説明

土瓶などの液体つぎのつる

【課題】 本発明は、本発明は、使用中に指先などがコイルばねの端部に触れても、コイルばねを収縮させることなく折り返し部をコイルばねの中に確実に挿入しておくことができる土瓶や鉄瓶などの液体つぎのつるを提供する。
【解決手段】 少なくとも一方の折り返し部13の側縁5に凹部6が設けられており、圧接状態の折り返し部の復帰力によって、折り返し部13に圧接しているコイルばね2の内径を押し広げることができる弾性力をつる本体は有しており、押し広げられたコイルばね2のばね線7の一部が元の位置に復帰する方向に移動して折り返し部13の凹部6に係止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般家庭などで使用される土瓶などの液体つぎのつるに関する。
【背景技術】
【0002】
帯状の金属板のつる本体をコイルばねに挿通させた土瓶のつるは、その構成によってはつるを土瓶に対して垂直に立てた状態を維持することができるものがあり、また、金属製であるために劣化することがなくほぼ永久的に使用できるので現在でも好評を得ている。
【0003】
しかし、従来品は、つる本体の折り返し部の端部が圧接状態で伸縮可能なコイルばねに挿入されている。したがって、不意に指先などがコイルばねの端部に触れてコイルばねを収縮させたときに、コイルばねに挿入されていた折り返し部の端部が折り返し部の復帰力によって勢いよく飛び出すことがあった。例えば、土瓶に入っている熱湯を他の容器に注いでいる最中にコイルばねが突然飛び出すと、使用者はその衝撃に驚いて思わず熱湯をこぼしたり他方の手にかけたりする虞がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平2−90754号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、使用中に指先などがコイルばねの端部に触れても、コイルばねを収縮させることなく折り返し部をコイルばねの中に確実に挿入しておくことができる土瓶や鉄瓶などのつるを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1は、帯状の金属板で形成されたつる本体と、長さ方向に伸縮可能でつる本体よりも短いコイルばねとを有し、つる本体の幅はコイルばねの内径よりも短く形成されて、つる本体はコイルばねに挿通され、把持部においてつる本体の周囲にコイルばねが存在し、つる本体の両端部はそれぞれ折り返されて折り返し部が形成され、折り返し部がそれと対向するつる本体との距離を縮めるように圧接された状態でコイルばねに挿入されている土瓶などの液体つぎのつるであって、少なくとも一方の折り返し部の側縁に凹部が設けられており、圧接状態の折り返し部の復帰力によって、折り返し部に圧接しているコイルばねの内径を押し広げることができる弾性力をつる本体は有しており、押し広げられたコイルばねのばね線の一部が元の位置に復帰する方向に移動して折り返し部の凹部に係止する構成である。
【0007】
請求項2は、凹部がそれぞれの折り返し部の両側縁に1つずつ設けられている要素が請求項1に付加された構成である。
【発明の効果】
【0008】
請求項1は、つる本体の少なくとも一方の折り返し部の側縁に凹部が設けられており、圧接状態の折り返し部の復帰力によって、折り返し部に圧接しているコイルばねの内径を押し広げることができる弾性力をつる本体は有しており、押し広げられたコイルばねのばね線の一部が元の位置に復帰する方向に移動して折り返し部の凹部に係止する。したがって、ばね線の一部と折り返し部の凹部とが係止状態となり、コイルばねを収縮させることなく折り返し部をコイルばねの中に確実に挿入しておくことができるから、つる本体の折り返し部が突然飛び出すことを防止できる。
【0009】
請求項2は、凹部が、それぞれの折り返し部の両側縁に1つずつ設けられている。したがって、1つの折り返し部の係止箇所が2つであるからさらに確実に折り返し部の飛び出しを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は本発明の使用状態図である。
【図2】図2は本発明の正面図である。
【図3】図3は折り返し部の側面図である。
【図4】図4は折り返し部をコイルばねに挿入した状態の正面図である。
【図5】図5は折り返し部とコイルばねの結合状態を示す拡大断面図である。
【図6】図6は凹部の他の実施例を示す折り返し部の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
つる3は、つる本体1とコイルばね2とから成る。つる本体1は、帯状のステンレス板で形成されている。ステンレス以外の金属でもよく、例えば鉄板にクロムなどをメッキしたものでもよい。コイルばね2は、ステンレス線で形成されている。ステンレス以外の材料でもよく、例えば鉄線にクロムなどをメッキしたものでもよい。コイルばね2はつる本体1よりも短く形成されている。つる本体1の幅はコイルばね2の内径よりも短く形成されて、コイルばね2につる本体1が挿通され、つる本体1の両端部はコイルばね2の両端からそれぞれはみ出している。
【0012】
つる本体1は、コ字形に折り曲げられ、両端部が折り返されて折り返し部13,13が形成されている。両折り返し部13,13はつる本体1の鉛直部4,4に対してやや開いている。折り返し部13,13の端部の両側縁5,5にそれぞれ凹部6,6が設けられている。凹部6は、一方の折り返し部13のみに設けたものでもよい。2つの凹部6,6の高さはやや異なっている。図5に示すように、凹部6の内径は、ばね線7の外径よりも短く形成されているが、ばね線7の外径よりも長く形成しても差し支えない。また、凹部6の内径が、ばね線7の外径の2倍前後でも差し支えない。1つの折り返し部13に1つの凹部6を設けたものでもよく、3以上の凹部6を設けてもよい。凹部6の形状は四角形であるがこれに限定されるものでなく、例えば図6に示すように三角形の凹部19,19であってもよい。
【0013】
コイルばね2は、その両端部のばね線7の巻きピッチが他の部分よりも密に形成され、ばね線同士が接している。また、コイルばね2の両端部は、開口16に行くに従って途中から徐々に内径が広がるように形成されている。図2に示すように、コイルばね2の両端10,10は、折り返し13,13の端縁11,11と屈曲点12,12のほぼ中間の位置に届いている。そして、つる本体1の水平部8とそれを囲っているコイルばね2とで把持部9が形成されている。つる本体1の、把持部9を構成している部分の内側に竹製の当て板15が固着されている。把持部9を持って土瓶14を持ち上げたときに、つる本体1がコイルばね2に対して相対的に下降することを防止しするためである。
【0014】
次に、つる3を土瓶14に取り付ける方法について説明する。まず、つる3の折り返し部13,13を土瓶14の掛け孔17,18に挿入して、土瓶14を持ち上げ可能な状態にする。次いで、コイルばね2の前後いずれか一方の端10が折り返し部13の端縁11よりも上方に来るまで、コイルばね2を収縮させる。次に、折り返し部13が端縁11からコイルばね2に挿入できるように、折り返し部13をつる本体1の鉛直部4方向に押圧して、折り返し部13と鉛直部4の間隔を狭める。次に、その押圧した状態でコイルばね2の収縮を少し解除し、図5に示すように折り返し部13の端部がコイルばね2に挿入された時点で、折り返し部13への押圧を解除する。そうすることにより、折り返し部13の弾性的な復帰力により、折り返し部13とコイルばね2は圧接状態となる。
【0015】
図5は、折り返し部13を含む面で切った断面図である。折り返し部13の両側縁5,5は、折り返し部13の弾性的な復帰力によって一部のばね線17,18に圧接している。折り返し部13を含むつる本体1の幅はコイルばね2の内径よりも短いから、図5の状態において、折り返し部13の端部はコイルばね2の中心から偏倚している。詳しく言うと、折り返し部13の端部は、コイルばね2の中心からコイルばね2の内径の約4分の1の長さだけ偏倚している。すなわち、図5の断面はコイルばね2の中心位置での断面ではなく、コイルばね2の中心から偏倚した位置での断面図である。また、折り返し部13の端部と対向するつる本体1の鉛直部4も、コイルばね2の中心からコイルばね2の内径の約4分の1の長さだけ偏倚している。したがって、その部分で折り返し部13とつる本体1の鉛直部4の間隔はコイルばね2の内径の約2分の1となる。折り返し部13の端部と、それに対向するつる本体1の鉛直部4とが弾性的にばね線17,18に圧接することにより、その部分でコイルばね2は押し広げられて内径が大きくなる。折り返し部13の凹部6,6に当たっているばね線7,7も、仮に凹部6,6が存在しないときは他のばね線17,18と同じだけ押し広げられる。しかし、凹部6,6があるので、ばね線7,7が有する弾性的復帰力によってばね線1,7はやや内側に移動し凹部6,6に係止するのである。この係止作用によって、使用中に不意に指先などがコイルばね2の端部に触れても、ばね線7,7が凹部6,6に係止しているのでコイルばね2を収縮させることがなく、折り返し部13の端部がコイルばね2から飛び出すことを防止することができる。図6に示すように凹部19が三角形に形成されているときは、係止部20に係止しているばね線の下側にあるばね線も凹部19の方向にわずかではあるが移動するので、係止状態が強化される。なお、本発明が土瓶以外の掛け孔を有する液体つぎに使用できることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0016】
本発明は、帯状の金属板で形成されたつる本体1と、長さ方向に伸縮可能でつる本体1よりも短いコイルばね2とを組み合わせて形成された液体つぎのつるであって、コイルばね2に挿入されている折り返し部13が不意に飛び出すことのないつるを提供することができる。
【符号の説明】
【0017】
1 つる本体
2 コイルばね
3 つる
4 つる本体の鉛直部
5 折り返し部の側縁
6 凹部
7 ばね線
8 つる本体の水平部
9 把持部
10 コイルばねの端
11 折り返し部の端縁
12 屈曲点
13 折り返し部
14 土瓶
15 当て板
16 開口
17 掛け孔
18 掛け孔
19 凹部
20 係止部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状の金属板で形成されたつる本体と、長さ方向に伸縮可能でつる本体よりも短いコイルばねとを有し、つる本体の幅はコイルばねの内径よりも短く形成されて、つる本体はコイルばねに挿通され、把持部においてつる本体の周囲にコイルばねが存在し、つる本体の両端部はそれぞれ折り返されて折り返し部が形成され、折り返し部がそれと対向するつる本体との距離を縮めるように圧接された状態でコイルばねに挿入されている土瓶などの液体つぎのつるであって、少なくとも一方の折り返し部の側縁に凹部が設けられており、圧接状態の折り返し部の復帰力によって、折り返し部に圧接しているコイルばねの内径を押し広げることができる弾性力をつる本体は有しており、押し広げられたコイルばねのばね線の一部が元の位置に復帰する方向に移動して折り返し部の凹部に係止することを特徴とする液体つぎのつる。
【請求項2】
凹部は、折り返し部の両側縁に1つずつ設けられている請求項1記載の液体つぎのつる。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−160920(P2011−160920A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−25432(P2010−25432)
【出願日】平成22年2月8日(2010.2.8)
【出願人】(396010351)