固液分離装置
【課題】目詰まりを防止できるとともに、部材同士の接触による摩耗及び繊維の絡み付きを防止でき、所定の処理効率を維持しながら維持管理コストを大幅に低減できる固液分離装置を提供する。
【解決手段】 スペーサと円形穴を有する固定プレートとを交互に軸方向に多数積層状態に配置して構成された筒状の固定部材の内部に、スペーサと円形の搬送プレートとを交互に軸方向に多数積層状態に配置して構成された円筒状の可動部材18により濾過体が構成されている。可動部材18の各搬送プレート29は、開口部40とこの開口部40の外側から内方(円中心)へ向かって延びる突縁42を有し、各突縁42が軸方向に螺旋階段状に連続的に連なるように軸方向と直交する面内で位置をずらされている。可動部材18の内部には、シャフトレスの螺旋階段状の搬送羽根が形成される。
【解決手段】 スペーサと円形穴を有する固定プレートとを交互に軸方向に多数積層状態に配置して構成された筒状の固定部材の内部に、スペーサと円形の搬送プレートとを交互に軸方向に多数積層状態に配置して構成された円筒状の可動部材18により濾過体が構成されている。可動部材18の各搬送プレート29は、開口部40とこの開口部40の外側から内方(円中心)へ向かって延びる突縁42を有し、各突縁42が軸方向に螺旋階段状に連続的に連なるように軸方向と直交する面内で位置をずらされている。可動部材18の内部には、シャフトレスの螺旋階段状の搬送羽根が形成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、汚泥(畜産糞尿、食品工場などの排水処理から発生する含油汚泥、下水処理から発生する余剰汚泥、建設現場から発生する無機汚泥等の概念を含む)中に含まれる固形物と水分とを分離する固液分離装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の汚泥は水分を多量に含んでおり、そのままの状態(原水)では堆肥化等の処理が困難であるため、フロック化処理後固液分離装置により脱水し、含水率が約80%程度の脱水ケーキとすることが行われている。
汚泥(処理対象物)を脱水する方法としては、従来より種々の方式が提案されている。例えば、スクリュープレスタイプの方式が知られている。これは、パンチングプレートなどの水抜けの良い板を円筒形に加工した固定部材(ステータ)の中に、シャフトに螺旋状の羽根を固定したスクリューコンベアを設けて濾過体を構成し、この濾過体の一端側から処理対象物を投入してスクリューコンベアを低速で回転させ、固形物を軸方向に搬送しながら固定部材の穴から水分を流下させる仕組みになっている。
濾過体の他端側(出口側)に向かってスクリューピッチを小さくすることと、出口から排出される固形物の量を規制する板を設けることにより十分な内圧を得ることができ、固形物の含水率が約80%という高い脱水率を得ることができる。
しかしながら、パンチングプレートが目詰まりを起こしやすいために、外胴としてのパンチングプレートを頻繁に洗浄する必要があり、大量の洗浄水を要するとともに洗浄作業が面倒であるという問題があった。
【0003】
特開平5−228695号公報には、多数の固定リングを間隔をおいて軸方向に積層状態に配置して円筒状の固定部材を形成するとともに、固定リング間に可動リングを配置し、固定リングと可動リングの内部空間にスクリューコンベアを設けて濾過体を構成した固液分離装置が記載されている。
可動リングの内径はスクリューコンベアの外径よりも僅かに小さく設定されており、スクリューコンベアが回転すると汚泥は軸方向に搬送され、水分は可動リングと固定リング間の微小ギャップから外部に排出される。
スクリューコンベアの回転によって可動リングは軸方向と直交する方向に押し上げられて揺動し、これにより固定リングと可動リング間の隙間に固形分が詰まることが防止される。
すなわち、スクリューコンベアの回転動作を利用して、同時に目詰まり防止動作も行うようになっている。
【0004】
【特許文献1】特開平5−228695号公報
【特許文献2】特開2005−169323号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された構成では、スクリューコンベアの回転動作を利用して目詰まりを防止するので、目詰まり防止のための専用の動力源を必要とせず、上述した洗浄問題も解消できる利点を有している。
しかしながら、スクリューコンベアの螺旋羽根の外縁(エッジ)は常に可動リングの内周面と金属接触を繰り返すため、経時的に可動リングの内径は摩耗により大きくなり、固定リングの内径と同等になった時点で目詰まり防止機能が消失するという問題があった。
この問題を解消するには、定期的に可動リングとスクリューコンベアの摩耗状態をチェックし、摩耗が大きい場合には交換をしなければならず、維持管理コストが増大するという問題があった。
【0006】
また、従来型のスクリューコンベア方式の共通の欠点として、畜産排水あるいはダストコントロール排水などの繊維状の狭雑物を多量に含む汚泥を脱水する場合に、スクリューシャフトに繊維の絡み付きが発生していた。
濾過体の内部に十分な内圧が生じるほど、すなわち脱水機能が高まるほどシャフトに絡み付いた繊維層内に固形物が圧縮され、固形物が固着して実質的にシャフト径は大きくなる。
シャフト径が大きくなると、濾過体内の搬送路の容積が必然的に小さくなるため、仕様容量の汚泥を投入できなくなり、処理効率が低下するという問題があった。
【0007】
本発明は、目詰まりを防止できるとともに、部材同士の接触による摩耗及び繊維の絡み付きを防止でき、所定の処理効率を維持しながら維持管理コストを大幅に低減できる固液分離装置の提供を、その主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
スクリューコンベア方式は高い搬送力を有し、内圧を高めることも容易であるが、その構造に着目した場合、シャフト自体は濾過体の搬送容積を少なくし、繊維が絡み付く原因となる存在でしかない。したがって、究極的には、スクリューコンベアの螺旋状の羽根に相当する搬送部材のみが存在すればよく、シャフトレス化によって上述した繊維の絡み付き等の問題も生じない。
本発明は、このような着眼の下になされたものであり、具体的には、請求項1に記載の発明では、筒状の固定部材の内部にスクリューコンベア機能を呈する可動部材を設けた濾過体と、上記可動部材を回転駆動する駆動手段を有し、上記濾過体の一端側から送り込まれる汚泥を脱水しながら他端側へ搬送して排出する固液分離装置において、上記可動部材は、上記固定部材の軸方向に多数積層状態に配置された搬送プレートと、これらの搬送プレートを一体に支持する支持部材とを備え、上記各搬送プレートは、各搬送プレートをそれぞれ上記軸方向と略直交する面内でずらすことにより搬送路及び上記軸方向に連続的に連なる螺旋階段状の搬送羽根を形成可能な形状を有していることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の固液分離装置において、上記搬送プレートは、搬送路としての開口部と、該開口部の内方へ向かって延びる突縁を有し、上記突縁が連続的に連なって上記螺旋階段状の搬送羽根を形成することを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明では、請求項1又は2に記載の固液分離装置において、上記搬送プレートは、上記螺旋階段状の搬送羽根のピッチを変更できるように、上記支持部材に対する固定位置を複数箇所有していることを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の発明では、請求項2に記載の固液分離装置において、上記突縁が、上記濾過体の軸方向一端側へ向かう搬送力を生じさせる傾斜面を有していることを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載の発明では、請求項1又は2に記載の固液分離装置において、上記固定部材は、固定プレートを軸方向に間隔をおいて多数積層状態に配置して構成され、上記搬送プレートは上記固定プレート間に配置され、上記可動部材は上記固定部材に対して偏芯した状態で回転駆動されることを特徴とする。
【0013】
請求項6に記載の発明では、請求項5に記載の固液分離装置において、上記搬送プレートの外径は上記固定プレートの内径より大きく設定されていることを特徴とする。
【0014】
請求項7に記載の発明では、請求項6に記載の固液分離装置において、前記搬送プレートは円形状をなし、上記可動部材の回転時上記固定プレートの内径は上記搬送プレートの面積内に位置することを特徴とする。
【0015】
請求項8に記載の発明では、請求項1又は2に記載の固液分離装置において、上記螺旋階段状の搬送羽根の上記軸方向のピッチが上記濾過体の上記一端側から上記他端側へ向かって小さくなるように上記搬送プレートが配置され、且つ、上記濾過体は上記他端側が高くなるように傾斜して設けられていることを特徴とする。
【0016】
請求項9に記載の発明では、請求項1又は2に記載の固液分離装置において、上記濾過体の上記他端側の排出容量を制限して該濾過体の内部の圧力を調整する圧力調整手段を有していることを特徴とする。
【0017】
請求項10に記載の発明では、請求項1又は2に記載の固液分離装置において、上記濾過体の上記一端側における汚泥の送り込みを増進させる汚泥押し込み手段を有していることを特徴とする。
【0018】
請求項11に記載の発明では、請求項1又は2に記載の固液分離装置において、上記濾過体の上記一端側と上記他端側とで個別に分離液を回収する手段を有していることを特徴とする。
【0019】
請求項12に記載の発明では、請求項1又は2に記載の固液分離装置において、上記固定部材と上記可動部材を構成する要素の少なくとも一部が、撥液性の高い材料でコーティングされていることを特徴とする。
【0020】
請求項13に記載の発明では、請求項1又は2に記載の固液分離装置において、上記濾過体が複数並置されていることを特徴とする。
【0021】
請求項14に記載の発明では、請求項13に記載の固液分離装置において、上記各濾過体の上記各可動部材が一つの駆動手段により回転駆動されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、シャフトレス構成でスクリューコンベアと同様の搬送機能を得ることができるので、金属接触による摩耗及び繊維の絡み付きを防止でき、且つ所定の処理効率を長期に亘って維持できるとともに維持管理コストを大幅に低減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の第1の実施の形態を図1乃至図11に基づいて説明する。
図1に示すように、本実施形態における固液分離装置10は、汚泥を脱水する濾過体11と、この濾過体11の一端側(入口側)に設けられ、フロック化された汚泥が投入される流入ボックス12と、濾過体11の他端側(出口側又は排出側)に設けられ、濾過体11の内部に設けられた後述する可動部材を回転駆動する駆動手段としてのモータ13と、同じく濾過体11の他端側に設けられ、出口側の排出容量を制限して濾過体11の内部の圧力を調整する圧力調整手段14と、濾過体11を支持する3つのL字状の支持体15と、モータ13が固定されるモータ固定板16等を有している。
ここでの固液分離装置10は、床面に略平行となる水平設置タイプである。
【0024】
濾過体11は、角筒状をなす固定部材17と、この固定部材17の内部に設けられた可動部材18を有している。
外胴又は外筒としての固定部材17は、図2に示すように、支持体15に支持される4本の長ボルト19に、スペーサ20と固定プレート21を交互に通して(図面上では一部省略している)、軸方向に固定プレート21を多数枚積層状態に配置した構成となっている。したがって、固定部材17は、スペーサ20によって確保される隙間により、軸方向と直交する方向への水分の抜けが可能な角筒体となっている。
長ボルト19の一端側は流入ボックス12を貫通し、流入ボックス12の側面でナット部材22により固定されている。長ボルト19の他端側はモータ固定板16にナット部材22により固定されている。
【0025】
図3に示すように、支持体15は、垂直部23と水平部24とから構成されており、垂直部23には汚泥の搬送を可能とする円形の穴23aと、長ボルト19の挿通穴23bが形成されている。水平部24には、図示しない装置本体架台に固定するための固定用穴24aが形成されている。
矩形の固定プレート21には、中央部に汚泥の搬送を可能とする円形の穴21aが形成されており、4隅に長ボルト19の挿通穴21bが形成されている。固定プレート21の穴21aと支持体15の穴23aは略同径となっている。
【0026】
汚泥を搬送するスクリューコンベアの機能を呈する可動部材18は、図4に示すように、出口側シャフトプレート25と入口側シャフトプレート26間に支持される4本の長ボルト27に、スペーサ28と搬送プレート29を交互に通して(図面上では一部省略している)、軸方向に搬送プレート29を多数枚積層状態に配置した構成となっている。長ボルト27の両端部はナット部材22で固定されている。出口側シャフトプレート25、入口側シャフトプレート26及び長ボルト27により、各搬送プレート29を一体に支持する支持部材が構成される。
可動部材18は、スペーサ28によって確保される隙間により、軸方向と直交する方向への水分の抜けが可能な円筒体となっている。
出口側シャフトプレート25は、モータ13に接続されるシャフト30と、このシャフト30に一体に設けられた支持プレート31を有している。入口側シャフトプレート26は、流入ボックス12の側面に固定された合成樹脂製の軸受32(図1参照)に支持されるシャフト33と、このシャフト33に一体に設けられた支持プレート34を有している。
図5に示すように、出口側シャフトプレート25の支持プレート31には、長ボルト27の挿通穴31aが形成されているとともに、脱水ケーキ排出口31bが形成されている。
【0027】
図6に示すように、支持プレート31に対してシャフト30は予め決められた寸法δ偏芯して固定されている。この関係は入口側シャフトプレート26についても同様である。また、入口側シャフトプレート26の支持プレート34には、脱水ケーキ排出口31bに相当する汚泥流入口が形成されている。支持プレート31の厚みは5〜10mm程度がよい。
図4に示すように、圧力調整手段14は、シャフト30に挿通された背圧板35と、この背圧板35の軸部に形成されたねじ穴に螺合される固定ねじ36を有している。固定ねじ36を緩めて背圧板35の軸方向の位置を調整することにより、出口側における脱水ケーキの排出容量を制限でき、これにより濾過体11の内圧を調整できる。
入口側シャフトプレート26のシャフト33には、流入ボックス12に投入されたフロック化された汚泥の可動部材18への送り込みを増進させる汚泥押し込み手段37(図1では省略)が設けられている。
汚泥押し込み手段37は、シャフト33に挿通固定される軸部38と、この軸部38に固定された羽根39を有している。羽根39はスクリュー作用が生じるように傾斜している。羽根形状は螺旋羽根としてもよい。
【0028】
図7に示すように、搬送プレート29は固定プレート21のスペーサ20によってできたギャップに配置されており、逆に、固定プレート21は、搬送プレート29のスペーサ28によってできたギャップに配置されている。
したがって、固定プレート21と搬送プレート29を交互に配置していくことで、濾過体11を組み立てることができる。
汚泥に含まれる水分は、固定プレート21と搬送プレート29間の隙間から濾過体11の軸方向と直交する方向(下方)へ抜ける。仮に、固定プレート21と搬送プレート29の板厚を2mm、スペーサ20、28の幅(軸方向の長さ)を2.5mmとすると、固定プレート21と搬送プレート29間のギャップgは0.25mmになる。この僅かなギャップより水分は重力によって落下していくことになる。
【0029】
図8に示すように、搬送プレート29は、全体として円形状を有しており、搬送路としての開口部(ハッチングで表示)40を有している。外周部には、周方向に等間隔に長ボルト27を挿通するための挿通穴(ハッチングで表示)41を複数有している。
開口部40は、円形面積のうちからその略1/4を除いた形状を有しており、1/4に相当する部分は、開口部40の外側から内方(円中心)へ向かって延びる突縁(凸部の概念を含む)42となっている。
本実施形態において、搬送プレート29の径は150mm、挿通穴41の中心を通る円の径は130mm、開口部40の中心径は110mm、挿通穴41の中心から外端までの距離tは15mmである。
【0030】
図9に示すように、各搬送プレート29は、突縁42が濾過体11の軸方向に螺旋階段状に連続的に連なるように、開口部40又は突縁42の位置を上記軸方向と略直交する面内でずらされている。ここでは、30°ずつずらされて配置されている。
このように搬送プレート29を配置することにより、可動部材18の内部には、図10に示すように、突縁42が軸方向に連続的に連なった螺旋階段状の搬送羽根が構成される。モータ13により可動部材18が回転すると、螺旋階段状の搬送羽根が回転し、スクリューコンベアのシャフトを取り除いて残る羽根と同様の搬送機能を有することになる。すなわち、スクリューコンベアのシャフトレス構成が実現する。
搬送プレート29の位置ずらし角度30°は、図8で示した搬送プレート29の挿通穴41間の間隔に対応している。したがって、挿通穴41の数が多ければ多いほど螺旋階段状の搬送羽根のピッチを自在に変えることができる。円周上に長穴を形成して無段階にピッチを調整する構成としてもよい。
【0031】
水分除去を目的とするために、搬送プレート29の材質はステンレスがよく、板厚は1.5〜2mm程度がよい。また、食品排水のように油分を多量に含む汚泥を対象とする場合には、水の抜けをさらに高めるためには、撥液性(撥水性、撥油性等の概念を含む)の高い材料、例えばテフロン(登録商標)でコーティングすることが有効である。
搬送プレート29の外径は100mm〜300mm程度がよく、螺旋階段状の搬送羽根のピッチを設定するときに大きく影響する突縁42の、開口部40の中心円の面積に対する面積比率は、1/16〜1/4程度がよい。濾過体11の長さは500mm〜2000mm程度が好ましい。
【0032】
搬送プレート29のずらし角度を小さくすれば(例えば30〜60°)、螺旋階段状の搬送羽根のピッチは小さくなり、濾過体11内での汚泥に対する内圧を高める作用が発生することにつながり、固形物の水分除去に大きく影響を与える。
畜産排水など有機系活性汚泥の余剰汚泥の脱水を目的とする場合には、多分に液分を含む(例えば含水率99%)ため、濾過体11の入口側ではより多くの濾過面を使用して自重で離水する濃縮効果を高めるためにも、汚泥を素早く出口方向に搬送する必要がある。
このため、搬送プレート29の内径(開口部40の径)と同程度のピッチで搬送することを重視してずらし角度を考慮するとよい。
本実施形態では、濾過体11の入口側では自重で離水する濃縮効果を高めることができるようにピッチを大きくし、出口側に向かって次第にそのピッチが小さくなるように、搬送プレート29のずらし角度が調整されている。したがって、出口側に近づくにつれて内圧は高くなる。
【0033】
鍍金排水などの無機質の汚泥を脱水する場合には、液分量が例えば含水率98%〜96%程度であり、既に十分に濃縮された状態にあるときには、搬送プレート29のピッチを組み替えることで内圧と搬送力を自在に変えられることになる。
従来のように、幾つかのスクリューピッチの物の中から選択するのではなく、その汚泥特性に合ったピッチを自在に構成することができるために、多くの部品点数を必要とせず、安価な構成とすることができる。
【0034】
上述のように、モータ13に接続された出口側シャフトプレート25のシャフト30は、支持プレート31に対して偏芯して固定されている。したがって、可動部材18を回転駆動した場合、螺旋階段状の搬送羽根による軸方向の搬送機能が得られると同時に、可動部材18の回転は偏芯回転となる。
搬送プレート29の外径は固定プレート21の内径(穴21aの径)よりも僅かに大きく設定されている。
図11に示すように、搬送プレート29は固定プレート21の穴21aを完全に覆った状態で、且つ、搬送プレート29の面積内から穴21aが逸脱しない状態で偏芯回転する。
図11(a)は固定プレート21の穴21aの中心xに対して搬送プレート29の開口部40の中心yが最上部に偏芯した状態を、図11(b)は穴21aの中心xに対して開口部40の中心yが最下部に偏芯した状態を、図11(c)は穴21aの中心xに対して開口部40の中心yが最右部に偏芯した状態を、図11(d)は穴21aの中心xに対して開口部40の中心yが最左部に偏芯した状態をそれぞれ示している。
したがって、搬送プレート29は、固定プレート21に対して僅かな隙間を介して擦り合わせ運動を行う。これにより搬送プレート29と固定プレート21間の目詰まりが常に防止される。
搬送プレート29の偏芯量δは大きいほど、逆に固定プレート21との重なりは小さいほど、液分の流出を促す効果が期待できる。
【0035】
次に、本実施形態における固液分離装置10の脱水動作を説明する。養豚排水などの有機系活性汚泥法から発生する余剰汚泥に高分子凝集剤を加えてフロック化し、固形物と液分に分離する脱水に使用した例である。
図示しないフロック化装置から流入ボックス12にフロック化汚泥が投入される。投入された汚泥では流入ボックス12内で汚泥押し込み手段37により濾過体11の一端側(入口側)に送り込まれる。
汚泥は可動部材18の突縁42により形成される螺旋階段状の搬送羽根により軸方向に搬送される。上述のように、濾過体11の入口側(前段)においては螺旋階段状の搬送羽根のピッチは大きく設定されているため、汚泥は素早く搬送され、この時点で多くの水分が濾過体11から下方へ流下する。
投入直後の汚泥は、固形分:水分=1:99の比率であるために、できるだけ多くの濾過面を円筒状で利用するには軸方向に素早く搬送する必要があるからである。
この重力作用を利用して濾過される部分では、濾過体11の内圧が小さいために、落下する水分に含まれる固形物は極めて少ないといえる。
この部分(濾過体11の前段)から得られる水分の全量を処理水として装置外部に排出する。
【0036】
濾過体11の出口方向に向かって螺旋階段状の搬送羽根のピッチは次第に小さくなるため、内圧が高まり、脱水率が向上していく。脱水された水分は濾過体11から下方へ流下する。
搬送プレート29の開口部40の径をd、螺旋階段状の搬送羽根のピッチをLとした場合、出口方向に向かってd:L=1:0.5程度まで小さくすることで、濾過体11の内部に汚泥が充満して内圧が生じることになる。
この間、固定プレート21と搬送プレート29間のギャップに入り込んだ汚泥は、搬送プレート29の上記偏芯運動(擦り合わせ揺動)により掻き落とされる。
固定プレート21と搬送プレート29は、重なり量>偏芯量の関係を満足するように設定されているので、常に目詰まりが防止される。
脱水された固形物(脱水ケーキ)は、濾過体11の出口側から排出されるが、出口側に設けられた圧力調整手段14の背圧板35により排出量を制限され、これにより濾過体11の内圧が高められる。
濾過体11の出口側(後段)で抜け落ちる水分に含まれる固形物は多くなる傾向がある。
十分に脱水されたケーキは、出口側シャフトプレート25の支持プレート31と背圧板35との間から排出される。
可動部材18の内部には螺旋階段状の搬送羽根が存在するだけで、シャフトが存在しないので、繊維が絡み付いてシャフト径が大きくなり、処理能力が経時的に低下するという問題は全く生じない。
【0037】
図12に基づいて第2の実施形態を説明する。なお、上記実施形態と同一部分は同一符号で示し、特に必要がない限り既にした構成上及び機能上の説明は省略して要部のみ説明する(以下の他の実施形態において同じ)。
突縁42の連続的な連なりによる螺旋階段状の搬送羽根は、可動部材18の回転により十分な搬送力を生じさせるが、突縁42自体に搬送作用を生じさせる傾斜面を設けてもよい。
例えば、図12(a)に示すように、突縁42の側面を面取りし、回転方向に向かって次第に薄肉となるようにして傾斜面42aを形成する。このようにすれば、傾斜面42aによって軸方向出口側への押圧力(搬送力)Fが生じ、螺旋階段状の搬送羽根の搬送力がさらに高められる。
図12(b)に示すように、突縁42の一側面に最大肉厚が固定プレート21と搬送プレート29間のギャップg内の別部材43を接合して傾斜面43aを形成してもよい。また、図12(c)に示すように、突縁42を回転方向に対して傾斜又は捩じって傾斜面42aを形成してもよい。
【0038】
第1の実施形態では、スペーサ20、28をそれぞれ固定プレート21、搬送プレート29とは別体としたが、固定プレート21、搬送プレート29に一体に固定してもよく、あるいは、固定プレート21、搬送プレート29の外周部側面にプレス加工やモールド成形等により軸方向に凸となるように一体成形してもよい(第3の実施形態)。
【0039】
図13に第4の実施形態を示す。
本実施形態における固液分離装置10Aでは、濾過体11の脱水性能をその傾斜配置によっても高めることを特徴としている。上記各実施形態では水平配置方式を例示したが、本実施形態では濾過体11の出口側が高くなるように傾斜角θを有するように設置されている。
濾過体11の起動時、すなわち、可動部材18を回転駆動して脱水を開始した初期には、濾過体11の内部には汚泥が十分に充填されてはいない。この状態では十分な内圧が得られず、脱水機能も低い。
濾過体11が傾斜していると、汚泥は自重で入口側に戻ろうとしながら搬送されるので、内圧も速やかに高くなり、出口側から十分な脱水ケーキとならない状態の汚泥が排出されるのを防止することができる。
【0040】
本実施形態における濾過体11はその機能上、入口側は重力濃縮部Aとして、出口側は加圧脱水部Bとして分けられる。濾過体11の下方には、重力濃縮部Aと加圧脱水部Bから排出される処理液(分離液)を個別に回収する手段としての回収トレー44が配置されている。
回収トレー44は、重力濃縮部Aに対応するトレー部45と、加圧脱水部Bに対応するトレー部46からなる2分割構成を有している。
重力濃縮部Aより排出される水分には固形物の含まれる量が少ないため、トレー部45に回収された全量を処理水として排出させることができる。このため、トレー部45の水分は水処理施設に回されるべくタンク47に直接溜められる。
【0041】
加圧脱水部Bからは、加圧の影響で固形物と水分が混合されて落下する。この部分だけを回収できるようにトレー部46が区画されており、トレー部46の下方には一定時間沈殿できるだけの沈殿槽48が設けられている。沈殿槽48に入った混合処理水は沈殿分離され、沈殿物は沈殿槽48内に設置されたポンプ49によって定期的に吸引されてフロック化装置に送られ、再処理となる。
沈殿槽48でポンプ49が稼動しないときには上澄水は装置外に処理水として排出すべくタンク47に入れられる。
スペーサの幅を変えて固定プレート21と搬送プレート29間のギャップgを、加圧脱水部Bの方が重力濃縮部Aよりも小さくなるようにすれば、加圧脱水部Bにおける固形物の落下を少なくでき、同時に濾過体11の内圧も高めることができる。
【0042】
図14に第5の実施形態を示す。
本実施形態における固液分離装置10Bでは、処理能力を増大させるべく、濾過体11を並置した構成としている。一方の濾過体11Aに対応する出口側シャフトプレート25のシャフト30には駆動ギア51が固定されており、他方の濾過体11Bに対応する出口側シャフトプレート25のシャフト30には従動ギア52が固定されている。これらのギアはモータ固定板50に設けられたシャフト53に固定されたアイドラギア54を介して同一方向に回転する。
したがって、1つの駆動手段としてのモータ13により2つの濾過体11を駆動することができる。
図示しないフロック化装置よりそれぞれの流入ボックス12にフロック化汚泥が投入され、上述した脱水処理がそれぞれの濾過体11において同時に行われる。
したがって、第1の実施形態で示した固液分離装置10に比べて2倍の処理能力を有する。
2つの流入ボックス12を1つにまとめて単体のボックスとし、フロック化装置からの投入構成を簡易化してもよい。
上記各実施形態において、濾過体11の周辺を洗浄する洗浄手段(例えば複数の洗浄ノズルと洗浄液タンクとポンプから構成される)を設け、タイマーによって定期的に動作させて洗浄するようにしてもよい。このようにすれば、濾過体11における汚泥の付着、固着を低減でき、処理能力の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の第1の実施形態における固液分離装置の概要正面図である。
【図2】固定部材の概要正面図である。
【図3】固定プレートの支持構成を示す斜視図である。
【図4】可動部材の概要正面図である。
【図5】搬送プレートの支持構成を示す斜視図である。
【図6】搬送プレートの偏芯支持構成を示す側面図である。
【図7】固定プレートと搬送プレートの配置構成を示す要部拡大図である。
【図8】搬送プレートの側面図である。
【図9】搬送プレート位置ずらし状態を示すパターン図である。
【図10】搬送プレートの位置ずらしにより構成される螺旋階段状の搬送羽を示す模式図である。
【図11】固定プレートに対する搬送プレートの偏芯回転を示す図である。
【図12】第2の実施形態における突縁の形状を示す図である。
【図13】第4の実施形態における固液分離装置の概要正面図である。
【図14】第5の実施形態における固液分離装置の概要平面図である。
【符号の説明】
【0044】
11 濾過体
13 駆動手段としてのモータ
14 圧力調整手段
17 固定部材
18 可動部材
21 固定プレート
29 搬送プレート
37 汚泥押し込み手段
40 開口部
42 突縁
42a 傾斜面
44 分離液を回収する手段としての回収トレー
【技術分野】
【0001】
本発明は、汚泥(畜産糞尿、食品工場などの排水処理から発生する含油汚泥、下水処理から発生する余剰汚泥、建設現場から発生する無機汚泥等の概念を含む)中に含まれる固形物と水分とを分離する固液分離装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の汚泥は水分を多量に含んでおり、そのままの状態(原水)では堆肥化等の処理が困難であるため、フロック化処理後固液分離装置により脱水し、含水率が約80%程度の脱水ケーキとすることが行われている。
汚泥(処理対象物)を脱水する方法としては、従来より種々の方式が提案されている。例えば、スクリュープレスタイプの方式が知られている。これは、パンチングプレートなどの水抜けの良い板を円筒形に加工した固定部材(ステータ)の中に、シャフトに螺旋状の羽根を固定したスクリューコンベアを設けて濾過体を構成し、この濾過体の一端側から処理対象物を投入してスクリューコンベアを低速で回転させ、固形物を軸方向に搬送しながら固定部材の穴から水分を流下させる仕組みになっている。
濾過体の他端側(出口側)に向かってスクリューピッチを小さくすることと、出口から排出される固形物の量を規制する板を設けることにより十分な内圧を得ることができ、固形物の含水率が約80%という高い脱水率を得ることができる。
しかしながら、パンチングプレートが目詰まりを起こしやすいために、外胴としてのパンチングプレートを頻繁に洗浄する必要があり、大量の洗浄水を要するとともに洗浄作業が面倒であるという問題があった。
【0003】
特開平5−228695号公報には、多数の固定リングを間隔をおいて軸方向に積層状態に配置して円筒状の固定部材を形成するとともに、固定リング間に可動リングを配置し、固定リングと可動リングの内部空間にスクリューコンベアを設けて濾過体を構成した固液分離装置が記載されている。
可動リングの内径はスクリューコンベアの外径よりも僅かに小さく設定されており、スクリューコンベアが回転すると汚泥は軸方向に搬送され、水分は可動リングと固定リング間の微小ギャップから外部に排出される。
スクリューコンベアの回転によって可動リングは軸方向と直交する方向に押し上げられて揺動し、これにより固定リングと可動リング間の隙間に固形分が詰まることが防止される。
すなわち、スクリューコンベアの回転動作を利用して、同時に目詰まり防止動作も行うようになっている。
【0004】
【特許文献1】特開平5−228695号公報
【特許文献2】特開2005−169323号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された構成では、スクリューコンベアの回転動作を利用して目詰まりを防止するので、目詰まり防止のための専用の動力源を必要とせず、上述した洗浄問題も解消できる利点を有している。
しかしながら、スクリューコンベアの螺旋羽根の外縁(エッジ)は常に可動リングの内周面と金属接触を繰り返すため、経時的に可動リングの内径は摩耗により大きくなり、固定リングの内径と同等になった時点で目詰まり防止機能が消失するという問題があった。
この問題を解消するには、定期的に可動リングとスクリューコンベアの摩耗状態をチェックし、摩耗が大きい場合には交換をしなければならず、維持管理コストが増大するという問題があった。
【0006】
また、従来型のスクリューコンベア方式の共通の欠点として、畜産排水あるいはダストコントロール排水などの繊維状の狭雑物を多量に含む汚泥を脱水する場合に、スクリューシャフトに繊維の絡み付きが発生していた。
濾過体の内部に十分な内圧が生じるほど、すなわち脱水機能が高まるほどシャフトに絡み付いた繊維層内に固形物が圧縮され、固形物が固着して実質的にシャフト径は大きくなる。
シャフト径が大きくなると、濾過体内の搬送路の容積が必然的に小さくなるため、仕様容量の汚泥を投入できなくなり、処理効率が低下するという問題があった。
【0007】
本発明は、目詰まりを防止できるとともに、部材同士の接触による摩耗及び繊維の絡み付きを防止でき、所定の処理効率を維持しながら維持管理コストを大幅に低減できる固液分離装置の提供を、その主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
スクリューコンベア方式は高い搬送力を有し、内圧を高めることも容易であるが、その構造に着目した場合、シャフト自体は濾過体の搬送容積を少なくし、繊維が絡み付く原因となる存在でしかない。したがって、究極的には、スクリューコンベアの螺旋状の羽根に相当する搬送部材のみが存在すればよく、シャフトレス化によって上述した繊維の絡み付き等の問題も生じない。
本発明は、このような着眼の下になされたものであり、具体的には、請求項1に記載の発明では、筒状の固定部材の内部にスクリューコンベア機能を呈する可動部材を設けた濾過体と、上記可動部材を回転駆動する駆動手段を有し、上記濾過体の一端側から送り込まれる汚泥を脱水しながら他端側へ搬送して排出する固液分離装置において、上記可動部材は、上記固定部材の軸方向に多数積層状態に配置された搬送プレートと、これらの搬送プレートを一体に支持する支持部材とを備え、上記各搬送プレートは、各搬送プレートをそれぞれ上記軸方向と略直交する面内でずらすことにより搬送路及び上記軸方向に連続的に連なる螺旋階段状の搬送羽根を形成可能な形状を有していることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の固液分離装置において、上記搬送プレートは、搬送路としての開口部と、該開口部の内方へ向かって延びる突縁を有し、上記突縁が連続的に連なって上記螺旋階段状の搬送羽根を形成することを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明では、請求項1又は2に記載の固液分離装置において、上記搬送プレートは、上記螺旋階段状の搬送羽根のピッチを変更できるように、上記支持部材に対する固定位置を複数箇所有していることを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の発明では、請求項2に記載の固液分離装置において、上記突縁が、上記濾過体の軸方向一端側へ向かう搬送力を生じさせる傾斜面を有していることを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載の発明では、請求項1又は2に記載の固液分離装置において、上記固定部材は、固定プレートを軸方向に間隔をおいて多数積層状態に配置して構成され、上記搬送プレートは上記固定プレート間に配置され、上記可動部材は上記固定部材に対して偏芯した状態で回転駆動されることを特徴とする。
【0013】
請求項6に記載の発明では、請求項5に記載の固液分離装置において、上記搬送プレートの外径は上記固定プレートの内径より大きく設定されていることを特徴とする。
【0014】
請求項7に記載の発明では、請求項6に記載の固液分離装置において、前記搬送プレートは円形状をなし、上記可動部材の回転時上記固定プレートの内径は上記搬送プレートの面積内に位置することを特徴とする。
【0015】
請求項8に記載の発明では、請求項1又は2に記載の固液分離装置において、上記螺旋階段状の搬送羽根の上記軸方向のピッチが上記濾過体の上記一端側から上記他端側へ向かって小さくなるように上記搬送プレートが配置され、且つ、上記濾過体は上記他端側が高くなるように傾斜して設けられていることを特徴とする。
【0016】
請求項9に記載の発明では、請求項1又は2に記載の固液分離装置において、上記濾過体の上記他端側の排出容量を制限して該濾過体の内部の圧力を調整する圧力調整手段を有していることを特徴とする。
【0017】
請求項10に記載の発明では、請求項1又は2に記載の固液分離装置において、上記濾過体の上記一端側における汚泥の送り込みを増進させる汚泥押し込み手段を有していることを特徴とする。
【0018】
請求項11に記載の発明では、請求項1又は2に記載の固液分離装置において、上記濾過体の上記一端側と上記他端側とで個別に分離液を回収する手段を有していることを特徴とする。
【0019】
請求項12に記載の発明では、請求項1又は2に記載の固液分離装置において、上記固定部材と上記可動部材を構成する要素の少なくとも一部が、撥液性の高い材料でコーティングされていることを特徴とする。
【0020】
請求項13に記載の発明では、請求項1又は2に記載の固液分離装置において、上記濾過体が複数並置されていることを特徴とする。
【0021】
請求項14に記載の発明では、請求項13に記載の固液分離装置において、上記各濾過体の上記各可動部材が一つの駆動手段により回転駆動されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、シャフトレス構成でスクリューコンベアと同様の搬送機能を得ることができるので、金属接触による摩耗及び繊維の絡み付きを防止でき、且つ所定の処理効率を長期に亘って維持できるとともに維持管理コストを大幅に低減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の第1の実施の形態を図1乃至図11に基づいて説明する。
図1に示すように、本実施形態における固液分離装置10は、汚泥を脱水する濾過体11と、この濾過体11の一端側(入口側)に設けられ、フロック化された汚泥が投入される流入ボックス12と、濾過体11の他端側(出口側又は排出側)に設けられ、濾過体11の内部に設けられた後述する可動部材を回転駆動する駆動手段としてのモータ13と、同じく濾過体11の他端側に設けられ、出口側の排出容量を制限して濾過体11の内部の圧力を調整する圧力調整手段14と、濾過体11を支持する3つのL字状の支持体15と、モータ13が固定されるモータ固定板16等を有している。
ここでの固液分離装置10は、床面に略平行となる水平設置タイプである。
【0024】
濾過体11は、角筒状をなす固定部材17と、この固定部材17の内部に設けられた可動部材18を有している。
外胴又は外筒としての固定部材17は、図2に示すように、支持体15に支持される4本の長ボルト19に、スペーサ20と固定プレート21を交互に通して(図面上では一部省略している)、軸方向に固定プレート21を多数枚積層状態に配置した構成となっている。したがって、固定部材17は、スペーサ20によって確保される隙間により、軸方向と直交する方向への水分の抜けが可能な角筒体となっている。
長ボルト19の一端側は流入ボックス12を貫通し、流入ボックス12の側面でナット部材22により固定されている。長ボルト19の他端側はモータ固定板16にナット部材22により固定されている。
【0025】
図3に示すように、支持体15は、垂直部23と水平部24とから構成されており、垂直部23には汚泥の搬送を可能とする円形の穴23aと、長ボルト19の挿通穴23bが形成されている。水平部24には、図示しない装置本体架台に固定するための固定用穴24aが形成されている。
矩形の固定プレート21には、中央部に汚泥の搬送を可能とする円形の穴21aが形成されており、4隅に長ボルト19の挿通穴21bが形成されている。固定プレート21の穴21aと支持体15の穴23aは略同径となっている。
【0026】
汚泥を搬送するスクリューコンベアの機能を呈する可動部材18は、図4に示すように、出口側シャフトプレート25と入口側シャフトプレート26間に支持される4本の長ボルト27に、スペーサ28と搬送プレート29を交互に通して(図面上では一部省略している)、軸方向に搬送プレート29を多数枚積層状態に配置した構成となっている。長ボルト27の両端部はナット部材22で固定されている。出口側シャフトプレート25、入口側シャフトプレート26及び長ボルト27により、各搬送プレート29を一体に支持する支持部材が構成される。
可動部材18は、スペーサ28によって確保される隙間により、軸方向と直交する方向への水分の抜けが可能な円筒体となっている。
出口側シャフトプレート25は、モータ13に接続されるシャフト30と、このシャフト30に一体に設けられた支持プレート31を有している。入口側シャフトプレート26は、流入ボックス12の側面に固定された合成樹脂製の軸受32(図1参照)に支持されるシャフト33と、このシャフト33に一体に設けられた支持プレート34を有している。
図5に示すように、出口側シャフトプレート25の支持プレート31には、長ボルト27の挿通穴31aが形成されているとともに、脱水ケーキ排出口31bが形成されている。
【0027】
図6に示すように、支持プレート31に対してシャフト30は予め決められた寸法δ偏芯して固定されている。この関係は入口側シャフトプレート26についても同様である。また、入口側シャフトプレート26の支持プレート34には、脱水ケーキ排出口31bに相当する汚泥流入口が形成されている。支持プレート31の厚みは5〜10mm程度がよい。
図4に示すように、圧力調整手段14は、シャフト30に挿通された背圧板35と、この背圧板35の軸部に形成されたねじ穴に螺合される固定ねじ36を有している。固定ねじ36を緩めて背圧板35の軸方向の位置を調整することにより、出口側における脱水ケーキの排出容量を制限でき、これにより濾過体11の内圧を調整できる。
入口側シャフトプレート26のシャフト33には、流入ボックス12に投入されたフロック化された汚泥の可動部材18への送り込みを増進させる汚泥押し込み手段37(図1では省略)が設けられている。
汚泥押し込み手段37は、シャフト33に挿通固定される軸部38と、この軸部38に固定された羽根39を有している。羽根39はスクリュー作用が生じるように傾斜している。羽根形状は螺旋羽根としてもよい。
【0028】
図7に示すように、搬送プレート29は固定プレート21のスペーサ20によってできたギャップに配置されており、逆に、固定プレート21は、搬送プレート29のスペーサ28によってできたギャップに配置されている。
したがって、固定プレート21と搬送プレート29を交互に配置していくことで、濾過体11を組み立てることができる。
汚泥に含まれる水分は、固定プレート21と搬送プレート29間の隙間から濾過体11の軸方向と直交する方向(下方)へ抜ける。仮に、固定プレート21と搬送プレート29の板厚を2mm、スペーサ20、28の幅(軸方向の長さ)を2.5mmとすると、固定プレート21と搬送プレート29間のギャップgは0.25mmになる。この僅かなギャップより水分は重力によって落下していくことになる。
【0029】
図8に示すように、搬送プレート29は、全体として円形状を有しており、搬送路としての開口部(ハッチングで表示)40を有している。外周部には、周方向に等間隔に長ボルト27を挿通するための挿通穴(ハッチングで表示)41を複数有している。
開口部40は、円形面積のうちからその略1/4を除いた形状を有しており、1/4に相当する部分は、開口部40の外側から内方(円中心)へ向かって延びる突縁(凸部の概念を含む)42となっている。
本実施形態において、搬送プレート29の径は150mm、挿通穴41の中心を通る円の径は130mm、開口部40の中心径は110mm、挿通穴41の中心から外端までの距離tは15mmである。
【0030】
図9に示すように、各搬送プレート29は、突縁42が濾過体11の軸方向に螺旋階段状に連続的に連なるように、開口部40又は突縁42の位置を上記軸方向と略直交する面内でずらされている。ここでは、30°ずつずらされて配置されている。
このように搬送プレート29を配置することにより、可動部材18の内部には、図10に示すように、突縁42が軸方向に連続的に連なった螺旋階段状の搬送羽根が構成される。モータ13により可動部材18が回転すると、螺旋階段状の搬送羽根が回転し、スクリューコンベアのシャフトを取り除いて残る羽根と同様の搬送機能を有することになる。すなわち、スクリューコンベアのシャフトレス構成が実現する。
搬送プレート29の位置ずらし角度30°は、図8で示した搬送プレート29の挿通穴41間の間隔に対応している。したがって、挿通穴41の数が多ければ多いほど螺旋階段状の搬送羽根のピッチを自在に変えることができる。円周上に長穴を形成して無段階にピッチを調整する構成としてもよい。
【0031】
水分除去を目的とするために、搬送プレート29の材質はステンレスがよく、板厚は1.5〜2mm程度がよい。また、食品排水のように油分を多量に含む汚泥を対象とする場合には、水の抜けをさらに高めるためには、撥液性(撥水性、撥油性等の概念を含む)の高い材料、例えばテフロン(登録商標)でコーティングすることが有効である。
搬送プレート29の外径は100mm〜300mm程度がよく、螺旋階段状の搬送羽根のピッチを設定するときに大きく影響する突縁42の、開口部40の中心円の面積に対する面積比率は、1/16〜1/4程度がよい。濾過体11の長さは500mm〜2000mm程度が好ましい。
【0032】
搬送プレート29のずらし角度を小さくすれば(例えば30〜60°)、螺旋階段状の搬送羽根のピッチは小さくなり、濾過体11内での汚泥に対する内圧を高める作用が発生することにつながり、固形物の水分除去に大きく影響を与える。
畜産排水など有機系活性汚泥の余剰汚泥の脱水を目的とする場合には、多分に液分を含む(例えば含水率99%)ため、濾過体11の入口側ではより多くの濾過面を使用して自重で離水する濃縮効果を高めるためにも、汚泥を素早く出口方向に搬送する必要がある。
このため、搬送プレート29の内径(開口部40の径)と同程度のピッチで搬送することを重視してずらし角度を考慮するとよい。
本実施形態では、濾過体11の入口側では自重で離水する濃縮効果を高めることができるようにピッチを大きくし、出口側に向かって次第にそのピッチが小さくなるように、搬送プレート29のずらし角度が調整されている。したがって、出口側に近づくにつれて内圧は高くなる。
【0033】
鍍金排水などの無機質の汚泥を脱水する場合には、液分量が例えば含水率98%〜96%程度であり、既に十分に濃縮された状態にあるときには、搬送プレート29のピッチを組み替えることで内圧と搬送力を自在に変えられることになる。
従来のように、幾つかのスクリューピッチの物の中から選択するのではなく、その汚泥特性に合ったピッチを自在に構成することができるために、多くの部品点数を必要とせず、安価な構成とすることができる。
【0034】
上述のように、モータ13に接続された出口側シャフトプレート25のシャフト30は、支持プレート31に対して偏芯して固定されている。したがって、可動部材18を回転駆動した場合、螺旋階段状の搬送羽根による軸方向の搬送機能が得られると同時に、可動部材18の回転は偏芯回転となる。
搬送プレート29の外径は固定プレート21の内径(穴21aの径)よりも僅かに大きく設定されている。
図11に示すように、搬送プレート29は固定プレート21の穴21aを完全に覆った状態で、且つ、搬送プレート29の面積内から穴21aが逸脱しない状態で偏芯回転する。
図11(a)は固定プレート21の穴21aの中心xに対して搬送プレート29の開口部40の中心yが最上部に偏芯した状態を、図11(b)は穴21aの中心xに対して開口部40の中心yが最下部に偏芯した状態を、図11(c)は穴21aの中心xに対して開口部40の中心yが最右部に偏芯した状態を、図11(d)は穴21aの中心xに対して開口部40の中心yが最左部に偏芯した状態をそれぞれ示している。
したがって、搬送プレート29は、固定プレート21に対して僅かな隙間を介して擦り合わせ運動を行う。これにより搬送プレート29と固定プレート21間の目詰まりが常に防止される。
搬送プレート29の偏芯量δは大きいほど、逆に固定プレート21との重なりは小さいほど、液分の流出を促す効果が期待できる。
【0035】
次に、本実施形態における固液分離装置10の脱水動作を説明する。養豚排水などの有機系活性汚泥法から発生する余剰汚泥に高分子凝集剤を加えてフロック化し、固形物と液分に分離する脱水に使用した例である。
図示しないフロック化装置から流入ボックス12にフロック化汚泥が投入される。投入された汚泥では流入ボックス12内で汚泥押し込み手段37により濾過体11の一端側(入口側)に送り込まれる。
汚泥は可動部材18の突縁42により形成される螺旋階段状の搬送羽根により軸方向に搬送される。上述のように、濾過体11の入口側(前段)においては螺旋階段状の搬送羽根のピッチは大きく設定されているため、汚泥は素早く搬送され、この時点で多くの水分が濾過体11から下方へ流下する。
投入直後の汚泥は、固形分:水分=1:99の比率であるために、できるだけ多くの濾過面を円筒状で利用するには軸方向に素早く搬送する必要があるからである。
この重力作用を利用して濾過される部分では、濾過体11の内圧が小さいために、落下する水分に含まれる固形物は極めて少ないといえる。
この部分(濾過体11の前段)から得られる水分の全量を処理水として装置外部に排出する。
【0036】
濾過体11の出口方向に向かって螺旋階段状の搬送羽根のピッチは次第に小さくなるため、内圧が高まり、脱水率が向上していく。脱水された水分は濾過体11から下方へ流下する。
搬送プレート29の開口部40の径をd、螺旋階段状の搬送羽根のピッチをLとした場合、出口方向に向かってd:L=1:0.5程度まで小さくすることで、濾過体11の内部に汚泥が充満して内圧が生じることになる。
この間、固定プレート21と搬送プレート29間のギャップに入り込んだ汚泥は、搬送プレート29の上記偏芯運動(擦り合わせ揺動)により掻き落とされる。
固定プレート21と搬送プレート29は、重なり量>偏芯量の関係を満足するように設定されているので、常に目詰まりが防止される。
脱水された固形物(脱水ケーキ)は、濾過体11の出口側から排出されるが、出口側に設けられた圧力調整手段14の背圧板35により排出量を制限され、これにより濾過体11の内圧が高められる。
濾過体11の出口側(後段)で抜け落ちる水分に含まれる固形物は多くなる傾向がある。
十分に脱水されたケーキは、出口側シャフトプレート25の支持プレート31と背圧板35との間から排出される。
可動部材18の内部には螺旋階段状の搬送羽根が存在するだけで、シャフトが存在しないので、繊維が絡み付いてシャフト径が大きくなり、処理能力が経時的に低下するという問題は全く生じない。
【0037】
図12に基づいて第2の実施形態を説明する。なお、上記実施形態と同一部分は同一符号で示し、特に必要がない限り既にした構成上及び機能上の説明は省略して要部のみ説明する(以下の他の実施形態において同じ)。
突縁42の連続的な連なりによる螺旋階段状の搬送羽根は、可動部材18の回転により十分な搬送力を生じさせるが、突縁42自体に搬送作用を生じさせる傾斜面を設けてもよい。
例えば、図12(a)に示すように、突縁42の側面を面取りし、回転方向に向かって次第に薄肉となるようにして傾斜面42aを形成する。このようにすれば、傾斜面42aによって軸方向出口側への押圧力(搬送力)Fが生じ、螺旋階段状の搬送羽根の搬送力がさらに高められる。
図12(b)に示すように、突縁42の一側面に最大肉厚が固定プレート21と搬送プレート29間のギャップg内の別部材43を接合して傾斜面43aを形成してもよい。また、図12(c)に示すように、突縁42を回転方向に対して傾斜又は捩じって傾斜面42aを形成してもよい。
【0038】
第1の実施形態では、スペーサ20、28をそれぞれ固定プレート21、搬送プレート29とは別体としたが、固定プレート21、搬送プレート29に一体に固定してもよく、あるいは、固定プレート21、搬送プレート29の外周部側面にプレス加工やモールド成形等により軸方向に凸となるように一体成形してもよい(第3の実施形態)。
【0039】
図13に第4の実施形態を示す。
本実施形態における固液分離装置10Aでは、濾過体11の脱水性能をその傾斜配置によっても高めることを特徴としている。上記各実施形態では水平配置方式を例示したが、本実施形態では濾過体11の出口側が高くなるように傾斜角θを有するように設置されている。
濾過体11の起動時、すなわち、可動部材18を回転駆動して脱水を開始した初期には、濾過体11の内部には汚泥が十分に充填されてはいない。この状態では十分な内圧が得られず、脱水機能も低い。
濾過体11が傾斜していると、汚泥は自重で入口側に戻ろうとしながら搬送されるので、内圧も速やかに高くなり、出口側から十分な脱水ケーキとならない状態の汚泥が排出されるのを防止することができる。
【0040】
本実施形態における濾過体11はその機能上、入口側は重力濃縮部Aとして、出口側は加圧脱水部Bとして分けられる。濾過体11の下方には、重力濃縮部Aと加圧脱水部Bから排出される処理液(分離液)を個別に回収する手段としての回収トレー44が配置されている。
回収トレー44は、重力濃縮部Aに対応するトレー部45と、加圧脱水部Bに対応するトレー部46からなる2分割構成を有している。
重力濃縮部Aより排出される水分には固形物の含まれる量が少ないため、トレー部45に回収された全量を処理水として排出させることができる。このため、トレー部45の水分は水処理施設に回されるべくタンク47に直接溜められる。
【0041】
加圧脱水部Bからは、加圧の影響で固形物と水分が混合されて落下する。この部分だけを回収できるようにトレー部46が区画されており、トレー部46の下方には一定時間沈殿できるだけの沈殿槽48が設けられている。沈殿槽48に入った混合処理水は沈殿分離され、沈殿物は沈殿槽48内に設置されたポンプ49によって定期的に吸引されてフロック化装置に送られ、再処理となる。
沈殿槽48でポンプ49が稼動しないときには上澄水は装置外に処理水として排出すべくタンク47に入れられる。
スペーサの幅を変えて固定プレート21と搬送プレート29間のギャップgを、加圧脱水部Bの方が重力濃縮部Aよりも小さくなるようにすれば、加圧脱水部Bにおける固形物の落下を少なくでき、同時に濾過体11の内圧も高めることができる。
【0042】
図14に第5の実施形態を示す。
本実施形態における固液分離装置10Bでは、処理能力を増大させるべく、濾過体11を並置した構成としている。一方の濾過体11Aに対応する出口側シャフトプレート25のシャフト30には駆動ギア51が固定されており、他方の濾過体11Bに対応する出口側シャフトプレート25のシャフト30には従動ギア52が固定されている。これらのギアはモータ固定板50に設けられたシャフト53に固定されたアイドラギア54を介して同一方向に回転する。
したがって、1つの駆動手段としてのモータ13により2つの濾過体11を駆動することができる。
図示しないフロック化装置よりそれぞれの流入ボックス12にフロック化汚泥が投入され、上述した脱水処理がそれぞれの濾過体11において同時に行われる。
したがって、第1の実施形態で示した固液分離装置10に比べて2倍の処理能力を有する。
2つの流入ボックス12を1つにまとめて単体のボックスとし、フロック化装置からの投入構成を簡易化してもよい。
上記各実施形態において、濾過体11の周辺を洗浄する洗浄手段(例えば複数の洗浄ノズルと洗浄液タンクとポンプから構成される)を設け、タイマーによって定期的に動作させて洗浄するようにしてもよい。このようにすれば、濾過体11における汚泥の付着、固着を低減でき、処理能力の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の第1の実施形態における固液分離装置の概要正面図である。
【図2】固定部材の概要正面図である。
【図3】固定プレートの支持構成を示す斜視図である。
【図4】可動部材の概要正面図である。
【図5】搬送プレートの支持構成を示す斜視図である。
【図6】搬送プレートの偏芯支持構成を示す側面図である。
【図7】固定プレートと搬送プレートの配置構成を示す要部拡大図である。
【図8】搬送プレートの側面図である。
【図9】搬送プレート位置ずらし状態を示すパターン図である。
【図10】搬送プレートの位置ずらしにより構成される螺旋階段状の搬送羽を示す模式図である。
【図11】固定プレートに対する搬送プレートの偏芯回転を示す図である。
【図12】第2の実施形態における突縁の形状を示す図である。
【図13】第4の実施形態における固液分離装置の概要正面図である。
【図14】第5の実施形態における固液分離装置の概要平面図である。
【符号の説明】
【0044】
11 濾過体
13 駆動手段としてのモータ
14 圧力調整手段
17 固定部材
18 可動部材
21 固定プレート
29 搬送プレート
37 汚泥押し込み手段
40 開口部
42 突縁
42a 傾斜面
44 分離液を回収する手段としての回収トレー
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状の固定部材の内部にスクリューコンベア機能を呈する可動部材を設けた濾過体と、上記可動部材を回転駆動する駆動手段を有し、上記濾過体の一端側から送り込まれる汚泥を脱水しながら他端側へ搬送して排出する固液分離装置において、
上記可動部材は、上記固定部材の軸方向に多数積層状態に配置された搬送プレートと、これらの搬送プレートを一体に支持する支持部材とを備え、上記各搬送プレートは、各搬送プレートをそれぞれ上記軸方向と略直交する面内でずらすことにより搬送路及び上記軸方向に連続的に連なる螺旋階段状の搬送羽根を形成可能な形状を有していることを特徴とする固液分離装置。
【請求項2】
請求項1に記載の固液分離装置において、
上記搬送プレートは、搬送路としての開口部と、該開口部の内方へ向かって延びる突縁を有し、上記突縁が連続的に連なって上記螺旋階段状の搬送羽根を形成することを特徴とする固液分離装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の固液分離装置において、
上記搬送プレートは、上記螺旋階段状の搬送羽根のピッチを変更できるように、上記支持部材に対する固定位置を複数箇所有していることを特徴とする固液分離装置。
【請求項4】
請求項2に記載の固液分離装置において、
上記突縁が、上記濾過体の軸方向一端側へ向かう搬送力を生じさせる傾斜面を有していることを特徴とする固液分離装置。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の固液分離装置において、
上記固定部材は、固定プレートを軸方向に間隔をおいて多数積層状態に配置して構成され、上記搬送プレートは上記固定プレート間に配置され、上記可動部材は上記固定部材に対して偏芯した状態で回転駆動されることを特徴とする固液分離装置。
【請求項6】
請求項5に記載の固液分離装置において、
上記搬送プレートの外径は上記固定プレートの内径より大きく設定されていることを特徴とする固液分離装置。
【請求項7】
請求項6に記載の固液分離装置において、
前記搬送プレートは円形状をなし、上記可動部材の回転時上記固定プレートの内径は上記搬送プレートの面積内に位置することを特徴とする固液分離装置。
【請求項8】
請求項1又は2に記載の固液分離装置において、
上記螺旋階段状の搬送羽根の上記軸方向のピッチが上記濾過体の上記一端側から上記他端側へ向かって小さくなるように上記搬送プレートが配置され、且つ、上記濾過体は上記他端側が高くなるように傾斜して設けられていることを特徴とする固液分離装置。
【請求項9】
請求項1又は2に記載の固液分離装置において、
上記濾過体の上記他端側の排出容量を制限して該濾過体の内部の圧力を調整する圧力調整手段を有していることを特徴とする固液分離装置。
【請求項10】
請求項1又は2に記載の固液分離装置において、
上記濾過体の上記一端側における汚泥の送り込みを増進させる汚泥押し込み手段を有していることを特徴とする固液分離装置。
【請求項11】
請求項1又は2に記載の固液分離装置において、
上記濾過体の上記一端側と上記他端側とで個別に分離液を回収する手段を有していることを特徴とする固液分離装置。
【請求項12】
請求項1又は2に記載の固液分離装置において、
上記固定部材と上記可動部材を構成する要素の少なくとも一部が、撥液性の高い材料でコーティングされていることを特徴とする固液分離装置。
【請求項13】
請求項1又は2に記載の固液分離装置において、
上記濾過体が複数並置されていることを特徴とする固液分離装置。
【請求項14】
請求項13に記載の固液分離装置において、
上記各濾過体の上記各可動部材が一つの駆動手段により回転駆動されることを特徴とする固液分離装置。
【請求項1】
筒状の固定部材の内部にスクリューコンベア機能を呈する可動部材を設けた濾過体と、上記可動部材を回転駆動する駆動手段を有し、上記濾過体の一端側から送り込まれる汚泥を脱水しながら他端側へ搬送して排出する固液分離装置において、
上記可動部材は、上記固定部材の軸方向に多数積層状態に配置された搬送プレートと、これらの搬送プレートを一体に支持する支持部材とを備え、上記各搬送プレートは、各搬送プレートをそれぞれ上記軸方向と略直交する面内でずらすことにより搬送路及び上記軸方向に連続的に連なる螺旋階段状の搬送羽根を形成可能な形状を有していることを特徴とする固液分離装置。
【請求項2】
請求項1に記載の固液分離装置において、
上記搬送プレートは、搬送路としての開口部と、該開口部の内方へ向かって延びる突縁を有し、上記突縁が連続的に連なって上記螺旋階段状の搬送羽根を形成することを特徴とする固液分離装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の固液分離装置において、
上記搬送プレートは、上記螺旋階段状の搬送羽根のピッチを変更できるように、上記支持部材に対する固定位置を複数箇所有していることを特徴とする固液分離装置。
【請求項4】
請求項2に記載の固液分離装置において、
上記突縁が、上記濾過体の軸方向一端側へ向かう搬送力を生じさせる傾斜面を有していることを特徴とする固液分離装置。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の固液分離装置において、
上記固定部材は、固定プレートを軸方向に間隔をおいて多数積層状態に配置して構成され、上記搬送プレートは上記固定プレート間に配置され、上記可動部材は上記固定部材に対して偏芯した状態で回転駆動されることを特徴とする固液分離装置。
【請求項6】
請求項5に記載の固液分離装置において、
上記搬送プレートの外径は上記固定プレートの内径より大きく設定されていることを特徴とする固液分離装置。
【請求項7】
請求項6に記載の固液分離装置において、
前記搬送プレートは円形状をなし、上記可動部材の回転時上記固定プレートの内径は上記搬送プレートの面積内に位置することを特徴とする固液分離装置。
【請求項8】
請求項1又は2に記載の固液分離装置において、
上記螺旋階段状の搬送羽根の上記軸方向のピッチが上記濾過体の上記一端側から上記他端側へ向かって小さくなるように上記搬送プレートが配置され、且つ、上記濾過体は上記他端側が高くなるように傾斜して設けられていることを特徴とする固液分離装置。
【請求項9】
請求項1又は2に記載の固液分離装置において、
上記濾過体の上記他端側の排出容量を制限して該濾過体の内部の圧力を調整する圧力調整手段を有していることを特徴とする固液分離装置。
【請求項10】
請求項1又は2に記載の固液分離装置において、
上記濾過体の上記一端側における汚泥の送り込みを増進させる汚泥押し込み手段を有していることを特徴とする固液分離装置。
【請求項11】
請求項1又は2に記載の固液分離装置において、
上記濾過体の上記一端側と上記他端側とで個別に分離液を回収する手段を有していることを特徴とする固液分離装置。
【請求項12】
請求項1又は2に記載の固液分離装置において、
上記固定部材と上記可動部材を構成する要素の少なくとも一部が、撥液性の高い材料でコーティングされていることを特徴とする固液分離装置。
【請求項13】
請求項1又は2に記載の固液分離装置において、
上記濾過体が複数並置されていることを特徴とする固液分離装置。
【請求項14】
請求項13に記載の固液分離装置において、
上記各濾過体の上記各可動部材が一つの駆動手段により回転駆動されることを特徴とする固液分離装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2007−29930(P2007−29930A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−221300(P2005−221300)
【出願日】平成17年7月29日(2005.7.29)
【出願人】(502141393)ジャステック株式会社 (11)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年7月29日(2005.7.29)
【出願人】(502141393)ジャステック株式会社 (11)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]