説明

土壌改良材及び土壌改良材の製造方法

【課題】廃棄物として処分されているコーヒーかすや卵殻や茶かすを有効に利用して、土壌改良材を製造すること。
【解決手段】本発明では、炭化したコーヒーかすを主原料として土壌改良材を製造することにした。また、炭化したコーヒーかすに粉末状の卵殻を混合して土壌改良材を製造することにした。また、炭化した茶かすを混合することにした。さらに、本発明では、コーヒーかすを炭化して家畜用敷材を生成し、使用により家畜の糞尿を吸収した家畜用敷材を乾燥して土壌改良材を製造することにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、土壌改良材及び土壌改良材の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、コーヒー飲料の需要増大に伴って、コーヒー飲料の製造工場では、コーヒーかすが大量に排出されている。
【0003】
このコーヒーかすは、ほとんどが産業廃棄物として焼却処分されているが、栄養分が残留していることから、土壌中の微生物の栄養源として、一部が土壌改良材として有効利用されている(特許文献1参照。)。
【0004】
【特許文献1】特開平10−46147号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、上記従来の土壌改良材では、コーヒーかすをそのまま利用しているために、多量の水分を含有した重いコーヒーかすを運搬しなければならず、しかも、土壌改良材全体に占めるコーヒーかすの割合が低いために、コーヒーかすの排出総量からみればわずかな利用に過ぎなかった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、請求項1に係る本発明では、土壌改良剤において、炭化したコーヒーかすを主原料とすることにした。
また、請求項2に係る本発明では、前記請求項1に係る本発明において、炭化したコーヒーかすに粉末状の卵殻を混合することにした。
【0007】
また、請求項3に係る本発明では、前記請求項2に係る本発明において、炭化した茶かすを混合することにした。
【0008】
また、請求項4に係る本発明では、土壌改良材の製造方法において、コーヒーかすを炭化した後に、粉末状の卵殻を混合して土壌改良材を生成することにした。
【0009】
また、請求項5に係る本発明では、前記請求項4に係る本発明において、コーヒーかすと茶かすとを同時に炭化することにした。
【0010】
また、請求項6に係る本発明では、土壌改良材の製造方法において、コーヒーかすを炭化して家畜用敷材を生成し、使用により家畜の糞尿を吸収した家畜用敷材を乾燥して土壌改良材を生成することにした。
【発明の効果】
【0011】
そして、本発明では、以下に記載する効果を奏する。
【0012】
すなわち、本発明では、コーヒーかすを炭化して用いているために、コーヒーかすの重量を軽減することができ容易かつ安価に運搬することができるとともに、炭化によりコーヒーかすの比表面積を増大させることができ、通気性、吸水性、消臭性に優れた土壌改良材とすることができる。
【0013】
また、本発明では、産業廃棄物であるコーヒーかすや卵殻、さらには、茶かすを土壌改良材として有効に利用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明に係る土壌改良材は、以下のようにして製造する(図1参照。)。
【0015】
まず、コーヒーかすを遠心分離機などを用いて脱水する脱水処理を行う。このときに、コーヒーかすと茶かすとを混合して同時に脱水して処理時間を短縮するようにしてもよく、また、コーヒーかすと茶かすとをそれぞれ別々に脱水してもよい。
【0016】
次に、コーヒーかすを炭化装置などを用いて600℃〜800℃で炭化する炭化処理を行う。このときに、脱水したコーヒーかすに脱水した茶かすを混合して同時に炭化して処理時間を短縮するようにしてもよく、また、コーヒーかすと茶かすとをそれぞれ別々に炭化してもよい。この炭化処理により、コーヒーかすや茶かすは粉末状になる。
【0017】
次に、炭化したコーヒーかすを冷却装置などを用いて常温まで冷却する冷却処理を行う。このときに、冷却装置などを使用せずに放置することによる自然冷却を行うようにしてもよい。また、炭化したコーヒーかすに炭化した茶かすを混合して同時に冷却して処理時間を短縮するようにしてもよく、また、コーヒーかすと茶かすとを別々に冷却してもよい。
【0018】
一方、卵殻を粉砕機などを用いて粉末状に粉砕する粉砕処理を行う。
【0019】
そして、炭化した粉末状のコーヒーかすと茶かすとを混合するとともに、これに粉末状の卵殻を混合する混合処理を行う。ここで、混合比率は適宜設定する。
【0020】
このように、炭化した粉末状のコーヒーかすやこのコーヒーかすと粉末状の卵殻とを混合した混合物、或いは、さらに炭化した粉末状の茶かすを混合した混合物は、そのまま袋詰めなどされて土壌改良材として使用される。
【0021】
また、炭化した粉末状のコーヒーかすやこのコーヒーかすと粉末状の卵殻とを混合した混合物、或いは、さらに炭化した粉末状の茶かすを混合した混合物は、そのまま袋詰めなどされて家畜用敷材としても使用される。
【0022】
この家畜用敷材は、牛や豚などの家畜の畜舎の床に敷き詰められて使用される。そして、家畜用敷材は、炭化したコーヒーかすが消臭剤や糞尿の吸収剤として機能するとともに、粉末状の卵殻が中和剤や糞尿の凝集剤として機能し、炭化した茶かすが殺菌剤として機能する。そのため、家畜の畜舎を衛生的に維持することができる。
【0023】
この家畜用敷材は、使用中に家畜の糞尿が混合するが、そのまま回収して、土壌改良材の原料として有効利用することができる。
【0024】
すなわち、使用により家畜の糞尿を吸収した家畜用敷材を乾燥する乾燥処理を行い、それをそのまま袋詰めなどして土壌改良材として使用できる。なお、乾燥処理は、高温加熱による乾燥でもよく、天日干しなどによる自然乾燥でもよい。また、乾燥後は、再び家畜用敷材としても使用することができ、複数回家畜用敷材として使用した後に土壌改良材として使用することもできる。
【0025】
以上に説明したように、本発明に係る土壌改良材では、従来廃棄物として処分されていたコーヒーかすや卵殻や茶かすを有効に循環して再利用することができる。
【0026】
また、本発明に係る土壌改良材では、コーヒーかすを脱水後に炭化して使用している。そのため、コーヒーかすの重量を軽減することができ容易かつ安価に運搬することができる。また、炭化によりコーヒーかすの比表面積を約200m2/gにまで増大させることができ、通気性、吸水性、消臭性に優れた土壌改良材とすることができる。
【0027】
しかも、本発明に係る土壌改良材では、炭化したコーヒーかすに粉末状の卵殻を混合しているために、卵殻の主成分であるカルシウムによる中和剤や凝集剤としての機能を発揮する土壌改良材とすることができる。また、混合により粉末状の卵殻が炭化したコーヒーかすの細孔に含有されるので、体積当りの重量を軽減することができ、これによっても運搬を容易かつ安価なものとすることができる。
【0028】
また、本発明に係る土壌改良材に炭化した茶かすを混合した場合には、コーヒーかすと同様に茶かすも重量の軽減や比表面積の増大を図ることができるとともに、茶かすに含有されるカテキンによる殺菌剤としての機能を発揮する土壌改良材とすることができる。
【0029】
さらに、本発明に係る土壌改良材では、コーヒーかすを炭化して家畜用敷材を生成し、使用により家畜の糞尿を吸収した家畜用敷材を乾燥して土壌改良材を生成することもでき、この場合には、糞尿を肥料化することができ、肥料としての効果を発揮する土壌改良材とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】土壌改良材の製造方法を示す模式図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭化したコーヒーかすを主原料とすることを特徴とする土壌改良剤。
【請求項2】
前記炭化したコーヒーかすに粉末状の卵殻を混合したことを特徴とする請求項1に記載の土壌改良材。
【請求項3】
炭化した茶かすを混合したことを特徴とする請求項2に記載の土壌改良材。
【請求項4】
コーヒーかすを炭化した後に、粉末状の卵殻を混合して土壌改良材を生成することを特徴とする土壌改良材の製造方法。
【請求項5】
コーヒーかすと茶かすとを同時に炭化することを特徴とする請求項4に記載の土壌改良材の製造方法。
【請求項6】
コーヒーかすを炭化して家畜用敷材を生成し、使用により家畜の糞尿を吸収した家畜用敷材を乾燥して土壌改良材を生成することを特徴とする土壌改良材の製造方法。

【図1】
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