説明

土砂排出用従動ローラ装置、およびこれを用いたロッドコンベヤ、ならびにこれを備えた根菜類収穫機

【課題】 ロッドコンベヤ内に侵入した土砂や土塊を押し出すことにより、ロッドコンベヤのスリップを防止するとともに、土砂を継続的に篩い落とし、ロッドコンベヤ内を清掃する手間を軽減することができる土砂排出用従動ローラ装置、およびこれを用いたロッドコンベヤ、ならびにこれを備えた根菜類収穫機を提供する。
【解決手段】 左右一対の無端ベルト24の間に複数本のコンベヤロッド群25を架設してなるロッドコンベヤ2に用いられる従動ローラ装置23であって、一方の無端ベルト24から他方の無端ベルト24までの長さを有する略円柱状に形成されているとともに、その外周面がコンベヤロッド群25の内側面と接触または近接する位置に配置されてなる従動ローラ本体231を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、根菜類収穫機等に搭載されるロッドコンベヤに好適な土砂排出用従動ローラ装置、およびこれを用いたロッドコンベヤ、ならびにこれを備えた根菜類収穫機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、馬鈴薯やビート等の根菜類を収穫する根菜類収穫機においては、掘り上げられた根菜類を移送しながら土砂を篩い落とし、茎葉、雑草、石、土塊等の夾雑物と分離するロッドコンベヤが搭載されている。
【0003】
上述したようなロッドコンベヤとして、例えば、特開2001−218508号公報には、収穫機の方向転換用ロッドコンベヤ装置が開示されている(特許文献1)。このロッドコンベヤ装置においては、左右のエンドレスのベルト間に多数のコンベヤロッドの両端が固定されており、駆動側および従動側のプーリによって回動されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−218508号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された発明を含め、従来のロッドコンベヤにおいては、従動側に設けられた一対のプーリの間には、何も存在せず、単なる空隙が存在しているに過ぎない。このため、コンベヤロッドの隙間から篩い落とされた土砂が、コンベヤロッドの内側面によって上記空隙側に移送され、滞留してしまうという問題がある。
【0006】
特に、雨天時や降雨後に収穫作業を行う場合、土砂が湿っているため、上記空隙に滞留した土砂は、コンベヤロッドによって転がされながら茶筒状の土塊に成長する。このような土塊は、プーリにかかる負荷を増大してベルトをスリップさせるため、ロッドコンベヤが停止する原因となる。また、土塊が肥大化すると、コンベヤロッド間の隙間が塞がれて土砂が抜け落ち難くなるため、根菜類のラインに多くの土砂が混入するという弊害も起こる。このため、土塊が形成される度に収穫作業を中断し、頻繁に土塊を除去して清掃しなければならず、作業効率が悪い。
【0007】
また、従来のロッドコンベヤでは、構造上、ベルトとの摩擦力のみによって従動側のプーリが回転されている。このため、プーリの外周面に土砂が付着すると、ベルトとの間で十分な摩擦力が得られず、スリップし易くなる。一方、プーリの外周面に付着した土砂を削ぎ落とすスクレーパ等を設けたとしても、摩耗や破損によって効果が続かない上、交換作業に手間とコストがかかるという問題がある。
【0008】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであって、ロッドコンベヤ内に侵入した土砂や土塊を押し出すことにより、ロッドコンベヤのスリップを防止するとともに、土砂を継続的に篩い落とし、ロッドコンベヤ内を清掃する手間を軽減することができる土砂排出用従動ローラ装置、およびこれを用いたロッドコンベヤ、ならびにこれを備えた根菜類収穫機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る土砂排出用従動ローラ装置は、左右一対の無端ベルトの間に複数本のコンベヤロッド群を架設してなるロッドコンベヤに用いられる従動ローラ装置であって、一方の前記無端ベルトから他方の前記無端ベルトまでの長さを有する略円柱状に形成されているとともに、その外周面が前記コンベヤロッド群の内側面と接触または近接する位置に配置されてなる従動ローラ本体を有する。
【0010】
また、本発明の一態様として、前記従動ローラ本体の両端部には、前記コンベヤロッド群の隙間と噛み合って前記コンベヤロッド群から回転駆動力を得る駆動ギヤが設けられていてもよい。
【0011】
さらに、本発明の一態様として、前記従動ローラ本体は、外表面が滑らかで弾力性を有する樹脂材料により形成されていてもよい。
【0012】
また、本発明に係るロッドコンベヤは、請求項1から請求項3のいずれかに記載の土砂排出用従動ローラ装置をコンベヤロッド群の従動側に配置してなるものである。
【0013】
さらに、本発明に係る根菜類収穫機は、請求項4に記載のロッドコンベヤを備えたものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ロッドコンベヤ内に侵入した土砂や土塊を押し出すことにより、ロッドコンベヤのスリップを防止するとともに、土砂を継続的に篩い落とし、ロッドコンベヤ内を清掃する手間を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る土砂排出用従動ローラ装置を備えたロッドコンベヤを搭載した根菜類収穫機の一実施形態を示す全体図である。
【図2】本実施形態のロッドコンベヤを示す斜視図である。
【図3】本実施形態のロッドコンベヤを示す(a)断面図、(b)従動側の一部拡大図、および(c)駆動側の一部拡大図である。
【図4】本実施形態において、コンベヤロッド群および無端ベルトを省略した状態のロッドコンベヤを示す斜視図である。
【図5】本実施形態の土砂排出用駆動ローラ装置を示す図である。
【図6】本実施形態の土砂排出用従動ローラ装置を示す図である。
【図7】本実施形態において、コンベヤロッド群および無端ベルトを省略した状態のロッドコンベヤを示す平面図である。
【図8】本実施形態において、コンベヤロッド群および無端ベルトを省略した状態のロッドコンベヤを示す側面図である。
【図9】本実施形態のクッションコンベヤを示す斜視図である。
【図10】本実施形態のクッションコンベヤを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る土砂排出用従動ローラ装置、およびこれを用いたロッドコンベヤ、ならびにこれを備えた根菜類収穫機の一実施形態について図面を用いて説明する。
【0017】
本実施形態の土砂排出用従動ローラ装置23を備えたロッドコンベヤ2は、図1に示すように、馬鈴薯やビート等の根菜類を収穫する根菜類収穫機1の後方に傾斜配置されている。そして、土砂ごと掘り上げられた根菜類を前段の第1コンベヤ3から受け取った後、茎葉、雑草、土塊等の夾雑物を上方へ搬送して上端部から機外へ排出する一方、根菜類を下方に配置された後段のクッションコンベヤ4へと受け渡し、根菜類と夾雑物とを分離するようになっている。
【0018】
具体的には、ロッドコンベヤ2は、図2から図4に示すように、主として、根菜類収穫機1に支持されるコンベヤフレーム21と、このコンベヤフレーム21の上端部に支持される土砂排出用駆動ローラ装置22と、コンベヤフレーム21の下端部に支持される土砂排出用従動ローラ装置23と、これら土砂排出用駆動ローラ装置22および土砂排出用従動ローラ装置23に巻回される左右一対の無端ベルト24,24と、これら無端ベルト24の間に架設される複数本のコンベヤロッド群25と、土砂排出用駆動ローラ装置22に回転駆動力を付与する回転駆動手段26とを有している。以下、各構成について説明する。
【0019】
コンベヤフレーム21は、土砂排出用駆動ローラ装置22の回転軸222および土砂排出用従動ローラ装置23の回転軸233を回転自在に支持するものである。本実施形態において、コンベヤフレーム21は、左右一対で構成されており、その基端部が根菜類収穫機1に支持されている。また、コンベヤフレーム21は、斜め上方に向けて傾斜されており、夾雑物と分離した根菜類を収容のために下方へと転落させるようになっている。
【0020】
無端ベルト24は、左右一対で構成されており、図3に示すように、帯状の平ベルト等によって形成されている。そして、各無端ベルト24の外周面には、複数本のコンベヤロッド群25が所定の隙間を隔てて架設されている。なお、本実施形態では、図2および図3に示すように、各コンベヤロッド25の外面に針状のゴム突起25aが設けられている。これらのゴム突起25aは、クッションの役割を果たして根菜類が受ける打撲等の損傷を最小限に抑制する他、茎葉や雑草を引っかけて搬送し易くし、小さな土塊も排出し易くする役割を果たす。
【0021】
土砂排出用駆動ローラ装置22は、コンベヤロッド群25の駆動側に配置されており、前記コンベヤロッド群25を駆動するものである。本実施形態において、土砂排出用駆動ローラ装置22は、主として、ロッドコンベヤ2内に侵入した小石や土砂を押し出す作用を奏するため、図5に示すように、略円筒カゴ状に構成される駆動ローラ本体221と、この駆動ローラ本体221を回転自在に支持する回転軸222とを有している。
【0022】
駆動ローラ本体221は、コンベヤロッド群25の内側で回転自在に軸支されて前記コンベヤロッド群25に駆動力を伝達するものである。駆動ローラ本体221は、略円盤状に形成された一対の支持板223,223の間に、複数本の噛合ロッド群224が支持板223の円周に沿ってカゴ状に架設されている。各支持板223は、コンベヤロッド25の横幅よりもやや広い間隔を隔てて回転軸222に固定され、各無端ベルト24の外側に配置される。
【0023】
噛合ロッド群224を構成する各噛合ロッド224は、コンベヤロッド群25の隙間よりも若干細い丸棒で形成されており、一対の支持板223,223間においてコンベヤロッド群25の隙間に入って噛み合う寸法と間隔をもって略円筒カゴ状に支持されている。また、図4および図5に示すように、各噛合ロッド224は、各無端ベルト24に当接する両端の当接部225と、これら当接部225よりも外方に膨出形成され、コンベヤロッド群25の隙間に噛み合う噛合部226と、略中央位置に凹設された凹部227とを有している。
【0024】
噛合部226は、コンベヤロッド群25の隙間の長手方向と略同じ長さを有し、各コンベヤロッドと略全幅で当接するようになっている。また、図5に示すように、各噛合ロッド224の凹部227は、コンベヤロッド群25と噛み合わない位置まで凹状に凹まされている。そして、これら各凹部227の内面に当接し、各噛合ロッド224を内側から支持して駆動ローラ本体221を補強する補強部材228が設けられている。なお、駆動ローラ本体221の強度が十分にある場合は、凹部227および補強部材228を設けなくてもよい。
【0025】
一方、土砂排出用従動ローラ装置23は、コンベヤロッド群25の従動側に配置され、土砂排出用駆動ローラ装置22の回転に伴って従動するローラである。本実施形態において、土砂排出用従動ローラ装置23は、主として、ロッドコンベヤ2内に侵入した土砂や土塊を押し出す作用を奏するため、図6に示すように、略円柱状の従動ローラ本体231と、この従動ローラ本体231の両端部に設けられる一対の駆動ギヤ232,232と、従動ローラ本体231を回転自在に支持する回転軸233とを有している。
【0026】
従動ローラ本体231は、一方の無端ベルト24から他方の無端ベルト24までの長さを有する略円柱状に形成されている。また、各駆動ギヤ232は、図3に示すように、コンベヤロッド群25の隙間と噛み合うピッチで歯が形成されており、コンベヤロッド群25から回転駆動力を得るようになっている。
【0027】
また、従動ローラ本体231は、図3に示すように、コンベヤロッド群25の隙間に各駆動ギヤ232を噛合させた状態で、その外周面がコンベヤロッド群25の内側面と接触または近接する位置に配置されている。これは、ロッドコンベヤ2内に侵入した土砂や土塊が、接触または近接した従動ローラ本体231の外表面とコンベヤロッド群25の裏面に挟まれ、コンベヤロッド群25の隙間から押し出されるためである。
【0028】
なお、本実施形態では、土砂等を押し出す際の抵抗によって、従動ローラ本体231がスリップするのを防止するため、駆動ギヤ232を設けている。しかしながら、この構成に限定されるものではなく、駆動ギヤ232を設けずに、従動ローラ本体231の両端部に各無端ベルト24を巻回し、無端ベルト24の内周面と従動ローラ本体231の外周面との間の摩擦力によって従動させるようにしてもよい。
【0029】
また、本実施形態では、従動ローラ本体231の外周面に土砂等が付着し難くするため、前記従動ローラ本体231は外表面が滑らかで弾力性を有する樹脂材料により形成されているが、これに限定されるものではない。例えば、ゴム材料等の弾性変形可能な材料や、ステンレス等のように表面が平滑な材料であっても、付着した土砂が剥がれ落ち易い。
【0030】
さらに、本実施形態では、図3および図4に示すように、各駆動ギヤ232の前方位置に、一対の土砂除けプレート234が設けられている。この土砂除けプレート234は、コンベヤロッド群25の裏面によって搬送されてくる土砂や土塊が、土砂排出用従動ローラ装置23と無端ベルト24との間に入り込むのを防止し、円滑な運転を維持するようになっている。
【0031】
回転駆動手段26は、油圧モータ等で構成されており、図7に示すように、コンベヤフレーム21の外側面に配置されている。そして、スプロケット261とチェーン262を介して土砂排出用駆動ローラ装置22の回転軸222に動力を伝達可能に構成されている。なお、本実施形態の回転駆動手段26は、図1に示すように、ロッドコンベヤ2の上面が後方へ進むように回転力を付与している。
【0032】
また、本実施形態では、図7に示すように、回転駆動手段26と土砂排出用駆動ローラ装置22との間に、コンベヤロッド群25を断続的に揺さ振るための揺さ振り手段5が設けられている。この揺さ振り手段5は、図8に示すように、コンベヤフレーム21に回転自在に軸支される回転軸51と、この回転軸51に固定される一対の揺さ振り部材52とを有している。
【0033】
回転軸51は、その一端側で回転駆動手段26から回転力を受け取り、他端側から土砂排出用駆動ローラ装置22へ回転力を伝達するように構成され、土砂排出用駆動ローラ装置22と連動するようになっている。また、揺さ振り部材52は、図4および図8に示すように、回転軸51に関して対称位置に、それぞれ3つの揺さ振り突起53を有している。そして、回転軸51を介して揺さ振り部材52を回転させると、各揺さ振り突起53がコンベヤロッド25に引っ掛かって揺さ振るため、根菜類と夾雑物とが分離し易くなる。
【0034】
また、本実施形態では、コンベヤロッド群25を下から持ち上げてコンベヤロッド群25の隙間寸法や傾斜角度を調整することにより、それぞれの隙間から土砂等が抜け落ちる度合いや、根菜類が転がり落ちる度合いを調節する調節手段6が設けられている。この調節手段6は、図7および図8に示すように、コンベヤフレーム21に回転自在に軸支される回転軸61と、この回転軸61に支持される一対の持ち上げ部材62,62と、この持ち上げ部材62の高さ位置を調節する調節レバー63とを有している。
【0035】
持ち上げ部材62は、図4および図7に示すように、円形状のゴムローラ等によって構成されており、回転軸61に固定された一対の支持板64,64に回転自在に支持されている。調節レバー63は、回転軸61の一端に連結されており、回転軸61を所定の回転角度で固定することで、持ち上げ部材62の高さ位置を多段階に調節しうるようになっており、これに伴って前記コンベヤロッド群25の隙間寸法や傾斜角度が大小変化される。
【0036】
さらに、本実施形態では、各コンベヤロッド25のゴム突起25aに引っ掛かった茎葉等を削ぎ落とすための削ぎ落とし手段7が設けられている。この削ぎ落とし手段7は、図2から図4、図7および図8に示すように、コンベヤロッド群25の外表面に沿って設けられる削ぎ落とし板71と、この削ぎ落とし板71を上下方向に揺動させる揺動ロッド72とを有している。
【0037】
削ぎ落とし板71は、コンベヤロッド25と略同幅の板状に形成され、その上端部に設けられた回転軸73がコンベヤフレーム21に揺動自在に支持されている。また、揺動ロッド72は、図7および図8に示すように、一端が、土砂排出用駆動ローラ装置22の端部に設けられた偏心部材(図示せず)に連結されており、他端が削ぎ落とし板71の回転軸73に連結された連結板74に連結されている。
【0038】
そして、土砂排出用駆動ローラ装置22の回転に連動されて削ぎ落とし板71が下方位置に揺動されたとき、図3に示すように、その下端が各コンベヤロッド25のゴム突起25aに近接し、茎葉等を削ぎ落とすようになっている。一方、削ぎ落とし板71が上方位置に揺動されたとき、茎葉等が削ぎ落とし板71の下方をくぐり抜けて上方へ搬送されるようになっている。
【0039】
つぎに、本実施形態における土砂排出用従動ローラ装置23、およびこれを用いたロッドコンベヤ2、ならびにこれを備えた根菜類収穫機1の作用について説明する。
【0040】
まず、本実施形態の根菜類収穫機1は、図1に示すように、掘取部8によって夾雑物ごと根菜類を掘り上げた後、第1コンベヤ3によって後方へと搬送する。つぎに、第1コンベヤ3の終端部から排出された根菜類や夾雑物は、本実施形態のロッドコンベヤ2上に落下され、このロッドコンベヤ2によって根菜類と夾雑物とに分離される。
【0041】
具体的には、ロッドコンベヤ2上では、コンベヤロッド群25の隙間から小石や土砂が篩い落とされるとともに、コンベヤロッド群25に設けられたゴム突起25aが、茎葉、雑草、土塊等の夾雑物を引っ掛けて、上方へと搬送し上端部から機外へ排出する。一方、根菜類は、傾斜配置されたロッドコンベヤ2の傾斜面に沿って転げ落ち、下方に配置された後段のクッションコンベヤ4へと落下する。これにより、根菜類と夾雑物とが分離される。
【0042】
ただし、上述した分離作業中、ロッドコンベヤ2内には、コンベヤロッド群25の隙間から篩い落とされた土砂や小石が入り込む。しかしながら、本実施形態では、土砂排出用駆動ローラ装置22が、各噛合ロッド224をコンベヤロッド群25の隙間に差し込み、当該隙間から土砂や小石を押し出してロッドコンベヤ2内に滞留するのを防止する。また、土砂排出用駆動ローラ装置22は、各噛合ロッド224をコンベヤロッド群25の隙間に噛み合わせて大きな駆動力を確保する。さらに、土砂排出用駆動ローラ装置22は、カゴ状に構成されているため、噛合ロッド224間に土砂等を詰まらせることがない。
【0043】
このため、土砂排出用駆動ローラ装置22は、コンベヤロッド群25に対してスリップすることがなく、ロッドコンベヤ2が停止してしまうのを防止する。また、無端ベルト24は、スリップによる摩耗や小石等による損傷が低減される。さらに、従来のようなプーリを使用しないため、プーリに付着した土砂を除去するためのスクレーパ等を設ける必要がない。
【0044】
また、本実施形態では、補強部材228が、各噛合ロッド224の略中央部を内側から支持し、駆動ローラ本体221の強度を高めている。このため、土砂や小石の押し出し抵抗によって各噛合ロッド224が内方へ撓んでしまうのを防止し、確実にコンベヤロッド群25の隙間へ噛合させて小石等を押し出す。
【0045】
一方、ロッドコンベヤ2内の下方には、主として土砂が多く侵入する。しかしながら、土砂排出用従動ローラ装置23が、従動ローラ本体231の外表面をコンベヤロッド群25の裏面に近接ないし接触しているため、土砂や土塊をコンベヤロッド群25の隙間から漏れなく押し出す。
【0046】
このため、湿った土砂であっても茶筒状の土塊に成長する前に排出されるため、当該土塊による各種のトラブル、すなわち、ロッドコンベヤ2にかかる負荷の増大、土砂や小石の篩い落とし機能の低下、度重なる清掃作業による作業効率の低下等のトラブルが解消される。また、従来、土砂の除去に用いられていたスクレーパ等を設ける必要がない。
【0047】
また、本実施形態において、土砂排出用従動ローラ装置23は、駆動ギヤ232によってコンベヤロッド群25から回転駆動力を得ている。このため、大量の土砂や土塊が侵入し、それらを押し出すための抵抗が増大した場合でも、土砂排出用従動ローラ装置23がスリップするのを確実に防止する。
【0048】
また、本実施形態では、土砂除けプレート234が、コンベヤロッド群25の裏面によって搬送されてくる土砂や土塊を両端側から中央側へ寄せる。このため、土砂排出用従動ローラ装置23と無端ベルト24との間に土砂や土塊が入り込むのを防止し、円滑な運転を維持する。
【0049】
なお、本実施形態では、上述した分離作業中、揺さ振り手段5が、土砂排出用駆動ローラ装置22に連動してコンベヤロッド群25を断続的に揺さ振るため、根菜類と夾雑物とが分離し易い。また、本実施形態では、調節手段6が、コンベヤロッド群25の高さ位置を多段階に上下させる。このため、コンベヤロッド群25の隙間幅が増減され、当該隙間から土砂等が抜け落ちる度合いが調節される。また、コンベヤロッド群25の傾斜角度が増減され、根菜類が転がり落ちる度合いが調節される。
【0050】
さらに、本実施形態では、削ぎ落とし手段7が、土砂排出用駆動ローラ装置22に連動して揺動する。このため、下方位置では、各コンベヤロッド25のゴム突起25aに引っ掛かった茎葉等を削ぎ落とすとともに、上方位置では、削ぎ落とした茎葉等を後方へ移送させる。このため、ロッドコンベヤ2に茎葉が大量に絡まってしまうことがなく、除去作業にかかる手間を軽減するとともに、根菜類と夾雑物との分離性能を正常に維持する。
【0051】
以上のような本実施形態の土砂排出用従動ローラ装置23、およびこれを用いたロッドコンベヤ2、ならびにこれを備えた根菜類収穫機1によれば、以下のような効果を奏する。
1.ロッドコンベヤ2内に侵入した土砂や土塊を押し出し、ロッドコンベヤ2の停止やスリップを防止することができる。
2.ロッドコンベヤ2内で土砂が団子状に固まるのを防止し、土砂を継続的に篩い落とすことができる。
3.ロッドコンベヤ2内を清掃する手間を軽減し、根菜類を収穫する際の作業効率を向上することができる。
4.プーリを使用しない構成であるため、プーリに付着した土砂等を除去するためのスクレーパ等を設ける必要がない。
5.駆動ギヤ232によって、土砂排出用従動ローラ装置23がスリップするのを確実に防止することができる。
【0052】
なお、本発明に係る土砂排出用従動ローラ装置23、およびこれを用いたロッドコンベヤ2、ならびにこれを備えた根菜類収穫機1は、前述した実施形態に限定されるものではなく、適宜変更することができる。
【0053】
例えば、上述した本実施形態では、ロッドコンベヤ2を傾斜配置しているため、従動側に本実施形態の土砂排出用従動ローラ装置23を配置し、駆動側に本実施形態の土砂排出用駆動ローラ装置22を配置している。しかしながら、この構成に限定されるものではなく、駆動ギヤ232を設けた状態であれば、土砂排出用従動ローラ装置23を駆動側に配置してもよい。
【0054】
また、本実施形態において、ロッドコンベヤ2の後段に配置されるクッションコンベヤ4は、略水平に設けられたロッドコンベヤ2で構成されているため、駆動側および従動側の双方に小石が侵入し易い。このため、図9および図10に示すように、本実施形態の土砂排出用駆動ローラ装置22の構成を駆動側だけでなく、従動側にも配置して、ロッドコンベヤ2を構成してもよい。
【0055】
すなわち、本発明において、土砂排出用駆動ローラ装置22は、ロッドコンベヤ2の駆動側に好適なローラではあるが、従動側に適用することを排除するものではない。また、土砂排出用従動ローラ装置23は、ロッドコンベヤ2の従動側に好適なローラではあるが、駆動側に適用することを排除するものではない。
【符号の説明】
【0056】
1 根菜類収穫機
2 ロッドコンベヤ
3 第1コンベヤ
4 クッションコンベヤ
5 揺さ振り手段
6 調節手段
7 削ぎ落とし手段
8 掘取部
21 コンベヤフレーム
22 土砂排出用駆動ローラ装置
23 土砂排出用従動ローラ装置
24 無端ベルト
25 コンベヤロッド(群)
25a ゴム突起
26 回転駆動手段
221 駆動ローラ本体
222 駆動ローラの回転軸
223 支持板
224 噛合ロッド(群)
225 当接部
226 噛合部
227 凹部
228 補強部材
231 従動ローラ本体
232 駆動ギヤ
233 従動ローラの回転軸
234 土砂除けプレート
261 スプロケット
262 チェーン
51 揺さ振り手段の回転軸
52 揺さ振り部材
53 揺さ振り突起
61 調節手段の回転軸
62 持ち上げ部材
63 調節レバー
64 支持板
71 削ぎ落とし板
72 揺動ロッド
73 削ぎ落とし手段の回転軸
74 連結板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右一対の無端ベルトの間に複数本のコンベヤロッド群を架設してなるロッドコンベヤに用いられる従動ローラ装置であって、
一方の前記無端ベルトから他方の前記無端ベルトまでの長さを有する略円柱状に形成されているとともに、その外周面が前記コンベヤロッド群の内側面と接触または近接する位置に配置されてなる従動ローラ本体を有する土砂排出用従動ローラ装置。
【請求項2】
前記従動ローラ本体の両端部には、前記コンベヤロッド群の隙間と噛み合って前記コンベヤロッド群から回転駆動力を得る駆動ギヤが設けられている、請求項1に記載の土砂排出用従動ローラ装置。
【請求項3】
前記従動ローラ本体は、外表面が滑らかで弾力性を有する樹脂材料により形成されている、請求項1または請求項2に記載の土砂排出用従動ローラ装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の土砂排出用従動ローラ装置をコンベヤロッド群の従動側に配置してなるロッドコンベヤ。
【請求項5】
請求項4に記載のロッドコンベヤを備えた根菜類収穫機。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図1】
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