説明

固定機構

本発明は、任意にシールドを備えている固定機構に関する。当該固定機構は、例えば下水管のような、好ましくは円筒状のキャビティ内で利用することを意図している。固定機構は、キャビティの内面と係合するための調整可能な係合手段と、係合手段が、係合手段がキャビティの内面と係合可能な第1の位置と、係合手段によって固定機構がキャビティの内部に導入可能される第2の位置との間において調整可能なように、係合手段を調整するための作動ユニットと、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、好ましくは円筒状のキャビティ内で利用するための固定機構であって、任意にシールドを備えている固定機構において、キャビティの内面と係合するための調整可能な係合手段と、係合手段が、係合手段がキャビティの内面と係合可能な第1の位置と、係合手段によって固定機構がキャビティの内部に導入可能される第2の位置との間において調整可能なように、係合手段を調整するための作動ユニットと、を備えている固定機構に関する。
【背景技術】
【0002】
設備が下水内管に取付可能な場合には、そのような取付は、従来技術によって達成される。圧縮された弾性シールドが下水管内に導入された後に解放され、下水管の側面に弾性的に係合するからである。言うまでもなく、下水管の側面が弾性/バネ力に依存する係合力を有している。しかしながら、特定の環境では、係合力の調整が可能なことが優位であることが発見され、本発明はこのことを実現する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】デンマーク国特許出願第20090001357号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明では、係合手段が、互いに対して回転可能に取り付けられている2つの側方要素を備えており、これにより側方要素同士が成す角度が調整可能とされ、作動機構が、2つの側方要素の間において延在している引張手段を備えており、これにより引張手段が引っ張ることに伴って力/モーメントが側方要素に作用することによって、側方要素が第2の位置から第1の位置に移動し、係合手段がキャビティの内面と係合可能とされる。
【0005】
これにより、今まで不明であった力の固定が達成される。
【0006】
本発明の実施例は、従属請求項から明らかとなる。
【0007】
本発明の一の典型的な実施例について、添付図面を参照しつつ以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1a】本発明における固定機構の一の典型的な実施例の折り畳み状態を表わす。
【図1b】本発明における固定機構の一の典型的な実施例の展開状態を表わす。
【図2】シールドを介して組み立てられた2つの側方要素を備えている固定機構を、一方の端部から見た図である。
【図3】ネズミ捕獲器が取り付けられた固定機構の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図2及び図3は、一方の端部から見た組立済の固定機構である。図示の固定機構は、湾曲している側方要素によって構成されている係合手段を備えている。固定機構は、側方要素が好ましくは下水管であるキャビティの内面と係合状態にある位置と固定機構がキャビティ内部に取付可能な(導入可能な)位置との間において側方要素(2,2a)を移動させることができる、作動ユニット(42,41,3)を備えている。図示の実施例では、係合手段は、側方要素とシールドとが成す角度が調整可能なように第3の側方要素(1)(以下において、「シールド」とする)に回転可能に取り付けられている、2つの側方要素(2,2a)から構成されている。作動ユニットは、上述の角度調整を実現するために、引張機構の引き込み力が高まることに伴って1つ以上の側方要素とシールドとが成す角度が大きくなるように構成されていると共にシールドと1つ以上の側方要素との間に延在している、引張機構を備えている。図3は、引張機構の一の実施例を表わす。引張機構では、側方要素(凸状部分)の外面において延在している2つのストリング(101,100)を利用することによって、引張が実現されている。図示の如く、当該実施例及び他のすべての示された実施例の側方要素は、湾曲している側面(2,1,2a)を備えている。このことは、固定機構が好ましくは湾曲している配管(下水管)内に取り付けられていることに起因している。しかしながら、言うまでもなく、―そうでない場合であっても―、当業者は、他の手段で、例えば直角な表面又は平坦な表面として固定機構の側方要素/シールドを構成することができる。
【0010】
図1a及び図1bはそれぞれ、本発明における固定機構の折り畳み状態及び展開状態を表わす。図示の如く(必須ではないが)一般に、側方要素が、いわゆるシールド(1)を介して結合されている。図2に表わすように、側方要素は、湾曲しているシールド(1)を介して(回転可能に)取り付けられている、2つの湾曲している金網(screen)から構成されている。―当該実施例では―、側方要素及びシールドの凸状部分が円筒状の配管(下水管)の内面と係合することを目的とするので、このような形状になっている。
【0011】
シールド(1)には、例えば特許文献1に開示されているネズミ捕獲器のような様々な装置が固定可能とされる。
【0012】
図1に表わす固定機構では、作動機構(40)がシールド(1)と一体に組み込まれおり、側方要素(2)の角度を調整するために利用される。図示の実施例では、作動機構(40)が、2つのキャリッジ(42)が取り付けられているスピンドル(41)を備えている。キャリッジ(42)は、スピンドルの回転に伴ってキャリッジが移動するように、スピンドルと螺合している。スピンドルに形成されたネジ部分は、スピンドルが回転している際にキャリッジ同士が互いに接近又は離隔する構成となるように選定されている。また、ネジ部分は、スピンドルが回転している場合にキャリッジ同士が同一方向に移動するように、スピンドル全体を通じて連続している場合がある。また、言うまでもなく、スピンドルのネジ部分が、(一の作動ユニットに複数のキャリッジが設けられている場合には)キャリッジそれぞれが個々の速度で移動可能となるように、(キャリッジのピッチに相互に適合していることは明白な)可変ピッチを有している構成とされる場合がある。
【0013】
キャリッジは、図示の典型的な実施例では係合手段の凸状の側面とされる、側方要素(2,2a)の外面において実質的に延在している(図示しない)ストリングに接続されている。本発明の図示の典型的な実施例では、係合手段(2,2a)それぞれが、図3に表わす2つのストリング駆動装置(100,101)を備えている。しかしながら、本発明の原理上、ストリング駆動装置を変更可能であり、当業者であれば、特定の課題に応じてストリング駆動装置の数量を変更することもできる。
【0014】
図示の実施例では、スピンドルは、接続カップリング(3)及びスピンドル(41)それぞれに取り付けられているクラウンピニオンのような、例えばヘリカル歯で形成された歯車を具備したギアボックスを介して、接続カップリングに結合されている。例えばボールジョイントやこれに類する物を利用することによって、当業者にとって自明な他の態様の配置とすることも可能である。
【0015】
シールドの上面には、例えばネズミ捕獲器のような装置を取り付けるために利用可能な取付開口部(5)が設けられている。
【0016】
上述のように、固定機構は、調整可能な係合手段(2)がシールド(1)に対して相対的に傾斜可能となるように操作されるので、側方要素の下側縁部(7)同士の間の距離が一定に保たれる。図1に最良に表わされるように、下側縁部(7)は、シールド(1)に固定されている縁部の反対側に位置している、係合手段の自由縁部である。側方要素の下側縁部同士の間の距離を調整することによって、固定機構は所定のキャビティ内に固定可能とされ、側方要素及びシールド(1,2,2a)が、キャビティの壁を押圧するので、固定機構を所定位置に係留することができる。
【0017】
上述のように、係合手段(2)は、係合手段(2)に接続されているストリング駆動装置(100,101)を利用することによって配置されている。機能的には、ストリング駆動装置(100,101)は、固定機構の外面に、すなわち2つの側方要素(又は側方要素が湾曲している場合には、凸状の部分)が成す180°より大きな角度に向かって面している側面に配置されているストリングによって動作する。ストリング駆動装置は、スピンドル(41)に取り付けられている2つのキャリッジ(42)によって作動する。スピンドル(41)が一の方向に回転する場合には、キャリッジ(42)同士が互いに向かって移動し、ストリングを引っ張るので、係合手段(2)が強制的に外方に向かって移動される。スピンドル(41)が反対方向に回転する場合には、キャリッジ(42)同士が互いから離隔するように移動し、ストリング駆動装置が弛緩され、係合手段(2)の下側縁部(7)同士の距離が小さくなる。本発明の一の実施例では、側方要素及びシールドが、ストリングが弛緩した場合に側方要素の下側縁部同士が互いに向かって自ずと移動するように、弾性を有している。しかしながら、本明細書ではストリング駆動装置について説明しているが、ストリング駆動装置自体は本発明の必須の構成要素ではない。本発明は、例えばバンド、鎖、及びこれらに類する物のような、当業者にとって周知である他の引張装置と共に利用可能とされるからである。
【0018】
側方要素の外面において延在している弾性バンド又はこれに類する弾性要素を利用することによって、引張が実現される。これにより、固定機構は、スピンドルによる解決策又は他の機械的な解決策が完全に不要とされる単純な形態とすることができる。保持力を変更したい場合には、このような弾性手段を、より大きなバネ力又はより小さなバネ力を有している他の弾性手段に単に置き換えれば良い。
【0019】
図3に表わすように、本発明は、接続カップリング(3)の回転によってスピンドル(41)が回転するようにスピンドルと協働する、接続カップリング(3)を備えている。このことは、図示の実施例において純粋に機能的に達成される。接続カップリングに対して平行な軸線を中心とする回転が、スピンドル(41)に対して平行な垂直軸線に伝達されるからである。このことは、固定装置がネズミ捕獲器を下水管内に取り付けるために利用される場合に特に適合している。ネズミ捕獲器が、下水管からの入口開口部又は出口開口部を具備する竪穴内部に向かって降下された後に、固定機構の一部分が下水管のうち一の下水管内に挿入されるからである。図3に最も明確に表わすように、スピンドル/接続カップリングによって、固定機構は、(ネズミ捕獲器が取り付けられた状態において)固定機構が(上方から)動作可能なように接続カップリング(取付プラットフォーム)を自由な状態で維持しつつ、固定機構がその略全長において挿入されるように構成されており、これにより、側方要素が配管の側面と係合される。通常の環境では、固定機構は、ロッドを押し下げ、接続カップリングと係合させることによって動作する。言うまでもなく、ロッドと接続カップリングとが、(例えばノッチ又はこれに類する物を利用することによって)モーメントを伝達可能なように互いに対して適合している。このような装置の利点は、作業員が(任意に接続カップリングのためにロッドを利用することによって)単に固定機構を竪穴内に降下させ、配管に接続されている配管のうち一の配管内に固定機構を挿入した後に、固定機構が所望の力で固定されるまで(言うまでもなく、適切な長さを有している)ロッドを回転させることによって、作業員が竪穴内に入る必要なく、固定機構を下水管内に取付可能とされることである。システムに対して過剰な負荷を作用させること又はシステムをロックすることを防止するために、接続カップリング(3)とスピンドルとの間にカップリングを組み込むことができる。特定の実施例では、接続カップリングは、例えば接続カップリングと歯車(6)と間においてシャフト内部に組み込まれている。
【0020】
本発明の一の実施例では、係合手段には、側方要素の外面において高摩擦コーティングが施されている。これにより、より高い疲労耐性、及び/又はより強い固定力を有している構成を得ることができる。コーティングは、例えばゴムコーティングやプラスチックコーティングであって良い。
【0021】
しかしながら、すべての図面がシールドを備えていること又はシールドの利用を想定していることを表わすにも関わらず、引張機構/ストリンク/弾性を有しているバンドを外面部分/凸状部分に備えている、2つの側方要素又はシールドを備えているにすぎない固定機構を製造することもできる。
【0022】
しかしながら、相互に動作する固定機構との観点から固定機構について説明されているにも関わらず、言うまでもなく、固定機構は電気モータによって駆動可能とされ、このような装置も遠隔制御可能とされる。固定機構が、プラスチック材料から作られている場合がある。
【0023】
本発明の技術的範囲が、図面に表わす典型的な実施例に限定される訳ではなく、特許請求の範囲によって規定されるものである。
【符号の説明】
【0024】
1 第3の側方要素(シールド)
2 側方要素(係合手段)
2a 側方要素(係合手段)
3 作動ユニット(接続カップリング)
5 取付開口部
6 歯車
7 下側縁部
40 作動機構
41 作動ユニット(スピンドル)
42 作動ユニット
100 ストリング(ストリング駆動装置)
101 ストリング(ストリング駆動装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
好ましくは円筒状のキャビティ内で利用するための固定機構であって、任意にシールドを備えている前記固定機構において、
前記固定機構が、
前記キャビティの内面と係合するための調整可能な係合手段と、
前記係合手段が、前記係合手段が前記キャビティの前記内面と係合可能な第1の位置と、前記係合手段によって前記固定機構が前記キャビティの内部に導入可能される第2の位置との間において調整可能なように、前記係合手段を調整するための作動ユニットと、
を備えており、
前記係合手段が、互いに対して回転可能に取り付けられている2つの側方要素を備えており、これにより前記側方要素同士が成す角度が調整可能とされ、
作動機構が、2つの前記側方要素の間において延在している引張手段を備えており、これにより前記引張手段が引っ張ることに伴って力/モーメントが前記側方要素に作用することによって、前記側方要素が前記第2の位置から前記第1の位置に移動し、前記係合手段が前記キャビティの前記内面と係合可能とされることを特徴とする固定機構。
【請求項2】
前記係合手段が、3つの前記側方要素を備えていることを特徴とする請求項1に記載の固定機構。
【請求項3】
作動手段が、スピンドルに配置されている1つ以上のキャリッジを備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の固定機構。
【請求項4】
前記固定機構が、2つの前記側方要素の間に取り付けられているシールドを備えていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の固定機構。
【請求項5】
前記固定機構が、ネズミ捕獲器が取り付けられているシールドを備えていることを特徴とする請求項4に記載の固定機構。
【請求項6】
前記作動手段が、スピンドルに配置されている1つ以上のキャリッジを備えていることを特徴とする請求項4又は5に記載の固定機構。
【請求項7】
前記作動手段が、前記スピンドルに配置されている1つ以上のキャリッジを備えており、
前記キャリッジと前記スピンドルとが、前記シールド内に配置されていることを特徴とする請求項6に記載の固定機構。
【請求項8】
前記引張手段が、前記側方要素の外面に配置されているストリングを備えていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の固定機構。
【請求項9】
前記引張手段が、前記側方要素と前記シールドとの間において前記引張手段の外面に配置されているストリングを備えていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の固定機構。
【請求項10】
前記係合手段には、高摩擦コーティングが施されていることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の固定機構。

【図1a】
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【図1b】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2013−511632(P2013−511632A)
【公表日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−539184(P2012−539184)
【出願日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際出願番号】PCT/DK2010/050311
【国際公開番号】WO2011/060791
【国際公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【出願人】(512133269)ピーエーエフ・ホールディング・エーピーエス (1)