説明

図柄付き覗き見防止フィルター

【課題】照射条件や塗料の使用条件等の制約を少なくでき、装飾の自由度を向上させることができる図柄付き覗き見防止フィルターを提供する。
【解決手段】ディスプレイの表面に貼り付けて側方からの覗き見を防止する覗き見防止フィルターにおいて、透明性が高い樹脂製の透明帯3と白色の樹脂製の遮光帯4とが交互に平面方向に立設された導光フィルム1と、この導光フィルム1の表面に積層固着した透明な保護シート2と、前記導光フィルム1の裏面に積層固着し前記ディスプレイに貼付可能な貼着シート5と、を有するフィルター本体10と、このフィルター本体10の保護シート2側に貼付可能であり透明材質のシールに図柄Zuが印刷された図柄付きシール20と、を備えた図柄付き覗き見防止フィルターであって、前記図柄付きシール20の前記図柄Zuはすき間と網点の量を50%印刷で印刷されたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば携帯電話、携帯情報端末等の表示画面に適用して、該表示画面に表示された内容の側方からの覗き見を防止すると共に、周囲の光線の状況により図柄や文字の表示が見える図柄付き覗き見防止フィルターに関するものである。
【背景技術】
【0002】
本出願人は、実願2001−2460(実登3081299;特許文献1)において、シリコンゴム製の透明帯と遮光帯とが交互に並ぶ導光フィルムの表面に透明な保護シートを積層固着し、導光フィルムの裏面を鏡面仕上げして、ディスプレイへの貼着面としたフィルターを提案している。
【0003】
この特許文献1のフィルターは、シリコンゴムの粘着力によりディスプレイの表面に貼り付けると、側方からの覗き見を防止することができ、また、ディスプレイへの貼り付けに接着テープを使用しないため、何度でも貼り直すことができるという利点を有するものである。
【0004】
また、本出願人は、実願2001−6572(実登3085227;特許文献2)において、側方からの覗き見を防止すると共に、周囲の光線の状況によって、側方から図柄や文字の表示が見えるディスプレイ用フィルターを提案している。
【0005】
この特許文献2のフィルターは、シリコンゴム製の透明帯と遮光帯とが交互に並ぶ導光フィルムの表面に透明な保護シートを積層固着し、シリコンゴムの粘着力により導光フィルムの裏面をディスプレイの表面に貼り付け、側方からの覗き見を防止するフィルターにおいて、前記保護シートの表面に、近紫外線を照射するブラックライトの光を当てると発光する透明な蛍光塗料を用いて、図柄や文字の装飾表示を印刷したのである。
【0006】
このようなフィルターをディスプレイに貼り付けると、正面側からは画面の表示がそのまま見え、側方からは画面の表示が見えず、ブラックライトの光が当たったとき、表面に描かれた図柄や文字のみが浮き上がって見える。
【特許文献1】特実用新案登録第3081299号公報
【特許文献2】特実用新案登録第3085227号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献2の考案は、ブラックライトの光が当たったとき、表面に描かれた図柄や文字のみが浮き上がって見える構成となっているので、ブラックライトを照射することや、図柄や文字の装飾表示を印刷するに際しブラックライトの光を当てると発光する透明な蛍光塗料を用いること、等の制約が多かった。
【0008】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、照射条件や塗料の使用条件等の制約を少なくでき、装飾の自由度を向上させることができる図柄付き覗き見防止フィルターを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は図柄付き覗き見防止フィルターであり、前述した技術的課題を解決するために以下のように構成されている。
すなわち、本発明の図柄付き覗き見防止フィルターは、ディスプレイの表面に貼り付け
て側方からの覗き見を防止する覗き見防止フィルターにおいて、
透明性が高い樹脂製の透明帯(3)と白色の樹脂製の遮光帯(4)とが交互に平面方向に立設された導光フィルム(1)と、この導光フィルム(1)の表面に積層固着した透明な保護シート(2)と、前記導光フィルム(1)の裏面に積層固着し前記ディスプレイに貼付可能な貼着シート(5)と、を有するフィルター本体(10)と、
このフィルター本体(10)の保護シート(2)側に貼付可能であり透明材質のシールに図柄(Zu)が印刷された図柄付きシール(20)と、を備えた図柄付き覗き見防止フィルターであって、
前記図柄付きシール(20)の前記図柄(Zu)は、すき間と網点の量を50%印刷で印刷されたことを特徴とする。
【0010】
このような図柄付き覗き見防止フィルターでは、視野角が一定範囲に制限され、また、図柄付きシール(20)が透明であることから、視野角の範囲内では、光の透過性が確保されている。そして、光は図柄付きシール(20)の印刷のすき間を通過する一方で、印刷の網点が相対的に希薄なものとなり、ディスプレイの画面の表示をそのまま見ることができる。
【0011】
一方、ディスプレイの画面の側方から見ると、図柄付きシール(20)の印刷のすき間を通過するディスプレイの画面の表示(光)が白色シリコン樹脂製の遮光帯(4)に妨げられて白色となり、この白色をバックに図柄(Zu)が浮き上がって見える。
【0012】
また、本発明の図柄付き覗き見防止フィルターは、ディスプレイの表面に貼り付けて側方からの覗き見を防止する覗き見防止フィルターにおいて、
透明性が高い樹脂製の透明帯(3)と白色の樹脂製の遮光帯(4)とが交互に平面方向に立設された導光フィルム(1)と、この導光フィルム(1)の表面に積層固着した透明な保護シート(2)と、前記導光フィルム(1)の裏面に積層固着し前記ディスプレイに貼付可能な貼着シート(5)と、を有するフィルター本体(10)と、
このフィルター本体(10)の保護シート(2)側に貼付可能であり透明材質のシールに図柄(Zu)が印刷された図柄付きシール(20)と、を備えた図柄付き覗き見防止フィルターであって、
前記遮光帯(4)は、前記図柄付き覗き見防止フィルターの側辺に対して20〜50度の角度となるように斜め方向に配設されていることを特徴とする。
【0013】
このような図柄付き覗き見防止フィルターでは、遮光帯を図柄付き覗き見防止フィルターの側辺に対して所定の角度α、すなわちα=20度〜50度程度の範囲で傾けた状態で形成することによって、遮光帯の方向がドットマトリクス配列の影響を受けることがなくなり、携帯電話機等のディスプレイ液晶のドットマトリクスの縦横方向とほぼ一致するために生じるモアレ(網目の重なりによって起こるまだら模様)を防止でき、側方からの覗き見を防止する効果を向上させることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、表示画面の視認性を確保しつつ、側方からの覗き見を防止することができるとともに、照射条件や塗料の使用条件等の制約を少なくでき、装飾の自由度を向上させることができる図柄付き覗き見防止フィルターが得られる。
【0015】
このため、本発明は、携帯電話機のアクセサリーとして、若者等の興味を惹き付ける効果が期待されるものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
[覗き見防止フィルターFの構成]
この発明に係る図柄付き覗き見防止フィルターFは、ディスプレイの表面に貼り付けて側方からの覗き見を防止する機能を有する。なお、図柄付き覗き見防止フィルターFの全体の平面形状は、例えば矩形であるが、適用する表示画面の形状に応じて適宜変更できる。そして、覗き見防止フィルターFは、図1に示すように、フィルター本体10と図柄付きシール20とから構成される。
【0017】
(フィルター本体10)
フィルター本体10は、透明性が高い樹脂製の透明帯3と白色の樹脂製の遮光帯4とが交互に平面方向に立設された導光フィルム1と、この導光フィルム1の表面に積層固着した透明な保護シート2と、導光フィルム1の裏面に積層固着しディスプレイに貼付可能な貼着シート5と、とから構成される。
【0018】
フィルター本体10の厚さ方向をZ方向、Z方向に垂直な面内における互いに垂直な2方向をそれぞれX方向、Y方向とすると、導光フィルム1を構成している透明帯3と遮光帯4はいずれもX方向に延びる帯状であり、Y方向において複数の透明帯3と複数の遮光帯4とが交互に配されている。複数の透明帯3のY方向の幅は均一であり、かつX方向において一定である。また複数の遮光帯4のY方向の幅も均一であり、かつX方向において一定である。
【0019】
透明帯3の材料としては、透明性が高い樹脂が用いられる。例えば、透明性が高い熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂が用いられ、具体例としては、セルロース系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、シリコーン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂等が挙げられる。中でもシリコーン樹脂が好ましく、特に耐熱性の点でシリコーンゴムが特に好ましい。
【0020】
遮光帯4の材料としては、透明帯3の材料として上記に挙げた樹脂を基材とし、これに白色の顔料や染料等の着色剤を添加してなる白色樹脂が好適に用いられる。
【0021】
貼着面側となる導光フィルム1の裏面には、凹凸を平滑化する鏡面仕上げが施されている。
【0022】
保護シート2は、特に、透明性と耐熱性の点からポリカーポネート樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル樹脂、ポリオレフィン系樹脂(特に、シクロオレフィンポリマー)、セルロース系樹脂が好ましく、中でもポリカーボネート、およびポリエステル樹脂がより好ましい。
【0023】
貼着シート5は、表示画面に対して再剥離可能に接着できる程度の粘着力を有するものであればよく、透明性が高いものが好ましい。また表示両面から剥離したときに糊残りが少ないものが好ましい。例えば、貼着シート5は再剥離可能な粘着剤として市販されている材料からなる層や、エラストマー(低架橋密良品のゲル状物質を含む)からなり表面(表示画面との接着面)を鏡面加工した層であることが好ましい。前記再剥離可能な粘着剤の具体例としては、アクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ゴム系粘着剤等が挙げられる。前記エラストマーの具体例としては、シリコーンゴム、シリコーングル、ウレタンゴム、ウレタングル等が挙げられる。これらの中でも、糊残りが少なく、透明性が高い点でシリコーンゴムが特に好ましい。本実施形態では、貼着シート5の外面が粘着性を有する面となっており、この面を表示画面に密着させることにより、繰り返し着脱可能に貼着させることができる。
【0024】
(図柄付きシール20)
図柄付きシール20は、保護シート2に対して再剥離可能に接着できる程度の粘着力を有するものであればよく、透明性が高い樹脂製のシールが好ましい。また、図柄付きシール20の外面が粘着性を有する面となっており、この面を保護シート2に密着させることにより、繰り返し着脱可能に貼着させることができる。更に、図柄付きシール20は、好みの図柄のものに交換することが可能である。
【0025】
そして、図柄付きシール20の裏面には、すき間と網点の量を50%印刷で図柄Zが印刷されている。すなわち、印刷は通常C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)およびK(ブラック)の各インキを網点条に媒体面(ここではシール20)に塗布することのより行われる。その印刷の濃度は通常60%以上であるが、本実施の形態では、これを50%印刷(すき間と網点の量の比率を50%:50%)としたものである。この比率が50%の印刷は通常の印刷と比較すると図柄Zが視覚的に薄いと感じるが、後述のように白色シリコンゴムを背景にした場合、図柄Zが浮き上がり明確に見える。なお、図柄Zには、絵柄のほか、販促品として配布するものなどでは、文字を描くこともある。また、印刷面も図柄付きシール20の裏面からに限定されるものではなく、表面側に印刷しても良い。
【0026】
[図柄付き覗き見防止フィルターFの作用]
次に、この実施の形態に係る図柄付き覗き見防止フィルターFの作用を説明する。
図柄付き覗き見防止フィルターFでは、図2に示すように、視野角θが一定範囲に制限され、また、図柄付きシール20が透明であることから、視野角θの範囲内では、光の透過性が確保されている。そして、光は図柄付きシール20の印刷のすき間を通過する一方で、印刷の網点が相対的に希薄なものとなり、ディスプレイの画面の表示をそのまま見ることができる。
【0027】
すなわち、上記のような図柄付き覗き見防止フィルターFを、図3に示すように、携帯電話機Pのディスプレイに貼り付けて、正面側から見ると、画面の表示をそのまま見ることができる。
【0028】
一方、図2及び図4に示すように、携帯電話機Pの側方から見ると、図柄付きシール20の印刷のすき間を通過するディスプレイの画面の表示(光)が白色シリコンゴム製の遮光帯4に妨げられて白色となり、この白色を背景に図柄Zが浮き上がって明確に見える。
【0029】
このため、上記のような図柄付き覗き見防止フィルターは、携帯電話機のアクセサリーとして、若者等の興味を惹き付ける効果が期待されるものとなる。
【0030】
以上のように、本発明を実施形態に基づいて記載したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではない。たとえば、遮光帯4は、図1に示したように、フィルター本体10の側辺に対して平行に設けているが、この場合、携帯電話機Pのディスプレイの画面を構成する液晶のドットマトリクスの縦横方向とほぼ一致するため、このドットマトリクスの縦方向の配列と遮光帯4の方向がほぼ一致してしまい、モアレ(網目の重なりによって起こるまだら模様)を生じる場合も考えられる。
【0031】
そこで、図5に示すように、遮光帯4をフィルター本体10の側辺51に対して所定の角度α、すなわちα=20度〜50度程度の範囲で傾けた状態で形成することによって、遮光帯4の方向がドットマトリクス配列の影響を受けることがなくなり、モアレを防止できる。
【0032】
この角度は、側辺51に対して20度〜50度程度の範囲であることが好ましい、これよりも小さな角度ではモアレが発生し、これよりも大きな角度では側方から覗き見防止効
果が減殺されてしまうからである。なお、本発明者らの実験によれば、30度程度がモアレもなく覗き見防止効果も高いことが判明した。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明の図柄付き覗き見防止フィルターは、例えば携帯電話、携帯情報端末(例えばPDA;Personal Didital Assistant)等における、情報表示体表示画面に適用して、該表示画面に表示された内容の覗き見を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の図柄付き覗き見防止フィルターの模式的斜視図である。
【図2】本発明の図柄付き覗き見防止フィルターの断面を一部拡大した図である。
【図3】本発明の図柄付き覗き見防止フィルターを携帯電話機に装着した状態を正面から見た図である。
【図4】本発明の図柄付き覗き見防止フィルターを携帯電話機に装着した状態を側方から見た図である。
【図5】本発明の図柄付き覗き見防止フィルターの変形例である。
【符号の説明】
【0035】
1 導光フィルム
2 保護シート
3 透明帯
4 遮光帯
5 貼着シート
10 フィルター本体
20 図柄付きシール
51 側部
Zu 図柄
P 携帯電話機
F 図柄付き覗き見防止フィルター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスプレイの表面に貼り付けて側方からの覗き見を防止する覗き見防止フィルターにおいて、
透明性が高い樹脂製の透明帯(3)と白色の樹脂製の遮光帯(4)とが交互に平面方向に立設された導光フィルム(1)と、この導光フィルム(1)の表面に積層固着した透明な保護シート(2)と、前記導光フィルム(1)の裏面に積層固着し前記ディスプレイに貼付可能な貼着シート(5)と、を有するフィルター本体(10)と、
このフィルター本体(10)の保護シート(2)側に貼付可能であり透明材質のシールに図柄(Zu)が印刷された図柄付きシール(20)と、を備えた図柄付き覗き見防止フィルターであって、
前記図柄付きシール(20)の前記図柄(Zu)は、すき間と網点の量を50%印刷で印刷されたことを特徴とする図柄付き覗き見防止フィルター。
【請求項2】
ディスプレイの表面に貼り付けて側方からの覗き見を防止する覗き見防止フィルターにおいて、
透明性が高い樹脂製の透明帯(3)と白色の樹脂製の遮光帯(4)とが交互に平面方向に立設された導光フィルム(1)と、この導光フィルム(1)の表面に積層固着した透明な保護シート(2)と、前記導光フィルム(1)の裏面に積層固着し前記ディスプレイに貼付可能な貼着シート(5)と、を有するフィルター本体(10)と、
このフィルター本体(10)の保護シート(2)側に貼付可能であり透明材質のシールに図柄(Zu)が印刷された図柄付きシール(20)と、を備えた図柄付き覗き見防止フィルターであって、
前記遮光帯(4)は、前記図柄付き覗き見防止フィルターの側辺に対して20〜50度の角度となるように斜め方向に配設されていることを特徴とする図柄付き覗き見防止フィルター。
【請求項3】
前記透明帯(3)は透明のシリコン樹脂製であり、
前記遮光帯(4)は、白色のシリコン樹脂製である請求項1または2に記載の図柄付き覗き見防止フィルター。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−140115(P2007−140115A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−333820(P2005−333820)
【出願日】平成17年11月18日(2005.11.18)
【出願人】(592045821)株式会社サンクレスト (8)
【Fターム(参考)】