説明

回転照射型粒子線医療装置

【課題】回転ガントリのフレームと軸受リングとをボルト締めにより固定した場合に、固定部で発生するきしみ音を抑制する。
【解決手段】粒子線を照射する照射装置が搭載されて治療台の周りに回転する円筒状のフレーム1と、フレーム1の両端部に固定された軸受リング4,5と、軸受リング4,5を支持して回転駆動させる駆動装置7,8とを有する回転照射型粒子線医療装置において、フレーム1の照射側端部にはフランジ3が固着され、軸受リング5には、フランジ3との当接面側に段差部5aが形成されており、段差部5aにフランジ3を嵌め込み、ボルト・ナット21で締め付けて固定すると共に、フランジ3の外周面と段差部5aの内周面とで形成される隙間の全周に亘り複数個のスペーサ22を挿入して、フランジ3と軸受リング5とを固着した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、がん治療等で使用される粒子線医療装置、特に、患者周りに回転自在に照射可能な回転照射型粒子線医療装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、がん治療を目的とした放射線医療装置では陽子や重イオンを用いたがん治療装置の開発や建設が進められている。周知のとおり、陽子や重イオン等を用いた粒子線治療はX線、ガンマ線等の従来の放射線治療に比べて、がん患部に集中的に照射することができ、正常細胞に影響を与えずに治療することが可能である。
粒子線医療装置には、患者に対して任意の方向から照射するために回転照射装置(回転ガントリ)が設けられる場合が多い。回転ガントリは粒子線照射部を360度回転させ、患者に対して任意の回転角度から荷電粒子ビームを照射できるように構成されている。
【0003】
例えば、図4は特許文献1に示された従来の回転照射装置を示す構成図である。(a)は主要部の側面断面図であり、(b)は(a)の移動床部分の正面断面図である。回転照射装置は、一端側が建屋の壁30に支持され、内部に治療用ベッド31を備えた固定胴32と、粒子線照射部33を支持する回転胴34と、この回転胴34の内側にあって、回転胴34の回転にかかわらず固定胴32から見て静止状態を保つガイドレール支持胴35と、固定胴32とガイドレール支持胴35との間に配設され、その上部を貫通する粒子線照射部33と共に円周方向に移動する屈曲自在な無端状の移動床36とで構成されている。
【0004】
移動床36は、固定胴32とガイドレール支持胴35の各対向面に設けられたガイドレール32a,35aに沿って粒子線照射部33の回転と同期して移動するが、下側は常に水平なアクセスフロアが形成されるようになっている。
回転胴34の回転に係わらず、固定胴32側から見てガイドレール支持胴35を静止状態に保つように、電動シリンダ37を固定胴32の上部に配設し、係止ロッド37aを作
動させ、ガイドレール支持胴35側に設けた係合穴35cに挿入して係止するロック機構を備えている。
【0005】
図4(b)に示すように、回転胴34の端部には、回転胴支持リング34aが設けられており、この回転胴支持リング34aの外周面が架台の上に設けられた2個のサポートローラ38によって支えられ、このサポートローラ38を駆動装置(図示せず)により駆動させることで回転胴34を自在に回転させるようになっている。なお、回転胴34の他端側もほぼ同様に構成されている。
【0006】
【特許文献1】特開2001−129103号公報(第3頁、図1,図4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に示すように、回転ガントリは、粒子線照射部33の他に、回転ガントリに導入された荷電粒子ビームを輸送するビーム輸送機器(図示せず)等が搭載され、その内部にはガイドレール支持胴35や、治療台を収容する固定胴が配置されるので、全体として相当な大きさと重量(例えば、回転胴部直径5m、重量150トン以上)を有している。回転ガントリの全荷重を、回転胴支持リング34aのサポートローラ38部で支持しているので、回転胴支持リング34a及びサポートローラ38は、この荷重を支えて支障なく回転駆動できるような構造と強度を備えている必要がある。特に、回転胴支持リング34aは他の部分より強度を要するので、回転胴34とは別部材とし、両者をボルト締めによって固定するのが、製造上やコスト上から一般的である。
ところが、ボルト締め構造とした場合、上記のように巨大な大きさと重量のため、回転ガントリを回転させたとき、ボルト締めによる接合部に僅かな緩みが生じても、きしみ音が発生する場合があり、きしみ音によって患者及び操作者に不安感を与えるという問題点があった。
【0008】
この発明は、上記のような問題点を解消するためになされたもので、回転ガントリの回転胴(本願のフレーム)側と回転胴支持リング(本願の軸受リング)とをボルトにより締結した場合でも、きしみ音の発生を抑制した回転照射型粒子線医療装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明に係わる回転照射型粒子線医療装置は、粒子線を照射する照射装置が搭載され、治療台上の患者に対して粒子線を照射するように、照射装置と共に治療台の周りに回転する円筒状のフレームと、フレームの両端部に設けられた軸受リングと、軸受リングを支持して回転駆動させる駆動装置とを有する回転照射型粒子線医療装置において、フレームの両端部に軸受リングを取り付けるためのフランジが固着され、軸受リングは、フランジの外径よりも大きい外径を有し、フランジとの当接面側にフランジが嵌合可能な段差部が形成されており、段差部にフランジが嵌め込まれ、ボルト締めにより軸受リングとフランジとが固定されていると共に、フランジの外周面と段差部の内周面とで形成される隙間の全周に亘り複数個のスペーサが挿入されているものである。
【発明の効果】
【0010】
この発明の回転照射型粒子線医療装置によれば、フレームの両端部に固着したフランジを軸受リングの段差部に嵌め込み、ボルト締めにより軸受リングとフランジとを固定すると共に、フランジの外周面と段差部の内周面とで形成される隙間の全周に亘り複数個のスペーサを挿入したので、スペーサによって隙間が埋められて、軸受リングとフランジとが径方向にずれるのを防止することができるため、ずれによって接合面が摩擦して発生するきしみ音を抑制することができる。このため、治療中の患者や操作者に不安感を与えるのを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
実施の形態1.
以下、この発明の実施の形態1の回転照射型粒子線医療装置を図に基づいて説明する。図1(a)は回転照射型粒子線医療装置の回転ガントリ全体を、回転ガントリの回転軸に沿う方向に見た側面断面図、図1(b)は回転軸に垂直な方向から回転ガントリを観察した正面図である。また、図2は図1のA部の詳細断面図、図3(a)は図2のa部詳細断面図、図3(b)は図2のb部の詳細断面図である。
【0012】
先ず、図1によって全体の構成を説明する。回転ガントリは、円筒状のフレーム1と、その両端部に固着したフランジ2,3に取り付けられた、入射側の軸受リング4及び照射側の軸受リング5と、照射側の軸受リング5の内径側に設けられた補強リング6と、入射側の軸受リング4を支持するローラ7a及び駆動モータ7bを有する入射側の駆動装置7と、照射側の軸受リング5を支持するローラ8a及びブレーキ8b等を有する照射側の駆動装置8と、360度回転する回転ガントリ内へ配線及び配管を供給するケーブルスプール9と、回転ガントリに導入された荷電粒子ビームを輸送するビーム輸送機器10と、輸送された荷電粒子ビームを患者の照射患部にあわせて整形して照射する照射装置11と、を備えている。
【0013】
一方、回転ガントリに対して、建屋12側には、固定床13が建屋12に支持固定され
ており、その上には患者を乗せる治療台14がフレーム1内へ出し入れ可能に設置されている。固定床13、治療台14、及びそれらを覆うように設けられた固定胴(図示せず)等で固定部15を構成している。
【0014】
フレーム1内には、フレーム1の内面に固着されたガイドリング16に転動ローラ17を介して回転自在に支持され、フレーム1の回転に同期して同じ角度だけ逆回転する静止リング18が設けられている。その駆動は、静止リング18に設けられた駆動モータ19により行われる。静止リング18はフレーム1に対して相対的に回転するが、固定部15から見るとフレーム1が回転しても常に静止しているように見える。
静止リング18には、固定床13とほぼ同じ高さで、照射装置11の回転を妨げないように、照射装置11が通過するときに開閉する開閉式の移動床20が設けられている。
【0015】
次に、本発明の特徴部であるフレーム1と軸受リング4,5の接合部の詳細について、図2及び図3を参照しながら説明する。なお、図2は照射側の軸受リング5の近傍であるが、入射側もほぼ同じである。照射側を代表して説明するが、相違点があるときは随時説明を加える。
フレーム1の照射側端部には、軸受リング5を取り付けるためのフランジ3が溶接等で一体に固着されている。フレーム1とフランジ3の材料は、通常の炭素鋼板である。軸受リング5は、例えば、鍛造により製造される硬度の高い鍛鋼品を使用し、更に、焼き入れ処理等により表面を硬化している。外径はフランジ3の外径よりも大きな外径を有しており、フランジ3との当接面側には、フランジ3が嵌合可能な段差部5aが形成されている。すなわち、段差部5aは、内径がフランジ3の外径より若干大きく、深さがフランジ3の厚さとほぼ同程度の凹部である。軸受リング5の外周面が、駆動装置8のローラ8aとの接触面となる。
【0016】
段差部5aにフランジ3が嵌め込まれ、軸受リング5とフランジ3とがボルト・ナット21によりボルト締めされて固定されている。更に、フランジ3の外周面3aと段差部5aの内周面5bとの間に形成される隙間(図3(a)参照)の全周に亘り、複数個のスペーサ22がほぼ均等間隔で挿入されて、フランジ3に軸受リング5が強固に固着されている。
スペーサとしては、例えば、図2,3に示すように、2個の楔22a,22bを逆向きにして傾斜面どうしを重ね合わせ、傾斜方向へスライドさせて重ね代を変えることで重ねた厚さが調整可能な、一対の楔からなる楔対偶22としている。材料は鋼材とするのがよい。
【0017】
実際の組立においては、楔対偶22を隙間に挿入し、外側から一方の楔22aを打ち込んでスライドさせることで,重ねた厚さが厚くなり、隙間が埋められて強固に固定される。更に、緩み止めのために、楔22aとフランジ3とを溶接部23で溶接して固着させている。楔対偶22のどちらの楔を溶接しても良いが、先に説明したように、軸受リング5は硬質で溶接に不向きな材料が使用されているので、図3(a)に示すように組み合わせて、楔22aをフランジ3側に溶接するのがよい。
なお、楔対偶22は、隙間の周方向の全周に亘って、ボルト部を避けてボルト間にほぼ均等間隔で挿入されている。
【0018】
入射側の軸受リング4と照射側の軸受リング5とを比較した場合、回転ガントリの重心は中心より照射側にあるので、荷重は、照射側の軸受リング5の方に大きく掛かる。そこで、軸受リング5側には、更に、軸受リング5の内径側に、強度を補強するための補強リング6が設け設けられている。補強リング6の材料は一般の炭素鋼でよい。
補強リング6は、フランジ3にボルト・ナット24によりボルト締めされて固定されると共に、軸受リング5と同様に、補強リング6の外周面6aと軸受リング5の内周面5c
との間に形成される隙間に複数個のスペーサ22が挿入されている(図3(b)参照)。スペーサ22は、フランジ3と軸受リング5との隙間に挿入したものと同様に、2個の楔22a,22bを組み合わせた楔対偶22である。また、緩み止めのために、楔22aと補強リング6とを溶接部23で溶接して固着している。
【0019】
なお、図2,図3では、スペーサとして、鋼板の一面側に傾斜面を有する片傾斜の楔を2個重ねて楔対偶22としたが、両面に傾斜面を有する楔を重ねて構成しても良い。また、楔対偶とせずに、単体の楔を用いて、隙間の全周に亘り、複数箇所に打ち込んで挿入しても良い。但し、その場合は楔と打ち込まれる相手側との接触面が線接触に近くなるので、楔対偶と比較すれば、隙間を埋める効果はやや弱くなる。
また、楔を溶接によって固定したが、必ずしも溶接は必要ではなく、強固に打ち込んで固定するだけでも良い。
また、補強リング6は、回転ガントリの大きさや構造によっては、設けない場合もあり、逆に、必要に応じて入射側の軸受リング4の内径側に設けてもよい。
【0020】
上記のように構成した回転照射型粒子線医療装置の動作と、軸受リング部の作用について説明する。
先ず、全体の動作の概要から説明する。回転ガントリに導入された荷電粒子ビームは、偏向電磁石や四極電磁石などよりなるビーム輸送機器10によって照射装置11まで輸送され、照射装置11で患者の照射患部の形状にあわせて整形された後に照射される。
患者は治療台14の上に固定されて位置決めが行われており、所定の照射患部に荷電粒子ビームが照射される。治療台14は、患者の照射患部が照射位置であるアイソセンタに一致するように動作させる必要があるため、通常は上下左右、前後、回転など多軸の位置決め動作が可能となっている。
【0021】
回転ガントリは、駆動装置7,8により、ローラ7a,8aを介して軸受リング4,5を回転させることで、フレーム1と共にビーム輸送機器10及び照射装置11が回転し、患者に対して360度自在な方向からビームを照射することを可能とするもので、患者が仰向けの状態のまま様々な方向からビームを照射することができる。
このとき、治療を行う医者もしくは放射線技師などが、常に患者に近づいて作業ができるように、回転ガントリの回転角度に係わらず、常に水平を保ったアクセスフロアが必要となる。そこで、フレーム1内に配置した静止リング18の下部側に開閉可能に設けられた移動床20を、先に説明したように固定床13側に向けてスライドさせ、固定床13とほぼ同じ高さのアクセスフロアを形成する。
【0022】
次に、軸受リングの取付部の作用について説明する。
回転ガントリの全荷重は、フレーム1両端部の軸受リング4,5によって、駆動装置7,8のローラ7a,8a部で支持されて、回転軸を中心に回転する。回転ガントリの大きさは、例えば、軸受リングの直径が5m、重量が150トンを越えるものがあり、このため、製作上や現地への輸送制限などの色々な制約から、フレームと軸受リングとは一体で製作するのは困難なため、上述のように別体で製作した後に組み合わせて使用される。
また、軸受リングは、ローラとの間で接触しながら常に全荷重を支えているので、その荷重に耐えられるだけの強度を必要とするため、鍛鋼品のような高硬度の材料を使用し,且つ熱処理等を施している。従って、溶接には不向きであるため、フレームとはフランジを介してボルト締めにより固定する構成を採用している。
【0023】
軸受リング4,5の外周面は、ローラ7a,8aとの接触面となっているので、その面はボルト面としては使えないため、ボルト締めとする場合、ボルトの挿入方向は回転軸の軸方向と平行になる。ボルトは、例えば、上記のような直径の静止リングであれば、1面につきM36のボルトを100本程度使用して締め付けている。このように多数の大きな
ボルトで強固に固定していても、回転稼働中に締め付けの僅かな緩みが生じてくると、フレーム1のフランジ2,3と軸受リング4,5とが径方向にずれて摩擦が起こり接触面できしみ音が発生する場合がある。回転ガントリは共鳴し易い構造となっているので、僅かなきしみ音でも内部に共鳴して大きな不快音となって、治療中の患者や医者及び操作者に不快感を与えることになる。
【0024】
そこで、本実施の形態のように、フランジと軸受リング部の隙間にスペーサとして楔対偶22を打ち込んで挿入することで、隙間を埋めて径方向のずれを防止することができ、きしみ音の発生を抑制できる。
更に、軸受リング5の内周側に補強リング6を設ける場合は、上記と同様に、楔対偶22の挿入によって、フランジ3と補強リング6との接触面が径方向にずれるのを防止でき、この部分でのきしみ音の発生を抑制できる。
【0025】
なお、フランジと軸受リング又は補強リングの固定部分以外の構成に関しては、図1の構成に限定するものではない。例えば、フレーム内に配設した静止リングは、従来技術の項で説明した図4のように、固定胴側からロッドを突出して係止する構成でも良い。また、移動床も、図4のように照射装置と共に回転して移動するものでも良い。
【0026】
以上のように、実施の形態1の回転照射型粒子線医療装置によれば、フレームの両端部に固着したフランジを軸受リングの段差部に嵌め込み、ボルト締めにより軸受リングとフランジとを固定すると共に、フランジの外周面と段差部の内周面とで形成される隙間の全周に亘り複数個のスペーサを挿入したので、スペーサによって隙間が埋められて、軸受リングとフランジとが径方向にずれるのを防止することができるため、ずれによって接合面が摩擦して発生するきしみ音を抑制することができる。このため、治療中の患者や操作者に不安感を与えるのを防止できる。
【0027】
また、軸受リングの内径側に補強リングを設け、ボルト締めにより補強リングとフランジとを固定すると共に、補強リングの外周面と軸受リングの内周面とで形成される隙間の全周に亘り複数個のスペーサを挿入したので、回転リングの強度を上げるために補強リングを設けた場合でも、補強リングとフランジとが径方向にずれるのを防止することができるため、上記の効果に加えて、補強リング部で、ずれによって発生するきしみ音も抑制することができる。
【0028】
また、スペーサは、2個の楔を逆向きにして傾斜面どうしを重ね合わせ、傾斜方向へスライドさせて重ね代を変えることで重ねた厚さが調整可能な楔対偶としたので、隙間に挿入される楔対偶は面接触で強固に固定されるため、大きな径方向の荷重に耐えることが可能となり、軸受リングとフランジ、又は補強リングとフランジが径方向にずれるのを効果的に防止することができる。
【0029】
更にまた、楔対偶のうちの一方の楔は、フランジ又は補強リングに溶接により固着したので、長期間の使用でもスペーサ部が緩むことが無い。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】この発明の実施の形態1による回転照射型粒子線医療装置の回転ガントリ部を示す図で、(a)は回転軸に沿う方向に見た側面断面図、(b)は回転軸に垂直な方向から回転ガントリを観察した正面図である。
【図2】図1のA部の詳細断面図である。
【図3】図2の部分詳細図で、(a)は図2のa部詳細断面図、(b)は図2のb部の詳細断面図である。
【図4】従来の粒子線治療用回転照射室を示す図で、(a)は主要部の側面断面図、(b)は(a)の移動床部の正面断面図である。
【符号の説明】
【0031】
1 フレーム 2,3 フランジ
3a フランジ3の外周面 4,5 軸受リング
5a 段差部 5b 段差部5aの内周面
5c 軸受リング5の内周面 6 補強リング
6a 補強リング6の外周面 7,8 駆動装置
7a,8a ローラ 7b 駆動モータ
8b ブレーキ 9 ケーブルスプール
10 ビーム輸送機器 11 照射装置
12 建屋 13 固定床
14 治療台 15 固定部
16 ガイドリング 17 転動ローラ
18 静止リング 19 駆動モータ
20 移動床 21,24 ボルト・ナット
22 楔対偶(スペーサ) 22a,22b 楔
23 溶接部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒子線を照射する照射装置が搭載され、治療台上の患者に対して前記粒子線を照射するように、前記照射装置と共に前記治療台の周りに回転する円筒状のフレームと、
前記フレームの両端部に設けられた軸受リングと、
前記軸受リングを支持して回転駆動させる駆動装置とを有する回転照射型粒子線医療装置において、
前記フレームの両端部に前記軸受リングを取り付けるためのフランジが固着され、
前記軸受リングは、前記フランジの外径よりも大きい外径を有し、前記フランジとの当接面側に前記フランジが嵌合可能な段差部が形成されており、
前記段差部に前記フランジが嵌め込まれ、ボルト締めにより前記軸受リングと前記フランジとが固定されていると共に、前記フランジの外周面と前記段差部の内周面とで形成される隙間の全周に亘り複数個のスペーサが挿入されていることを特徴とする回転照射型粒子線医療装置。
【請求項2】
請求項1記載の回転照射型粒子線医療装置において、前記軸受リングの内径側に補強リングが設けられ、ボルト締めにより前記補強リングと前記フランジとが固定されていると共に、前記補強リングの外周面と前記軸受リングの内周面とで形成される隙間の全周に亘り複数個のスペーサが挿入されていることを特徴とする回転照射型粒子線医療装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の回転照射型粒子線医療装置において、前記スペーサは、2個の楔を逆向きにして傾斜面どうしを重ね合わせ、傾斜方向へスライドさせて重ね代を変えることで重ねた厚さが調整可能な楔対偶であることを特徴とする回転照射型粒子線医療装置。
【請求項4】
請求項3に記載の回転照射型粒子線医療装置において、前記楔対偶のうちの一方の楔は、前記フランジ又は前記補強リングに溶接により固着されていることを特徴とする回転照射型粒子線医療装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−88620(P2010−88620A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−260782(P2008−260782)
【出願日】平成20年10月7日(2008.10.7)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】