説明

固体培養装置の軸受構造

【課題】中心支柱に対して培養床を簡便に組み付けることができる軸受構造を提供することを目的とする。
【解決手段】
固体培養原料を載置する培養床1を、培養床1の外縁側に配した複数の外縁側ローラ24と培養床1の内縁側に配した複数の内縁側ローラによって、中心支柱21に対して回転可能に支持する固体培養装置において、前記中心支柱21は培養床1を貫通し培養床1の回転中心軸となるものであって、前記内縁側ローラは培養床1の下部に配され中心支柱21に対して位置固定されるローラであって、その形状が培養床1の外縁側から内縁側に向けて外径が徐々に小さくなるように構成されたテーパーローラ23であることを特徴とする固体培養装置の軸受構造2によって上記の課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は味噌、醤油、清酒等の醸造工業や酵素工業で利用する固体培養装置の軸受構造に関する。詳しくは、固体培養装置の培養床をローラで支える軸受構造に関する。
【背景技術】
【0002】
麹菌等の微生物を蒸米等の固体原料で培養するには製麹装置等の固体培養装置が用いられる。
【0003】
例えば、特許文献1には、培養床を中心支柱に対して回転可能に支持してなる固体培養装置が開示されている。このような装置では、固体原料の手入れや培養物の排出を行うために培養床が中心支柱に対して回転可能に取り付けられる。
【0004】
従来、培養床を中心支柱に対して回転可能に取り付けるためには、リング形状のラジアルベアリングやスラストベアリングが一般的に用いられてきた。上述の特許文献1においても、リング形状のベアリングを採用している。
【0005】
一方、特許文献1は、軸受2を単数のラジアルベアリングとすることで、部品点数を減らしコストの低減を実現している点で優れる(図2等)。しかし、特許文献1のラジアルベアリングはリング形状であり、中心支柱を通して固定しているため、取り付けや取り外しが容易でなく、メンテナンス性に問題があった。また、メンテナンス性を考慮して図3のような分割型の特殊なベアリングを採用することも考えられるが、リングが分割されているため円滑な回転が得られないという欠点があった。また、分割型のベアリングは汎用品ではないため、コストがかかるという問題があった。
【0006】
培養床の外縁部分に関しては、培養床の下側からローラで支持する構成が一般的である。例えば、特許文献2の図1には、培養床1の外縁を支持ローラ6で支持する構成が開示されている。さらに図2には、培養床1の中央付近下方のベース17上に位置固定される架台21に支持された内周部支持ローラ22が開示されている。
【0007】
特許文献2の支持ローラ22は円筒の胴の部分に凹溝を設けたボビンのような形状をしている。このような形状の支持ローラでは、ローラ当接部20と支持ローラ22の接触面積が小さいために、支持ローラとローラ当接部の当接面に荷重が集中して偏摩耗しやすく、培養床の回転に振れが生じやすいという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】実開平7−5399
【特許文献2】特開平11−42079
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は中心支柱に対して培養床を簡便に組み付けることができる軸受構造を提供することを目的とする。また、軸受が摩耗した際の軸受の取り換えが容易である軸受構造を提供することも本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
固体培養原料を載置する培養床を、培養床の外縁側に配した複数の外縁側ローラと培養床の内縁側に配した複数の内縁側ローラによって、中心支柱に対して回転可能に支持する固体培養装置において、前記中心支柱は培養床を貫通し培養床の回転中心軸となるものであって、前記内縁側ローラは培養床下部に配され中心支柱に対して位置固定されるローラであって、その形状が培養床の外縁側から内縁側に向けて外径が徐々に小さくなるように構成されたテーパーローラであることを特徴とする固体培養装置の軸受構造によって上記の課題を解決する。
【0011】
上述のとおり、従来の固体培養装置は中心支柱に対して培養床を回転可能に組み付けるための軸受構造として、中心支柱を通して取り付けるリング形状の軸受を採用していた。このような軸受構造では、軸受が摩耗した際に培養床等の部材を外してから新しい軸受に中心支柱を通して取り付ける必要があり、メンテナンスに大きな労力とコストを要した。
【0012】
この問題を解決するために、発明者らはローラに着目した。すなわち、培養床を支える部材として軸受にローラを採用し、軸受の交換が容易な本発明の軸受構造を完成したのである。本発明の軸受構造によれば、培養床等をジャッキスタンド等の適宜の位置固定手段で位置固定するだけで、簡単に摩耗したローラを取り換えることができる。
【0013】
さらに、本発明ではローラの形状を培養床の外縁側から内縁側に向けて外径が徐々に小さくなるテーパー形状とする。具体的な形状としては、円すい形状や、先端に近づくにつれて径が小さくなる円すい台形状が挙げられるが、円すい台形状のローラに補強部材を取り付けたローラや、角を面取りしたローラとしてもよい。
【0014】
上述のローラの形状が培養床の外縁側から内縁側に向けて外径が徐々に小さくなるとは、テーパーローラを円すい台形状とした場合であれば、面積の大きい底面が培養床の外縁側になるようにテーパーローラを中心支柱に対して位置固定することをいう。
【0015】
培養床は外縁に近づくほど回転半径が大きくなる。したがって、培養床が回転した場合、培養床の内縁側の任意の一点の移動距離である周長と外縁側の任意の一点の移動距離である周長を比較すると、回転半径の大きい外縁側の点の周長が大きくなる。本発明ではローラにテーパーをつけ、内縁側から外縁側に向けて大きくなる周長にローラを合わせることで、ローラを安定して回転させることができる。これにより、培養床とテーパーローラの回転のずれに起因するテーパーローラの偏摩耗を効果的に防ぐことができる。
【0016】
培養床下部には、テーパーローラが当接する部材である受座を配置する。つまり、受座としてテーパーローラの配置角度を調整する部材やライナーを培養床に位置固定する。したがって、受座は培養床と共に回転する。さらに、受座は摩耗したら交換できるように培養床に対して脱着可能に設けると良い。テーパーローラの配置角度を調整する受座の形状としては、上方から下方に向けて外径が徐々に小さくなる円すい台形状や、円柱の底面を円すい形状にくり抜いた形状が挙げられる。
【0017】
テーパーローラが当接する受座の回転とテーパーローラの回転を同調させるには、内縁側テーパーローラの回転中心軸から延びる延長線(仮想線)と、培養床下部に位置固定され培養床と共に回転する受座にテーパーローラが当接する線から延びる延長線とが、中心支柱の中心軸線上の一点で交わるように構成することが好ましい。このように構成することで、受座とテーパーローラの回転を同調させることができる。ここでいう一点とは、装置を組み立てる際に生じる程度の多少のずれは許容されるという意味である。
【0018】
上記の任意の一点を培養室の底面寄りに設定すれば、受座にテーパーローラが当接する線から延びる延長線と、中心支柱の中心軸線とによって形成される角度θを鋭角に構成することができる。逆に上記の任意の一点を培養室の天井寄りに設定すれば、後述の角度θを鈍角に構成することができる。
【0019】
テーパーローラは培養床に対して任意の角度で配置することできるが、受座にテーパーローラが当接する線が略水平となるように配置すれば、培養床や固体培養原料に起因するスラスト荷重(鉛直方向の荷重)を、テーパーローラで安定して受けることができる。この場合、駆動用のギアによって生じるラジアル荷重(鉛直方向に直交する方向の荷重、後述の図9参照)によって培養床の回転に横方向の振れが生じるため、培養床の所定の位置に複数の振止用ローラを配置することが好ましい。ここでいう略水平とは、装置を組み立てる際に生じる程度の多少のずれは許容されるという意味である。
【0020】
上述の振止用ローラを配置する位置や位置固定する手段は特に限定されない。例えば、配置位置に関しては、培養床の床上又は床下のいずれでもよく、培養床の外縁側又は内縁側のいずれでもよい。また、位置固定する手段としては、内縁側に振止用ローラを配置する場合は、中心支柱又は培養床のいずれかに対して固定すればよいし、外縁側に振止用ローラを配置する場合は培養室の側壁又は培養床に対して固定すればよい。中でも、内縁側の培養床上部へ複数の振止用ローラを位置固定する配置が、強度が高く、また部材が少なく低コストなため、特に好ましい。
【0021】
受座にテーパーローラが当接する線が略水平となるように配置して、スラスト荷重をテーパーローラで受け、ラジアル荷重を振止用ローラで受けることにより、培養床の荷重を2種類のローラに分散させることができる。この構成はスラスト荷重が大きくなる培養床の直径が10m以上の大型固体培養装置に有効である。
【0022】
一方、テーパーローラを培養床に対して傾けて配置することで、上記のスラスト荷重及びラジアル荷重を培養床下部に配したテーパーローラで主に受けさせることができる。これにより、振止用ローラを省略することができるので、装置の製造コストを低減することが可能になる。ここでいう「傾けて配置」とは、目安として培養床と共に回転する受座にテーパーローラが当接する線から延びる延長線と、中心支柱の中心軸線とによって形成される角度θが30〜80°の鋭角である状態、又は角度θが100〜150°の鈍角である状態をいう。
【0023】
テーパーローラの数は特に限定されず、装置の大きさによって適宜選択すればよい。振止用ローラについても、同様である。
【発明の効果】
【0024】
本発明の軸受構造を採用することで、装置の組み立て工程が簡素化され、組み付け作業を効率化することが可能となる。また、軸受の交換が極めて容易となる。
【0025】
本発明の軸受構造は、内縁側ローラとしてテーパーローラを採用する。本発明のテーパーローラは従来のボビン形状の内縁側ローラに比べて大きな面積で培養床の荷重を受け止めることができるので、ローラの一点に荷重が集中して偏摩耗することがない。
【0026】
本発明の軸受構造は、内縁側テーパーローラの回転中心軸から延びる延長線と、培養床下部に位置固定され培養床と共に回転する受座にテーパーローラが当接する線から延びる延長線とが、中心支柱の中心軸線上の一点で交わるように構成する。これにより、受座とテーパーローラの内縁側から外縁側に至る当接する線上での回転を同調させることができる。当接する線上での回転のずれに起因する応力が生じないので、テーパーローラが偏摩耗するおそれがない。
【0027】
スラスト荷重を受け止めるテーパーローラと、ラジアル荷重を受け止める振止用ローラを別々に設けることで、大型固体培養装置であっても培養床の安定した回転を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の軸受構造を適用した固体培養装置の断面図である。図中の一点鎖線で囲んだ領域を拡大して示した(実施例1)。
【図2】図1の固体培養装置の中心支柱の周辺の拡大図である。図中左側の振止用ローラとテーパーローラは断面で示した(実施例1)。
【図3】培養床と共に回転する受座にテーパーローラが当接する線から延びる延長線と、中心支柱の中心軸線とによって形成される角度θを鋭角にした軸受構造を備える固体培養装置の断面図である。図中の一点鎖線で囲んだ領域を拡大して示した(実施例2)。
【図4】図3の固体培養装置の中心支柱の周辺の拡大図である。図中左側のテーパーローラは断面で示した(実施例2)。
【図5】実施例2の軸受構造において、テーパーローラの回転面が当接する部分に、受座の一部としてライナーを配置した軸受構造である。図中左側のテーパーローラは断面で示した(実施例3)。
【図6】培養床と共に回転する受座にテーパーローラが当接する線から延びる延長線と、中心支柱の中心軸線とによって形成される角度θを鈍角にした軸受構造を備える固体培養装置の断面図である。図中左側のテーパーローラは断面で示した。(実施例4)
【図7】実施例4の軸受構造において、テーパーローラの回転面が当接する部分に、受座の一部としてライナーを配置した軸受構造である。図中左側のテーパーローラは断面で示した(実施例5)。
【図8】図1の培養床の内縁側の上部に配した振止用ローラに代えて培養床の外縁側に取り付けられる別例の振止用ローラを示した図である(実施例6)。
【図9】駆動ギアによって培養床に加えられるラジアル荷重の方向を模式的に示した図である。図中ラックピンを破線で、駆動ギアのピッチ円を一点鎖線で示した。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施例について図を参照しながら説明するが、本発明の実施の形態は以下の実施例に限定されるものではない。
【0030】
図1〜9に示したように、本発明は、固体培養原料を載置する培養床1を、培養床1の外縁側に配した複数の外縁側ローラ24と培養床1の内縁側に配した複数の内縁側ローラ(テーパーローラ23)によって、中心支柱21に対して回転可能に支持する固体培養装置の軸受構造2に関する。本発明の軸受構造2は、培養床1を貫通し培養床1の回転中心軸となる中心支柱21と、培養床1の内縁側の下部に配され中心支柱21に対して位置固定される複数のテーパーローラ23とからなる。このテーパーローラ23と前記の外縁側ローラ24の上に培養床1を載せて、中心支柱21に対して培養床1を回転可能に支持する。
【0031】
〔実施例1〕
テーパーローラ23の形状は、円すい形状、円すい台形状などを採用し得るが、本実施例では図1及び図2に示したように、円すい台形状のテーパーローラ23を使用した。テーパーローラ23の上面と底面の距離である高さは115mmとした。このテーパーローラ23の底面が培養床1の外縁側を向くようにして、中心支柱21に対して位置固定する。つまり、テーパーローラ23は培養床1の外縁側から内縁側に向けて外径が徐々に小さくなるように設置する。詳しくは、テーパーローラ23は、中心支柱21に固定した受台231の上に設けたホルダー232に位置固定し、そこに回転軸233を通すことにより、培養床1に対して回転可能に支持した(図2参照)。テーパーローラ23は中心支柱21の外周に沿って等間隔に計8個設置した(図示略)。
【0032】
また、図1に示したように、外縁側ローラ24は、円柱形状で高さが57mmのローラを使用した。この円柱形状のローラを培養床1の外縁側の下部に56個設置した(図示略)。外縁側ローラ24は固体培養装置の側壁16に固定した。
【0033】
図2に示したように、実施例1では、受座として設けたライナー25にテーパーローラ23が当接する線から延びる延長線32と、中心支柱21の中心軸線31とによって形成される角度θが90°となるように、テーパーローラ23を培養床1下部に位置固定した。テーパーローラ23は、円すいころ軸受234によって回転軸233に対して回転可能に取り付けた(図2の拡大図参照)。
【0034】
また、図2に示したように、テーパーローラ23を中心支柱21に対して位置固定するに際して、内縁側テーパーローラ23の回転中心軸から延びる延長線33と、培養床1下部に位置固定され培養床1と共に回転するライナー25(受座)にテーパーローラ23が当接する線から延びる延長線32とが、中心支柱21の中心軸線31上の一点で交わるようにした。これにより、安定して培養床1を回転させることができた。
【0035】
さらに、本実施例では、培養床1の内縁側の上部にラジアル荷重(図9の模式図参照)を受け止める振止用ローラ22を培養床1の内縁側の上部(フレーム14の上面)に6個配置した(図示略)。振止用ローラ22は、フレーム14の上面に配される台座222に回転軸221を設けて、回転軸221にローラを取り付ける構造とした。
【0036】
本実施例の固体培養装置の培養床1は、固体原料を堆積する多孔板11と、多孔板11下部のフレーム14とで構成される。また、多孔板11の内縁側には中心円筒13を設け、外縁側には側板12を設ける。フレーム14の外縁側には培養床1を回転させるための環状ラックピン15を固定してある。ラックピン15は外縁側ローラ24の上に載置され、培養床1と一体に回転するようにした。手入れや、固体培養原料を排出する時は、駆動ギア17(図9参照)から培養床1の外縁に位置固定したラダー形状の前記ラックピン15へと動力を伝達して、培養床1を回転させる。実施例1の培養床1は直径を15mとした大型固体培養装置である。
【0037】
[実施例2]
図3及び4に示したように、実施例2では、培養床1と共に回転する受座26に、テーパーローラ23が当接する線から延びる延長線32と、中心支柱21の中心軸線31とによって形成される角度θが45°となるように、テーパーローラ23を培養床1の下部に位置固定した。具体的には、中心支柱21に固定される受台231の上にホルダー232を固定し、そのホルダー232に回転軸233を固定した。このテーパーローラ23の上に、角度調整用の受座26を固定した培養床1を載置した。角度調整用の受座26は、図4の断面図に示したように、上方から下方に向けて外径が徐々に小さくなる円すい台形状の部材の中心に中心支柱21を通すための孔を開けた部材である。角度調整用の受座26の孔の外径は、中心支柱21の外径よりも多少大きくなるようして、受座26と中心支柱21の間には数cmのクリアランスが形成されるようにした。また、角度調整用の受座26は、摩耗時の部品交換の利便性を考慮して2分割とした。
【0038】
本実施例では、斜め(角度θ=45°)に配置したテーパーローラ23がスラスト荷重とラジアル荷重を受け止めるため、実施例1の振止用ローラ22を省略した。また、実施例2の培養床1の直径は7m、テーパーローラ23は4個、外縁側ローラ24は20個であった。その他の点は、実施例1の固体培養装置と同様の構成とした。
【0039】
[実施例3]
図5に示したように、実施例3では、実施例2の角度調整用の受座26にテーパーローラ23が当接する部分に、環状のライナー28を受座の一部として交換可能に取り付けた。ライナー28は摩耗時の部品交換の利便性を考慮して2分割とした。換言すると、実施例3の受座は、角度調整用の受座26と環状のライナー28とからなる。本実施例では角度調整用の受座26が摩耗することがないので、角度調節用の受座26は分割型ではなく、一体に成型した。その他の装置構成は、実施例2と同様にした。
【0040】
[実施例4]
図6に示したように、実施例4では、培養床1と共に回転する受座27にテーパーローラ23が当接する線から延びる延長線32と、中心支柱21の中心軸線31とによって形成される角度θが150°となるように、テーパーローラ23を培養床1の下部に位置固定した。具体的には、中心支柱21に固定される受台231の上にホルダー232を固定し、そのホルダー232に回転軸233を固定した。このテーパーローラ23の上に、角度調整用の受座27を固定した培養床1を載置した。角度調整用の受座27は、図6の断面図に示したように、円柱の底面を円すい形状にくり抜いた形状の部材の中心に中心支柱21を通すための孔を開けた部材である。角度調整用の受座27の孔の外径は、中心支柱21の外径よりも多少大きくなるようして、受座27と中心支柱21の間には数cmのクリアランスが形成されるようにした。また、角度調整用の受座27は摩耗時の部品交換の利便性を考慮して2分割とした。
【0041】
本実施例では、斜め(角度θ=150°)に配置したテーパーローラ23がスラスト荷重とラジアル荷重を受け止めるため、実施例1の振止用ローラ22を省略した。また、実施例4の培養床1の直径は7m、テーパーローラ23は4個、外縁側ローラ24は20個とした。その他の点は実施例1の固体培養装置と同様の構成とした。
【0042】
[実施例5]
図7に示したように、実施例5では、実施例4の角度調整用の受座27にテーパーローラ23が当接する部分に、環状のライナー29を受座の一部として交換可能に取り付けた。ライナー29は摩耗時の部品交換の利便性を考慮して2分割とした。換言すると、実施例5の受座は、角度調整用の受座27と環状のライナー29とからなる。本実施例では、角度調整用の受座27が摩耗することがないので、角度調節用の受座27は分割型ではなく、一体に成型した。その他の装置構成は、実施例4と同様にした。
【0043】
[実施例6]
図8に示したように、実施例6では、実施例1の内周側に設けた振止用ローラ22に代えて、振止用ローラ22を培養床1の外縁側に設けた。本実施例では、振止用ローラ22の台座222を固体培養装置の側壁16に固定して、台座222から回転軸221を突設させる構造とした。振止用ローラ22が当接する部分には、側板12の摩耗を考慮して交換可能な環状の板材223を取り付けた。本実施例の振止用ローラ22の数は6個とした(図示略)。
【0044】
実施例1〜6の軸受構造2は、テーパーローラ23の交換が極めて容易であった。また、内縁側ローラをテーパー形状にしたことで、安定して培養床1を回転させることができた。
【符号の説明】
【0045】
1 培養床
11 多孔板
12 側板
13 中心円筒
14 フレーム
15 ラックピン
16 側壁
17 駆動ギア
2 軸受構造
21 中心支柱
22 振止用ローラ
221 回転軸
222 台座
223 板材
23 テーパーローラ
231 受台
232 ホルダー
233 回転軸
234 円すいころ軸受
24 外縁側ローラ
25 ライナー
26 角度調整用の受座(鋭角)
27 角度調整用の受座(鈍角)
28 ライナー(鋭角)
29 ライナー(鈍角)
31 中心支柱の中心軸線
32 テーパーローラと受座が当接する線から延びる延長線
33 テーパーローラの回転中心軸から延びる延長線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体培養原料を載置する培養床を、培養床の外縁側に配した複数の外縁側ローラと培養床の内縁側に配した複数の内縁側ローラによって、中心支柱に対して回転可能に支持する固体培養装置において、前記中心支柱は培養床を貫通し培養床の回転中心軸となるものであって、前記内縁側ローラは培養床下部に配され中心支柱に対して位置固定されるローラであって、その形状が培養床の外縁側から内縁側に向けて外径が徐々に小さくなるように構成されたテーパーローラであることを特徴とする固体培養装置の軸受構造。
【請求項2】
内縁側テーパーローラの回転中心軸から延びる延長線と、培養床下部に位置固定され培養床と共に回転する受座にテーパーローラが当接する線から延びる延長線とが、中心支柱の中心軸線上の一点で交わるように構成された請求項1に記載の固体培養装置の軸受構造。
【請求項3】
複数の振止用ローラを配置した請求項1又は2のいずれかに記載の固体培養装置の軸受構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−152061(P2011−152061A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−14467(P2010−14467)
【出願日】平成22年1月26日(2010.1.26)
【出願人】(000223931)株式会社フジワラテクノアート (22)
【Fターム(参考)】