説明

図面管理装置

【発明の詳細な説明】
〔産業上の利用分野〕
本発明は水道,ガスの配管系統や電気,電話の配線系統などの施設図面をディジタル情報化して管理する図面管理装置に関する。
〔従来の技術〕
従来、水道,ガス,電気,電話などの配管,配線系統などの施設の状況管理は紙やポリエステルフィルムに描いた図面を用いて行っている。この際、施設に変更が生じると図面を修正することを必要とする。図面の修正作業は総て人手により行わなければならず、多くの労力および時間を要すると共に誤記の生ずる割合が高いという問題点を持っている。この問題点を解決するため、例えば特開昭63−254565号公報に記載されているように施設図面をディジタル情報化して管理するためにはファイル装置に記憶されている多数の施設図面(地形図,系統図,シンボル図など)をディスプレイ装置にモニタ表示して行っている。また、図面の修正作業もディスプレイ装置に表示して行っている。
〔発明が解決しようとする課題〕
上記従来技術では、工事による断水区域を画面表示することはできる。断水区域は工事の対象となる配管に影響をあたえる弁により決定されるので弁の閉栓順序は重要となっている。したがってディスプレイに断水区域を表示するだけでなく、弁の閉栓順序を表示することが要求される。
本発明の目的は弁の閉栓順序を迅速に判断でき誤作業を防止できるようにした図面管理装置を提供することにある。
〔課題を解決するための手段〕
本発明は上記目的を達成するために、工事の対象となる管を指示した時、断水する需要家を張調するだけでなく、閉栓しなければならない弁を強調し順位付けを行うようにする。
〔作用〕
弁の閉栓順位決定は、管属性などの条件のあるネットワーク管網圧力計算により求められた流向から工事に影響をあたえる弁を通る流向を決定する。また、熟練者の経験による知識を記憶しておき、管網計算と合せて弁の順位を決定する。
〔実施例〕
以下、本発明の一実施例を図面を参照して説明する。
第2図は本発明の一実施例である図面管理装置の基本構成図である。
第2図においてファイル装置203には施設図面データが格納されている。施設図面データは地形図や管路図などの図形データと図形に関係する町名,個人名,管理口径,管種などの、文字・数値で表現される属性データとがある。格納されている図形データは紙に書いた図面を一定間隔でスキャンして読取りデータの濃淡に応じて濃淡階調化し、ディジタル画像を得てコード化したデータを得る図面入力装置204から入力する。施設図面は第3図R>図(a)に示すように複数図面から成り、各々分割して図形データファイルを作る。図形データは第3図(b)のように直交座標系で示され図面サイズでそのX,Y軸方向の長さX0,Y0が決まる。これらの図形データは第4図(b)〜(d)のように道路,家枠,管路と階層分離したデータ記憶構造となっている。これらのデータを必要に応じて各階層を重ね合わせ第4図(a)のような図形データにする。一方、属性データはキーボード206またはフロッピーディスクなど一括してデータを入力できるデータ入力装置208を用いてファイル装置203へ入力する。オペレータがマウス207を操作してディスプレイ装置(CRT)205上に図面を表示するには、まずオペレータがマウス207を操作してCRT画面上に表示してある機能選択用のアイコンへカーソルCUを移動して指定する。「図面読出し」のアイコンを指定すると、中央処理装置(CPU)201はファイル装置203から該当の図面データ(図形データとその属性データ)を検索しメインメモリ202に一時格納する。メインメモリ202は画面データの検索や編集などの処理を実行するためのプログラムや処理中のデータを記憶する働きをする。メインメモリ202に一時記憶している図面データはCRT205の表示領域である有効表示座標に合わせて、CPU201でデータ編集された後にCRT205に表示される。オペレータはこの表示画面により目的の図面内容を知ることができる。なお、細かな部分を把握するには部分拡大して表示する。このためには例えばマウス207によりカーソルCUを移動させてCRT表示領域から矩形の任意領域を対角線上の両端で指定して任意倍率に拡大あるいは縮小させる。具体的にメインメモリ202に記憶されている該当図面データの一部をCPU201を介して拡大・縮小編集しCRT205に表示する。
次に熟練者の知識,管網計算結果による弁閉栓順序決定及び表示機能について説明する。
第1図は本発明の実施例の要部を示す構成図であり、ディスプレイ表示面101は目的の図面を検索表示するための機能選択をするマウス操作用アイコン領域102,画面や弁閉栓順序日本語表示,工事情報表示を表示する図面表示領域103から構成されている。マウス207はマウス操作用アイコン領域102からの機能選択と図面表示領域103に表示された図面の位置の指示,工事対象管路の指示に用いられ、キーボード206は図面検索条件の設定に用いられ、キーボード206,マウス207からの入力はCPU201内の操作入力部104に取込まれる。ファイル装置203内には図面ファイル,管網計算ファイル,熟練者知識ファイルが格納されている。
次にCPU201内の各機能の働きと操作,表示の関係を第1図1図及び第5図により説明する。まず工事対象管路図を前記「図面読出し」機能による検索表示を図面検索部106が行う。次に工事対象管路をマウス207によるカーソルNCUで指示することにより操作入力部104より工事断水制御部105を起動する。工事断水制御部105は流向弁優先度検索部109を起動し、工事対象管路付近の管網計算を行なわせる。流向弁優先度検索部109では計算後結果をファイル装置203内の管網計算ファイルに格納する。この時の計算結果とは管の水圧,流量,流向等である。次に工事断水制御部105は断水区域検索部107を起動し、断水区域検索部107では、図面上の工事対象管を含み弁により閉領域となる弁及び管路を検索し表示編集部110にて弁管路を強調表示させる。断水区域検索部107はまた強調表示している管路に接続されている需要家をファイル装置203内の図面ファイルから図面検索部106により検索を実行する。この時図面検索部106は需要家の家枠や属性情報を検索する。断水区域検索部107は、この検索された需要家を工事の断水需要家とし、表示編集部110により管路図上において家枠を強調表示し、断水需要家の属性情報を一覧リスト表示させる。
次に工事断水制御部105は断水区域検索部107により検索された弁について流向弁優先度検索部109を起動し流向弁優先度検索部109から送られた弁の閉栓優先度により弁閉栓順序決定部108を起動させる。流向弁優先度検索部109では、ファイル装置203内の管網計算ファイル内の流向,熟練者知識ファイルから弁の閉栓優先度を決定する。またこの時熟練者知識ファイル内において特記事項,工事情報は第7図の表示例のように図面表示領域103に表示される。弁順序決定部では、閉栓する弁の順序を決定し第6図(B)のような日本語表示にて表示編集部により表示させる。第6図(A)は、閉栓する弁の強調表示例でありこれに第6図(B)の閉栓順序日本語表示、第7図の工事情報を重ね合せ、各々拡大,縮少移動が任意にマウス207により行える。
工事竣工後のノウハウや情報はキーボード206から熟練者知識ファイルへ随時入力する。
〔発明の効果〕
以上説明したように、本発明は、管網計算結果の流量や熟練者のノウハウを基に弁の閉開栓の順序を決定するため、適確かつ迅速に把握でき、配管工事の能率を上げ誤作業がなくなる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一実施例の要部を示す構成図、第2図は本発明の一実施例を示す全体構成図、第3図はファイル装置に格納されている図面構成と図形座標の関係を示す図、第4図は図形データの階層構成図、第5図は処理流れ図、第6図(a),(b)及び第7図は表示例を示す図である。
101……ディスプレイ表示面、102……マウス操作用アイコン領域、103……図面表示領域、104……操作入力部、105……工事断水制御部、106……図面検索部、107……断水区域検索部、108……弁順序決定部、109……流向弁優先度検索部、110……表示編集部、201……CPU、202……メインメモリ、203……ファイル装置、204……図面入力装置、205……CRT、206……キーボード、207……マウス、208……データ入力装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】施設全体の施設図面を管理領域単位毎に複数に分割しディジタル情報として格納すると共に図形毎の属性情報を格納する第1記憶手段と、該第1記憶手段に格納すべき分割施設図面情報を入力する図面入力装置と、前記第1記憶手段に格納すべき属性情報を入力するデータ入力装置と、前記第1記憶手段に格納にされている必要とする分割施設図面情報と属性情報または前記図面入力装置から与えられる分割施設図面情報を一時記憶する第2記憶手段と、該第2記憶手段に記憶された分割施設図面情報の一部あるいは全部さらには分割施設図面情報と属性情報をモニタ表示するディスプレイ装置と、前記第1記憶手段から前記第2記憶手段に一時記憶させる分割施設図面の位置座標と前記第2記憶手段から前記ディスプレイ装置にモニタ表示させる分割施設図面の位置座標および前記ディスプレイ装置に表示された分割施設図面を修正するための図面修正情報を入力する操作入力手段と、これら各手段ならびに装置の制御を司るディジタル処理装置と、前記第1記憶手段に格納した施設系統計算の結果を格納した前記第1記憶を用いて弁開閉順序を決定する弁開閉順序決定手段と、前記ディスプレイ装置に弁開閉順序を表示する表示手段とを具備することを特徴とする図面管理装置。

【第3図】
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【第6図】
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【第1図】
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【第2図】
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【第7図】
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【第4図】
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【第5図】
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【特許番号】特許第3047993号(P3047993)
【登録日】平成12年3月24日(2000.3.24)
【発行日】平成12年6月5日(2000.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平2−329010
【出願日】平成2年11月30日(1990.11.30)
【公開番号】特開平4−205181
【公開日】平成4年7月27日(1992.7.27)
【審査請求日】平成9年12月1日(1997.12.1)
【出願人】(999999999)株式会社日立製作所