説明

回転装置

【課題】作業スペースの省スペース化を図る
【解決手段】支持枠4の回転中心である鉛直軸線VLから、この鉛直軸線VLを挟んで支持枠4の回転方向とは反対側に所定距離オフセットした位置に回転中心32aを有するリンクバー32と摺動フレーム6とを接続すると共に、マジックハンド式のリンク機構を構成するリンクバー34,36により両摺動フレーム6,8を接続する。これにより、各摺動フレーム6,8上に設置するパレットP1,P2を入れ替えるに当たり支持枠4を回転している間は、両摺動フレーム6,8の間隔、即ち、両パレットP1,P2の間隔を縮小することができる。この結果、作業スペースの省スペース化を図ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の回転装置としては、床面に対して回転可能に設けられた支持枠と、この支持枠上に設けられる共に第1パレットを回転可能に載置する第1回転体と、支持枠上であって第1回転体に対して所定距離隔てた位置に設けられる共に第2パレットを回転可能に載置する第2回転体と、を備えるものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
この装置では、支持枠を回転させることにより第1パレットと第2パレットとの入れ替えを行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−218468号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、こうした回転装置では、パレットを入れ替えるための作業スペースが比較的大きくなってしまう。上述した装置のように、第1パレットと第2パレットとが支持枠上で回転するように構成されたものにおいては、第1パレットと第2パレットとが支持枠上で回転する際に互いに干渉し合わない様に互いに所定距離隔てる必要があり、より大きな作業スペースが必要となる。
【0005】
本発明の回転装置は、省スペース化を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の回転装置は、上述の目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
第1パレットを載置可能な第1パレットフレームと、
第2パレットを載置可能な第2パレットフレームと、
前記第1パレットフレームと前記第2パレットフレームとが互いに離接する方向に摺動可能に前記第1パレットフレームおよび前記第2パレットフレームを支持するベースフレームと、
前記ベースフレームの重心を通り床面に対して垂直な鉛直軸線を中心として前記ベースフレームを回転可能な回転部材と、
前記ベースフレームの回転に基づき前記第1パレットフレームと前記第2パレットフレームとの間隔を変更する間隔変更手段と、
を備えることを要旨とする。
【発明の効果】
【0008】
この本発明の回転装置では、間隔変更手段がベースフレームの回転に基づき第1パレットフレームと第2パレットフレームとの間隔を変更するから、例えば、ベースフレームを回転して第1パレットと第2パレットとを入れ替えるときに、第1パレットフレームと第2パレットフレームとの間隔を縮小する方向に変更するものとすれば、パレットを入れ替える際の作業スペースを小さく抑えることができる。この結果、作業スペースの省スペース化を図ることができる。
【0009】
こうした本発明の回転装置において、前記ベースフレームは、第1状態から第2状態まで回転してなり、前記間隔変更手段は、前記ベースフレームが前記第1状態から前記第2状態まで回転する間に前記第1パレットフレームと前記第2パレットフレームとの間隔を漸減する手段であるものとすることもできる。
こうすれば、ベースフレームが第1状態から第2状態まで回転する間に、両スライドフレームの間隔を漸減することができる。
【0010】
また、本発明の回転装置において、前記ベースフレームは、前記第1状態から前記第2状態を経て第3状態まで回転してなり、前記間隔変更手段は、前記ベースフレームが前記第2状態から前記第3状態まで回転する間に前記第1パレットフレームと前記第2パレットフレームとの間隔を漸増する手段であるものとすることもできる。
こうすれば、ベースフレームが第1状態から第2状態まで回転する間に漸減した第1パレットフレームと第2パレットフレームとの間隔を、ベースフレームが第2状態から第3状態まで回転する間に漸増することができる。
【0011】
さらに、本発明の回転装置において、前記間隔変更手段は、前記ベースフレームが前記第3状態となったときの前記第1パレットフレームと前記第2パレットフレームとの間隔を、前記ベースフレームが前記第1状態にあるときの前記第1パレットフレームと前記第2パレットフレームとの間隔と略同じにする手段であるものとすることもできる。
こうすれば、ベースフレームが第3状態になったときの両スライドフレームの間隔を、ベースフレームが第1状態にあるときの両スライドフレームの間隔とほぼ同じにすることができる。
【0012】
本発明の回転装置において、前記間隔変更手段は、第1パレットフレームと前記第2パレットフレームとの間隔を変更する際、該第1パレットフレームが前記ベースフレーム上を摺動する摺動量と、前記第2パレットフレームが前記ベースフレーム上を摺動する摺動量とを略同一にしてなるものとすることもできる。
こうすれば、両スライドフレームの間隔を変更する際に、両スライドフレームがベースフレーム上を摺動する摺動量をほぼ同じにすることができる。
【0013】
また、本発明の回転装置において、前記間隔変更手段は、第1パレットフレームと前記第2パレットフレームとの間隔を変更する際、前記第1パレットフレームが前記ベースフレーム上を摺動開始するタイミングと、前記第2パレットフレームが前記ベースフレーム上を摺動開始するタイミングとを略同時にしてなるものとすることもできる。
こうすれば、両スライドフレームの間隔を変更する際に、両スライドフレームがベースフレーム上を摺動するタイミングをほぼ同じにすることができる。
【0014】
本発明の回転装置において、前記間隔変更手段は、前記第1状態における前記ベースフレームの長手方向中央線上であって前記鉛直軸線を挟んで該ベースフレームの回転方向とは反対側に所定距離オフセットした位置を中心に回動可能に一端が前記床面に支持されると共に、他端が前記第1スライドフレームに対して回動可能に接続されて、前記床面と前記第1パレットフレームとを連結する第1連結部材と、前記鉛直軸線を回転中心として回転可能であり、一端が前記第1パレットフレームに対して回動可能かつ前記長手方向中央線と平行に摺動可能に連結され、他端が前記回転中心に関して前記一端とは点対称な位置で前記第2パレットフレームに対して回動可能かつ前記長手方向中央線と平行に摺動可能に連結された第2連結部材と、を備える手段であるものとすることもできる。
こうすれば、ベースフレームの回転に基づいて、両スライドフレームの間隔を変更する構造を簡易に確保することができる。
【0015】
また、本発明の回転装置において、前記間隔変更手段は、前記長手方向中央線に関して前記第2連結部材とは線対称に配置されると共に、前記回転中心を中心に回転可能であり、一端が前記第1パレットフレームに対して回動可能かつ前記長手方向中央線と平行に摺動可能に連結され、他端が前記第2パレットフレームに対して回動可能かつ前記長手方向中央線と平行に摺動可能に連結された第3連結部材をさらに備える手段であるものとすることもできる。
こうすれば、両スライドフレームの間隔を安定して変更することができる。
【0016】
さらに、本発明の回転装置において、前記間隔変更手段は、前記第1状態における前記ベースフレームの長手方向中央線上であって前記鉛直軸線を挟んで該ベースフレームの回転方向とは反対側に所定距離オフセットした位置を中心に回動可能に一端が前記床面に支持されると共に、他端が前記第1スライドフレームに対して回動可能に接続されて、前記床面と前記第1パレットフレームとを連結する第1連結部材と、前記長手方向中央線上を移動する点を回転中心として回転可能であり、一端が前記第1パレットフレームに対して回動可能かつ前記長手方向中央線と平行に摺動可能に連結され、他端が前記回転中心に関して前記一端とは点対称な位置で前記第2パレットフレームに対して回動のみ許容された状態で連結された第2連結部材と、前記回転中心が前記長手方向中央線上を移動するのをガイドするガイド部材と、を備える手段であるものとすることもできる。
こうすれば、ベースフレームの回転に基づいて、両スライドフレームの間隔を変更する構造を簡易に確保することができる。
【0017】
また、本発明の回転装置において、前記間隔変更手段は、前記長手方向中央線に関して前記第2連結部材とは線対称に配置されると共に、前記回転中心を中心に回転可能であり、一端が前記第2パレットフレームに対して回動可能かつ前記長手方向中央線と平行に摺動可能に連結され、他端が前記第1パレットフレームに対して回動のみ許容された状態で連結された第3連結部材をさらに備えるものとすることもできる。
こうすれば、両スライドフレームの間隔を安定して変更することができる。
【0018】
さらに、本発明の回転装置において、前記間隔変更手段は、前記床面に設置され、前記鉛直軸線を中心に前記第1状態における前記ベースフレームの長手方向を長軸,該長手方向とは直角方向を短軸とする楕円形状をしたガイドレールを有するガイド部材と、前記第1パレットフレームに回転可能に取付けられ、前記ガイドレールに沿って走行可能な第1ローラ部材と、前記第2パレットフレームに回転可能に取付けられ、前記ガイドレールに沿って走行可能な第2ローラ部材と、を備えるものとすることもできる。
こうすれば、ベースフレームの回転に基づいて、両スライドフレームの間隔を変更する構造を簡易に確保することができる。
【0019】
本発明の回転装置において、前記第1パレットフレームおよび前記第2パレットフレームは、前記第1パレットおよび前記第2パレットを回転可能に載置可能に形成されてなるものとすることもできる。
こうすれば、第1パレットフレームや第2パレットフレームに第1パレットや第2パレットを回転可能に載置することができる。
【0020】
また、本発明の回転装置に置いて、前記ベースフレームは、180度回転してなり、
前記第2状態は、前記ベースフレームを前記鉛直軸線を中心に前記第1状態から90度回転した状態であり、前記第3状態は、前記ベースフレームを前記鉛直軸線を中心に前記第2状態から90度回転した状態であるものとすることもできる。
こうすれば、ベースフレームが初期状態から90度回転するまでは両スライドフレームの間隔を漸減し、ベースフレームが90度を超えて180度回転するまでは両スライドフレームの間隔を漸増するものとすることができる。
【0021】
さらに、本発明の回転装置に置いて、前記第1状態および前記第3状態で前記ベースフレームの回転を止めるストッパを備えるものとすることもできる。
こうすれば、ベースフレームの回転を第1状態および第3状態で確実に止めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施例である回転装置1の構成の概略を示す構成図である。
【図2】図1のX−X断面を示す断面図である。
【図3】図1のY−Y断面を示す断面図である。
【図4】ローラ部材23の外観を示す概観図である。
【図5】間隔変更機構30の部分を拡大して示す拡大図である。
【図6】間隔変更機構30の部分を拡大して示す拡大断面図である。
【図7】支持枠4が床面Fに対して回転する際のリンクバー32と摺動フレーム6の動きを説明する説明図である。
【図8】支持枠4が床面Fに対して回転する際のリンクバー34,36と摺動フレーム6,8の動きを説明する説明図である。
【図9】支持枠4が反時計回りに45°回転した状態を示す状態図である。
【図10】支持枠4が反時計回りに90°回転した状態を示す状態図である。
【図11】支持枠4が反時計回りに135°回転した状態を示す状態図である。
【図12】支持枠4が反時計回りに180°回転した状態を示す状態図である。
【図13】変形例の回転装置100の部分を拡大して示す拡大図である。
【図14】変形例の回転装置100の部分を拡大して示す拡大断面図である。
【図15】第2実施例の回転装置200の構成の概略を示す構成図である。
【図16】図15のA−A断面を示す断面図である。
【図17】間隔変更機構230の要部を拡大して示す要部拡大図である。
【図18】支持枠4が反時計回りに45°回転した状態を示す状態図である。
【図19】支持枠4が反時計回りに90°回転した状態を示す状態図である。
【図20】支持枠4が反時計回りに135°回転した状態を示す状態図である。
【図21】支持枠4が反時計回りに180°回転した状態を示す状態図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
次に、本発明を実施するための形態を実施例を用いて説明する。
【実施例1】
【0024】
図1は、本発明の一実施例である回転装置1の構成の概略を示す構成図であり、図2は、図1のX−X断面を示す断面図である。
実施例の回転装置1は、図1および図2に示すように、床面Fに取付け固定された主回転体2と、この主回転体2上に取付け固定された支持枠4と、支持枠4上に配置された第1摺動フレーム6および第2摺動フレーム8と、第1摺動フレーム6上に取付け固定された第1回転体10および第2摺動フレーム8に取付け固定された第2回転体12と、支持枠4の回転を規制する2つのストッパ14,16と、両摺動フレーム6,8の間隔を変更する間隔変更機構30とを備える。
【0025】
主回転体2は、図示はしないが環状のアッパリングと、同じく環状のアンダリングと、アッパリングとアンダリングとの間に介在する複数のボールとから構成されており、アンダリングが床面に固定されることによりアッパリングが床面Fに対して回転する。
【0026】
支持枠4は、角型鋼管を用いてほぼ長方形状をした枠として形成されており、支持枠4の重心を通る鉛直軸線VLが主回転体2の中心を通るように主回転体2のアッパリングに取付け固定される。これにより、支持枠4は床面Fに対して回転可能となっている。
なお、図1に示す初期状態における支持枠4の長辺部4aのうちストッパ14に対応する位置には、ストッパ14が当接するストッパ当て4bが設けられており、支持枠4が図1に示す初期状態から時計方向へ回転するのを規制している。また、ストッパ当て4aは、支持枠4が図1に示す初期状態から反時計回りに180°回転したときにストッパ16と当接するよう構成されており、支持枠4が反時計回りに180°を超えて回転するのを規制する。
即ち、支持枠4は、図1に示す初期状態から反時計回りへ180°までと、反時計回りへ180°回転した状態から時計回りへ180°まで、即ち、図1に示す初期状態までとの間の往復回転のみが許容されている。また、支持枠4の長手方向(長辺の長さ方向、図1中左右方向)における中央部には、支持枠4の剛性を補強するための補強プレート20が取付けられている。
【0027】
第1摺動フレーム6および第2摺動フレーム8は、いずれも角型鋼管を用いてほぼ正方形状をした枠として形成されており、支持枠4の長手方向に沿って摺動可能なように支持枠4上に配置されている。
図3は、図1のY−Y断面を示す断面図である。両摺動フレーム6,8には、図3に示すように、支持枠4の長手方向に沿う縦辺部6a,8aの内側面60a,80a(枠の内周を形成する面)および縦辺部6a,8aの支持枠4に面する側の下面60b,80bのそれぞれにローラ部材22,23が取付けられている。
【0028】
ローラ部材22は、両摺動フレーム6,8の縦辺部6a,8aの内側面60a,80aに取付け固定するためのベースプレート22aと、ベースプレート22aに対して垂直に設けられた軸22bに回転可能に取付けられたローラR1とから構成されている。
図4は、ローラ部材23の外観を示す概観図である。ローラ部材23は、図3および図4に示すように、両摺動フレーム6,8の縦辺部6a,8aの下面60b,80bに取付け固定するためのベースプレート23aと、ベースプレート23aの端部から垂下状に延出する延出プレート23bと、ベースプレート23aに対して垂直に設けられた軸23cに回転可能に取付けられたローラR2と、延出プレート23bに対して垂直に設けられローラR2が配置された側とは反対側に突出した軸23dに回転可能に取付けられたローラR3とから構成されている。なお、延出プレート23bには、三角形状の補強リブ23eが設けられている。
【0029】
ローラ部材22,23は、ローラR1とローラR3とがそれぞれ摺動フレーム6,8の内側(枠の内側)に位置するように各摺動フレーム6,8に取付けられ、これにより、3つのローラR1,R2,R3の転動面に囲まれたスペースが形成される。両摺動フレーム6,8は、この3つのローラR1,R2,R3の転動面に囲まれたスペース内に支持枠4の長辺部4aを差し込むことにより、支持枠4の長手方向に沿う摺動のみ許容された状態で支持枠4上に配置される。
なお、ローラ部材22,23は、図1に示すように、各摺動フレーム6,8の4箇所、即ち、縦辺部6a,8aのうち両摺動フレーム6,8が対向する側の先端部2箇所と、縦辺部6a,8aのうち長手方向における中央部2箇所とに取付けられている。これにより、両摺動フレーム6,8は、支持枠4上で安定配置されると共に、支持枠4上を安定して摺動することができる。
【0030】
第1回転体10および第2回転体12は、図示はしないが主回転体2と同様、いずれも環状のアッパリングと、同じく環状のアンダリングと、アッパリングとアンダリングとの間に介在する複数のボールとから構成されており、第1回転体10のアンダリングが摺動フレーム6の上面(床面Fに対向する面とは反対側の面)に固定され、第2回転体12のアンダリングが摺動フレーム8の上面(床面Fに対向する面とは反対側の面)に固定されている。各アッパリングには、例えば、部品などを収容可能なパレットが設置され、摺動フレーム6,8に対してパレットが回転可能となっている。
【0031】
図5は、間隔変更機構30の部分を拡大して示す拡大図であり、図6は、間隔変更機構30の部分を拡大して示す拡大断面図である。
間隔変更機構30は、床面Fと第1摺動フレーム6とを連結するリンクバー32と、両摺動フレーム6,8を連結する2本のリンクバー34,36とから構成されている。
【0032】
リンクバー32は、図5および図6に示すように、初期状態における支持枠4の長手方向中央を通る長手方向中央線CL上であって、鉛直軸線VLからこの鉛直軸線VLを挟んで支持枠4の回転方向とは反対側(図5の下側)に所定距離オフセットした位置にあるリンク回転中心32aを中心に回動可能なようにボールジョイント(図示せず)を介して床面Fに一端部が取付けられると共に、第1摺動フレーム6の横辺部6bのうち長手方向中央線CL寄りの横辺部6bの長さ方向中央部6b’であって横辺部6bの下面60b(床面Fに面する側の面)に回動可能なようにボールジョイント(図示せず)を介して他端部が取付けられる。
【0033】
リンクバー34,36は、図5に示すように、互いに中央部で交差するX字状に配置されて、交差部を中心に相対回転可能に連結されると共に、一端部が第1摺動フレーム6に対して回転可能かつ長手方向中央線CLと平行な方向に摺動可能なように接続され、他端部が第2摺動フレーム8に対して回転可能かつ長手方向中央線CLと平行な方向に摺動可能なように接続された、所謂マジックハンド式のリンク機構として構成されている。
なお、リンクバー34,36は、図5および図6に示すように、回転中心が鉛直軸線VLを通るように支持枠4の補強プレート20上に取付け支持されている。また、リンクバー34,36の両端部の床面Fに対向する面側には、鉛直軸線VLと平行な軸を中心に回転するローラRが取付けられており、各ローラRは摺動フレーム6,8それぞれの長手方向中央線CL寄りの横辺部6b,8bに取付けられた4つのガイドレール部材38,38,38,38のガイドレール開口38a,38a,38a,38a内に転動可能にそれぞれ収容される。各ガイドレール開口38a,38a,38a,38aは、長手方向中央線CLに平行な長辺を有する長方形状の長孔に形成されている。
【0034】
こうして構成された実施例の回転装置1は、例えば、製品の組立てラインサイドに設置され、空になった組立てラインサイド側のパレットP1を、製品の組立てに必要な部品が収容されたパレットP2と入れ替える際の装置として利用される。
実施例では、図1に示す初期状態における右側、即ち、摺動フレーム6側に空のパレットP1が設置され、図1に示す初期状態における左側、即ち、摺動フレーム8側に製品の組立てに必要な部品が収容されたパレットP2が設置されているものとして、以下、パレットP1,P2の入れ替えの際の動作について説明する。
なお、図1の初期状態における両摺動フレーム6,8(パレットP1,P2)の間隔は、パレットP1,P2を第1回転体10および第2回転体12により回転する際においても互いに干渉しない程度の間隔に設定されている。
【0035】
図7は、支持枠4が床面Fに対して回転する際のリンクバー32と摺動フレーム6との動きを説明する説明図であり、図8は、支持枠4が床面Fに対して回転する際のリンクバー34,36と摺動フレーム6,8との動きを説明する説明図であり、図9は、支持枠4が反時計回りに45°回転した状態を示す状態図であり、図10は、支持枠4が反時計回りに90°回転した状態を示す状態図であり、図11は、支持枠4が反時計回りに135°回転した状態を示す状態図であり、図12は、支持枠4が反時計回りに180°回転した状態を示す状態図である。
【0036】
パレットP1とパレットP2とを入れ替えるために支持枠4を主回転体2によって鉛直軸線VLを中心に床面Fに対して反時計回りに回転すると、支持枠4上に設置された摺動フレーム6,8も支持枠4と一体的に鉛直軸線VLを中心に反時計回りに回転する。このとき、リンクバー32は、図7に示すように、リンク回転中心32aを中心に反時計回りに回転する。ここで、リンク回転中心32aは、鉛直軸線VLからこの鉛直軸線VLを挟んで支持枠4の回転方向とは反対側に長手方向中央線CLに沿って所定距離だけオフセットした位置にあるから、支持枠4の回転角度が90°まではリンクバー32に連結された摺動フレーム6を鉛直軸線VLに向かって近付く方向に引っ張り、支持枠4の回転角度が90°を超えると摺動フレーム6を鉛直軸線VLから離れる方向に押し出す。
即ち、支持枠4の回転角度が90°までは、摺動フレーム6を対向する摺動フレーム8に向かって近付く方向に支持枠4上を摺動させ(鉛直軸線VLから摺動フレーム6における横辺部6bの長さ方向中央部6b’までの距離が値L1から値l1(L1>l1)まで漸減する)、支持枠4の回転角度が90°を超えると摺動フレーム6を対向する摺動フレーム8から離れる方向に支持枠4上を摺動させる。ここで、摺動フレーム6の摺動フレーム8側への摺動量は、支持枠4の回転角度が90°となったときに最大となり(摺動フレーム6が摺動フレーム8側へ最も接近する)、回転角度が180°となったときに鉛直軸線VLから摺動フレーム6における横辺部6bの長さ方向中央部6b’までの距離が初期状態と同じ値L1となる。
【0037】
また、摺動フレーム6と摺動フレーム8とは、マジックハンド式のリンク機構として構成されたリンクバー34,36により互いに連結されているから、支持枠4の回転角度が90°までは、摺動フレーム6の摺動フレーム8側への摺動に連動して摺動フレーム8が支持枠4上を対向する摺動フレーム6側へ向かって近付く方向に摺動し、支持枠4の回転角度が90°を超えると、摺動フレーム6の摺動フレーム8から離れる方向への摺動に連動して摺動フレーム8が支持枠4上を対向する摺動フレーム6から離れる方向に摺動する。
即ち、図8に示すように、鉛直軸線VL(リンクバー34,36が互いに交差する中央部)を支点、リンクバー34,36のうち摺動フレーム6に接続されている側である一端部を作用点、リンクバー34,36のうち摺動フレーム8に接続されている側である他端部を力点とするシーソーの原理(てこの原理)により、摺動フレーム6の支持枠4上における摺動に連動して同じタイミングかつ同じ摺動量で摺動フレーム8を支持枠4上で摺動させて両摺動フレーム6,8における互いの間隔を変更する。このとき、両リンクバー34,36の両端部は、ローラRを介して4つのガイドレール部材38,38,38,38の長方形状のガイドレール開口38a,38a,38a,38a内を長辺方向に沿って摺動するから、両摺動フレーム6,8の支持枠4上での摺動がスムーズなものとなる。
なお、支持枠4の回転角度が90°となったときには両摺動フレーム6,8における互いの間隔は最も縮小し、回転角度が180°となったときには両摺動フレーム6,8における互いの間隔は初期状態と同じ、即ち、パレットP1,P2を第1回転体10および第2回転体12により回転する際においても互いに干渉しない程度の間隔に戻る。
【0038】
こうしてパレットP1とパレットP2とを入れ替えるために支持枠4を主回転体2によって鉛直軸線VLを中心に床面Fに対して反時計回りに回転すると、図9に示すように、支持枠4の回転角度が90°となるまではパレットP1とパレットP2との間隔は漸減し、図10に示すように、支持枠4の回転角度が90°となったときに最小となる。そして、支持枠4の回転角度が90°を超えて回転角度が180°となるまでは、図11に示すように、パレットP1とパレットP2との間隔は漸増し、支持枠4の回転角度が180°となったとき、即ち、パレットP1とパレットP2とが入れ替わったときに、図12に示すように、パレットP1とパレットP2との間隔は初期状態に戻る。
【0039】
このように、パレットP1とパレットP2とを入れ替えるために支持枠4を回転している間は、パレットP1とパレットP2との間隔(両摺動フレーム6,8の間隔)が縮小するから、パレットP1,P2を入れ替える際の作業スペースを小さく抑えることができ、作業スペースの省スペース化を図ることができる。しかも、パレットP1とパレットP2との入れ替えが終了したときには、パレットP1とパレットP2との間隔(両摺動フレーム6,8の間隔)は初期状態に戻るから、パレットP1,P2を第1回転体10および第2回転体12により回転する際においても互いに干渉することがなく、作業性の悪化を招くこともない。
【0040】
こうして、パレットP1とパレットP2とが入れ替わると、組立てラインの作業者は、空のパレットP1に変えて製品の組立てに必要な部品が収容されたパレットP2から部品を採取して製品への組付けを行うことができる。作業者がパレットP2から部品を採取して製品への組付けを行っている間に、空のパレットP1には製品の組立てに必要な部品が新たに補給される。そして、パレットP2が空になった時点で、支持枠4を前述した方向(反時計回り)とは逆方向(時計回り)に回転させることにより、パレットP1とパレットP2との入れ替えを行う。このときも、パレットP1とパレットP2との間隔は、上述と同様、支持枠4の回転角度が90°となるまではパレットP1とパレットP2との間隔は漸減し、支持枠4の回転角度が90°となったときに最小となり、支持枠4の回転角度が90°を超えて回転角度が180°(初期状態)となるまでは漸増して、支持枠4の回転角度が180°(初期状態)となったとき、即ち、パレットP1とパレットP2とが入れ替わったときに初期状態に戻る。
【0041】
以上説明した実施例の回転装置1によれば、パレットP1とパレットP2とを入れ替える際に支持枠4を回転している間は、パレットP1とパレットP2との間隔を縮小するから、パレットP1,P2を入れ替える際の作業スペースを小さく抑えることができる。この結果、作業スペースの省スペース化を図ることができる。しかも、パレットP1とパレットP2との入れ替えが完了したときには、パレットP1とパレットP2との間隔を初期状態、即ち、パレットP1,P2を第1回転体10および第2回転体12により回転する際においても互いに干渉しない程度の間隔に戻すから、作業性が悪化することもない。
【0042】
また、実施例の回転装置1によれば、支持枠4の回転角度が初期状態から90°までは両パレットP1,P2の間隔を漸減し、支持枠4の回転角度が90°を超えて180°までは両パレットP1,P2の間隔を漸増するから、両パレットP1,P2の間隔を安定して変更することができる。
【0043】
さらに、実施例の回転装置1によれば、支持枠4の回転中心である鉛直軸線VLに対してオフセットした位置に回転中心を有するリンクバー32と摺動フレーム6とを接続し、マジックハンド式のリンク機構を構成するリンクバー34,36により両摺動フレーム6,8を接続するだけだから、支持枠4の回転に基づいて同じタイミングで同じ摺動量だけ摺動して両パレットP1,P2の間隔を変更する構造を簡易に確保することができる。
【0044】
実施例の回転装置1では、鉛直軸線VLを中心に互いに相対回転可能なようにリンクバー34,36をX字状に交差して連結すると共に、リンクバー34,36の両端部を回転可能かつ長手方向中央線CLと平行な方向に摺動可能なように第1摺動フレーム6および第2摺動フレーム8に接続することにより、両摺動フレーム6,8を同じタイミングかつ同じ摺動量で支持枠4上を摺動するものとしたが、図13および図14の変形例の回転装置100に例示するように、交差部を中心に互いに相対回転可能なようにリンクバー134,136をX字状に連結すると共に、交差部の回転中心軸Pを長手方向中央線CLに沿って摺動可能なように支持し、リンクバー134およびリンクバー136の一端部を回転可能かつ長手方向中央線CLと平行な方向に摺動可能なように第1摺動フレーム6および第2摺動フレーム8に接続すると共に、リンクバー134およびリンクバー136の他端部を回転のみ許容された状態で第2摺動フレーム8および第1摺動フレーム6に接続したマジックハンド式のリンク機構により、両摺動フレーム6,8を同じタイミングかつ同じ摺動量で支持枠4上を摺動するものとしても構わない。
【0045】
この場合、図13および図14に示すように、リンクバー134,136の交差部の回転中心軸Pに、ローラRを回転可能に設けると共に、支持枠4の補強プレート20上にガイド溝140aを有するガイド部材140を取付けて、ガイド溝140a内にローラRを転動可能に収容することにより、リンクバー134,136が回転中心軸Pを中心に回転可能かつ長手方向中央線CLに沿って摺動可能に支持するものとすれば良い。ここで、ガイド溝140aは、長手方向中央線CLに平行な長辺を有する長孔形状に形成される。
【0046】
なお、リンクバー134,136の一端部は、実施例の回転装置1のリンクバー34,36と同様、鉛直軸線VLと平行な軸を中心に回転するように床面Fに対向する面側(下面側、図14の下側)に取付けられたローラRを、摺動フレーム6,8それぞれの長手方向中央線CL寄りの横辺部6b,8bに設けたガイドレール部材38,38のガイドレール開口38a,38a内に転動可能に収容することにより、摺動フレーム6,8に対して回転可能かつ長手方向中央線CLと平行な方向に摺動可能に接続され、リンクバー134,136の他端部は、第2摺動フレーム8および第1摺動フレーム6の縦辺部8a,6aの長手方向中央線CL寄りの横辺部8b,6bからそれぞれ対向する摺動フレーム6,8側に突出した先端部に図示しないピンなどにより接続することにより、摺動フレーム6,8に対して回転のみ許容された状態で接続される。
【0047】
こうした変形例の回転装置100においても、実施例の回転装置1と同様の作用効果、即ち、パレットP1とパレットP2とを入れ替える際に支持枠4を回転している間は、パレットP1とパレットP2との間隔を縮小して、パレットP1,P2を入れ替える際の作業スペースを小さく抑えることができ、作業スペースの省スペース化を図ることができるといった効果や、パレットP1とパレットP2との入れ替えが完了したときには、パレットP1とパレットP2との間隔を初期状態、即ち、パレットP1,P2を第1回転体10および第2回転体12により回転する際においても互いに干渉しない程度の間隔に戻して、作業性の悪化を防止できるといった効果を奏することができる。
【0048】
第1実施例および変形例の回転装置1,100では、間隔変更機構30,130は、互いにX字状に交差する一対のリンクレバー34,36,134,136を用いるものとしたが、例えば、リンクレバー34,134だけ、あるいは、リンクレバー36,136だけを用いるものとしても差し支えない。
【実施例2】
【0049】
次に、本発明の第2実施例の回転装置200について説明する。
図15は、第2実施例の回転装置200の構成の概略を示す構成図であり、図16は、図15のA−A断面を示す断面図であり、図17は、間隔変更機構230の要部を拡大して示す要部拡大図である。
第2実施例の回転装置200は、図15および図16に示すように、床面Fに取付け固定された主回転体2と、この主回転体2上に取付け固定された支持枠4と、支持枠4上に配置された第1摺動フレーム6および第2摺動フレーム8と、第1摺動フレーム6上に取付け固定された第1回転体10および第2摺動フレーム8に取付け固定された第2回転体12と、支持枠4の回転を規制する2つのストッパ14,16と、両摺動フレーム6,8の間隔を変更する間隔変更機構230とを備え、間隔変更機構230の構成が異なる点を除いて第1実施例の回転装置1と同一の構成をしている。
第2実施例の回転装置200では、説明の容易のために、図1および図2に例示した第1実施例の回転装置1と同一の構成については同一の符号を付した。従って、重複した説明を避けるため、同一の符号を付した構成についての詳細な説明は省略する。
【0050】
第2実施例の回転装置200が備える間隔変更機構230は、図15,図16および図17に示すように、中心が鉛直軸線VLを通り、短軸が図15に示す支持枠4の初期状態における長手方向中央線CLと重なるように床面Fに取付け固定された筒状楕円体232を備える。筒状楕円体232の上端面には、楕円形状に沿ったガイド溝232aが形成されており、このガイド溝232aには、各両摺動フレーム6,8の横辺部6b,8bのうち長手方向中央線CL寄りの横辺部6b,8bの長さ方向中央部6b’,8b’であって横辺部6b,8bの下面60b,80b(床面Fに面する側の面)に回動可能に設けられたローラR,Rが転動可能に収容される。
なお、ローラR,Rは、図15に示す初期状態においては、ガイド溝232aのうち筒状楕円体232の長軸上に相当する位置内に収容される。
【0051】
次に、こうして構成された第2実施例の回転装置200が製品の組立てラインサイドに設置され、空になった組立てラインサイド側のパレットP1を製品の組立てに必要な部品が収容されたパレットP2と入れ替える際の動作について説明する。
なお、図15に示す初期状態における右側、即ち、摺動フレーム6側に空のパレットP1が設置され、図15に示す初期状態における左側、即ち、摺動フレーム8側に製品の組立てに必要な部品が収容されたパレットP2が設置されるものとして説明する。
また、図15の初期状態における両摺動フレーム6,8(パレットP1,P2)の間隔は、パレットP1,P2を第1回転体10および第2回転体12により回転する際においても互いに干渉しない程度の間隔に設定されている。
【0052】
図18は、支持枠4が反時計回りに45°回転した状態を示す状態図であり、図19は、支持枠4が反時計回りに90°回転した状態を示す状態図であり、図20は、支持枠4が反時計回りに135°回転した状態を示す状態図であり、図21は、支持枠4が反時計回りに180°回転した状態を示す状態図である。
パレットP1とパレットP2とを入れ替えるために支持枠4を主回転体2によって鉛直軸線VLを中心に床面Fに対して反時計回りに回転すると、支持枠4上に設置された両摺動フレーム6,8も支持枠4と一体的に鉛直軸線VLを中心に反時計回りに回転する。このとき、各両摺動フレーム6,8の横辺部6b,8bの下面60b,80bに取付けられたローラR,Rが筒状楕円体232のガイド溝232aにガイドされて転動する。ここで、支持枠4(両摺動フレーム6,8)の回転角度が90°までは、ローラR,Rは楕円の長軸上に相当する位置から短軸に相当する位置へガイド溝232a内を移動するから、両摺動フレーム6,8が互いに近付く方向に支持枠4上を摺動する。また、支持枠4(両摺動フレーム6,8)の回転角度が90°を超えて180°となるまでは、ローラR,Rは楕円の短軸上に相当する位置から長軸に相当する位置へガイド溝232a内を移動するから、両摺動フレーム6,8が互いに離れる方向に支持枠4上を摺動する。
即ち、筒状楕円体232のガイド溝232aとローラRとからなる楕円カムの作用により、支持枠4の回転に伴って両摺動フレーム6,8を同じタイミングかつ同じ摺動量で摺動させて両摺動フレーム6,8における互いの間隔を変更する。
なお、両摺動フレーム6,8の互いに近付く方向の摺動量は、支持枠4の回転角度が90°となったときに最大となり(両摺動フレーム6,8が互いに最も接近する)、支持枠4の回転角度が180°となったときに両摺動フレーム6,8間の距離は初期状態と同じ、即ち、パレットP1,P2を第1回転体10および第2回転体12により回転する際においても互いに干渉しない程度の間隔に戻る。
【0053】
こうしてパレットP1とパレットP2とを入れ替えるために支持枠4を主回転体2によって鉛直軸線VLを中心に床面Fに対して反時計回りに回転すると、図18に示すように、支持枠4の回転角度が90°となるまではパレットP1とパレットP2との間隔は漸減し、図19に示すように、支持枠4の回転角度が90°となったときに最小となる。そして、支持枠4の回転角度が90°を超えて回転角度が180°となるまでは、図20に示すように、パレットP1とパレットP2との間隔は漸増し、支持枠4の回転角度が180°となったとき、即ち、パレットP1とパレットP2とが入れ替わったときに、図21に示すように、パレットP1とパレットP2との間隔は初期状態に戻る。
【0054】
このように、パレットP1とパレットP2とを入れ替えるために支持枠4を回転している間は、パレットP1とパレットP2との間隔(両摺動フレーム6,8の間隔)が縮小するから、パレットP1,P2を入れ替える際の作業スペースを小さく抑えることができ、作業スペースの省スペース化を図ることができる。しかも、パレットP1とパレットP2との入れ替えが終了したときには、パレットP1とパレットP2との間隔(両摺動フレーム6,8の間隔)は初期状態に戻るから、パレットP1,P2を第1回転体10および第2回転体12により回転する際においても互いに干渉することがなく、作業性の悪化を招くこともない。
【0055】
こうして、パレットP1とパレットP2とが入れ替わると、組立てラインの作業者は、空のパレットP1に変えて製品の組立てに必要な部品が収容されたパレットP2から部品を採取して製品への組付けを行うことができる。作業者がパレットP2から部品を採取して製品への組付けを行っている間に、空のパレットP1には製品の組立てに必要な部品が新たに補給される。そして、パレットP2が空になった時点で、支持枠4を前述した方向(反時計回り)とは逆方向(時計回り)に回転させることにより、パレットP1とパレットP2との入れ替えを行う。このときも、パレットP1とパレットP2との間隔は、上述と同様、支持枠4の回転角度が90°となるまではパレットP1とパレットP2との間隔は漸減し、支持枠4の回転角度が90°となったときに最小となり、支持枠4の回転角度が90°を超えて回転角度が180°(初期状態)となるまでは漸増して、支持枠4の回転角度が180°(初期状態)となったとき、即ち、パレットP1とパレットP2とが入れ替わったときに初期状態に戻る。
【0056】
以上説明した第2実施例の回転装置200においても、第1実施例の回転装置1と同様、パレットP1とパレットP2とを入れ替える際に支持枠4を回転している間は、パレットP1とパレットP2との間隔を縮小するから、パレットP1,P2を入れ替える際の作業スペースを小さく抑えることができる。この結果、作業スペースの省スペース化を図ることができる。しかも、パレットP1とパレットP2との入れ替えが完了したときには、パレットP1とパレットP2との間隔を初期状態、即ち、パレットP1,P2を第1回転体10および第2回転体12により回転する際においても互いに干渉しない程度の間隔に戻すから、作業性が悪化することはない。
【0057】
また、第2実施例の回転装置200によれば、支持枠4の回転角度が初期状態から90°までは両パレットP1,P2の間隔を漸減し、支持枠4の回転角度が90°を超えて180°までは両パレットP1,P2の間隔を漸増するから、両パレットP1,P2の間隔を安定して変更することができる。
【0058】
さらに、第2実施例の回転装置200によれば、上端面にガイド溝232aが形成された筒状楕円体232を、中心が支持枠4の回転中心である鉛直軸線VLを通り、短軸が支持枠4の初期状態における長手方向中央線CLと重なるように床面Fに取付け固定して、両摺動フレーム6,8の横辺部6b,8bの下面60b,80b(床面Fに面する側の面)に設けたローラR,Rを、ガイド溝232a内に転動可能に収容するだけだから、支持枠4の回転に基づいて同じタイミングで同じ摺動量だけ摺動して両パレットP1,P2の間隔を変更する構造を簡易に確保することができる。
【0059】
第2実施例の回転装置200では、ガイド溝232aを形成するベースを筒状楕円体232としたが、楕円形状のガイド溝232aを有するものであれば、筒状楕円体232に限らず、楕円柱体や円柱体,直方体,立方体など如何なる形状であっても構わない。
【0060】
第1,2実施例や変形例の回転装置1,100,200では、間隔機構30,130,230は、初期状態における両摺動フレーム6,8の間隔と、支持枠4が180°回転したときにおける両摺動フレーム6,8の間隔とを同じになるものとしたが、支持枠4が180°回転したときにおける両摺動フレーム6,8の間隔を初期状態における両摺動フレーム6,8の間隔よりも大きくなるものとしたり、或いは、これとは逆に小さくなるものとしても構わない。
【0061】
第1,2実施例や変形例の回転装置1,100,200では、間隔機構30,130,230は、両摺動フレーム6,8を同じタイミングかつ同じ摺動量で摺動するものとしたが、両摺動フレーム6,8が摺動開始するタイミングを異なるものとしたり、或いは、摺動量を異なるものとしても差し支えない。
【0062】
以上、本発明を実施するための最良の形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0063】
1,100,200 回転装置
2 主回転体
4 支持枠
4a 長辺部
4b ストッパ当て
6 第1摺動フレーム
6a 縦辺部
6b 横辺部
6b’ 長さ方向中央部
8 第2摺動フレーム
8a 縦辺部
8b 横辺部
8b’ 長さ方向中央部
10 第1回転体
12 第2回転体
14 ストッパ
16 ストッパ
20 補強プレート
22 ローラ部材
22a ベースプレート
22b 軸
23 ローラ部材
23a ベースプレート
23b 延出プレート
23c,23d 軸
23e 補強リブ
30,130,230 間隔変更機構
32 リンクバー
32a リンク回転中心
34,134 リンクバー
36,136 リンクバー
38 ガイドレール部材
38a ガイドレール開口
60a,80a 内側面
60b,80b 下面
140 ガイド部材
140a ガイド溝
232 筒状楕円体
232a 溝
VL 鉛直軸線
CL 長手方向中央線
R,R1,R2,R3 ローラ
F 床面
P1,P2 パレット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1パレットを載置可能な第1パレットフレームと、
第2パレットを載置可能な第2パレットフレームと、
前記第1パレットフレームと前記第2パレットフレームとが互いに離接する方向に摺動可能に前記第1パレットフレームおよび前記第2パレットフレームを支持するベースフレームと、
前記ベースフレームの重心を通り床面に対して垂直な鉛直軸線を中心として前記ベースフレームを回転可能な回転部材と、
前記ベースフレームの回転に基づき前記第1パレットフレームと前記第2パレットフレームとの間隔を変更する間隔変更手段と、
を備える
回転装置。
【請求項2】
前記ベースフレームは、第1状態から第2状態まで回転してなり、
前記間隔変更手段は、前記ベースフレームが前記第1状態から前記第2状態まで回転する間に前記第1パレットフレームと前記第2パレットフレームとの間隔を漸減する手段である
請求項1記載の回転装置。
【請求項3】
前記ベースフレームは、前記第1状態から前記第2状態を経て第3状態まで回転してなり、
前記間隔変更手段は、前記ベースフレームが前記第2状態から前記第3状態まで回転する間に前記第1パレットフレームと前記第2パレットフレームとの間隔を漸増する手段である
請求項2記載の回転装置。
【請求項4】
前記間隔変更手段は、前記ベースフレームが前記第3状態となったときの前記第1パレットフレームと前記第2パレットフレームとの間隔を、前記ベースフレームが前記第1状態にあるときの前記第1パレットフレームと前記第2パレットフレームとの間隔と略同じにする手段である
請求項3記載の回転装置。
【請求項5】
前記間隔変更手段は、第1パレットフレームと前記第2パレットフレームとの間隔を変更する際、該第1パレットフレームが前記ベースフレーム上を摺動する摺動量と、前記第2パレットフレームが前記ベースフレーム上を摺動する摺動量とを略同一にしてなる
請求項1ないし4いずれか記載の回転装置。
【請求項6】
前記間隔変更手段は、第1パレットフレームと前記第2パレットフレームとの間隔を変更する際、前記第1パレットフレームが前記ベースフレーム上を摺動開始するタイミングと、前記第2パレットフレームが前記ベースフレーム上を摺動開始するタイミングとを略同時にしてなる
請求項1ないし5いずれか記載の回転装置。
【請求項7】
前記間隔変更手段は、
前記第1状態における前記ベースフレームの長手方向中央線上であって前記鉛直軸線を挟んで該ベースフレームの回転方向とは反対側に所定距離オフセットした位置を中心に回動可能に一端が前記床面に支持されると共に、他端が前記第1スライドフレームに対して回動可能に接続されて、前記床面と前記第1パレットフレームとを連結する第1連結部材と、
前記鉛直軸線を回転中心として回転可能であり、一端が前記第1パレットフレームに対して回動可能かつ前記長手方向中央線と平行に摺動可能に連結され、他端が前記回転中心に関して前記一端とは点対称な位置で前記第2パレットフレームに対して回動可能かつ前記長手方向中央線と平行に摺動可能に連結された第2連結部材と、
を備える手段である請求項2ないし6いずれか記載の回転装置。
【請求項8】
前記間隔変更手段は、前記長手方向中央線に関して前記第2連結部材とは線対称に配置されると共に、前記回転中心を中心に回転可能であり、一端が前記第1パレットフレームに対して回動可能かつ前記長手方向中央線と平行に摺動可能に連結され、他端が前記第2パレットフレームに対して回動可能かつ前記長手方向中央線と平行に摺動可能に連結された第3連結部材をさらに備える手段である
請求項7記載の回転部材。
【請求項9】
前記間隔変更手段は、
前記第1状態における前記ベースフレームの長手方向中央線上であって前記鉛直軸線を挟んで該ベースフレームの回転方向とは反対側に所定距離オフセットした位置を中心に回動可能に一端が前記床面に支持されると共に、他端が前記第1スライドフレームに対して回動可能に接続されて、前記床面と前記第1パレットフレームとを連結する第1連結部材と、
前記長手方向中央線上を移動する点を回転中心として回転可能であり、一端が前記第1パレットフレームに対して回動可能かつ前記長手方向中央線と平行に摺動可能に連結され、他端が前記回転中心に関して前記一端とは点対称な位置で前記第2パレットフレームに対して回動のみ許容された状態で連結された第2連結部材と、
前記回転中心が前記長手方向中央線上を移動するのをガイドするガイド部材と、
を備える手段である請求項2ないし6いずれか記載の回転装置。
【請求項10】
前記間隔変更手段は、前記長手方向中央線に関して前記第2連結部材とは線対称に配置されると共に、前記回転中心を中心に回転可能であり、一端が前記第2パレットフレームに対して回動可能かつ前記長手方向中央線と平行に摺動可能に連結され、他端が前記第1パレットフレームに対して回動のみ許容された状態で連結された第3連結部材をさらに備える請求項9記載の回転部材。
【請求項11】
前記間隔変更手段は、
前記床面に設置され、前記鉛直軸線を中心に前記第1状態における前記ベースフレームの長手方向を長軸,該長手方向とは直角方向を短軸とする楕円形状をしたガイドレールを有するガイド部材と、
前記第1パレットフレームに回転可能に取付けられ、前記ガイドレールに沿って走行可能な第1ローラ部材と、
前記第2パレットフレームに回転可能に取付けられ、前記ガイドレールに沿って走行可能な第2ローラ部材と、
を備える請求項2ないし6いずれか記載の回転装置。
【請求項12】
前記第1パレットフレームおよび前記第2パレットフレームは、前記第1パレットおよび前記第2パレットを回転可能に載置可能な第1回転体および第2回転体を有してなる請求項1ないし11いずれか記載の回転装置。
【請求項13】
前記ベースフレームは、180度回転してなり、
前記第2状態は、前記ベースフレームを前記鉛直軸線を中心に前記第1状態から90度回転した状態であり、
前記第3状態は、前記ベースフレームを前記鉛直軸線を中心に前記第2状態から90度回転した状態である
請求項3ないし12いずれか記載の回転装置。
【請求項14】
前記第1状態および前記第3状態で前記ベースフレームの回転を止めるストッパを備える請求項1ないし13記載の回転装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate


【公開番号】特開2012−192507(P2012−192507A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−59952(P2011−59952)
【出願日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【出願人】(390009896)愛知機械工業株式会社 (190)
【Fターム(参考)】