回転血栓摘出ワイヤ
【課題】血管血栓又は他の閉塞体を破壊するための回転血栓摘出ワイヤを提供する。
【解決手段】回転血栓摘出ワイヤは、近位領域及び遠位領域を持ち、モータによって回転できるコアを有する。遠位領域は近位領域よりも小径である。ケーブルがコアの遠位領域に連結され、そこから遠位方向に延びている。ケーブルにトルクチューブが被せて位置決めされており、コイルがケーブルの遠位部分に被せて位置決めされている。ケーブルの遠位部分は非線型形状を有する。第1カバー材料がコイルに被せて位置決めされている。
【解決手段】回転血栓摘出ワイヤは、近位領域及び遠位領域を持ち、モータによって回転できるコアを有する。遠位領域は近位領域よりも小径である。ケーブルがコアの遠位領域に連結され、そこから遠位方向に延びている。ケーブルにトルクチューブが被せて位置決めされており、コイルがケーブルの遠位部分に被せて位置決めされている。ケーブルの遠位部分は非線型形状を有する。第1カバー材料がコイルに被せて位置決めされている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2011年1月10日に出願された米国仮特許出願第61/431,169号の優先権を主張するものであり、2010年5月13日に出願された米国仮特許出願第61/334,412号の優先権を主張する、2011年4月27日に出願された米国特許出願第13/095,329号の一部継続出願である。出典を明示することにより、これらの出願に開示された全ての内容は本明細書の開示の一部とされる。
本願は、ネイティブ血管(native vessels)から血栓を除去するための回転血栓摘出ワイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
グラフト内又はネイティブ血管内の凝血塊及び他の塞栓物質を破壊するための様々な試みがなされてきた。一つの方法は、ウロキナーゼやストレプトキナーゼ等の血栓溶解剤を注射することである。しかしながら、これらの薬剤は高価であり、長期入院を必要とし、薬物毒性の危険及び凝血塊の破壊時に合併症の出血が生じる危険がある。
【0003】
凝血塊を破壊するためのその他の方法には、機械式血栓摘出デバイスが含まれる。例えば、米国特許第5,766,191号には、拡張して内腔に押し付けられ、内腔の大きさ及び形状と同じ大きさ及び形状になる、6本の形状記憶ワイヤで形成されたケージ又はバスケットが開示されている。この多ワイヤデバイスは高価であり、グラフトを傷害したりグラフトを破壊してしまう場合がある。これは、バスケットの回転時にグラフトが回転するワイヤと何回も接触するためである。バスケットと関連したその他の危険は、グラフトに引っ掛かってグラフトを破ってしまったり、吻合部の縫合糸を切ってしまったりすることである。更に、バスケットは凝血塊で一杯になると、時間を掛けてバスケットを引き出し、バスケットを洗浄し、これを再び内腔に挿入する必要がある。このデバイスは、血管で使用した場合、傷害を引き起こす場合があり、内皮を露出し、血管の痙攣を生じ、更にバスケット及び駆動シャフトが破損する可能性がある。
【0004】
米国特許第6,090,118号には、一本のワイヤを回転して定常波を発生し、血栓を破壊し浸軟することが開示されている。出典を明示することにより、この特許に開示された全ての内容は本明細書の開示の一部とされる。一本のワイヤは、グラフト壁との接触が最少であるため、上述のバスケットデバイスよりも傷害が生じ難く、それでも、血栓物質を効果的に機械的に除去する。
【0005】
米国特許第7,037,316号には、グラフト内の凝血塊を破壊するための回転血栓摘出ワイヤの別の例が開示されている。血栓摘出ワイヤは、その遠位端に曲がりくねった形状を有し、実質的に直線状の非展開位置でシース内に収容されている。シースを引っ込めるとワイヤの遠位部分が露出され、ワイヤはその非線型の曲がりくねった形状に戻ることができる。ワイヤは側部と側部とを向き合わせて縒り合わせた二本のステンレスワイヤで形成されており、エラストマー製のチップが最遠位端に設けられている。モータを作動することによりワイヤを回転移動し、波形パターンを発生し、血栓を浸軟する。かくして、米国特許第6,090,118号の定常波が発生する波形パターンが、回転速度及びワイヤの剛性でほとんど決まるため、所定の波形パターンを発生する上での信頼性及び一貫性が向上するという追加の利点が得られる。更に、曲がりくねった形状により、比較的低い回転速度で所定の波形パターンを発生できる。
【0006】
米国特許第7,037,316号の曲がりくねったワイヤは、透析グラフト内の血栓を浸軟する適正な医療的使用において効果的であるが、ネイティブ血管での使用には最も適しているとは言えない。米国特許第7,819,887号には、ネイティブ血管での使用に適した(深静脈血栓及び肺塞栓症にも使用できる)血栓摘出ワイヤが開示されている。出典を明示することにより、この特許に開示された全ての内容は本明細書の開示の一部とされる。
【0007】
神経血管血栓摘出術では、曲がりくねった血管を通して血栓摘出ワイヤを案内する必要がある。即ち、大腿動脈を通してワイヤを挿入した後、細い脳動脈内に前進するとき、細く曲がりくねった血管内を案内しなければならない。脳内で頸動脈及び椎骨脳底動脈が出会ってウィリス動脈輪を形成する。ウィリス動脈輪から、例えば前脳動脈、中脳動脈、及び後脳動脈等の他の動脈が脳の様々な場所に延びている。これらの脳動脈で形成された凝血塊は卒中を引き起こす場合があり、患者を死に至らしめる場合もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国仮特許出願第61/431,169号
【特許文献2】米国特許出願第13/095,329号
【特許文献3】米国仮特許出願第61/334,412号
【特許文献4】米国特許第5,766,191号
【特許文献5】米国特許第6,090,118号
【特許文献6】米国特許第7,037,316号
【特許文献7】米国特許第7,819,887号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
大腿動脈から脳動脈への経路の血管の大きさ及び湾曲並びに脳動脈自体の大きさ及び構造のため、アクセスは困難である。血栓摘出装置が大き過ぎる場合には、1mm程度の細い血管を通して案内することは困難である。更にデバイスの剛性が大き過ぎる場合には、挿入中に血管壁を損傷する場合がある。他方、デバイスが可撓性であり過ぎると、血管の湾曲を通して前進する上で十分な剛性がなく、血管に捕捉されてしまう。従って、可撓性及び剛性のバランスが最適であり、かくしてトラッキングガイドワイヤの挿入性が高く、血管を傷つけることなく凝血塊を効果的に浸軟する高い回転速度が可能な、脳内の凝血塊を破壊するための血栓摘出デバイスを提供するのが有利である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、有利には、血管血栓又は他の閉塞体を破壊するための回転血栓摘出ワイヤを提供する。ワイヤは、近位領域及びこの近位領域よりも小径の遠位領域を持ち、モータによって回転できるコアを有する。ケーブルがコアの遠位領域に連結され、そこから遠位方向に延びている。トルクチューブがケーブルに被せて位置決めされており、コイルがケーブルの遠位部分に被せて位置決めされている。ケーブルの遠位部分は非線型形状を有する。第1カバー材料がコイルに被せて位置決めされている。
【0011】
幾つかの実施例では、ハイポチューブがコアの遠位端をケーブルの近位端に連結する。第2カバー材料がトルクチューブを覆っていてもよい。熱収縮体が第1カバー材料を覆っていてもよい。幾つかの実施例では、第2カバー材料がコアの一部に被せてあり、第1カバー材料の近位領域まで延びる。
【0012】
幾つかの実施例では、ケーブルの非線型形状遠位領域は曲がりくねった形状をしている。他の実施例では、ケーブルの非線型形状遠位端はJ字形状である。
【0013】
幾つかの実施例では、ワイヤは、近位端がモータ駆動シャフトに連結されている。ワイヤは、ハウジングの内腔内で移動自在であり、内腔と連通した吸引ポートがハウジングから延びている。
【0014】
別の態様では、本発明は、血管血栓又は他の閉塞体を破壊するためのアッセンブリにおいて、内腔を持つ導入器シースと、導入器シースの内腔内で摺動自在の回転血栓摘出ワイヤと、遠位部分及び近位部分を持ち、遠位部分は導入器シースに連結でき、近位部分はモータハウジングに連結できるコネクタを含み、ワイヤは、モータハウジング内に位置決めされたモータに作動的に連結できる、アッセンブリを提供する。
【0015】
ワイヤは、近位領域及び遠位領域を持つコアを含んでいてもよく、遠位領域は近位領域よりも小径である。ワイヤは、更に、コアから遠位方向に延びるケーブルと、ケーブルの遠位部分に取り付けられたコイルと、コイルに被せて位置決めされた第1カバー材料とを含んでいてもよい。幾つかの実施例では、ケーブルの一部は、露出されたとき、非線型形状をとる。
【0016】
第1内腔を持つハウジングを含んでいてもよく、導入器シースはこのハウジングに連結でき、第1内腔を通って挿入できる。幾つかの実施例では、ハウジングは、第2内腔を持つ吸引アームを含んでいてもよく、第2内腔は、ワイヤの回転によって除去されたパーティクルを取り除くように形成されている。アッセンブリは、更に、ハウジングから遠位方向に延びるカテーテルを含んでいてもよく、ワイヤをカテーテルから露出することにより、ワイヤの遠位部分を非線型形状にする。アッセンブリは、更に、モータハウジングを含んでいてもよい。
【0017】
別の態様では、本発明は、環状の脳動脈内の血栓を除去するための方法において、
ガイドワイヤ及び第1カテーテルを大腿動脈に導入する工程と、
脈管系を通して第1カテーテルを前進する工程と、
ガイドワイヤを取り除く工程と、
ハウジング及びこのハウジングから遠位方向に延びる第2カテーテルを提供する工程と、
導入器シースを提供する工程と、
導入器シースをハウジングに連結する工程と、
導入器シース及び第2カテーテルを通して回転血栓摘出ワイヤを挿入する工程と、
血栓摘出ワイヤをカテーテル内で前進し、脳動脈にアクセスする工程と、
次いで、モータを血栓摘出ワイヤの近位端に作動的に連結する工程と、
モータを賦勢し、血栓摘出ワイヤを回転し、脳動脈内の血栓を浸軟する工程とを含む、方法を提供する。
【0018】
幾つかの実施例では、血栓摘出ワイヤを脳動脈まで前進する工程には、血栓摘出ワイヤをウィリス動脈輪に挿入する工程が含まれる。本方法は、更に、コネクタチューブを提供し、コネクタチューブの近位端をモータハウジングに取り付け、コネクタチューブの遠位端を導入器シースに取り付ける工程を含む。本方法は、更に、真空を加えることによりパーティクルを導入から除去する工程を含む。
本開示の好ましい実施例を添付図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、本発明の血栓摘出装置の第1実施例の斜視図である。
【図2】図2は、図1の血栓摘出装置の近位部分の分解図である。
【図3】図3は、回転ワイヤが導入器シース内に不要された状態の図1の装置の部分断面側面図である。
【図3A】図3Aは、図1の3A−3A線に沿った長さ方向断面図である。
【図4】図4は、導入器シースから露出された位置と対応する非線型位置の回転ワイヤを示す、図1の装置の側面図である。
【図4A】図4Aは、曲がりくねった形状を持つ血栓摘出ワイヤの一実施例の遠位部分の拡大図である。
【図4B】図4Bは、Jチップ形態を持つ血栓摘出ワイヤの変形例の遠位部分の拡大図である。
【図5】図5は、図1の装置の血栓摘出ワイヤの遠位部分の長さ方向断面図である。
【図6】図6は、選択される脳動脈を示す、解剖学的図である。
【図7】図7は、ウィリス動脈輪を含む選択される脳動脈を示す、正面から見た解剖学的図である。
【図8】図8は、トラッキングガイドワイヤ上で大腿動脈を通して脳動脈内へのガイドカテーテルの挿入を示す図である。
【図9】図9は、トラッキングガイドワイヤの引っ込めを示す図8と同様の図である。
【図9A】図9Aは、導入器カテーテルへのRHVの取り付けを示す斜視図である。
【図10】図10は、ガイドワイヤを通した、ウィリス動脈輪への血栓摘出装置の導入器カテーテルの挿入、及び導入器カテーテルへのRHVの挿入及び取り付けを示す図である。
【図10A】図10Aは、RHVへの導入器シースの挿入を示す斜視図である。
【図10B】図10Bは、導入器シースへのコネクタチューブの取り付けを示す斜視図である。
【図10C】図10Cは、別の導入器カテーテルの斜視図である。
【図10D】図10Dは、図10Cのコネクタ及び導入器カテーテルの取り付けを示す側面図である。
【図11】図11は、図1の血栓摘出ワイヤをRHVに挿入し、導入器カテーテルに通し、図1の血栓摘出ワイヤを導入器カテーテルから前進し続け、ワイヤの遠位部分をウィリス動脈輪に位置決めした状態を示す図である。
【図12】図12は、装置の変形例の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、添付図面を詳細に参照すると、幾つかの図面に亘り、同じ参照番号が同じ又は同様の構成要素に付してある。図1は、本発明の血栓摘出装置の第1実施例を示す。
図1の血栓摘出装置の全体に参照番号10が付してある。図1及び図2を参照すると、装置は、モータハウジング12と、回転血栓摘出ワイヤ30と、回転止血バルブ(RHV)40と、導入器シース60と、入れ子チューブ即ちチューブ状コネクタ80とを含む。RHV40は、使用方法と関連して以下に論じるように(例えば図10を参照されたい)導入器カテーテル100に連結できる。導入器シース60は、血栓摘出ワイヤ30をRHV40及び導入器カテーテル100を通して容易に挿入するため、RHV40に挿入できる。
本明細書中に開示した血栓摘出装置即ちアッセンブリ10は、回転血栓摘出ワイヤ30をカテーテルとは別のユニットとして提供する。即ち、血栓摘出ワイヤ30は、RHV40を通して挿入できる別のユニットとして提供される。手術箇所にアクセスするため、RHV40の遠位端52は、導入器カテーテル100の近位端に連結される。導入器シース60は、血栓摘出ワイヤをRHV40内に、及び導入器カテーテルを通して挿入するのを補助する。導入器シース60の壁は、ワイヤがRHV40に進入するとき、ワイヤ30の直線状でない遠位端を実質的に真っ直ぐな(実質的に直線状の)形状に維持する。
【0021】
更に、所望であれば、本発明の血栓摘出ワイヤ30は、モータに連結する前に導入器シース60及び導入器カテーテル100内で摺動できる。これによりワイヤ30の導入及び操作を補助できる。これは、ワイヤの操作中にモータハウジングが取り付けられている場合よりも簡単であり、軽量であるためである。しかしながら、導入器シース60、RHV40、及び導入器カテーテル100を通して挿入する前にワイヤ30がモータハウジング12に取り付けられていてもよく、従って、モータハウジング12が取り付けられた状態でワイヤ30を導入器シース60(及び導入器カテーテル100)内で摺動してもよい。かくして、術前又は術中の所望の時期にモータハウジング12をワイヤに取り付けることができる。
【0022】
血栓摘出装置10の特定の構成要素に戻り、図1乃至図4を参照すると、ハンドル部分をも形成するモータハウジング12は、二つの同じハウジング半部13a及び13bを有する。モータ14がハウジング半部13aの凹所14a及びこれと向き合ったハウジング半部13bの凹所内に置かれ、モータ駆動シャフト15がここから延びている。タブ15b(図3参照)は、モータ14をハウジング12内に固定するのを補助する。随意であるが、モータ52の回転速度を15000rpmから1500rpm、750rpm、150rpm等に減速するため、歯車減速機(図示せず)が設けられていてもよい。モータ14に電力を提供するため、例えば3vのバッテリー等の一つ又はそれ以上のバッテリー16が、ハウジング半部13aの凹所17a及びこれと向き合ったハウジング半部13bの凹所に位置決めされている。バッテリー16は、バッテリードアを取り外すことによってアクセスできるハウジング12の区画室内に収容されている。モータ駆動シャフト15は、例えばスナップ嵌め等の様々な連結方法によって血栓摘出ワイヤ30の近位端に連結される。スナップ嵌めの場合、ワイヤ30の近位端のキャップ31がモータ駆動シャフト15に被せられてここに摩擦嵌めする。この他の様々な種類の連結が考えられる。更に、プリント基板がハウジング30内に設けられていてもよい。プリント基板には参照番号18が付してある。
【0023】
モータハウジング12は、リング形態のタブを持つチューブ状遠位部分22を含む。タブは、モータハウジング12を以下に説明するチューブコネクタ80に連結するため、図3に最もよく示すように、チューブコネクタ80の溝に嵌着する。
【0024】
スイッチ19がハウジング半部13aの凹所21及びハウジング半部13bの対応する凹所を通って延びている。随意であるが、様々な手順及び/又は凝血塊の位置及び大きさに対して血栓摘出ワイヤ30の回転速度を調節するためにモータの加速及び減速を行うことができるようにするため、モータに電位差計(図示せず)が接続されていてもよい。好ましい実施例では、電位差計は、第3端子を接続しないことによって、二端子可変抵抗器、即ちレオスタットとして使用される。このようにして、初期位置において、モータ速度は所望の最小値であり、摘まみを回すことによって(又は変形例では摘まみを摺動することによって)モータの速度を徐々に上昇する。かくして、モータ15を賦勢し、装置を作動する、即ちワイヤ30を回転するため、ハウジング12から延びるオン/オフスイッチ19がモータ15に電気的に接続されている。
【0025】
図2、図3、及び図4に示す他の構成要素を参照すると、回転止血バルブ(RHV)即ちハウジング40は、導入器カテーテル100に連結できる(図9A参照)。従来の導入器カテーテルを使用してもよく、又は別の態様では、本発明の装置で使用するための特別設計のカテーテルを使用してもよい。標準的には、RHV40は、側方アーム56の配向を変えるためにカテーテル100に関して回転できる。
【0026】
側方アーム56はRHV40のチューブ状部分46から延びており、以下に説明するように流体を導入するため及び/又は真空を適用するためのポート57を有する。回転摘まみ51の内ねじ51aを導入器カテーテル100の近位外ねじと螺合することによって導入器カテーテル100に連結するため、RHV40の遠位端52にルアーロックが設けられている。取り付けられたとき、チューブ延長部48が導入器カテーテル100の内腔に嵌着する。ワッシャ49a及び49bが、流体流れに抵抗するシールを提供するのを補助する。
【0027】
RHV40のチューブ状部分46は、導入器シース60のチューブ状部分62を摺動自在に受け入れるため、貫通内腔55を含む。近位端54に設けられた近位キャップ58は、このキャップ58をRHV40に取り付けるため、RHV40の近位外ねじ47を螺着する内ねじ59を有する。更に、クラッシュリング43及び遠位リング44がチューブ状部分46の内腔55内に着座している。かくして、キャップ58を回してRHV40に締め付けると、リング43及び44が導入器シース60のチューブ状部分62に押し付けられて潰れ、導入器シース60をRHV40に連結する。近位シール45が設けられていてもよい。RHV40の近位端54に設けられたフランジ46aがキャップ58のリップ58aと相互作用し、キャップ58をRHV40から取り外すことなく、キャップ58を緩めて導入器シース60の外すことができる。
【0028】
RHV40の側方アーム56には、チューブ状部分46の内腔55と流体連通した内腔53(図3A参照)が設けられている。イメージングダイ等の流体をアーム56を通して注入できる。流体は内腔53及び55を通って、即ち内腔55の内壁と導入器シース60の外壁との間の空間を通って流れ、次いで血栓摘出ワイヤ30と導入器カテーテル100の内壁との間の空間を通って流れ、導入器カテーテル100の遠位開口部103(図10参照)を出て血管に流入する。イメージングダイは、血管内で流体流れが再開されたことの表示を提供するのに使用できる。
【0029】
側方アーム56は、回転ワイヤ30によって血管から外れたパーティクルを真空で吸引するために使用してもよい。パーティクルは導入器カテーテル100の遠位開口部103に流入し、ワイヤ30と導入器カテーテル100の内壁との間の空間を通り、内腔55を通った後、内腔53及びポート57を通って吸引チューブ(図示せず)内に出る。
【0030】
更に、使用方法と関連して下文に論じたガイドカテーテル150にも、流体を注入するための側方アームが設けられていてもよい(例えば、図8の側方アーム152を参照されたい)ということは理解されよう。
【0031】
図12の変形例では、RHV40’は側方アームを備えていない。この実施例では、注入及び吸引を行うため、側方アームを持つガイドカテーテルを使用できる。それ以外の構成要素は図1の構成要素と同じであり、便宜的に、対応する構成要素には「’」が付してあり、例えば、回転摘まみ51’、キャップ58’、導入器シース60’、コネクタチューブ80’、及び係止キャップ83’と表示する。
【0032】
導入器シース60のチューブ状部分62は、上述のように、RHV40の内腔を通って延び、RHV40内又は導入器カテーテル100の内腔の近位部分のところのいずれかで終端する。チューブ状部分62の剛性は、好ましくは、血栓摘出ワイヤ30の剛性よりも大きく、ワイヤ30をRHV40内に通し、次いで導入器カテーテル100の内腔を通して手術箇所に通すとき、ワイヤ30を直線状に維持する。
【0033】
導入器シース60の近位端65はコネクタチューブ80に取り付けることができる。好ましくは、図3Aに示すように、拡大近位端65にねじ山を備えたフランジ67が設けられている。このねじ山は、チューブ状コネクタ80の遠位端82に設けられた遠位円筒形係止キャップ83に設けられた外ねじ85と螺合する。コネクタチューブ80の遠位端82内にバルブが設けられていてもよい。このバルブは、流体の漏出をシールして側方アーム56を通る真空を改善するため、導入器シース60の近位端のバルブに加えて、又はその代わりに設けられる。
【0034】
チューブ80及び導入器シース60は、別の態様では、互いに取り付けられた一つのユニットとして提供されてもよい。互いに取り付けられ、一つの取り付けられたユニットとして血栓摘出ワイヤ30に被せて位置決めされる。しかしながら、別の態様では、導入器シース60を通してワイヤ30を挿入し、導入器カテーテル100を通して手術箇所まで操作する。ひとたび位置決めされた後、コネクタチューブ80の遠位端82を導入器シース60に上述のように螺着し、近位端84をモータハウジング12に取り付ける。この態様では、コネクタチューブ80は、導入器シース60を通してワイヤを挿入する前又はシース60を通してワイヤを挿入した後、ワイヤ30に被せて位置決めできる。ワイヤ30は、その周囲にシース60及びチューブ80を被せた状態で包装されていてもよいし、シース60及びチューブ80とは別に包装されていてもよい。
【0035】
コネクタチューブ80の近位端84は、モータハウジング12のチップ22に設けられた外リング24によってモータハウジング12に取り付けられるように形成されている。リング24は、図3に示すようにコネクタチューブ80の内溝内に着座し、スナップ嵌めを提供する。この他の種類のアタッチメントも考えられる。ワイヤ30の近位端はモータ14の駆動シャフト15に取り付けられる。一実施例では、ワイヤ30の端キャップ31がモータシャフト15の開口部15aにスナップ嵌めする。例えばバヨネットマウント等の、ワイヤ30及びモータシャフト15を取り付けるためのこの他の方法が考えられる。
【0036】
わかるように、取り外し自在のモータハウジング12を提供することによって、様々なモータ速度及び/又は様々なバッテリーを持つ様々なハンドルを、ワイヤ30に取り付けることによって使用できる。これは、同じ外科的手順中に行うこともできる。
【0037】
幾つかの実施例では、ハウジングを取り外し、殺菌し、バッテリーの充電後又は交換後に再使用できる。
【0038】
幾つかの実施例では、モータシャフトに直接連結することの別態様として、ワイヤ30の近位端を、手術箇所への挿入後、又は挿入前に、歯車減速機に連結されたカップラーチューブに取り付けることができる。連結は、例えば、摩擦嵌め、磁気による係合、又は捩じり連結、例えばバヨネット連結によって行うことができる。
【0039】
図5は、本発明の血栓摘出ワイヤ30の一実施例を示す。ワイヤ30は、遠位コイルチップ91を有する。好ましい実施例では、遠位コイルチップ(及びその中にあるケーブル)は、長さ方向軸線に関して角度をなしている。図4Aは、曲がりくねった形状を形成する図5のワイヤを示す。図4Bには変形例のワイヤが示してあり、ここでは、ワイヤ130は、回転時に定常波を発生するJチップを形成する。Jチップ形体では、角度のため、ワイヤをモータで十分な速度で回転したとき、少なくとも一つの振動節が形成される。この定常波の発生の詳細は、米国特許第6,090,118号に記載されている。出典を明示することにより、この特許に開示された全ての内容は本明細書の開示の一部とされる。
【0040】
図4Aの実施例では、ワイヤ30は、正弦曲線と似た大きく曲がりくねった形状を形成する。更に詳細には、図4Aのワイヤ30は、近位領域から中間領域を通って遠位領域36までその長さの大部分に亘って延びる実質的に直線状の部分を有する。ワイヤ30は、遠位領域36のところに正弦波形状を有し、図示のように、第1方向(図4Aの配向で見て上方)に向いた第1円弧状領域33及び逆の第2方向(図4Aの配向で見て下方)に向いた、第1円弧状領域33から長さ方向に間隔が隔てられた第2円弧状領域35を有する。これらの円弧状領域33、35は、ワイヤ30の回転時に血管構造と接触する「山」を形成する。ワイヤ30のこの角度をなした(直線状でない)遠位部分は、以下に更に詳細に説明するようにコイルの隙間を塞ぐカバー材料が設けられたコイル状部分を含む。好ましい実施例では、近位波(領域33のところにある)の振幅は、遠位波(領域35のところにある)の振幅よりも小さく、カテーテルの出入り移動を容易にするということに着目されたい。
【0041】
ワイヤ30が導入器カテーテル100内に一杯に引っ込められている(図3参照)場合には、ワイヤ30の湾曲領域は圧縮されており、遠位領域36が実質的に直線状に、即ち実質的に線型の非展開形状をなす。導入器カテーテル100(RHVに取り付けられている)を軸線方向近位方向(図4の矢印を参照されたい)に移動したとき、又はワイヤ30を導入器カテーテル100に関して前進したとき、又はワイヤ30及びカテーテル100の両方を夫々遠位方向及び近位方向に移動したとき、ワイヤ30の遠位領域36が露出され、血管の内腔内でその長さ方向軸線を中心として回転するため、図4A(及び図4)に示す大きく曲がりくねった非線型形状に戻る。
【0042】
かくして、わかるように、近位端がRHV40の遠位端に取り付けられた導入器カテーテル100内にワイヤ30を前進する。所望の箇所に着いたとき、ワイヤ30及び導入器カテーテル100を相対的に移動してワイヤ30を露出し、非線型形状にし、血管壁の血栓を破壊するためにモータにより回転移動する。図4のワイヤ130等のJチップワイヤを使用する場合には、ワイヤ130を導入器カテーテル100内で回転し、ワイヤ130を再配向することができる。
【0043】
導入器シース60の可撓性チューブ状部分62は、随意であるが、剛性を高めるため、一つ又はそれ以上の編製ワイヤが壁に埋め込まれていてもよい。このような編製ワイヤは、好ましくは、シース60の長さに亘って延びる。
【0044】
形状記憶材料で形成されたコイルチップの実施例では、記憶された形状は、図4Aに示すような曲がりくねった形状即ちS字形状である。ワイヤは、導入器カテーテル100内にあるとき、実質的に直線状の形状を備えている。この状態は、ワイヤを手術箇所へ送出するのに使用される。ワイヤが比較的高い体温に露呈されると、チップはオーステナイト状態になり、記憶されたS字形状をとる。別の態様では、ワイヤのコイルチップを導入器カテーテルの壁内で圧縮し、解放時にその記憶された非線型形状をとってもよい。コイルチップは、別の態様では、予め「S」字形状に形成した放射線不透過性コイル/ポリマーであってもよい。
【0045】
次にワイヤ30の詳細を図5を参照して説明する。これらの詳細は、ワイヤ130についても同じであり、唯一の相違点は、ワイヤの遠位コイルチップが展開位置で曲がりくねった形状になっているのでなく、ワイヤの遠位チップがJ字形状をなしているということである。変形例では、ワイヤの遠位チップは、カバー位置及び展開(露出)位置の両方で実質的に直線状(実質的に線型)であってもよいと考えられるということに着目されたい。便宜的に、ワイヤ30を参照して詳細に説明する。
【0046】
ワイヤ30は、近位部分34(図2参照)及び遠位部分37(図5参照)を持つコア32を有する。コア32の移行領域38が遠位方向でテーパしているため、コア32の遠位部分37の直径は、近位部分34の直径よりも小さい。テーパした遠位部分37から直径が均等な部分37aが遠位方向に延びている。移行領域38のテーパは、コア32に被せたPTFE等のコーティングを除去し、コア32を研削することによって形成してもよい。一実施例では、コア32は、ニッケルチタニウム合金製の中実材料であるが、この他の材料も考えられる。コア32は、テーパした本体が遠位端に取り付けられた、例えば溶接されたハイポチューブから形成されていてもよい。
【0047】
コア32は、ケーブル90に連結されている。このケーブル90は、例えば1×19ワイヤ等の互いに縒った複数のワイヤで形成されていてもよい。縒ったワイヤは、追加のワイヤ又はシースによって取り囲まれていてもよい。コア32は、ケーブル90に連結するため、テーパしている。ハイポチューブ92は、コア32の最遠位端(均等直径部分37a)及びケーブル90の最近位端に被せて配置されており、レーザー溶接、ハンダ付け、又はクリンプ止めが含まれるが、これらの方法に限定されない多くの方法によってこれに取り付けられる。ハイポチューブ92は、これによって、コア32及びケーブル90がハイポチューブ92内に位置決めされたとき、これらの構成要素を接合するためのカプラーを形成する。ハイポチューブの直径は約0.254mm(約0.010インチ)であってもよいが、この他の直径も考えられる。
【0048】
ケーブル90は、一実施例では、可変の剛性を有し、例えば、遠位部分96の可撓性を高めるため、近位部分94が遠位部分96よりも剛性であり、例えば編製密度が高い。一実施例では、ケーブル90は剛性が均等である。ケーブル90は、直径が実質的に均等であってもよい。ケーブル90の剛性を変化するため、様々なカバー材料、例えばコーティング、ジャケット、及び/又は収縮包装を変形例として又は追加で使用してもよい。
【0049】
トルクチューブ97がケーブル90に被せて位置決めされている。トルクチューブ97は、コア32のテーパ領域から遠位方向に延び、遠位コイルチップ91で終端する。トルクチューブ97は、(近位)端97aがコア32に、及び遠位領域97b(例えば遠位端)がケーブル90にハンダ付けされていてもよい。トルクチューブ97は、更に、例えばハンダ付け又はレーザー溶接でコイルの近位端に取り付けられていてもよい。
【0050】
ケーブル90の隙間を埋め、滑らかな表面を提供するため、ポリマーコーティング及び/又はジャケットがトルクチューブ97に被せて配置されていてもよい。一実施例では、PTFE収縮包装チューブ98がトルクチューブ97及びコア32の一部に被せて配置されていてもよく、好ましくは、コア32のテーパした移行領域38に亘って延び、コア32の直径が均等な領域と隣接した近位端のところで終端する。遠位端では、収縮包装98は、トルクチューブ97が終端する端部のところで終端する。
【0051】
コイルチップ91は、ケーブル90の遠位部分上に位置決めされており、好ましくは、遠位チップに被せてある。コイル91は、一実施例では、プラチナ等の軟質で可鍛性の材料で形成されており、ピッチ及び直径が均等である。ケーブル90の最遠位チップにはボールがレーザー溶接してあり、ここにコイル91が溶接され、コイル91及びケーブル90の保持性を高める。コイルチップ領域は実質的に曲がりくねった形状を有する。変形例では、コイルチップ領域は例えば図4Bに示すようにJチップ形状を有する。コイルチップ領域は、別の態様では、展開/カバー外し位置で実質的に直線状の形状を備えていてもよい。これらの実施例の各々において、好ましくは、ジャケット、収縮包装、又はコーティング等のカバーがコイル91を覆っている。好ましい実施例では、ナイロンカバー99がコイル91上に熱融着されており、溶けて隙間に入り込んでいる。幾つかの実施例では、熱融着したナイロンコーティングにFEP等の熱収縮チューブ99aが被せてある。カバー99及び熱収縮チューブ99aは、トルクチューブ97の遠位端と隣接して、及び収縮包装98の遠位端と隣接して終端する。
【0052】
単なる例として、ワイヤ30の構成要素は、以下の表に示す概略の寸法を備えていてもよい。これらの寸法は、例として提供されるものであって、この他の寸法も考えられるということは理解されるべきである。これらの値は概略値である。
【0053】
【表1】
【0054】
カバー材料、例えばコーティング、ジャケット、及び/又は収縮包装は、これが設けられていない場合にネイティブ血管で生じる場合がある、ワイヤが曲がったりワイヤに結び目ができたりすることがないようにするのを補助する。カバーは、更に、ワイヤの捩じり強度を高め、血管で生じる痙攣を吸収するようにワイヤを強化する。コーティングは、更に、コイル91の隙間を埋め、擦れが少ない表面を提供する。様々なコーティング及び/又はジャケット及び/又は収縮包装は、PET、テフロン(登録商標)、ペバックス、ポリウレタン、又は他のポリマー材料で形成されていてもよい。材料は、ネイティブ血管がコイル90に捕捉されないようにするのを補助し、血管の痙攣を低減する。
【0055】
次に、血栓摘出装置10の使用を説明する。例えば、図4の曲がりくねったチップワイヤを持つ図1の実施例に関して使用を例として説明する。図4Bのワイヤの実施例は、同様に使用されるということは理解されるべきである。
【0056】
血管にアクセスシース(図示せず)を挿入した後、ガイドワイヤ、例えば直径が約0.889mm(約0.035インチ)又は約0.965mm(約0.038インチ)のガイドワイヤ及びガイドカテーテル150をシースを通して挿入し、脈管系を通して前進する。ガイドワイヤを取り除き、小径の、例えば直径が約0.356mm(約0.014インチ)のガイドワイヤG及び導入器カテーテル100をガイドカテーテル150及びガイドワイヤGのアクセスシースを通して大腿動脈F内に挿入し、撮像によって定位する。導入器カテーテル100を脈管系を通して脳動脈A内の所望の箇所まで、例えばウィリス動脈輪Cを通して前進する(図6、図7、及び図8参照)。当該箇所に到達した後、図9に示すようにガイドワイヤGを引っ込める。導入器カテーテル100は、好ましくは、RHV40が取り付けられた状態で挿入されるということに着目されたい。即ち、RHV40のチューブ状部分46を導入器カテーテル100を通して挿入し(図10参照)、図9Aに示すようにキャップ51を回転することによってここに取り付ける。図10C及び図10Dの変形例では、キャップ51及び/又はウィング付きハンドル122を回転することによって、RHV40を導入器カテーテル120のウィング付きルアー継手のねじ山124に取り付ける。
【0057】
変形例では、ガイドカテーテル150を通して導入器カテーテル100を導入する前にRHV40が取り付けられるのではなく、ガイドカテーテル150を通してカテーテル100を導入した後にRHV40を取り付けてもよいということに着目されたい。
【0058】
RHV40を通して導入器シース60を挿入し、図10Aに示すようにキャップ58を回転することによってRHV40に取り付ける。血栓摘出ワイヤ30を、導入器シース60の内腔を通して、RHV40の内腔を通して、導入器カテーテル100の内腔に挿入する。導入器カテーテル100は、図10に示すようにガイドカテーテル150から延びるが、ワイヤ30は導入器カテーテル100内に残る。次いで、ワイヤ30及び導入器カテーテル100を相対的に移動することによって、ワイヤ30の遠位端をターゲット手術箇所のところで導入器カテーテル100から露出する。ワイヤ30をこの時点でモータ駆動シャフト15に取り付けてもよく、又は露出前に取り付けてもよく、又は導入器シース60を通したワイヤ30の挿入前等の手順の任意の時期に取り付けてもよい。取り付けは、コネクタチューブ80を導入器シース60に連結し、コネクタ80の近位端をモータハウジング12に取り付けることによって行われる(図10B参照)。ワイヤ30は、コネクタチューブを通って延び、ワイヤ30(コネクタ80を通って延びる)をモータ駆動シャフト15に取り付ける。上述のように、別の態様では、コネクタチューブ80をモータハウジング12に取り付ける前に導入器シース60に連結してもよく、又は別の態様では、ワイヤ30が手術箇所に届き、導入器シースから露出された後に連結してもよいということに着目されたい。
【0059】
ワイヤ30が導入器カテーテル100から露出された状態で、ハウジング12に設けられたスイッチ19を入れ、モータ14を賦勢し、これによってワイヤ30をその長さ方向軸線を中心として回転し、血栓の破壊/浸軟を行う。
【0060】
浸軟したパーティクルは、RHV40の側方アーム56を通して吸引によって除去できる。これは、パーティクルがワイヤ30と導入器カテーテル100及びRHV40との間の空間を移動するためである。導入器カテーテル100は、随意であるが、側方ポートを備えていてもよく及び/又はガイドカテーテル150が、随意であるが、浸軟した小さなパーティクルを吸引するための側方ポート152等の側方ポートをRHV40の側方アーム56に加えて又はその代わりに備えていてもよい。
【0061】
送出(アクセス)シース又は送出カテーテル100は、血流を遮断し、遮断した空間内で吸引を可能にするバルーン(図示せず)を含んでいてもよい。
【0062】
以上の説明には多くの特徴が含まれているが、これらの特徴は本開示の範囲を限定するものと解釈されるべきではなく、その好ましい実施例の単なる例示であると解釈されるべきである。本明細書に添付した特許請求の範囲に定義されているように、この他の多くの可能な変更が本開示の範囲及び精神の範疇にあるということは、当業者には理解されよう。
【符号の説明】
【0063】
10 血栓摘出装置
12 モータハウジング
14 モータ
15 駆動シャフト
16 バッテリー
18 プリント基板
19 スイッチ
30 回転血栓摘出ワイヤ
40 回転止血バルブ(RHV)
60 導入器シース
80 チューブ状コネクタ
100 導入器カテーテル
【技術分野】
【0001】
本願は、2011年1月10日に出願された米国仮特許出願第61/431,169号の優先権を主張するものであり、2010年5月13日に出願された米国仮特許出願第61/334,412号の優先権を主張する、2011年4月27日に出願された米国特許出願第13/095,329号の一部継続出願である。出典を明示することにより、これらの出願に開示された全ての内容は本明細書の開示の一部とされる。
本願は、ネイティブ血管(native vessels)から血栓を除去するための回転血栓摘出ワイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
グラフト内又はネイティブ血管内の凝血塊及び他の塞栓物質を破壊するための様々な試みがなされてきた。一つの方法は、ウロキナーゼやストレプトキナーゼ等の血栓溶解剤を注射することである。しかしながら、これらの薬剤は高価であり、長期入院を必要とし、薬物毒性の危険及び凝血塊の破壊時に合併症の出血が生じる危険がある。
【0003】
凝血塊を破壊するためのその他の方法には、機械式血栓摘出デバイスが含まれる。例えば、米国特許第5,766,191号には、拡張して内腔に押し付けられ、内腔の大きさ及び形状と同じ大きさ及び形状になる、6本の形状記憶ワイヤで形成されたケージ又はバスケットが開示されている。この多ワイヤデバイスは高価であり、グラフトを傷害したりグラフトを破壊してしまう場合がある。これは、バスケットの回転時にグラフトが回転するワイヤと何回も接触するためである。バスケットと関連したその他の危険は、グラフトに引っ掛かってグラフトを破ってしまったり、吻合部の縫合糸を切ってしまったりすることである。更に、バスケットは凝血塊で一杯になると、時間を掛けてバスケットを引き出し、バスケットを洗浄し、これを再び内腔に挿入する必要がある。このデバイスは、血管で使用した場合、傷害を引き起こす場合があり、内皮を露出し、血管の痙攣を生じ、更にバスケット及び駆動シャフトが破損する可能性がある。
【0004】
米国特許第6,090,118号には、一本のワイヤを回転して定常波を発生し、血栓を破壊し浸軟することが開示されている。出典を明示することにより、この特許に開示された全ての内容は本明細書の開示の一部とされる。一本のワイヤは、グラフト壁との接触が最少であるため、上述のバスケットデバイスよりも傷害が生じ難く、それでも、血栓物質を効果的に機械的に除去する。
【0005】
米国特許第7,037,316号には、グラフト内の凝血塊を破壊するための回転血栓摘出ワイヤの別の例が開示されている。血栓摘出ワイヤは、その遠位端に曲がりくねった形状を有し、実質的に直線状の非展開位置でシース内に収容されている。シースを引っ込めるとワイヤの遠位部分が露出され、ワイヤはその非線型の曲がりくねった形状に戻ることができる。ワイヤは側部と側部とを向き合わせて縒り合わせた二本のステンレスワイヤで形成されており、エラストマー製のチップが最遠位端に設けられている。モータを作動することによりワイヤを回転移動し、波形パターンを発生し、血栓を浸軟する。かくして、米国特許第6,090,118号の定常波が発生する波形パターンが、回転速度及びワイヤの剛性でほとんど決まるため、所定の波形パターンを発生する上での信頼性及び一貫性が向上するという追加の利点が得られる。更に、曲がりくねった形状により、比較的低い回転速度で所定の波形パターンを発生できる。
【0006】
米国特許第7,037,316号の曲がりくねったワイヤは、透析グラフト内の血栓を浸軟する適正な医療的使用において効果的であるが、ネイティブ血管での使用には最も適しているとは言えない。米国特許第7,819,887号には、ネイティブ血管での使用に適した(深静脈血栓及び肺塞栓症にも使用できる)血栓摘出ワイヤが開示されている。出典を明示することにより、この特許に開示された全ての内容は本明細書の開示の一部とされる。
【0007】
神経血管血栓摘出術では、曲がりくねった血管を通して血栓摘出ワイヤを案内する必要がある。即ち、大腿動脈を通してワイヤを挿入した後、細い脳動脈内に前進するとき、細く曲がりくねった血管内を案内しなければならない。脳内で頸動脈及び椎骨脳底動脈が出会ってウィリス動脈輪を形成する。ウィリス動脈輪から、例えば前脳動脈、中脳動脈、及び後脳動脈等の他の動脈が脳の様々な場所に延びている。これらの脳動脈で形成された凝血塊は卒中を引き起こす場合があり、患者を死に至らしめる場合もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国仮特許出願第61/431,169号
【特許文献2】米国特許出願第13/095,329号
【特許文献3】米国仮特許出願第61/334,412号
【特許文献4】米国特許第5,766,191号
【特許文献5】米国特許第6,090,118号
【特許文献6】米国特許第7,037,316号
【特許文献7】米国特許第7,819,887号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
大腿動脈から脳動脈への経路の血管の大きさ及び湾曲並びに脳動脈自体の大きさ及び構造のため、アクセスは困難である。血栓摘出装置が大き過ぎる場合には、1mm程度の細い血管を通して案内することは困難である。更にデバイスの剛性が大き過ぎる場合には、挿入中に血管壁を損傷する場合がある。他方、デバイスが可撓性であり過ぎると、血管の湾曲を通して前進する上で十分な剛性がなく、血管に捕捉されてしまう。従って、可撓性及び剛性のバランスが最適であり、かくしてトラッキングガイドワイヤの挿入性が高く、血管を傷つけることなく凝血塊を効果的に浸軟する高い回転速度が可能な、脳内の凝血塊を破壊するための血栓摘出デバイスを提供するのが有利である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、有利には、血管血栓又は他の閉塞体を破壊するための回転血栓摘出ワイヤを提供する。ワイヤは、近位領域及びこの近位領域よりも小径の遠位領域を持ち、モータによって回転できるコアを有する。ケーブルがコアの遠位領域に連結され、そこから遠位方向に延びている。トルクチューブがケーブルに被せて位置決めされており、コイルがケーブルの遠位部分に被せて位置決めされている。ケーブルの遠位部分は非線型形状を有する。第1カバー材料がコイルに被せて位置決めされている。
【0011】
幾つかの実施例では、ハイポチューブがコアの遠位端をケーブルの近位端に連結する。第2カバー材料がトルクチューブを覆っていてもよい。熱収縮体が第1カバー材料を覆っていてもよい。幾つかの実施例では、第2カバー材料がコアの一部に被せてあり、第1カバー材料の近位領域まで延びる。
【0012】
幾つかの実施例では、ケーブルの非線型形状遠位領域は曲がりくねった形状をしている。他の実施例では、ケーブルの非線型形状遠位端はJ字形状である。
【0013】
幾つかの実施例では、ワイヤは、近位端がモータ駆動シャフトに連結されている。ワイヤは、ハウジングの内腔内で移動自在であり、内腔と連通した吸引ポートがハウジングから延びている。
【0014】
別の態様では、本発明は、血管血栓又は他の閉塞体を破壊するためのアッセンブリにおいて、内腔を持つ導入器シースと、導入器シースの内腔内で摺動自在の回転血栓摘出ワイヤと、遠位部分及び近位部分を持ち、遠位部分は導入器シースに連結でき、近位部分はモータハウジングに連結できるコネクタを含み、ワイヤは、モータハウジング内に位置決めされたモータに作動的に連結できる、アッセンブリを提供する。
【0015】
ワイヤは、近位領域及び遠位領域を持つコアを含んでいてもよく、遠位領域は近位領域よりも小径である。ワイヤは、更に、コアから遠位方向に延びるケーブルと、ケーブルの遠位部分に取り付けられたコイルと、コイルに被せて位置決めされた第1カバー材料とを含んでいてもよい。幾つかの実施例では、ケーブルの一部は、露出されたとき、非線型形状をとる。
【0016】
第1内腔を持つハウジングを含んでいてもよく、導入器シースはこのハウジングに連結でき、第1内腔を通って挿入できる。幾つかの実施例では、ハウジングは、第2内腔を持つ吸引アームを含んでいてもよく、第2内腔は、ワイヤの回転によって除去されたパーティクルを取り除くように形成されている。アッセンブリは、更に、ハウジングから遠位方向に延びるカテーテルを含んでいてもよく、ワイヤをカテーテルから露出することにより、ワイヤの遠位部分を非線型形状にする。アッセンブリは、更に、モータハウジングを含んでいてもよい。
【0017】
別の態様では、本発明は、環状の脳動脈内の血栓を除去するための方法において、
ガイドワイヤ及び第1カテーテルを大腿動脈に導入する工程と、
脈管系を通して第1カテーテルを前進する工程と、
ガイドワイヤを取り除く工程と、
ハウジング及びこのハウジングから遠位方向に延びる第2カテーテルを提供する工程と、
導入器シースを提供する工程と、
導入器シースをハウジングに連結する工程と、
導入器シース及び第2カテーテルを通して回転血栓摘出ワイヤを挿入する工程と、
血栓摘出ワイヤをカテーテル内で前進し、脳動脈にアクセスする工程と、
次いで、モータを血栓摘出ワイヤの近位端に作動的に連結する工程と、
モータを賦勢し、血栓摘出ワイヤを回転し、脳動脈内の血栓を浸軟する工程とを含む、方法を提供する。
【0018】
幾つかの実施例では、血栓摘出ワイヤを脳動脈まで前進する工程には、血栓摘出ワイヤをウィリス動脈輪に挿入する工程が含まれる。本方法は、更に、コネクタチューブを提供し、コネクタチューブの近位端をモータハウジングに取り付け、コネクタチューブの遠位端を導入器シースに取り付ける工程を含む。本方法は、更に、真空を加えることによりパーティクルを導入から除去する工程を含む。
本開示の好ましい実施例を添付図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、本発明の血栓摘出装置の第1実施例の斜視図である。
【図2】図2は、図1の血栓摘出装置の近位部分の分解図である。
【図3】図3は、回転ワイヤが導入器シース内に不要された状態の図1の装置の部分断面側面図である。
【図3A】図3Aは、図1の3A−3A線に沿った長さ方向断面図である。
【図4】図4は、導入器シースから露出された位置と対応する非線型位置の回転ワイヤを示す、図1の装置の側面図である。
【図4A】図4Aは、曲がりくねった形状を持つ血栓摘出ワイヤの一実施例の遠位部分の拡大図である。
【図4B】図4Bは、Jチップ形態を持つ血栓摘出ワイヤの変形例の遠位部分の拡大図である。
【図5】図5は、図1の装置の血栓摘出ワイヤの遠位部分の長さ方向断面図である。
【図6】図6は、選択される脳動脈を示す、解剖学的図である。
【図7】図7は、ウィリス動脈輪を含む選択される脳動脈を示す、正面から見た解剖学的図である。
【図8】図8は、トラッキングガイドワイヤ上で大腿動脈を通して脳動脈内へのガイドカテーテルの挿入を示す図である。
【図9】図9は、トラッキングガイドワイヤの引っ込めを示す図8と同様の図である。
【図9A】図9Aは、導入器カテーテルへのRHVの取り付けを示す斜視図である。
【図10】図10は、ガイドワイヤを通した、ウィリス動脈輪への血栓摘出装置の導入器カテーテルの挿入、及び導入器カテーテルへのRHVの挿入及び取り付けを示す図である。
【図10A】図10Aは、RHVへの導入器シースの挿入を示す斜視図である。
【図10B】図10Bは、導入器シースへのコネクタチューブの取り付けを示す斜視図である。
【図10C】図10Cは、別の導入器カテーテルの斜視図である。
【図10D】図10Dは、図10Cのコネクタ及び導入器カテーテルの取り付けを示す側面図である。
【図11】図11は、図1の血栓摘出ワイヤをRHVに挿入し、導入器カテーテルに通し、図1の血栓摘出ワイヤを導入器カテーテルから前進し続け、ワイヤの遠位部分をウィリス動脈輪に位置決めした状態を示す図である。
【図12】図12は、装置の変形例の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、添付図面を詳細に参照すると、幾つかの図面に亘り、同じ参照番号が同じ又は同様の構成要素に付してある。図1は、本発明の血栓摘出装置の第1実施例を示す。
図1の血栓摘出装置の全体に参照番号10が付してある。図1及び図2を参照すると、装置は、モータハウジング12と、回転血栓摘出ワイヤ30と、回転止血バルブ(RHV)40と、導入器シース60と、入れ子チューブ即ちチューブ状コネクタ80とを含む。RHV40は、使用方法と関連して以下に論じるように(例えば図10を参照されたい)導入器カテーテル100に連結できる。導入器シース60は、血栓摘出ワイヤ30をRHV40及び導入器カテーテル100を通して容易に挿入するため、RHV40に挿入できる。
本明細書中に開示した血栓摘出装置即ちアッセンブリ10は、回転血栓摘出ワイヤ30をカテーテルとは別のユニットとして提供する。即ち、血栓摘出ワイヤ30は、RHV40を通して挿入できる別のユニットとして提供される。手術箇所にアクセスするため、RHV40の遠位端52は、導入器カテーテル100の近位端に連結される。導入器シース60は、血栓摘出ワイヤをRHV40内に、及び導入器カテーテルを通して挿入するのを補助する。導入器シース60の壁は、ワイヤがRHV40に進入するとき、ワイヤ30の直線状でない遠位端を実質的に真っ直ぐな(実質的に直線状の)形状に維持する。
【0021】
更に、所望であれば、本発明の血栓摘出ワイヤ30は、モータに連結する前に導入器シース60及び導入器カテーテル100内で摺動できる。これによりワイヤ30の導入及び操作を補助できる。これは、ワイヤの操作中にモータハウジングが取り付けられている場合よりも簡単であり、軽量であるためである。しかしながら、導入器シース60、RHV40、及び導入器カテーテル100を通して挿入する前にワイヤ30がモータハウジング12に取り付けられていてもよく、従って、モータハウジング12が取り付けられた状態でワイヤ30を導入器シース60(及び導入器カテーテル100)内で摺動してもよい。かくして、術前又は術中の所望の時期にモータハウジング12をワイヤに取り付けることができる。
【0022】
血栓摘出装置10の特定の構成要素に戻り、図1乃至図4を参照すると、ハンドル部分をも形成するモータハウジング12は、二つの同じハウジング半部13a及び13bを有する。モータ14がハウジング半部13aの凹所14a及びこれと向き合ったハウジング半部13bの凹所内に置かれ、モータ駆動シャフト15がここから延びている。タブ15b(図3参照)は、モータ14をハウジング12内に固定するのを補助する。随意であるが、モータ52の回転速度を15000rpmから1500rpm、750rpm、150rpm等に減速するため、歯車減速機(図示せず)が設けられていてもよい。モータ14に電力を提供するため、例えば3vのバッテリー等の一つ又はそれ以上のバッテリー16が、ハウジング半部13aの凹所17a及びこれと向き合ったハウジング半部13bの凹所に位置決めされている。バッテリー16は、バッテリードアを取り外すことによってアクセスできるハウジング12の区画室内に収容されている。モータ駆動シャフト15は、例えばスナップ嵌め等の様々な連結方法によって血栓摘出ワイヤ30の近位端に連結される。スナップ嵌めの場合、ワイヤ30の近位端のキャップ31がモータ駆動シャフト15に被せられてここに摩擦嵌めする。この他の様々な種類の連結が考えられる。更に、プリント基板がハウジング30内に設けられていてもよい。プリント基板には参照番号18が付してある。
【0023】
モータハウジング12は、リング形態のタブを持つチューブ状遠位部分22を含む。タブは、モータハウジング12を以下に説明するチューブコネクタ80に連結するため、図3に最もよく示すように、チューブコネクタ80の溝に嵌着する。
【0024】
スイッチ19がハウジング半部13aの凹所21及びハウジング半部13bの対応する凹所を通って延びている。随意であるが、様々な手順及び/又は凝血塊の位置及び大きさに対して血栓摘出ワイヤ30の回転速度を調節するためにモータの加速及び減速を行うことができるようにするため、モータに電位差計(図示せず)が接続されていてもよい。好ましい実施例では、電位差計は、第3端子を接続しないことによって、二端子可変抵抗器、即ちレオスタットとして使用される。このようにして、初期位置において、モータ速度は所望の最小値であり、摘まみを回すことによって(又は変形例では摘まみを摺動することによって)モータの速度を徐々に上昇する。かくして、モータ15を賦勢し、装置を作動する、即ちワイヤ30を回転するため、ハウジング12から延びるオン/オフスイッチ19がモータ15に電気的に接続されている。
【0025】
図2、図3、及び図4に示す他の構成要素を参照すると、回転止血バルブ(RHV)即ちハウジング40は、導入器カテーテル100に連結できる(図9A参照)。従来の導入器カテーテルを使用してもよく、又は別の態様では、本発明の装置で使用するための特別設計のカテーテルを使用してもよい。標準的には、RHV40は、側方アーム56の配向を変えるためにカテーテル100に関して回転できる。
【0026】
側方アーム56はRHV40のチューブ状部分46から延びており、以下に説明するように流体を導入するため及び/又は真空を適用するためのポート57を有する。回転摘まみ51の内ねじ51aを導入器カテーテル100の近位外ねじと螺合することによって導入器カテーテル100に連結するため、RHV40の遠位端52にルアーロックが設けられている。取り付けられたとき、チューブ延長部48が導入器カテーテル100の内腔に嵌着する。ワッシャ49a及び49bが、流体流れに抵抗するシールを提供するのを補助する。
【0027】
RHV40のチューブ状部分46は、導入器シース60のチューブ状部分62を摺動自在に受け入れるため、貫通内腔55を含む。近位端54に設けられた近位キャップ58は、このキャップ58をRHV40に取り付けるため、RHV40の近位外ねじ47を螺着する内ねじ59を有する。更に、クラッシュリング43及び遠位リング44がチューブ状部分46の内腔55内に着座している。かくして、キャップ58を回してRHV40に締め付けると、リング43及び44が導入器シース60のチューブ状部分62に押し付けられて潰れ、導入器シース60をRHV40に連結する。近位シール45が設けられていてもよい。RHV40の近位端54に設けられたフランジ46aがキャップ58のリップ58aと相互作用し、キャップ58をRHV40から取り外すことなく、キャップ58を緩めて導入器シース60の外すことができる。
【0028】
RHV40の側方アーム56には、チューブ状部分46の内腔55と流体連通した内腔53(図3A参照)が設けられている。イメージングダイ等の流体をアーム56を通して注入できる。流体は内腔53及び55を通って、即ち内腔55の内壁と導入器シース60の外壁との間の空間を通って流れ、次いで血栓摘出ワイヤ30と導入器カテーテル100の内壁との間の空間を通って流れ、導入器カテーテル100の遠位開口部103(図10参照)を出て血管に流入する。イメージングダイは、血管内で流体流れが再開されたことの表示を提供するのに使用できる。
【0029】
側方アーム56は、回転ワイヤ30によって血管から外れたパーティクルを真空で吸引するために使用してもよい。パーティクルは導入器カテーテル100の遠位開口部103に流入し、ワイヤ30と導入器カテーテル100の内壁との間の空間を通り、内腔55を通った後、内腔53及びポート57を通って吸引チューブ(図示せず)内に出る。
【0030】
更に、使用方法と関連して下文に論じたガイドカテーテル150にも、流体を注入するための側方アームが設けられていてもよい(例えば、図8の側方アーム152を参照されたい)ということは理解されよう。
【0031】
図12の変形例では、RHV40’は側方アームを備えていない。この実施例では、注入及び吸引を行うため、側方アームを持つガイドカテーテルを使用できる。それ以外の構成要素は図1の構成要素と同じであり、便宜的に、対応する構成要素には「’」が付してあり、例えば、回転摘まみ51’、キャップ58’、導入器シース60’、コネクタチューブ80’、及び係止キャップ83’と表示する。
【0032】
導入器シース60のチューブ状部分62は、上述のように、RHV40の内腔を通って延び、RHV40内又は導入器カテーテル100の内腔の近位部分のところのいずれかで終端する。チューブ状部分62の剛性は、好ましくは、血栓摘出ワイヤ30の剛性よりも大きく、ワイヤ30をRHV40内に通し、次いで導入器カテーテル100の内腔を通して手術箇所に通すとき、ワイヤ30を直線状に維持する。
【0033】
導入器シース60の近位端65はコネクタチューブ80に取り付けることができる。好ましくは、図3Aに示すように、拡大近位端65にねじ山を備えたフランジ67が設けられている。このねじ山は、チューブ状コネクタ80の遠位端82に設けられた遠位円筒形係止キャップ83に設けられた外ねじ85と螺合する。コネクタチューブ80の遠位端82内にバルブが設けられていてもよい。このバルブは、流体の漏出をシールして側方アーム56を通る真空を改善するため、導入器シース60の近位端のバルブに加えて、又はその代わりに設けられる。
【0034】
チューブ80及び導入器シース60は、別の態様では、互いに取り付けられた一つのユニットとして提供されてもよい。互いに取り付けられ、一つの取り付けられたユニットとして血栓摘出ワイヤ30に被せて位置決めされる。しかしながら、別の態様では、導入器シース60を通してワイヤ30を挿入し、導入器カテーテル100を通して手術箇所まで操作する。ひとたび位置決めされた後、コネクタチューブ80の遠位端82を導入器シース60に上述のように螺着し、近位端84をモータハウジング12に取り付ける。この態様では、コネクタチューブ80は、導入器シース60を通してワイヤを挿入する前又はシース60を通してワイヤを挿入した後、ワイヤ30に被せて位置決めできる。ワイヤ30は、その周囲にシース60及びチューブ80を被せた状態で包装されていてもよいし、シース60及びチューブ80とは別に包装されていてもよい。
【0035】
コネクタチューブ80の近位端84は、モータハウジング12のチップ22に設けられた外リング24によってモータハウジング12に取り付けられるように形成されている。リング24は、図3に示すようにコネクタチューブ80の内溝内に着座し、スナップ嵌めを提供する。この他の種類のアタッチメントも考えられる。ワイヤ30の近位端はモータ14の駆動シャフト15に取り付けられる。一実施例では、ワイヤ30の端キャップ31がモータシャフト15の開口部15aにスナップ嵌めする。例えばバヨネットマウント等の、ワイヤ30及びモータシャフト15を取り付けるためのこの他の方法が考えられる。
【0036】
わかるように、取り外し自在のモータハウジング12を提供することによって、様々なモータ速度及び/又は様々なバッテリーを持つ様々なハンドルを、ワイヤ30に取り付けることによって使用できる。これは、同じ外科的手順中に行うこともできる。
【0037】
幾つかの実施例では、ハウジングを取り外し、殺菌し、バッテリーの充電後又は交換後に再使用できる。
【0038】
幾つかの実施例では、モータシャフトに直接連結することの別態様として、ワイヤ30の近位端を、手術箇所への挿入後、又は挿入前に、歯車減速機に連結されたカップラーチューブに取り付けることができる。連結は、例えば、摩擦嵌め、磁気による係合、又は捩じり連結、例えばバヨネット連結によって行うことができる。
【0039】
図5は、本発明の血栓摘出ワイヤ30の一実施例を示す。ワイヤ30は、遠位コイルチップ91を有する。好ましい実施例では、遠位コイルチップ(及びその中にあるケーブル)は、長さ方向軸線に関して角度をなしている。図4Aは、曲がりくねった形状を形成する図5のワイヤを示す。図4Bには変形例のワイヤが示してあり、ここでは、ワイヤ130は、回転時に定常波を発生するJチップを形成する。Jチップ形体では、角度のため、ワイヤをモータで十分な速度で回転したとき、少なくとも一つの振動節が形成される。この定常波の発生の詳細は、米国特許第6,090,118号に記載されている。出典を明示することにより、この特許に開示された全ての内容は本明細書の開示の一部とされる。
【0040】
図4Aの実施例では、ワイヤ30は、正弦曲線と似た大きく曲がりくねった形状を形成する。更に詳細には、図4Aのワイヤ30は、近位領域から中間領域を通って遠位領域36までその長さの大部分に亘って延びる実質的に直線状の部分を有する。ワイヤ30は、遠位領域36のところに正弦波形状を有し、図示のように、第1方向(図4Aの配向で見て上方)に向いた第1円弧状領域33及び逆の第2方向(図4Aの配向で見て下方)に向いた、第1円弧状領域33から長さ方向に間隔が隔てられた第2円弧状領域35を有する。これらの円弧状領域33、35は、ワイヤ30の回転時に血管構造と接触する「山」を形成する。ワイヤ30のこの角度をなした(直線状でない)遠位部分は、以下に更に詳細に説明するようにコイルの隙間を塞ぐカバー材料が設けられたコイル状部分を含む。好ましい実施例では、近位波(領域33のところにある)の振幅は、遠位波(領域35のところにある)の振幅よりも小さく、カテーテルの出入り移動を容易にするということに着目されたい。
【0041】
ワイヤ30が導入器カテーテル100内に一杯に引っ込められている(図3参照)場合には、ワイヤ30の湾曲領域は圧縮されており、遠位領域36が実質的に直線状に、即ち実質的に線型の非展開形状をなす。導入器カテーテル100(RHVに取り付けられている)を軸線方向近位方向(図4の矢印を参照されたい)に移動したとき、又はワイヤ30を導入器カテーテル100に関して前進したとき、又はワイヤ30及びカテーテル100の両方を夫々遠位方向及び近位方向に移動したとき、ワイヤ30の遠位領域36が露出され、血管の内腔内でその長さ方向軸線を中心として回転するため、図4A(及び図4)に示す大きく曲がりくねった非線型形状に戻る。
【0042】
かくして、わかるように、近位端がRHV40の遠位端に取り付けられた導入器カテーテル100内にワイヤ30を前進する。所望の箇所に着いたとき、ワイヤ30及び導入器カテーテル100を相対的に移動してワイヤ30を露出し、非線型形状にし、血管壁の血栓を破壊するためにモータにより回転移動する。図4のワイヤ130等のJチップワイヤを使用する場合には、ワイヤ130を導入器カテーテル100内で回転し、ワイヤ130を再配向することができる。
【0043】
導入器シース60の可撓性チューブ状部分62は、随意であるが、剛性を高めるため、一つ又はそれ以上の編製ワイヤが壁に埋め込まれていてもよい。このような編製ワイヤは、好ましくは、シース60の長さに亘って延びる。
【0044】
形状記憶材料で形成されたコイルチップの実施例では、記憶された形状は、図4Aに示すような曲がりくねった形状即ちS字形状である。ワイヤは、導入器カテーテル100内にあるとき、実質的に直線状の形状を備えている。この状態は、ワイヤを手術箇所へ送出するのに使用される。ワイヤが比較的高い体温に露呈されると、チップはオーステナイト状態になり、記憶されたS字形状をとる。別の態様では、ワイヤのコイルチップを導入器カテーテルの壁内で圧縮し、解放時にその記憶された非線型形状をとってもよい。コイルチップは、別の態様では、予め「S」字形状に形成した放射線不透過性コイル/ポリマーであってもよい。
【0045】
次にワイヤ30の詳細を図5を参照して説明する。これらの詳細は、ワイヤ130についても同じであり、唯一の相違点は、ワイヤの遠位コイルチップが展開位置で曲がりくねった形状になっているのでなく、ワイヤの遠位チップがJ字形状をなしているということである。変形例では、ワイヤの遠位チップは、カバー位置及び展開(露出)位置の両方で実質的に直線状(実質的に線型)であってもよいと考えられるということに着目されたい。便宜的に、ワイヤ30を参照して詳細に説明する。
【0046】
ワイヤ30は、近位部分34(図2参照)及び遠位部分37(図5参照)を持つコア32を有する。コア32の移行領域38が遠位方向でテーパしているため、コア32の遠位部分37の直径は、近位部分34の直径よりも小さい。テーパした遠位部分37から直径が均等な部分37aが遠位方向に延びている。移行領域38のテーパは、コア32に被せたPTFE等のコーティングを除去し、コア32を研削することによって形成してもよい。一実施例では、コア32は、ニッケルチタニウム合金製の中実材料であるが、この他の材料も考えられる。コア32は、テーパした本体が遠位端に取り付けられた、例えば溶接されたハイポチューブから形成されていてもよい。
【0047】
コア32は、ケーブル90に連結されている。このケーブル90は、例えば1×19ワイヤ等の互いに縒った複数のワイヤで形成されていてもよい。縒ったワイヤは、追加のワイヤ又はシースによって取り囲まれていてもよい。コア32は、ケーブル90に連結するため、テーパしている。ハイポチューブ92は、コア32の最遠位端(均等直径部分37a)及びケーブル90の最近位端に被せて配置されており、レーザー溶接、ハンダ付け、又はクリンプ止めが含まれるが、これらの方法に限定されない多くの方法によってこれに取り付けられる。ハイポチューブ92は、これによって、コア32及びケーブル90がハイポチューブ92内に位置決めされたとき、これらの構成要素を接合するためのカプラーを形成する。ハイポチューブの直径は約0.254mm(約0.010インチ)であってもよいが、この他の直径も考えられる。
【0048】
ケーブル90は、一実施例では、可変の剛性を有し、例えば、遠位部分96の可撓性を高めるため、近位部分94が遠位部分96よりも剛性であり、例えば編製密度が高い。一実施例では、ケーブル90は剛性が均等である。ケーブル90は、直径が実質的に均等であってもよい。ケーブル90の剛性を変化するため、様々なカバー材料、例えばコーティング、ジャケット、及び/又は収縮包装を変形例として又は追加で使用してもよい。
【0049】
トルクチューブ97がケーブル90に被せて位置決めされている。トルクチューブ97は、コア32のテーパ領域から遠位方向に延び、遠位コイルチップ91で終端する。トルクチューブ97は、(近位)端97aがコア32に、及び遠位領域97b(例えば遠位端)がケーブル90にハンダ付けされていてもよい。トルクチューブ97は、更に、例えばハンダ付け又はレーザー溶接でコイルの近位端に取り付けられていてもよい。
【0050】
ケーブル90の隙間を埋め、滑らかな表面を提供するため、ポリマーコーティング及び/又はジャケットがトルクチューブ97に被せて配置されていてもよい。一実施例では、PTFE収縮包装チューブ98がトルクチューブ97及びコア32の一部に被せて配置されていてもよく、好ましくは、コア32のテーパした移行領域38に亘って延び、コア32の直径が均等な領域と隣接した近位端のところで終端する。遠位端では、収縮包装98は、トルクチューブ97が終端する端部のところで終端する。
【0051】
コイルチップ91は、ケーブル90の遠位部分上に位置決めされており、好ましくは、遠位チップに被せてある。コイル91は、一実施例では、プラチナ等の軟質で可鍛性の材料で形成されており、ピッチ及び直径が均等である。ケーブル90の最遠位チップにはボールがレーザー溶接してあり、ここにコイル91が溶接され、コイル91及びケーブル90の保持性を高める。コイルチップ領域は実質的に曲がりくねった形状を有する。変形例では、コイルチップ領域は例えば図4Bに示すようにJチップ形状を有する。コイルチップ領域は、別の態様では、展開/カバー外し位置で実質的に直線状の形状を備えていてもよい。これらの実施例の各々において、好ましくは、ジャケット、収縮包装、又はコーティング等のカバーがコイル91を覆っている。好ましい実施例では、ナイロンカバー99がコイル91上に熱融着されており、溶けて隙間に入り込んでいる。幾つかの実施例では、熱融着したナイロンコーティングにFEP等の熱収縮チューブ99aが被せてある。カバー99及び熱収縮チューブ99aは、トルクチューブ97の遠位端と隣接して、及び収縮包装98の遠位端と隣接して終端する。
【0052】
単なる例として、ワイヤ30の構成要素は、以下の表に示す概略の寸法を備えていてもよい。これらの寸法は、例として提供されるものであって、この他の寸法も考えられるということは理解されるべきである。これらの値は概略値である。
【0053】
【表1】
【0054】
カバー材料、例えばコーティング、ジャケット、及び/又は収縮包装は、これが設けられていない場合にネイティブ血管で生じる場合がある、ワイヤが曲がったりワイヤに結び目ができたりすることがないようにするのを補助する。カバーは、更に、ワイヤの捩じり強度を高め、血管で生じる痙攣を吸収するようにワイヤを強化する。コーティングは、更に、コイル91の隙間を埋め、擦れが少ない表面を提供する。様々なコーティング及び/又はジャケット及び/又は収縮包装は、PET、テフロン(登録商標)、ペバックス、ポリウレタン、又は他のポリマー材料で形成されていてもよい。材料は、ネイティブ血管がコイル90に捕捉されないようにするのを補助し、血管の痙攣を低減する。
【0055】
次に、血栓摘出装置10の使用を説明する。例えば、図4の曲がりくねったチップワイヤを持つ図1の実施例に関して使用を例として説明する。図4Bのワイヤの実施例は、同様に使用されるということは理解されるべきである。
【0056】
血管にアクセスシース(図示せず)を挿入した後、ガイドワイヤ、例えば直径が約0.889mm(約0.035インチ)又は約0.965mm(約0.038インチ)のガイドワイヤ及びガイドカテーテル150をシースを通して挿入し、脈管系を通して前進する。ガイドワイヤを取り除き、小径の、例えば直径が約0.356mm(約0.014インチ)のガイドワイヤG及び導入器カテーテル100をガイドカテーテル150及びガイドワイヤGのアクセスシースを通して大腿動脈F内に挿入し、撮像によって定位する。導入器カテーテル100を脈管系を通して脳動脈A内の所望の箇所まで、例えばウィリス動脈輪Cを通して前進する(図6、図7、及び図8参照)。当該箇所に到達した後、図9に示すようにガイドワイヤGを引っ込める。導入器カテーテル100は、好ましくは、RHV40が取り付けられた状態で挿入されるということに着目されたい。即ち、RHV40のチューブ状部分46を導入器カテーテル100を通して挿入し(図10参照)、図9Aに示すようにキャップ51を回転することによってここに取り付ける。図10C及び図10Dの変形例では、キャップ51及び/又はウィング付きハンドル122を回転することによって、RHV40を導入器カテーテル120のウィング付きルアー継手のねじ山124に取り付ける。
【0057】
変形例では、ガイドカテーテル150を通して導入器カテーテル100を導入する前にRHV40が取り付けられるのではなく、ガイドカテーテル150を通してカテーテル100を導入した後にRHV40を取り付けてもよいということに着目されたい。
【0058】
RHV40を通して導入器シース60を挿入し、図10Aに示すようにキャップ58を回転することによってRHV40に取り付ける。血栓摘出ワイヤ30を、導入器シース60の内腔を通して、RHV40の内腔を通して、導入器カテーテル100の内腔に挿入する。導入器カテーテル100は、図10に示すようにガイドカテーテル150から延びるが、ワイヤ30は導入器カテーテル100内に残る。次いで、ワイヤ30及び導入器カテーテル100を相対的に移動することによって、ワイヤ30の遠位端をターゲット手術箇所のところで導入器カテーテル100から露出する。ワイヤ30をこの時点でモータ駆動シャフト15に取り付けてもよく、又は露出前に取り付けてもよく、又は導入器シース60を通したワイヤ30の挿入前等の手順の任意の時期に取り付けてもよい。取り付けは、コネクタチューブ80を導入器シース60に連結し、コネクタ80の近位端をモータハウジング12に取り付けることによって行われる(図10B参照)。ワイヤ30は、コネクタチューブを通って延び、ワイヤ30(コネクタ80を通って延びる)をモータ駆動シャフト15に取り付ける。上述のように、別の態様では、コネクタチューブ80をモータハウジング12に取り付ける前に導入器シース60に連結してもよく、又は別の態様では、ワイヤ30が手術箇所に届き、導入器シースから露出された後に連結してもよいということに着目されたい。
【0059】
ワイヤ30が導入器カテーテル100から露出された状態で、ハウジング12に設けられたスイッチ19を入れ、モータ14を賦勢し、これによってワイヤ30をその長さ方向軸線を中心として回転し、血栓の破壊/浸軟を行う。
【0060】
浸軟したパーティクルは、RHV40の側方アーム56を通して吸引によって除去できる。これは、パーティクルがワイヤ30と導入器カテーテル100及びRHV40との間の空間を移動するためである。導入器カテーテル100は、随意であるが、側方ポートを備えていてもよく及び/又はガイドカテーテル150が、随意であるが、浸軟した小さなパーティクルを吸引するための側方ポート152等の側方ポートをRHV40の側方アーム56に加えて又はその代わりに備えていてもよい。
【0061】
送出(アクセス)シース又は送出カテーテル100は、血流を遮断し、遮断した空間内で吸引を可能にするバルーン(図示せず)を含んでいてもよい。
【0062】
以上の説明には多くの特徴が含まれているが、これらの特徴は本開示の範囲を限定するものと解釈されるべきではなく、その好ましい実施例の単なる例示であると解釈されるべきである。本明細書に添付した特許請求の範囲に定義されているように、この他の多くの可能な変更が本開示の範囲及び精神の範疇にあるということは、当業者には理解されよう。
【符号の説明】
【0063】
10 血栓摘出装置
12 モータハウジング
14 モータ
15 駆動シャフト
16 バッテリー
18 プリント基板
19 スイッチ
30 回転血栓摘出ワイヤ
40 回転止血バルブ(RHV)
60 導入器シース
80 チューブ状コネクタ
100 導入器カテーテル
【特許請求の範囲】
【請求項1】
血管血栓又は他の閉塞体を破壊するための回転血栓摘出ワイヤにおいて、
近位領域及びこの近位領域よりも小径の遠位領域を持ち、モータによって回転できるコアと、前記コアの前記遠位領域に連結され、そこから遠位方向に延びるケーブルと、前記ケーブルに被せて位置決めされたトルクチューブと、前記ケーブルの遠位部分に被せて位置決めされたコイルとを含み、前記ケーブルの前記遠位部分は非線型形状を有し、更に、第1カバー材料が前記コイルに被せて位置決めされている、血栓摘出ワイヤ。
【請求項2】
請求項1に記載の血栓摘出ワイヤにおいて、更に、
前記コアの前記遠位領域を前記ケーブルの前記近位領域に連結するハイポチューブを含む、血栓摘出ワイヤ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の血栓摘出ワイヤにおいて、更に、
前記第1カバー材料を覆う熱収縮体を含む、血栓摘出ワイヤ。
【請求項4】
請求項1、2、又は3に記載の血栓摘出ワイヤにおいて、更に、
前記コアの一部に被せた、前記トルクチューブ上を前記第1カバー材料の近位領域まで延びる第2カバー材料を含む、血栓摘出ワイヤ。
【請求項5】
請求項1乃至4のうちのいずれか一項に記載の血栓摘出ワイヤにおいて、
前記ケーブルの前記非線型形状遠位部分は曲がりくねった形状をしている、血栓摘出ワイヤ。
【請求項6】
請求項5に記載の血栓摘出ワイヤにおいて、
前記曲がりくねった形状は、第1振幅とこの第1振幅の遠位側の第2振幅とを有し、前記第2振幅は前記第1振幅よりも大きい、血栓摘出ワイヤ。
【請求項7】
請求項1乃至4のうちのいずれか一項に記載の血栓摘出ワイヤにおいて、
前記ケーブルの前記非線型形状遠位部分は、J字形状である、血栓摘出ワイヤ。
【請求項8】
請求項1乃至7のうちのいずれか一項に記載の血栓摘出ワイヤにおいて、
前記ワイヤは、近位端がモータ駆動シャフトに連結されている、血栓摘出ワイヤ。
【請求項9】
請求項1乃至8のうちのいずれか一項に記載の血栓摘出ワイヤにおいて、
前記ワイヤは、ハウジングの内腔内で移動自在であり、前記内腔と連通した吸引ポートが前記ハウジングから延びている、血栓摘出ワイヤ。
【請求項10】
血管血栓又は他の閉塞体を破壊するためのアッセンブリにおいて、
内腔を持つ導入器シースと、
前記導入器シースの前記内腔内で摺動自在の回転血栓摘出ワイヤと、
遠位部分及び近位部分を持ち、前記遠位部分は前記導入器シースに連結でき、前記近位部分はモータハウジングに連結できるコネクタを含み、前記ワイヤは、前記モータハウジング内に位置決めされたモータに作動的に連結できるアッセンブリ。
【請求項11】
請求項10に記載のアッセンブリにおいて、
前記ワイヤは、近位領域及び遠位領域を持つコアを含み、前記遠位領域は前記近位領域よりも小径であり、前記ワイヤは、更に、コアから遠位方向に延びるケーブルと、前記ケーブルの遠位部分に取り付けられたコイルと、コイルに被せて位置決めされた第1カバー材料とを含む、アッセンブリ。
【請求項12】
請求項10又は11に記載のアッセンブリにおいて、更に、
第1内腔を持つハウジングを含み、前記導入器シースは前記ハウジングに連結でき、前記第1内腔を通って挿入できる、アッセンブリ。
【請求項13】
請求項12に記載のアッセンブリにおいて、
前記ハウジングは、第2内腔を持つ吸引アームを含み、前記第2内腔は、前記ワイヤの回転によって除去されたパーティクルを取り除くように形成されている、アッセンブリ。
【請求項14】
請求項12又は13に記載のアッセンブリにおいて、更に、
前記ハウジングから遠位方向に延びるカテーテルを含み、前記ワイヤを前記カテーテルから露出することにより、前記ワイヤの遠位部分を非線型形状にする、アッセンブリ。
【請求項15】
請求項10乃至14のうちのいずれか一項に記載のアッセンブリにおいて、
前記ケーブルの前記遠位部分及び前記コイルは、前記カテーテルから露出されたとき、非線型形状をとる、アッセンブリ。
【請求項1】
血管血栓又は他の閉塞体を破壊するための回転血栓摘出ワイヤにおいて、
近位領域及びこの近位領域よりも小径の遠位領域を持ち、モータによって回転できるコアと、前記コアの前記遠位領域に連結され、そこから遠位方向に延びるケーブルと、前記ケーブルに被せて位置決めされたトルクチューブと、前記ケーブルの遠位部分に被せて位置決めされたコイルとを含み、前記ケーブルの前記遠位部分は非線型形状を有し、更に、第1カバー材料が前記コイルに被せて位置決めされている、血栓摘出ワイヤ。
【請求項2】
請求項1に記載の血栓摘出ワイヤにおいて、更に、
前記コアの前記遠位領域を前記ケーブルの前記近位領域に連結するハイポチューブを含む、血栓摘出ワイヤ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の血栓摘出ワイヤにおいて、更に、
前記第1カバー材料を覆う熱収縮体を含む、血栓摘出ワイヤ。
【請求項4】
請求項1、2、又は3に記載の血栓摘出ワイヤにおいて、更に、
前記コアの一部に被せた、前記トルクチューブ上を前記第1カバー材料の近位領域まで延びる第2カバー材料を含む、血栓摘出ワイヤ。
【請求項5】
請求項1乃至4のうちのいずれか一項に記載の血栓摘出ワイヤにおいて、
前記ケーブルの前記非線型形状遠位部分は曲がりくねった形状をしている、血栓摘出ワイヤ。
【請求項6】
請求項5に記載の血栓摘出ワイヤにおいて、
前記曲がりくねった形状は、第1振幅とこの第1振幅の遠位側の第2振幅とを有し、前記第2振幅は前記第1振幅よりも大きい、血栓摘出ワイヤ。
【請求項7】
請求項1乃至4のうちのいずれか一項に記載の血栓摘出ワイヤにおいて、
前記ケーブルの前記非線型形状遠位部分は、J字形状である、血栓摘出ワイヤ。
【請求項8】
請求項1乃至7のうちのいずれか一項に記載の血栓摘出ワイヤにおいて、
前記ワイヤは、近位端がモータ駆動シャフトに連結されている、血栓摘出ワイヤ。
【請求項9】
請求項1乃至8のうちのいずれか一項に記載の血栓摘出ワイヤにおいて、
前記ワイヤは、ハウジングの内腔内で移動自在であり、前記内腔と連通した吸引ポートが前記ハウジングから延びている、血栓摘出ワイヤ。
【請求項10】
血管血栓又は他の閉塞体を破壊するためのアッセンブリにおいて、
内腔を持つ導入器シースと、
前記導入器シースの前記内腔内で摺動自在の回転血栓摘出ワイヤと、
遠位部分及び近位部分を持ち、前記遠位部分は前記導入器シースに連結でき、前記近位部分はモータハウジングに連結できるコネクタを含み、前記ワイヤは、前記モータハウジング内に位置決めされたモータに作動的に連結できるアッセンブリ。
【請求項11】
請求項10に記載のアッセンブリにおいて、
前記ワイヤは、近位領域及び遠位領域を持つコアを含み、前記遠位領域は前記近位領域よりも小径であり、前記ワイヤは、更に、コアから遠位方向に延びるケーブルと、前記ケーブルの遠位部分に取り付けられたコイルと、コイルに被せて位置決めされた第1カバー材料とを含む、アッセンブリ。
【請求項12】
請求項10又は11に記載のアッセンブリにおいて、更に、
第1内腔を持つハウジングを含み、前記導入器シースは前記ハウジングに連結でき、前記第1内腔を通って挿入できる、アッセンブリ。
【請求項13】
請求項12に記載のアッセンブリにおいて、
前記ハウジングは、第2内腔を持つ吸引アームを含み、前記第2内腔は、前記ワイヤの回転によって除去されたパーティクルを取り除くように形成されている、アッセンブリ。
【請求項14】
請求項12又は13に記載のアッセンブリにおいて、更に、
前記ハウジングから遠位方向に延びるカテーテルを含み、前記ワイヤを前記カテーテルから露出することにより、前記ワイヤの遠位部分を非線型形状にする、アッセンブリ。
【請求項15】
請求項10乃至14のうちのいずれか一項に記載のアッセンブリにおいて、
前記ケーブルの前記遠位部分及び前記コイルは、前記カテーテルから露出されたとき、非線型形状をとる、アッセンブリ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図3A】
【図4】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図9A】
【図10】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図10D】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図3A】
【図4】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図9A】
【図10】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図10D】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−143558(P2012−143558A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−1006(P2012−1006)
【出願日】平成24年1月6日(2012.1.6)
【出願人】(505301837)レックス メディカル リミテッド パートナーシップ (22)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年1月6日(2012.1.6)
【出願人】(505301837)レックス メディカル リミテッド パートナーシップ (22)
【Fターム(参考)】
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