説明

固定具およびトレーニングキット

【課題】擬似管状臓器の切開部における拡開度合いが調整可能な固定具およびトレーニングキットを提供する。
【解決手段】柔軟性のチューブからなる擬似管状臓器42Aと表面に擬似管状臓器42Aの少なくとも一部が埋設される台座43とを備えた擬似管状臓器モデル41Aを固定するために用いられる固定具1Aであって、擬似管状臓器モデル41Aが載置された際に、台座43を湾曲させると共に、台座43の湾曲率を調整するモデル固定部2Aを備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外科手術の訓練に用いる擬似管状臓器モデルを固定するための固定具、および、それを用いたトレーニングキットに関する。
【背景技術】
【0002】
外科用手術の訓練に用いる擬似管状臓器モデルの代表的なものとして、擬似血管モデルが挙げられる。
従来から、医師は、外科手術において、血管の切開、その切開部の縫合、血管同士の吻合などの手技を行うことがある。例えば、心臓の冠状動脈の一部が狭窄した場合、医師は、その患者の他の部位から動脈の一部をグラフト(代替血管)として切り出し、そのグラフトを用いて、狭窄箇所を回避する血流路を確保するための血管バイパス手術を行う。
【0003】
このような手術には、高度に熟練した技術が求められる。そこで、医師は、円筒形状のチューブからなる擬似血管を備えた擬似血管モデルを用いて手技の訓練を行うことがある。なお、実際の血管では、血管壁を軸方向に切開すると、その切開部が周方向に拡開し、盛り上がる。しかし、図11(a)、(b)に示すように、通常のチューブからなる擬似血管101では、その血管壁102を軸方向に切開した場合、スリットができるだけで、切開部103が周方向に拡開しない。そして、訓練用の擬似血管としては、当然、切開時に実際の血管の場合と近い状態となるものが望まれる。
【0004】
そこで、例えば、特許文献1では、円筒形状のチューブからなる模擬(擬似)血管と、この擬似血管を支持する台座とを備えた手技訓練用血管モデル(以下、血管モデル)が記載されている。そして、特許文献1に記載された血管モデルでは、擬似血管111の一部を埋設した台座(図示せず)に、その擬似血管111を外側に引っ張る残留応力を存在させることで、血管壁112を軸方向に切開するとその切開部113が周方向に拡開するという、実際の血管に近い擬似血管111を実現している(図12(a)、(b)参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4326011号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載された血管モデルでは、台座は擬似血管が埋設された第1部材と、この第1部材に貼り合わされた第2部材とを備える。また、第1部材は、擬似血管に外向きの引張力が作用する状態で第2部材に貼り合わされ、第2部材と一体化している。したがって、擬似血管に作用する引張力が一定で変化しないため、擬似血管の切開部における拡開度合いも一定で変化しない。その結果、訓練する手技に応じて血管モデルを作製することとなり、数種の手技の訓練の際には、数種の血管モデルを作製する必要があり、コスト高となる。また、手技に応じて血管モデルを交換する必要があり、訓練作業が煩雑となる。
【0007】
そこで、本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、血管モデル等の擬似管状臓器モデルを固定するために用いられる固定具およびそれを用いたトレーニングキットにおいて、擬似管状臓器の切開部における拡開度合いが調整可能な固定具およびトレーニングキットを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、本発明は、柔軟性のチューブからなる擬似管状臓器と表面に前記擬似管状臓器の少なくとも一部が埋設される台座とを備えた擬似管状臓器モデルを固定するために用いられる固定具であって、前記固定具は、前記擬似管状臓器モデルが載置された際に、前記台座を湾曲させると共に、前記台座の湾曲率を調整するモデル固定部を備えることを特徴とする固定具である。
【0009】
前記構成によれば、擬似管状臓器モデルが載置された際に、台座を湾曲させ、その湾曲率を調整するモデル固定部を備えることによって、台座には湾曲方向へ引張の残留応力が存在することになり、台座に埋設された擬似管状臓器にも台座と同じ方向へ引張力が作用する、すなわち、擬似管状臓器に外側の引張力が作用する。これにより、擬似管状臓器を軸方向(軸線方向)へ切開すると切開部は周方向に拡開する。また、湾曲率が調整されることによって、切開部の拡開度合いを調整することが可能となる。
【0010】
また、本発明は、前記モデル固定部が、前記台座の前記裏面に当接する円軌跡の一部からなる湾曲面を有する複数の円形湾曲台と、複数の前記円形湾曲台から選択された1つの前記円形湾曲台を着脱自在に支持する円形支持台とを備え、複数の前記円形湾曲台の前記湾曲面の湾曲率が互いに異なると共に、前記円形支持台に支持される前記円形湾曲台を取り換えることによって、前記台座と当接する前記湾曲面の湾曲率を変化させることを特徴とする固定具である。
【0011】
前記構成によれば、円形湾曲台の当接によって台座を湾曲させると共に、円形湾曲台を取り替えるという簡易な方法で湾曲面の湾曲率が変化するため、湾曲面に当接する台座裏面の湾曲率を容易に変更できる。その結果、台座に埋設された擬似管状臓器の切開部の拡開度合いの調整が容易となる。
【0012】
また、本発明は、前記モデル固定部が、前記台座の前記裏面に当接する螺旋軌跡の一部からなる湾曲面を有する螺旋形湾曲台とを備え、前記螺旋形湾曲台を回転させることによって、前記台座と当接する前記湾曲面の湾曲率を変化させることを特徴とする固定具である。
【0013】
前記構成によれば、螺旋形湾曲台の当接によって、台座を湾曲させる。また、螺旋形湾曲台を回転させることによって湾曲面の湾曲率が連続的に変化する。その結果、湾曲面に当接する台座裏面の湾曲率も連続的に変化することとなり、埋設された擬似管状臓器の切開部の拡開度合いの調整が容易となる。さらに、螺旋形湾曲台を回転、停止後、逆方向に回転させることを繰り返し行うことによって、載置された擬似管状臓器モデル(埋設された擬似管状臓器)を上下に移動させることができ、心拍動による血管(管状臓器)とその周辺組織の上下運動を再現できる。
【0014】
また、本発明は、前記モデル固定部が、前記台座の前記裏面に当接する当接面を有する板状体と、前記擬似管状臓器の軸線に沿う側の前記板状体の両端部を支持する一対の板状体支持部と、一対の前記板状体支持部の移動をガイドする板状体ガイド溝とを備え、一対の前記板状体支持部が前記板状体ガイド溝に沿って移動することによって、前記板状体が湾曲し、前記板状体支持部の間の距離を調整することによって、前記台座と当接する当接面の湾曲率を変化させることを特徴とする固定具である。
【0015】
前記構成によれば、板状体の当接によって、台座を湾曲させる。また、板状体支持部の間の距離を調整することによって当接面の湾曲率が連続的に変化する。その結果、当接面に当接する台座裏面の湾曲率も連続的に変化することとなり、埋設された擬似管状臓器の切開部の拡開度合いの調整が容易となる。さらに、板状体支持部同士を移動、停止後、逆方向に移動させることを繰り返すことによって、載置された擬似管状臓器モデル(埋設された擬似管状臓器)を上下に移動させることができ、心拍動による血管(管状臓器)とその周辺組織の上下運動を再現できる。
【0016】
また、本発明は、前記モデル固定部が、前記台座の裏面側に配置され、前記台座に対して昇降して前記台座の前記裏面に当接する湾曲面を形成する上下可動部を1つ以上備え、少なくとも前記台座の中央部の裏面側に前記上下可動部の1つが配置され、前記上下可動部が、前記台座に対して昇降する1つ以上の上下可動セルからなり、各々の前記上下可動セルの昇降量を調整することによって、形成される前記湾曲面の湾曲率を変化させることを特徴とする固定具である。
【0017】
前記構成によれば、上下可動部の当接によって、台座を湾曲させる。また、上下可動部(上下可動セル)の昇降量を調整することによって湾曲面の湾曲率が連続的に変化する。その結果、湾曲面に当接する台座裏面の湾曲率も連続的に変化することとなり、埋設された擬似管状臓器の切開部の拡開度合いの調整が容易となる。さらに、上下可動部を上昇、停止後、下降させることを繰り返すことによって、載置された擬似管状臓器モデル(埋設された擬似管状臓器)を上下に移動させることができ、心拍動による血管(管状臓器)とその周辺組織の上下運動を再現できる。
【0018】
また、本発明は、前記モデル固定部が、前記擬似管状臓器の軸線に沿う側の前記台座の両端部を支持する一対の台座支持部と、一対の前記台座支持部の移動をガイドする台座ガイド溝とを備え、一対の前記台座支持部が前記台座ガイド溝に沿って移動することによって、前記台座が湾曲し、前記台座支持部の間の距離を調整することによって、前記台座の前記裏面の湾曲率を変化させることを特徴とする固定具である。
【0019】
前記構成によれば、台座支持部同士の移動によって、台座を湾曲させる。また、台座支持部の間の距離を調整することによって湾曲率が連続的に変化する。その結果、埋設された擬似管状臓器の切開部の拡開度合いの調整が容易となる。さらに、台座支持部同士の移動方向を交互に切り替えることによって、埋設された擬似管状臓器を上下に移動させることができ、心拍動による血管(管状臓器)とその周辺組織の上下運動を再現できる。
【0020】
また、本発明は、前記固定具が、前記台座を前記モデル固定部に押し付ける押付部をさらに備えることを特徴とする。
【0021】
前記構成によれば、固定具が押付部をさらに備えることによって、擬似管状臓器モデルがモデル固定部へ確実に固定され、擬似管状臓器モデルの台座の湾曲率が維持される。また、押付部の押付度合いを調整することによって、台座の湾曲率が微調整される。
【0022】
また、本発明は、柔軟性のチューブからなる擬似管状臓器と表面に前記擬似管状臓器の少なくとも一部が埋設される台座とを備えた擬似管状臓器モデルと、前記擬似管状臓器モデルを固定するための前記記載の固定具とを備えたことを特徴とするトレーニングキットである。
【0023】
前記構成によれば、トレーニングキットが前記記載の固定具を備えることによって、擬似管状臓器を軸方向へ切開すると切開部は周方向に拡開し、その拡開度合いを調整することが可能となる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、擬似管状臓器の切開部における拡開度合いが調整可能な固定具およびトレーニングキットを提供できる。また、本発明によれば、拡開度合いを調整できるため、数種の手技の訓練に広く使用でき、コスト面および汎用性において優れたものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】(a)は固定具およびトレーニングキットの実施形態を示す斜視図、(b)は擬似管状臓器モデルの固定状態(湾曲状態)における(a)のX−X線断面図である。
【図2】円形湾曲台の他の形態を示す斜視図である。
【図3】固定具およびトレーニングキットの他の実施形態を示す斜視図である。
【図4】図3に示す固定具およびトレーニングキットの他の形態を示す斜視図である。
【図5】図4に示す固定具およびトレーニングキットの回転動作を示す部分正面図である。
【図6】固定具およびトレーニングキットの他の実施形態であって、(a)は固定前の状態、(b)は固定時の状態を示す斜視図である。
【図7】板状体ガイド溝の他の形態を示す斜視図である。
【図8】固定具およびトレーニングキットの他の実施形態を示す斜視図である。
【図9】固定具およびトレーニングキットの他の実施形態であって、(a)は固定前の状態、(b)は固定時の状態を示す斜視図である。
【図10】(a)、(b)は擬似管状臓器モデルの他の形態を示す斜視図である。
【図11】擬似管状臓器(擬似血管)の切開部の様子を示し、(a)は斜視図、(b)は(a)のA−A線断面図である。
【図12】擬似管状臓器(擬似血管)の切開部の様子を示し、(a)は斜視図、(b)は(a)のB−B線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
まず、固定具の実施形態について、図面を参照して説明する。
固定具は、擬似管状臓器モデルを固定するために用いられる。
図1(a)、(b)に示すように、擬似管状臓器モデル41Aは、擬似管状臓器42Aと板状の台座43とを備える。また、本発明の台座43においては、擬似管状臓器42Aが埋設される部分を中央部43c、埋設された擬似管状臓器42Aの軸線に沿う側の端部を両端部43bとする。なお、擬似管状臓器モデル41Aの詳細については後記するが、擬似管状臓器42Aが埋設される部分は、台座43の中央部分でなくてもよい。
【0027】
固定具の第1実施形態について説明する。図1(a)に示すように、固定具1Aは、モデル固定部2Aを備えることを特徴とする。
【0028】
モデル固定部2Aは、擬似管状臓器モデル41Aが載置された際に、台座43の両端部43bが中央部43cに対して裏面方向へ移動するように台座43を湾曲させ(図1(b)参照)、台座43の裏面43aの湾曲率を変化させる作用を有するものである。なお、モデル固定部2Aは、前記作用を有するものであれば、図1(a)に記載した構成に限定されるものではない。
【0029】
モデル固定部2Aは、複数の円形湾曲台3A、3Bと、円形支持台5とを備える。
複数の円形湾曲台3A、3Bは、台座43の裏面43aに当接する円軌跡の一部からなる湾曲面4A、4Bを有する半円柱体からなる。そして、円形湾曲台3Aと円形湾曲台3Bとは、湾曲面4A、4Bの湾曲率が互いに異なるものである。すなわち、半円柱体の横断面を構成する半円の半径が異なる。図1(a)では、rA<rBである。ここで、半円柱体とは、円柱体を直径位置で切断し、高さhが半径rAに等しくなるものに限定されず、高さhが半径rBより小さくなるような位置で円柱体を切断したものも含まれる。また、ここで円軌跡とは、真円の軌跡に限定されず、楕円の軌跡も含まれる。さらに、半円柱体からなる円形湾曲台3A、3Bの代わりに、図2に示すような湾曲面4Cを有する半円球体からなる円形湾曲台3Cを使用してもよい。なお、湾曲面4A、4B、4Cには、載置された擬似管状臓器モデル41Aの滑りを防止するための突起(図示せず)を形成することが好ましい。
【0030】
円形支持台5は、複数の円形湾曲台3A、3Bから選択された1つの円形湾曲台3Aを着脱自在に支持する板状台からなる。円形支持台5は、板状台の表面に円形湾曲台3A(3B)の底面が嵌合可能な溝部6を形成することによって、円形湾曲台3Aを着脱自在に支持している。なお、円形支持台5における円形湾曲台3Aの支持方法は、溝部6に限定されず、図示しないが、突起部と穴部による支持、または、フック等の係合部および係止部による支持であってもよい。
【0031】
モデル固定部2Aでは、円形支持台5に支持される円形湾曲台3Aを湾曲率の異なる他の円形湾曲台3Bに取り換えることによって、台座43と当接する湾曲面の湾曲率を変化させる。その結果、台座43の湾曲率が調整され、擬似管状臓器42Aの切開部の拡開度合いが調整できる。また、円形湾曲台3Cに取り換えることによって、台座43と当接する湾曲面の湾曲率を変化させる。その結果、台座43の湾曲率が調整されて、擬似管状臓器42Aの切開部の拡開度合い及び拡開形状が調整できる。
【0032】
固定具1Aでは、モデル固定部2Aに加えて、押付部7Aをさらに備えることが好ましい。押付部7Aは、台座43をモデル固定部2Aに押し付けるもので、その構成は特に限定されないが、押付板8と、ネジ11Aと、ナット11Bと、バネ11Cとを備えることが好ましい。
【0033】
押付板8は、擬似管状臓器モデル41A(台座43)およびモデル固定部2Aの上面全体を覆う板材であって、その中央部には湾曲面4A(円形湾曲台3A)の形状に近似する内面形状を有するドーム部9が形成されると共に、そのドーム部9には開口部10が形成されている。開口部10は、手技訓練時に擬似管状臓器42Aを露出させるためのものである。なお、開口部10の開口形状は、矩形に限定されず、手技訓練時に擬似管状臓器42Aに装着されるスタビライザー等の器具が挿入可能な形状に形成してもよい。また、ドーム部9の内表面には、擬似管状臓器モデル41Aの滑りを防止するための突起(図示せず)を形成することが好ましい。さらに、ネジ11A、ナット11Bおよびバネ11Cの代わりに磁石等を使用してもよい。
【0034】
このような押付部7Aを備えることによって、擬似管状臓器モデル41Aがモデル固定部2Aへ確実に固定され、台座43の湾曲率が維持される。また、押付部7Aの押付度合いを調整することによって、台座43の湾曲率が微調整される。特に、載置される擬似管状臓器モデル41Aの台座43が弾性率の大きい軟質材料からなり、円形湾曲台3Aの湾曲面4Aに沿って自重で湾曲しにくい場合に好適である。なお、押付部7Aの代わりに、後記する押付部7B(図3参照)を備えてもよい。
【0035】
固定具の第2実施形態について説明する。図3に示すように、固定具1Bは、モデル固定部2Bを備えることを特徴とする。
モデル固定部2Bは、螺旋形湾曲台12を備える。また、モデル固定部2Bは、螺旋形湾曲台12に加えて、螺旋形支持台15を備えてもよい。
【0036】
螺旋形湾曲台12は、台座43の裏面43aに当接する螺旋軌跡の一部からなる湾曲面13を有する回転体である。また、湾曲面13には、載置された擬似管状臓器モデル41Aの滑りを防止するための突起(図示せず)を形成することが好ましい。なお、螺旋形湾曲台12は、回転体に装着された回転軸14を有し、螺旋形支持台15に支持されると共に、図示しない駆動装置または手動によって回転軸14を介して回転する。
手動により回転させる場合には、回転を静止する機構や一方向にのみ回転する機構を設けてもよい。
【0037】
螺旋形湾曲台12において、湾曲面13を形成する螺旋軌跡には、アルキメデスの螺旋軌跡、フェルマーの螺旋軌跡、双曲螺旋軌跡、リチュース軌跡、対数螺旋軌跡、クロソイド軌跡等が用いられる。図3においては、アルキメデスの螺旋軌跡の一部からなる湾曲面13を有する螺旋形湾曲台12を記載した。
【0038】
アルキメデスの螺旋軌跡は、極座標においてr=a+bθ(a、bは定数)で表される。ここで、螺旋形湾曲台12において、回転軸14を上記極座標の原点とすると、r(螺旋半径)は、回転軸14から載置された擬似管状臓器モデル41Aまでの高さrCにほぼ相当し、手技訓練時の擬似管状臓器モデル41Aまでの相対高さHを決定する。また、θ(螺旋回転角度)の範囲は、湾曲面13の長さLに関係し、図3では2π≦θ≦4πの場合を記載した。なお、螺旋形湾曲台12は、2π≦θ≦4πに相当する長さLの湾曲面13を有する回転体に限定されず、図示しないが、0≦θ≦2π、または、θの上限値が4πを超える範囲に相当する長さLの湾曲面13を有する回転体であってもよい。
【0039】
螺旋形支持台15は、螺旋形湾曲台12を回転可能に支持する板状台からなる。螺旋形支持台15は、板状台の表面に溝部16及び軸受け16Aを形成し、回転軸14を回転可能に支持することによって、螺旋形湾曲台12を着脱自在に支持している。
【0040】
固定具1Bにおいては、螺旋形湾曲台12を回転させることによって、湾曲面13の湾曲率が連続的に変化する。その結果、湾曲面13に当接する台座43の裏面43aの湾曲率も連続的に変化することとなり、埋設された擬似管状臓器42Aの切開部の拡開度合いの調整が容易となる。
【0041】
また、前記した擬似管状臓器モデル41Aまでの高さrCも変化することとなるため、螺旋形湾曲台12を回転、停止後、逆方向に回転させることを繰り返し行うことによって、載置された擬似管状臓器モデル41A(埋設された擬似管状臓器42A)を上下に移動させることができ、心拍動による血管(管状臓器)とその周辺組織の上下運動を再現できる。
【0042】
前記したように、固定具1Bは、擬似管状臓器モデル41Aまでの高さrC(相対高さH)を変化させることによって、血管(管状臓器)とその周辺組織の上下運動を再現できるという利点を有する。
しかしながら、擬似管状臓器モデル41Aまでの相対高さHを一定に維持して手技訓練を行いたい場合には、図4および図5に示すように、固定具1Bは、螺旋形支持台15の代わりに、回転補助部20を備えることが好ましい。
【0043】
回転補助部20は、螺旋形湾曲台12の回転軸14の両側に設けられた軸調整台21と、軸調整台21を支持する軸支持台22とを備える。
アルキメデスの螺旋軌跡の一部からなる螺旋形湾曲台12の場合、軸調整台21は、前記した螺旋形湾曲台12と同形状であって、螺旋軌跡の螺旋方向を螺旋形湾曲台12と逆方向に設定し、図4に示す回転方向へ螺旋形湾曲台12に対して90度回転させた回転体である。軸支持台22は、従来公知の支持台を使用できる。
【0044】
図5に示すように、前記したような回転補助部20を備えることによって、螺旋形湾曲台12を回転した際に、擬似管状臓器モデル41Aまでの高さrCの大→小(高→低)への変化に対応して、軸調整台21における軸支持台22から回転軸14までの高さRが小→大(低→高)に変化するため、高さrCおよび高さRの変化量が相殺し合って、擬似管状臓器モデル41Aまでの相対高さHが一定となる。
【0045】
固定具1Bは、前記した固定具1Aと同様に、モデル固定部2Bに加えて、図3に示すように、押付部7Bをさらに備えることが好ましい。押付部7Bは、台座43をモデル固定部2Bに押し付けるもので、その構成は特に限定されないが、台座43の一部(両端部)に当接する押付板17と、ネジ18Aと、ナット18Bとを備えることが好ましい。特に、載置される擬似管状臓器モデル41Aの台座43が弾性率の大きい軟質材料からなり、螺旋形湾曲台12の湾曲面13に沿って自重で湾曲しにくい場合に好適である。また、押付板17は、台座43と当接する表面に、擬似管状臓器モデル41Aの滑りを防止するための突起(図示せず)が形成されていることが好ましい。さらに、押付板17は台座43との当接面に合わせて変形することが好ましい。なお、ネジ18Aとナット18Bの代わりに、磁石等を使用してもよい。また、押付部7Bの代わりに、前記した押付部7A(図1参照)を備えてもよい。
【0046】
固定具の第3実施形態について説明する。図6(a)、(b)に示すように、固定具1Cは、モデル固定部2Cを備えることを特徴とする。
モデル固定部2Cは、板状体23と、一対の板状体支持部24と、板状体ガイド溝26Aとを備える。また、モデル固定部2Cは、前記構成に加えて、補助板状体支持部25を備えてもよい。
【0047】
板状体23は、台座43の裏面43aに当接する当接面23aを有するもので、好ましくは平板からなる。なお、当接面23aには、擬似管状臓器モデル41Aの滑りを防止するための突起(図示せず)を形成することが好ましい。
【0048】
板状体支持部24は、載置された擬似管状臓器モデル41Aに埋設された擬似管状臓器42Aの軸線に沿う側の板状体23の両端部を支持するもので、棒状体であることが好ましい。また、補助板状体支持部25は、板状体支持部24における板状体23の支持を補助するもので、板状体23の両端部に板状体支持部24を覆うように設けられている。なお、板状体支持部24は板状体23と互いに嵌合する構造であってもよい。
【0049】
板状体ガイド溝26Aは、板状体23の中央側への板状体支持部24の移動をガイドするもので、板状体支持部24の移動方向に沿って、板状体23の両端部の端部側に板状体23を挟むように立設された壁部27に直線状に水平位置が保たれた状態で(水平方向に)形成された溝である。
【0050】
固定具1Cにおいては、一対の板状体支持部24を板状体ガイド溝26Aに沿って板状体23の中央側へ移動することによって、板状体23の中央部が両端部に比べて高くなるように湾曲し、板状体支持部24の間の距離WAを調整することによって、台座43に当接する当接面23aの湾曲率が連続的に変化する。その結果、当接面23aと当接する台座43の裏面43aの湾曲率も連続的に変化することとなり、埋設された擬似管状臓器42Aの切開部の拡開度合いの調整が容易となる。なお、板状体23の湾曲に対応するため、板状体支持部24は回転可能な円柱形状であるか、板状体支持部24に対して補助板状体支持部25が回転可能に設けられていることが好ましい。
【0051】
また、一対の板状体支持部24を板状体中央側に移動、停止後、逆方向に移動させることを繰り返すこと、すなわち、板状体支持部24の間の距離WAを近くしたり、遠くしたりすることによって、載置された擬似管状臓器モデル41A(埋設された擬似管状臓器42A)の相対高さHが変化する。その結果、擬似管状臓器42Aを上下に移動させることができ、心拍動による血管(管状臓器)とその周辺組織の上下運動を再現できる。
【0052】
前記したように、固定具1Cは、擬似管状臓器42Aまでの相対高さHを変化させることによって、血管(管状臓器)とその周辺組織の上下運動を再現できるという利点を有する。
しかしながら、擬似管状臓器モデル41Aまでの相対高さHを一定に維持して手技訓練を行いたい場合には、板状体ガイド溝26Aの代わりに、板状体ガイド溝26Bを形成する。
【0053】
板状体ガイド溝26Bは、両端部の高さよりも中央部の高さが低くなるように下方に湾曲した湾曲溝である。このような湾曲した板状体ガイド溝26Bを介して板状体支持部24が移動することによって、擬似管状臓器モデル41Aの相対高さHの変化量が、板状体ガイド溝26Bの高さの変化量によって相殺され、擬似管状臓器モデル41Aまでの相対高さHが一定となる。また、板状体ガイド溝26Bは板状体23の長さによっても湾曲が異なる。
【0054】
固定具1Cは、前記した固定具1Bと同様に、モデル固定部2Cに加えて、図6(b)に示すように、押付部7Bをさらに備えることが好ましい。特に、載置される擬似管状臓器モデル41Aの台座43が弾性率の大きい軟質材料からなり、板状体23の当接面23aに沿って自重で湾曲しにくい場合に好適である。また、固定具1Cにおいては、図7に示すように、板状体ガイド溝26Aに複数の保持部28を有してもよい。保持部28は、板状体ガイド溝26Aの中央側が開き、端部側が閉じたフック等で構成され、板状体支持部24の端部側への移動を防止するものである。板状体ガイド溝26Aが保持部28を有することによって、板状体23の当接面23aの湾曲率が維持できる。なお、図示しないが、板状体ガイド溝26Bにおいても保持部28を有してもよい。
【0055】
固定具の第4実施形態について図面を参照して説明する。図8に示すように、固定具1Dは、モデル固定部を備えることを特徴とする。
【0056】
モデル固定部2Dは、上下可動部29を備える。また、モデル固定部2Dは、上下可動部29に加えて、自由可動部30をさらに備えてもよい。
【0057】
上下可動部29は、1つ以上の柱状体からなり、台座43の裏面側に配置され、図示しない昇降装置によって台座43に対して昇降して、台座43の裏面43aに当接する湾曲面を形成するものである。そして、少なくとも台座43の中央部の裏面側に上下可動部29の1つが配置される。モデル固定部2Dでは、台座43の裏面全体に当接する湾曲面を形成するように、複数の上下可動部29を配置することが好ましく、図8では3つの上下可動部29を配置した例を記載している。
【0058】
1つの上下可動部29は、図示しない昇降装置によって台座43に対して昇降する1つ以上の柱状の上下可動セル29aからなり、複数の上下可動セル29aからなることが好ましい。図8では、1つの上下可動部29を5つの上下可動セル29aで構成した例を記載している。
【0059】
自由可動部30は、滑らかな曲面を有する板状の自由可動セル30aからなり、上下可動セル29a(上下可動部29)の上に載置されて、滑らかな湾曲面を形成するものである。そして、自由可動部30は、上下可動セル29aと同数の自由可動セル30aからなる。なお、上下可動セル29aまたは自由可動セル30aには、擬似管状臓器モデル41Aの滑りを防止するための突起を形成することが好ましい。
【0060】
固定具1Dにおいては、各々の上下可動セル29aの昇降量を調整することによって、上下可動セル29aで形成される湾曲面、または、上下可動セル29aの上に載置された自由可動セル30aで形成される湾曲面の湾曲率を変化させるため、湾曲率が連続的に変化する。その結果、湾曲面と当接する台座裏面の湾曲率も連続的に変化することとなり、埋設された擬似管状臓器42Aの切開部の拡開度合いの調整が容易となる。
【0061】
また、上下可動セル29aの昇降量の調整によって、すなわち、上下可動セル29aを上昇、停止後、下降させることを繰り返すことによって、載置された擬似管状臓器モデル41A(埋設された擬似管状臓器42A)の相対高さHが変化する。その結果、擬似管状臓器42Aを上下に移動させることができ、心拍動による血管(管状臓器)とその周辺組織の上下運動を再現できる。
【0062】
固定具1Dは、前記した固定具1Bと同様に、モデル固定部2Dに加えて、押付部7A(図1参照)または押付部7B(図3参照)をさらに備えることが好ましい。特に、載置される擬似管状臓器モデル41Aの台座43が弾性率の大きい軟質材料からなり、上下可動部29または自由可動部30によって形成される湾曲面に沿って自重で湾曲しにくい場合に好適である。ここでは、上下可動部29として、擬似管状臓器の軸方向の上下稼動セル29aを一組にして昇降させる場合について述べたが、これに限らず、上下可動部29内の上下可動セル29aがそれぞれ異なる高さに動作してもよい。
【0063】
固定具の第5実施形態について図面を参照して説明する。図9(a)、(b)に示すように、固定具1Eは、モデル固定部2Eを備えることを特徴とする。
モデル固定部2Eは、一対の台座支持部31と、台座ガイド溝33Aとを備える。また、モデル固定部2Eは、前記構成に加えて、補助台座支持部32をさらに備えてもよい。
【0064】
台座支持部31は、擬似管状臓器42Aの軸線に沿う側の台座43の両端部を支持するもので、棒状体であることが好ましい。また、補助台座支持部32は、台座支持部31における台座43の支持を補助するもので、台座43の両端部に台座支持部31を覆うように設けられている。なお、台座支持部31は台座43と互いに嵌合する構造であってもよい。
【0065】
台座ガイド溝33Aは、台座43の中央側への台座支持部31の移動をガイドするもので、台座支持部31の移動方向に沿って、台座43の両端部の端部側に台座43を挟むように立設された壁部34に直線状に水平位置が保たれた状態で(水平方向に)形成された溝である。
【0066】
固定具1Eにおいては、一対の台座支持部31を台座ガイド溝33Aに沿って台座43の中央側へ移動することによって、台座43の中央部が両端部に比べて高くなるように湾曲し、台座支持部31の間の距離WBを調整することによって、台座43の湾曲率が連続的に変化する。その結果、台座43に埋設された擬似管状臓器42Aの切開部の拡開度合いの調整が容易となる。なお、台座43の湾曲に対応するため、台座支持部31は回転可能な円柱形状であるか、台座支持部31に対して補助台座支持部25が回転可能に設けられていることが好ましい。
【0067】
また、一対の台座支持部31を台座中央側に移動、停止後、逆方向に移動することを繰り返すこと、すなわち、台座支持部31の間の距離WBを近くしたり、遠くしたりすることによって、載置された擬似管状臓器モデル41A(埋設された擬似管状臓器42A)の相対高さHが変化する。その結果、擬似管状臓器42Aを上下に移動させることができ、心拍動による血管(管状臓器)とその周辺組織の上下運動を再現できる。
【0068】
前記したように、固定具1Eは、擬似管状臓器42Aまでの相対高さHを変化させることによって、血管(管状臓器)とその周辺組織の上下運動を再現できるという利点を有する。
しかしながら、擬似管状臓器モデル41Aまでの相対高さHを一定に維持して手技訓練を行いたい場合には、台座ガイド溝33Aの代わりに、台座ガイド溝33Bを形成する。
【0069】
台座ガイド溝33Bは、両端部の高さよりも中央部の高さが低くなるように下方に湾曲した湾曲溝である。このような湾曲した台座ガイド溝33Bを介して台座支持部31が移動することによって、擬似管状臓器モデル41Aの相対高さHの変化量が、台座ガイド溝33Bの高さの変化量によって相殺され、擬似管状臓器モデル41Aまでの相対高さHが一定となる。また、台座ガイド溝33Bは台座43の長さによっても湾曲が異なる。
【0070】
固定具1Eは、前記した固定具1Cと同様に、図示しないが、台座ガイド溝33Aまたは台座ガイド溝33Bに複数の保持部28を有してもよい。
【0071】
次に、トレーニングキットの実施形態について説明する。
図1、図3〜図6、図8、図9に示すように、トレーニングキット51A〜51Eは、擬似管状臓器モデル41Aと、固定具1A〜1Eとを備えることを特徴とする。
なお、固定具1A〜1Eについては、前記したとおりである。
【0072】
擬似管状臓器モデル41Aは、擬似管状臓器42Aと、台座43とを備える。本発明では、擬似管状臓器42Aは、管状動脈等の擬似血管、大腸等の擬似消化管等である。
【0073】
擬似管状臓器42Aは、柔軟性のチューブからなり、その材質は特に限定されないが、シリコーンやポリビニルアルコールなどを原料とした擬似する管状臓器と同程度の柔軟性や強度を有するものである。また、擬似管状臓器42Aは、多層チューブからなるものであってもよく、その場合に各層が異なる材質からなるものであってもよい。
【0074】
擬似管状臓器42Aの外径、厚さ等は、擬似する管状臓器の解剖学的な形状や医用画像に基づいて設定する。さらに、擬似管状臓器42Aは、直線状のものに限定されず、曲線状のものや、分岐を有するものであってもよく、擬似する管状臓器の解剖学的な形状や医用画像に基づいて設定する。
【0075】
擬似管状臓器42Aは、横断面形状が円形ではない、図10(a)に示すような楕円形の横断面形状を有する擬似管状臓器42Bであることが好ましい。このような擬似管状臓器モデル41Bでは、台座43の湾曲に伴って、台座変形後の擬似管状臓器42Bの横断面形状が、真円に近い円形になる。
【0076】
台座43は、表面に擬似管状臓器42Aの少なくとも一部が埋設されるもので、好ましくは板状体である。また、台座43は、その材質は特に限定されないが、固定具1A〜1Eが当接された際に自重によって、または、押付部7A、7Bの押付によって変形が容易な材料からなることが好ましい。また、台座43は、平坦な板状体に限定されず、図10(b)に示す擬似管状臓器モデル41Cのように、両端部が中央部より高い位置になるように湾曲した台座44であってもよい。さらに、楕円形の横断面形状を有する擬似管状臓器42B(図10(a)参照)を埋設する際には、横断面の長径方向が埋設方向になるように埋設する。
【0077】
擬似管状臓器42Aは、台座43に埋設され、台座43にかかる引張力を擬似管状臓器42Aへ伝えることが可能なように接着や嵌合等により固定されている。ここで、接着は、接着剤の使用や擬似管状臓器42Aと台座43を同種の材料を用いて成型すること等により実現される。また、嵌合は、両端部の方向へ擬似管状臓器42Aと台座43が引っかかるかえしやフック等により実現される。
【0078】
トレーニングキット51A〜51Eは、固定具1A〜1Eを備えることにより、擬似管状臓器42A(42B)に外側の引張力が作用するため、擬似管状臓器42A(42B)を軸線方向へ切開すると切開部は周方向に拡開し、その拡開度合いを調整することが可能となる。
【0079】
以上、固定具およびトレーニングキットの実施形態について説明したが、本発明の主旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。例えば、モデル固定部2A、2C、2Dおよび2Eでは、擬似管状臓器モデル41Aの両端部が中央部より低い位置になるような形状もしくは動作であったが、擬似管状臓器モデル41Cに対してはこれに限らず、両端部を中央部に対して裏面方向へ移動させる形状もしくは動作であればよく、擬似管状臓器モデル41Cの両端部が中央部より高い位置になっていてもよい。その場合、モデル固定部2Aでは、湾曲台3Aが鉛直下向きに凸の湾曲面4Aを有することになる。また、モデル固定部2Cでは、板状体23が鉛直下向きに凸の当接面23aを有することになり、距離WAが大きくなると擬似管状臓器42Aにかかる引張力は大きくなる。この場合、板状体ガイド溝26Bを鉛直上向きに凸の湾曲にすることで相対高さHを一定にすることができる。また、モデル固定部2Eでは、距離WBが大きくなると擬似管状臓器42Aにかかる引張力も大きくなる。この場合、台座ガイド溝33Bを鉛直上向きに凸の湾曲にすることで相対高さHを一定にすることができる。さらに、モデル固定部2Dでは、上下可動部29で形成される湾曲面が鉛直下向きに凸の湾曲となる。すなわち、擬似管臓器モデル41Cの場合には、両端部が中央部より高い位置になっている状態では、台座44の湾曲が小さくなるほど擬似管状臓器42Aにかかる引張力は大きくなる。
【符号の説明】
【0080】
1A、1B、1C、1D、1E 固定具
2A、2B、2C、2D、2E モデル固定部
3A、3B、3C 円形湾曲台
4A、4B、4C 湾曲面
5 円形支持台
7A、7B 押付部
12 螺旋形湾曲台
13 湾曲面
23 板状体
23a 当接面
24 板状体支持部
26A、26B 板状体ガイド溝
29 上下可動部
29a 上下可動セル
31 台座支持部
33A、33B 台座ガイド溝
41A、41B、41C 擬似管状臓器モデル
42A、42B 擬似管状臓器
43、44 台座
43a 裏面
51A、51B、51C、51D、51E トレーニングキット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
柔軟性のチューブからなる擬似管状臓器と表面に前記擬似管状臓器の少なくとも一部が埋設される台座とを備えた擬似管状臓器モデルを固定するために用いられる固定具であって、
前記固定具は、前記擬似管状臓器モデルが載置された際に、前記台座を湾曲させると共に、前記台座の湾曲率を調整するモデル固定部を備えることを特徴とする固定具。
【請求項2】
前記モデル固定部は、前記台座の前記裏面に当接する円軌跡の一部からなる湾曲面を有する複数の円形湾曲台と、複数の前記円形湾曲台から選択された1つの前記円形湾曲台を着脱自在に支持する円形支持台とを備え、
複数の前記円形湾曲台の前記湾曲面の湾曲率が互いに異なると共に、前記円形支持台に支持される前記円形湾曲台を取り換えることによって、前記台座と当接する前記湾曲面の湾曲率を変化させることを特徴とする請求項1に記載の固定具。
【請求項3】
前記モデル固定部は、前記台座の前記裏面に当接する螺旋軌跡の一部からなる湾曲面を有する螺旋形湾曲台とを備え、
前記螺旋形湾曲台を回転させることによって、前記台座と当接する前記湾曲面の湾曲率を変化させることを特徴とする請求項1に記載の固定具。
【請求項4】
前記モデル固定部は、前記台座の前記裏面に当接する当接面を有する板状体と、前記擬似管状臓器の軸線に沿う側の前記板状体の両端部を支持する一対の板状体支持部と、一対の前記板状体支持部の移動をガイドする板状体ガイド溝とを備え、
一対の前記板状体支持部が前記板状体ガイド溝に沿って移動することによって、前記板状体が湾曲し、前記板状体支持部の間の距離を調整することによって、前記台座と当接する当接面の湾曲率を変化させることを特徴とする請求項1に記載の固定具。
【請求項5】
前記モデル固定部は、前記台座の裏面側に配置され、前記台座に対して昇降して前記台座の前記裏面に当接する湾曲面を形成する上下可動部を1つ以上備え、
少なくとも前記台座の中央部の裏面側に前記上下可動部の1つが配置され、
前記上下可動部は、前記台座に対して昇降する1つ以上の上下可動セルからなり、
各々の前記上下可動セルの昇降量を調整することによって、形成される前記湾曲面の湾曲率を変化させることを特徴とする請求項1に記載の固定具。
【請求項6】
前記モデル固定部は、前記擬似管状臓器の軸線に沿う側の前記台座の両端部を支持する一対の台座支持部と、一対の前記台座支持部の移動をガイドする台座ガイド溝とを備え、
一対の前記台座支持部が前記台座ガイド溝に沿って移動することによって、前記台座が湾曲し、前記台座支持部の間の距離を調整することによって、前記台座の前記裏面の湾曲率を変化させることを特徴とする請求項1に記載の固定具。
【請求項7】
前記固定具は、前記台座を前記モデル固定部に押し付ける押付部をさらに備えることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の固定具。
【請求項8】
柔軟性のチューブからなる擬似管状臓器と表面に前記擬似管状臓器の少なくとも一部が埋設される台座とを備えた擬似管状臓器モデルと、
前記擬似管状臓器モデルを固定するための請求項1ないし請求項7のいずれか一項に記載の固定具とを備えたことを特徴とするトレーニングキット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−76945(P2013−76945A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−218225(P2011−218225)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成20年度独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構内視鏡下手術支援システムの研究開発委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000109543)テルモ株式会社 (2,232)
【Fターム(参考)】