説明

圧力分布センサー

【目的】 複数種の感度を有する圧力分布センサーを提供すること。
【構成】 可撓性を有する二枚のフィルム基材1,2相互間に複数の行・列電極3,4が交差する態様で配置されていると共に、前記行・列電極3,4相互間には感圧導電インク層5を介在させてあり、行・列電極3,4の各交差点への加圧力の相違により行・列電極3,4間の抵抗が変化する形式の圧力分布センサーにおいて、行・列電極3,4のうち一方の種類の電極が、それぞれ複数種の幅を有するものとしてある。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、ピンチローラやスキージの圧力バランスを測定するための圧力分布センサーに関するものである。
【0002】
【従来の技術】この種の圧力分布センサーとしては、例えば、一方のフィルム基材に複数の等幅の行電極を、他方のフィルム基材に複数の等幅の列電極を、それぞれ配置し、これら行・列電極が交差する態様でフィルム基材相互を貼り合わせるようにして構成したものがある。このものでは、行・列電極相互間に感圧導電インク層を介在させてあり、行・列電極の各交差点への加圧力の相違により電極間の抵抗値が変化するようになっている。
【0003】このセンサーを利用してディスプレイ画面に圧力分布として表示するには、基本的には、行・列電極間に電圧を印加し、行・列電極の交差点の抵抗値と対応する出力値を連続的にスキャンさせるようにすればよい。
【0004】しかしながら、上記形式の圧力分布センサーでは、感圧導電インク層を介した行・列電極の各交差点部分の面積が略一致していることから一種類の感度しか有していない。このため、センサーに未知の圧力をかける場合には、感度が適当でないことを起因として出力が飽和し正確に測定できない場合が発生する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】そこで、この発明では、複数種の感度を有する圧力分布センサーを提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決する為の手段】この発明の圧力分布センサーは、可撓性を有する二枚のフィルム基材1,2相互間に複数の行・列電極3,4が交差する態様で配置されていると共に、前記行・列電極3,4相互間には感圧導電インク層5を介在させてあり、行・列電極3,4の各交差点への加圧力の相違により行・列電極3,4間の抵抗が変化する形式の圧力分布センサーにおいて、行・列電極3,4のうち一方の種類の電極が、それぞれ複数種の幅を有するものとしてある。なお、前記感圧導電インク層5は、行電極3を被覆する感圧導電インクと、列電極4を被覆する感圧導電インクとにより構成されていることが好ましい。
【0007】また、この発明の圧力分布センサーを、ピンチローラやスキージの圧力バランスの測定に使用するものとした場合、前記ピンチローラやスキージに対して相対移動する方向に延びる電極が、それぞれ複数種の幅を有するものとしてある。
【0008】
【作用】この発明は次のように作用する。
【0009】このセンサーでは、行・列電極3,4のうち一方の種類の電極が、複数種の幅を有するものとしてあるから、感圧導電インク層5を介した行・列電極3,4の交差接触部は、複数種類の面積(実質的接触面積)を有するものとなる。前記接触面積により行・列電極3,4相互間の抵抗値は変化することから、電極の幅の相違するところではセンサーとしての感度は相違している。つまり、このセンサーは多種類の感度を有するものとなる。
【0010】ピンチローラやスキージの圧力バランスの測定する場合には、ピンチローラやスキージに対して相対移動する方向に延びる電極が、それぞれ複数種の幅を有するものを使用すればよい。このセンサーでは、ピンチローラやスキージに対して相対移動する方向にセンサー感度の相違する多種類の部分ができることになるから、センサーに未知の圧力をかける場合でも、一回の作業により正確に測定できる可能性が非常に高くなる。
【0011】
【実施例】この発明の構成を実施例として示した図面に従って説明する。
【0012】この実施例の圧力分布センサーは、図1に示すように、一対のピンチローラPR,PRにおける接触圧のバランスを測定するものであり、同図に示すように、測定されるローラPRの幅よりも少し幅狭(同幅でも少し幅広でもよい)に形成した主体Aと、前記主体Aの中央から直角方向に延設した端子片Bとから構成されている。このセンサーは図2〜図4に示すように、可撓性を有する二枚の半透明のフィルム基材1,2を貼合わせるようにして構成してあり、前記主体Aを行・列電極3,4が交差する域とし、端子片Bを前記行・列電極3,4からの配線30,40及び端子群31,41が形成された域としてある。なお、図1において、符号CTとして記載されているのはコネクターである。
【0013】フィルム基材1は、図3に示すように、上記主体A部分の片面に幅広の6本の行電極3を、端子片Bの片面端部に前記行電極3と対応する端子31を、前記した各電極3と各端子31とを電気的接続する配線30を、それぞれ配置したものであり、これら行電極3、配線30及び端子31は導電性インクを印刷するようにして形成されている。上記した行電極3の表面には感圧導電インク51を被覆形成してあり、他方、配線30には絶縁インクを被覆形成してある。ここで、絶縁インクは光重合性樹脂或いは熱可塑性樹脂により構成され、導電性インクは銀等の導電性粒子を分散混合した熱可塑性樹脂により構成され、感圧導電性インクは導電性粒子と非導電性粒子を分散混合した熱可塑性樹脂により構成されている。
【0014】フィルム基材2は、図4に示すように、上記主体A部分の片面に幅狭の14本の列電極4を、端子片Bの片面端部に前記列電極4と対応する端子41を、前記した各列電極4と各端子41とをそれぞれ電気的接続する配線40を、それぞれ配置したものであり、これら列電極4、配線40及び端子41は導電性インク52を印刷するようにして形成されている。前記列電極4は、図4に示すように、大・中・小幅部4a,4b,4cを有する構成としてあり、その表面には感圧導電インクを被覆形成してある。また、配線40には絶縁インクを被覆形成してある。
【0015】上記した導電性インク51,52の表面は、図6に示すように、微小な凹凸(印刷によって当然にできる表面の凹凸や導電・非導電性粒子が突出してできる凹凸等)が形成された状態となっており、図5や図6R>6に示す如きフィルム基材1,2を貼合わせた状態、即ちセンサー完成状態では、フィルム基材1,2への加圧力によるインク表面相互の実質的な接触面積変化により行・列電極3,4相互間の抵抗が変化するようになっている。つまり、この実施例では、行・列電極3,4を被覆する感圧導電インク51,52により手段の欄に記載した感圧導電インク層5を構成しているのであり、フィルム基材1,2への加圧力の増加により行・列電極3,4の抵抗値が減少するようにしているのである。
【0016】また、上記した感圧センサーの厚みは、フィルム基板1,2の厚み、電極3,4の厚み及び感圧導電インク層5等の厚みを加えて全体としては約0.1mm程度としてある。
【0017】ここで、このセンサーは上記構成としてあるから、感圧導電インク層5を介した行・列電極3,4の交差接触部は、大・中・小の三種類の実質的接触面積を有するものとなる。前記接触面積の変化により行・列電極3,4相互間の抵抗値は変化することから、電極の幅の相違するところではセンサーとしての感度は相違している。つまり、このセンサーは三種類の感度を有する。
【0018】したがって、この三種類の感度を有するセンサーを使用して、図1に示す如く、ピンチローラPR,PRにおける接触圧のバランスを測定した場合、センサーの感度が適当でないことを起因として出力が飽和状態となって正確に測定できないという問題は発生しにくいことになる。
【0019】なお、この実施例にかえて、各列電極4が2種類又は4種類以上の幅を有するものとすることができる。
【0020】また、上記実施例にかえて、列電極4を一定幅とし、各行電極3を多数種幅を有するものとすることができる。
【0021】
【発明の効果】作用の欄に記載した内容から、複数種の感度を有する圧力分布センサーを提供できた。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例の圧力分布センサーが一対のピンチローラにより挟圧された状態を示す斜視図。
【図2】前記圧力分布センサーを構成するフィルム基材相互の一部を分離させた状態を示す斜視図。
【図3】前記圧力分布センサーを構成するフィルム基材であって、行電極が配置された方のフィルム基材の平面図。
【図4】前記圧力分布センサーを構成するフィルム基材であって、列電極が配置された方のフィルム基材の平面図。
【図5】前記圧力分布センサーの断面図。
【図6】前記圧力分布センサーの拡大断面図。
【符号の説明】
1 フィルム基材
2 フィルム基材
3 行電極
4 列電極
5 感圧導電インク層

【特許請求の範囲】
【請求項1】 可撓性を有する二枚のフィルム基材(1)(2)相互間に複数の行・列電極(3)(4)が交差する態様で配置されていると共に、前記行・列電極(3)(4)相互間には感圧導電インク層(5)を介在させてあり、行・列電極(3)(4)の各交差点への加圧力の相違により行・列電極(3)(4)間の抵抗が変化する形式の圧力分布センサーにおいて、行・列電極(3)(4)のうち一方の種類の電極が、それぞれ複数種の幅を有するものとしてあることを特徴とする圧力分布センサー。
【請求項2】 感圧導電インク層(5)は、行電極(3)を被覆する感圧導電インクと、列電極(4)を被覆する感圧導電インクとにより構成されていることを特徴とする請求項1記載の圧力分布センサー。
【請求項3】 ピンチローラやスキージの圧力バランスの測定に使用する圧力分布センサーであって、前記ピンチローラやスキージに対して相対移動する方向に延びる電極が、それぞれ複数種の幅を有するものとしてあることを特徴とする請求項1又は2記載の圧力分布センサー。

【図1】
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【図2】
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【図5】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【公開番号】特開平8−327474
【公開日】平成8年(1996)12月13日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平7−131732
【出願日】平成7年(1995)5月30日
【出願人】(000111085)ニッタ株式会社 (588)