説明

圧力スイッチ

【課題】ポンプの吐出側流路の開閉を圧力変化により検知してモータ等の原動機を制御し、かつ、簡単な構成でハンチングを防止できる圧力スイッチを提供する。
【解決手段】ポンプのモータをオン・オフするマイクロスイッチ17を備える。ポンプの吐出側の流路に配置されてマイクロスイッチ17をオンとする第1の位置と、マイクロスイッチ17をオフとする第2の位置との間を移動するピストン16を備える。ピストン16を第1の位置側に付勢する圧縮コイルバネ36を備える。ピストン16を軸方向に移動自在に収納するケーシング13とマニホールド14とに挟まれて、これらの内部空間をA室29とB室30に分離するダイヤフラム15を有する。ダイヤフラム15にピストン16が連結されている。ピストン16内の液体の通路となるピストン第1通路24に設けられ、圧力損失によりA室29とB室30との間に圧力差を生じる弁30を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポンプから吐出される液体の流路を開閉した際の圧力変化に基いてポンプの原動機を制御する圧力スイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば、農薬等を噴霧するための農業用ポンプでは、農業用ポンプの吐出口に噴霧用ホースが接続される。この噴霧用ホースの先端部には液体を噴霧するためのノズルが取り付けられ、そのノズルの基端部側には、ノズルへの液体の流出を止めることができるバルブが設けられており、作業者は噴霧時にバルブを開とし、噴霧停止時にバルブを閉とする。
この場合に、バルブの操作と、原動機のオン・オフ等の制御は直接関係しておらず、そのままでは、バルブを閉にして液体の噴霧を停止しているのにもかかわらず原動機が噴霧時と動揺に回転していることになる。また、噴霧停止時にポンプの負荷を低減するアンロード弁を設けたような場合には、バブルを閉じた際に、ポンプの負荷が低下し、原動機の回転数が上がってしまう場合もある。
そこで、アンロード弁を備えるポンプにおいて、前記バブルを閉としてアンロード弁がアンロード位置となった際のアンロード弁入口側の圧力変化に応じて原動機としてのエンジンの回転数を制御することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この場合に、ポンプから吐出される液体の通路の基端部、すなわちポンプの近傍側にアンロード弁が設けられ、その入口側すなわち、ポンプの吐出口とアンロード弁との間にアンロード弁入口側の圧力変化により動作するピストンを備えたピストン型液圧検出手段と、エンジンの出力を機械的に制御する制御手段と、当該制御手段にピストンの動作を伝達する伝達手段とを備えている。
そして、前記バブルを閉とすることでアンロード弁がロード位置からアンロード位置に変化して、前記バブルが開の状態の液圧よりもアンロード弁の入口側の液圧が下がった場合に、前記液圧に基いてピストンが液圧が高い位置から液圧が低い位置に移動する。このピストンの移動が前記制御手段に伝達され、エンジンの出力が低下させられる。
【0004】
また、バブルを再び開とすると、アンロード弁がアンロード位置からロード位置に移動し、前記液圧が上昇し、ピストンが液圧が低い際の位置から液圧が高い際の位置に移動する。これが伝達手段によりエンジンの制御手段に伝達され、エンジンの出力が通常のポンプの動作時の状態まで上がられ、液体の噴霧が可能となる。
また、上記構成において、圧力変化により動作するピストンを圧力センサに変更してもよい、この場合に、圧力センサからの電気信号に基づいてエンジンやモータ等の原動機の動作を制御する電気的制御手段を設けることになる。
【0005】
【特許文献1】特開昭63−19046号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述のバルブの開閉に対応する圧力変化によりポンプの原動機を制御する方法においては、アンロード弁にシールとの間で摺動するピストン(摺動部材)があり、ピストン型液圧検出手段にもシールに対して摺動するピストンがある。
ここで、農業用ポンプでは、農薬として水和剤を使用することがある。この水和剤は、例えば、細かい粉末を含み、水に分散された状態となっている。この細かい粉末が前記ピストンとシールとの間に噛み込み、これらシールとピストンを有するアンロード弁やピストン型液圧検出手段で動作不良を起こす虞がある。また、未使用時に水和剤により前記シールと摺動部材が固着し、起動時に動作不良を起こす虞がある。
【0007】
したがって、使用可能な液体が制限されてしまうか、頻繁なメンテナンスを必要とする状態となってしまう。
また、アンロード弁を用いた場合の噴霧側、すなわち、アンロード弁の出口側の液圧の変化は、図14のグラフに示すようなものとなり、バルブを開とした場合の噴霧圧(アンロード弁がロード位置の場合の噴霧側の液圧)と、閉とした場合の封入圧(アンロード弁がアンロード位置の液圧)との圧力変化における圧力差があまり大きくなく、封入圧が漏れるような場合に液圧が噴霧圧程度となってアンロード弁がロード位置となる虞があり、ハンチングを起こす虞がある。
【0008】
また、図14のグラフに示すように弁を閉じた際に高い液圧のピークが生じ、これによりアンロード弁の動作部材が高速で動作して、衝撃と高い金属音が発生する虞があり、消音対策を図る必要がある。
また、ピストン型液圧検出手段に代えて、圧力センサを用いるものとした場合に、圧力センサは必ずしもメンテナンスが容易でなく、また、ピストンのように機械的に動作するわけではないので、エンジンやモータを圧力センサからの電気信号に基づいて制御する上述の電気的制御手段を必要とすることになり、複雑な構成となるとともにコストが高くなる。
【0009】
本発明は、前記事情に鑑みて為されたもので、ポンプの吐出側流路の開閉を圧力変化により検知してモータ等の原動機を制御し、かつ、簡単な構成でハンチングを防止できる圧力スイッチを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するために、請求項1に記載の圧力スイッチは、ポンプから吐出される液体の流路の開閉に応じて生じる前記流路内の圧力変化を用いてポンプの原動機を制御する圧力スイッチであって、
前記原動機を通常の作動状態である第1の制御状態と、通常より低速な作動状態もしくは停止状態である第2の制御状態とに切り換えるスイッチと、
前記流路の所定空間内に一部が配置され、第1の位置と、第2の位置との間で移動自在で、前記所定空間内が前記圧力変化により相対的に高圧となった際に、第1の位置から第2の位置に移動し、かつ、前記スイッチを第1の位置となった際に第1の制御状態に切り換えて保持し、第2の位置となった際に第2の制御状態に切り換えて保持するスイッチ操作部材と、
前記スイッチ操作部材を第2の位置から第1の位置に向かうように付勢することにより、前記所定空間内が前記高圧より相対的に低圧となった際に、第2の位置にあるスイッチ操作部材を第1の位置に戻すように移動させる付勢手段と、
ポンプによる液体吐出時に、圧力損失を発生させることにより前記所定空間内に位置的圧力差を生じさせる圧力損失手段と、
前記所定空間内の位置的圧力差を受けて前記スイッチ操作部材を第2の位置側から第1の位置側に向かって押圧する受圧部材とを備えることを特徴とする。
【0011】
請求項1に記載の発明においては、アンロード弁は用いないので、例えば、ポンプの吐出口部分に本発明の圧力スイッチを設け、そこの先端にバルブとノズルを有する噴霧ホースを接続したような場合に、ポンプが作動し、前記バルブを開放した状態では、前記スイッチ操作部材が付勢手段により第1の位置側に付勢することになる。
また、ポンプが作動し、バルブが開状態だと、ポンプの突出側の流路にポンプから吐出される液体が流れることになり、圧力損失手段により所定空間内で圧力損失に基く圧力差が生じ、この圧力差により受圧部材がスイッチ操作部材を第1の位置側に押すことになる。
すなわち、例えば、ノズル近傍のバブルを開として液体を噴霧や吐出している状態では、付勢手段の付勢力と、圧力損失手段により生じた圧力損失に基く圧力差によりスイッチ操作部材を押す受圧部材の押圧力とにより、スイッチ操作部材が第1の位置側に押されて保持された状態となる。
【0012】
また、バルブを閉とすると、ポンプが作動したまま液体のノズルからの吐出が止められることにより、ポンプの吐出側の所定空間を含む流路内の圧力が上昇することになる。この場合に所定空間の内圧の上昇に基いてスイッチ操作部材が作動し、第1の位置から第2の位置に移動することになるが、この際には、付勢手段の付勢力より大きな力でスイッチ操作部材を第1の位置から第2の位置に押圧した状態となる必要がある。
また、この場合には、バルブを閉めることにより、ポンプが作動していても、液体が吐出しておらず、圧力損失手段による圧力損失が発生せず、受圧部材によりスイッチ操作部材を第1の位置側に押す力が存在しない状態となる。
【0013】
すなわち、バルブを開放して液体を吐出した状態では、スイッチ操作部材への第2の位置から第1の位置に向かう力は、付勢手段によるものと、受圧部材とによるものを合わせたものとなるが、バルブを閉塞した状態では、スイッチ操作部材の第2の位置から第1の位置に向かう力は付勢手段によるものとなる。
したがって、バルブ閉となって所定空間内のスイッチ操作部材を第1の位置から第2の位置に押す力は、付勢手段の付勢力より大きくなっていればよく、付勢力と受圧部材による力とを合わせた力となる必要がない。そして、スイッチ操作部材が第1の位置から第2の位置に至ることにより、スイッチが第1の制御状態から第2の制御状態としてのたとえば停止状態に切り替わり、原動機が第1の制御状態である通常の作動状態から第2の制御状態として例えば停止状態となる。
【0014】
そして、再びバルブを開状態とすると、バルブを開放したことにより、ポンプの吐出側でバルブを閉塞したことにより封入されていた圧力が抜け、所定空間内の圧力が低下することになる。この際に、所定空間内の圧力が高いことに基いてスイッチ操作部材を押していた力も圧力の低下に基いて低下することになり、この力が上述の付勢手段の付勢力以下となるとスイッチ操作部材が付勢手段の付勢力により第1の位置に移動し、スイッチを第1の制御状態として、原動機を通常の作動状態とする。これによりポンプが作動して、所定空間内をポンプから吐出した液体が流れることになる。
【0015】
これにより、所定空間内の圧力が上昇するが、この際に上述の圧力損失による圧力差を受圧部材が受けて、付勢手段の付勢力に受圧部材による力が加わり、所定空間内の圧力が上昇してもスイッチ操作部材は第1の位置に保持され、原動機は通常の作動状態に維持される。
以上のことから、圧力損失による圧力差を生じ、この圧力差により受圧部材でスイッチ操作部材を第1の位置側に押すことで、付勢手段の付勢力を小さなものとすることができる。
【0016】
これにより、バルブを閉じた際に、所定空間内の封入圧が抜けて下がるようなことがあっても、所定空間内の圧力に基いてスイッチ操作部材を第2の位置側に押す力が、上述のように小さくされた付勢手段の付勢力よりさらに小さくならないと、スイッチ操作部材が付勢手段の付勢力により第1の位置に移動しないので、封入圧が僅かに抜けた程度では、再びスイッチが第1の制御状態となることがなくハンチングを発生する虞がない。
したがって、ハンチングを防止することができる。なお、この際には、上述のように所定空間内における液体の流れがないので、圧力損失による圧力差で受圧部材にスイッチ操作部材を第1の位置側に押す力が発生することなく、スイッチ操作部材を第1の位置側に押す力は付勢手段の付勢力となる。
【0017】
請求項2に記載の圧力スイッチは、請求項1に記載の発明において、
前記受圧部材は、前記所定空間を2つの空間に区切り、
前記圧力損失手段は、区切られた2つの前記空間に渡ってポンプから吐出される液体を流動可能とするとともに、作動するポンプから吐出されて2つの前記空間のうちの一方の空間から他方の空間に流れる液体により圧力損失を発生させて、2つの前記空間同士の間に圧力差を発生させることを特徴とする。
【0018】
請求項2に記載の発明においては、受圧部材が所定空間内を2つに区切り、この2つの空間に渡ってポンプから吐出されて流れる液体により、圧力損失が生じ、2つの空間に圧力差が生じることになる。そして、この圧力差により2つの空間を区切る受圧部材に力が作用し、スイッチ操作部材を第1の位置側に押すことになる。
【0019】
請求項3に記載の圧力スイッチは、請求項2に記載の発明において、
前記受圧部材を前記スイッチ操作部材に接続されるとともに、前記所定空間を二つに区切るダイヤフラムとしたことを特徴とする。
【0020】
請求項3に記載の発明においては、ダイヤフラムにより仕切られた空間間で圧力損失手段により液体を流すことにより圧力損失を生じ、ダイヤフラムで仕切られた2つの空間の間に圧力損失を生じ、ダイヤフラムに接続されたスイッチ操作部材を第1の位置側に押すことが可能となる。すなわち、ダイヤフラムが圧力差により弾性変形してスイッチ操作部材を押すことになる。
【0021】
ここで、スイッチ操作部材がダイヤフラムの弾性変形に伴なって移動することになる。したがって、2つの空間を区切るのに、スイッチ操作部材とその周囲を囲む部材間にシールを設けてシールにスイッチ操作部材を摺動させる必要はなく、ダイヤフラムが止水した状態に2つの空間を区切ることになる。したがって、シールとスイッチ操作部材が摺動する構造がなく、水和剤によりシールとスイッチ操作部材との摺動部分で動作不良が生じることがない。すなわち、水和剤を使用可能とすることができるとともに、水和剤を使用するものとしても動作不良がなく、メンテナンスが煩雑になるのを防止することができる。
【0022】
請求項4に記載の圧力スイッチは、請求項2に記載の発明において、内部空間が前記所定空間となる筒状部材を備え、
前記受圧部材を前記スイッチ操作部材として機能するとともに、前記所定空間となる前記筒状部材の内部空間を当該筒状部材の軸方向に沿って並んだ状態となる2つの空間に区切るとともに当該筒状部材内を当該筒状部材の軸方向に沿って前記第1の位置と前記第2の位置との間で移動自在なピストンとしたことを特徴とする。
【0023】
請求項4に記載の発明においては、ピストンが筒状部材内部の所定空間を2つの空間に区切り、これら区切られた空間における圧力差でピストンが移動し、かつ、ピストンがスイッチ操作部材として、第1の位置と第2の位置との間を移動することになる。
受圧部材としての構造をより強固なものとすることができ、耐圧性を向上することができる。
【0024】
請求項5に記載の圧力スイッチは、請求項2から請求項4のいずれか1項に記載の発明において、
前記圧力損失手段は、前記受圧部材に区切られた2つの前記空間に渡ってポンプから吐出される液体を流動可能とする流路と、当該流路に設けられた弁座と、前記流路の前記ポンプから吐出される液体の弁座より下流側に配置される弁体と、当該弁体を前記弁座に向けて付勢する弁体付勢手段とを備え、
前記弁座には、当該弁座に前記弁体が当接しても前記流路に液体を流動可能とする溝が形成されていることを特徴とする。
【0025】
請求項5に記載の発明においては、ポンプから吐出された液体が前記弁座と弁体とからなる弁の部分を通過する際に、液体が弁体付勢手段に付勢する弁体を押して弁座から離すように押すことで、圧力損失が生じ弁体よりポンプ側の圧力に対して、弁体より吐出側(例えば、ホース側)の圧力が低くなる。これにより、受圧部材に押圧力を付与することができる。なお、弁座に溝があることにより、弁体と弁座が当接して弁が閉じた状態でも液体が流れることが可能となるとともに、上述のノズル側のバルブを閉として液体の流れが止まるような際に圧力を逃がすことも可能となり、バルブを閉とした場合のポンプ側の圧力を弁のノズル・ホース側に逃がし、弁の両側で同じ液圧とすることが可能となる。
【0026】
また、弁における圧力損失に基く圧力差により受圧部材が動作(変位)した後に、圧力差がなくなると元に戻ることになるが、この際に弁が閉じた状態で受圧部材の動作に基く液体の移動を前記弁座の溝で行うことが可能となる。この際に、液体が狭い溝を通らなければならないので、受圧部材の急激な動作を防止することができ、この受圧部材の動作に基くスイッチ操作部材の急激な動作を防止することができる。これにより、衝撃音の発生を防止できる。
また、弁座面に溝があることで、弁座に弁体が当接した場合に、異物が詰まりにくい構造とすることができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明の圧力スイッチよれば、極めて簡単な構成で、ポンプの吐出側の液体の吐出をバルブ等で開閉した場合に、当該開閉に応じて、ポンプの原動機のオン・オフもしくは出力の増減等を制御することが可能となり、かつ、この際のハンチングを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、図面を参照しながら、本発明の第1の実施の形態について説明する。図1は第1の実施形態に係る圧力スイッチを備えた噴霧装置の概略構成を示す図、図2は前記往復ポンプ装置に前記圧力スイッチを取り付けた斜視図、図3はこの実施形態の圧力スイッチの断面図、図4は圧力装置が取付けられるポンプとしての往復ポンプ装置の斜視図、図5は往復ポンプ装置の側面図、図6は往復ポンプ装置のピストンロッドの軸方向に沿った断面図、図7は図5のX−X矢視断面図、図8は往復ポンプ装置のピストンロッドに直交する方向に沿った断面図、図9および図10は往復ポンプ装置のクランクケースの斜視図、図12は圧力スイッチ内のB室の圧力変化を示すグラフである。
【0029】
この例の圧力スイッチ10は、例えば、図1に示す農業用の液体噴霧装置に取付け可能なものであり、モータ(原動機)90で駆動される往復ポンプ装置(ポンプ)41に取り付けられるものである。
そして、往復ポンプ装置41は、後述の吐出口73を有するコネクタ72に圧力スイッチ10が取り付けられている。そして、圧力スイッチ10のポンプ取付管11がコネクタ72に接続されている。
【0030】
また、圧力スイッチ10のホース接続管12に噴霧ホース1の基端部が取り付けられている。そして、噴霧ホース1の先端部には、ノズル装置2が取り付けられている。ノズル装置2には、ノズル装置2を手で操作する際に掴むためのノズルグリップ3と、当該ノズルグリップ3から先側に延出するノズルパイプ4と、ノズルグリップ3とノズルパイプ4の間に設けられてノズルグリップ3とノズルパイプ4とを接続するとともに、ノズルパイプ4の先端部に設けられるノズル5における噴霧と噴霧停止とを切り換えるためのバルブ6と、吐出される液体を噴霧する前記ノズル5とを備える。
【0031】
そして、バルブ6は、噴霧ホース1を開放状態と閉塞状態に切り換えるものであり、モータ90を起動して往復ポンプ装置41が作動している状態で、バルブ6を開とすると、往復ポンプ装置41から吐出される液体が噴霧ホース1を通ってノズル5に達して、液体が噴霧される。そして、バルブ6を閉とすると噴霧ホース1の先端側で液体の流路が閉じられ噴霧が停止する。
そして、この例の圧力スイッチ10は、モータ90の電源に直列に接続されており、モータ90のオン・オフ、すなわち、起動と停止とを制御するようになっている。
【0032】
そして、圧力スイッチ10では、モータ90が作動している状態で、バルブ6を閉じることで、往復ポンプ装置41の圧力スイッチ10内部の液圧が上昇し、噴霧時の噴霧圧より相対的に高い封入圧となる。
そして、圧力スイッチ10が作動してモータ90がオフ(停止)とされる。この際に往復ポンプ装置41においては、後述の吸入弁81、調圧弁70、吐出弁61,61等が閉となることで、往復ポンプ装置41(吐出口73)からバルブ6においては密閉状態となり、相対的に高い封入圧が維持されることになる。
【0033】
また、この状態でバルブ6を開状態とすると、開放状態となるノズル5側から液圧が抜けて、圧力スイッチ10内部の液圧が低圧となり、前記相対的に高い封入圧から所定の相対的に低い低圧となった際に、圧力スイッチ10が作動して往復ポンプ装置41のモータ90を起動させる。
これにより、往復ポンプ装置41の吐出側が噴霧圧となり、ノズル5から液体が噴霧される状態となる。
【0034】
このように作用する圧力スイッチ10は、図2に示すように、その本体部が概略筒状で内部空間を有するケーシング13と、当該ケーシング13に接続されるとともに概略筒状で内部空間を有するマニホールド14を備える。また、ケーシング13には、上述のポンプ取付管11が取り付けられ、マニホールド14には、上述のホース接続管12が取り付けられている。
また、図3に示すようにケーシング13の内部空間と、マニホールド14の内部空間とが、ケーシング13とマニホールド14とを接続した状態で一体の空間(所定空間)となり、当該空間内にピストン(スイッチ操作部材)16が配置されている。また、ケーシング13とマニホールド14との接合部には、ドーナッツ状の薄板であるダイヤフラム(受圧部材)15がその外周部を挟まれた状態に配置されている。また、ケーシング13のマニホールド14が取り付けられる後端側の端部の反対側の先端部にマイクロスイッチ(スイッチ)17が配置されている。
【0035】
ケーシング13は、その本体内部に前記ピストン16のが配置される内部空間を有する概略筒状に形成されている。そして、前記筒状の本体部における内部空間に直交するように上部側に前記ポンプ取付管11が固定される取付筒部18が形成されている。そして、取付筒部18においては、その内部にねじが切られてねじ孔とされている。
一方、ポンプ取付管11は、円筒状に形成されるとともに軸方向の中央部にスパナで回転可能とする六角上のフランジ11aが形成されている。
【0036】
そして、ポンプ取付管11のフランジ11aより下側の外周面は、雄ねじとなっている。また、フランジ11aより上の部分は、同様に雄ねじとなっており、往復ポンプ装置41の円筒状のコネクタ72にねじ込まれて往復ポンプ装置41に取り付け可能となっている。
このようなポンプ取付管11のフランジ11aより下の雄ねじ部分が取付筒部18にねじ込まれてポンプ取付管11が前記取付筒部18に締結された状態となる。また、前記取付筒部18の内部空間と概略筒状のケーシング13の内部空間は、互いに連通した状態となっている。なお、ケーシング13の本体側の内部空間が水平方向に延在して配置され、前記取付筒部18の内部空間が垂直方向に延在して配置され、これら互いに連通する内部空間が逆T字状とされている。
【0037】
また、ケーシング13の本体側の内部空間は、マニホールド14が取り付けられる後端側に円形に開放している。また、ケーシング13の本体側の内部空間は、マイクロスイッチ17が取り付けられる先端部側にも開口しているがその開口が後端側の開口より小さな径の円形の開口部23となっている。
また、ケーシング13の小さな円形の開口部23の先側には、マイクロスイッチ17を保持するマイクロスイッチ保持部19が設けられている。また、マイクロスイッチ保持部19は、上下の板体でマイクロスイッチ17を挟むように保持している。また、マイクロスイッチ17は、押下されるとオンとなって、押下が解除されるとばね等の付勢手段によりスイッチが戻る押しボタン17aを備えた押しボタン式スイッチとなっている。そして、後述のように前進したピストン16のピストンピン20により押しボタン17aが押されてモータ90をオンとし、ピストン16が後退して押しボタン17aから離れるとモータ90をオフとするようになっている。
【0038】
このケーシング13の本体部の内部空間には、概略円筒状のケーシング13の軸方向に軸方向を合わせたピストン16が配置されている。ピストン16は、円筒状の本体部21と、その先側に形成された円筒状のピストン先端部22と、円筒状のピストン先端部22内に挿入されて固定された状態のピストンピン20と、本体部21の後端側で本体部21より拡径された拡径部25とを備える。そして、ピストン先端部22から本体部21を介して拡径部25に至る部分に軸方向に沿った貫通孔(円筒の内部空間)が形成されている。
【0039】
この貫通孔のうちピストン先端部22の部分は、前記ピストンピン20が挿入されることにより閉塞した状態とされるが、本体部21から拡径部25の後端に開口する貫通孔は、往復ポンプ装置41から吐出される液体が流れるピストン第1通路24となっている。また、本体部21においては、ピストン16の軸方向に沿った貫通孔に直交する貫通孔としてのピストン第2通路26が設けられ、当該ピストン第2通路26は、ピストン第1通路24と直交した状態で連通している。
【0040】
ここで往復ポンプ装置41の吐出口73から吐出される液体がポンプ取付管11内を通ってケーシング13内に流入し、当該ポンプ取付管11が取り付けられた取付筒部18を通って、当該取付筒部18に連通する筒状の本体部21の内部空間に流入する。そして、本体部21内に流入した液体は、ピストン16を上下に貫通するピストン第2通路26からピストン16内に流入し、ピストン第2通路26からピストン第1通路24を経てピストン16の後端から流出するようになっている。
【0041】
また、ピストン16の本体部21より後の拡径部25は、ケーシング13より後のマニホールド14内に収容される状態となっている。
また、拡径部25は、ケーシング13とマニホールド14の接合部で外周部全体を挟まれて固定されたダイヤフラムよりマニホールド14側に配置されている。また、ピストン16の本体部21の外周面にはねじが切られて雄ねじとなっている。この雄ねじに止めナット28が螺合しており、拡径部25と止めナット28との間に、中央部に穴があいてピストン16が貫通した状態のダイヤフラム15の内周部が挟まれた状態とされ、この止めナット28により、ピストン16がダイヤフラム15に固定された状態となっている。
【0042】
すなわち、ダイヤフラム15の円環状の外周部が筒状のマニホールド14と同じ筒状のケーシング13とにより挟まれた状態でこれら互いに接合されるマニホールド14およびケーシング13に接合され、ダイヤフラム15の円環状の内周部が拡径部25と止めナット28により締結された状態に接合されている。
したがって、ケーシング13とマニホールド14とで連通する内部空間は、ピストン16の外周側でダイヤフラム15によりケーシング13の内部空間であるA室(一方の空間)29と、マニホールド14側の内部空間であるB室(他方の空間)30との2つの空間に区切られた状態となっている。
【0043】
このA室29とB室30とはダイヤフラム15により区切られるが、A室29からB室30にかけて延在するピストン16の上述のピストン第2通路26と、ピストン第1通路24とを通って、A室29とB室30との間を往復ポンプ装置41から吐出する液体が流動可能となっている。
【0044】
また、ダイヤフラム15は、区切ったA室と、B室の圧力差により外周部に対して中央部がA室側に撓んだり、B室側に撓んだりすることが可能であり、これによりピストン16を軸方向に沿って前進および後退させることが可能となる。また、ダイヤフラム15ではなくピストン16に後述の圧縮コイルバネ(付勢手段)36や圧力スイッチ10全体の液圧の上昇などにより力が係った場合には、ダイヤフラム15がピストン16を軸方向に沿って移動自在に支持した状態となっており、ピストン16が軸方向に沿って移動可能となっている。
なお、ダイヤフラムは、たとえば、合成樹脂(ゴムを含むもしくは金属等の薄板(膜)で、上述のように外周部に対して内周部が前後に移動可能に撓むようになっている。
【0045】
ピストン16の拡径部25の後端面には、上述のピストン第1通路24の開口が形成されるとともに、この開口部が圧力損失手段としての弁39(圧力損失手段)の弁座39aとなっており、開口の周囲が凹面上とされている。また、弁座39aに対向して弁体39bが配置されている。弁体39bは、ピストン16の拡径部25の後端面より後に配置され、弁座39aに接離自在となっている。また、弁体39bの後には、圧力損失手段用の圧縮コイルバネ(弁体付勢手段)39cが後述のようにホース接続管12に支持された状態で配置されており、弁体39bは、付勢手段としての圧縮コイルバネ39cにより弁座39aに付勢されている。
【0046】
また、弁座39aの弁体39bと当接する弁座面は、ピストン第1通路24の開口を中心とする円形状の凹面となっているが、当該弁座面に前記円の半径方向に沿った溝39dが形成されている。すなわち、弁座39aに弁体39bが当接した状態で、弁体39bに閉塞された状態のピストン第1通路24とマニホールド14の内部空間としてのB室30とを連通するように弁座39aに溝39dが形成されており、弁座39aに弁体39bが当接しても、弁39において完全に液体の流れを止めることができず、流速は制限されるが、弁39の前後で液体が流れることが可能となり、これにより、弁39が閉となった状態で、A室29とB室30とで液圧の差が発生した場合に、この液圧の差が直ぐに減衰して0に収束する。
【0047】
そして、ケーシング13のA室29では、そのマニホールド14側となる部分が最も径が大きく、ピストン16の後端部の拡径部25と略同径とされる止めナット28の外径より僅かに大きな径とされている。そして、A室29の後端部より前の中央部は、前記止めナット28の外径より内径が小さいものとなっている。このA室29の後端部と中央部の境目の段差により、止めナット28の先側への移動が規制されるようになっており、止めナット28が締結されたピストン16の先側の移動範囲がこの境目までとなる。そして、この位置がピストン61の上死点となり、これが後述の第1の位置に対して第2の位置となる。
【0048】
そして、A室29の中央部にピストン16の本体部21のピストン第2通路26から先側のピストン先端部22が配置され、さらにピストン先端部22からピストンピン20が延出した状態となっており、ピストンピン20の先端は、前述のケーシング13の先端の小径の開口部23から僅かに突出した状態となっている。なお、図3においては、ピストン16は、最も後側(第1の位置)に後退した状態となっている。
【0049】
そして、A室29の先側には、A室より僅かに小径とされたシール収納部31が設けられ、当該シール収納部31にシール27が固定された状態に配置されている。シール27は、シール収納部31の内壁に外周面を当接した状態とされているとともに、中央部にピストンピン20を貫通させる孔が形成され、当該孔の部分でシール27の内周側がピストンピン20の外周に当接して止水した状態となっている。そして、シール27の内周の部材にピストンピン20が摺動するようになっている。
【0050】
そして、ケーシング13のシール収納部31の先にシール収納部31より小径の潤滑油室32が設けられている。この潤滑油室32には、ケーシング13の外周面の上側に開口する注入口33が連通しており、潤滑油室32に潤滑油を供給可能となっている。
この潤滑油室32内の潤滑油によりシール27とピストンピン20との摺動の際の摺動抵抗を低減するようになっている。
そして、この注入口33の先に前述の小径の開口部23が形成され、この開口部23は、潤滑油室32より小径となっている。そして、この開口部23に上述のようにピストンピン20の先端部が貫通した状態となっている。
【0051】
また、上述のA室29とそれより小径のシール収納部31との境界となる段差部分のA室側には、円環状の座金35が配置され、当該座金35をピストンピン20が貫通した状態となっている。
また、止めナット28と座金35との間には、圧縮コイルバネ36が配置されている。圧縮コイルバネ36は、止めナット28を介してピストン16をB室30側、すなわち、ピストンピン20をマイクロスイッチ17の押しボタン17aから離す側に付勢している。すなわち、ピストン16を第2の位置から第1の位置に後退するように付勢している。
【0052】
筒状のマニホールド14の内部空間は、ケーシング13が接続される先端側と、ホース接続管12が接続される後端側とのそれぞれに開口している。そして、マニホールド14の先端側の開口の径は、ケーシング13の後端側の開口の径とほぼ等しくされている。
そして、マニホールド14とケーシング13との接続部分は、それぞれ概略正方形状とされ、その四隅部分のそれぞれにおいてビスでマニホールド14とケーシング13とが締結されている。
【0053】
そして、マニホールド14の内部空間であるB室30は、マニホールド14の先端側のピストン収納部37と、ホース接続管12を取付けるための取付筒部38とが軸方向に連通したものとなっている。
そして、ピストン収納部37は、ピストン16の後端部の拡径部25の外径より僅かに広い内径を有するものとなっている。
また、取付筒部38は、ピストン収納部37よりも内径が狭く、ピストン収納部37の内周面と取付筒部38の内周面との境界部分に段差が形成されている。そして、この段差面に拡径部25の後端面の外周部が当接することで、ピストン16が後退した際に移動範囲が規制されるようになっている。このピストン16が後退した位置が下死点で、この下死点が第1の位置となる。
【0054】
また、取付筒部38の内周面にはねじが切られて、ねじ孔となっており、このねじ孔にホース接続管12が螺合して締結されるようになっている。また、ホース接続管12は、筒状に形成されるとともにその中央部に六角形状のフランジ12aが形成されている。そして、ホース接続管12のフランジ12aより下側の外周面にねじが切られ、雄ねじとされ、前記取付筒部38に螺合されて締結されるようになっている。
【0055】
また、ホース接続管12の取付筒部38に挿入される部分の内部は、その基端部側にその先側より径が大くされ、この径の大きな部分に前記圧力損失手段としての弁39の弁体39bが配置されるようになっている。また、基端部の内径より小径とされた基端部に隣接する内部空間と、基端部の内部空間と境界面には段差が形成され、この段差に弁体39bの後端面の外周部が当接可能となっており、弁体39bの移動範囲が弁座39aとこの段差とにより規制されるようになっている。
【0056】
また、ホース接続管12の基端部の内部に弁体39bが配置される部分の直ぐ先側には、内部空間から外周面側の外部に連通する複数の開口部12bが形成されており、ホース接続管12の基端部側の開口のほとんどを弁体39bに塞がれた状態でも、十分な流量を確保できるようになっている。また、ホース接続管12の基端部の外周にはねじが切られておらず、この部分に前記開口部12bが設けられている。そして、このホース接続管12の基端部外径より取付筒部38の内径の方が大きくなっており、ホース接続管12の外周面と取付筒部38の内周面との間に間隔があいており、これによっても十分に液体を流動可能となっている。
また、ホース接続管12の前記開口部12bの先側にも径が小さくなることによる段差があり、この段差と前記弁体39bとの間に上述の圧縮コイルバネ39cが配置されている。
【0057】
次に、このような圧力スイッチ10が取り付けられる往復ポンプ装置41の構成を説明する。図4および図5に示すように、同軸上にそれそれ反対方向を向いた2つの往復ポンプ42,42を備えたものとなっている。
そして、往復ポンプ装置41は、その駆動源がモータ90となっており、この例においてモータ90は、その外形が概略円筒状となっているとともに、モータ軸91に沿う方向が長手方向となっている。また、モータ軸91が突出する側の端面に概略正方形状のフランジ部92が設けられている。
【0058】
また、往復ポンプ装置41は、クランクケース43と、クランクケース43の左右端部にそれぞれ取り付けられるマニホールド44,45とを備える。
前記クランクケース43は、その下端部に外形が概略正方形の板状とされ、かつ、内部に円形の開口を有するフランジ部46を備える。当該フランジ部46は、モータ90のモータ軸91が設けられる先端側に形成されたモータ90のフランジ部92と略同形状となっており、このモータ90のフランジ部92に重ねられるように配置されて、ビスにより締結され、これによりモータ90と往復ポンプ装置41のクランクケース43とが接合される。
【0059】
クランクケース43のフランジ部46の上側にフランジ部46の開口に連通する内部空間を有する円筒部47が一体に取り付けられている。円筒部47は、クランクケース43に取り付けられたモータ90のモータ軸91と同軸上に配置されるようになっており、その内部の空間48にモータ軸91と、当該モータ軸91に取り付けられる偏芯カム51の取付筒部52が中央部に収納された状態となる。
【0060】
クランクケース43の円筒部47の上側には、前記偏芯カム51の後述の取付筒部52を回転自在に支持するベアリング49が固定される円板状の空間を有するベアリング支持部50が形成されている。
そして、当該ベアリング支持部50の上側に偏芯カム51のカム部53と、1対のピストンロッド54,54に対応して形成された連結部55とがベアリング56を介して連結される空間57をクランクケース43に形成する筒部58が形成されている。なお、筒部58の軸方向はモータ軸91方向と一致している。
【0061】
クランクケース43の筒部58の左右には、それぞれ往復ポンプ42,42のシリンダ59,59が挿入されるシリンダ用円筒部60,60が前記筒部58に基端部を連通させた状態で形成されている。なお、クランクケース43において、シリンダ用円筒部60,60の互いに反対に外側を向く先端部は、クランクケース43において開放した状態となっており、マニホールド44,45により後述の合流吐出通路63に連通した状態で閉塞される。
【0062】
クランクケース43には、左右の往復ポンプ42,42から液体を吐出するための左右の吐出弁61,61が備えられるとともに、これら吐出弁61,61から吐出される液体を、後述の最終吐出通路62に導く合流吐出通路63が設けられている。
この合流吐出通路63は、前記1対のシリンダ用円筒部60,60およびピストンロッド54,54と平行に直線上に設けられるとともに、モータ軸91方向に互いに重なった位置に設けられている。すなわち、合流吐出通路63は、ピストンロッド54,54と並んで設けられている。また、クランクケース43において、シリンダ用円筒部60,60と合流吐出通路63を構成する部分と、後述の分岐吸入通路83を構成する部分とは一体に形成されている。
【0063】
左のシリンダ用円筒部60の先端位置と、合流吐出通路63の左端の位置とが左側の一平面内に配置され、右のシリンダ用円筒部60の先端位置と、合流吐出通路63の右端の位置とが右側の一平面内に配置され、これら左右の平面が互いに平行となっている。また、合流吐出通路63は、前記1対のシリンダ用円筒部60,60のモータ90の反対側に形成されている。
そして、合流吐出通路63の左右の端部内に上述の吐出弁61,61が収納されるが、合流吐出通路63の左右の端部内で吐出弁61の吐出弁体64より中央側で、吐出弁体64をそれより端側の吐出弁座65に押し付けるための付勢力を付与する圧縮コイルばね66が配置される部分には、複数の突条67が形成されている。
【0064】
また、合流吐出通路63の圧縮コイルばね66を有する吐出弁61,61が配置される左右端部は、それより中央側の部分より径が広くなっている。そして、吐出弁体64,64および当該吐出弁体64,64より中央側の圧縮コイルばね66が配置される部分に複数の突条67,…が複数形成されている。
突条67,…は、合流吐出通路63の内周面に当該合流吐出通路の軸方向に沿って配置されるとともに、周方向に等間隔に並んで配置されている。また、突条67,…は、全て同形状で、合流吐出通路63の軸方向に沿った位置が同じとなっている。
【0065】
また、突条67は、合流吐出通路63の端側となる先端側より中央側(後側)の方が高くなっている。すなわち、突条67,67は、先側に対して後側の方が合流吐出通路63の内周からの厚みが厚くなっていることで、段差面68を有する構造となっている。また、突条67の上面は、合流吐出通路63の中心軸を中心とする円弧面となっている。そして、突条67の先端面より前側に吐出弁座65が、配置され、吐出弁座65の中央側への移動が規制される。また、突条67の先端面と段差面68との間に吐出弁体64が配置され、吐出弁体64の中央側への移動が突条67の段差面68で規制される。
また、吐出弁座65は、クランクケース43の左右端面に取り付けられるマニホールド44,45に押えられてクランクケース43外側への移動が規制されている。
【0066】
また、突条67同士の間は、吐出弁61から吐出された液体が通過するようになっており、この合流吐出通路63に流入する際に吐出弁座65の孔から吐出弁体64の外周側を通って流れが乱れた状態となる液体を整流することができ、液体を円滑に合流吐出通路63に流すことを可能とする。
そして、合流吐出通路63の中央部、すなわち、モータ軸91の延長線と交差する部分には、後述の調圧弁70に連通する調圧通路69が連通した状態に接続されている。
【0067】
また、調圧通路69は、モータ軸91の軸方向に沿っており、合流吐出通路63に対して直交している。なお、この例では、調圧通路69は、左右に延在する合流吐出通路63に対して前側に延出した状態となっている。
また、調圧通路69は、往復ポンプ装置41の前端側で開放された状態となり、この往復ポンプ装置41の前後左右の略中心の前端部に、前記調圧弁70を有する調圧ユニット100が接続されるようになっている。なお、調圧ユニット100は、ビス101によりクランクケース43に固定されている。
【0068】
また、合流吐出通路63と調圧通路69との接続部の中心に対して、中心が僅かに前にずれた状態で最終吐出通路62が合流吐出通路63と調圧通路69とに接続されている。そして、最終吐出通路62は、合流吐出通路63およびモータ軸91に沿った調圧通路69に対して直角に延出しており、この例では、最終吐出通路62の延出方向を下側とする。
そして、最終吐出通路62の下側には、最終吐出通路62より径の大きな接続円筒部71が設けられている。当該接続円筒部71には、その内側にコネクタ72が嵌合固定されており、このコネクタ72の下端の開口が吐出口73となる。なお、コネクタ72には、上述の圧力スイッチ10のポンプ取付管11が接続される。
【0069】
また、合流吐出通路63と調圧通路69と最終吐出通路62が互いに連通して接合された部分に、中心を合流吐出通路63の中心より前で最終吐出通路62の中心より後にした状態のエア抜通路74が形成されている。また、エア抜通路74は、合流吐出通路63および調圧通路69と直交し、最終吐出通路62と平行となるが、最終吐出通路62が合流吐出通路63より下側に延出しているのに対して、エア抜通路74は上側に延出している。
そして、エア抜通路74は、エア抜通路74より大径のエア抜円筒部75に接続され、当該エア抜円筒部75にエア抜弁76が設けられている。
【0070】
また。エア抜円筒部75の上部には、エア抜弁76により抜かれるエアと、当該エアと一緒に吐出する液体を調圧ユニット100に送るエア吐出通路80がエア抜通路74に対して直交する方向に沿って前側に向かって形成されている。このエア吐出通路80は、クランクケース43の調圧ユニット100が取付けられる取付面側で開放した状態となっており、後述の調圧ユニット100の連絡通路102にエア吐出通路80が連通するようになっている。なお、後述のように連絡通路102は、後述の余水口103に連通しており、エア抜時に吐出した液を余水口103に流せるようになっている。
【0071】
前記1対のシリンダ用円筒部60,60と、合流吐出通路63との間の高さ位置で前側に左右の往復ポンプ42,42の吸水弁81,81に吸入口82からの水を流入させる分岐吸入通路83が設けられている。そして、分岐吸入通路83は、互いに平行なシリンダ用円筒部60,60および合流吐出通路63と、平行に形成されている。すなわち、分岐吸入通路83は、ピストンロッド54,54と並んで設けられている。
また、上述のように合流吐出通路63の端部とシリンダ用円筒部60,60の先端部が配置される互いに平行な左右の平面上に分岐吸入通路83の端部も配置される。
【0072】
すなわち、左側の一つの平面内に合流吐出通路63の左端部開口と、左側のシリンダ用円筒部60の先端部開口と、分岐吸入通路83の左側端部開口が配置され、右側の一つの平面内に合流吐出通路63の右端部開口と、右側のシリンダ用円筒部60の先端部開口と、分岐吸入通路83の右側端部開口が配置される。
そして、クランクケース43の左右の上述の左右の平面に対応する部分が左端面および右端面となっており、前記各開口が配置される左端面に左のマニホールド45がビス45a,…で固定され、右端面に右のマニホールド44がビス44a,…で固定される。
【0073】
また、分岐吸入通路83の左右端部には、当該分岐吸入通路83と左右のシリンダ用円筒部60,60の吸水弁81に対応する位置とを連通させる吸入連通路93,93を備えている。また、分岐吸入通路83の左側端部は、後述の左側のマニホールド45において、当該マニホールド45に設けられた吸入口82に連通させられるようになっている。
【0074】
そして、左右のマニホールド44,45には、共通して、前記左右のシリンダ用円筒部60,60と同様の内径を有し、マニホールド44,45をクランクケース43に固定した際に、当該シリンダ用円筒部60と同軸上に配置されて連通した状態となる凹部84,84と、当該凹部84の底部(先端部)と、マニホールド44,45が取付けられるクランクケース43の取付面に開口した合流吐出通路63の開口に連通する吐出弁連通路85,85とを備える。
【0075】
また、右側のマニホールド44には、クランクケース43の当該マニホールド44の取付面に前記分岐吸入通路83の右側端部開口を塞ぐ閉塞部86が設けられている。また、左側のマニホールド45には、分岐吸入通路83の左側端部開口に連通する吸入通路87が形成され、当該吸入通路87は、分岐吸入通路83と同方向を向いた状態からモータ軸91の軸方向に沿って後側を向くように屈曲した状態とされ、この後側を向く部分が管状に構成されるとともに先端部が吸入口82とされ、ホースを接続可能となっている。当該ホースは、例えば、吐出すべき液体が入ったタンクに接続される。なお、モータ90は、モータ軸91の軸方向に沿って長く形成されており、円筒部分の直径よりも、モータ軸91に沿った方向の長さの方が長くなっている。したがって、吸入通路87のモータ軸91の軸方向に沿った部分は、モータ90の長手方向に沿っていることになる。
【0076】
そして、以上のようなクランクケース43およびマニホールド44,45により、1対の往復ポンプ42,42が支持された状態となっている。
そして、各往復ポンプ42,42は、向きが逆なことを除けば、同様の構成に形成されている。そして、各往復ポンプ42,42は、上述のシリンダ用円筒部60,60内に内周面に沿って中央側から順番にシールパッキン88、シールパッキン押え89,シリンダパイプ94が配置されている。そして、これらシールパッキン88、シールパッキン押え89、シリンダパイプ94の内側を左右に移動可能にピストンロッド54が配置されている。
【0077】
前記シールパッキン88は、ピストンロッド54の外周面に接触する内周面を有し、シールパッキン88に対してピストンロッド54が摺動するようになっている。これによりシリンダ59,59側からの吐出すべき液体のシールパッキン88より中央側への漏出を防止している。そして、このシールパッキン88は、シリンダ用円筒部60,60の内周面に周方向に沿って形成された段差とシールパッキン押え89とにより固定されている。
【0078】
また、シールパッキン押え89より端側にシールパッキン押え89に連続するようにシリンダパイプ94が配置されている。シールパッキン押え89とシリンダパイプ94が同軸上に配置されるとともに、互いに同じ径となっている。そして、これらシールパッキン押え89およびシリンダパイプ94がシリンダ59を構成している。
また、シリンダパイプ94は、クランクケース43のシリンダ用円筒部60から突出するようにシリンダ用円筒部60に取付けられ、先側がマニホールド44,45の凹部84,84内に挿入された状態となっており、往復ポンプ42のシリンダは、クランクケース43からマニホールド44,45にわたって形成されることになる。また、シリンダパイプ94、シールパッキン押え89、シールパッキン88とは、マニホールド44,45により、外側への移動が規制されるように押えられた状態となっている。
【0079】
そして、シリンダ59内には、ピストンロッド54,54の先端部に設けられた吸水弁81が81が配置される。吸水弁81は、ピストンロッド54の先端面に螺合されるビス99で固定される吸水弁座95、カラー96、ストッパ97を備えるとともに、吸水弁座95と、ストッパ97の間に、カラー96が挿入された状態の吸水弁体98が配置されている。
そして、ピストンロッド54の先端からその先側(外側)に向かって、吸水弁座95、カラー96、ストッパ97の順番に配置されるとともに、上述のようにカラー96の外側で吸水弁座95とストッパ97との間に吸水弁体98が配置される。
【0080】
また、前記ビス99は、ストッパ97を貫通するとともに円筒状のカラー96を貫通し、さらに吸水弁座95を貫通してピストンロッド54に締結されている。
そして、吸水弁座95およびストッパ97の間にカラー96が配置され、吸水弁座95とストッパ97の間にカラー96の軸方向に沿った長さ分だけ間隔があけられている。
そして、カラー96が挿入された状態となる吸水弁体98は、概略円筒状の構造を有し、その内径が吸水弁体98内に挿入されるカラー96の外径よりも大きく、吸水弁体98の内周面と、カラー96の外周面との間に吐出すべき液体が流動可能な間隔があけられている。
【0081】
また、吸水弁体98は、その外周部にシリンダパイプ94内周面の全周に渡って接触して摺動するピストンパッキンを有し、吸水弁体98は、シリンダパイプ94の内周面に沿ってシリンダパイプ94の軸方向に移動するように規制されている。そして、吸水弁体98と、カラー96とが同軸上に配置されるため、吸水弁体98の内周面とカラー96の外周面との間には全周に渡る円環状の隙間が常時形成されている。
【0082】
そして、吸水弁座95と、ストッパ97との間の間隔、すなわち、カラー96の長さは、吸水弁体98の軸方向に沿った長さより長く、吸水弁体98は、相対的に吸水弁座95に後端側(中央側)の端面が当接し、先端側(外側)の端面がストッパ97から離れた状態と、逆に、吸水弁座95に対して後端側(中央側)の端面が離れ、先端側(外側)の端面がストッパ97に当接した状態との間を移動可能となっている。
【0083】
また、吸水弁体98が吸水弁座95に当接した状態では、吸水弁体98と吸水弁座95からなる部分に液体が流入しない状態となり、吸水弁体98とストッパ97とが当接した状態では、ストッパ97に設けられた貫通孔が吸水弁体98の内周側と連通し、かつ、吸水弁体98と吸水弁座95が離れていることにより、吸水弁体98と吸水弁座95の間から液体が流入可能で、かつ、ストッパ97の貫通孔から流出可能となっている。
【0084】
そして、ピストンロッド54,54は、モータ90により駆動されるが、モータ90のモータ軸91には、上述の偏芯カム51が取り付けられる。
偏芯カム51は、モータ軸91が挿入されて固定される取付筒部52と、当該取付筒部52の先側に設けられて実際のカムとして機能するカム部53とを備える。
取付筒部52は、モータ軸91の外径とほぼ同じ内径を有し、かつ、外周面から内周面に至るねじ孔105を備えている。また、モータ軸91は、当該モータ軸91に取付筒部52をセットした際に前記ねじ孔105に対応する部分に、軸方向に沿った平面を備えている。そして、ねじ孔105に外周面が雄ねじとなったネジ軸を螺合して締め付けることで、偏芯カム51の取付筒部52をモータ軸91に対して当該モータ軸91と一体に回転可能に固定することができる。
【0085】
そして、取付筒部52は、上述のベアリング49により、取付筒部52が回転自在に支持されている。
そして、カム部53は、前記取付筒部52の先側に取付筒部52と一体に設けられ、取付筒部52と一体にモータ軸91の回転に伴なって回転する。
また、カム部53は円柱状に形成されるが、その円柱の中心と、回転の中心とがずれている。すなわち、カム部53は、モータ軸91に対して同軸上に配置されておらず、モータ軸91の中心に対してカム部53の中心が偏芯している。
【0086】
したがって、モータ軸91を回転させると、カム部53の外周部は、前後左右に移動しながら回転する状態となる。
カム部53はベアリング56に軸受された状態となるが、ベアリング56は、上述の回転するカム部の前後左右への移動に対応して回転せずに前後左右に移動することになる。
【0087】
また、2本のピストンロッド54,54は、往復ポンプ装置41の中央側となる後端側が一体に連続した状態となっており、2本のピストンロッド54,54が一本の部材となっている。そして、1対のピストンロッド54,54を連結する連結部55は、ピストンロッド54,54より厚みが薄く形成されることで連結部55の後側に凹部が形成された状態となっている。
そして、この連結部55の凹部にベアリング56が上下に移動可能に保持され、偏芯カム51の移動に伴なって、ピストンロッド54,54をその軸方向に沿って左右に往復移動させるようになっている。
【0088】
また、クランクケース43の先端部には、上述の調圧ユニット100が設けられている。調圧ユニット100は、調圧弁70が内蔵されている調圧ケース106と、当該調圧ケース内に固定された調圧弁座107、調圧弁座107に接触した閉状態と、調圧弁座107から離れた開状態との間で移動自在な調圧弁体108と、調圧弁体108を調圧弁座107に付勢する付勢手段としてのコイルばね110と、当該コイルバネ110の先端側(調圧弁体108の逆側)の位置を調整することで、コイルばね110の付勢力を調整して調圧するためのコマ111と、当該コマ111の先端側で六角孔を有するねじ112とを備える。
【0089】
調圧ケース106は、主要部が前記調圧弁座107、調圧弁体108、コイルばね110が配置された部分を孔とする有蓋円筒状とされている。
そして、調圧ケース106の先端の蓋部分に後述のねじ孔が形成されている。また、調圧弁体108より先端側となるコイルばね110が設けられている部分には、調圧弁体108がコイルばね110の付勢力より強い圧力がかかったことにより調圧弁座107から離れ、調圧弁70が開状態となったことに基いて流入した液体を排出する余水口103に水を流出させるための円筒状の調圧排出通路114が形成されている。
【0090】
また、調圧排出通路114の反対側には、一方の端部がクランクケース43の先端面に露出するエア吐出通路80の開口と連通する連絡通路102を備え、エア吐出通路80からと出されたエアおよび液体を余水口103側に吐出するようになっている。
ねじ112は、調圧ケース106の軸方向に形成されたねじ孔に螺合しており、ねじ112を回転することで前記コマ111の位置を調整して、調圧弁70の圧力を調整するようになっている。なお、ねじ112が螺合された先端部は、着脱自在なキャップ113で蓋をされている。
そして、エア抜弁76は、エア抜通路74に連通する孔を有するエア抜円筒部75の底部と、エア吐出通路80に連通する孔を有するエア抜弁座77との間に、球状のエア抜弁体78が配置されている。また、エア抜円筒部75の内周が雌ねじとなっており、当該雌ねじに外周が雄ねじとなったボルト状のプラグ79が螺合されており、当該プラグ79により、エア抜弁座77が固定された状態となっている。
【0091】
この状態で、エア抜円筒部75と底部と、エア抜弁座77との間には、エア抜弁体78の直径より僅かに長い間隔があけられており、エア抜弁体78は、エア抜弁座77から離れてエア抜弁座77のエア吐出通路80に連通する孔を開放した状態となる。また、通常の往復ポンプ装置41の未作動状態では、エア抜弁座77およびプラグ79がエア抜弁体78の上側となり、エア抜弁体78は、重力によりエア抜弁座77から離れてエア抜円筒部75の底部に接触した状態となっている。なお、前記底部のエア抜通路74に連通する孔の周囲部には、溝もしくは突条が形成され、孔状にエア抜弁体78が配置されても、エア抜通路74から液体および気体を流出可能な状態となっている。
【0092】
そして、往復ポンプ装置41を起動した際に、例えば、シリンダ59,59内にエアがあるような場合には、左右の往復ポンプ42,42からの液体の吐出圧が高くならず、エア抜弁76は、エア抜弁体78が前記底部上にあり、開状態となる。この状態では、往復ポンプ42,42からエアをエア抜弁76を介して抜くことが可能な状態となっている。また、エア抜弁76が開放状態となっているので、調圧弁70があっても合流吐出通路63を含む往復ポンプ42,42内の内圧が高くならず、エアを抜き易い状態となる。
【0093】
ここで、往復ポンプ42,42内のエアが高くなると、往復ポンプ42,42から合流吐出通路63への液体の吐出圧が高くなるとともに、エアをほとんど含まない液体が合流吐出通路63を介してエア抜通路74からエア抜円筒部75内部に流入する。この液体によりエア抜弁体78がエア抜弁座77に押し付けられエア抜弁座77の孔を塞ぐことになる。これにより、エア抜弁76が閉となり、往復ポンプ42,42の内圧が調圧弁70に調圧された範囲で上昇し、この圧によりエア抜弁座77にエア抜弁体78が押し付けられ、往復ポンプ装置41の作動中は、常時エア抜弁76が閉となる。
【0094】
そして、往復ポンプ装置41を停止すると、エア抜弁体78に作用する内圧がなくなり(ノズルが開放状態の場合)、エア抜弁体78はエア抜弁座77から離れて再びエア抜弁76は開状態となる。この際にエア抜弁体78よりエア抜弁座77が上なので、重力によりエア抜弁座77からエア抜弁体78が完全に離れた状態となる。これにより、未使用中にエア抜弁座77にエア抜弁体78が固着するのを防止することができる。
なお、プラグ79の六角形状の頭部をスパナ等で緩め、プラグ79をエア抜円筒部75から取り外すことにより、エア抜弁76のメンテナンスが可能であるが、上述のようにエア抜弁体78とエア抜弁座77の固着を防止することで、メンテナンスを低減することができる。
【0095】
このような往復ポンプ装置41において、吸入工程では、ピストンロッド54が中央側に後退することにより、吸水弁体98が吸水弁座95から離れるとともにストッパ97に当接し、吸水弁体98と吸水弁座95の間から水を吸入し、吸水弁体98とカラー96の間からストッパ97側に水が流入する状態となる。ここで、吸入口82から吸入した液体が、吸入口82から吸入通路87を通って、分岐吸入通路83に至り、当該分岐吸入通路83の左右端部から吸入連通路93,93を介してシリンダ59,59に至るようになっている。そして、シリンダ59の内周面側には、前記吸入連通路93,93の末端側開口が形成され、当該開口から吸水弁81に水が吸入され、吸入された水は吸水弁体98より先側に流出可能となっている。
【0096】
そして、吸入工程が終了する際に、中央側となったピストンロッド54を端側に前進させると、吸水弁座95に吸水弁体98が当接し、吸水弁座95と吸水弁体98との間が閉ざされて吸水弁が閉状態となる。この状態でピストンロッド54が前進すると、吸水弁体98より前側の水は、マニホールド44,45の凹部84、84側へ押され、凹部84,84から吐出弁連通路85,85に至り、吐出弁連通路85,85から合流吐出通路63に至る。
【0097】
そして、合流吐出通路63の左右端部に形成されている吐出弁61,61に至る。吐出弁61,61では、圧縮コイルばね66に吐出弁座65,65側に付勢されている吐出弁体64,64が上述のようにシリンダ59,59から凹部84,84に押し出された液体により押されて、吐出弁座65,65から吐出弁体64,64が離れ、液体が合流吐出通路63に流入する。
【0098】
この際に、前記圧縮コイルばね66が形成される上述の合流吐出通路63の左右端部には、上述のように内周面に軸方向に沿った突条67が形成されている。この突条67により、上述のように吐出弁座65,65と吐出弁体64,64との間を通って合流吐出通路63に流入して乱流状態の液体が整流され、スムーズに合流吐出通路63から合流吐出通路63の中央部に設けられた最終吐出通路62に流入する。また、最終吐出通路62は、上述のように調圧弁70に連通する調圧通路69が連通しており、吐出口73に接続されたノズルを有するホースにより、液体の吐出負荷がかかっている場合のそれにより液体にかかる圧力が調整されることになる。
【0099】
また、最終吐出通路62は、エア抜弁76にも連通しており、例えば、往復ポンプ装置41の起動時などにおいて、エアをかんだ状態では、最終吐出通路62の部分で圧力が上がらず、上述のようにエア抜弁76が開放状態となる。
これにより、エア抜弁76からエア抜が可能な状態となり、エア抜弁76から空気を含む液体がエア吐出通路80から調圧ユニット100に送られ、これを余水口103から流せるようになっている。
【0100】
以上のような往復ポンプ装置によれば、吐出弁61,61がシリンダ59,59の先端側(クランクケース43の外側)ではなく、合流吐出通路63内の左右端部に収納された状態であるとともに、調圧弁70が合流吐出通路63の端部ではなく、中央部でモータ90の反対側に設けられ、また、吐出口73も合流吐出通路63の端ではなく、中央部に設けられ、さらにエア抜弁76も合流吐出通路63の中央部に設けられているので、往復ポンプ装置41の合流吐出通路63に並んで設けられる、ピストンロッド54,54に沿った方向の長さを短くでき、モータ90の径に近いものにすることも可能となる。
【0101】
ここで、吐出口73は、モータ軸91およびピストンロッド54,54の両方に直交する方向を向いて設けられるので、吐出口73にホースを接続するものとしても、ピストンロッド54,54に沿った長さ方向のスペースを必要としない。
また、吸入口82もモータ90の長手方向、すなわち、モータ軸91方向に沿ってホースを接続するようになっているので、ピストンロッド54.54の長手方向に沿ってホースを接続するためのスペースを大きく取る必要がない。
【0102】
また、調圧弁70の余水口103も合流吐出通路63の中央部でピストンロッド54,54に直交する方向にホースを接続可能となっており、ピストンロッド54,54の方向に沿って配管スペースを確保する必要がない。また、余水口103は、エア抜弁76の排出口も兼ねており、配管スペースを効率化することができる。
また、吐出口73および余水口103が合流吐出通路63の中央部、すなわち、往復ポンプ装置41の中央部に配置されるので、これら吐出口73および余水口103に接続されるホースの取り回しの自由度が大きい。すなわち、往復ポンプ装置41の左もしくは右端部に設けられると、反対側の端部へのホースの取り回しが制限されてしまう可能性がある。
【0103】
また、合流吐出通路63内に左右の吐出弁61を設けることにより、左右の往復ポンプ42,42間の距離が短くなり、これに基いて合流吐出通路63および分岐吸入通路83の長さも短くできる。また、合流吐出通路63内に左右の吐出弁61を設けることにより、吐出弁61から先の実質的な合流吐出通路63の長さが短くなる。これにより全体的に液体が流れる通路を短くすることで、動力損失の軽減を図ることができる。
【0104】
また、合流吐出通路においては、調圧弁70が中央に接続されるとともに、吐出口73も中央に接続されることで、2つの左右の往復ポンプ42,42から、調圧弁70および吐出口73に至る流路(合流する流路)が左右対称となり、圧力振動の低減を図ることができる。
【0105】
以上のような往復ポンプ装置41に取り付けられた圧力スイッチ10の作用について説明する。
往復ポンプ装置において、例えば、ノズル装置2のバルブ6を開放した状態で往復ポンプ装置41のモータ90のメイン電源をオンとする。なお、メイン電源のスイッチは、圧力スイッチ10と別に設けられたものであるが、メイン電源のスイッチがオフの場合にはモータ90は必ずオフで、メイン電源のスイッチがオンの場合に圧力スイッチ10のマイクロスイッチ17がオンならモータ90がオンとなり、マイクロスイッチ17がオフならオフとなる。
【0106】
メイン電源のスイッチをオンとした場合に、往復ポンプ装置41の吐出口73に接続された圧力スイッチ10内部のA室29とB室30の液圧は低い状態となっている。また、この際には、往復ポンプ装置41内の圧力もほぼ大気圧となっているのでエア抜弁76が開放した状態となっている。
そして、往復ポンプ装置41が起動すると開放状態のエア抜弁76から往復ポンプ装置41内のエアが抜かれポンプが正常に作動し始めると、往復ポンプ装置41からエア抜弁76に液体が吐出し、エア抜弁76が閉塞状態となるとともに、往復ポンプ装置41内の液圧が上昇し、エア抜弁76が閉塞状態に保持される。
【0107】
そして、バルブ6を開放状態に維持すると、往復ポンプ装置41からの液体の吐出圧で、圧力スイッチ10内のA室29およびB室30の液圧が図11に示すP1となる(なお、図11はB室の液圧を示す)。なお、この状態で調圧弁70の設定圧を超えると調圧弁70が開放するので、この際の吐出圧(噴霧圧)は、調圧弁70による設定圧以下となる。
【0108】
そして、往復ポンプ装置41の吐出口73から吐出された液体は、圧力スイッチ10のポンプ取付管11を通ってケーシング13の本体内部のA室29に流入し、ピストン16のピストン第2通路26を介して、ピストン第1通路24に至る。ピストン第1通路24に至った液体は、弁39の弁体39bを押圧して、弁39を開放状態として、マニホールド14のB室30に流出する。そして、B室30に至った液体は、ホース接続管12を通って噴霧ホース1に至り、噴霧ホース1からノズル装置2の開となったバルブ6からノズルパイプ4を介してノズル5に至って液体が噴霧される。
【0109】
この際には、付勢手段として圧縮コイルバネ36がピストン16をマイクロスイッチ17をオフとする第1の位置側に付勢することになる。この際の付勢力としてのバネ荷重をここではQとする。
さらに、ピストン16内から弁39通って液体がA室29からB室30に流れることにより、圧力損失が生じ、B室30よりA室20の圧力が高くなるように圧力差が生じる。
これによってダイヤフラム15のピストン16に固定された内周側が、マニホールド14とケーシング13に固定された外周側に対して、A室29からB室30側に向かって凸となるように弾性変形し、ピストン16をA室29側からB室30側、すなわち、第2の位置から第1の位置側に押圧する状態となる。この際の圧力差をΔPとし、ダイヤフラム15の径をDとすると、圧力損失に基いて、ピストン16を第1の位置側に押圧する力は(πD2/4)・ΔPとなる。
【0110】
一方、ピストンピン20をケーシング13およびマニホールド14に囲まれた空間(A室29とB室30を合わせた空間)から出没自在とされたピストン16に対しては、ピストン16が収納されるA室29およびB室30内の液圧が外部より高くなることで、ピストンピン20を突出させる方向に力が作用している。ここで、ピストンピン20の径をdとし、圧力スイッチ10内の液圧を近似する前記B室30のP1とすると、(πd2/4)・P1となる
【0111】
しかし、上述の付勢手段としての圧縮コイルバネ36の付勢力(バネの荷重Q)と、上述の圧力損失に基く圧力差による受圧部材としてのダイヤフラム15に作用する力とを合わせた力が、上述のピストンピン20を突出させる力より強くなるように設定されているので、ピストン16は第1の位置に保持され、マイクロスイッチ17の押しボタン17aを押すことがない。
【0112】
すなわち、(πD2/4)・ΔP+Q>(πd2/4)・P1の関係となる。なお、バネの荷重Qは、Q<(πd2/4)・P1となるように設定されており、圧力損失に基く圧力差が受圧部材であるダイヤフラム15に作用することで、ピストンピン20の突出方向への移動を押えられるようになっており、圧縮コイルバネ36の付勢力だけでは、ピストン16が第1の位置から第2の位置に移動してしまう設定となっている。
ここで、マイクロスイッチ17は、押しボタン17aが押された状態で、モータ90への電流を遮断し、押しボタン17aが押されずに戻った状態で、モータ90へ電流を供給する状態となるので、モータ90では、電力が供給された状態が維持される。
【0113】
この状態でバルブ6を開から閉とすると、往復ポンプ装置41が作動した状態で、液体の吐出が止められた状態となり、往復ポンプ装置41、圧力スイッチ10、噴霧ホース1内で圧力が上昇する。
なお、この際に、液体の流れが止まることで、ピストン16後端側の弁39が閉じた状態となるが、弁39においては、弁座29aの溝39dにより弁座39aに弁体39bが当接した状態となっても、完全に液体の流れを遮断することができず、液圧を逃がすことができるようになっている。
【0114】
また、弁39の位置で液体の流れが止まると、圧力損失も生じなくなり、弁39によって、A室29とB室30との間に圧力差を生じることもなくなる。
したがって、ピストン16を第2の位置から第1の位置に移動させようとする力は、圧縮コイルバネ36の力のみとなり、圧力差を受けたダイヤフラム15からの力はなくなることになる。
【0115】
また、A室29およびB室30では、バルブ6が閉じた状態で、往復ポンプ装置41が作動していることにより、図11のB室30のグラフに示すように、圧力がP1からP2に上昇することなる。これにより、上述のようにピストンピン20を突出させる圧力が高くなることになる。すなわち、第1の位置から第2の位置側に押す力が上昇することなる。
【0116】
これにより、ピストン16を第2の位置から第1の位置側に押す力より、第1の位置から第2の位置側に押す力が勝り、ピストン16はバルブ6が閉となった後に第1の位置から第2の位置に移動する。
すなわち、圧力損失に基く圧力差の力がなくなり、かつ、ピストンピン20を押す力は液圧のP1からP2への上昇により強くなり、Q<(πd2/4)・P1<(πd2/4)・P2となり、確実にピストン16は第1の位置から第2の位置に移動することになる。
この際に、第2の位置が、マイクロスイッチ17の押しボタン17aを押して、マイクロスイッチ17を切換可能な位置となっている。したがって、マイクロスイッチ17においては、押しボタン17aが押されて、モータ90への電力供給(電流)を遮断すること、すなわちオフすることになる。なお、この際には、噴霧ホース1の先のバルブ6が閉じた際にピーク的に液圧が上昇するようなことはなく、ピストン16が急激に移動して他の部材にぶつかって衝撃音を発生するようなことはない。
【0117】
ここで、往復ポンプ装置41が停止すると、往復ポンプ装置では、未だ内圧が高い状態で、液体の流れがとまり、バルブ6が閉となっていることで、突出口73側から圧力が抜けることがないので、往復ポンプ装置41では、吸水弁81、エア抜弁76、調圧弁70が閉じた状態とされる。また、液体の流れが止まることで吐出弁61も閉じた状態となる。
【0118】
ここで、往復ポンプ装置41側の吐出弁61以外のところで液体の漏出がある場合に、往復ポンプ装置41内の圧力が低下するが、この際に、圧力スイッチ10側の圧力が低下していなければ、吐出弁61が閉じた状態に維持され、圧力スイッチ10側の圧力が急激に低下することがない。
【0119】
そして、上述のようにバルブ6を閉とした状態から開とした状態とすると、ノズル5側から圧力が抜けて圧力スイッチ10側の圧力が低下する。この際に圧力スイッチ10内では、噴霧ホース1に接続されるB室30の圧力が低下する。この際に弁39が閉であっても、弁39の弁座39aの溝39dから圧力がA室29からB室30に逃げて、A室29とB室30の圧力は同じとなる。また、A室29およびB室30の圧力が低下することにより、ピストン16のピストンピン20を押し出す力が低下する。
【0120】
この際には、未だモータ90の電源が遮断された状態で、往復ポンプ装置41が作動していないので、A室29からB室30に向かって、上述のように圧力損失を生じるように液体が流れていないので、A室29とB室30に圧力差を生じる圧力損失が発生しない。
したがって、この場合には、ピストン16を第2の位置から第1の位置に押す力は圧縮コイルバネ36の付勢力だけとなる。
【0121】
したがって、上述のA室29およびB室30の圧力によりピストンピン20を押し出す力が、圧縮コイルバネ36の付勢力以下となるまで、ピストン16は第2の位置にあり、ピストンピン20がマイクロスイッチ17の押しボタン17aを押したままとなり、モータ90は起動しない。
そして、図11に示すように、圧力スイッチ10内の圧力がP3まで下がると、上述のピストンピン20を押し出す力が圧縮コイルバネ36の付勢力以下となり、圧縮コイルバネ36によりピストン16が第2の位置から第1の位置に移動し、ピストンピン20がマイクロスイッチ17の押しボタン17aから離れ、マイクロスイッチ17がモータ90に電流を流すオン状態となり、往復ポンプ装置41が作動する。
すなわち、(πd2/4)・P3<Q<(πd2/4)・P1<(πd2/4)・P2となっている。
【0122】
このような圧力スイッチ10によれば、バルブ6を開から閉としてモータの電源をオフとした後に、例えば、漏れ等により圧力が低下しても、圧力スイッチでモータの電源をオンとする圧力をかなり低く設定できるので、モータの電源のオン・オフを繰り返すようなハンチングを防止することができる。
【0123】
すなわち、上述のようにバルブ6が開で、モータ90が起動し、往復ポンプ装置41から液体が吐出されている間は、バルブ6が閉となった際に、第2の位置に移動して電源をオフとするピストンを電源をオンとする第1の位置に保持するのに、圧縮コイルバネ36の付勢力に加えて往復ポンプ装置41から吐出されて流れる液体に基く圧力損失で生じた圧力差を用いているので、その分だけ圧縮コイルバネ36に必要とされる付勢力(バネの荷重)を小さなものとすることができる。
【0124】
これにより、ピストン16が第2の位置から第1の位置に戻る際の圧力スイッチ10内の圧力(液圧)を小さなものとすることが可能となり、圧力が僅かに下がっただけで、モータ90の電源がオフからオンとなってしまうの防止できる。
すなわち、図11に示すように、マイクロスイッチ17がオフとなっている圧力P2からマイクロスイッチ17がオンとなる圧力P3までの圧力差、すなわち、ハンチングの余裕圧を従来に比較して大きくすることができる。言い換えれば、単にばねの不正力だけで、ピストン16を第1の位置に維持するような構成とした場合よりも、圧力損失に基く圧力差を利用することで、ハンチングを防止することができる。
【0125】
また、圧力スイッチ10の動作において、シールと摺動部材とが用いられるのは、圧力スイッチ10から出没するピストンピン20とこの部分での漏水を防止するシール27との部分である。この部分では、水和剤を噴霧する場合に、水和剤の粒子が入り込んでも、ピストンピン20の径を十分に小さくして、摺動面の面積を小さくできるので、ピストンピン20で動作不良が発生するのを防止することができる。
【0126】
なお、水和剤の粒子を噛み込むことによる摺動抵抗の増加に対して、摺動部材を動かす力が十分に大きければ、動作不良は生じない。ここでは、ピストンピンが小径なので、摺動抵抗が小さく、動作不良が生じない。
また、往復ポンプ装置41側では、ピストンが内圧による力とバネの付勢力との差のような弱い力で作動するのではなく、モータ90で駆動されるので、水和剤でも噴霧可能である。
【0127】
また、ピストン16の受圧部材による圧力差による動作には、シールを用いずダイヤフラム15を用いたので、この部分で水和剤の影響を受けることがなく、水和剤の使用に問題を生じない。
また、弁39において、弁座39aに溝を設けることで、圧力損失が生じていない場合にA室とB室の圧力差をなくすことができるとともに、弁座39aに弁体39bが当接する際に異物が詰まりづらい構造とすることができる。
【0128】
また、ダイヤフラム15の弾性変形によるピストン16の移動に際し、A室29とB室30との間で、液体が移動する必要があるが、弁39が閉状態でも、弁39の溝を通って液体を移動させることができる。そして、バルブ6を閉から開とした場合のように、液体の流れが止まっていることにより弁39が閉じた状態でも、ダイヤフラム15がピストン16を第2の位置から第1の位置に戻す際に、液体は弁座39aの溝39dを通って移動することができる。さらに、液体は狭い溝39d内の空間を通らなければならないので、ダイヤフラム15およびピストン16の急激な移動を緩衝して防止することができる。
【0129】
また、圧力スイッチは、ピストン16が軸方向に移動するだけの簡単な構成であり、メンテナンスが容易である。
また、マイクロスイッチ17をモータ90と直列に配置し、ピストン16の移動に伴なって、ピストンピン20がマイクロスイッチ17をオン・オフするだけの簡単な構成でモータ90のオン・オフを制御するので、電子制御装置等を必要とせず、簡単な構成でかつ極めて安価に製造することができる。
なお、オンオフするマイクロスイッチ17ではなく、抵抗値を変更可能な可変抵抗器などを用いて、モータ90に流れる電流量を制御するようなものとしてもよいし、原動機としてエンジンを用い従来のように、エンジンの回転数を制御するような構成としてもよい。
【0130】
図12は、前記実施の形態の第1の変形例を示すものであり、圧力損失手段として、ピストン16の拡径部25内に前記弁39に代えてオリフィス(圧力損失手段)40を設けたものである。なお、前記例に対して、第1の変形例では、弁39の構成要素としての弁座39a、弁体39b、圧縮コイルバネ39c、溝39d等をなくして、ピストン16のピストン第1通路24の後端部に内径が小さくなるオリフィス40を設けたものであり、それ以外の構成は上記例と同様の構成となっている。
そして、第1の変形例において、オリフィス40は、後側に向かうに連れて径が小さくなる孔を有する部材で構成されており、当該部材がピストン16のピストン第1通路24の後端部に挿入(嵌入)されて固定された状態となっている。
【0131】
オリフィス40により、ピストン第1通路24の液体を吐出する部分で内径が小さくされることで、圧力損失が生じることになり、弁39の場合と同様に液体がピストン第1通路24をA室29からB室30に流れている状態で、圧力損失が生じ、B室30の液圧よりA室29の液圧が高くなり、上記例と同様の作用効果を得ることができる。
オリフィス40を用いることで、弁39を用いた構成より簡単な構成とし、製造を容易にできるとともにコストの低減を図ることができるが、オリフィス40の径が狭いと、異物が詰まりやすくなる可能性がある。
【0132】
また、図13は、前記実施の形態の第2の変形例を示すものであり、受圧部材として、ダイヤフラム15に代えて、ピストン16をシリンダ(筒状部材)40a内で軸方向に移動可能とするとともに、ピストン16とシリンダ40aとの間にシール21aを設けた構造としたものである。なお、第2の変形例では、前記例に対してダイヤフラム15をなくして、シリンダ40aとシール21aとを設け、ピストン16の形状と、シリンダ40aを保持するケーシング13とマニホールド14の形状とをシリンダ40aに対応して変更したものであり、それ以外の構成は、前記例と同様の構成となっている。
【0133】
第2の変形例では、円筒状のシリンダ40aがケーシング13とマニホールド14とに挟持されて、圧力スイッチ10内に円柱状の内部空間を構成している。また、シリンダ40a内には、ピストン16が配置されている。ピストン16の後部では、ダイヤフラム15に固定されないことから止めナット28がなく、本体部21および拡径部25がシリンダ40aの内周面に沿う外周面を有する円柱状とされている。そして、拡径部25には、周方向に沿って溝が設けられ、当該溝内に円環状のシール21aが嵌め込まれた状態となっている。すなわち、シリンダ40aの内部空間が所定空間を構成している。
【0134】
そして、シリンダ40a内でピストン16はシール21aをシリンダ40a内周面に摺動させながら移動可能となっている。この場合にピストン16自体が、圧力スイッチ10内をA室29とB室30とに区切り、圧力差を受けてピストン16を押圧する受圧部材となる。すなわち、ピストン16は、所定空間としてのシリンダ40aの内部空間をシリンダ40aの軸方向に沿って並んだ2つの空間に区切っている。そして、上述の実施の形態のピストン16と同様に第1の位置と第2の位置との間を移動自在となっており、当該ピストン16が受圧部材とスイッチ操作部材とを兼ねている。
このような構成とすることで、受圧部材としての構造をダイヤフラム15を用いた構造よりも強固な構造とすることができ、より耐圧性に優れた構造とすることができるが、上述の水和剤の使用には適していない。
なお、シリンダ40a側に固定された状態にシールを設け、当該シールに対してピストン16が摺動するような構成としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0135】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る圧力スイッチを備えた噴霧装置の概略構成を示す図である。
【図2】前記往復ポンプ装置に取り付けられた前記圧力スイッチを示す斜視図である。
【図3】前記圧力スイッチを示す断面図である。
【図4】前記圧力装置が取付けられるポンプとしての往復ポンプ装置を示す斜視図である。
【図5】前記往復ポンプ装置を示す側面図である。
【図6】前記往復ポンプ装置を示すピストンロッドの軸方向に沿った断面図である。
【図7】図5のX−X矢視断面図である。
【図8】前記往復ポンプ装置を示すピストンロッドに直交する方向に沿った断面図である。
【図9】前記往復ポンプ装置のクランクケースを示す斜視図である。
【図10】前記往復ポンプ装置のクランクケースを示す斜視図である。
【図11】前記圧力スイッチ内のB室の圧力変化を示すグラフである。
【図12】前記実施の形態の第1の変形例の圧力スイッチを示す要部断面図である。
【図13】前記実施の形態の第2の変形例の圧力スイッチを示す要部断面図である。
【図14】従来例となるアンロード弁とともに用いられるピストン型圧力検出手段における圧力の変化を示すグラフである。
【符号の説明】
【0136】
10 圧力スイッチ
15 ダイヤフラム(受圧部材)
16 ピストン(スイッチ操作部材:第2の変形例の受圧部材を兼ねる)
17 マイクロスイッチ(スイッチ)
29 A室(一方の空間)
30 B室(他方の空間)
36 圧縮コイルバネ(付勢手段)
39 弁(圧力損失手段)
39a 弁座
39b 弁体
39c 圧縮コイルバネ(弁体付勢手段)
39d 溝
40 オリフィス(圧力損失手段)
40a シリンダ(筒状部材)
41 往復ポンプ装置(ポンプ)
90 モータ(原動機)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポンプから吐出される液体の流路の開閉に応じて生じる前記流路内の圧力変化を用いてポンプの原動機を制御する圧力スイッチであって、
前記原動機を通常の作動状態である第1の制御状態と、通常より低速な作動状態もしくは停止状態である第2の制御状態とに切り換えるスイッチと、
前記流路の所定空間内に一部が配置され、第1の位置と、第2の位置との間で移動自在で、前記所定空間内が前記圧力変化により相対的に高圧となった際に、第1の位置から第2の位置に移動し、かつ、前記スイッチを第1の位置となった際に第1の制御状態に切り換えて保持し、第2の位置となった際に第2の制御状態に切り換えて保持するスイッチ操作部材と、
前記スイッチ操作部材を第2の位置から第1の位置に向かうように付勢することにより、前記所定空間内が前記高圧より相対的に低圧となった際に、第2の位置にあるスイッチ操作部材を第1の位置に戻すように移動させる付勢手段と、
ポンプによる液体吐出時に、圧力損失を発生させることにより前記所定空間内に位置的圧力差を生じさせる圧力損失手段と、
前記所定空間内の位置的圧力差を受けて前記スイッチ操作部材を第2の位置側から第1の位置側に向かって押圧する受圧部材とを備えることを特徴とする圧力スイッチ。
【請求項2】
前記受圧部材は、前記所定空間を2つの空間に区切り、
前記圧力損失手段は、区切られた2つの前記空間に渡ってポンプから吐出される液体を流動可能とするとともに、作動するポンプから吐出されて2つの前記空間のうちの一方の空間から他方の空間に流れる液体により圧力損失を発生させて、2つの前記空間同士の間に圧力差を発生させることを特徴とする請求項1に記載の圧力スイッチ。
【請求項3】
前記受圧部材を前記スイッチ操作部材に接続されるとともに、前記所定空間を2つに区切るダイヤフラムとしたことを特徴とする請求項2に記載の圧力スイッチ。
【請求項4】
内部空間が前記所定空間となる筒状部材を備え、
前記受圧部材を前記スイッチ操作部材として機能するとともに、前記所定空間となる前記筒状部材の内部空間を当該筒状部材の軸方向に沿って並んだ状態となる2つの空間に区切るとともに当該筒状部材内を当該筒状部材の軸方向に沿って前記第1の位置と前記第2の位置との間で移動自在なピストンとしたことを特徴とする請求項2に記載の圧力スイッチ。
【請求項5】
前記圧力損失手段は、前記受圧部材に区切られた2つの前記空間に渡ってポンプから吐出される液体を流動可能とする流路と、当該流路に設けられた弁座と、前記流路の前記ポンプから吐出される液体の弁座より下流側に配置される弁体と、当該弁体を前記弁座に向けて付勢する弁体付勢手段とを備え、
前記弁座には、当該弁座に前記弁体が当接しても前記流路に液体を流動可能とする溝が形成されていることを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の圧力スイッチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−34000(P2010−34000A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−197589(P2008−197589)
【出願日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【出願人】(000141174)株式会社丸山製作所 (134)
【Fターム(参考)】