説明

圧力を使用する容器内の流体体積の測定

ここに開示された流体計量器は、加圧されることが可能な容器と、容器内の圧力を所定の圧力にするための手段と、容器内の圧力を測定して、所定の圧力に達した時を示すためのセンサと、容器が所定の圧力に達するのにかかる時間を測定するためのタイマーと、容器内の圧力を所定の圧力にするのにかかった時間に基づいて容器内の流体の体積を測定するための手段と、を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願へのクロスリファレンス
この出願は、同一の発明の名称で、2003年2月10日に出願された米国特許仮出願第60/446,169号の優先権を主張する。
【0002】
本システム及び方法は、流体計量器に関する。より具体的には、本計量器は、容器内の圧力を所定の圧力にするためにかかる時間を測定することによって既知の容量の容器内の流体の量を測定する。
【背景技術】
【0003】
既知の容量を有する容器内の流体を測定するために、比較的安価な方法またはシステムが望まれる。プロセス用途において、流体は、後の使用のために、容器に一時的に保存されることが多い。一般には容器内の流体の量は、容器内のレベルを視覚的に見るか、または何らかの形態のレベルインジケータを使用するかのいずれかで測定される。これらのレベルを遠隔的に測定することは、容量性のまたは抵抗性のレベルインジケータ等の高価な電子レベルインジケータを必要とし、これらは現在入手可能であり、数百ドルかかる。他の用途では、流体は、プロセスの一部として容器内に一時的に保存され、測定されるのが望ましいが、測定は行われていない。例えば、流体は容器内にポンプで汲み上げられるか、または、ここに参照して組み込まれる2002年3月26日に出願されたPhilip Egglestonによる米国特許出願第10/106,655号、発明の名称「ウェルからオイルまたは他の流体を抽出するための装置(An Apparatus for Extracting Oil or Other Fluids From a Well)」に記載されるようにして収集することができる。参照された特許出願に記載されるように、一度におよそ3〜5ガロンのオイルが、地表へと運ばれる前に、オイルウェル(油井)深くでキャニスタに収集される。キャニスタが保持することができる流体の量は既知である。ひとたび容器が表面に達すると、流体は、容器を加圧するコンプレッサを使用してパイプライン内にポンプ輸送され、それによって、キャニスタの内部に沿って延在するチューブを通って流体を押し上げる。言い換えると、加圧空気がキャニスタに入る時に、オイルはチューブ中を上に押し上げられ、キャニスタから出る。オイルはキャニスタからフローパイプラインを使用してタンクバッテリへ輸送される。内容物がフローパイプライン内にポンプ輸送される前に且つプロセスを乱すことなく、各サイクルで実際に回収される流体の量を知ることが望ましい。例えば、回収した量が既知の場合には、各サイクルは、各サイクル用に最大のオイルを回収するように、または、ウェルの回収速度でオイルを回収するように、調整することができる。同様に、他の多くのプロセスはあるが、容器内の流体を測定するための容易で安価で画期的な方法はない。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0004】
一般に、プロセスに使用される流体及びプロセスの結果として生成される流体は、いろいろな場合に保存のために既知の容量を有する容器内に入れられる。容器からポンプ輸送される前に流体の量を知ることは、多くの理由のため望ましい。例えば、プロセスによって形成される流体の量を計量すること、またはその流体がプロセスを開始し終了するのに十分か否かを知ることを含む。下記により詳細に記載される本発明の開示は、その体積を測定するための安価な方法またはシステムを提供する。基本的に流体の体積は、容器内の流体によって占められていない残存容量を加圧した時の影響を測定することによって決定される。この残存容量を加圧した時の影響は、既知の容量では予測可能であり、これを使用して容器内の流体の体積を決定する。言い換えると、容器内の流体の量は、流体で満たされていない容量を所定の圧力へ圧縮するのにかかる時間を測定することによって決定される。明らかに流体は好ましくは非圧縮性流体、例えばオイルであり、または既知の圧縮率を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0005】
本発明は、詳細な説明及び添付の図面から最良に理解される。
【0006】
次に、図1を参照すると、ポンプ16によってパイプ12を通って(矢印で示す)閉鎖容器14内にポンプ輸送される流体を示すプロセスシステム10が例示される。流体が容器に入る時に、入ってくる流体によって移動する空気を放出するために、ソレノイド弁22の制御下にあるベント18が設けられてもよい。ひとたび流体15が容器14内にポンプ輸送されると、弁20は閉じられ、容器14内へのさらなる流入が終了する。ポンプが代わりに、容器内への流入または容器からの流出を終了するために弁として作用してもよいことが、当業者に認識される。この開示は、パイプ12を通ってさらに流体が容器内へ流入または容器から流出するのを防止するために比較的緊密な遮断を提供する限り、使用されてよいポンプまたは弁の種類は限定されない。さらに、加圧された空気は、上記に参照されたEgglestonの特許出願に記載されているように、ポンプとして作用することができる。ひとたび容器内の流体の体積が測定されると、下記により詳細に記載されるように、流体は、同一のポンプを使用して(細線で示す)、または、別の弁30の制御下で別個のドレーン28を提供することによって、容器14からポンプ輸送されてもよい。ドレーン28のダウンストリーム(下流側)圧力のため、逆止め弁と組み合わされた圧力レギュレータ(図示せず)を使用して容器からの流れを規制することも可能である。
【0007】
圧縮空気を容器14内に提供するためのコンプレッサ32もまた示され、圧力スイッチ34と組み合わせて使用されて、ひとたび容器14に保存されるべき流体がポンプ輸送されるか、注入されるか、または何らかのやり方でその中に入れられると、容器内の流体の量を計量する。圧力スイッチ34は、好ましくは容器の頂部に配置され、これを使用して圧縮空気がコンプレッサによって容器内にポンプ輸送される時に、容器の内部が所定の圧力に到達する時を決定する。あるいは、圧力スイッチ34は、容器14へ供給するコンプレッサの送気管35に配置することができる。圧力スイッチは広く利用可能であり、比較的安価であり、数ドルしかかからないことが多い。好適な圧力で作動する圧力スイッチの一貫性は、重要である。ドリフトすると測定の精度に影響を与えるので、ドリフトしない圧力スイッチを選択するように注意しなければならない。さらに、圧縮空気保存タンクから圧縮空気を均一に導入することもまた、測定の精度を上げる。例えば、保存圧力タンクがないピストン型のコンプレッサを使用すると、容器内に気流の脈動を生じさせる可能性があり、これは、圧力スイッチを尚早に始動させる可能性がある。代替例において、圧力センサは所定の圧力に到達した時を決定するために使用され、モニタされる。
【0008】
好ましくは、すべての構成要素は、プログラミングロジックコントローラ(Programming Logic Controller)(PLC)等のコントローラ36か、または、図示のように分散型制御システム(distributive control system)(DCS)に使用されるコントローラの制御下にある。コントローラ36には、タイマー38が装備されることが好ましく、これは、容器を所定の圧力へ加圧するのに必要な時間を決定するために使用される。この時間は、下記でさらに検討されるように、容器内の流体の体積に関連する。コントローラタイマーは一般に非常に正確であり、ミリ秒で測定値をサンプリングすることができる。さもなければ、別個のタイマーが必要であり、コントローラの制御下であることが好ましい。容器を所定の圧力へ加圧するのにかかる時間は、選択された所定の圧力及び容器内で加圧される体積に依存して変動する。容器が加圧される速度は、精度の範囲に、及び温度または存在する可能性のある小さな漏れ等の変量の作用に直接影響を与える。容器を所定の圧力へ加圧するのにかかる時間及び加圧するために容器内に導入される空気の速度は短いことが好ましい。所定の圧力及び容器が空の時に容器を加圧するのに必要な加圧空気の体積を、例えば20秒未満であるように選択することが望ましい。しかし、測定が行われる状況及び環境に依存して、その時間は有意に増加する。時間を減少することは温度または漏れ等の望ましくない変量を排除するのを助けるが、タイマーの速度に依存して測定の精度の範囲も減少する可能性があることに注意すべきである。したがって、当業者は、流体を測定するこの方法を自分の用途に使用する時に、これらの変量を考慮に入れる必要があることを理解する。
【0009】
図面に戻ると、ベント18は、流体が容器内に流れ込み且つ容器から流出することを可能にする弁20及び30と同様に、ソレノイド弁22によって閉じられる。弁を閉じることによって、容器は加圧容器になることができる。当業者には明らかであるように、圧力漏れがわずかであり比較的一定であるならば、半加圧容器を使用することもできる。ひとたび閉じられると、コンプレッサが容器を所定の圧力、例えば0PSIから20PSIへ加圧する。既に述べたように、好ましくは、加圧空気の一定の流れを容器へ供給することによって、コンプレッサは均一に作動する。ほとんど全ての従来の市販のコンプレッサを、この目的のために使用することができる。一般に、いずれの圧力でも作動するが、圧力をわずかに上げると、例えば、およそ5PSIまたはそれ未満上げると(下記に明らかであるように、タイマー及び圧力スイッチの精度に依存して)、結果として、流体体積をより速く測定することになり、漏れまたは温度への結果としての影響が少ない。状況によっては、より低い圧力を使用することにより、より「リアルタイム」の測定になり、プロセスを中断することがより少なくなることもある。
【0010】
容器の形状は、異なる容量の流体を中に有する容器を加圧するのにかかる時間に影響を与えるが、各容器は、異なる容量用に予測可能な加圧特性パターンを有する。例えば、図示のように、カラム容器は、一般に容器を所定の圧力へ加圧するのにかかる時間とその中の流体のレベルとの間に線形の関係を示す。他の容器の特性は、流体が容器を満たす時に流体のレベルがどのように変わるかに依存する。例えば、図示のカラム容器が横に置かれた場合には、キャニスタの壁の湾曲のために(変化またはレベル変化の速度において)異なって満され、したがって、異なる所定の圧力時間特性を有する。ひとたび容器の圧力特性が決定されると、所定の圧力に達するのにかかる時間は、容器の容量に直接相関させることができる。ここに提供された詳細から当業者が理解するように、測定された体積の精度は、センサ、タイマー、及び、測定用にキャニスタを加圧するように選択された実際の圧力の精度に依存する。
【0011】
例として、552オンスを保持することができる図1に示されたものに類似したカラム容器を使用して、流体を保存した。様々なレベルに対し20PSIの所定の圧力へとこれを加圧する時間特性を決定するために、テストが行われた。結果によると、容器を20PSIへ加圧するのにかかった時間は、容器内の流体の量に対してほぼ線形的(直線的)であったことが示された。結果として、下記の関係が明らかになった。
Tm=(Te−Tf)/(Ve−Vf)*Vm+Te
または
Vm=[(Tm−Te)/(Tf−Te)]*V
ただし、Tmは未知の体積が所望の所定の圧力に達するのに測定された時間であり、Teは容器が空である時に測定された時間であり、Tfは容器が満杯である時に測定された時間であり、Vは容器の容量であり、Vmは測定された体積である。
【0012】
言い換えると、測定された体積は、示されたように、既知の時間及び決定された時間の比である。さらなる例として、552オンス容器を使用すると、従来の安価なポータブルコンプレッサを使用して、容器を20PSIへ加圧するのにおよそ42.75秒かかった。使用された圧力スイッチはバークスデール(Barksdale)製であり、約12ドルであった。別のテストでは、容器が満杯である時にこれを20PSIへ加圧するのにおよそ1.2秒かかった。
【0013】
上述の関係を使用して、容器内の未知の体積の流体でのテストは、容器を20PSIへ加圧するのにおよそ15.8秒かかった。容器に含まれた358.04液量オンスの体積は、下記のように得られた。
Vm=(15.8秒−42.75秒)*[(0−552オンス)/(42.75秒−1.2秒)]
同様に、キャニスタが既に加圧されている場合には、容器内の流体の体積は、高いにせよ低いにせよ異なる圧力へキャニスタを加圧するのにかかる時間を測定することによって、上述の同一の原理を使用して決定することができる。
【0014】
上記の記載から、他の変更、置換及び代替もまた、上記の開示、図面及び下記の特許請求の範囲の精神及び範囲から逸脱せずに可能であることを、当業者は認識する。例えば、逆止め弁を使用してダウンストリーム(下流側)流体が容器に流入するのを防止する場合には、差圧センサを使用して、ダウンストリームの圧力と容器内の圧力との差を測定することができる。ダウンストリーム圧力を克服する圧力に達するのにかかる測定された時間を使用して、容器内の流体の体積を測定することができる。さらに状況及び容器のサイズによっては、測定値は結果として温度によって影響されることもある。これらの状況において、温度センサ40は、これらの影響を相殺するために測定値とともに使用することができる。温度センサ40は、図1に示されるように、周囲温度を測定するためにキャニスタの外部に位置することができ、または、空気または流体の温度を測定するためにキャニスタの内部に位置することができ(破線で示す)、または両方に位置することができる。代替例において、温度補償圧力センサが入手可能であり、使用することができる。さらに、流体は非圧縮性であることを前提にした。しかし、測定が行われる時に、流体の圧縮特性が考慮に入れられる場合には、この方法を使用してある種の流体の体積を決定することができる。さらに、本開示は容器を加圧するシステムを記載するが、負圧を導入することが可能であり、且つ、所定の負圧に達するのにかかる時間を使用して体積を測定することができることが、当業者に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】容器内の流体を測定するために使用することができる下記の詳細な記載の教示にしたがった1つの可能な流体計量器システムを例示する概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加圧されることが可能な容器と、
前記容器内の圧力を所定の圧力にするための手段と、
前記容器内の圧力を測定して、前記所定の圧力に達した時を示すためのセンサと、
前記容器が前記所定の圧力に達するのにかかる時間を測定するためのタイマーと、
前記容器内の圧力を前記所定の圧力にするのにかかった時間に基づいて、前記容器内の流体の体積を決定するための手段と、
を具備する流体計量器。
【請求項2】
前記容器内の前記圧力を前記所定の圧力にするための前記手段は、保存空気タンクを備えたコンプレッサである請求項1記載の流体計量器。
【請求項3】
前記センサは、前記所定の圧力用に設定された圧力スイッチである請求項1記載の流体計量器。
【請求項4】
前記圧力にするための前記手段、前記センサ及び前記タイマーは、コントローラの制御下にある請求項1記載の流体計量器。
【請求項5】
キャニスタの外部、前記キャニスタの内部、または、両方の周囲温度を測定するための温度センサをさらに具備する請求項1記載の流体計量器。
【請求項6】
前記キャニスタ内の流体の体積を決定するための手段は、前記測定された体積を決定する時に温度の影響を補正するために前記温度センサによって検出された前記測定された温度を使用する請求項5記載の流体計量器。
【請求項7】
キャニスタ内の流体の体積を決定する方法であって、
容器を所定の圧力へ加圧し、
前記容器を前記所定の圧力へ加圧するのにかかる時間を測定し、
前記容器を前記所定の圧力へ加圧するのにかかる時間に基づいて、前記容器内の体積を決定すること、
を含む方法。


【図1】
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【公表番号】特表2007−525638(P2007−525638A)
【公表日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−503003(P2006−503003)
【出願日】平成16年1月26日(2004.1.26)
【国際出願番号】PCT/US2004/002045
【国際公開番号】WO2004/072586
【国際公開日】平成16年8月26日(2004.8.26)
【出願人】(506266023)フィッシャー−ローズマウント・システムズ・インコーポレーテッド (37)
【氏名又は名称原語表記】Fisher−Rosemount Systems, Inc.