説明

圧力切替点の自動調節を伴うドエル時間制御の方法及びシステム

【課題】パリソン形成プロセス中にプランジャを駆動するために用いられる圧力及び印加タイミングを自動的に調節する方法を提供する。
【解決手段】時点tで開始して時点tで終了するパリソン形成サイクル中に、ブランク・モールド内のプランジャの位置を時間と対応させて監視して、プランジャの動きの所定の特性が検出される時点t及び他の所定の特性が検出される時点tを決定する。モールドへガラス・ゴブが装填された後、t〜tp2中に第1の圧力を加え、tp2〜tp3中に第2の圧力を加え、tp3〜t中に第3の圧力を加える。期間t〜tp2は1以上前のサイクルの期間t〜tを基にして求めた期間の所定割合の期間であり、期間t〜tp3は1以上前のサイクルの期間t〜tを基にして求めた期間の第2の所定割合の期間である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パリソン・モールドにおいてプランジャを動作させるために用いる圧力に関し、より詳細には、パリソン形成プロセス中にプランジャを駆動するために用いる一連の圧力の選択及びタイミングを自動的に調節するためのドエル(dwell:休止)時間制御システム及びドエル時間制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ガラス容器(ガラス・コンテナ)は、3つに分かれた製造プロセスにより作られる。3つに分かれた部分とは、バッチ・ハウス(batch house)、ホット・エンド(hot end)、及びコールド・エンド(cold end)である。バッチ・ハウスは、ガラスの原材料(典型的には、砂、ソーダ灰、石灰石、カレット(粉砕しリサイクルされたガラス)、及び他の材料を含む)を準備して、バッチ(1かま分、ひと焼き分)とするように混合する部分である。ホット・エンドは、最初の部分に炉を備え、その炉で、バッチにされた材料を溶かして溶融ガラスとし、その溶融ガラスは炉から流れ出す。
【0003】
溶融ガラスは、ゴブ(gob)と呼ばれるガラスの筒の形状に切断され、切断されたゴブは、重力により空(ブランク)のモールドへと落ちる。モールドは、パリソン・モールドと呼ばれることもある。ブランク・モールド内には、パリソンと呼ばれるプリ・コンテナ(pre-container、コンテナの形状にされる前の形状のもの)が形成される。このパリソンは、典型的には、金属プランジャを用いてガラスをブランク・モールドへ押し入れて形成されるが、代替例では、ガラスを下からブランク・モールドへ吹き込むことにより形成される。パリソンは、逆向きにされてモールドへ送られ、そこで吹き込みが行われてコンテナの形状にされる。アニーリング(焼きなまし)炉又は徐冷がまにおいて行われれるアニーリング・プロセスは、コンテナを加熱し、次に、そのコンテナを時間をかけてゆっくりと均等に冷却し、それにより、不均等な冷却によるストレス(変形作用)が原因でガラスが弱くならないようにする。ガラス容器製造プロセスのコールド・エンドにある装置は、コンテナが許容可能な品質を持つことを確かめるために、検査を行う。
【0004】
本発明は、ガラスをブランク・モールドへ押し込むためにプランジャを用いるパリソン形成プロセスに関連する。パリソンは、逆向きの位置でブランク・モールドで成型される。ブランク・モールドは2つの部分(半部)を有し、ブランク・モールドの2つの半部の下には2つのネック・リング・モールド(半部)が配され、それらによりモールド部分が完成する。上側に向いたプランジャは、2つのネック・リング半部を通って、ブランク・モールド半部の底部へと延びる。ブランク・モールド半部の最上部は開いており、溶融ガラスのゴブは、その開口部からブランク・モールド半部の中へ落とすようにして入れられる。ブランク・モールド半部の最上部にはバッフル(baffle)が配置され、それにより最上部の開口部を閉じる。プランジャは、ゴブに力を加えるように押し上げられ、2つのブランク・モールド半部と、2つのネック・リング半部と、バッフルとで作られる空洞全体がゴブにより満たされるようにし、それによりパリソンを形成する。このサイクルが完了すると、バッフルが取り外され、モールド半部が開かれ、そして、ネック・リング半部を用いて、パリソンをブロー(blow、吹き込み)・モジュールへと運ぶ。
【0005】
プランジャの接触時間又はドエル時間(dwell time)は、ナロー・ネック・プレス・アンド・ブロー(narrow neck press and blow)製法でのガラス容器製造プロセスや、一般のプレス・アンド・ブロー製法での製造において、特に重要なパラメータである。プランジャの接触時間すなわちドエル時間中に起きるプランジャとゴブのガラスとの完全な接触は、ガラス容器形成プロセスにおける後のプロセスで使用するために作られるパリソンの特性に対して影響を及ぼす。ドエル時間はプランジャの動きにおける摩擦やガラスの温度を含む幾つかのパラメータに依存し、また、プランジャを上側方向へ運動させるように駆動する圧力にも強く影響され得る。
【0006】
プランジャは、以前は、液圧システムを用いて駆動されていた。その例は、バーダ(Vajda)その他へ付与された米国特許第4662923号、及びピンカートン(Pinkerton)その他へ付与された米国特許第4867778号に示されている。これらの特許は本特許出願の譲受人へ譲渡されており、これらの特許の全体を、ここで参照することにより援用する。これらの特許の双方とも、プランジャの位置を監視するため、及びプランジャ位置情報を使用するために、フィードバックを使用して、パリソンの均一性及び品質を向上させるためにパリソン形成プロセスを制御する。
【0007】
プランジャ及び他のシステム・コンポーネントを動作させる際の液圧システムの使用と関連する火災の危険性を低減するために、圧縮空気を用いる空気システムが導入された。その例は、プレータ(Plater)その他へ付与された欧州特許第0691940号、及びピルスカ(Pilskar)へ付与された米国特許第5800590号に示されている。これらの特許は本特許出願の譲受人へ譲渡されており、これらの特許の全体を、ここで参照することにより援用する。欧州特許第0691940号では、プランジャの駆動ピストン及びシリンダからの位置及び圧力のフィードバック信号に基づいてマイクロコントローラにより動作させられる比例制御バルブを使用している。米国特許第5800590号では、プランジャを動作させる際に、初期的に短時間だけ高圧力を用い、続いて、初期の高圧力の約70%の低圧力を用いる。
【0008】
プランジャの動作は、それを制御することにより更に改善された。その例は、シュウェグラ(Schwegler)その他へ付与された米国特許第6050172号、及びアンヘイヤ(Anheyer)へ付与された米国特許第7290406号に示されている。これらの特許は本特許出願の譲受人へ譲渡されており、これらの特許の全体を、ここで参照することにより援用する。米国特許第6050172号では、プランジャを駆動するようにピストンの双方の側へ圧縮空気を供給するバルブのタイミングを制御している。米国特許第7290406号では、プランジャを所望の速度で駆動するためのフィードバック制御システムを提供している。
【0009】
求めた値と望ましいドエル時間とを比較した後、従来の閉ループを用いるコントローラは、望ましいドエル時間の値に対応するドエル時間が達成されるまで、プランジャを駆動させる圧力を増加又は減少させる。しかし、プランジャを動作させる圧力を単に増加させるだけでは、特にドエル時間の間に、ボトルの欠陥が生じる。これに代わる解決法は、プランジャを異なる圧力(高、中、低)で動作させることであった。しかし、この代替的な解決法は、高圧力から低圧力へ切り替える時期を選択することに関する問題を呈した。
【0010】
上記の問題の例は、クルーメ(Krumme)へ付与された欧州特許第1466871号に示されており、この特許の全体をここで参照することにより援用する。欧州特許第1466871号にはプランジャを動作させる方法が記載されており、この方法は、米国特許第5800590号で教示された技術を幾らか変更したものであり、プランジャを動作させる際に、初期の高圧力に続いて第2及び第3の低い圧力を使用する。第2の圧力の制御は、プランジャが、2つのモールド半部と2つのネック・リング半部とバッフルとで形成される空洞を、固定された時間に完全に満たすように行われる。その固定された時間となった時点で、第3の圧力での固定された加圧(プレス)時間が始まる。第3の圧力は、第2の圧力よりも低くすること(第1の実施形態)も、高くすること(代替の実施形態)も可能である。第1及び第3の圧力を印加する期間は予め定められており(機械全体が所定の速度で動作するので、第2の圧力の期間も予め定められていることを意味する)、従って、唯一の変数は、第2の圧力の印加の終了時に空洞を完全に満たしているようにするための十分な第2の圧力を選択するためのものである。
【0011】
欧州特許第1466871号の主な欠点は、プランジャが空洞を完全に満たした時点の検出が、プランジャが空洞を完全に満たした時点の実際の検出ではなく、プランジャが予め定めた位置に到達したことの検出であることである(欧州特許第1466871号の第0012段落及び請求項2を参照)。プランジャの位置の測定は、例えば、ゲイセル(Geisel)へ付与された米国特許第6185829号に開示されている装置を用いて行われる。この特許の全体を、ここで参照することにより援用する。更に、第1の圧力が維持されるのは短期間であるので、プランジャを動作させる第2の圧力は、要求された時間内に予め定めた位置へ到達するように、十分に高くする必要があるが、モールド半部が開いてしまうほど高くしてはいけない(欧州特許第1466871号の第0010段落の最後の文章を参照)。これは、システムの性能を最適化できなくし得る妥協である。このような複数の圧力を加える手法に関連する問題が原因で、殆どのガラス容器製造工場は、現在も、製造プロセスに関連する欠陥を避けるために十分な低い1つの圧力レベルのみを使用しているが、これは最適な解決法の圧力よりも間違いなく低い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
米国特許第4662923号
米国特許第4867778号
欧州特許第0691940号
米国特許第5800590号
米国特許第6050172号
米国特許第7290406号
欧州特許第1466871号
米国特許第6185829号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
上記した従来例に鑑み、ドエル時間(プランジャがパリソンと完全に接触する時間)を制御できる改善されたドエル時間制御の方法及びシステムを提供することが望まれている。また、改善されたドエル時間制御の方法及びシステムにより、圧力切替プロセスを自動化して、圧力切替プロセスが開始されるとオペレータ入力を必要としないようにすることが望まれている。更に、ドエル時間制御の方法及びシステムが、過剰な圧力が加わる状況の発生によりモールドが誤って開いてしまうことを防ぐことが望まれている。
【0014】
また、本発明のドエル時間制御の方法及びシステムは、耐久性があり長時間効果のある構成である必要があり、また、動作寿命までユーザによるメンテナンスが不要又はほぼ不要なものとする必要がある。また、市場において本発明のドエル時間制御の方法及びシステムの魅力を強調するためには、考えられ得る広い市場において購入可能とするように、低価格の構成とすることが必要である。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、上記した従来技術の欠点及び制限を解決するためになされたものである。本発明においては、プランジャの動作は、パリソンと接触するプランジャのドエル時間を最適化するように制御される。それにより圧力切替プロセスを完全に自動化することができ、圧力切替プロセスが開始されるとオペレータ入力を必要としないようにできる。また、プランジャの動作中に過剰な圧力が加わる状況が発生したことによりブランク・モールドが誤って開かれてしまうことを防ぐことができる。
【0016】
本発明のドエル時間制御の方法及びシステムは、連続的に3つの圧力を用いてプランジャを動作させ、ブランク・モールドにおいてガラス・ゴブからからパリソンを形成する。パリソンを形成するためにプランジャを動作させる時間の合計は、予め定められ変更不可である。なぜなら、それはISマシンの動作サイクル・タイミングにより確立されているからであり、従って、可変とされるタイミングは、圧力が第1の圧力から第2の圧力へ変わる時点と、第2の圧力から第3の圧力へ変わる時点とである。本発明のドエル時間制御の方法及びシステムは、これらの時点を、1以上の以前のパリソン形成サイクルから観察された圧力印加曲線に基づくものとする。
【0017】
1以上の以前のパリソン形成サイクルから観察された圧力印加曲線の2つの特徴のタイミング(時点)が求められる。1つは、モールドの上側部分がガラス・ゴブを基にしたガラスで満たされて、それによりパリソンの受ける抵抗が増加したことが、圧力印加曲線における非線形部分の発生により検出された時点であり、もう1つは、モールドがガラス・ゴブを基にしたガラスで完全に満たされて、それによりプランジャの動きが特定のレベルより下になった時点である。これらの時点(それぞれの時点は、パリソン形成プロセスの開始から測定される)を確かめることにより、圧力を変更する時点(時間)を決定することができる。
【0018】
圧力を第1の圧力から第2の圧力へと変更する時点は、モールドの上側部分がガラスで満たされた時点であり、それは、確定された時間のうちの第1の所定割合の時間が経過した時点である。圧力を第2の圧力から第3の圧力へと変更する時点は、モールドがガラスで完全に満たされた時点であり、それは、確定された時間のうちの第2の所定割合の時間が経過した時点である。以前の1つのパリソン形成サイクルから得た2つの特徴を使用することができ、また、以前の1つより多くのパリソン形成サイクルから確定された複数の時間を平均して使用することもできる。第1の所定割合は、ブロー・モールド(胴型)が強制的に開かれることを避けるように、100%よりも少なくされ、また、第2の所定割合は、最後に過剰な圧力が発生することを避けるように、100%よりも少なくされる。
【0019】
本発明のドエル時間制御の方法及びシステムを実現する方法において、ブランク・モールド内のプランジャの位置は、時点tに開始して時点tに終了する少なくとも1つのパリソン形成サイクルの間の時間と関連して監視される。監視されたそれぞれのパリソン形成サイクルにおいて、そのパリソン形成サイクル中のプランジャの動きの第1の特徴が検出される時点tが求められる。監視されたそれぞれのパリソン形成サイクルにおいて、そのパリソン形成サイクル中のプランジャの動きの第2の特徴が検出される時点tが求められる。それぞれのパリソン形成サイクルにおいて、ゴブがブランク・モールドへ入れられた後、時点tから時点tp2の間に第1の圧力を印加し、時点tp2から時点tp3の間に第2の圧力を印加し、時点tp3から時点tの間に第3の圧力を印加する。時点tから時点tp2の時間間隔は、1以上の以前のパリソン形成サイクルの時点tと時点tとの間の時間間隔を基にして求めた時間間隔の所定割合(第1の所定割合)の時間である。時点tから時点tp3の時間間隔は、1以上の以前のパリソン形成サイクルの時点tと時点tとの間の時間間隔を基にして求めた時間間隔の所定割合(第2の所定割合)の時間である。
【0020】
この方法によると、プランジャの動きの第1の特徴は、時間に対応してプランジャの動きにおいて現れる非線形性であり、これは、モールドの上側部分がガラス・ゴブを基にしたガラスで満たされたことを示すものであり、監視されたそれぞれのパリソン形成サイクルにおける時点tは、モールドの上側部分がガラス・ゴブを基にしたガラスで満たされた時点を示す。プランジャの動きの第2の特徴は、プランジャの動き関連の特徴が予め選択したレベルより低下することであり、これは、ガラス・ゴブを基にしたガラスがブランク・モールド全体に行きわたってブランク・モールドが満たされたことを示すものであり、監視されたそれぞれのパリソン形成サイクルにおける時点tは、ガラス・ゴブを基にしたガラスがブランク・モールド全体に行きわたってブランク・モールドが満たされた時点を示す。
【0021】
本発明のドエル時間制御の方法及びシステムを実現するシステムにおいて、位置センサは、ブランク・モールド内のプランジャの位置を、時点tに開始して時点tに終了する少なくとも1つのパリソン形成サイクルの間の時間と関連して監視する。制御システムは、監視されたそれぞれのパリソン形成サイクルにおいて、そのパリソン形成サイクル中のプランジャの動きの第1の特徴が検出される時点tを決定し、監視されたそれぞれのパリソン形成サイクルにおいて、そのパリソン形成サイクル中のプランジャの動きの第2の特徴が検出される時点tを決定し、それぞれのパリソン形成サイクルにおいて、ゴブがブランク・モールドへ入れられた後、加圧した媒体の供給源を動作させて、時点tから時点tp2の間に第1の圧力を印加し、時点tp2から時点tp3の間に第2の圧力を印加し、時点tp3から時点tの間に第3の圧力を印加する。時点tから時点tp2の時間間隔は制御システムにより計算されるものであり、それは、1以上の以前のパリソン形成サイクルの時点tと時点tとの間の時間間隔を基にして求めた時間間隔の所定割合(第1の所定割合)の時間として計算される。時点tから時点tp3の時間間隔は制御システムにより計算されるものであり、それは、1以上の以前のパリソン形成サイクルの時点tと時点tとの間の時間間隔を基にして求めた時間間隔の所定割合(第2の所定割合)の時間として計算される。
【0022】
即ち、本発明は、ドエル時間(プランジャがパリソンと完全に接触する時間)を制御する能力を提供する改善されたドエル時間制御の方法及びシステムを教示する。この改善されたドエル時間制御の方法及びシステムは、圧力切替プロセスを自動化し、圧力切替プロセスが開始されるとオペレータ入力を必要としないようにする。更に、ドエル時間制御の方法及びシステムは、過剰な圧力が加わる状況の発生によりモールドが誤って開いてしまうことを防ぐことができる。
【0023】
また、本発明のドエル時間制御の方法及びシステムは、耐久性があり長時間効果のある構成であり、また、動作寿命までユーザによるメンテナンスが不要又はほぼ不要である。また、市場において本発明のドエル時間制御の方法及びシステムの魅力を強調するために、考えられ得る広い市場において購入可能とするように、低価格の構成とされている。本発明のドエル時間制御の方法及びシステムの上記の利点及び目的の全ては、実質的な不利益を伴わずに達成される。
本発明の上記及び他の利点は、図面を参照することにより、より良く理解できるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】ブランク・モールドと、それに関連するプランジャ機構との概略的な断面図であり、ブランク・モールド内のガラス・ゴブと、ブランク・モールド内で詰め込み位置にあるプランジャとを示す図である。
【図2】本発明のドエル時間制御の方法及びシステムと関連する時間的に整合させた2つのグラフを示すものであり、上側のグラフは、パリソンを形成するためにガラス・ゴブへ向けて図1に示すプランジャ機構を押すために印加される圧力を示し、下側のグラフは、ブランク・モールド内でのプランジャの実際の位置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1を参照すると、ブランク・モールドと、それに関連するプランジャ機構とが示されている。モールドは、2つのモールド半部30及び32を含み、それらは、2つのネック・リング半部34及び36の上部を覆うものとして示されている。プランジャ38は、図において上側に向けて延び、モールド半部30及び32の底部へ入っている。このプランジャ38は、モールド半部30及び32内のローディング位置にある。図において、ガラス・ゴブ40は、モールド半部30及び32内へローディングされて(詰め込まれて)おり、モールド半部30及び32の上側には、モールド半部30及び32の最上部を閉じるためのバッフル42が示されている。
【0026】
プランジャ動作機構は、下側シリンダ44と、下側シリンダ44の上にある上側シリンダ46と、上側シリンダ46の最上部に取り付けられるシリンダ・キャップ48とで囲まれた空間に収容される。中空のスリーブ50は筒状の上部52を有し、筒状の上部52は、シリンダ・キャップ48を通って上側へ延び、ネック・リング半部34及び36の下側部分の間にある領域に達する。スリーブ50は、外側へ延びる環状フランジを含む中央部分と、底部56とを有する。ガイド・リング58は、スリーブ50の上部52の上に配され、プランジャ38は、スリーブ50の上部52及びガイド・リング58を通って、モールド半部30及び32の底部へと延びる。
【0027】
プランジャ38の底部は、プランジャ・ベース60の上部に取り付けられ、プランジャ・ベース60は、スリーブ50内でスライド(滑動)可能なように取り付けられる。上側シリンダ46の底部には、直径を狭くした開口部があり、その開口部にピストン・ロッド62がスライド可能なように取り付けられる。ピストン・ロッド62は、その上部端がプランジャ・ベース60の底部と接続され、その底部端がピストン64の上部と接続され、ピストン64はスライド可能なように下側シリンダ44に取り付けられる。下側シリンダ44内のピストン64の運動によりプランジャ38が駆動されることは理解されるであろう。
【0028】
冷却管66は、下側シリンダ44の閉じた底部から、上側へ向けて、ピストン64を通ってピストン・ロッド62の中空の内部まで延びており、この冷却管66を通じて冷却液を供給する。バネ68は、上側シリンダ46の内部で、上側シリンダ46の底部の上面と環状フランジ54の下面との間に延在するように取り付けられる。下側シリンダ44内のピストン64への下向きの圧力が無い状態で、バネ68は、スリーブ50の環状フランジ54に力を加えてそれをシリンダ・キャップ48の下側と接触させるようにすることにより、図1に示すように、プランジャ38をその詰め込み位置へ向ける力を加えるように機能する。
【0029】
ピストン64及びプランジャ38を上方向へ駆動するために、第1(即ち、下側)の流入口70を通して、加圧された流体(典型的には圧縮空気)が供給される。また、ピストン64及びプランジャ38を下方向へ駆動するために、加圧された流体が、第2(即ち、上側)の流入口72を通して供給される。プランジャ38を図1に示す詰め込み位置から下向きに駆動させるためには、バネ68の力に勝つ力が必要であることに留意されたい。この下方向への駆動はまた、スリーブ50及びガイド・リング58を図1に示す位置から降下させて、それらをネック・リング半部34及び36から幾らか引き出すことになる。
【0030】
加圧された流体は第1の圧力源74から供給されるものであり、第1の圧力源74からの加圧された流体の流れと、下側流入口70へ供給される加圧された流体の圧力とは、第1の比例弁76により制御される。同様に、加圧された流体は第2の圧力源78から供給されるものであり、第2の圧力源78からの加圧された流体の流れと、上側流入口72へ供給される加圧された流体の圧力とは、第2の比例弁80により制御される(なお、ここでの機能は、単にプランジャを下方向に引き出すためにピストン64を駆動するだけなので、単純なオンオフ弁でも十分である)。
【0031】
第1の比例弁(proportional valve: PV)76及び第2の比例弁80の動作は、制御システム82により制御され、制御システム82は、メモリ84にプログラムされた情報及びデータを記憶している。制御システム82の動作は、ディスプレイ86で監視することができ、入力制御部88を用いて制御することができる。プランジャ38の位置に関する情報は、位置センサ90により与えられる。位置センサ90はピストン・ロッド62の位置を監視する。ピストン・ロッド62の動きは、モールド半部30及び32内にあるプランジャ38の遠端の位置の動きに対応する。位置センサ90は、冷却管66に関してのピストン64及びピストン・ロッド62の相対的な位置の関係を用いて、プランジャ38の位置に関する入力を制御システム82へ提供する。
【0032】
次に図2を参照すると、ブランク・モールドにおいてガラス・ゴブからパリソンを形成するために、詰め込み位置(図1に示す)からプランジャ38(図1に示す)を駆動するための3圧力動作(3種の圧力を用いる動作)の例が示されている。本発明の教示によると、ここではp1、p2、及びp3として示す3つの連続して印加される圧力が、時点tで開始して時点tで終了する時間間隔の間に累積的に印加される。ブロー成型プロセスの1サイクルが、ISマシンの動作速度により決定される予め定めた変更不可の時間間隔であることは、当業者には理解されるであろう(典型的には、完全な1サイクルは約4〜5秒)。同様に、時点tで開始して時点tで終了する時間間隔は、ISマシンの動作の1サイクルにおけるタイミングに基づいて確立される、予め定めた変更不可の時間間隔である(典型的には、この時間間隔は約1秒)。
【0033】
本発明のドエル時間制御の方法及びシステムは、時点tで開始して時点tで終了する時間間隔の間に発生する2つのイベントを検出する。これらの2つのイベントが発生する時点は時点t及び時点tである。これらのイベントのうちの時点tに発生する第1のイベントは、プランジャ38(図1)がガラス・ゴブ40(図1)へ力を加えることによりガラス・ゴブ40がバッフル42(図1)に当たったときのものであり、その時点で、モールドの上側部分がガラス・ゴブ40を基にしたガラスで満たされているので、プランジャ38の更なる動きに対する抵抗の増加が非線形的になる。
【0034】
このイベントは図2の下側のグラフにおいて見ることができ、このグラフは、時点tに対応する点により、このイベント時のブランク・モールド内のプランジャ38の位置を示す。モールドの上側部分がガラス・ゴブ40を基にしたガラスで完全に満たされた時点については、ブランク・モールド内のプランジャ38の位置のグラフにおいて容易に観察できる非線形的な特徴、即ち、「急な屈曲部」がある。この時点tは、本発明のドエル時間制御の方法及びシステムにより、ブランク・モールド内のプランジャ38の位置に関する一次及び二次の微分の結果(速度及び加速度)を監視することにより、検出することができる。
【0035】
時点tに発生する第2のイベントは、プランジャ38の位置に関する一次及び二次の微分の結果(速度及び加速度)が、予め設定したレベルよりも下になったときのものであり、このイベントは、一般に、ガラス・ゴブ40を基にしたガラスがブランク・モールド全体に行きわたってブランク・モールドが完全に満たされたときに発生する。このイベントは図2の下側のグラフにおいて見ることができ、このグラフは、時点tに対応する点により、このイベント時のブランク・モールド内のプランジャ38の位置を示す。時点tから時点tまでの時間間隔はパリソン形成時間であり、「加圧時間」とも呼ばれる。時点tで開始して時点tで終了する時間間隔の間に、モールド内のガラスをパリソンにする最後の加圧が行われる。一般に「ドエル時間」と呼ばれるこの時間間隔は特定の時間間隔であり、一般には、例えば、約400ミリ秒から約600ミリ秒の間である。
【0036】
従って、本発明のドエル時間制御の方法及びシステムにより変化させるのは、本説明において時点tp2と呼ばれる、第1の圧力p1を第2の圧力P2へと変更する時点(時間)と、本説明において時点tp3と呼ばれる、第2の圧力p2を第3の圧力P3へと変更する時点(時間)とである。本発明では、引き金となる2つのイベントの起きる時間として、以前のサイクルにおけるブランク・モールド内でのプランジャ38の位置のグラフに基づいての2つのイベントに関して測定された時点t2及び時点t3を用い、それらから、プランジャ38へ印加する圧力をp1からp2へと変更する時点tp2と、プランジャ38へ印加する圧力をp2からp3へと変更する時点tp3とを計算する。
【0037】
第1の圧力p1は最も高い。なぜなら、初期の摩擦に打ち勝ってプランジャ38の動きを増進するためには高い圧力が必要だからである。しかし、ブロー・モールドが強制的に開かれることを避けるために、この高い第1の圧力を、ガラス・ゴブ40を基にしたガラスがバッフル42に当たる前に、下げる必要がある。ブロー・モールドが強制的に開かれないように、時点tと、プランジャ38へ印加される圧力がp1からp2へと変更される時点tp2との間の時点間隔は、1以上の以前のISマシン・サイクルに関しての時点tと時点tとの間の時間間隔(測定された時間間隔)の或る割合の時間とされる(なお、1より多くのISマシン・サイクルに関して時間間隔が測定された場合には平均がとられる)。
【0038】
好適な実施形態では、時点tと時点tp2との間の時間間隔は、時点tと時点tとの間の時間間隔の約60%から約95%の間の割合の時間とすることができる。より好適な実施形態では、時点tと時点tp2との間の時間間隔は、時点tと時点tとの間の時間間隔の約70%から約90%の間の割合の時間とすることができる。最適な実施形態では、時点tと時点tp2との間の時間間隔は、時点tと時点tとの間の時間間隔の約80%の割合の時間である。
【0039】
時点tと時点tp2との間の時間間隔を測定して平均するために用いる以前のサイクルの数は、好適な実施形態では、1サイクルから100サイクルの間、又は100サイクル以上とすることができる(なお、1サイクルのみを用いる場合には、平均を求める必要はない)。また、この時間間隔を測定して平均する際には、最近のサイクルのみを使用することと、より多くのサイクルを使用することとの間でのバランスをとることを考慮する。従って、より好適な実施形態では、バランスをとるために、平均を計算する際に使用するサイクルの数は約3サイクルから約20サイクルの間であり、最適の実施形態では、バランスをとるために、平均を計算する際に使用するサイクルの数は約8サイクル(8サイクル又は8サイクル前後)である。それぞれの場合において、時点tと時点tとの間の時間間隔の測定は、直前のサイクルから所定回数前のサイクルまでの間のサイクルを用いて行うことにより、それぞれの後続のサイクルに対して新たな平均を計算することができる。
【0040】
第2の圧力よりも第3の圧力p3を低くし、その高い第2の圧力により、ブランク・モールド内でのガラス・ゴブ40への加圧時間の完了を早めるようにし、低い第3の圧力により、最後に過剰な圧力が発生することを避けるようにすることができる。この場合、最後に過剰な圧力が加わることを避けるために、この高い第2の圧力p2を、ガラス・ゴブ40を基にしたガラスがブランク・モールドを満たす前に、下げる必要がある。最後に過剰な圧力が加わることを避けるために、時点tと、プランジャ38へ印加される圧力がp2からp3へと変更される時点tp3との間の時間間隔は、時点tと時点tとの間の時間間隔(測定された時間間隔)の或る割合の時間とされる。(代替の実施形態として、時点tp2と時点tとの間の測定された時間間隔の或る割合の時間とすることもでき、また、時点tと時点tとの間の測定された時間間隔の或る割合の時間とすることもできるが、これらは本発明のドエル時間制御の方法及びシステムの最適の実施形態ではない。)
【0041】
好適な実施形態では、時点tと時点tp3との間の時間間隔は、時点tと時点tとの間の時間間隔の約50%から約90%の間の割合の時間とすることができる。より好適な実施形態では、時点tと時点tp3との間の時間間隔は、時点tと時点tとの間の時間間隔の約60%から約80%の間の割合の時間とすることができる。最適な実施形態では、時点tと時点tp3との間の時間間隔は、時点tと時点tとの間の時間間隔の約70%の割合の時間である。
【0042】
時点tと時点tとの間の時間間隔を測定して平均するために用いる以前のサイクルの数は、好適な実施形態では、1サイクルから100サイクルの間、又は100サイクル以上とすることができる(なお、1サイクルのみを用いる場合には、平均を求める必要はない)。また、この時間間隔を測定して平均する際には、最近のサイクルのみを使用することと、より多くのサイクルを使用することとの間でのバランスをとることを考慮する。従って、より好適な実施形態では、バランスをとるために、平均を計算する際に使用するサイクルの数は約3サイクルから約20サイクルの間であり、最適の実施形態では、バランスをとるために、平均を計算する際に使用するサイクルの数は約8サイクル(8サイクル又は8サイクル前後)である。それぞれの場合において、時点tと時点tとの間の時間間隔の測定は、直前のサイクルから所定回数前のサイクルまでの間のサイクルを用いて行うことにより、それぞれの後続のサイクルに対して新たな平均を計算することができる。
【0043】
上記の代替の実施形態における最初のものが用いられる場合、時点tp2と時点tp3との間の時間間隔は、時点tp2と時点tとの間の時間間隔の約45%から約85%の間の割合の時間とすることができる。より好適な実施形態では、時点tp2と時点tp3との間の時間間隔は、時点tp2と時点tとの間の時間間隔の約55%から約75%の間の割合の時間とすることができる。最適な実施形態では、時点tp2と時点tp3との間の時間間隔は、時点tp2と時点tとの間の時間間隔の約65%の割合の時間である。
【0044】
幾つかの場合(例えば、口部の広いガラス容器を製造する場合など)には、圧力p3を圧力p2よりも高くすること(また、圧力p2を圧力p1よりも高くすること)が望ましい。その理由は、ドエル時間中、プランジャ38は、ブランク・モールド内のガラス・ゴブ40を基にしたパリソンと接触し、従って、動いていないか、又は極めて低い速度で動いているかの何れかであり、運動量が無いに等しい。従って、ドエル時間における圧力を、加圧時間に用いる圧力p2よりも高くすることが可能である。なお、この代替的な実施形態は、本発明のドエル時間制御の方法及びシステムの最適な実施形態ではない(おそらく、口部の広いガラス容器を製造する場合を除いて)。
【0045】
時点tで開始して時点tで終了する時間間隔は固定されており、また、時点tで開始して時点tで終了するドエル時間の長さは、例えば、約400〜600ミリ秒などのような最小の長さであることが望ましいので、代替の実施形態では、時点tに関する望ましい値を定義することを目的とすることができる。望ましい値に対応する時点tでドエル時間を開始するという目的は、第2の圧力p2のみを変化させること、又は第1の圧力p1及び第2の圧力p2の双方を固定の関係(例えば、第1の圧力p1を第2の圧力p2の1.12倍とする)で変化させることにより、比較的少ない数のパリソン形成サイクルで実現できる。
【0046】
個々のモールドの設計に依存して、様々な詰め込み工程が考慮され、他のパラメータに関しても様々な変更が可能であり、また、事実上、圧力p1、p2、及びp3のレベルに関しての全ての考えられ得る組み合わせが、幾つかの場合において理にかない得る。従って、全ての考えられ得る組み合わせが、改善されたドエル時間制御の方法及びシステムの範囲に含まれるものと見るべきである。
【0047】
従って、本発明の上記の好適な実施形態の説明から、ドエル時間(プランジャがゴブを基にしたパリソンと完全に接触している時間)を制御する能力を提供する改善されたドエル時間制御の方法及びシステムが教示されていることが理解できる。改善されたドエル時間制御の方法及びシステムは、圧力切替プロセスを自動化し、圧力切替プロセスが開始されるとオペレータ入力を必要としないようにする。また、ドエル時間制御の方法及びシステムは、過剰な圧力が加わる状況の発生によりモールドが誤って開いてしまうことを防ぐ。
【0048】
本発明のドエル時間制御の方法及びシステムは、耐久性があり長時間効果のある構成であり、また、動作寿命までユーザによるメンテナンスが不要又はほぼ不要なものである。また、本発明のドエル時間制御の方法及びシステムは、市場においてその魅力を強調するために、及び考えられ得る広い市場において購入可能とするように、低価格で構成できるものである。更には、本発明のドエル時間制御の方法及びシステムの上記の利点及び目的の全ては、実質的な不利益を伴わずに達成される。
【0049】
本発明のドエル時間制御の方法及びシステムの上記の説明は、特定の実施形態及びそれらの応用に関してのものであるが、それらは例として示したものであり、それらが全てであることを意味しておらず、また、本発明を特定の実施形態及びそれらの応用に限定することも意図していない。当業者であれば、本発明に対する多くの変更例、改造例、変形例、代替例を構成できることが理解でき、それらの例は、本発明の精神及び範囲から離れたものではない。本発明の原理の最適の例及び実際的な応用を示すために、特定の実施形態及び応用が選択され説明されたので、意図される特定の使用状況に適するように、当業者により本発明を様々な実施形態で用いること、及び本発明に様々な変更を加えることが可能とされた。従って、それらのような変更例、改造例、変形例、代替例の全ては、公正で法律的で衡平法的な幅をもって解釈する際には、特許請求の範囲で定めた本発明の精神及び範囲の中にあると見るべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス・ゴブからパリソンを成型するために、所定の圧力で加圧媒体源から媒体をシリンダに印加して、該シリンダ内のピストンにより駆動されるプランジャをブランク・モールド内で動作させる方法であって、
時点tで開始して時点tで終了する少なくとも1つのパリソン形成サイクルの間に、前記ブランク・モールド内の前記プランジャの位置を、時間と対応させて監視するステップと、
監視された前記パリソン形成サイクルそれぞれにおいて、前記プランジャの動きの第1の特性が検出される時点tを決定するステップと、
監視された前記パリソン形成サイクルそれぞれにおいて、前記プランジャの動きの第2の特性が検出される時点tを決定するステップと、
前記パリソン形成サイクルそれぞれにおいて、前記ブランク・モールドへ前記ガラス・ゴブが詰め込まれた後に、前記時点tから時点tp2の間に第1の圧力を加え、前記時点tp2から時点tp3の間に第2の圧力を加え、前記時点tp3から前記時点tの間に第3の圧力を加えるステップと
を含み、
前記時点tから前記時点tp2の間の期間は、1以上の以前のパリソン形成サイクルの前記時点tと前記時点tとの間の期間を基にして求めた期間の第1の所定割合の期間であり、
前記時点tから前記時点tp3の間の期間は、前記1以上の以前のパリソン形成サイクルの前記時点tと前記時点tとの間の期間を基にして求めた期間の第2の所定割合の期間である
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、前記プランジャの動きにおける前記第1の特性は、時間に対応しての前記プランジャの動きにおいて現れる非線形的な動き含み、前記非線形的な動きは、前記ブランク・モールドの上側部分が前記ガラス・ゴブを基にしたガラスで満たされたことを示すものであることを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法において、前記時点tを決定するステップは、監視された前記パリソン形成サイクルそれぞれにおいて、前記ブランク・モールドの上側部分が前記ガラス・ゴブを基にしたガラスで満たされた時点である前記時点tを決定するステップであることを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法において、前記プランジャの動きにおける前記第2の特性は、前記プランジャの動きに関連する特性が予め選択したレベルより低下することを含み、該予め選択したレベルより低下することは、前記ガラス・ゴブを基にしたガラスが前記ブランク・モールド全体に行きわたって前記ブランク・モールドが完全に満たされたことを示すものであることを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法において、前記時点tを決定するステップは、監視された前記パリソン形成サイクルそれぞれにおいて、前記ガラス・ゴブを基にしたガラスが前記ブランク・モールド全体に行きわたって前記ブランク・モールドが完全に満たされた時点として前記時点tを決定するステップであることを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法において、前記第1の圧力は、前記第2の圧力又は前記第3の圧力よりも高いことを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項6に記載の方法において、前記第2の圧力は前記第3の圧力よりも高いことを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項6に記載の方法において、前記第3の圧力は前記第2の圧力よりも高いことを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項1に記載の方法において、前記監視するステップは、前記時点tに開始して前記時点tに終了する前記パリソン形成サイクルそれぞれの間に、前記ブランク・モールド内の前記プランジャの位置を時間と関連して監視するステップであることを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法において、
前記時点tを決定するステップは、前記パリソン形成サイクルそれぞれにおける、時間に対応しての前記ブランク・モールド内の前記プランジャの動きが非線形的となる時点を前記時点tとして特定するステップであって、前記非線形的な動きは、前記プランジャの更なる動きに対する抵抗の増加を示すものである、ステップであり、
前記時点tを決定するステップは、前記パリソン形成サイクルそれぞれにおける、時間に対応しての前記ブランク・モールド内の前記プランジャの動きが加圧サイクルの終わりを示す最小閾値より下になる時点を、前記時点tとして特定するステップである
ことを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法において、前記パリソン形成サイクルそれぞれに対する前記時点tは、該パリソン形成サイクルの直前のパリソン形成サイクルから所定回数前のサイクルまでの間の複数のパリソン形成サイクルで測定された複数の時点tの平均に基づいて決定されることを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法において、前記パリソン形成サイクルそれぞれに対する前記時点tは、該パリソン形成サイクルの約8個前のパリソン形成サイクルまでのパリソン形成サイクルで測定された約8個の時点tの平均に基づいて決定されることを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項10に記載の方法において、前記パリソン形成サイクルそれぞれに対する前記時点tは、該パリソン形成サイクルの直前のパリソン形成サイクルから所定回数前のサイクルまでの間の複数のパリソン形成サイクルで測定された複数の時点tの平均に基づいて決定されることを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法において、前記パリソン形成サイクルそれぞれに対する前記時点tは、該パリソン形成サイクルの約8個前のパリソン形成サイクルまでのパリソン形成サイクルで測定された約8個の時点tの平均に基づいて決定されることを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項10に記載の方法において、前記第1の所定割合は約80%であることを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項10に記載の方法において、前記第2の所定割合は約70%であることを特徴とする方法。
【請求項17】
請求項1に記載の方法において、前記第2の圧力、又は前記第1の圧力と前記第2の圧力との双方を調節して、前記時点tと時点tとの間の期間の望ましいドエル時間を決定することを特徴とする方法。
【請求項18】
ガラス・ゴブからパリソンを成型するために、加圧媒体源から選択された圧力で媒体をシリンダに印加して該シリンダ内のピストンにより駆動されるプランジャをブランク・モールド内で動作させる方法であって、
それぞれが時点tで開始して時点tで終了する複数のパリソン形成サイクルの間に、前記ブランク・モールド内の前記プランジャの位置を時間と対応させて監視するステップと、
監視された前記パリソン形成サイクルそれぞれにおいて、時間に対応する前記プランジャの動きにおいて非線形的な動きが呈示される時点tを決定するステップであって、前記非線形的な動きは、前記ブランク・モールドの上側部分が前記ガラス・ゴブを基にしたガラスで満たされたことを示すものである、時点tを決定するステップと、
監視された前記パリソン形成サイクルそれぞれにおいて、前記プランジャの動きに関連する特徴の少なくとも1つが予め選択したレベルより低下する時点tを決定するステップであって、該予め選択したレベルより低下することは、前記ガラス・ゴブを基にしたガラスが前記ブランク・モールド全体に行きわたって前記ブランク・モールドが完全に満たされたことを示すものである、時点tを決定するステップと、
前記パリソン形成サイクルそれぞれにおいて、前記ブランク・モールドへ前記ガラス・ゴブが詰め込まれた後に、前記時点tから時点tp2の間に第1の圧力を加え、前記時点tp2から時点tp3の間に第2の圧力を加え、前記時点tp3から前記時点tの間に第3の圧力を加えるステップと
を含み、
前記パリソン形成サイクルそれぞれの前記時点tから前記時点tp2の間の期間は、前記時点tと前記時点tとの間の期間の第1の所定割合の時間であり、
前記パリソン形成サイクルそれぞれの前記時点tから前記時点tp3の間の期間は、前記時点tと前記時点tとの間の期間の第2の所定割合の時間である
ことを特徴とする方法。
【請求項19】
ガラス・ゴブからパリソンを成型するために、加圧媒体源から選択された圧力で媒体をシリンダに印加して該シリンダ内のピストンにより駆動されるプランジャをブランク・モールド内で動作させる方法であって、
それぞれが時点tで開始して時点tで終了する複数のパリソン形成サイクルの間に、前記ブランク・モールド内の前記プランジャの位置を時間と対応させて監視するステップと、
監視された前記パリソン形成サイクルぞれぞれにおいて、前記ブランク・モールドの上側部分が前記ガラス・ゴブを基にしたガラスで満たされ時点である時点tを決定するステップと、
監視された前記パリソン形成サイクルそれぞれにおいて、前記ガラス・ゴブを基にしたガラスが前記ブランク・モールド全体に行きわたって前記ブランク・モールドが完全に満たされた時点である時点tを決定するステップと、
前記パリソン形成サイクルそれぞれにおいて、前記ブランク・モールドへ前記ガラス・ゴブが詰め込まれた後に、前記時点tから時点tp2の間に第1の圧力を加え、前記時点tp2から時点tp3の間に第2の圧力を加え、前記時点tp3から前記時点tの間に第3の圧力を加えるステップと
を含み、
前記時点tから前記時点tp2の間の期間は、1以上の以前のパリソン形成サイクルの前記時点tと前記時点tとの間の期間を基にして求めた期間の第1の所定割合の期間であり、
前記時点tから前記時点tp3の間の期間は、前記1以上の以前のパリソン形成サイクルの前記時点tと前記時点tとの間の期間を基にして求めた期間の第2の所定割合の期間である
ことを特徴とする方法。
【請求項20】
ブランク・モールドでパリソンを成型するために、加圧媒体源から選択された圧力で媒体をシリンダに印加して該シリンダ内のピストンにより駆動されるプランジャを動作させるシステムであって、
時点tで開始して時点tで終了する少なくとも1つのパリソン形成サイクルの間に、前記ブランク・モールド内の前記プランジャの位置を時間と対応させて監視する位置センサと、
制御システムであって、
監視された前記パリソン形成サイクルそれぞれにおいて、該パリソン形成サイクル中に前記プランジャの動きにおける第1の特性が検出される時点tを決定し、
監視された前記パリソン形成サイクルそれぞれにおいて、該パリソン形成サイクル中の前記プランジャの動きにおける第2の特性が検出される時点tを決定し、
前記パリソン形成サイクルそれぞれにおいて、前記ブランク・モールドへ前記ガラス・ゴブが詰め込まれた後に、加圧された媒体を供給する前記加圧媒体源を動作させて、前記時点tから時点tp2の間に第1の圧力を加え、前記時点tp2から時点tp3の間に第2の圧力を加え、前記時点tp3から前記時点tの間に第3の圧力を加える
ように制御する制御システムと
を備え、
前記制御システムは、前記時点tから前記時点tp2の間の期間を計算するよう構成され、該計算で求められる前記期間は、1以上の以前のパリソン形成サイクルの前記時点tと前記時点tとの間の期間を基にして求めた期間の第1の所定割合の期間であり、
前記制御システムは、前記時点tから前記時点tp3の間の期間を計算するよう構成され、該計算で求められる前記期間は、前記1以上の以前のパリソン形成サイクルの前記時点tと前記時点tとの間の期間を基にして求めた期間の第2の所定割合の期間である
ことを特徴とするシステム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−60359(P2013−60359A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−194720(P2012−194720)
【出願日】平成24年9月5日(2012.9.5)
【出願人】(598152242)エムハート・グラス・ソシエテ・アノニム (49)