスピンドル61とによって回転中心の芯が維持され、切削作業時のスピンドル62(ホールソー10)の芯ブレを防止することができる。
【0039】
また、ハネ65が供給管64の下端面とセンターピン63との間に位置することにより、バネ65全体に切削液を供給することができる。
【0040】
また、供給管64はオイルシールによって支持されていることにより、スピンドル部収容部22によって回転可能に支承することができ、タンク23からの切削液を周囲に漏れることなくホールソー10の切削刃10Aに供給することができる。
【0041】
本発明による回転切削装置は上述した実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明の要旨の範囲内で種々の変更が可能である。例えば、本発明の実施の形態では、スピンドルケース61と供給管64とは、拡径部64Bがスピンドルケース61に圧入されることにより両者が固定されていたが、スピンドルケース61と供給管64とはネジによって固定されていてもよい。その際は、切削液が漏れ出さないようにスピンドルケース61と供給管64との間にはOリング等のシール部材が設けられていることが望ましい。
【符号の説明】
【0042】
1・・ボール盤 2・・本体ケース 3・・電磁ベース 4・・モータ 5・・ギヤ機構 6・・スピンドル部 7・・送り機構部 10・・ホールソー 10A・・刃部 10B・・被保持部 21・・枠体 22・・スピンドル部収容部 23・・タンク 24・・駆動源スイッチ 25・・操作レバー 27・・電源ケーブル 28・・伸延部材 29・・ノブ 41・・出力軸 42・・冷却ファン 51・・ピニオンギヤ 52・・接続ギヤ部 52A・・軸部 52B・・平ギヤ 52C・・傘歯ギヤ 53・・リングギヤ 61・・スピンドルケース 61A・・ベアリング 61A・・リブ 62・・スピンドル 62A・・筒状部 62B・・切削刃保持部 62C・・リブ 62a・・切削液通路 63・・センターピン 63A・・弁部 63B・・隙間形成部 64・・供給管 65・・バネ 66・・シール部材 71・・移動部材 71A・・ベアリング 72・・操作スリーブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータと、
該モータを収容するハウジングと、
該ハウジングに設けられ、切削液が貯蔵されるタンクと、
該モータにより回転駆動され、該ハウジングに軸心を中心に回転可能に支持される管状の支持部材と、
該支持部材内に一部が挿通された状態で該軸心方向に摺動可能に支持され回転刃が装着されるスピンドルと、
該タンクと連通し、該支持部材内で該軸心方向に延びて該支持部材に固定され、該回転刃に切削液を供給する切削液供給管と、
を有することを特徴とする回転切削装置。
【請求項2】
該スピンドルには該軸心方向に貫通するように貫通孔が形成されており、該切削液供給管の一部が該貫通孔に挿入され、該切削液供給管の該貫通孔に挿入されている部分の外径と該貫通孔の内径とは略同一であることを特徴とする請求項1に記載の回転切削装置。
【請求項3】
一部が該貫通孔に挿入され、該スピンドルに対して該軸心方向に摺動可能に支持され、被加工部材と当接可能なセンターピンと、
該センターピンを該被加工部材に当接する方向に付勢する付勢部材と、を有し、
該付勢部材の一端が該切削液供給管の反タンク側端面に当接し、他端が該センターピンと当接していることを特徴とする請求項2に記載の回転切削装置。
【請求項4】
該切削液供給管はオイルシールによって該ハウジングに回転可能に支持されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の回転切削装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−230268(P2011−230268A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−105114(P2010−105114)
【出願日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【出願人】(000005094)日立工機株式会社 (1,861)
【Fターム(参考)】