説明

回転式自動固液分離装置

【課題】水中の浮遊物を分離し、切断せずに排出することを目的とする。
【解決手段】浮遊物を円筒型の回転フィルターで補足しつつ、濾液は当該円筒に対して所定の角度を持たせた流路に導く。また、円筒型のフィルターで補足された浮遊物は、スクリューコンベアによって切断されることなく定量的に船外に排出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、海水中に浮遊するクラゲ等の固体を分離する方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
船舶の主機エンジン、発電機、冷房機関などの冷却には海水が多く用いられているが、各機関に取水した海水中にクラゲ等の固体が浮遊している場合、それらが冷却用配管中で詰まるなどの問題を起こし、冷却不良による重大な障害を引き起こす可能性がある。
【0003】
このような問題を解決するため、取水中のクラゲを刃物で切断するものや、化学的に溶解して取り除く装置が考案されている。
【0004】
しかしながら、クラゲを刃物で切断する方式の装置は、切断したクラゲが産業廃棄物となることから、船外に排出できないという課題を持っている。
【0005】
また、クラゲを化学的に溶解する方式の装置は、薬液の安全性と溶解した液の処理に多大なコストが掛かるという問題がある。
【0006】
このような種々の未解決の問題があるため、これまで、冷却水から安価にクラゲを除去する装置は実現されていない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
【0008】
本発明は、上記問題点を鑑みてなされたものであり、本発明は、取水中に浮遊するクラゲ等の海洋生物を生きたまま分離、除去する装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願発明者は、上記課題を解決すべく、鋭意検討を重ねた結果、以下に示す発明に想到した。
【0010】
本発明に係る浮遊物の分離方法は、浮遊物を円筒型の回転フィルターで補足しつつ、濾液は当該円筒に対して所定の角度を持たせた流路に導かれる「Y型ストレーナ」を有することを特徴とする。
【0011】
また、円筒型のフィルターで補足された浮遊物は、スクリューコンベアによって切断されることなく船外に排出されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、円筒型のフィルターが回転することで、フィルターを詰まりにくくするともに、フィルター内に蓄積した浮遊物をスクリューコンベアによって切断されることなく定量的に船外に排出されることで、新たな海洋汚染を回避することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態に係る回転式自動固液分離装置について、添付の図面を参照して具体的に説明する。
【0014】
本実施形態では、先ず、図1および図2に示すように、Y型に分岐したストレーナ内部に円筒型のフィルターを配置し、モーターにより回転させる。
【0015】
浮遊物を含んだ海水は、取水口1から本体2の内部に入り、回転フィルター3を通して円筒の外側に流れる。
【0016】
濾過液は、分岐部4から斜め方向に流れ、冷却水取出口5から各機関への配管へと導かれ、冷却水として使用される。
【0017】
一方、浮遊物は回転フィルター3に補足され、回転フィルター3の内部に蓄積されていく。
【0018】
回転フィルター3のメッシュサイズが小さいと、当然メッシュが目つまりしやすくなるので、メッシュサイズは、浮遊物のサイズに応じて最適なものを選定する必要がある。
回転フィルター3が浮遊物によって目つまりしないように、本体2の外部から設置した逆洗ノズルによって回転フィルター3の網部を逆洗する。
回転フィルター3の内部に蓄積した浮遊物は、スクリューコンベア6が回転することにより、浮遊物出口7に導かれ、定量的に船外に排出される。
【0019】
スクリューコンベア6のスクリューピッチと回転数によって、時間あたりに排出される浮遊物量が決定されるので、最適なピッチと回転数を設定する必要がある。
【0020】
回転はモータ9からカップリング8を通して回転フィルター3とスクリューコンベア6に伝えられる。
【0021】
本発明の効果は、メッシュの目つまりを防止しつつ、浮遊物を切断することなく分離、排出することにある。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】Y型ストレーナを示す図である。
【図2】本発明に係る装置を示す図である。
【符号の説明】
【0023】
1:取水口
2:本体
3:回転フィルター
4:分岐部
5:冷却水取出口
6:スクリューコンベア
7:浮遊物出口
8:カップリング
9:モータ
10:逆洗ノズル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液中の浮遊物を円筒型の回転フィルターで補足しつつ、濾液は当該円筒に対して所定の角度を持たせた流路に導かれる構造を有することを特徴とする回転式自動固液分離装置。
【請求項2】
フィルターに補足された浮遊物が、スクリューコンベアによって切断されることなく船外に排出されることを特徴とする回転式自動固液分離装置。
【請求項3】
フィルターに対して、濾過液の流れる方向が5度以上45度以下であることを特徴とする請求項1に記載の回転式自動固液分離装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−93647(P2008−93647A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−305929(P2006−305929)
【出願日】平成18年10月16日(2006.10.16)
【出願人】(502148129)株式会社エスマック (2)
【Fターム(参考)】