説明

固有の呼気終末陽圧に対抗して平衡状態を実現する装置

【課題】患者の換気補助の間の動的気道圧迫を防止する。
【解決手段】呼吸気流量は測定又は計算によって求められ、動的気道圧迫の程度を示す量は求められた流量から導かれる。動的気道圧迫の程度を示す量が大きいか又は増加していれば呼気圧力を増加し、動的気道圧迫の程度を示す量が小さいか又はゼロであれば呼気圧力を低下させることにより、この量がサーボ制御される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本特許申請は、1999年1月15日に申請された合衆国暫定申請No.60/116,121の権益を請求する。
【0002】
本発明は、特に肺疾患による呼吸不全に対する換気補助の分野に関し、詳しくは固有の呼気終末陽圧呼吸(PEEPi)の負荷を軽減するために十分な終末呼気圧力を自動的に供給することに関する。
【背景技術】
【0003】
例えば気腫及び慢性気管支炎による慢性的な空気流制限(CAL)を抱える患者は、急激に悪化した場合は特に、あるいは夜間には日常的に、換気補助を必要とする場合がある。
【0004】
換気補助は呼吸の仕事量を軽減し、無呼吸感を軽減し、また血液ガス(酸素及び二酸化炭素レベル)を改善することができる。CALの患者においては、呼吸をする仕事量のほとんどは気道の抵抗によるものである。この抵抗の約3分の2は比較的一定しており、また気道の狭窄によるものである。しかし抵抗の約3分の1が呼気の間の動的気道圧迫によって生じる。動的気道圧迫は、呼気の間の胸腔内圧が気道の内腔中の圧力よりも高くなった時に生じ、空気の流量を努力と無関係にする。
【0005】
正常な被験者の場合、肺胞圧力は呼気の期間中に指数関数的に減衰し、呼気の終わりには呼気流量と肺胞圧力(大気圧に対して)の両方がほぼゼロとなり、肺と胸壁はその受動平衡容積Vに戻っているであろう。しかしCALの患者の場合、動的気道圧迫と低下した一定値の呼気流量の結果として、次の吸気が開始されるまでの許容時間内に肺がVに戻ることが不可能である。胸郭は過度に鼓張(ハイパーインフレーション)している。肺胞圧力は呼気の終末段階でも5〜15cmHO程度の陽圧のままとなる。この高まった肺胞圧力は固有呼気終末陽圧(PEEPi)と呼ばれる。(この現象に対する別の名称は隠性PEEP及び潜在PEEPである。)
【0006】
過鼓張(ハイパーインフレーション)の重大な影響は、過度に鼓張した胸郭の弾性収縮を患者が克服しなければ吸気気流を始めることができないということである。
【0007】
PEEPiは、吸気負荷の閾値として作用すると言われている。PEEPiの更に望ましくない影響は、人工的な機械による換気補助の使用中に、それが人工呼吸器の起動に対して少なからぬ干渉を行い、患者と機械のタイミングにずれを生じることである。
【0008】
PEEPiの強さとほぼ等しい対抗平衡作用を持つ外部の固有呼気終末陽圧(外部PEEP又は単にPEEPと呼ばれる)を加えることで、大きな効果が得られることが現在よく理解されている。先ず、それにより動的気道圧迫を防止して呼気流量を増加できる。第二に、吸気負荷の閾値がバランスされる。第三に患者による人工呼吸器の起動が改善される。
【0009】
しかしPEEPの過大な使用は不利、また危険さえもたらすことがある。PEEPiよりも過大なPEEPは、かえってひどい過鼓張をもたらす。これは肺と胸壁の硬直と、呼吸の弾性的仕事量の増加をもたらすことであろう。これはまた心拍出量を低下させ、また気圧障害をもたらす可能性がある。更に、換気補助を行っている間、換気装置の容量を超過せずに、又はそれ自体危険な圧力に達することなく、吸気気道圧力のピーク値を随意に増加することはできない。最後に、過大な外部PEEPは、気道圧力が行うことの出来る変動、あるいは肺が膨張するための余地も低下させる。
【0010】
従って外部PEEPを適用する場合には、外部PEEPをPEEPiに可能な限り近い値に設定することが望ましい。例えばどちらも睡眠ステージの変化、胸部感染あるいは気管支けいれんによって変化する末梢気道の抵抗及び呼吸数を含む多くの要因によって、PEEPiが時間的に変動するので、外部PEEPを最適化するためにはPEEPiの多数の測定値をとるか、あるいは連続的に測定できることが望ましい。
【0011】
集中治療室内の患者は普通、換気補助を施されている間は深い鎮静状態にあり麻痺しており、PEEPiの測定は単純である。必要なのは呼気の終わり近くに気道を閉塞して気道圧力を測定することだけであるが、平衡状態に達して数秒後には気道圧力は静的PEEPiに等しくなるであろう。CALにおける肺の損傷は顕著な不均一性を示すのが普通なので、異なる肺胞は異なる終末呼気圧力を持ち、従って静的PEEPiは全ての肺胞にわたって加重平均した値となる。
【0012】
麻痺した鎮静状態の患者への使用が適切である別の既知の方法は、機械による吸気努力の開始時に気道圧力を測定し、実際の吸気気流の開始時に再度測定することである。これら2つの圧力の差が動的PEEPiである。動的PEEPiは最も異常の少ない肺単位内での終末呼気圧力を反映するものであり、静的PEEPiをかなり過小評価することになる。
【0013】
これらの単純な方法は、鎮静化及び麻痺させられておらず、自発的な呼吸努力をしている患者には効果がないが、それは患者自身の呼吸筋肉の努力がこれらの方法では考慮されていないからである。
【0014】
その様な患者に使用される1つの既知の方法は、食道と胃にカテーテルを挿入する際にミュラー操作(最大吸気努力)を必要とするものであり、そのため救急患者又は長期にわたって家で治療を受けている患者に対して繰り返しあるいは連続的に測定を行うためには、全く不満足なものである。
【0015】
自発呼吸を行っている患者の気道コンダクタンスをオシロメータを使用して測定する方法が、Peslin他によって「機械換気中の強制振動による呼吸メカニズムの研究」,Eur Respir J 1993; 6:772−784において、またFarre他によって「異なるPEEPレベルでの換気された患者における0.25〜26Hzの呼吸インピーダンスを測定するためのサーボ制御ジェネレータ」Eur Respir J 1995; 8:1222−1227において教示されている。これらの文献では、吸気と呼気に対して別々の測定を考えている。オシロメトリーでは、4Hzのような高い周波数で気道圧力を変調して、その結果その周波数で変調された呼吸流量を測定することを必要とする。しかしこれらの文献では、吸気コンダクタンスと呼気コンダクタンスがほぼ等しくなるように、換気のサーボ制御によってPEEPを増減することについて述べていない。
【0016】
経鼻性CPAP(米国特許No.5,617,846参照)又は閉塞性睡眠時無呼吸症の治療のためのバイレベルCPAP(米国特許No.5,458,137参照)を制御するために、オシロメトリーが使用されてきた。そこでの問題は、ここで検討している問題と基本的に反対である。閉塞性睡眠時無呼吸症の場合、吸気時に抵抗が増加するが、上記の2つの特許は吸気時の抵抗の増加が圧力を高くすることにより処置できることを示している。CALと動的気道圧迫を伴う患者の場合は、呼気の間に抵抗が増加するのである。
【0017】
意識があり自発的に呼吸をしている患者に対する換気装置又はCPAP装置を自動的又は連続的に制御して、呼気気流制限を防止し、又はCALにおけるPEEPi負荷を軽減できる方法又は装置は知られていない。
【0018】
Rossi他によって「慢性閉鎖性肺疾患の患者の補助された換気中のPEEPの役割」、Eur Respir J 1990; 3:818−822において教示されたPEEPiを推定する更に別の既知の方法は、呼気流量−容積曲線の形を調べるものであるが、この曲線は動的気道圧迫が無ければ指数関数的になることが観察されている。この文献は更に、 PEEPiが存在しない場合には流量−容積曲線が直線になると述べている。
【0019】
上に述べた既知の技術は、呼気の任意の1サイクルの間一定である外圧を加えることだけを考えている。しかし肺の弾性的な戻りは肺の容積が大きいときに強く、肺の容積が小さいときには弱い。そのため、呼気中のそれぞれの瞬間に、その呼気の間動的気道圧迫が起きるのを防止する外圧の最低値を見出すことが有利であるかも知れない。
【発明の概要】
【0020】
我々の発明の目的は、呼気の間の換気圧力を、患者の動的気道圧迫の程度の関数として変化させることである。
【0021】
我々の発明の別の目的は、通常のCPAP及び換気装置において既に行われた連続的な測定のみに基づいて、換気圧力を自動的に変化させることである。
【0022】
本発明は、換気補助を行っている間の呼気圧力の連続的かつ自動的な調節を提供し、それにより最低量の外部呼気圧力で動的気道圧迫を大幅に防止し、固有PEEPの負荷を軽減するものである。
【0023】
本発明の基本的方法は、フェースマスク、鼻マスク、気管内挿管または気管カニューレのような患者の気道への通常のインターフェースを使用して、前記インターフェースにCPAP及び換気技術において周知のように呼吸可能ガスを変化する圧力で排出及び供給することにより、換気補助を行っている間の動的気道圧迫を防止する。呼吸流量は測定又は計算によって求められ、動的気道圧迫の程度を示す量が導かれる。動的気道圧迫の程度を示す量が大きいか又は増加している場合は呼気圧力を高くして、また動的気道圧迫の程度を示す量が小さいかゼロの場合は呼気圧力を低くすることにより、この量は好適にはゼロにサーボ制御される。
【0024】
動的気道圧迫の程度を示す量は、任意の与えられた呼吸の間の瞬間的又は1点における量であって良く、またこの量をゼロにサーボ制御するステップは同様に与えられた呼吸の間の1点で行ってよく、それにより呼気圧力が同様に1回の息の間の1点で変化させられる。この様に気道圧迫の決定とサーボ制御を個々の呼吸サイクル1回の間に行われる複数の気流の決定に基づいて行う代わりに、複数の呼吸サイクルにわたって動的気道圧迫の程度を示す量を導き、気道圧迫のサーボ制御を行うこともできる。
【0025】
呼気の間、呼気圧力の増加は以下に説明するように吐き出される体積の関数として直線的になる可能性がある。
【0026】
動的気道圧迫の程度を示す量は好適には、1回以上の呼吸サイクルの吸気及び呼気部分のそれぞれの間の気道コンダクタンスを別々に測定し、吸気コンダクタンスから呼気コンダクタンスを差し引いたもの、又は呼気コンダクタンスに対する吸気コンダクタンスの比率の関数として動的気道コンダクタンスの程度を示す量を計算することにより、導かれる。吸気と呼気の間の別個の2つのコンダクタンスは、既知の又は測定された強度での患者のインターフェース圧力の上に高周波振動を重ね合わせて、各呼吸サイクルの吸気及び呼気部分を判別し、1回以上の呼吸サイクルの吸気及び呼気部分にわたっての高周波での呼吸流量の成分を別々に測定し、そしてこれらの測定値と求められた圧力の値から吸気気道コンダクタンスと呼気気道コンダクタンスを計算することにより求めることが出来る。
【0027】
あるいは、動的圧迫の程度を示す量は、呼気流量対時間曲線の形から導くこともできる。呼気流量がピーク呼気流量の瞬間から終末呼気まで指数関数的に減衰する時にはこの量はゼロであるが、呼気流量がピーク呼気流量から急激に減少し、その後安定になるが呼気の残りの期間にわたってゼロでない場合は、この量は大きな値となる。この量は呼気時間の最後の約25%の間の平均呼気流量の、ピーク呼気流量に対する比であってもよい。
【0028】
本発明の更に別の目的、特徴及び利点は、我々の発明の方法を実施するための装置を例示する図面を参照して以下の詳細な説明を読めば明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施形態にかかる装置の構成を示す模式図
【発明を実施するための形態】
【0030】
図面において、ブロワ1は供給チューブ3を介して患者の気道と連通しているマスク2に呼吸可能なガスを供給し、排気口4を通して排気される。マスク2での空気流量は、呼吸気流計5及び差圧トランスデューサ6を使用して測定される。トランスデューサ6からのマスク流量信号は、マイクロプロセッサ7によってサンプリングされる。マスク圧はポート8で、圧力トランスデューサ9を使用して測定される。トランスデューサ6からの圧力信号は次ぎにマイクロプロセッサ7によってサンプリングされる。マイクロプロセッサ7は瞬間的なマスク圧力要求(すなわち望ましい)信号をサーボ10に送り、サーボは圧力要求信号をトランスデューサ9からの実際の圧力信号と比較してファンモーター11を制御する。マイクロプロセッサの設定条件はシリアルポート12を介して調整できる。
【0031】
マスクは同じく気管カニューレ、気管内挿管、鼻ピロー、又は空気供給手段と患者の気道の間の封止された接続を行う他の手段に取り替えることが出来ることを理解すべきである。
【0032】
本発明には、望ましいマスク圧を求めるためにマイクロプロセッサが行うステップが含まれる。マイクロプロセッサはマスク流量及び圧力の各信号を受け取り、これらの信号から任意の便宜な方法によりマスクと患者の間でいかなる漏れがあってもそれによる瞬間的な流量を求める。例えば漏れのコンダクタンスは、時定数10秒を持つ低域通過フィルターを通したマスクの瞬間流量を、同様に低域通過フィルターを通したマスクの瞬間圧力の平方根で割った値として評価でき、そして瞬間的漏れ流量はコンダクタンスにマスクの瞬間圧力の平方根を掛けて計算できる。すると呼吸流量は、マスクの瞬間流量から瞬間的漏れ流量を差し引いて計算できる。
【0033】
固有PEEPが存在しない単純な場合は、患者への換気補助を行うためにマスクでの瞬間的圧力を以下のように単純に設定すればよい。
P=PINSP 流量>0(吸気)
P=PEXP 流量≦0(呼気)
ここでPEXPはPINSPよりも小さいか又は等しい。普通はPEXPはゼロで、PINSPは約10〜20cmHO程度となる可能性がある。
【0034】
ここで呼気流量の制限の程度を示す量を導出する2つの実施例を検討する。第一の実施例では、吸気中の気道コンダクタンスが呼気中の気道コンダクタンスと比較され、吸気中のコンダクタンスが高いと言うことは呼気流量の制限を示す。気道コンダクタンスは、瞬間的マスク圧力に振幅1cmHOの4Hzの振動を重ねて、4Hzでの呼吸流量信号の成分を測定することで計算される。コンダクタンスは4Hzの振動の各サイクルの半分ごとに1度計算すればいい。呼吸サイクルの吸気部分と呼気部分の各半分を判別するためには、重ね合わせる4Hz振動を最小にするために呼吸流量を低域フィルターにかけて、例えば長さ0.25秒の移動窓にわたって測定された呼吸流量の平均値を取る。もしも4Hz低域フィルターにかけた流量が0.1L/秒のような閾値よりも大きければ、これは吸気側の半サイクルとみなされる。そうでない場合は呼気側の半サイクルとみなされる。
【0035】
ここで標準的な平均又はフィルタリング方法を使って、1つ又はそれ以上の吸気側の半サイクル、及び1つ又はそれ以上の呼気側の半サイクルにわたってのコンダクタンスが計算される。吸気中のコンダクタンスから呼気中のコンダクタンスを差し引けば、動的気道圧迫の程度を示す第一の量Mが得られる。好適には1回又はそれ以上の呼吸全体にわたっての平均コンダクタンスで割ることによりMを正規化することができ、また閾値、例えば0.2を差し引くことによりコンダクタンスの20%以上の差だけが動的気道圧迫を示すものと見なされるようにすることができる。従ってM=(吸気中の平均コンダクタンス − 呼気中の平均コンダクタンス)/(全呼吸にわたる平均コンダクタンス)−0.2となる。
【0036】
最後に、コンダクタンスの差をサーボ制御してゼロにするために呼気圧力を調節することが必要である。これは例えばPEXPを1秒当たりに(0.1)( M)cmHOだけ増加することで行える。この方法を使えば、動的気道圧迫が存在する場合は、 MがゼロになるまでPEXPは緩やかに増加し、それ以後はそれ以上の動的気道圧迫は起きないであろう。動的圧迫を防ぐために必要な圧力の時間的な変化を追跡することが出来る。この第一の実施例の説明において、 Mは呼気に入る時刻の関数として計算でき、呼気中の異なる点での圧力は呼吸の期間内で独立にサーボ制御される。
【0037】
呼気流量の制限の程度を示す量を導出する第二の実施例では、呼気流量の制限の程度は呼気流量の時間変化の曲線から計算される。各呼吸内での呼気部分の判別は、例えば呼気を流量が0.1L/秒未満の期間とすることで行われる。呼気期間の最後の25%の間の平均呼気流量を計算して、それをピーク呼気流量で割る。呼気流量の制限がない患者の場合は、この比がゼロに近く、0.2のような閾値よりも小さいであろうが、一方呼気流量の制限を持つ患者の場合はもっと大きくて例えば0.2から0.6の範囲であり、高い値はよりひどい動的気道圧迫を示す。従って、呼気流量の制限の程度を示す第二の量はM=(呼気時間の最後の25%の間の平均呼気流量)/(ピーク呼気流量)−閾値となり、ここで閾値は例えば0.2である。
【0038】
この第二の実施例の最後のステップでは、もしもMが正の値であれば、呼気圧力PEXPがわずかに、例えば各呼吸当たりに(0.1)(M)cmHOだけ増加させられる。反対にMの値が負であれば、PEXPがわずかに、例えば各呼吸当たりに(0.1)(M)cmHOだけ減少させられる。
【0039】
第三の実施例は、上記の2つの実施例のいずれかにおいてサーボ制御ステップの補強として使用できるものであり、呼気の開始時には動的圧迫が起こらず、呼気の開始時に動的圧迫を防止するための外圧の必要はないが、弾性的な戻りが減少するに従って動的圧迫が進行するという事実を考慮するものである。弾性的な戻り圧力は呼気の体積に対してほぼ直線的に減少するので、加える必要のある外圧は呼気の体積の関数としてほぼ直線的に増加する。従ってこの第三の実施例では、呼気圧力は以下のように設定される:
EXP(t)=KV(t)/V
ここでPEXP(t)は呼吸の1サイクルの呼気部分内の時刻tでの圧力であり、V(t)は呼気中の時刻tでの呼気体積であり、Vはその前の吸気の1回換気量である。従ってV(t)/Vは呼気中に0から1まで増加する。定数KはMまたはMをゼロにサーボ制御するために調節され、PEEPiを近似する。
【0040】
特定の実施例について本発明を説明してきたが、これらの実施例は本発明の原理を応用例を示すだけであることを理解すべきである。本発明の趣旨と範囲から逸脱することなく多くの変更を行うことが出来、また他の構成を考案できるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者に換気補助を行っている間に動的気道圧迫が発生するのを防止する方法において:
患者の気道にインターフェースを供給し;
前記インターフェースに呼吸可能なガスを制御可能な圧力でまた排気付きで供給し;
測定及び計算のいずれかにより呼吸気流量を求め;
患者に換気補助を行うために患者のインターフェースにおける圧力を変化させ;
少なくとも求められた呼吸流量から動的気道圧迫の程度を示す量を導き;そして
前記の量が大きいか又は増加していれば呼気圧力を増加し、前記の量が小さいかゼロであれば呼気圧力を低下させることにより動的気道圧迫の程度を示す量をサーボ制御する
各ステップを含む方法。
【請求項2】
請求項1の方法において、前記動的気道圧迫の程度を示す量と前記動的気道圧迫の程度のサーボ制御の両方が、個々の呼吸サイクルの各々の中で求められた呼吸流量の多数の値に基づいていることを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1の方法において、前記動的気道圧迫の程度を示す量と前記動的気道圧迫の程度のサーボ制御の両方が、複数の呼吸サイクルにわたって行われる呼吸流量の1回の決定に基づいていることを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1の方法において、呼気の間、呼気圧力が呼気体積の関数としてほぼ直線的に増加させられることを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項1の方法において、前記動的気道圧迫の程度を示す量が:
患者の気道コンダクタンスを、呼吸の少なくとも1サイクルの吸気及び呼気部分の間に別々に測定し;
動的気道コンダクタンスの程度を示す量を、吸気コンダクタンスと呼気コンダクタンスの値の関数として計算する
各サブステップに従って導かれることを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項5の方法において、動的気道コンダクタンスの程度を示す量が、吸気コンダクタンスと呼気コンダクタンスの差の関数として計算されることを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項5の方法において、動的気道コンダクタンスの程度を示す量が、吸気コンダクタンスの呼気コンダクタンスに対する比の関数として計算されることを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項5の方法において:
所定の振幅の患者インターフェースの圧力に高周波振動を重ね合わせて;
各呼吸サイクルの吸気及び呼気部分を判別し;
呼吸の少なくとも1サイクルの吸気及び呼気部分にわたって、前記高周波での呼吸流量の成分を測定し;そして
前記高周波成分の流量測定と求められた圧力の振幅から、吸気気道コンダクタンスと呼気気道コンダクタンスを計算する
各サブステップに従って吸気及び呼気の間のそれぞれのコンダクタンスが測定されることを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項1の方法において、前記動的気道圧迫の程度を示す量が、時間に対する呼気流量の時間変化曲線の形から導かれることを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項9の方法において、前記の量は呼気流量がピーク呼気流量の瞬間から終末呼気まで指数関数的に減衰する時にはゼロであるが、呼気流量がピーク呼気流量から急激に減少してその後安定になるが呼気の残りの期間ゼロでない場合は大きな値となることを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項10の方法において、前記の量は呼気時間の最後の約25%の間の平均呼気流量の、ピーク呼気流量に対する比であることを特徴とする方法。
【請求項12】
患者に換気補助を行っている間に動的気道圧迫が発生するのを防止する方法において:
換気補助を行うために患者の気道に変化する圧力を与え;
患者の呼吸気流量を求め;
求められた呼吸気流量の関数として動的気道圧迫の程度を示す量を導き;そして
動的気道圧迫の程度を示す導かれた量に従って呼気圧力を増減する
各ステップからなる方法。
【請求項13】
請求項12の方法において、動的気道圧迫の程度を示す量をサーボ制御することにより呼気圧力が増減される方法。
【請求項14】
請求項13の方法において、呼気圧力は前記動的気道圧迫の程度を示す量が大きいか又は増加する時には増加させられ、前記動的気道圧迫の程度を示す量が小さいかゼロである時は呼気圧力が低下させられることを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項12の方法において、前記動的気道圧迫の程度を示す量が大きいか又は増加する時には呼気圧力が増加させられ、前記動的気道圧迫の程度を示す量が小さいかゼロである時は呼気圧力が低下させられることを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項12の方法において、前記動的気道圧迫の程度を示す量が複数の呼吸サイクルにわたって求められた呼吸流量に基づいていることを特徴とする方法。
【請求項17】
請求項12の方法において、前記動的気道圧迫の程度を示す量が:
患者の気道コンダクタンスを呼吸の少なくとも1サイクルの吸気及び呼気部分の間に別々に測定し;そして
動的気道コンダクタンスの程度を示す量を、吸気コンダクタンスと呼気コンダクタンスの値の関数として計算する
各サブステップに従って導かれることを特徴とする方法。
【請求項18】
請求項17の方法において、動的気道コンダクタンスの程度を示す量が、吸気コンダクタンスと呼気コンダクタンスの差の関数として計算されることを特徴とする方法。
【請求項19】
請求項17の方法において、動的気道コンダクタンスの程度を示す量が、吸気コンダクタンスの呼気コンダクタンスに対する比の関数として計算されることを特徴とする方法。
【請求項20】
請求項17の方法において:
患者の気道に供給される変化する圧力に高周波振動を重ね合わせて;
各呼吸サイクルの吸気及び呼気部分を判別し;
呼吸の少なくとも1サイクルの吸気及び呼気部分にわたって、前記高周波での呼吸流量の成分を測定し;そして
高周波成分の流量測定から、吸気気道コンダクタンスと呼気気道コンダクタンスを計算する
各サブステップに従って吸気と呼気の間のそれぞれのコンダクタンスが測定されることを特徴とする方法。
【請求項21】
請求項12の方法において、前記動的気道圧迫の程度を示す量が、時間に対する呼気流量の曲線の形から導かれることを特徴とする方法。
【請求項22】
請求項21の方法において、前記の量は呼気流量がピーク呼気流量の瞬間から終末呼気まで指数関数的に減衰する時にはゼロであるが、呼気流量がピーク呼気流量から急激に減少してその後安定になるが呼気の残りの期間ゼロでない場合は大きな値となることを特徴とする方法。

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2011−5263(P2011−5263A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−172519(P2010−172519)
【出願日】平成22年7月30日(2010.7.30)
【分割の表示】特願2000−593365(P2000−593365)の分割
【原出願日】平成12年1月13日(2000.1.13)
【出願人】(500046450)レスメド・リミテッド (192)
【氏名又は名称原語表記】RESMED LTD