説明

土壌用固化材

【課題】 処理土壌のpHを弱アルカリ〜中性領域にすることができ、また有害物質の溶出がないと共に、各種土壌に高い固化強度を付与することができる土壌用固化材を提供すること。
【解決手段】 酸化マグネシウムを主成分とする土壌用固化材であって、該酸化マグネシウムの平均粒径(D50)が2.50μm〜4.50μm、標準偏差が0.20μm〜0.35μmであることを特徴とする土壌用固化剤を採用する。そして、更に、当該土壌固化剤に添加する該酸化マグネシウムの粒度分布は、5μm未満〜1μmの粒子が60%以上、15μm未満〜5μmの粒子が35%以下であるものを用いることが好ましい。さらに、所望により固化剤やpH調整剤、有機高分子凝集剤及び/又は吸水剤、及び固化促進剤のいずれか1種以上を含有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は土壌用固化材に関し、詳しくは火山灰土やシールド工法、地中連続壁工法、浚渫工法、表層及び深層地盤改良工法等の発生現場からの発生土のような土壌を固化させるため、又は先受け工や薬液注入工等により地盤を改良するための土壌用固化材に関する。
【背景技術】
【0002】
火山灰土や発生土のような土壌は水分を多量に含み流動性があり、そのままでは運搬、輸送が困難である。そこで、これらの土壌に土壌用固化材を添加した上で運搬、輸送する方法が採られている。また、これらの土壌を改質する目的でも土壌用固化材が用いられている。
【0003】
これらの土壌用固化材としては、セメント系固化材、生石灰系固化材、石膏系固化材や有機高分子系凝集剤等が使用されている。
【0004】
上記セメント系固化材や生石灰系固化材は、火山灰土や発生土に対して通常10〜15重量%添加するが、このような添加量では、処理土壌のpHが12以上になり、また、運搬、搬送が可能な程度に固化するまでに長時間を要するという問題がある。
【0005】
さらに、上記石膏系固化材では、処理土壌は短時間で固化するが、水に接触すると固化材が溶解して処理土壌が溶解してしまい、また多量に水分を含む土壌の場合は固化不良を起こす。
【0006】
上記有機高分子凝集剤でも固化時間は早いが処理土壌は耐水性がなく、水に接触すると処理土壌が崩壊してしまう。特に、水分を多量に含む土壌の場合には、有機高分子系凝集剤の添加量が大きくなり、処理土壌が弾性体となって、重機類で突き崩したり、搬出したりする作業が困難となる。
【0007】
一方、地質条件の悪い地山ではトンネル切羽奥の掘削予定個所の上周部の地盤を改良する先受け工が実施されており、また地盤強化、止水、遮水、液状化防止等を目的として地盤中の間隙に薬液を注入する薬液注入工が実施されている。これらの目的でも土壌用固化材が用いられている。
【0008】
上記先受け工にあっては、従来主としてセメント系固化材やウレタン系固化材が使用され、また上記薬液注入工にあっては、主として水ガラス系の固化材が使用されている。
【0009】
セメント系固化材の場合には改良地盤から高アルカリ分や6価クロムが溶出するおそれがあり、注入圧が異常に上昇して注入困難となる場合がある。このような場合にはウレタン系固化材が使用されるが、ウレタン系固化材の場合には早期に強度が発現されるが、ウレタン系固結剤が改良地盤から溶出して環境を汚染すると云う問題点があり、またコストにも問題がある。更に密な砂質土にはウレタン系固結剤であっても注入が困難となる。
【0010】
さらに、水ガラス系固化材にあっては、早期のホモゲル強度や長期のホモゲル強度が充分でないし、改良地盤中の水ガラス固化物からシリカ分が溶脱して強度が劣化する問題点、あるいはセメント系固化材と同様に改良地盤中から高アルカリ分が溶出する問題点がある。
【0011】
このため、従来より用いられている固化材に代えて、酸化マグネシウム又は水酸化マグネシウムを主成分とする固化材が提案されている。
【0012】
例えば特許文献1(特開昭51−20414号公報)では、水酸化マグネシウムと塩基性アルミニウム複合塩とを組み合わせた固化材が提案され、また特許文献2(特開2000−239660号公報)では酸化マグネシウムと多価金属塩とを組み合わせた固化材が提案されている。
【0013】
【特許文献1】特開昭51−20414号公報
【特許文献2】特開2000−239660号公報
【0014】
上記酸化マグネシウム又は水酸化マグネシウムを含有する固化材にあっては、処理土壌のpHを水道法第4条に示された水質基準の許容値の上限8.6を下回るようにすることができ、また有害物質が溶出することもない。さらには早期のホモゲル強度や長期のホモゲル強度が比較的高く、溶脱も少なく、処理土壌の強度は耐久性を有し経時的な劣化の問題もない。
【0015】
しかしながら、酸化マグネシウム又は水酸化マグネシウムを主体とする土壌用固化材は、上記多くの利点を有するものの、土壌に添加したときに固化強度が未だ充分ではないという問題があり、各種土壌にさらなる高い水準の固化強度を付与する土壌用固化材が望まれている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
従って、本発明の目的は、処理土壌のpHを弱アルカリ〜中性領域にすることができ、また有害物質の溶出がないと共に、各種土壌に高い固化強度を付与することができる土壌用固化材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
そこで、本発明者らは、検討の結果、特定の粉体特性を有する酸化マグネシウムを用いた土壌用固化材が上記目的を達成し得ることを知見し、本発明に到達した。
【0018】
すなわち、本発明は、酸化マグネシウムを主成分とする土壌用固化材であって、該酸化マグネシウムの平均粒径(D50)が2.50μm〜4.50μm、標準偏差が0.20μm〜0.35μmという粉体特性を備えるものである。
【0019】
そして、本件発明に係る土壌用固化剤は、その酸化マグネシウム粉粒の持つ粒度分布として5μm未満〜1μmの粒子が60%以上、15μm未満〜5μmの粒子が35%以下であることを特徴とする土壌用固化材を提供するものである。
【0020】
本発明に係る土壌用固化材に用いられる上記酸化マグネシウムは、平均粒径(D50)が3.00μm〜4.00μm、標準偏差が0.25μm〜0.30μmで有ることがより好ましい。そして、係る場合の酸化マグネシウム粉の粒度分布は、5μm未満〜1μmの粒子が65%〜75%、15μm未満〜5μmの粒子が25%〜30%であることが好ましい。
【0021】
また、本発明に係る土壌用固化材は、固化剤を含有することが望ましく、このような固化剤として多価金属塩が好ましく用いられる。
【0022】
さらに、本発明に係る土壌用固化材は、その用途によって種々の配合剤を含有させることが望ましい。このような配合剤としては、pH調整剤、有機高分子凝集剤及び/又は吸水剤、及び固化促進剤のいずれか1種以上である。
【発明の効果】
【0023】
本発明の土壌用固化材は、酸化マグネシウムを主体とするものであるから、対象土壌のpHを中性域に保持でき、また有害物質の溶出もなく、強度は耐久性を有し経時的な劣化の問題もないことに加えて、特定の粉体特性を有する酸化マグネシウムを用いていることから、各種土壌を迅速に固化させ、且つ、高い固化強度を付与することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明を実施するための最良形態について説明する。
【0025】
(本発明に係る土壌用固化材)
本発明に係る土壌用固化材に用いられる酸化マグネシウムには、特定の粉体特性を有するものである。すなわち、本発明に係る土壌用固化材では、酸化マグネシウムを主成分とする土壌用固化材であって、平均粒径(D50)が2.50μm〜4.50μm、好ましくは3.00μm〜4.00μm、標準偏差が0.20μm〜0.35μm、好ましくは0.25μm〜0.30μmの粉体特性を備える酸化マグネシウム粉を用いる。
【0026】
ここで、本件発明に係る土壌固化剤に含ませる酸化マグネシウムの平均粒径は、2.50μm〜4.50μmの範囲とすることが好ましい。この酸化マグネシウムの平均粒径が小さくなるほど、土壌との接触界面面積が大きくなり、反応性が高く、早期に固化を完了させることが出来る。しかしながら、固化反応があまりにも早くなると、固化した後の土壌に微小なクラックが生じたして外観が悪くなり、固化後の硬さが高くなりすぎて、人が踏みしめたときの感触に心地よさが生じないのである。即ち、土壌固化剤を構成する酸化マグネシウム粉粒の平均粒径が、2.50μm未満となると、固化反応時間が短すぎて、上述のように外観が悪く脆くなり、歩行感触が悪くなる。一方、土壌固化剤を構成する酸化マグネシウム粉粒の平均粒径が、4.50μmを超えると、固化時間が長くなり、作業効率が著しく劣るものとなる。従って、上記範囲の平均粒径の粉粒から構成された土壌固化剤を用いることで、従来ばらついていた固化時間を均質化し、且つ、制御することとが可能となる。更に、当該土壌固化剤の粉粒の平均粒径を、3.00μm〜4.00μmの範囲とすることが、より好ましい。当該土壌固化剤の酸化マグネシウム粉粒の平均粒径が、この範囲にあると固化反応に要する時間が殆ど変動することなく、最も安定したものとなるのである。
【0027】
そして、当該土壌固化剤の酸化マグネシウム粉粒が上記範囲の平均粒径を備えることを前提として、5μm未満〜1μmの粒子が60%以上、15μm未満〜5μmの粒子が35%以下の酸化マグネシウムを用いるのが好ましい。上述の酸化マグネシウムの平均粒径は、粉粒の細かさを表す一定の指標としての機能は果たすものの、粗粒がどの程度含まれているかの指標とはなり得ない。これに対し、ここに述べたような如き粒度分布の意味するところは、ここで表示していない範囲の粗粒が、どの程度存在するかの指標となる。即ち、上記粒度分布から、5μm未満〜1μmの粒子が60%以上、15μm未満〜5μmの粒子が35%以下であるから、15μm以上の粗粒及び1μm未満の極微粒のトータルが5%程度は存在する可能性が有ることになる。そして、この全てが15μm以上の粗粒として考えても、粗粒が5%を超えないことになる。このように良好な粒度分布を持つ土壌固化剤を用いることで、更に固化時間等の制御が容易となるのである。
【0028】
そして、この粒度分布に関して、より明確に粒度分布を特定すると、5μm未満〜1μmの粒子が5%〜75%、15μm未満〜5μmの粒子が25%〜30%の酸化マグネシウム粉となる。ここで述べた範囲は、本件発明者等の研究の結果、粒度分布を一定の範囲の納めるように鋭意努力した結果の、実績としての範囲である。
【0029】
平均粒径(D50)、標準偏差、5μm未満〜1μmの粒子量及び5μm未満〜5μmの粒子量が上記範囲から外れた酸化マグネシウムを用いても、固化時間が長く、各種土壌に短時間で適正な固化強度を付与することができない。
【0030】
これら平均粒径(D50)、標準偏差、5μm未満〜1μmの粒子量及び5μm未満〜5μmの粒子量は、下記の方法により測定される。本件発明に言う平均粒径の測定は、酸化マグネシウム粉0.1gをSNディスパーサント5468の0.1%水溶液(サンノプコ社製)と混合し、超音波ホモジナイザ(日本精機製作所製 US−300T)で5分間分散させた後、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置 Micro Trac HRA 9320−X100型(Leeds+Northrup社製)を用いて行った。
【0031】
本発明に係る土壌用固化材は、固化剤を含有することが望ましい。このような固化剤としては、主として多価金属塩が使用される。上記多価金属塩としては、硫酸アルミニウム、硫酸第1鉄、ポリ硫酸第2鉄、ポリ塩化アルミニウム、明礬、仮焼明礬石、硫酸亜鉛等が例示され、上記多価金属塩は2種以上混合使用されてもよい。
【0032】
固化剤として、上記多価金属塩の中でも硫酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、硫酸第1鉄、ポリ硫酸第2鉄は対象となる土壌のpHを低くする作用があり、この点からも望ましく用いられる。以上に述べてきた固化剤は、酸化マグネシウム100重量部に対して、10重量部〜100重量部含有されることが望ましい。
【0033】
本発明に係る土壌固化材は、その用途によって種々の配合剤を含有させることが望ましい。このような配合剤としては、pH調整剤、有機高分子凝集剤及び/又は吸水剤、及び固化促進剤のいずれか1種以上が挙げられる。
【0034】
処理土壌を弱アルカリ性〜中性に維持するためにはpH調整剤が含有される。該pH調整剤としては、pHを5.8〜pH8.6の中性領域とするために酸性剤が用いられる。このような酸性剤としては例えばシュウ酸、クエン酸、リンゴ酸、ベンゼンスルホン酸、スルファミン酸等の粉末状の有機酸、硫酸アンモニウム、ベンゼンスルホン酸アンモニウム等の強酸と弱塩基との粉末状の塩、塩化第2鉄、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化アンモニウム等の粉末状の酸性塩等が使用される。上記pH調整剤は2種以上混合使用されてもよい。該pH調整剤は、土壌用固化材中に5重量%〜50重量%含有されるが、土壌のpHに応じて含有量を調整すべきであることはいうまでもない。
【0035】
処理土壌の水分が例えば50重量%以上の多量に含まれる場合には、有機高分子凝集剤及び/又は吸水剤が含有されてもよい。該有機高分子凝集剤としては、例えばポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリルアミド、アクリル酸ナトリウム−アクリルアミド共重合体、ポリエチレンオキサイド等の合成高分子凝集剤、グアガム、キサンタンガム、アルギン酸等の天然高分子凝集剤等があり、該吸水剤としては例えば下水焼却灰、木炭、活性炭、シリカゲル等がある。そして、有機高分子凝集剤及び/又は吸水剤は、土壌用固化材中に0.1重量%〜2.0重量%含有されるが、土壌の水分含有量に応じて含有量を調整すべきであることはいうまでもない。
【0036】
処理土壌の固化を促進するためにさらに固化促進剤が含有される。該固化促進剤としては、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸カリウム、エチレンカーボネート、イソシアナート化合物等の水と反応して炭酸ガスを発生することができる化合物が使用される。該固化促進剤は上記pH調整剤と併用すると、処理土壌のpHが高い場合でも、容易にpHを低くすることができるので、酸性助剤としても使用できる。
固化促進材は、土壌用固化材中に0.3重量%〜10.0重量%含有されることが望ましい。
【0037】
上記成分において、酸化マグネシウムと固化剤とは土壌の固化反応によって土壌が固化せしめられるが、pH調整剤によってpHを弱アルカリ〜中性領域、好ましくはpH5〜pH9、さらに好ましくはpH5.8〜pH8.6に調整して酸化マグネシウムと固化剤と土壌との固化反応を促進され、固化促進剤を加えることにより固化が一層促進される。また、水分を多量に含有する土壌の場合には、上記成分に加えて、有機高分子凝集剤及び/又は吸水剤を加えると、土壌が凝縮して水が排除され、あるいは土壌中の水が吸収され、望ましい土壌固化物が得られる。
【0038】
さらに、所望によって、炭酸カルシウム、無水石膏、半水石膏、タルク、未焼ドロマイト、ケイ石粉、スラグ等の充填剤が含有されてもよい。そして、これら充填剤は、土壌用固化材中に25重量%〜500重量%含有される。
【0039】
本発明に係る土壌用固化材は、火山灰土や発生土等のような土壌を固化させるため、又は先受け土や薬液注入工等により地盤を改良するために用いられる。
【0040】
本発明に係る土壌用固化材は、土壌に添加する前に全成分を混合し、その後、土壌に添加されてもよいし、また各成分を個々に土壌に添加してもよいし、さらに成分のうちの二種以上を予め混合しておいて土壌に添加してもよい。
【0041】
本発明に係る土壌用固化材の土壌に対する添加量は、土質、含水量によって適宜決定される。一般に粘性の大きい土質(粘土質)の場合には添加量を少なくし、粘性の小さい土質(砂質)の場合には添加量を多くする。また、含水量の大きい土壌の場合には添加量を多くし、含水量の小さな土壌の場合には添加量を少なくする。一般的には含水率80重量%〜100重量%の土壌の場合には、本発明に係る土壌用固化材は土壌1m当たり30kg〜100kg程度添加され、含水率100重量%〜200重量%の土壌の場合には、本発明に係る土壌用固化材は土壌1m当たり50kg〜200kg程度添加される。
【0042】
本発明に係る土壌用固化材にシリカ成分を含有する火山灰土等を混合して土壌用混合固化材として用いることもできる。この場合には、土壌用固化材100重量部に対して、火山灰土5重量部〜300重量部配合される。
【0043】
このような土壌用混合固化材は、固化に必要とされる非晶質成分であるアロフェンのごときシリカ成分を補給し、これによりシリカ成分が少ない火山灰土、沖積土壌、サンド質土壌の適正な固化が可能となる。 以下、本発明を実施例に基づき具体的に説明する。
【実施例1】
【0044】
土壌用固化材に用いる酸化マグネシウムとして下記の性状を有するものを用いた。
・平均粒径 (D50) :3.52μm
・標準偏差 :0.266μm
・1μm未満 :2.32%
・5μm未満〜1μmの粒子 :69.33%
・15μm未満〜5μmの粒子 :28.35%
・15μm以上 :0.00%
【0045】
上記酸化マグネシウム100重量部と硫酸アルミニウム(固化剤)20重量部とからなる土壌用固化材100kgを火山灰土(関東ローム)に1mに添加し、混合攪拌した。この処理土壌を大気中で養生した場合の固化状況を表1に示す。
【0046】
(比較例1)
土壌用固化材に用いる酸化マグネシウムとして下記の性状を有するものを用いた。
・平均粒径 (D50) :13.73μm
・標準偏差 :0.473μm
・1μm未満 :4.04%
・5μm未満〜1μmの粒子 :11.36%
・15μm未満〜5μmの粒子 :24.15%
・15μm以上 :60.45%
【0047】
上記酸化マグネシウム100重量部と硫酸アルミニウム(固化剤)20重量部とからなる土壌用固化材100kgを火山灰土(関東ローム)に1mに添加し、混合攪拌した。この処理土壌を大気中で養生した場合の固化状況を表1に示す。
【0048】
【表1】

【0049】
表1から明らかとなるように、実施例1は比較例1に比して、火山灰土に対する固化を迅速に行い、且つ、高い固化強度を速やかに付与することができる。表1に掲載した内容から、7日後〜20日後の一軸圧縮強さを見ると実施例の方が高くなっている。そして、60日後の固化強度に関しては、実施例及び比較例共に大きな差異は無いように思われるが、実施例の方が若干高めの強度となる。これらのことから、土壌固化剤に含まれる酸化マグネシウムの粒径が細かくなることにより、反応性が上がり固化速度が上昇し、同時に良好な固化強度を得ることが出来ることが理解出来る。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明の土壌用固化材は、特定の粉体特性を有する酸化マグネシウムを用いていることから、各種土壌の固化を迅速に行い、且つ、高い固化強度を付与することができる。このため、各種土壌用の固化材として工期の短縮化が可能で、広範な用途に好適に用いられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化マグネシウムを主成分とする土壌用固化材であって、
当該酸化マグネシウムは、平均粒径(D50)が2.50μm〜4.50μm、標準偏差が0.20μm〜0.35μmである酸化マグネシウム粉であることを特徴とする土壌用固化材。
【請求項2】
当該酸化マグネシウム粉の粉粒の持つ粒度分布が、5μm未満〜1μmの粒子が60%以上、15μm未満〜5μmの粒子が35%以下であることを特徴とする請求項1に記載の土壌用固化材。
【請求項3】
上記酸化マグネシウム粉の平均粒径(D50)が3.00μm〜4.00μm、標準偏差が0.25μm〜0.30μmである請求項1又は請求項2に記載の土壌用固化材。
【請求項4】
当該酸化マグネシウム粉の粉粒の持つ粒度分布が、5μm未満〜1μmの粒子が65%〜75%、15μm未満〜5μmの粒子が25%〜30%である請求項3に記載の土壌用固化材。
【請求項5】
固化剤を含有する請求項1〜請求項4のいずれかに記載の土壌用固化材。
【請求項6】
上記固化剤が多価金属塩である請求項5に記載の土壌用固化材。
【請求項7】
pH調整剤、有機高分子凝集剤及び/又は吸水剤、及び固化促進剤のいずれか1種以上を含有する請求項1〜請求項6のいずれかに記載の土壌用固化材。

【公開番号】特開2006−219547(P2006−219547A)
【公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−32474(P2005−32474)
【出願日】平成17年2月9日(2005.2.9)
【出願人】(500518201)松田技研工業株式会社 (10)
【Fターム(参考)】