説明

回転機構、産業用ロボットおよび回転体の原点位置復帰方法

【課題】支持体に対して360°以上かつ720°未満回転可能な回転体を短時間で確実に原点位置へ復帰させることが可能な回転機構を提供する。
【解決手段】回転体の原点位置を検出するための第1検出機構は、回転体に固定される第1被検出部60と、支持体に固定される第1検出部59とを備え、第2検出機構33は、支持体に取り付けられる揺動部材45と、揺動部材45を揺動させる係合部材48と、揺動部材45に固定される第2被検出部62と、支持体に固定される第2検出部61とを備えている。この回転機構では、回転体の回転範囲の1箇所または2箇所で、第1検出部59によって第1被検出部60が検出され、かつ、回転体の回転範囲の1箇所で、第2検出部61のオンオフが切り替わる。また、この回転機構では、回転体を原点位置へ復帰させるときに、まず、第2検出部61のオンオフが切り替わる位置まで回転体を回転させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、支持体に対して360°以上かつ720°未満回転可能な回転体を備える回転機構に関する。また、本発明は、かかる回転機構を備える産業用ロボットに関する。さらに、本発明は、支持体に対して360°以上かつ720°未満回転可能な回転体を原点位置に復帰させる回転体の原点位置復帰方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、アーム部材と、このアーム部材に360°以上かつ720°未満回転可能に支持される回転軸と、回転軸を回転させる駆動モータとを備える産業用ロボットが知られている(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の産業用ロボットは、回転軸に固定される検出片と、アーム部材に固定される原点センサとを備えている。この産業用ロボットでは、回転軸が原点位置にあるときに、原点センサによって検出片が検出されているが、回転軸が360°以上かつ720°未満回転するため、回転軸の回転範囲の2箇所で、原点センサによって検出片が検出される。したがって、この産業用ロボットでは、検出片および原点センサだけでは、回転軸が原点位置にあることを検出することはできない。
【0003】
回転軸が原点位置にあることを検出するために、特許文献1に記載の産業用ロボットは、アーム部材に揺動自在に保持される揺動体と、揺動体の位置を検出する姿勢センサとを備えている。揺動体は、回転軸の回転に伴って揺動するため、この産業用ロボットでは、姿勢センサの検出結果と原点センサの検出結果とに基づいて、回転軸が原点位置にあることを検出している。すなわち、この産業用ロボットでは、姿勢センサがオフであるときに、原点センサで検出片が検出されても、回転体は原点位置にはなく、姿勢センサがオンであるときに、原点センサで検出片が検出されれば、回転軸が原点位置にあることが検出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−177578号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の産業用ロボットにおいて、駆動用モータを駆動するモータコントローラは、通常、回転軸の回転位置を把握しているが、ロボットのエラー等の何からの原因で、モータコントローラが回転軸の回転位置を見失うことがある。モータコントローラが回転軸の回転位置を見失った場合には、回転軸を原点位置へ復帰させる必要がある。しかしながら、特許文献1には、アーム部材に対して360°以上かつ720°未満回転する回転軸を原点位置へ復帰させる方法は開示されていない。
【0006】
そこで、本発明の課題は、支持体に対して360°以上かつ720°未満回転可能な回転体の原点位置がどの位置に設定されても回転体を短時間で確実に原点位置へ復帰させることが可能な回転機構を提供することにある。また、本発明の課題は、かかる回転機構を備える産業用ロボットを提供することにある。さらに、本発明の課題は、支持体に対して360°以上かつ720°未満回転可能な回転体の原点位置がどの位置に設定されても回転体を短時間で確実に原点位置へ復帰させることが可能となる回転体の原点位置復帰方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明の回転機構は、支持体と、支持体に対して360°以上かつ720°未満回転可能な回転体と、回転体を回転させるモータと、回転体の原点位置を検出するための第1検出機構および第2検出機構と、モータを制御するモータ制御手段とを備え、第1検出機構は、支持体または回転体のいずれか一方に固定または形成される第1被検出部と、支持体または回転体のいずれか他方に固定され第1被検出部を検出する第1検出部とを備え、第2検出機構は、支持体に揺動可能に取り付けられる揺動部材と、回転体に固定または形成されるとともに、揺動部材に係合して揺動部材を揺動させる係合部材と、揺動部材または支持体のいずれか一方に固定または形成される第2被検出部と、揺動部材または支持体のいずれか他方に固定され第2被検出部を検出する第2検出部とを備え、回転体の回転範囲の1箇所または2箇所で、第1検出部によって第1被検出部が検出されるように、第1被検出部および第1検出部が配置され、回転体の回転範囲の1箇所で、第2検出部のオンオフが切り替わるように、揺動部材が支持体に取り付けられ、モータ制御手段は、回転体を原点位置へ復帰させるときに、まず、第2検出部のオンオフが切り替わる位置まで回転体が回転するようにモータを制御することを特徴とする。
【0008】
本発明の回転機構では、回転体の回転範囲の1箇所で、第2検出部のオンオフが切り替わるように、揺動部材が支持体に取り付けられ、モータ制御手段は、回転体を原点位置へ復帰させるときに、まず、第2検出部のオンオフが切り替わる位置まで回転体が回転するようにモータを制御している。そのため、第2検出部のオンオフが切り替わる回転体の回転範囲の1箇所を基準にして、一定の動作を行えば、回転体を原点位置へ確実に復帰させることが可能になる。したがって、まず、第1検出部で第1被検出部が検出されるまで回転体を回転させてから、第2検出部のオンオフ状態を確認することで回転体を原点位置へ復帰させる場合と比較して、本発明では、回転体の原点位置がどの位置に設定されても、回転体を短時間で確実に原点位置へ復帰させることが可能になる。
【0009】
本発明において、モータ制御手段は、第2検出部のオンオフが切り替わる位置まで回転体が回転した後に、所定の第1回転方向へかつ第1検出部で第1被検出部が検出される範囲内へ回転体が回転し、その後、第1検出部で第1被検出部が検出されなくなるまで第1回転方向の逆方向となる第2回転方向へ回転体が回転し、かつ、その後、第1検出部で第1被検出部が検出されるまで第1回転方向へ回転体が回転するように、モータを制御して、回転体を原点位置へ復帰させることが好ましい。
【0010】
このように構成すると、たとえば、第1検出部で第1被検出部が検出される位置であって、かつ、第2検出部のオンオフが切り替わる境界位置が回転体の原点位置であっても、回転体を原点位置へ適切に復帰させることが可能になる。すなわち、第1検出部で第1被検出部が検出される位置であって、かつ、第2検出部のオンオフが切り替わる境界位置が回転体の原点位置である場合には、第2検出部、第2被検出部および揺動部材等の製品精度や取付精度等の影響で、回転体が原点位置にあるときに、第2検出部がオンとなる回転機構があったり、第2検出部がオフとなる回転機構があったりする場合が生じ得る。そのため、第2検出部のオンオフ状態を利用して(具体的には、第2検出部がオンであること(あるいは、第2検出部がオフであること)を回転体が原点位置に復帰しているための条件として)、回転体を原点位置へ復帰させると、回転体を原点位置へ適切に復帰させることができない状況が生じ得るが、このように構成すると、第2検出部のオンオフ状態を利用せずに回転体を原点位置に復帰させることができる。したがって、第1検出部で第1被検出部が検出される位置であって、かつ、第2検出部のオンオフが切り替わる境界位置が回転体の原点位置であっても、回転体を原点位置へ適切に復帰させることが可能になる。
【0011】
また、このように構成すると、一旦、第2回転方向へ回転体を回転させた後に、第1回転方向へ回転体を回転させて、回転体を原点位置へ復帰させているため、たとえば、第2回転方向へ回転体を回転させた後、第1回転方向へ回転体を回転させる際に、回転体の回転速度を下げることで、回転体を精度良く原点位置へ復帰させることが可能になる。
【0012】
本発明において、たとえば、第2検出機構は、支持体に固定または形成されるとともに揺動部材に当接して揺動部材の一方側の揺動範囲を規制する第1規制部材と、支持体に固定または形成されるとともに揺動部材に当接して揺動部材の他方側の揺動範囲を規制する第2規制部材とを備え、係合部材は、揺動部材が第1規制部材に当接する第1規制位置と揺動部材が第2規制部材に当接する第2規制位置との間で揺動部材を揺動させ、第2検出機構は、第2被検出部と第2検出部とによって、揺動部材が第1規制位置または第2規制位置のいずれにあるのかを検出する。
【0013】
本発明において、第2検出機構は、磁気吸引力または磁気反発力によって第1規制位置で揺動部材を保持する第1磁気保持機構と、磁気吸引力または磁気反発力によって第2規制位置で揺動部材を保持する第2磁気保持機構とを備えることが好ましい。このように構成すると、揺動部材のふらつきを防止することが可能になる。したがって、第2検出機構の検出精度を高めることが可能になる。また、このように構成すると、揺動部材がふらつかないように、第1規制位置や第2規制位置で揺動部材が保持されていても、第1規制位置や第2規制位置で揺動部材を保持するための部材を揺動部材に接触させる必要がない。そのため、第1規制位置と第2規制位置との間で揺動する揺動部材の揺動に伴う塵埃の発生や異音の発生を抑制することが可能になる。
【0014】
本発明において、係合部材は、第1規制位置にある揺動部材を第1規制部材に押し付けるように揺動部材に当接可能であるとともに、第2規制位置にある揺動部材を第2規制部材に押し付けるように揺動部材に当接可能であることが好ましい。このように構成すると、揺動部材、係合部材、第1規制部材および第2規制部材を用いて、回転体の回転範囲を規制することができる。したがって、回転体の回転範囲を規制するための機構を別途、設ける必要がなくなり、回転機構の構成を簡素化することが可能になる。
【0015】
本発明の回転機構は、産業用ロボットに用いることができる。この産業用ロボットは、本体部と、その基端側が本体部に回動可能に取り付けられる第1アームと、その基端側が第1アームの先端側に回動可能に取り付けられる支持体としての第2アームと、その基端側が第2アームの先端側に回転可能に取り付けられる回転体としての第3アームと、その基端側が第3アームの先端側に回転可能に取り付けられるハンドとを備えている。この産業用ロボットでは、第2アームに対して360°以上かつ720°未満回転可能な第3アームの原点位置がどの位置に設定されても、第3アームを短時間で原点位置へ復帰させることが可能になる。
【0016】
また、上記の課題を解決するため、本発明の回転体の原点位置復帰方法は、支持体と、支持体に対して360°以上かつ720°未満回転可能な回転体と、回転体の原点位置を検出するための第1検出機構および第2検出機構とを備え、第1検出機構は、支持体または回転体のいずれか一方に固定または形成される第1被検出部と、支持体または回転体のいずれか他方に固定され第1被検出部を検出する第1検出部とを備え、第2検出機構は、支持体に揺動可能に取り付けられる揺動部材と、回転体に固定または形成されるとともに、揺動部材に係合して揺動部材を揺動させる係合部材と、揺動部材または支持体のいずれか一方に固定または形成される第2被検出部と、揺動部材または支持体のいずれか他方に固定され第2被検出部を検出する第2検出部とを備え、回転体の回転範囲の1箇所または2箇所で、第1検出部によって第1被検出部が検出されるように、第1被検出部および第1検出部が配置され、回転体の回転範囲の1箇所で、第2検出部のオンオフが切り替わるように、揺動部材が支持体に取り付けられる回転機構における回転体の原点位置復帰方法であって、回転体を原点位置へ復帰させるときに、まず、第2検出部のオンオフが切り替わる位置まで回転体を回転させる第1回転ステップを実行することを特徴とする。
【0017】
本発明の回転体の原点位置復帰方法では、回転体を原点位置へ復帰させるときに、まず、第2検出部のオンオフが切り替わる位置まで回転体を回転させる第1回転ステップを実行している。そのため、第2検出部のオンオフが切り替わる回転体の回転範囲の1箇所を基準にして、一定の動作を行えば、回転体を原点位置へ確実に復帰させることが可能になる。したがって、まず、第1検出部で第1被検出部が検出されるまで回転体を回転させてから、第2検出部のオンオフ状態を確認することで回転体を原点位置へ復帰させる場合と比較して、本発明では、回転体の原点位置がどの位置に設定されても、回転体を短時間で確実に原点位置へ復帰させることが可能になる。
【0018】
本発明において、回転体の原点位置復帰方法は、第1回転ステップ後に、所定の第1回転方向へかつ第1検出部で第1被検出部が検出される範囲内へ回転体を回転させる第2回転ステップと、第2回転ステップ後に、第1検出部で第1被検出部が検出されなくなるまで第1回転方向の逆方向となる第2回転方向へ回転体を回転させる第3回転ステップと、第3回転ステップ後に、第1検出部で第1被検出部が検出されるまで回転体を第1回転方向へ回転させる第4回転ステップとを備えることが好ましい。このように構成すると、第2検出部のオンオフ状態を利用せずに回転体を原点位置に復帰させることができるため、たとえば、第1検出部で第1被検出部が検出される位置であって、かつ、第2検出部のオンオフが切り替わる境界位置が回転体の原点位置であっても、回転体を原点位置へ適切に復帰させることが可能になる。また、このように構成すると、第3回転ステップで、一旦、第2回転方向へ回転体を回転させた後に、第4回転ステップで、回転体を原点位置へ復帰させる際に、たとえば、回転体の回転速度を下げることで、回転体を精度良く原点位置へ復帰させることが可能になる。
【発明の効果】
【0019】
以上のように、本発明の回転機構では、支持体に対して360°以上かつ720°未満回転可能な回転体の原点位置がどの位置に設定されても回転体を短時間で確実に原点位置へ復帰させることが可能になる。また、本発明の産業用ロボットでは、第2アームに対して360°以上かつ720°未満回転可能な第3アームの原点位置がどの位置に設定されても第3アームを短時間で確実に原点位置へ復帰させることが可能になる。さらに、本発明の回転体の原点位置復帰方法を用いれば、支持体に対して360°以上かつ720°未満回転可能な回転体の原点位置がどの位置に設定されても回転体を短時間で確実に原点位置へ復帰させることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施の形態にかかる産業用ロボットの概略側面図である。
【図2】図1に示す産業用ロボットが使用される半導体製造システムの概略平面図である。
【図3】図1に示す第3アーム駆動機構の構成を説明するための縦断面図である。
【図4】図3のE−E方向から第3アーム駆動機構の構成を説明するための図である。
【図5】図3に示す第2検出機構の動作を説明するための図である。
【図6】図1に示す第3アームの回転範囲における第1検出機構の検出状態および第2検出機構の検出状態を説明するための図である。
【図7】図1に示す第3アームの回転角度と、光学式センサの検出範囲および近接センサの検出範囲との関係を説明するための図である。
【図8】図1に示す第3アームの原点位置復帰方法を説明するための図である。
【図9】本発明の他の実施の形態にかかる第3アームの原点位置および本発明の効果を説明するための図である。
【図10】本発明の他の実施の形態にかかる第3アームの回転角度と、光学式センサの検出範囲および近接センサの検出範囲との関係を説明するための図である。
【図11】本発明の他の実施の形態にかかる第3アームの回転角度と、光学式センサの検出範囲および近接センサの検出範囲との関係を説明するための図である。
【図12】本発明の他の実施の形態にかかる第3アームの原点位置を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0022】
(産業用ロボットの概略構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかる産業用ロボット1の概略側面図である。図2は、図1に示す産業用ロボット1が使用される半導体製造システム16の概略平面図である。
【0023】
本形態の産業用ロボット1は、半導体ウエハ2(図2参照)を搬送するための多関節型のロボットである。この産業用ロボット1は、図1に示すように、本体部3と、本体部3に回動可能に取り付けられる第1アーム4と、第1アーム4に回動可能に取り付けられる第2アーム5と、第2アーム5に回転可能に取り付けられる第3アーム6と、第3アーム6に回転可能に取り付けられるハンド7、8とを備えている。なお、以下の説明では、産業用ロボット1を「ロボット1」とし、半導体ウエハ2を「ウエハ2」とする。
【0024】
また、ロボット1は、第1アーム4および第2アーム5を回動させて第1アーム4と第2アーム5とからなるアーム部9を伸縮させるアーム部駆動機構11と、第3アーム6を回転駆動する第3アーム駆動機構12と、ハンド7を回転駆動するハンド駆動機構13と、ハンド8を回転駆動するハンド駆動機構14とを備えている。
【0025】
図2に示すように、ロボット1は、たとえば、半導体製造システム16に組み込まれて使用される。具体的には、ロボット1は、半導体製造システム16の入り口に配置され、カセット17に収納されているウエハ2を取り出して処理装置18の中へウエハ2を収納する。
【0026】
本体部3は、円筒状に形成されている。本体部3の内部には、第1アーム4を昇降させる昇降機構(図示省略)が収納されている。第1アーム4、第2アーム5および第3アーム6は、中空状に形成されている。第1アーム4の基端側は、本体部3に回動可能に取り付けられている。第2アーム5の基端側は、第1アーム4の先端側に回動可能に取り付けられている。第3アーム6の基端側は、第2アーム5の先端側に回転可能に取り付けられている。本形態では、上下方向において、本体部3と第1アーム4と第2アーム5と第3アーム6とが下側からこの順番で配置されている。
【0027】
ハンド7は、図2に示すように、上下方向から見たときの形状が略Y形状となるように形成されており、二股状になっているハンド7の先端部にウエハ2が搭載される。ハンド8は、ハンド7と同形状に形成されており、二股状になっているハンド8の先端部にウエハ2が搭載される。ハンド7、8の基端側は、第3アーム6の先端側に回転可能に取り付けられている。ハンド7、8は、上下方向で重なるように配置されている。また、ハンド7、8は、第3アーム6よりも上側に配置されている。
【0028】
なお、図2では、ハンド8の図示を省略している。また、本形態のロボット1の動作時には、ハンド7とハンド8とが上下方向で重なる場合もあるが、ほとんどの場合、ハンド7とハンド8とは、上下方向で重なっていない。たとえば、図2の二点鎖線で示すように、ハンド7がカセット17の中へ入り込んでいるときには、ハンド8は、本体部3側へ回転しており、カセット17の中に入っていない。このときのハンド7に対するハンド8の回転角度は、たとえば、120°〜150°である。
【0029】
アーム部駆動機構11は、駆動源となる第1駆動用モータ20と、第1駆動用モータ20の動力を減速して第1アーム4に伝達するための第1減速機21と、第1駆動用モータ20の動力を減速して第2アーム5に伝達するための第2減速機22と、第1減速機21と第2減速機22とを連結するプーリおよびベルト(図示省略)とを備えている。第1減速機21は、たとえば、波動歯車装置であるハーモニックドライブ(登録商標)であり、本体部3と第1アーム4とを繋ぐ第1関節部を構成している。第2減速機22は、たとえば、ハーモニックドライブ(登録商標)であり、第1アーム4と第2アーム5とを繋ぐ第2関節部を構成している。
【0030】
第3アーム駆動機構12は、駆動源となる第2駆動用モータ24と、第2駆動用モータ24の動力を減速して第3アーム6に伝達するための第3減速機25とを備えている。第3アーム駆動機構12の詳細な構成については、後述する。
【0031】
ハンド駆動機構13は、駆動源となるハンド駆動用モータ27と、ハンド駆動用モータ27の動力を減速してハンド7に伝達するためのハンド用減速機(図示省略)と、ハンド7とハンド用減速機とを連結するプーリおよびベルト(図示省略)とを備えている。ハンド駆動機構14は、ハンド駆動機構13と同様に、駆動源となるハンド駆動用モータ28と、ハンド駆動用モータ28の動力を減速してハンド8に伝達するためのハンド用減速機(図示省略)と、ハンド8とハンド用減速機とを連結するプーリおよびベルト(図示省略)とを備えている。ハンド用減速機は、たとえば、ハーモニックドライブ(登録商標)である。
【0032】
以上のように構成されたロボット1では、第1駆動用モータ20が駆動すると、図2に示すように、第3減速機25の中心が直線L上を移動するように、アーム部9が伸縮する。また、第2駆動用モータ24が駆動すると、第3減速機25を中心にして、第3アーム6がアーム部9に対して相対回転する。さらに、ハンド駆動用モータ27が駆動すると、ハンド7が第3アーム6に対して相対回転し、ハンド駆動用モータ28が駆動すると、ハンド8が第3アーム6に対して相対回転する。
【0033】
以上の動作を組み合わせて、ロボット1は、カセット17に収納されているウエハ2を取り出して処理装置18の中へウエハ2を収納する。なお、ロボット1がウエハ2を搬送する際には、本体部3の内部に配置された昇降機構によって、必要に応じて、アーム部9、第3アーム6およびハンド7、8が昇降する。
【0034】
(第3アーム駆動機構の構成)
図3は、図1に示す第3アーム駆動機構12の構成を説明するための縦断面図である。図4は、図3のE−E方向から第3アーム駆動機構12の構成を説明するための図である。図5は、図3に示す第2検出機構33の動作を説明するための図である。図6は、図1に示す第3アーム6の回転範囲における第1検出機構32の検出状態および第2検出機構33の検出状態を説明するための図である。図7は、図1に示す第3アーム6の回転角度と、光学式センサ61の検出範囲および近接センサ59の検出範囲との関係を説明するための図である。
【0035】
第3アーム駆動機構12は、上述の第2駆動用モータ24および第3減速機25に加えて、第3アーム6の原点位置を検出するための第1検出機構32および第2検出機構33を備えている。本形態の第2検出機構33は、第2アーム5に対する第3アーム6の回転範囲を規制する機能も果たしている。
【0036】
第2駆動用モータ24(以下、「モータ24」とする)は、サーボモータである。モータ24には、モータ24を制御するモータ制御手段としてのモータ制御部30が接続されている(図1参照)。モータ24は、第2アーム5の先端側に取り付けられている。具体的には、モータ24は、第2アーム5の、第3減速機25が配置された箇所よりも先端側に固定されている。モータ24の出力軸には、プーリ34が固定されている。
【0037】
第3減速機25は、第2アーム5と第3アーム6とを繋ぐ第3関節部を構成している。この第3減速機25は、ハーモニックドライブ(登録商標)であり、図3に示すように、ウェーブジェネレータ35と、サーキュラスプライン36と、フレクスプライン37とを備えている。フレクスプライン37は、第3アーム6に固定されている。サーキュラスプライン36は、第2アーム5の先端側に固定されている。ウェーブジェネレータ35の下端には、プーリ38が固定されている。このプーリ38とモータ24の出力軸に固定されるプーリ34とには、ベルト39が架け渡されている。このように、本形態では、ウェーブジェネレータ35は、第3減速機25の入力軸を構成し、フレクスプライン37は、第3減速機25の出力軸を構成している。
【0038】
第2アーム5の先端側には、第3減速機25の中心を通過するように配置される中空軸40が上下方向を軸方向として固定されている。ウェーブジェネレータ35は、中空軸40の外周側に回転可能に配置されている。本形態では、中空軸40の内周側を利用して、所定の配線が引き回されている。
【0039】
第2検出機構33は、第2アーム5に揺動可能に取り付けられる揺動部材(揺動コマ)45と、揺動部材45に当接して揺動部材45の一方側の揺動範囲を規制する第1規制部材としてのストッパ46と、揺動部材45に当接して揺動部材45の他方側の揺動範囲を規制する第2規制部材としてのストッパ47と、揺動部材45に係合して揺動部材45を揺動させる係合部材としての係合ピン48とを備えている。本形態では、第3アーム6は、第2アーム5に対して360°以上かつ720°未満回転可能となっており、第2検出機構33は、360°以上かつ720°未満回転する第3アーム6の回転範囲を規制している。なお、本形態の第3アーム6は、700°程度回転可能となっている。
【0040】
また、第2検出機構33は、揺動部材45がストッパ46に当接する第1規制位置45A(図5(A)参照)で、磁気吸引力によって、揺動部材45を保持する第1磁気保持機構51と、揺動部材45がストッパ47に当接する第2規制位置45B(図5(E)参照)で、磁気吸引力によって、揺動部材45を保持する第2磁気保持機構52とを備えている。
【0041】
係合ピン48は、略円柱状に形成されている。この係合ピン48は、所定の部材を介して、フレクスプライン37の下面に固定されている。すなわち、係合ピン48は、フレクスプライン37等を介して第3アーム6に固定されている。係合ピン48は、揺動部材45に形成される後述の係合溝45aに係合して、第1規制位置45Aと第2規制位置45Bとの間で揺動部材45を揺動させる。
【0042】
揺動部材45は、非磁性材料で形成されるとともにブロック状に形成されている。この揺動部材45は、第2アーム5に固定される支持軸53に揺動可能に支持されており、支持軸53を中心にして揺動可能となっている。支持軸53は、上下方向を軸方向として、第2アーム5に固定されている。また、支持軸53は、第3減速機25の径方向外側で第2アーム5に固定されている。すなわち、図4に示すように、上下方向から見たときに、揺動部材45の揺動中心は、第3アーム6とともに回転する係合ピン48の中心の軌跡である仮想円Cの外側に配置されている。また、支持軸53は、第3減速機25よりも第2アーム5の基端側に配置されている。
【0043】
揺動部材45には、第1規制位置45Aと第2規制位置45Bとの間で揺動部材45が揺動する際に係合ピン48が係合する係合溝45aが形成されている。係合溝45aは、上下方向から見たときの形状が略U形状となるように形成されており、係合溝45aの側面には、略半円弧状の凹曲面45bが形成されている。凹曲面45bの内径は、係合ピン48の外径と略等しくなっている。なお、上下方向から見たときの係合溝45aが略U形状に形成されているため、本形態の揺動部材45は、上下方向から見たときの形状が略U形状となるように形成されている。
【0044】
ストッパ46、47は、略円柱状に形成されている。ストッパ46は、揺動部材45の揺動方向における揺動部材45の一方の側面に当接可能となるように、第2アーム5に固定され、ストッパ47は、揺動部材45の揺動方向における揺動部材45の他方の側面に当接可能となるように、第2アーム5に固定されている。また、揺動部材45の揺動角度が、たとえば、20°〜30°程度となるように、ストッパ46、47が第2アーム5に固定されている。
【0045】
係合ピン48は、図5(A)に示すように、ストッパ46に揺動部材45の一方の側面を押し付けるように、第1規制位置45Aにある揺動部材45の他方の側面に当接可能となっており、ストッパ46に揺動部材45の一方の側面を押し付けるように、第1規制位置45Aにある揺動部材45の他方の側面に係合ピン48が当接すると、フレクスプライン37等を介して係合ピン48が固定される第3アーム6の一方側の回転範囲が規制される。また、係合ピン48は、図5(E)に示すように、ストッパ47に揺動部材45の他方の側面を押し付けるように、第2規制位置45Bにある揺動部材45の一方の側面に当接可能となっており、ストッパ47に揺動部材45の他方の側面を押し付けるように、第2規制位置45Bにある揺動部材45の一方の側面に係合ピン48が当接すると、第3アーム6の他方側の回転範囲が規制される。
【0046】
図5(A)に示す状態から、第3アーム6が図5の時計方向へ回転して、係合ピン48が第3減速機25の中心に対してたとえば330°程度回転すると、図5(B)に示すように、係合ピン48は、係合溝45aの側面に当接し、その後、図5(C)に示すように、係合溝45aに係合する。係合ピン48が係合溝45aの側面に当接して係合溝45aに係合すると、図5(B)〜(D)に示すように、揺動部材45は、第3アーム6の回転に伴って、第1規制位置45Aから第2規制位置45Bへ回動する。また、第1規制位置45Aから第2規制位置45Bへ揺動部材45が回動する過程で、図5(D)に示すように、係合ピン48は、係合溝45aから外れる。また、さらに、第3アーム6が図5の時計方向へたとえば330°程度回転すると、図5(E)に示すように、揺動部材45の一方の側面に係合ピン48が当接して、第3アーム6の時計方向への回転が規制される。
【0047】
同様に、図5(E)に示す状態から、第3アーム6が図5の反時計方向へ回転して、係合ピン48が第3減速機25の中心に対してたとえば330°程度回転すると、係合ピン48は、係合溝45aの側面に当接し、その後、図5(C)に示すように、係合溝45aに係合する。係合ピン48が係合溝45aの側面に当接して係合溝45aに係合すると、図5(D)〜(B)に示すように、揺動部材45は、第3アーム6の回転に伴って、第2規制位置45Bから第1規制位置45Aへ回動する。また、第2規制位置45Bから第1規制位置45Aへ揺動部材45が回動する過程で、図5(B)に示すように、係合ピン48は、係合溝45aから外れる。また、さらに、第3アーム6が図5の反時計方向へたとえば330°程度回転すると、図5(A)に示すように、揺動部材45の他方の側面に係合ピン48が当接して、第3アーム6の反時計方向への回転が規制される。
【0048】
このように、本形態では、図5の時計方向へ第3アーム6が回転する場合、第1規制位置45Aに揺動部材45があれば、係合ピン48が揺動部材45の配置箇所に到達しても、係合ピン48は、揺動部材45を第2規制位置45Bへ回動させながら、揺動部材45の配置箇所を通過することができるため、第3アーム6は、さらに回転することができる。一方、図5の時計方向へ第3アーム6が回転する場合、第2規制位置45Bに揺動部材45があれば、係合ピン48が揺動部材45の配置箇所に到達すると、ストッパ47に当接する揺動部材45に係合ピン48が当接して、第3アーム6は、それ以上回転できなくなる。
【0049】
また、図5の反時計方向へ第3アーム6が回転する場合、第2規制位置45Bに揺動部材45があれば、係合ピン48が揺動部材45の配置箇所に到達しても、係合ピン48は、揺動部材45を第1規制位置45Aへ回動させながら、揺動部材45の配置箇所を通過することができるため、第3アーム6は、さらに回転することができる。一方、図5の反時計方向へ第3アーム6が回転する場合、第1規制位置45Aに揺動部材45があれば、係合ピン48が揺動部材45の配置箇所に到達すると、ストッパ46に当接する揺動部材45に係合ピン48が当接して、第3アーム6は、それ以上回転できなくなる。
【0050】
なお、本形態では、第1規制位置45Aと第2規制位置45Bとの間に揺動部材45があるときには、図5(C)に示すように、凹曲面45bの比較的広い範囲に係合ピン48の外周面が接触するように、揺動部材45と係合ピン48とが係合しており、上下方向から見たときに、凹曲面45bの曲率中心と係合ピン48の中心とが略一致している。また、本形態では、第2アーム5は、360°以上かつ720°未満回転可能な第3アーム6を支持する支持体であり、第3アーム6は、360°以上かつ720°未満回転可能な回転体である。
【0051】
第1磁気保持機構51は、揺動部材45に固定される磁性部材55と、第2アーム5に固定される永久磁石56とから構成されている。第2磁気保持機構52も、第1磁気保持機構51と同様に、揺動部材45に固定される磁性部材57と、第2アーム5に固定される永久磁石58とから構成されている。
【0052】
磁性部材55、57は、略円柱状に形成されており、揺動部材45の下面に固定されている。また、磁性部材55、57は、磁性部材55と磁性部材57とによって係合溝45aを挟むように、係合溝45aの両側のそれぞれで揺動部材45に固定されている。永久磁石56、58は、略円柱状に形成されている。永久磁石56は、ストッパ46に隣接するように第2アーム5に固定され、永久磁石58は、ストッパ47に隣接するように第2アーム5に固定されている。また、上下方向において、磁性部材55、57の下面と永久磁石56、58の上面との間に隙間が形成されるように、永久磁石56、58は、第2アーム5に固定されている。
【0053】
図5(A)、(B)に示すように、揺動部材45が第1規制位置45Aにあるときには、上下方向から見たときに磁性部材55の一部と永久磁石56の一部とが重なっており、磁性部材55と永久磁石56との間に生じる磁気吸引力によって、揺動部材45が第1規制位置45Aで保持されている。なお、揺動部材45が第1規制位置45Aにあるときには、ストッパ46に揺動部材45の一方の側面が押し付けられるような磁気吸引力が生じるように、上下方向から見たときの磁性部材55の中心と永久磁石56の中心とがずれている。
【0054】
また、図5(D)、(E)に示すように、揺動部材45が第2規制位置45Bにあるときには、上下方向から見たときに磁性部材57の一部と永久磁石58の一部とが重なっており、磁性部材57と永久磁石58との間に生じる磁気吸引力によって、揺動部材45が第2規制位置45Bで保持されている。なお、揺動部材45が第2規制位置45Bにあるときには、ストッパ47に揺動部材45の他方の側面が押し付けられるような磁気吸引力が生じるように、上下方向から見たときの磁性部材57の中心と永久磁石58の中心とがずれている。
【0055】
また、第2検出機構33は、発光素子と受光素子とが対向するように配置される光学式センサ61と、揺動部材45に固定される遮光部材62とを備えている。光学式センサ61は、第2アーム5に固定されている。遮光部材62は、光学式センサ61の発光素子と受光素子との間を遮ることが可能となるように、揺動部材45に固定されている。本形態の遮光部材62は、第2被検出部であり、光学式センサ61は、第2被検出部である遮光部材62を検出する第2検出部である。
【0056】
本形態では、図5(A)に示すように、揺動部材45が第1規制位置45Aにあるときに、遮光部材62が光学式センサ61の発光素子と受光素子との間を遮り、図5(E)に示すように、揺動部材45が第2規制位置45Bにあるときに、遮光部材62が光学式センサ61の発光素子と受光素子との間から外れている。すなわち、本形態では、第3アーム6の回転範囲の1箇所で、光学式センサ61のオンオフが切り替わるように、揺動部材45が第2アーム5に取り付けられている。具体的には、第3アーム6の回転範囲の中心位置で、光学式センサ61のオンオフが切り替わるように、揺動部材45が第2アーム5に取り付けられている。
【0057】
また、本形態では、揺動部材45が第1規制位置45Aにあるときに、遮光部材62が光学式センサ61の発光素子と受光素子との間を遮り、揺動部材45が第2規制位置45Bにあるときに、遮光部材62が光学式センサ61の発光素子と受光素子との間から外れるため、光学式センサ61と遮光部材62とによって、揺動部材45が第1規制位置45Aまたは第2規制位置45Bのいずれにあるのかが検出される。
【0058】
第1検出機構32は、第2アーム5に固定される近接センサ59と、第3アーム6に固定される磁性部材60とを備えている。近接センサ59は、揺動部材45と近接センサ59とによって第3減速機25を挟むように、第2アーム5に固定されている。すなわち、近接センサ59は、第3減速機25よりも第2アーム5の先端側で第2アーム5に固定されている。また、近接センサ59は、その検出面が上側を向くように、第2アーム5に固定されている。磁性部材60は、平板状に形成され、近接センサ59の検出面の上側を通過するように第3アーム6に固定されている。また、磁性部材60は、略円弧状に形成されており、第2アーム5に対する第3アーム6の所定の回転角度の範囲内で、近接センサ59が磁性部材60を検出できるようになっている。本形態の磁性部材60は、第1被検出部であり、近接センサ59は、第1被検出部である磁性部材60を検出する第1検出部である。
【0059】
本形態では、第3アーム6は、アルミ等の非磁性材料で形成されており、近接センサ59によって磁性部材60が検出されることで、第2アーム5に対して第3アーム6が所定の状態にあることが検出される。また、本形態では、第3アーム6の回転範囲の2箇所で、近接センサ59によって磁性部材60が検出されるように、近接センサ59および磁性部材60が配置されている。
【0060】
また、本形態では、図6(A)に示すように、近接センサ59で磁性部材60が検出される位置であって、かつ、光学式センサ61のオンオフが切り替わる境界位置が第3アーム6の原点位置である。より具体的には、近接センサ59のオンオフが切り替わる境界位置であって、かつ、光学式センサ61のオンオフが切り替わる境界位置が第3アーム6の原点位置であり、第3アーム6の原点位置がこのような位置になるように、近接センサ59、磁性部材60、光学式センサ61および遮光部材62が配置されている。
【0061】
上述のように、本形態の第3アーム6は、700°程度回転可能となっており、かつ、第3アーム6の回転範囲の中心位置で、光学式センサ61のオンオフが切り替わるように、揺動部材45が第2アーム5に取り付けられている。すなわち、第3アーム6は、光学式センサ61のオンオフが切り替わる境界位置を中心にして、時計方向へ350°程度回転可能であるとともに、反時計方向へ350°程度回転可能である。また、上述のように、磁性部材60は、略円弧状に形成されている。具体的には、磁性部材60は、第3減速機25の中心(すなわち、第3アーム6の回転中心)を曲率中心とする略円弧状に形成されており、磁性部材60の中心角θ(図6(A)参照)は44°程度となっている。さらに、図6における時計回りの回転方向を「時計方向」とし、図6における反時計回りの回転方向を「反時計方向」とすると、本形態では、光学式センサ61のオンオフが切り替わる境界位置に第3アーム6があるときに、磁性部材60の反時計方向端側が近接センサ59にかかるように、近接センサ59および磁性部材60が配置されている。
【0062】
そのため、図6(A)に示す原点位置と、揺動部材45に係合ピン48が当接して第3アーム6の反時計方向への回転が規制される位置(図6(C)に示す位置)との間で、第3アーム6が回転する場合、第3アーム6が原点位置から44°回転した位置(図6(B)に示す位置)と原点位置との間では、近接センサ59は磁性部材60を検出しており、オンとなる。また、第3アーム6が原点位置から44°回転した位置(図6(B)に示す位置)と第3アーム6の反時計方向への回転が規制される位置(図6(C)に示す位置)との間では、近接センサ59はオフになる。また、原点位置と第3アーム6の反時計方向への回転が規制される位置との間で、第3アーム6が回転する場合には、光学式センサ61はオンとなる。
【0063】
また、図6(A)に示す原点位置と、揺動部材45に係合ピン48が当接して第3アーム6の時計方向への回転が規制される位置(図6(E)に示す位置)との間で、第3アーム6が回転する場合、第3アーム6が原点位置から316°回転した位置(図6(D)に示す位置)と原点位置との間では、近接センサ59はオフとなり、第3アーム6が原点位置から316°回転した位置(図6(D)に示す位置)と第3アーム6の時計方向への回転が規制される位置(図6(E)に示す位置)との間では、近接センサ59はオンとなる。また、原点位置と第3アーム6の時計方向への回転が規制される位置との間で、第3アーム6が回転する場合には、光学式センサ61はオフとなる。
【0064】
光学式センサ61のオンオフが切り替わる境界位置での第3アーム6の回転角度を「0」とするとともに、光学式センサ61のオンオフが切り替わる境界位置と第3アーム6の反時計方向への回転が規制される位置との間における第3アーム6の回転角度をプラスの角度とし、かつ、光学式センサ61のオンオフが切り替わる境界位置と第3アーム6の時計方向への回転が規制される位置との間における第3アーム6の回転角度をマイナスの角度とする場合、第3アーム6の回転角度と、光学式センサ61の検出範囲および近接センサ59の検出範囲との関係をまとめると図7のようになる。
【0065】
なお、本形態では、第2アーム5、第3アーム6、モータ24、モータ制御部30、第1検出機構32および第2検出機構33等によって、回転機構が構成されている。
【0066】
(第3アームの原点位置復帰方法)
図8は、図1に示す第3アーム6の原点位置復帰方法を説明するための図である。
【0067】
上述のように、第3アーム6は、第2アーム5に対して700°程度回転可能となっており、かつ、第3アーム6の回転範囲内において、第3アーム6が原点位置から44°回転した位置と原点位置との間、および、第3アーム6が原点位置から316°回転した位置と第3アーム6の時計方向への回転が規制される位置との間で、近接センサ59によって磁性部材60が検出されるように、近接センサ59および磁性部材60が配置されている。そのため、近接センサ59によって磁性部材60が検出された瞬間の状態としては、図6(A)に示すように、第3アーム6が原点位置にある状態と、図6(D)に示すように、揺動部材45が第2規制位置45Bにある状態との2つの状態がある。すなわち、本形態では、第1検出機構32のみでは、第3アーム6の原点位置を検出することができない。
【0068】
ここで、モータ制御部30は、通常の運転時には、モータ24の回転位置(すなわち、第3アーム6の回転位置)を把握しているが、ロボット1のエラー等の何からの原因で、モータ制御部30が第3アーム6の回転位置を見失うことがある。この場合、第3アーム6を原点位置へ復帰させる必要があるが、第1検出機構32のみでは、第3アーム6の原点位置を的確に検出することができないため、第1検出機構32のみを用いて、第3アーム6を原点位置へ復帰させることができない。そこで、本形態では、第1検出機構32と第2検出機構33とを用いて、第3アーム6を原点位置へ復帰させる。具体的には、以下のように、第3アーム6を原点位置へ復帰させる。
【0069】
第3アーム6を原点位置へ復帰させるときには、まず、光学式センサ61の検出状態に基づいて、光学式センサ61のオンオフが切り替わる位置まで第3アーム6を回転させる(第1回転ステップ)。すなわち、モータ制御部30は、第3アーム6を原点位置へ復帰させるときに、まず、光学式センサ61の検出状態を確認するとともに、光学式センサ61の検出状態に基づいて、光学式センサ61のオンオフが切り替わる位置まで第3アーム6が回転するようにモータ24を制御する。
【0070】
具体的には、第3アーム6を原点復帰させようとしたときの状態が、図8(A)に示すように、第2規制位置45Bに揺動部材45がある状態で、光学式センサ61がオフのときには、図8(C)に示すように、光学式センサ61のオンオフが切り替わる位置まで第3アーム6を反時計方向へ回転させる。一方、第3アーム6を原点復帰させようとしたときの状態が、図8(B)に示すように、第1規制位置45Aに揺動部材45がある状態で、光学式センサ61がオンのときには、光学式センサ61のオンオフが切り替わる位置まで第3アーム6を時計方向へ回転させる。
【0071】
その後、図8(D)に示すように、反時計方向へ第3アーム6を回転させるとともに、近接センサ59で磁性部材60が検出される範囲内へ第3アーム6を回転させる(第2回転ステップ)。すなわち、図7に示すように、第3アーム6のプラスの回転角度の範囲内で近接センサ59がオンとなる「オン側」へ第3アーム6を回転させるとともに、近接センサ59がオンしている範囲内へ第3アーム6を回転させる。すなわち、モータ制御部30は、反時計方向へ、かつ、近接センサ59で磁性部材60が検出される範囲内へ第3アーム6が回転するように、モータ24を制御する。
【0072】
その後、図8(E)に示すように、近接センサ59で磁性部材60が検出されなくなるまで所定角度、時計方向へ第3アーム6を回転させる(第3回転ステップ)。すなわち、図7に示すように、「オン側」の反対側となる「オフ側」へ第3アーム6を回転させるとともに、少なくとも、近接センサ59がオンからオフへ切り替わるまで、所定角度、第3アーム6を回転させる。すなわち、モータ制御部30は、近接センサ59で磁性部材60が検出されなくなるまで所定角度、時計方向へ第3アーム6が回転するように、モータ24を制御する。本形態では、たとえば、10°程度、時計方向へ第3アーム6を回転させる。
【0073】
その後、図8(C)に示すように、近接センサ59で磁性部材60が検出されるまで(すなわち、近接センサ59がオフからオンへ再び切り替わるまで)第3アーム6を反時計方向に回転させる(第4回転ステップ)。すなわち、モータ制御部30は、近接センサ59で磁性部材60が検出されるまで第3アーム6が反時計方向へ回転するように、モータ24を制御する。第4回転ステップが終了すると、第3アーム6は、原点位置へ復帰する。
【0074】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、第3アーム6の回転範囲の1箇所で、光学式センサ61のオンオフが切り替わるように、揺動部材45が第2アーム5に取り付けられている。また、本形態では、第3アーム6を原点位置へ復帰させるときに、まず、第1回転ステップで、光学式センサ61の検出状態に基づいて、光学式センサ61のオンオフが切り替わる位置まで第3アーム6を回転させ、その後の第2回転ステップで、反時計方向へ第3アーム6を回転させるとともに、近接センサ59で磁性部材60が検出される範囲内へ第3アーム6を回転させ、その後の第3回転ステップで、近接センサ59で磁性部材60が検出されなくなる位置まで時計方向へ第3アーム6を回転させ、その後の第4回転ステップで、近接センサ59で磁性部材60が検出されるまで第3アーム6を反時計方向に回転させている。
【0075】
そのため、近接センサ59のオンオフが切り替わる境界位置であって、かつ、光学式センサ61のオンオフが切り替わる境界位置が第3アーム6の原点位置であっても、第3アーム6を原点位置へ適切に復帰させることが可能になる。すなわち、近接センサ59のオンオフが切り替わる境界位置であって、かつ、光学式センサ61のオンオフが切り替わる境界位置が第3アーム6の原点位置である場合には、光学式センサ61、遮光部材62および揺動部材45の製品精度や取付精度、あるいは、光学式センサ61の応答精度等の影響で、第3アーム6が原点位置にあるときの光学式センサ61の検出状態が不安定になるおそれがある。そのため、たとえば、近接センサ59のオンオフ状態と、光学式センサ61のオンオフ状態とを利用して、第3アーム6を原点位置へ復帰させると、第3アーム6を原点位置へ適切に復帰させることができない状況が生じ得る。本形態では、光学式センサ61のオンオフ状態にかかわらず、第3アーム6を原点位置に復帰させることができるため、近接センサ59のオンオフが切り替わる境界位置であって、かつ、光学式センサ61のオンオフが切り替わる境界位置が第3アーム6の原点位置であっても、第3アーム6を原点位置へ適切に復帰させることが可能になる。
【0076】
また、本形態では、第4回転ステップで、第3アーム6を原点位置へ復帰させる際の第3アーム6の回転速度を下げることで、第3アーム6を精度良く原点位置へ復帰させることが可能になる。
【0077】
また、本形態では、第3アーム6を原点位置へ復帰させるときに、まず、第1回転ステップで、光学式センサ61のオンオフが切り替わる位置まで第3アーム6を回転させているため、光学式センサ61のオンオフが切り替わる第3アーム6の回転範囲の1箇所を基準にして、一定の動作(すなわち、第2回転ステップから第4回転ステップまでの動作)を行えば、第3アーム6を原点位置へ確実に復帰させることができる。したがって、本形態では、第3アーム6を短時間で確実に原点位置へ復帰させることが可能になる。
【0078】
本形態では、第1磁気保持機構51の磁気吸引力によって、揺動部材45が第1規制位置45Aで保持され、第2磁気保持機構52の磁気吸引力によって、揺動部材45が第2規制位置45Bで保持されている。そのため、本形態では、揺動部材45のふらつきを防止して、第2検出機構33の検出精度を高めることが可能になる。また、磁気吸引力によって揺動部材45が保持されているため、揺動部材45がふらつかないように、第1規制位置45Aや第2規制位置45Bで揺動部材45が保持されていても、第1規制位置45Aや第2規制位置45Bで揺動部材45を保持するための部材を揺動部材45に接触させる必要がない。そのため、本形態では、第1規制位置45Aと第2規制位置45Bとの間で揺動する揺動部材45の揺動に伴う塵埃の発生や異音の発生を抑制することが可能になる。
【0079】
本形態では、係合ピン48は、ストッパ46に揺動部材45の一方の側面を押し付けるように、第1規制位置45Aにある揺動部材45の他方の側面に当接可能であるとともに、ストッパ47に揺動部材45の他方の側面を押し付けるように、第2規制位置45Bにある揺動部材45の一方の側面に当接可能であり、第2検出機構33は、第2アーム5に対する第3アーム6の回転範囲を規制する機能も果たしている。そのため、本形態では、第3アーム6の回転範囲を規制するための機構を別途、設ける必要がない。したがって、本形態では、ロボット1の構成を簡素化することが可能になる。
【0080】
(他の実施の形態)
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
【0081】
上述した形態では、近接センサ59のオンオフが切り替わる境界位置であって、かつ、光学式センサ61のオンオフが切り替わる境界位置が第3アーム6の原点位置となっている。この他にもたとえば、図9(A)に示すように、光学式センサ61がオンであるとともに、第1規制位置45Aにある揺動部材45の他方の側面に係合ピン48が到達していない位置であって、かつ、近接センサ59のオンオフが切り替わる境界位置が第3アーム6の原点位置であっても良い。この場合には、第3アーム6の回転角度と、光学式センサ61の検出範囲および近接センサ59の検出範囲との関係をまとめると図10のようになる。
【0082】
この場合、モータ制御部30が第3アーム6の回転位置を見失って、第3アーム6を原点位置へ復帰させるときには、上述の第1回転ステップから第4回転ステップまでを順次実行して、第3アーム6を原点位置へ復帰させれば良い。また、この場合には、第3アーム6を原点位置へ復帰させるときに、第1回転ステップを実行した後、近接センサ59で磁性部材60が検出されるまで第3アーム6を反時計方向に回転させて、第3アーム6を原点位置へ復帰させても良い。
【0083】
なお、図9(A)に示す原点位置へ第3アーム6を復帰させようとしたときの状態としては、図9(B)に示すように、光学式センサ61がオンであって、かつ、近接センサ59の時計方向側に磁性部材60が配置されている状態、および、図9(C)に示すように、光学式センサ61がオンであって、かつ、近接センサ59の反時計方向側に磁性部材60が配置されている状態が考えられる。
【0084】
ここで、まず、近接センサ59で磁性部材60が検出されるまで第3アーム6を回転させ、近接センサ59で磁性部材60が検出されたときの光学式センサ61のオンオフ状態を確認することで、図9(B)に示す状態から第3アーム6を原点位置へ復帰させる場合、第3アーム6を反時計方向へ回転させれば、短時間で第3アーム6を原点位置へ復帰させることが可能であるが、第3アーム6を時計方向へ回転させると、近接センサ59で磁性部材60が検出されたときの第3アーム6の状態は、図9(D)に示す状態となるため、再度、第3アーム6を反時計方向へ回転させないと、第3アーム6を原点位置へ復帰させることができない。
【0085】
また、この方法で、図9(C)に示す状態から第3アーム6を原点位置へ復帰させる場合、第3アーム6を時計方向へ回転させれば、短時間で第3アーム6を原点位置へ復帰させることが可能であるが、第3アーム6を反時計方向へ回転させると、図9(E)に示すように、第2規制位置45Bにある揺動部材45の側面に係合ピン48が当接するため、再度、第3アーム6を時計方向へ回転させないと、第3アーム6を原点位置へ復帰させることができない。
【0086】
また、図9(B)に示す状態、および、図9(C)に示す状態では、いずれも光学式センサ61がオンであるため、光学式センサ61のオンオフ状態を利用して、第3アーム6を原点位置へ復帰させるための回転方向を定めることができない。そのため、近接センサ59で磁性部材60が検出されるまで第3アーム6を回転させ、近接センサ59で磁性部材60が検出されたときの光学式センサ61のオンオフ状態を確認することで、第3アーム6を原点位置へ復帰させる場合には、第3アーム6の原点位置によっては、短時間で確実に第3アーム6を原点位置へ復帰させることができない。
【0087】
これに対して、第3アーム6を原点位置へ復帰させるときに、まず、光学式センサ61のオンオフが切り替わる位置まで第3アーム6を回転させる場合には、光学式センサ61のオンオフが切り替わる第3アーム6の回転範囲の1箇所を基準にして、一定の動作を行えば、第3アーム6を確実に原点位置へ復帰させることができる。すなわち、近接センサ59で磁性部材60が検出されるまで第3アーム6を回転させ、近接センサ59で磁性部材60が検出されたときの光学式センサ61のオンオフ状態を確認することで、第3アーム6を原点位置へ復帰させる場合と比較して、第3アーム6を原点位置へ復帰させるときに、まず、光学式センサ61のオンオフが切り替わる位置まで第3アーム6を回転させる場合には、第3アーム6の原点位置がどの位置に設定されても、第3アーム6を短時間で確実に原点位置へ復帰させることが可能になる。
【0088】
また、図9(D)に示すように、光学式センサ61がオフであるとともに、第2規制位置45Bにある揺動部材45の一方の側面に係合ピン48が到達していない位置であって、かつ、近接センサ59のオンオフが切り替わる境界位置が第3アーム6の原点位置であっても良い。この場合には、第3アーム6の回転角度と、光学式センサ61の検出範囲および近接センサ59の検出範囲との関係をまとめると図11のようになる。
【0089】
この場合、モータ制御部30が第3アーム6の回転位置を見失って、第3アーム6を原点位置へ復帰させるときには、まず、光学式センサ61の検出状態に基づいて、光学式センサ61のオンオフが切り替わる位置まで第3アーム6を回転させる(第1回転ステップ)。その後、時計方向へ第3アーム6を回転させるとともに、近接センサ59で磁性部材60が検出される範囲内へ第3アーム6を回転させる(第2回転ステップ)。すなわち、図11に示すように、第3アーム6のマイナスの回転角度の範囲内で近接センサ59がオンとなる「オン側」へ第3アーム6を回転させるとともに、近接センサ59がオンしている範囲内へ第3アーム6を回転させる。その後、近接センサ59で磁性部材60が検出されなくなるまで所定角度、反時計方向へ第3アーム6を回転させる(第3回転ステップ)。すなわち、図11に示すように、「オン側」の反対側となる「オフ側」へ第3アーム6を回転させるとともに、少なくとも、近接センサ59がオンからオフへ切り替わるまで、所定角度、第3アーム6を回転させる。その後、近接センサ59で磁性部材60が検出されるまで第3アーム6を反時計方向に回転させる(第4回転ステップ)と、第3アーム6は、原点位置へ復帰する。また、この場合には、第3アーム6を原点位置へ復帰させるときに、上記の第1回転ステップを実行した後、近接センサ59で磁性部材60が検出されるまで第3アーム6を時計方向に回転させて、第3アーム6を原点位置へ復帰させても良い。
【0090】
また、図12に示すように、光学式センサ61がオンであるとともに、第1規制位置45Aにある揺動部材45の他方の側面に係合ピン48が当接している位置であって、かつ、近接センサ59のオンオフが切り替わる境界位置が第3アーム6の原点位置であっても良い。なお、この場合には、光学式センサ61のオンオフ状態を利用して、第3アーム6を原点位置へ復帰させるための回転方向を定めることができるため、近接センサ59で磁性部材60が検出されるまで第3アーム6を回転させ、近接センサ59で磁性部材60が検出されたときの光学式センサ61のオンオフ状態を確認することで、第3アーム6を原点位置へ復帰させる場合であっても、短時間で確実に第3アーム6を原点位置へ復帰させることが可能になる。
【0091】
上述した形態では、第3アーム6の回転範囲の2箇所で、近接センサ59によって磁性部材60が検出されるように、近接センサ59および磁性部材60が配置されている。この他にもたとえば、第3アーム6の回転範囲の1箇所で、近接センサ59によって磁性部材60が検出されるように、近接センサ59および磁性部材60が配置されても良い。
【0092】
上述した形態では、第2回転ステップで、反時計方向へ第3アーム6を回転させるとともに、近接センサ59で磁性部材60が検出される範囲内へ第3アーム6を回転させている。この他にもたとえば、第2回転ステップで、反時計方向へ第3アーム6を回転させるとともに、近接センサ59で磁性部材60が検出されなくなるまで所定角度、第3アーム6を回転させても良い。この場合には、第3回転ステップで、時計方向へ第3アーム6を回転させるとともに、近接センサ59で磁性部材60が検出された後、再び、近接センサ59で磁性部材60が検出されなくなるまで所定角度、第3アーム6を回転させれば良い。
【0093】
上述した形態では、近接センサ59が第2アーム5に固定され、磁性部材60が第3アーム6に固定されているが、近接センサ59が第3アーム6に固定され、磁性部材60が、第2アーム5に固定されても良い。また、上述した形態では、光学式センサ61が第2アーム5に固定され、遮光部材62が揺動部材45に固定されているが、光学式センサ61が揺動部材45に固定され、遮光部材62が第2アーム5に固定されても良い。また、上述した形態では、第1検出機構32は、近接センサ59を備えているが、第1検出機構32は、近接センサ59に代えて、光学式センサ等の他のセンサを備えていても良い。同様に、第2検出機構33は、光学式センサ61に代えて、近接センサ等の他のセンサを備えていても良い。
【0094】
上述した形態では、磁性部材55が揺動部材45に固定され、永久磁石56が第2アーム5に固定されているが、磁性部材55が第2アーム5に固定され、永久磁石56が揺動部材45に固定されても良い。同様に、上述した形態では、磁性部材57が揺動部材45に固定され、永久磁石58が第2アーム5に固定されているが、磁性部材57が第2アーム5に固定され、永久磁石58が揺動部材45に固定されても良い。また、揺動部材45が磁性材料で形成されているのであれば、揺動部材45に磁性部材55、57が固定されていなくても良い。
【0095】
また、第1磁気保持機構51および第2磁気保持機構52は、磁性部材55、57に代えて、揺動部材45に固定される永久磁石を備えていても良い。この場合には、たとえば、揺動部材45に固定される永久磁石と、永久磁石56、58との間に生じる磁気吸引力によって、第1規制位置45Aや第2規制位置45Bで揺動部材45が保持されるように、揺動部材45に固定される永久磁石が着磁され、配置される。あるいは、揺動部材45に固定される永久磁石と、永久磁石56、58との間に生じる磁気反発力によって、第1規制位置45Aや第2規制位置45Bで揺動部材45が保持されるように、揺動部材45に固定される永久磁石が着磁され、配置される。
【0096】
上述した形態では、第2検出機構33は、第2アーム5に対する第3アーム6の回転範囲を規制する機能も果たしている。この他にもたとえば、第2アーム5に対する第3アーム6の回転範囲を規制する機構が別途、設けられても良い。
【0097】
上述した形態では、第1検出機構32および第2検出機構33は、第3アーム6の原点位置を検出するために設けられている。この他にもたとえば、本体部3に対して第1アーム4が360°以上かつ720°未満回転する場合には、第1検出機構32および第2検出機構33を用いて、第1アーム4の原点位置を検出しても良い。また、第1アーム4に対して第2アーム5が360°以上かつ720°未満回転する場合には、第1検出機構32および第2検出機構33を用いて、第2アーム5の原点位置を検出しても良い。さらに、第3アーム6に対してハンド7、8が360°以上かつ720°未満回転する場合には、第1検出機構32および第2検出機構33を用いて、ハンド7、8の原点位置を検出しても良い。
【0098】
上述した形態では、ロボット1は、半導体ウエハ2を搬送するためのロボットであるが、ロボット1は、液晶用のガラス基板等の他の搬送対象物を搬送する搬送用ロボットであっても良いし、組立用ロボット等の搬送用ロボット以外の産業用ロボットであっても良い。すなわち、第1検出機構32および第2検出機構33は、ロボット1以外のロボットに使用されても良い。また、第1検出機構32および第2検出機構33は、支持体に対して360°以上かつ720以上回転可能な回転体を有するロボット以外の各種の装置に使用されても良い。
【符号の説明】
【0099】
1 ロボット(産業用ロボット)
3 本体部
4 第1アーム
5 第2アーム(支持体、回転機構の一部)
6 第3アーム(回転体、回転機構の一部)
7、8 ハンド
24 モータ(第2駆動用モータ、回転機構の一部)
30 モータ制御部(モータ制御手段、回転機構の一部)
32 第1検出機構(回転機構の一部)
33 第2検出機構(回転機構の一部)
45 揺動部材
45A 第1規制位置
45B 第2規制位置
46 ストッパ(第1規制部材)
47 ストッパ(第2規制部材)
48 係合ピン(係合部材)
51 第1磁気保持機構
52 第2磁気保持機構
59 近接センサ(第1検出部)
60 磁性部材(第1被検出部)
61 光学式センサ(第2検出部)
62 遮光部材(第2被検出部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体と、前記支持体に対して360°以上かつ720°未満回転可能な回転体と、前記回転体を回転させるモータと、前記回転体の原点位置を検出するための第1検出機構および第2検出機構と、前記モータを制御するモータ制御手段とを備え、
前記第1検出機構は、前記支持体または前記回転体のいずれか一方に固定または形成される第1被検出部と、前記支持体または前記回転体のいずれか他方に固定され前記第1被検出部を検出する第1検出部とを備え、
前記第2検出機構は、前記支持体に揺動可能に取り付けられる揺動部材と、前記回転体に固定または形成されるとともに、前記揺動部材に係合して前記揺動部材を揺動させる係合部材と、前記揺動部材または前記支持体のいずれか一方に固定または形成される第2被検出部と、前記揺動部材または前記支持体のいずれか他方に固定され前記第2被検出部を検出する第2検出部とを備え、
前記回転体の回転範囲の1箇所または2箇所で、前記第1検出部によって前記第1被検出部が検出されるように、前記第1被検出部および前記第1検出部が配置され、
前記回転体の回転範囲の1箇所で、前記第2検出部のオンオフが切り替わるように、前記揺動部材が前記支持体に取り付けられ、
前記モータ制御手段は、前記回転体を原点位置へ復帰させるときに、まず、前記第2検出部のオンオフが切り替わる位置まで前記回転体が回転するように前記モータを制御することを特徴とする回転機構。
【請求項2】
前記モータ制御手段は、前記第2検出部のオンオフが切り替わる位置まで前記回転体が回転した後に、所定の第1回転方向へかつ前記第1検出部で前記第1被検出部が検出される範囲内へ前記回転体が回転し、その後、前記第1検出部で前記第1被検出部が検出されなくなるまで前記第1回転方向の逆方向となる第2回転方向へ前記回転体が回転し、かつ、その後、前記第1検出部で前記第1被検出部が検出されるまで前記第1回転方向へ前記回転体が回転するように、前記モータを制御して、前記回転体を原点位置へ復帰させることを特徴とする請求項1記載の回転機構。
【請求項3】
前記第2検出機構は、前記支持体に固定または形成されるとともに前記揺動部材に当接して前記揺動部材の一方側の揺動範囲を規制する第1規制部材と、前記支持体に固定または形成されるとともに前記揺動部材に当接して前記揺動部材の他方側の揺動範囲を規制する第2規制部材とを備え、
前記係合部材は、前記揺動部材が前記第1規制部材に当接する第1規制位置と前記揺動部材が前記第2規制部材に当接する第2規制位置との間で前記揺動部材を揺動させ、
前記第2検出機構は、前記第2被検出部と前記第2検出部とによって、前記揺動部材が前記第1規制位置または前記第2規制位置のいずれにあるのかを検出することを特徴とする請求項1または2記載の回転機構。
【請求項4】
前記第2検出機構は、磁気吸引力または磁気反発力によって前記第1規制位置で前記揺動部材を保持する第1磁気保持機構と、磁気吸引力または磁気反発力によって前記第2規制位置で前記揺動部材を保持する第2磁気保持機構とを備えることを特徴とする請求項3記載の回転機構。
【請求項5】
前記係合部材は、前記第1規制位置にある前記揺動部材を前記第1規制部材に押し付けるように前記揺動部材に当接可能であるとともに、前記第2規制位置にある前記揺動部材を前記第2規制部材に押し付けるように前記揺動部材に当接可能であることを特徴とする請求項3または4記載の回転機構。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載の回転機構を備える産業用ロボットであって、
本体部と、その基端側が前記本体部に回動可能に取り付けられる第1アームと、その基端側が前記第1アームの先端側に回動可能に取り付けられる前記支持体としての第2アームと、その基端側が前記第2アームの先端側に回転可能に取り付けられる前記回転体としての第3アームと、その基端側が前記第3アームの先端側に回転可能に取り付けられるハンドとを備えることを特徴とする産業用ロボット。
【請求項7】
支持体と、前記支持体に対して360°以上かつ720°未満回転可能な回転体と、前記回転体の原点位置を検出するための第1検出機構および第2検出機構とを備え、
前記第1検出機構は、前記支持体または前記回転体のいずれか一方に固定または形成される第1被検出部と、前記支持体または前記回転体のいずれか他方に固定され前記第1被検出部を検出する第1検出部とを備え、
前記第2検出機構は、前記支持体に揺動可能に取り付けられる揺動部材と、前記回転体に固定または形成されるとともに、前記揺動部材に係合して前記揺動部材を揺動させる係合部材と、前記揺動部材または前記支持体のいずれか一方に固定または形成される第2被検出部と、前記揺動部材または前記支持体のいずれか他方に固定され前記第2被検出部を検出する第2検出部とを備え、
前記回転体の回転範囲の1箇所または2箇所で、前記第1検出部によって前記第1被検出部が検出されるように、前記第1被検出部および前記第1検出部が配置され、
前記回転体の回転範囲の1箇所で、前記第2検出部のオンオフが切り替わるように、前記揺動部材が前記支持体に取り付けられる回転機構における回転体の原点位置復帰方法であって、
前記回転体を原点位置へ復帰させるときに、まず、前記第2検出部のオンオフが切り替わる位置まで前記回転体を回転させる第1回転ステップを実行することを特徴とする回転体の原点位置復帰方法。
【請求項8】
前記第1回転ステップ後に、所定の第1回転方向へかつ前記第1検出部で前記第1被検出部が検出される範囲内へ前記回転体を回転させる第2回転ステップと、前記第2回転ステップ後に、前記第1検出部で前記第1被検出部が検出されなくなるまで前記第1回転方向の逆方向となる第2回転方向へ前記回転体を回転させる第3回転ステップと、前記第3回転ステップ後に、前記第1検出部で前記第1被検出部が検出されるまで前記回転体を前記第1回転方向へ回転させる第4回転ステップとを備えることを特徴とする請求項7記載の回転体の原点位置復帰方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−228753(P2012−228753A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−98936(P2011−98936)
【出願日】平成23年4月27日(2011.4.27)
【出願人】(000002233)日本電産サンキョー株式会社 (1,337)
【Fターム(参考)】