説明

固相多分析物アッセイ法

乱用薬物などの分析物を含む1つもしくは複数の分析物の存在および/または量を検出するための組成物および方法を提供する。本組成物は、粒子またはマルチウェルプレートなどの固相に会合した2つ以上の分析物を含む。本組成物および方法は、試料中における2つ以上の関心対象分析物の存在および/または量を、同時に、タンデム式に、または連続的に判定することを可能にする。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、35 U.S.C.§119(e)下において、2008年4月29日に出願された米国特許出願第61/048,892号の優先権を主張するものであり、本出願の内容すべてが、参照により本明細書に組み入れられるものとする。
【0002】
技術分野
本開示は、試料(例えば、身体試料または非身体試料)中における1つもしくは複数の分析物(例えば、乱用薬物、有毒化学物質、処方箋調剤薬)の存在および/または量を判定するための方法および組成物、より詳細には、競合イムノアッセイを用いた、それらを実施するための方法および組成物に関する。いくつかの態様において、本方法および組成物を用いて、試料中における2つ以上の分析物の存在および/または量を、同時に、タンデム式に、または連続的に判定することができる。固相に結合している2つ以上の異なる分析物を含む固相分析物組成物について説明するのみならず、1つもしくは複数の関心対象分析物の存在および量を判定するために競合イムノアッセイにおいてそれらを用いる方法についても説明する。
【背景技術】
【0003】
背景
ラジオイムノアッセイ(RIA)およびエンザイムイムノアッセイ(EIA)などのイムノアッセイは、試料中における1つもしくは複数の関心対象分析物の存在、同定、および量を判定するための有用な方法である。多くのイムノアッセイでは、関心対象分析物に対して特異的な抗体をマイクロプレートまたはビーズなどの固相に固定し、結合した抗体と試料中に存在する分析物との間の結合を、例えば、サンドイッチアッセイを使用するなどして検出する。他のイムノアッセイでは分析物を固定し、したがって、これらのイムノアッセイは、固相抗原イムノアッセイまたは固相分析物イムノアッセイと呼ばれ得る。固相分析物イムノアッセイでは、固相分析物は、分析物に対して特異的な抗体との結合において、試料中に存在する分析物と競合する。通常、そのような固相分析物アッセイでは、抗体は何らかの方式において検出可能であり、例えば、放射能、蛍光、発光、または酵素(例えば、適切な基質の存在下において酵素反応が生じ、結果として色が変化する)などにより標識されるか、あるいはそれ自体が標識されている二次抗体を介してその存在が検出される。
【0004】
特定の試料が1つより多い関心対象分析物を含有するか否かを判定するために、従来法では、通常、別々の固相成分(例えば、別々のマイクロプレートもしくはミクロビーズのセット)が用いられ、この場合、各固相成分は、1つの特定の分析物に対して特異的である結合した抗体を含有するか、あるいは単一のタイプの結合した分析物を含有する。このように、各分析物に対して別々の固相成分を必要とすることが、多分析物アッセイを高価で、技術的に複雑で、手間のかかるものにしている。よって、乱用薬物などの分析物を含め、試料中の1つもしくは複数の分析物の存在および/または量を迅速に判定することが可能な、効率的で比較的安価な分析物検出方法が必要とされている。
【発明の概要】
【0005】
概要
イムノアッセイは、試料中の分析物の、または試料中に存在することが疑われている分析物の存在および/または量を検出するための強力なツールである。しかしながら、試料中の複数の分析物を検出するためには、通常、複数の別々のアッセイ、例えば関心対象分析物ごとに1つアッセイを用いる必要があり、したがって、手法のコスト、時間、および技術的複雑さが増し、さらには複数の工程のうちのある工程においてオペレーターがミスをする可能性につながる。本発明者らは、驚いたことに、固相に結合している少なくとも2つの分析物を含む固相分析物組成物を使用することで、高い感度および効率を示す多分析物アッセイの実行が容易になることを見出した。本明細書において説明する多分析物アッセイは融通が利き、並びに同時に、連続的に、またはタンデム式に実施することが可能であり、結果として、手法のコスト、時間、および複雑さが減少する。
【0006】
したがって、本明細書において、試料中の関心対象分析物の存在を判定するための方法であって、
(a)固相担体に会合した少なくとも2つの異なる分析物を含む固相分析物組成物であって、該少なくとも2つの異なる分析物のうちの1つが関心対象分析物である、固相分析物組成物を、
i)関心対象分析物に対して特異的な抗体;および
ii)試料
に接触させる工程;並びに
(b)関心対象分析物が試料中に存在するか否かを判定する工程
を含む方法を提供する。
【0007】
いくつかの態様では、固相分析物組成物は、最初に試料と接触され、次いで抗体と接触される。いくつかの態様では、抗体は、検出可能に標識され、例えば、蛍光標識、発光(化学発光または生物発光を含む)標識、放射性標識、または酵素標識によって検出可能に標識される。いくつかの態様では、抗体は標識されない。
【0008】
いくつかの態様において、本方法は、固相分析物組成物に結合していない抗体を除去する工程を含む。
【0009】
いくつかの態様において、本方法は、分析物が存在する場合に、存在する分析物の量を判定する工程を含む。
【0010】
いくつかの態様において、分析物は、試料中の固相分析物組成物に結合している抗体によって発せられるシグナルを、関心対象分析物を含まない対照試料中の固相分析物組成物に結合している抗体によって発せられるシグナルと比較することによって、試料中に存在することが判定される。
【0011】
いくつかの態様において、固相分析物組成物に結合している抗体によって発せられるシグナルは、抗体における検出可能な標識に由来する。
【0012】
いくつかの態様において、固相分析物組成物に結合している抗体によって発せられるシグナルは、該抗体への二次抗体の結合に由来し、ここで、該二次抗体は、検出可能に標識されている。
【0013】
いくつかの態様において、検出可能な標識は、蛍光標識、発光(化学発光または生物発光を含む)標識、放射性標識、または酵素標識である。
【0014】
いくつかの態様において、本方法は、固相分析物組成物を、固相に会合している少なくとも第二の異なる分析物に対して特異的な第二の抗体に接触させる工程、および該第二の分析物が試料中に存在するか否かを判定する工程をさらに含む。
【0015】
本方法のいくつかの態様において、少なくとも2つの異なる分析物が、直接的または間接的のいずれかにおいて、非共有結合により固相に会合している。
【0016】
いくつかの態様において、少なくとも2つの異なる分析物が、直接的または間接的のいずれかにおいて、共有結合により固相に会合している。
【0017】
いくつかの態様において、少なくとも2つの異なる分析物が、直接的または間接的のいずれかにおいて、吸着を介して固相に会合している。
【0018】
いくつかの態様において、少なくとも2つの異なる分析物が、非共有結合によりまたは吸着を介して固相に会合している結合剤に、共有結合により結合している。
【0019】
いくつかの態様において、結合剤は、HSAおよびBSAから選択される。
【0020】
いくつかの態様において、少なくとも2つの異なる分析物は、乱用薬物またはその代謝物である。乱用薬物またはその代謝物は、コカイン、ベンゾイルエクゴニン、コカエチレン、ノルコカイン、PCP、アンフェタミン、メタンフェタミン、カンナビノイド、THC、カルボキシ-THC、ヘロイン、コデイン、モルフィン、6-モノアセチルモルフィン(MAM)、オキシコドン、3,4-メチレンジオキシアンフェタミン(MDA)、および3,4-メチレンジオキシメタンフェタミン(MDMA)から選択され得る。
【0021】
試料は、身体試料または身体試料に由来する試料であり得る。
【0022】
身体試料は、ヒトに由来していてもよく、かつ脳、心臓、肺、腎臓、肝臓、筋肉、骨、胃、腸、および皮膚の組織試料;尿、血液、血漿、血清、唾液、精液、痰、脳脊髄液、粘液、汗、ガラス体液、および乳から選択される生体液;並びに角質化した構造体から選択される。
【0023】
固体担体は、マイクロプレートのマイクロウェルであってもよい。
【0024】
さらに、試料中の数「N」で表される複数の異なる関心対象分析物の存在を判定するための方法であって、
(a)固相担体に会合している少なくとも「N」個の異なる分析物を含む固相分析物組成物であって、該会合している少なくとも「N」個の異なる分析物が複数の関心対象分析物を含む、固相分析物組成物を、
i)異なる関心対象分析物の各々に対して特異的な抗体を含む複数の抗体;および
ii)試料
に接触させる工程;並びに
(b)異なる複数の関心対象分析物の各々が試料中に存在するか否かを判定する工程
を含む方法も提供する。
【0025】
いくつかの態様において、異なる関心対象分析物の各々に対して特異的な抗体は、別々に検出可能である。いくつかの態様において、抗体は、蛍光標識、発光(化学発光または生物発光を含む)標識、放射性標識、または酵素標識によって検出可能に標識されている。
【0026】
いくつかの態様において、本方法は、異なる関心対象分析物の各々が存在する場合に、その量を判定する工程を含む。
【0027】
いくつかの態様において、異なる関心対象分析物の各々は、試料中の、固相分析物組成物に結合している、特定の関心対象分析物に対して特異的な抗体によって発せられるシグナルを、特定の関心対象分析物を含まない対照試料中の固相分析物組成物に結合している同じ抗体によって発せられるシグナルと比較することによって、試料中に存在することが判定される。
【0028】
いくつかの態様において、複数の抗体が同時に、固相分析物組成物と接触される。
【0029】
いくつかの態様において、複数の抗体のうちの少なくとも1つが、該複数の抗体の少なくとも別の抗体とは異なる時点で固相分析物組成物に接触される。
【0030】
さらに、固相に会合している少なくとも2つの異なる分析物を含む組成物を提供する。該少なくとも2つの異なる分析物は、直接的または間接的のいずれかにおいて、共有結合により固相に結合され得る。少なくとも2つの異なる分析物は、直接的または間接的のいずれかにおいて、非共有結合により固相に結合され得る。
【0031】
いくつかの態様において、組成物は、固相に会合した2〜10個の異なる分析物を含む。いくつかの態様において、該少なくとも2つの異なる分析物は、乱用薬物分析物またはその代謝物である。いくつかの態様において、少なくとも2つの異なる分析物は、コカイン、ベンゾイルエクゴニン、コカエチレン、ノルコカイン、PCP、アンフェタミン、メタンフェタミン、カンナビノイド、THC、カルボキシ-THC、ヘロイン、コデイン、モルフィン、6-モノアセチルモルフィン(MAM)、オキシコドン、3,4-メチレンジオキシアンフェタミン(MDA)、および3,4-メチレンジオキシメタンフェタミン(MDMA)から選択される。
【0032】
さらに、本明細書において説明した通りの組成物と、固相に結合している2つの異なる分析物のうちの少なくとも1つに対して特異的な少なくとも1つの抗体とを含むキットを提供する。いくつかの態様において、キットは、コカイン、ベンゾイルエクゴニン、コカエチレン、ノルコカイン、PCP、アンフェタミン、メタンフェタミン、カンナビノイド、THC、カルボキシ-THC、ヘロイン、コデイン、モルフィン、6-モノアセチルモルフィン(MAM)、オキシコドン、3,4-メチレンジオキシアンフェタミン(MDA)、および3,4-メチレンジオキシメタンフェタミン(MDMA)からなる群より選択される分析物に対して特異的な少なくとも1つの抗体を含み得る。
【0033】
さらに、試料中の関心対象分析物またはその代謝物の1つもしくは複数の存在を判定するための方法であって、
(a)固相担体に会合した少なくとも2つの異なる分析物を含む固相分析物組成物であって、該少なくとも2つの異なる分析物のうちの1つが関心対象分析物である、固相分析物組成物を、
i)該関心対象分析物に対して特異的であり、さらに該関心対象分析物の代謝物の1つまたは複数に結合することが可能である抗体;および
ii)試料
に接触させる工程;並びに
(b)該関心対象分析物またはその代謝物の1つもしくは複数が試料中に存在するか否かを判定する工程
を含む方法を提供する。
【0034】
さらに、試料中の関心対象の薬物クラスの少なくとも1つのメンバーの存在を判定するための方法であって、
(a)固相担体に会合している少なくとも2つの異なる分析物を含む固相分析物組成物であって、該少なくとも2つの異なる分析物のうちの1つが関心対象の薬物クラスのメンバーである、固相分析物組成物を、
i)該関心対象の薬物クラスのメンバーに対して特異的であり、さらに該関心対象の薬物クラスの他のメンバーの1つもしくは複数に、または該関心対象の薬物クラスのメンバーの代謝物の1つもしくは複数に結合することが可能である抗体;および
ii)試料
に接触させる工程;並びに
(b)該関心対象の薬物クラスの少なくとも1つのメンバーが試料中に存在するか否かを判定する工程
を含む方法を提供する。
【0035】
任意の方法において、少なくとも2つの異なる分析物が、乱用薬物、有毒化学物質、環境化学物質、石油製品、天然物、有機化合物、栄養剤、処方箋調剤薬、および店頭販売薬、または上記の任意のものからの代謝物、誘導体、もしくは分解産物から選択され得る。
【0036】
方法のいくつかの態様において、少なくとも2つの異なる分析物は、オピオイド、アンフェタミン、NSAIDS、ステロイド、カンナビノイド、ベンゾジアゼピン、バルビツレート、三環系剤(tricyclic)、およびエフェドリン、または上記の任意のものからの代謝物、誘導体、もしくは分解産物から選択され得る。
【0037】
組成物のいくつかの態様において、少なくとも2つの異なる分析物は、乱用薬物、有毒化学物質、環境化学物質、石油製品、天然物、有機化合物、栄養剤、処方箋調剤薬、および店頭販売薬、または上記の任意のものからの代謝物、誘導体、もしくは分解産物から選択され得る。
【0038】
組成物のいくつかの態様において、少なくとも2つの異なる分析物は、オピオイド、アンフェタミン、NSAIDS、ステロイド、カンナビノイド、ベンゾジアゼピン、バルビツレート、三環系剤、およびエフェドリン、または上記の任意のものからの代謝物、誘導体、もしくは分解産物から選択される。
【0039】
キットのいくつかの態様において、組成物は、乱用薬物、有毒化学物質、環境化学物質、石油製品、天然物、有機化合物、栄養剤、処方箋調剤薬、および店頭販売薬、または上記の任意のものからの代謝物、誘導体、もしくは分解産物から選択される少なくとも2つの異なる分析物を含む。
【0040】
キットのいくつかの態様において、組成物は、オピオイド、アンフェタミン、NSAIDS、ステロイド、カンナビノイド、ベンゾジアゼピン、バルビツレート、三環系剤、およびエフェドリン、または上記の任意のものからの代謝物、誘導体、もしくは分解産物から選択される少なくとも2つの異なる分析物を含む。
【0041】
別途定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術的および科学的用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって共通して理解されているものと同じ意味を有する。本明細書に記載されているものと同様または同等な方法および材料は、現在説明した方法の実施または試験において使用することができるが、好適な方法および材料については、以下に記載する。本明細書において言及されたすべての刊行物、特許出願、特許、および他の参考文献は、参照によりその全体が本明細書に組み入れられるものとする。本明細書と相反する場合には、定義を含めて本明細書が優先する。さらに、材料、方法、および例は、例証に過ぎず、限定を意図するものではない。
【0042】
他の特色および利点は、以下の詳細な説明および特許請求の範囲から明らかとなると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】三角形、四角形、円形、菱形で図中に表される、少なくとも2つの異なる分析物が結合している、本明細書において提供される固相組成物(例えば、マイクロプレートのマイクロウェル)の概略図。概略図は、本発明の固相組成物および方法が、同時に2つ以上の分析物の存在および/または量を判定することが可能であることを示している。例えば、試料中に存在する菱形および三角形の分析物は、それぞれ菱形および三角形の分析物に対して特異的である標識された抗体との結合において、固相に結合している菱形および三角形の分析物と競合し、その結果、例えば洗浄工程の後にシグナルの減少が生じる。菱形および三角形の分析物に対して特異的な抗体は、差次的に標識され得(すなわち、ここではそれぞれ標識AおよびBのように)、それによって、菱形および三角形の分析物の別々の検出が可能である。
【図2】本明細書において提供される固相組成物を使用したタンデムアッセイを示す概略図。タンデムアッセイでは、本明細書において提供される固相組成物(例えば、少なくとも2つの異なる分析物が結合しているマイクロウェルなど、この場合、結合している分析物の少なくとも1つは試験される分析物である)を使用して、試料中における少なくとも1つの分析物の存在および/または量が検出(または試験)され、一方で、別個の固相組成物(例えば、同じ少なくとも2つの異なる分析物が結合している隣接するマイクロウェルなど、この場合、結合している該分析物の少なくとも1つは、試験される少なくとも1つの異なる分析物である)を使用して、少なくとも1つの異なる分析物が検出(または試験)される。図において、ウェル1およびウェル2の両方は、同じ4つの分析物が結合している。ウェル1では、試料中の円形の分析物を検出するための競合アッセイが示されており、一方で、ウェル2(例えば、隣接するウェル)では、試料中の三角形の分析物を検出するための競合アッセイが示されている。
【図3】本明細書において提供される固相組成物を使用した連続アッセイを示す概略図。連続アッセイでは、本明細書において提供される固相組成物を使用して、試料中の少なくとも1つの分析物が検出(または試験)され、続いて、同じ固相組成物を使用して少なくとも1つの異なる分析物の検出(または試験)が行われる。例えば、図において、最初にウェル1を使用してt=1において円形の分析物を検出し、続いて、t=2において四角形の分析物の検出が行われる。円形の分析物に対して特異的な抗体は、t=2での第二のアッセイを実施する前に除去され得る。いくつかの態様において、円形の分析物に対して特異的な抗体は、例えば、それらが、四角形の分析物に対して特異的な抗体とは異なって標識されている場合か、またはそうでなければ四角形の分析物の検出に影響を及ぼさない場合には、第二のアッセイの際に残っていてもよい。
【発明を実施するための形態】
【0044】
詳細な説明
本明細書において、固相に会合している少なくとも2つの異なる分析物を有する固相分析物組成物を使用した、試料中における1つまたは複数の異なる分析物の迅速で、感度良く、費用対効果が良い検出ための材料および方法を提供する。材料および方法は、2つ以上の異なる分析物を単一の固相成分に結合させることによって生じる驚くべき効率および感度の利点を有する。例えば、競合イムノアッセイにおいて、それぞれのマイクロウェルに同じ2つ以上の異なる分析物が結合しているようなマイクロプレートを使用し、2つ以上の関心対象分析物のそれぞれに対して差次的に標識された抗体を用いることによって、単一のマイクロウェルにおいて試料中の2つ以上の異なる分析物の存在および/または量を判定することができ、すなわち、それぞれの特異的な抗体の差次的なシグナルを調べることによって、その抗体に特異的な分析物の存在および/または量を判定することができる。
【0045】
他の態様において、固相分析物組成物を使用し、別々の(しかし、結合している2つ以上の分析物の同じセットを有する)固相分析物組成物および関心対象分析物に対して特異的である標識された適切な抗体を用いて、2つ以上の異なる分析物を別々に検出することによって(例えば、タンデムアッセイまたはサイドバイサイドアッセイ)、2つ以上の異なる分析物の存在および/または量を判定することができる。さらに他の態様において、同じ固相組成物を使用し、最初に、少なくとも第一の分析物に対して特異的な抗体を用いて該少なくとも第一の分析物の存在および/または量を判定する目的で、固相分析物組成物を使用し、次いで、例えば、直後にもしくは第一のアッセイからの影響を及ぼし得る任意の物質を除去した後に、少なくとも第二の分析物に対して特異的な抗体を用いて該少なくとも第二の分析物の存在および/または量を判定する目的で、同じ固相組成物を使用することによって、2つ以上の異なる分析物の存在および/または量を判定することができる。そのようなアッセイの方式は、連続アッセイと呼ばれ得る。
【0046】
組成物
本明細書において、試料中の1つまたは複数の異なる関心対象分析物の検出(例えば、その存在および/または量の判定)に有用な組成物を提供する。組成物は、少なくとも2つの分析物、例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20個あるいはそれ以上の分析物が会合している固相担体を含む。いくつかの態様において、2〜5個の分析物が固相担体に会合している。他の態様では、5〜10個の分析物が固相担体に会合している。そのような組成物は、本明細書において固相分析物組成物と呼ぶ。
【0047】
当業者には明らかであるように、組成物により、固相担体に会合している総数(「N」)の異なる分析物の存在および/または量を判定することが可能となるが、必ずしも、所定の固相分析物組成物によって判定することが可能であるすべての分析物の存在および/または量を判定(または評価)する必要はない。例えば、いくつかの態様においては、1つのみの関心対象分析物の存在および/または量を判定することが有用な場合もある。他の態様においては、最初に1つまたは複数の関心対象分析物が存在するか否かを判定し、続いて、第二またはそれ以降の分析物が存在するか否かを判定することが有用な場合もある。本明細書において説明した固相組成物は、固相に会合している分析物を「N」個まで同時に、タンデム式に、または連続的に検出することを容易にする。
【0048】
本明細書で使用される場合、「存在を判定する」および「存在を判定すること」なる句は、分析物が存在するか否かを判定することを意味する。したがって、分析物が不在であることが判定される場合、そのような作業も当該句に包含される。
【0049】
分析物は、乱用薬物、有毒化学物質、環境化学物質(例えば、農薬、除草剤、殺虫剤)、石油製品、天然物、有機化合物、栄養剤、処方箋調剤薬、もしくは店頭販売薬(例えば、鎮痛薬、ステロイド、麻酔薬、NSAIDS)、または上記の任意のものからの代謝物、誘導体、もしくは分解産物を含む、任意の化学物質であり得る。
【0050】
いくつかの態様において、固相担体に会合した分析物は、薬物、例えば、乱用薬物、処方箋調剤薬、または鎮痛薬などである。関心対象の特定の薬物クラスとしては、オピオイド、ステロイド、アンフェタミン、カンナビノイド、ベンゾジアゼピン、NSAIDS、バルビツレート、三環系剤、およびエフェドリンが挙げられる。
【0051】
いくつかの態様において、関心対象分析物は、コカイン(および代謝物であるベンゾイルエクゴニン、コカエチレン、およびノルコカイン)、オピオイドおよびその代謝物(モルフィン、ヘロイン、6-モノアセチルモルフィン、ジアセチルモルフィン、コデイン、オキシコドン、ヒドロコドン、ヒドロモルホン、オキシモルホン、およびメサドン)、フェンシクリジン(PCP)、アンフェタミン、メタンフェタミン、MDMA(エクスタシー、メチレンジオキシ-メタンフェタミン)、MDA(メチレンジオキシアンフェタミン)、カンナビノイド(並びにTHCおよびカルボキシ-THC代謝物)、プロポキシフェン、メペリジン、ベンゾジアゼピン(アルプラゾラム、クロルジアゼポキシド、ジアゼパム、ロラゼパム、フルニトラゼパム、トリアゾロム(triazolom)、エスタゾラム)、バルビツレート(メフォバルビタール、ペントバルビタール)、カリソプロドール、トラマドール、フェンタニール、ブプレノルフィン、ナルトレキソン、三環系剤、ニコチン(およびその代謝物コチニン)、eve(メチレンジオキシ-エチルアンフェタミン)、リゼルギン酸(LSD)、ジゴキシン、メチルフェニデート、アセトアミノフェン、サリチレート、フルオキセチン、セルトラリン(sertraline)、デキストロメトルファン、エフェドリン、フェネチルアミン、プソイドエフェドリン、およびシネフリンから選択され得る。
【0052】
いくつかの態様において、固相担体に会合させる分析物は、乱用薬物またはその代謝物であり、以下の、コカイン、ベンゾイルエクゴニン、コカエチレン、ノルコカイン、PCP、アンフェタミン、メタンフェタミン、カンナビノイド、THC、カルボキシ-THC、ヘロイン、コデイン、モルフィン、6-モノアセチルモルフィン(MAM)、オキシコドン、3,4-メチレンジオキシアンフェタミン(MDA)、および3,4-メチレンジオキシメタンフェタミン(MDMA)から選択され得る。
【0053】
特定の態様において、組成物は、固体担体に会合しているコカイン、1つまたは複数のオピオイド、PCP、アンフェタミン、およびカンナビノイドの少なくとも2つを含み得る。特定の態様において、モルフィン、コデイン、オキシコドン、オキシモルホン、ヒドロコドン、またはヒドロモルホンから選択される2つ以上の疼痛管理薬が、固体担体に会合され得る。いくつかの態様において、2つ以上のコカインおよびオピオイドが、固体担体に会合され得る。
【0054】
任意のタイプの試料について、1つもしくは複数の関心対象分析物の存在および/または量を試験することができる。ある特定の場合において、試料は、1つまたは複数の関心対象分析物、例えば、1つまたは複数の乱用薬物または有毒化学物質などを含むか、または含むことが疑われる。試料は、身体試料または非身体試料であり得る。身体試料は、個体(例えば、ヒト、マウス、ラット、ブタ、ウマ、サル、ウサギ、ウシ、ヒツジ、またはヤギ)から得られた被験物であり得る。身体試料は、組織試料、例えば、脳、心臓、肺、腎臓、肝臓、筋肉、骨、胃、腸、および皮膚の組織試料などであり得る。身体試料は、生体組織検査によって、または組織培養から得ることができる。身体試料は、尿、血液、血漿、血清、唾液、精液、痰、脳脊髄液、粘液、汗、乳、およびガラス体液などの生体液を含み得る。身体試料は、毛髪、指爪、または足爪などの角質化した構造体であり得る。非身体試料は、例えば、土壌もしくは水試料、植物試料、無機物質試料、または研究もしくは製造プロセスからの試料であり得る。
【0055】
試料は、1つもしくは複数の分析物を検出するために、そのまま使用してもよいし、または、結果として最終試料を得るために処理してもよい。例えば、試料は、関心対象分析物を放出させるために、液化、濃縮、乾燥、希釈、凍結乾燥、抽出、分画化、クロマトグラフィー処理、精製、酸性化、還元、分解、酵素処理してもよく、さもなくば、当業者に公知の方式による別の方法で処理してもよい。所望であれば、試料は、例えば個体または製造プロセスに由来する試料の組み合わせ(プール)であってもよい。
【0056】
試料は、様々な物理状態、例えば、液体、固体、エマルション、またはゲルなどであり得る。試料は、分析物の無欠陥性を保持するために、通常の注意を払って処理され得る。処理は、適切な緩衝液および/または阻害剤、例えば、ある特定の生物酵素の阻害剤などの使用を含み得る。当業者であれば、関心対象分析物および試料の性質を考慮して、適切な条件を決定することができると考えられる。
【0057】
本明細書で使用される場合、「固相」および「固相担体」なる用語は、互換性を持って使用され、2つ以上の分析物を会合させることができる任意の固体材料または半固体材料、例えば、共有結合または非共有結合により、分析物を直接的または間接的のいずれかにおいて付着させることができる材料、または分析物を組み入れること(例えば、物理的封入、吸着など)ができる材料、または、2つ以上の分析物を含む(例えば、会合する)ように官能基化することができる材料を意味する。固相担体は、分析物の他に、例えば、天然もしくは合成ポリマー、樹脂、金属、またはシリケートなど様々な材料を含有し得る。
【0058】
好適な固相担体は、当技術分野において公知であり、実例として、アガロース(セファロースとして市販されている)、セルロース(例えば、カルボキシメチルセルロース)、デキストラン(例えば、セファデックスなど)、ポリアクリルアミド、ポリスチレン、ポリエチレングリコール、樹脂、シリケート、ジビニルベンゼン、メタクリレート、ポリメタクリレート、ガラス、セラミック、紙、金属、メタロイド、ポリアクリロイルモルフォリド、ポリアミド、ポリ(テトラフルオロエチレン)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(4-メチルブテン)、ポリ(エチレンテレフタレート)、レーヨン、ナイロン、ポリ(ビニルブチレート)、ポリビニリデンジフルオライド(PVDF)、シリコーン、ポリホルムアルデヒド、酢酸セルロース、ニトロセルロース、または、上記の任意のもののうちの2つ以上の組み合わせが挙げられる。必要なのは、固相担体中の材料もしくは材料の組み合わせが、2つ以上の分析物と各分析物に対して特異的な抗体との間の結合に関して、実質的に影響を及ぼさない、例えば、ある場合においては最小の影響しか及ぼさない、ということだけである。
【0059】
固相担体は、例えば、膜;チップ;スライド(例えば、ガラススライドまたはカバーガラス);円柱;中空、固体、半固体、細孔、または空隙を有する粒子、例えば、ビーズなど;ゲル;光ファイバー材料を含む繊維;マトリックス;および試料受容器を含み得る、様々な物理的形態を取り得る。試料受容器の非限定的な例としては、試料ウェル、管、キャピラリー、バイアル瓶、および試料を保持することが可能な任意の他の容器、溝、またはくぼみが挙げられる。試料受容器は、複数の試料プラットフォーム、例えば、マイクロプレート、スライド、マイクロフルイディクス装置、マルチウェル、またはマイクロウェルプレートなどに収容することができる。分析物が会合している粒子は、所望の粘度の溶液中に懸濁されたままで留まる粒子や、所望の粘度の溶液中において容易に沈殿する粒子など、様々なサイズを有し得る。粒子は、例えば、好適なタグ結合材料による分離のための精製タグや磁気分離のための常磁性などを含むことによって、試料構成成分からの容易な分離のために選択され得る。
【0060】
概して、本明細書において説明する粒子は球状である。しかしながら、粒子は、例えば、楕円状または管状であってもよい。いくつかの態様、例えば、結晶形態粒子においては、粒子は、(不規則もしくは規則的な)多角形状、例えば立方体形状などであり得る。いくつかの態様において、粒子は非晶質であり得る。
【0061】
いくつかの態様において、粒子混合物は、実質的に球状、実質的に楕円状、実質的に管状、実質的に多角形状、または実質的に非晶質であり得る。「実質的に」とは、粒子混合物の30%(例えば、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%、またはそれ以上)が所定の形状であることを意味する。
【0062】
いくつかの態様において、粒子の直径(または最も長い一直線の寸法)は、約1nm〜約1000nmの間またはそれ以上であり得る。例えば、粒子は、少なくとも約1nm〜約1000nm(例えば、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、75、100、150、200、250、300、325、350、375、400、425、450、475、500、525、550、575、600、625、650、675、700、725、750、775、800、825、850、875、900、925、950、975、または1000nm)であり得る。いくつかの態様において、粒子の直径(またはその最も長い一直線の寸法)は、1000nm以下(例えば、975、950、925、900、875、850、825、800、775、750、725、700、675、650、625、600、575、550、525、500、475、450、425、400、375、350、325、300、275、250、225、200、175、150、125、100、75、50、45、40、35、30、25、20、15、10、または5nm以下)であり得る。
【0063】
固相担体を製造するための好適な方法、並びに本明細書において説明する組成物および方法での使用のための固相担体のさらなる実施例(例えば、粒子)は、PCT公開公報WO01/84157、WO99/30160、WO99/42838、およびWO06/078618に見出すことができ、並びにこれらのそれぞれにおける開示は、参照によりその全体が本明細書に組み入れられるものとする。
【0064】
分析物は、当業者に公知の多くの方式において、固相担体と会合させることができる。例えば、分析物は、直接的に、あるいは、例えば、リンカー、結合剤、または結合対のメンバーによって間接的に、共有結合もしくは非共有結合により固相担体に結合され得る。例えば、分析物は、直接的に、分析物の官能基と固相担体の官能基との間の化学結合などの共有結合により固相担体に結合され得る。あるいは、分析物は、間接的に、共有結合により固相担体に結合され得、例えば、分析物は、それ自体が共有結合により固相担体に結合しているリンカーまたは結合剤に、共有結合により結合され得る。いくつかの態様において、分析物は、直接的に、非共有結合性会合または分析物の固相担体への吸着など、非共有結合により固相担体に結合される。他の態様において、分析物は、間接的に、非共有結合により固相担体に結合され、例えば、非共有結合によって固相担体に結合しているリンカー、結合剤、または結合対のメンバーに、共有結合により結合される。すべての場合において、固相への関心対象分析物の会合は、固相に会合していない場合の分析物に対する特異性と比較して、会合している分析物に対する抗体の特異性に実質的に影響を及ぼすべきではなく、例えば、最小限の影響しか及ぼすべきではない。
【0065】
共有結合により分析物を担体に付着させるために有用な様々な化学反応が、当業者に周知である(例えば、Hartmannら,(2002)J. Mater. Res.17(2):473-478を参照のこと)。共有結合による担体への付着に有用な官能基の例示的な例としては、アルキル、Si-OH、カルボキシ、カルボニル、ヒドロキシル、アミド、アミン、アミノ、エーテル、エステル、エポキシド、シアネート、イソシアネート、チオシアネート、スルフヒドリル、ジスルフィド、オキシド、ジアゾ、ヨウ素、スルホン酸、または化学反応性もしくは潜在的化学反応性を有する同様の基が挙げられる。
【0066】
分析物は、例えば、固相担体への吸着または固相担体上へのコーティングを介して、あるいはそれ自体が非共有結合により固体担体に結合もしくは会合しているリンカー、結合剤、または結合対のメンバーへの共有結合または非共有結合による会合を介して、非共有結合的に固体担体に結合され得る。分析物を担体に会合させるために有用なリンカー、結合剤、または結合対のメンバーの例示的な例としては、タンパク質、有機ポリマー(PEGおよびその誘導体)、および小分子が挙げられる。特定の好ましい例としては、HSA、BSA、ストレプトアビジン、アビジン、ビオチン、PEG、および抗体もしくは抗体断片が挙げられる。
【0067】
例えば、好ましい一態様において、分析物は、共有結合によりHSAまたはBSAなどの結合剤に接合されてもよく、その結果として生じる共有結合コンジュゲートを用いて、固体担体を非共有結合的にコーティングしてもよい。別の態様において、分析物は、共有結合によりビオチンおよびアビジンの結合対の1つのメンバーに接合することができ、すなわち、共有結合コンジュゲートは、非共有結合により固体担体に会合され得る(例えば、コーティングされる)結合対の他のメンバーに、非共有結合により結合することができる。他の態様において、分析物と結合対の1つのメンバーとの共有結合コンジュゲートは、共有結合により固体担体に結合している結合対の他のメンバーに、非共有結合によって結合することができる。
【0068】
リンカーまたは結合剤も、分析物を固体担体に共有結合によって結合させるために有用であり得る。例えば、分析物とHSAまたはBSAなどの結合剤との共有結合コンジュゲートは、共有結合によって固体担体に結合され得る。
【0069】
いくつかの態様において、固相担体の表面は、リンカーまたは結合剤の安定的な付着を容易にするために修飾され得る。概して、熟練者であれば、通常の方法を用いて、所望の用途に従って固相担体を修飾することができる。固相担体の修飾の非限定的な例を以下に示す。
【0070】
固相担体の表面は、例えば、分析物との付着を容易にするようなコーティングを有していてもよい。概して、コーティングは、分析物上のリンカー部分に対して補完的なものであると考えられる。固相担体の表面は、例えば、表面を、例えばトリアルコキシアミノシランなどによって、シリル化することによりアミド化することができる。シラン処理された担体も、ホモ二官能性リンカーおよびヘテロ二官能性リンカーによって誘導体化することができる。担体は、例えば、ヒドロキシ、アミノ(例えば、アルキルアミン)、カルボキシル基、N-ヒドロキシ-スクシンイミジルエステル、光活性化(photoactivatable)基、スルフヒドリル、ケトン、または反応に利用可能な他の官能基を有するように誘導体化され得る。担体は、限られた領域(例えば、マルチウェルアッセイプレートの特定のウェル)だけを誘導体化するために、マスクを用いて誘導体化してもよく、あるいは化学エッチングまたはUV光を使用して、選択された領域から誘導体化を取り除くことができる。
【0071】
官能基は、表面をコーティングする代わりに、第一の固相担体の調製の際もしくは調製後に第一の固相担体中に組み入れてもよい。官能基は、通常、第一の固相担体の1つまたは複数の成分を溶解するように選択されるが、第一の固相担体に共有結合により付着されていてもよい。
【0072】
分析物を固相担体に付着するためのさらなる方法は、例えば、PCT公開公報WO01/84157、WO99/30160、およびWO06/078618に記載されており、なお、これらのそれぞれの開示は、参照によりその全体が本明細書に組み入れられるものとする。
【0073】
本明細書において説明されるように、2つ以上の分析物が固相担体に会合されている。2つ以上の分析物のそれぞれと固相担体との会合のタイプは、他の分析物の会合と同じであってもまたは異なっていてもよい。例えば、ある分析物は、直接的に、共有結合により結合され、その一方で別の分析物は、リンカー部分を介して間接的に、共有結合により結合されてもよい。別の態様では、ある分析物は、固相担体に非共有結合によって結合している結合剤、例えばBSAなどに共有結合によって結合され、その一方で別の分析物は、直接的に、共有結合的により固相担体に結合されてもよい。必要なことは、別個の会合が、ある分析物を該分析物に対して特異的な抗体に結合させることに関して影響を及ぼさない(例えば、実質的に影響を及ぼさない)ということだけである。
【0074】
固相に会合している2つ以上の異なる分析物を含む固相組成物は、驚くほど頑強であり得、例えば、室温で長期間において安定であり得る。いくつかの態様において、本明細書において説明した固相組成物は、凍結、凍結乾燥、または固定化して、適切な条件下において保存することができる。条件は、分析物が活性を維持できるような条件であるべきである。
【0075】
例示的な固相組成物を図1〜3に示し、以下において説明する。
【0076】
適用
本明細書において説明する技術は、1つもしくは複数の関心対象分析物の存在および/または量を判定することに関する。概して、本方法は、当業者に周知の方法である競合イムノアッセイを伴う。本明細書において用いられる競合イムノアッセイでは、固相組成物に結合している分析物は、例えば標識された抗体などの抗体との結合において、試料溶液(例えば、試験試料)中に存在する分析物と競合する。固相組成物への試料の適用の後に抗体によって発せられたシグナルは、対照試料の適用の後に発せられたシグナルまたは試験試料の適用の前に発せられたシグナルと比較することができ、それにより、分析物の存在を判定することが可能となる。重要なことには、本組成物および方法は、驚いたことに、所望の場合には、高感度かつ他の分析物からの影響が最少の状態で、2つ以上の分析物の同時検出または連続検出が可能である。
【0077】
本方法において、固相分析物担体は、固相、例えば、粒子またはマルチウェルプレートのマルチウェルなどに、少なくとも2つの分析物を会合させることによって調製される。固相分析物担体は、次いで、1つまたは複数の抗体と接触され、この場合、少なくとも1つの抗体は、固体組成物に会合している2つの分析物のうちの1つに対して特異的であり、並びに、1つまたは複数の関心対象分析物を含有し得るかまたは含有することが疑われ得る試料(例えば、試験試料)と接触される。通常、抗体は、(例えば、放射性、蛍光性、発光性、または酵素的に)検出可能に標識されるか、あるいは当業者に公知の方法(例えば、酵素増幅法など)を使用して、一次抗体に結合する二次抗体の使用を介して検出され得る。そのような方法では、抗体とその抗体に特異的な分析物との相互作用により、例えば、抗体における検出可能な標識を介して、または二次抗体における標識を介して、結果として検出可能なシグナルが発せられる。シグナルは、分析物の存在または量の読み出しとして測定される。
【0078】
本方法での使用のための抗体は、関心対象分析物に対して特異的な任意の抗体であり得る。当該用語は、抗体またはその分析物結合性断片を含む。さらに、当該用語は、ヒト化抗体、完全ヒト化抗体、一本鎖抗体、キメラ抗体、Fab断片、F(ab')2断片、Fab'断片、Fv断片、およびscFv断片も包含する。関心対象分析物に対する抗体は、多くの供給元からから商業的に入手可能であり、または、当業者に公知の方法、例えば、宿主動物(例えば、ラット、ウサギ、マウス、ヤギ、ウシ、ウマ、イヌ、ネコ、ヒツジ、ロバ、ニワトリ、またはヒトなどの哺乳動物)または抗体を産生する細胞(例えば、ハイブリドーマ)からの抗体の単離などを用いて調製および単離することができる。
【0079】
いくつかの態様において、抗体は、関心対象分析物に対して特異的であり、さらに関心対象分析物の代謝物の1つまたは複数に結合することが可能である。例えば、抗体は、コカインに対して特異的であり得、さらにはコカインの代謝物の1つまたは複数との交差反応結合性を示し得る。そのような場合、交差反応結合性は、本明細書において説明した方法を使用して1つまたは複数の代謝物を検出するのに十分であるべきである。
【0080】
同様に、抗体は、関心対象の薬物クラスのメンバーに対して特異的であり得、並びに関心対象の薬物クラスのメンバーの1つまたは複数および/またはそれらの代謝物に結合することが可能であり得る。例えば、抗体は、特定のオピオイドに対して特異的であり得、さらには他のオピオイドに対する交差反応結合性を示し得る。そのような場合、交差反応結合性は、本明細書において説明した方法を使用して薬物クラスにおける1つまたは複数の薬物または薬物代謝物を検出するのに十分であるべきである。
【0081】
1つもしくは複数の分析物の存在および/または量を判定する方法は、以下のように実施される。上記において説明したように、例えばそれぞれに少なくとも2つの異なる分析物が会合しているマイクロウェルを含むマイクロプレートなどの固相分析物組成物を、i)関心対象分析物に対して特異的な少なくとも1つの抗体、およびii)前述において説明した通りの試料と接触させる。接触工程は、接触させるための任意の方法、例えば、手動でのピペット操作、洗浄、ロボットによるもしくは自動化された調剤メカニズム、または当業者に公知の他の方法を含み得る。接触させる方法における通常の注意、例えば、無菌操作または試料の無欠陥性を保持するための他の方法などについては当業者によって理解される。
【0082】
固相分析物組成物は、最初に、抗体と接触され、次いで試料と接触され得るか、あるいはその逆であってもよい。既知の量の抗体が、例えば、定量的方法において、固相組成物と接触される。
【0083】
通常、抗体は検出可能に標識され、該標識によって分析物の存在の判定が可能となる。例えば、抗体は、蛍光標識、発光(化学発光または生物発光を含む)標識、放射性標識、酵素標識によって、検出可能に標識され得る。他の場合において、抗体は標識されないが、第一の抗体に対して特異的であり、かつそれ自体が標識されている(例えば、酵素的に標識されている)二次抗体の使用を介して検出される。複数の分析物を同時に検出するような場合においては、関心対象分析物のそれぞれに対する別々の抗体は、好ましくは、例えば、重なり合わない吸収/発光スペクトルを有する蛍光標識の使用により、それぞれが他のものとは別々に検出できるように差次的に標識される。自動化された方法などの検出方法は、当業者にとって周知である。
【0084】
任意の方法において、例えば、固相分析物組成物に結合していない抗体および分析物を除去するために、洗浄工程の使用が採用することができる。好適な洗浄条件は、当業者によって決定され得、抗体と固相上に会合した分析物との結合に実質的に影響を及ぼすべきではなく、あるいは最少の影響しか及ぼすべきではない。
【0085】
アッセイの競合性を利用することにより、分析物が試料中に存在することを判定することができる。例えば、試料(例えば、試験試料)と接触させた後に固相分析物組成物に結合している抗体によって(例えば、抗体上の蛍光標識から)発せられるシグナルを、関心対象分析物を含まない対照試料と接触させた後に固相分析物組成物に結合している抗体によって発せられるシグナルと比較することによって、分析物の存在を判定することができる。
【0086】
任意の方法において、固相分析物組成物は、固相に会合している第二の異なる分析物に対して特異的な第二の抗体と接触され得る。第二の抗体は、第一の抗体と同時に(例えば、2つの分析物のための同時アッセイにおいて)、または連続的に(例えば、第一の分析物の存在を判定した後で第二の分析物を判定することが所望されるアッセイにおいて)接触され得る。当業者が認識するように、固相に会合している分析物の数に対応して、およそN個までの抗体を本方法において用いることができ、この場合、抗体母集団は、会合している各分析物に対して特異的な少なくとも1つの抗体を含む。さらに、N個までの分析物が、同時アッセイにおいて検出され得るが、任意のより小数の分析物も任意のアッセイにおいて検出することができ、あるいは任意の組み合わせを、例えば、同時アッセイまたは連続アッセイにおいて検出することができる。加えて、例えばマイクロウェルプレートを採用するようなある特定の態様においては、あるマイクロウェルが1つまたは複数の関心対象分析物を試験するために使用され得、その一方で、別のマイクロウェルが、関心対象分析物の同じセット、関心対象分析物の異なるセット、または関心対象分析物が重複するが同じではないセットを試験するために使用され得る。
【0087】
キット
本明細書では、本明細書において説明した1つまたは複数の固相分析物組成物を含むキットなどのキットも提供する。キットは、さらなる成分、例えば、緩衝液、試薬、取扱説明書、および本方法で使用される1つまたは複数の抗体などを含み得る。いくつかの態様において、コカイン、ベンゾイルエクゴニン、コカエチレン、ノルコカイン、PCP、アンフェタミン、メタンフェタミン、カンナビノイド、THC、カルボキシ-THC、ヘロイン、コデイン、モルフィン、6-モノアセチルモルフィン(MAM)、オキシコドン、3,4-メチレンジオキシアンフェタミン(MDA)、および3,4-メチレンジオキシメタンフェタミン(MDMA)からなる群より選択される分析物に対して特異的な少なくとも1つの抗体が、キットに含まる。いくつかの態様において、キットは、本方法において使用される試料を抽出または処理するための試薬を含めた、試料調製用のさらなる試薬を含み得る。
【実施例】
【0088】
実施例1: 毛髪からの分析物の還元抽出、および複数の分析物が結合している固相組成物を使用した複数の分析物の検出
2008年4月29日に本特許と同時に出願された米国特許出願第 号,発明の名称「Non-Proteolytic Method For The Determination Of Analytes In Keratinized Structures」(毛髪から分析物を抽出するための非タンパク質分解性還元法を開示している)において開示されているような抽出法を用いて、複数の分析物(例えば、乱用薬物)の存在について毛髪試料を分析した。そのような非タンパク質分解性還元法を用いて得られる結果も、米国特許第6,022,693号、同第6,350,582号、および同第6,949,344号(毛髪から分析物を抽出するための、タンパク質分解的な方法と還元的な方法との組み合わせを開示する)において開示されているような方法を用いて得られる結果と比較した。抽出したら、試験試料は、本明細書において開示した方法および組成物を用いて、例えば、2つ以上の分析物が結合している固相と、それぞれが特定の分析物に対して特異的な1つまたは複数の一次抗体とを接触させ、次いで、例えば、一次抗体の標識により、または標識された二次分析物を介する一次抗体の検出により、各一次抗体を検出して、複数の乱用薬物分析物の存在について評価した。
【0089】
I.溶液
毛髪試料を消化するための溶液: ジチオトレイトールの1.5%水溶液、pH9.45〜9.55
消化された毛髪試料を中和するための溶液:
1. 5%の塩化亜鉛水溶液
2. pH7の1.0M Bis-Tris
3. 使用直前に、塩化亜鉛をBis-Tris溶液で1:10に希釈
【0090】
II.エンザイムイムノアッセイ(EIA)のための分析物抽出の処理手順
毛髪試料8mgを、pH9.5の1.5%ジチオトレイトール溶液0.8mLと共に試験管に入れ、試料を37℃で2時間インキュベートした。試料を、塩化亜鉛のBis-Tris溶液70μLで中和し、十分に混合して、遠心分離した。
【0091】
III.複数の分析物でコーティングされたマイクロプレートおよび毛髪のジチオトレイトール抽出物を用いたエンザイムイムノアッセイ(EIA): コカイン、オピオイド、アンフェタミン、PCP
A.マイクロプレートの調製: BSA-分析物コンジュゲートによるコーティング
East Coast Biologicalsから購入した関心対象の薬物のBSA(ウシ血清アルブミン)コンジュゲートを水において調製した。BSAコンジュゲート(BSA-ベンゾイルエクゴニン、BSA-モルフィン、BSA-PCP、BSA-メタンフェタミン)を、各分析物の1〜10ngが薬物コンジュゲート溶液50μL中に存在するように、水に溶解させた。
【0092】
ウェルをコーティングするために、ウェルあたり50μLの、ベンゾイルエクゴニン、モルフィン、PCP、およびメタンフェタミンのBSA-コンジュゲートを含有する薬物コンジュゲート溶液を、96ウェルマイクロプレート(Corning Scientificからの高結合性マイクロプレート)上のウェルに加えた。プレートにカバーを被せ、回転器に取り付けて室温(RT)において約100回転/分で終夜回転させた。
【0093】
終夜回転させた後、分析物混合物を除去し、ウェルをPBS(リン酸緩衝生理食塩水)で一度洗浄した。ウェルをブロックするために、1%のBSAを含有するPBSの300μLをすべてのウェルに加え、マイクロプレートを室温で4〜6時間回転させた(約100回転/分の回転スピード)。
【0094】
ブロッキングの後、ウェルを、0.01%のTween-20を含有するPBSで6回洗浄した。洗浄の後、プレートを反転させ、カウンターに対して軽く叩いてすべての液体を除去した。次いで、プレートを反転させたまま、ベンチ上で数時間または終夜乾燥させた。乾燥したら、それらを、乾燥した密封可能な減圧バッグに入れ、保存のために真空ポンプでバッグから空気を抜いて密封した。
【0095】
B.分析
消化し中和した毛髪試料のアリコートを、マイクロプレートウェルにおいて、関心対象分析物に対する適切な一次抗体と組み合わせた。室温で1時間インキュベートした後、プレートを、自動化されたプレート洗浄機においてPBSで洗浄した。洗浄に続いて、HRP(ワサビペルオキシダーゼ)に結合させた(一次抗体種に対する)二次抗体をウェルに加え、プレートを室温で1時間インキュベートした。プレートを再び洗浄し、ウェルにおいて基質(TMB、3,3',5,5',トリメチルベンジジン)を30分インキュベートした。最後に、4NのHCLの50uLを加えて、620muでの吸収を読み取った。
【0096】
1.毛髪中のコカイン: 固相分析物エンザイムイムノアッセイ(EIA)
固相-抗原EIAによるコカインでの実施例の結果

*注意: EIAに対するB/Bo比率(%)-- 100%の陰性(Bo)値は、試料中に分析物を含有しない参照管であり、抗原に対する抗体の最大結合性を表す。未知の試料は、陰性Boの比率(%)として「B/Bo比率(%)」で表現される。試料中の分析物の濃度は、B/Bo比率(%)の値とは逆に変化する。陽性試料は、カットオフ較正物質と同等またはそれ以上の薬物を含有するものであり、したがって、B/Bo比率(%)はカットオフ較正物質と同等またはそれ以下である。
**COC=コカイン;BE=ベンゾイルエクゴニン;CE=コカエチレン;NOR=ノルコカイン
【0097】
2. 毛髪中のオピオイド: 固相抗原エンザイムイムノアッセイ
固相分析物EIAによるオピオイドでの実施例の結果

**MAM=6-モノアセチルモルフィン
【0098】
3. 毛髪中のメタンフェタミン/MDMA: 固相分析物エンザイムイムノアッセイ
固相分析物EIAによるメタンフェタミン/MDMA(エクスタシー)での実施例の結果

**METH=メタンフェタミン;AMP=アンフェタミン;MDA=3,4-メチレンジオキシアンフェタミン;MDMA=3,4-メチレンジオキシメタンフェタミン
【0099】
実施例2: 毛髪からの分析物のメタノール抽出、並びに複数の分析物が結合している固相組成物を使用した複数の分析物の検出
Yeglesら, Analytical and Practical Aspects of Drug Testing in Hair, CRC Press, 2007, pp.73-94;Jurado, C. Analytical and Practical Aspects of Drug Testing in Hair, CRC Press, 2007, pp.95-125;Cheze,M.ら, Analytical and Practical Aspects of Drug Testing in Hair, CRC Press, 2007, pp.163-185)において開示されているようなメタノール抽出法を用いて、複数の分析物(例えば、乱用薬物)の存在について毛髪試料を分析した。抽出した後、本明細書において開示した方法および組成物を用いて、例えば、2つ以上の分析物が結合している固相と、それぞれが特定の分析物に対して特異的な1つまたは複数の一次抗体とを接触させ、次いで、例えば、一次抗体上の標識により、または標識された二次分析物を介する一次抗体の検出により、各一次抗体を検出して、複数の乱用薬物分析物の存在について、試験試料を評価した。
【0100】
I.溶液
酸性メタノール: 1%のHClを含むメタノール。
【0101】
II.エンザイムイムノアッセイのための分析物抽出の処理手順
ねじ蓋式のガラス管において、2mLの酸性メタノールを10〜12mgの毛髪に加えた。管を60℃で終夜(16時間)インキュベートした。メタノールを清浄な管に移し、ヒートブロックにおいて50℃でエバポレーションにより毛髪を乾燥した。乾燥した試料を、毛髪濃度が10mg(毛髪)/mL(PBS)となるようにPBS中において再構成した。
【0102】
III.複数の分析物でコーティングされたマイクロプレートおよび毛髪のメタノール抽出物を用いたエンザイムイムノアッセイ: コカイン、オピオイド、アンフェタミン
EIAのため、細菌汚染を避けるためにすべての試薬をフィルターにかける。
【0103】
A.マイクロプレートの調製: BSA-分析物コンジュゲートによるコーティング−COMBOプレート
マイクロプレートは、上記の実施例1.III.Aで説明しているようにして調製した。
【0104】
B.分析
抽出物の分析は、消化試料の分析と同様の方式で実施した。
【0105】
1.毛髪中のコカイン: メタノール抽出を用いた固相分析物エンザイムイムノアッセイ
固相分析物EIAによるコカインでの実施例の結果



【0106】
2.毛髪中のオピオイド: メタノール抽出を用いた固相分析物エンザイムイムノアッセイ
固相分析物EIAによるオピオイドでの実施例の結果


【0107】
3.毛髪中のメタンフェタミン/MDMA: メタノール抽出を用いた固相分析物エンザイムイムノアッセイ
固相分析物EIAによるメタンフェタミン/MDMA(エクスタシー)での実施例の結果


【0108】
他の態様
多くのいくつかの態様について説明してきた。しかしながら、本明細書において提供された開示の趣旨および範囲を逸脱することなく、様々な変更を行うことが可能であることは理解されるであろう。したがって、他の態様は、添付の特許請求の範囲内にある。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料中の関心対象分析物の存在を判定するための方法であって、
(a)固相担体に会合している少なくとも2つの異なる分析物を含む固相分析物組成物であって、該少なくとも2つの異なる分析物のうちの1つが関心対象分析物である、固相分析物組成物を、
i)関心対象分析物に対して特異的な抗体;および
ii)試料
に接触させる工程;並びに
(b)関心対象分析物が試料中に存在するか否かを判定する工程
を含む方法。
【請求項2】
固相分析物組成物を、最初に試料と接触させ、次いで抗体と接触させる、請求項1記載の方法。
【請求項3】
抗体が検出可能に標識されている、請求項1記載の方法。
【請求項4】
抗体が、蛍光標識、発光(化学発光または生物発光を含む)標識、放射性標識、酵素標識によって検出可能に標識されている、請求項3記載の方法。
【請求項5】
抗体が標識されていない、請求項1記載の方法。
【請求項6】
固相分析物組成物に結合していない抗体を除去する工程をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項7】
分析物が存在する場合に、存在する分析物の量を判定する工程をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項8】
試料中の固相分析物組成物に結合している抗体によって発せられるシグナルを、関心対象分析物を含まない対照試料中の固相分析物組成物に結合している抗体によって発せられるシグナルと比較することによって、分析物が試料中に存在することを判定する、請求項1記載の方法。
【請求項9】
固相分析物組成物に結合している抗体によって発せられるシグナルが、該抗体上の検出可能な標識に由来する、請求項8記載の方法。
【請求項10】
固相分析物組成物に結合している抗体によって発せられるシグナルが、該抗体への二次抗体の結合に由来し、該二次抗体が検出可能に標識されている、請求項8記載の方法。
【請求項11】
検出可能な標識が、蛍光標識、発光(化学発光または生物発光を含む)標識、放射性標識、または酵素標識である、請求項9または10に記載の方法。
【請求項12】
固相分析物組成物を、固相に会合している少なくとも第二の異なる分析物に対して特異的な第二の抗体に接触させる工程、および第二の分析物が試料中に存在するか否かを判定する工程をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項13】
少なくとも2つの異なる分析物が、直接的または間接的のいずれかにおいて、非共有結合により固相に会合している、請求項1記載の方法。
【請求項14】
少なくとも2つの異なる分析物が、直接的または間接的のいずれかにおいて、共有結合により固相に会合している、請求項1記載の方法。
【請求項15】
少なくとも2つの異なる分析物が、直接的または間接的のいずれかにおいて、吸着を介して固相に会合している、請求項1記載の方法。
【請求項16】
少なくとも2つの異なる分析物が、非共有結合によりまたは吸着を介して固相に会合している結合剤に、共有結合により結合している、請求項1記載の方法。
【請求項17】
結合剤が、HSAおよびBSAから選択される、請求項16記載の方法。
【請求項18】
少なくとも2つの異なる分析物が、乱用薬物またはその代謝物である、請求項1記載の方法。
【請求項19】
乱用薬物またはその代謝物が、コカイン、ベンゾイルエクゴニン、コカエチレン、ノルコカイン、PCP、アンフェタミン、メタンフェタミン、カンナビノイド、THC、カルボキシ-THC、ヘロイン、コデイン、モルフィン、6-モノアセチルモルフィン(MAM)、オキシコドン、3,4-メチレンジオキシアンフェタミン(MDA)、および3,4-メチレンジオキシメタンフェタミン(MDMA)から選択される、請求項18記載の方法。
【請求項20】
試料が、身体試料または身体試料に由来する試料である、請求項1記載の方法。
【請求項21】
身体試料が、ヒトに由来し、かつ脳、心臓、肺、腎臓、肝臓、筋肉、骨、胃、腸、および皮膚の組織試料;尿、血液、血漿、血清、唾液、精液、痰、脳脊髄液、粘液、汗、ガラス体液、および乳から選択される生体液;並びに角質化した構造体から選択される、請求項1記載の方法。
【請求項22】
身体試料が、角質化した構造体である、請求項1記載の方法。
【請求項23】
固体担体が、マイクロプレートのマイクロウェルである、請求項1記載の方法。
【請求項24】
試料中の数「N」で表される複数の異なる関心対象分析物の存在を判定するための方法であって、
(a)固相担体に会合している少なくとも「N」個の異なる分析物を含む固相分析物組成物であって、該会合している少なくとも「N」個の異なる分析物が複数の関心対象分析物を含む、固相分析物組成物を、
i)異なる関心対象分析物の各々に対して特異的な抗体を含む複数の抗体;および
ii)試料
に接触させる工程;並びに
(b)異なる複数の関心対象分析物の各々が試料中に存在するか否かを判定する工程
を含む方法。
【請求項25】
異なる関心対象分析物の各々に対して特異的な抗体が、別々に検出可能である、請求項24記載の方法。
【請求項26】
抗体が、蛍光標識、発光(化学発光または生物発光を含む)標識、放射性標識、または酵素標識によって検出可能に標識されている、請求項25記載の方法。
【請求項27】
異なる関心対象分析物の各々が存在する場合に、その量を判定する工程をさらに含む、請求項24記載の方法。
【請求項28】
試料中の、固相分析物組成物に結合している、特定の関心対象分析物に対して特異的な抗体によって発せられるシグナルを、特定の関心対象分析物を含まない対照試料中の固相分析物組成物に結合している同じ抗体によって発せられるシグナルと比較することによって、異なる関心対象分析物の各々が試料中に存在することが判定される、請求項24記載の方法。
【請求項29】
複数の抗体を同時に、固相分析物組成物に接触させる、請求項24記載の方法。
【請求項30】
複数の抗体のうちの少なくとも1つを、該複数の抗体の少なくとも別の抗体とは異なる時点で固相分析物組成物に接触させる、請求項24記載の方法。
【請求項31】
固相に会合した少なくとも2つの異なる分析物を含む、組成物。
【請求項32】
少なくとも2つの異なる分析物が、直接的または間接的のいずれかにおいて、共有結合により固相に結合している、請求項31記載の組成物。
【請求項33】
少なくとも2つの異なる分析物が、直接的または間接的のいずれかにおいて、非共有結合により固相に結合している、請求項31記載の組成物。
【請求項34】
固相に会合した2〜10個の異なる分析物を含む、請求項31記載の組成物。
【請求項35】
少なくとも2つの異なる分析物が、乱用薬物分析物またはその代謝物である、請求項31記載の組成物。
【請求項36】
少なくとも2つの異なる分析物が、コカイン、ベンゾイルエクゴニン、コカエチレン、ノルコカイン、PCP、アンフェタミン、メタンフェタミン、カンナビノイド、THC、カルボキシ-THC、ヘロイン、コデイン、モルフィン、6-モノアセチルモルフィン(MAM)、オキシコドン、3,4-メチレンジオキシアンフェタミン(MDA)、および3,4-メチレンジオキシメタンフェタミン(MDMA)から選択される、請求項31記載の組成物。
【請求項37】
請求項31記載の組成物と、固相に会合した2つの異なる分析物のうちの少なくとも1つに対して特異的な少なくとも1つの抗体とを含む、キット。
【請求項38】
請求項36記載の組成物と、コカイン、ベンゾイルエクゴニン、コカエチレン、ノルコカイン、PCP、アンフェタミン、メタンフェタミン、カンナビノイド、THC、カルボキシ-THC、ヘロイン、コデイン、モルフィン、6-モノアセチルモルフィン(MAM)、オキシコドン、3,4-メチレンジオキシアンフェタミン(MDA)、および3,4-メチレンジオキシメタンフェタミン(MDMA)からなる群より選択される分析物に対して特異的な少なくとも1つの抗体とを含む、キット。
【請求項39】
試料中の関心対象分析物またはその代謝物の1つもしくは複数の存在を判定するための方法であって、
(a)固相担体に会合している少なくとも2つの異なる分析物を含む固相分析物組成物であって、該少なくとも2つの異なる分析物のうちの1つが関心対象分析物である、固相分析物組成物を、
i)関心対象分析物に対して特異的であり、さらに該関心対象分析物の代謝物の1つもしくは複数に結合することが可能である抗体;および
ii)試料
に接触させる工程;並びに
(b)関心対象分析物またはその代謝物の1つもしくは複数が試料中に存在するか否かを判定する工程
を含む方法。
【請求項40】
試料中の関心対象の薬物クラスの少なくとも1つのメンバーの存在を判定するための方法であって、
(a)固相担体に会合している少なくとも2つの異なる分析物を含む固相分析物組成物であって、該少なくとも2つの異なる分析物のうちの1つが関心対象の薬物クラスのメンバーである、固相分析物組成物を、
i)関心対象の薬物クラスのメンバーに対して特異的であり、さらに関心対象の薬物クラスの他のメンバーの1つもしくは複数に、または該関心対象の薬物クラスのメンバーの代謝物の1つもしくは複数に結合することが可能である抗体;および
ii)試料
に接触させる工程;並びに
(b)関心対象の薬物クラスの少なくとも1つのメンバーが試料中に存在するか否かを判定する工程
を含む方法。
【請求項41】
少なくとも2つの異なる分析物が、乱用薬物、有毒化学物質、環境化学物質、石油製品、天然物、有機化合物、栄養剤、処方箋調剤薬、および店頭販売薬、または上記の任意のものからの代謝物、誘導体、もしくは分解産物から選択される、請求項1記載の方法。
【請求項42】
少なくとも2つの異なる分析物が、オピオイド、アンフェタミン、NSAIDS、ステロイド、カンナビノイド、ベンゾジアゼピン、バルビツレート、三環系剤(tricyclic)、およびエフェドリン、または上記の任意のものからの代謝物、誘導体、もしくは分解産物から選択される、請求項1記載の方法。
【請求項43】
少なくとも2つの異なる分析物が、乱用薬物、有毒化学物質、環境化学物質、石油製品、天然物、有機化合物、栄養剤、処方箋調剤薬、および店頭販売薬、または上記の任意のものからの代謝物、誘導体、もしくは分解産物から選択される、請求項31記載の組成物。
【請求項44】
少なくとも2つの異なる分析物が、オピオイド、アンフェタミン、NSAIDS、ステロイド、カンナビノイド、ベンゾジアゼピン、バルビツレート、三環系剤、およびエフェドリン、または上記の任意のものからの代謝物、誘導体、もしくは分解産物から選択される、請求項31記載の組成物。
【請求項45】
請求項31記載の組成物が、乱用薬物、有毒化学物質、環境化学物質、石油製品、天然物、有機化合物、栄養剤、処方箋調剤薬、および店頭販売薬、または上記の任意のものからの代謝物、誘導体、もしくは分解産物から選択される少なくとも2つの異なる分析物を含む、請求項37記載のキット。
【請求項46】
請求項31記載の組成物が、オピオイド、アンフェタミン、NSAIDS、ステロイド、カンナビノイド、ベンゾジアゼピン、バルビツレート、三環系剤、およびエフェドリン、または上記の任意のものからの代謝物、誘導体、もしくは分解産物から選択される少なくとも2つの異なる分析物を含む、請求項37記載のキット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2011−519048(P2011−519048A)
【公表日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−507601(P2011−507601)
【出願日】平成21年4月29日(2009.4.29)
【国際出願番号】PCT/US2009/042061
【国際公開番号】WO2009/134855
【国際公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【出願人】(510288552)サイケメディクス コーポレイション (2)
【Fターム(参考)】