説明

回転電機装置

【課題】アースブラシの交換の際に回転電機を停止する必要がない回転電機装置を得る。
【解決手段】ブラシホルダとブラシ押え用アームの枢支角度を検出し、この検出角度が所定値を下回ったときアースブラシ機構のうちの使用中のアースブラシ機構のアースブラシの交換時期を報知する枢支角度検出器を具備した回転電機装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、回転軸等の構造物に発生する静電気を除電するためのアースブラシ機構を備えた回転電機装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、圧縮機の回転軸と、誘導電動機の回転軸を連結した回転電機装置にあっては、電動機の回転によって生ずる軸電圧(電荷)を大地へと逃がすためのアースブラシ機構を備えたものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−134745号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このアースブラシ機構に用いるアースブラシは、電動機の回転軸に常時摺接するようになっていて、しかもアースブラシの材質として黒鉛や、黒鉛を主成分として他の成分を混合したものからなっているものがあり、このアースブラシにあっては消耗品であるため、運転時間が所定時間経過するとアースブラシを交換しなければならない。アースブラシを交換するために、電動機の回転を一時停止しなければならず、用途によっては電動機の回転停止をしてはならないものがある。
【0005】
本実施の形態は、アースブラシの交換のために回転電機の回転を一時停止する必要のない回転電機装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施形態は、回転電機の回転軸等の構造物に発生する静電気を大地に放電させるための常備用のアースブラシ機構及び予備用のアースブラシ機構を備え、前記各ブラシ機構は、アースブラシを上下動可能で前記アースブラシの底部が前記回転軸の外周面に摺接可能となるように保持するブラシ保持部を有するブラシホルダと、前記各ブラシホルダに一端部が回動可能に枢支され、他端部が前記アースブラシの頭部に当設するように設けられたブラシ押え用アームと、前記各ブラシ押え用アームと前記各ブラシホルダの枢支部近くであって、前記各ブラシ押え用アームの当設端部が常時前記アースブラシに対して前記回転軸方向に押圧力を与えるように設けられたバネ機構と、前記各ブラシホルダと前記各ブラシ押え用アームの枢支角度を検出し、この検出角度が所定値を下回ったとき前記アースブラシ機構のうちの使用中のアースブラシ機構のアースブラシの交換時期を報知する枢支角度検出器とを具備した回転電機装置である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】実施の形態の概略構成を示す構成図。
【図2】図1の電動機を回転軸端面から見た側面図。
【図3】実施の形態の構成を説明するための図。
【図4】図3の常備用のアースブラシ機構を説明するための構成図。
【図5】図3の予備用のアースブラシ機構を説明するための構成図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態1について図面を参照して説明する。図1、図2において、圧縮機Cに有する回転軸30に、電動機Mに有する回転軸1が連結され、回転軸1等の構造物に発生する静電気を大地に放電させるための常備用のアースブラシ機構10及び予備用のアースブラシ機構20を備えている。
【0009】
アースブラシ機構10は、図3、図4に示すようにアースブラシ11を上下動可能でアースブラシ11の底部が回転軸1の外周面に摺接可能となるように保持するブラシ保持部121を有するブラシホルダ12と、ブラシホルダ12に一端部が回動可能に枢支され、他端部がアースブラシ11の頭部に当設するように設けられたブラシ押え用アーム131と、ブラシ押え用アーム13とブラシホルダ12の枢支部14の近くであって、ブラシ押え用アーム13の当設端部131が常時アースブラシ11に対して回転軸1の方向に押圧力を与えるように設けられたバネ機構15と、ブラシ保持部121の下面にスライド可能に設けられ、アースブラシ11の使用時はブラシ保持部121からアースブラシ11の下端部が突出し、かつアースブラシの不使用時はブラシ保持部121からアースブラシ11の下端部が突出するのを阻止するブラシ押さえ体(図4では表示していないが、図5の26に相当するもの)と、駆動指令が与えられたときのみ前記ブラシ押さえ体を駆動するブラシ押さえ体駆動機構(図示せず)と、ブラシホルダ12とブラシ押え用アーム13の枢支角度θ1を検出する枢支角度検出器17と、枢支角度検出器17で検出した角度が所定値を下回ったとき、前記ブラシ押さえ体駆動機構に対して駆動指令を与え、例えば後述する未使用状態のアースブラシ21を回転軸1の外周面に摺接動作させる制御器(図示せず)とを具備している。
【0010】
アースブラシ機構20は、図3、図5に示すようにアースブラシ21を上下動可能でアースブラシ21の底部が回転軸1の外周面に摺接可能となるように保持するブラシ保持部221を有するブラシホルダ22と、ブラシホルダ22に一端部が回動可能に枢支され、他端部がアースブラシ21の頭部に当設するように設けられたブラシ押え用アーム23と、ブラシ押え用アーム23とブラシホルダ22の枢支部24の近くであって、ブラシ押え用アーム23の当設端部231が常時アースブラシ21に対して回転軸1の方向に押圧力を与えるように設けられたバネ機構25と、ブラシ保持部221の下面にスライド可能に設けられ、アースブラシ21の使用時はブラシ保持部221からアースブラシ21の下端部が突出し、かつアースブラシ21の不使用時はブラシ保持部221からアースブラシ21の下端部が突出するのを阻止するブラシ押さえ体26と、駆動指令が与えられたときのみブラシ押さえ体26を駆動するブラシ押さえ体駆動機構(図示せず)と、ブラシホルダ22とブラシ押え用アーム23の枢支角度θ2を検出する枢支角度検出器27と、枢支角度検出器27で検出した角度が所定値を下回ったとき、前記ブラシ押さえ体駆動機構に対して駆動指令を与え、例えば未使用状態のアースブラシ11を回転軸1の外周面に摺接動作させる制御器(図示せず)とを具備している。
【0011】
このような構成のものにおいて、図4のように電動機Mを駆動中、使用中のアースブラシ11は電動機Mの回転軸1に接触しているが、ブラシホルダ12とブラシ押さえ用アーム13との角度、すなわち、アースブラシ押さえ角度θ1がブラシ押さえ角度検出器17で検出される。アースブラシ11が磨耗するにつれ、アースブラシ押さえ角度θ1は小さくなり、アースブラシ押さえ角度18がブラシ押え角度検出器17の内部にて設定された所定値よりも小さくなると、角度減信号6をブラシ押さえ角度検出器17が検出し、アースブラシ押さえ板投入信号が出力され、予備用のアースブラシ機構20のアースブラシ21が投入される。
【0012】
以上述べた実施の形態は、ブラシホルダ12とアースブラシ押さえ13との角度θ1を監視し、その値がある所定値を下回った場合は、アースブラシ21を投入することにより電動機Mの連続運転時間を延ばすことができる。
【0013】
以上述べた実施の形態は、常備用のアースブラシ機構10が動作中にブラシホルダ12とブラシ押え用アーム13の枢支角度すなわちアースブラシ11の長さが所定値を下回ったとき、アースブラシ機構10の動作を止め、未使用(予備用)のアースブラシ機構20の動作に自動的に切換える例について説明したが、用途によってはブラシホルダ12とブラシ押え用アーム13の枢支角度すなわちアースブラシ11の長さが所定値を下回ったとき、つまりアースブラシ11の交換時期を報知するようにしてもよい。このように電動機Mのアースブラシ11の磨耗監視を行うことにより、予備用のアースブラシ機構20のブラシ21により連続運転時間を延ばすことが可能になる。
【符号の説明】
【0014】
C…圧縮機、M…電動機、1…回転軸、10…常備用のアースブラシ機構、11…アースブラシ、12…ブラシホルダ、13…ブラシ押え用アーム、14…枢支部、15…バネ機構、17…枢支角度検出器、20…予備用のアースブラシ機構、21…アースブラシ、22…ブラシホルダ、23…ブラシ押え用アーム、24…枢支部、25…バネ機構、26…ブラシ押さえ体、27…枢支角度検出器。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転電機の回転軸等の構造物に発生する静電気を大地に放電させるための常備用のアースブラシ機構及び予備用のアースブラシ機構を備え、
前記各ブラシ機構は、アースブラシを上下動可能で前記アースブラシの底部が前記回転軸の外周面に摺接可能となるように保持するブラシ保持部を有するブラシホルダと、
前記各ブラシホルダに一端部が回動可能に枢支され、他端部が前記アースブラシの頭部に当設するように設けられたブラシ押え用アームと、
前記各ブラシ押え用アームと前記各ブラシホルダの枢支部近くであって、前記各ブラシ押え用アームの当設端部が常時前記アースブラシに対して前記回転軸方向に押圧力を与えるように設けられたバネ機構と、
前記各ブラシホルダと前記各ブラシ押え用アームの枢支角度を検出し、この検出角度が所定値を下回ったとき前記アースブラシ機構のうちの使用中のアースブラシ機構のアースブラシの交換時期を報知する枢支角度検出器と、
を具備したことを特徴とする回転電機装置。
【請求項2】
回転電機の回転軸等の構造物に発生する静電気を大地に放電させるための常備用のアースブラシ機構及び予備用のアースブラシ機構を備え、
前記各ブラシ機構は、アースブラシを上下動可能で前記アースブラシの底部が前記回転軸の外周面に摺接可能となるように保持するブラシ保持部を有するブラシホルダと、
前記各ブラシホルダに一端部が回動可能に枢支され、他端部が前記アースブラシの頭部に当設するように設けられたブラシ押え用アームと、
前記各ブラシ押え用アームと前記各ブラシホルダの枢支部近くであって、前記各ブラシ押え用アームの当設端部が常時前記アースブラシに対して前記回転軸方向に押圧力を与えるように設けられたバネ機構と、
前記各ブラシ保持部の下面にスライド可能に設けられ、前記アースブラシの使用時は前記ブラシ保持部から前記アースブラシの下端部が突出し、かつ前記アースブラシの不使用時は前記ブラシ保持部から前記アースブラシの下端部が突出するのを阻止するブラシ押さえ体と、
駆動指令が与えられたときのみ前記ブラシ押さえ体を駆動するブラシ押さえ体駆動機構と、
前記各ブラシホルダと前記各ブラシ押え用アームの枢支角度を検出する枢支角度検出器と、
前記枢支角度検出器で検出した角度が所定値を下回ったとき、前記ブラシ押さえ体駆動機構に対して駆動指令を与え、前記アースブラシ機構のうちの未使用状態のアースブラシを前記回転軸の外周面に摺接動作させる制御器と、
を具備したことを特徴とする回転電機装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−21833(P2013−21833A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−154003(P2011−154003)
【出願日】平成23年7月12日(2011.7.12)
【出願人】(501137636)東芝三菱電機産業システム株式会社 (904)
【Fターム(参考)】