説明

圧力測定装置、特に血圧測定装置

本発明は、計器と衝撃減衰機構とを備えた圧力測定装置、特に血圧測定装置に関する。本発明によれば、前記計器を前記衝撃減衰機構と連結するためのねじ結合部が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、計器と衝撃減衰機構とを備えた圧力測定装置、特に血圧測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記種類の圧力測定装置は例えば特許文献1により公知である。その際、リテーナと称される保持部320によって衝撃減衰機構が形成されており、この保持部に計器が埋め込まれている。計器を保持部から外に動かす力が計器に作用する限り、保持部自体は衝撃減衰効果を発揮しない。
【0003】
さらに、圧力測定装置において匹敵する衝撃減衰機構が特許文献2により公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2006/099578号パンフレット
【特許文献2】米国特許出願公開第2004/0083816号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、特許文献1により公知の圧力測定装置を改良し、計器が衝撃等による破損に備えて一層良好に保護されているようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によればこの課題は、前記計器を前記衝撃減衰機構と連結するためのねじ結合部によって解決される。
【0007】
本発明の根底にある認識は、互いに結合される両方の部品の信頼できる連結をねじ結合部が保証し、しかもあらゆる空間方向で保証することである。このねじ結合部は例えば圧縮荷重だけでなく引張荷重にも耐える。これにより計器は衝撃等による破損から確実に保護され、しかも衝撃の作用する方向にかかわりなく保護されている。
【0008】
本発明により好ましくは、前記計器および/または前記衝撃減衰機構が1つの穴を有し、前記穴のなかに前記ねじ結合部の雌ねじが配置されている。
【0009】
換言するなら、当該ねじ結合部の雌ねじは計器に、衝撃減衰機構に、またはそれぞれ両方に取付けておくことができる。
【0010】
同様に本発明により好ましくは、前記衝撃減衰機構および/または前記計器が1つの突出部を有し、前記突出部に前記ねじ結合部の雄ねじが配置されている。
【0011】
つまりやはり妥当することとして、当該突出部は計器に、衝撃減衰機構に、またはそれぞれ両方に配置しておくことができる。
【0012】
本発明により好ましくは、前記ねじ結合部の雌ねじおよび/または雄ねじが前記計器または前記衝撃減衰機構と一体に形成されている。
【0013】
このような構成は部品点数が少ないという利点を有する。
【0014】
しかし本発明によれば付加的にまたは選択的に、前記ねじ結合部の雌ねじをねじ付インサートに形成しておくこともできる。
【0015】
このようなねじ付インサートは、本発明により好ましくは、計器または衝撃減衰機構の、ねじ結合部用雌ねじが内部に設けられる穴のなかに配置されている。
【0016】
本発明によりさらに好ましくは、圧力測定装置がハウジングを有し、前記ねじ付インサートが前記衝撃減衰機構の突出部を前記ハウジングのアンダカットに押し込む。
【0017】
換言するならこの構成においてねじ付インサートはねじ結合部の部品として利用されるだけでなく、衝撃減衰機構をハウジングで保持するのにも利用される。
【0018】
本発明によりさらに好ましくは、ハウジングが前記圧力測定装置に設けられており、前記衝撃減衰機構が前記ハウジングに固着されている。
【0019】
この固着は任意の仕方で、特に形状接合、摩擦接合または固着要素によって実現しておくことができる。
【0020】
本発明の特別好ましい1実施形態によれば、前記ねじ結合部の雌ねじが通路の内壁に取付けられており、前記通路を介して前記計器が外界と結合されている。こうして通路は2つの目的のために利用され、つまり一方で計器を外界と結合し、他方で雌ねじを受容するために利用される。
【0021】
計器を外界と結合するために、例えば、その圧力を測定されるべき気体(空気)が通路を通して計器に供給されるようにすることができる。あるいは、支配的圧力に依存して回される波形を通路が受容することによって、通路は機械的測定変量を伝達するのに利用することもできる。最後に、通路は線路、例えば測定変量を伝達するための電気線路を受容することもできる。
【0022】
好ましくは、衝撃減衰機構を基準に計器の回動を防止するための機構が設けられている。
【0023】
このような回動防止機構は(読み取られる)測定結果の精度に有益である。
【0024】
本発明により好ましくは、前記回動防止機構が異形部を有する。換言するなら、この回動防止機構は摩擦接合および/または形状接合の原理に基づいている。異形部はリブ、波形等とすることができる。
【0025】
上記ねじ結合部の代わりに、またはそれを補足して、本発明では衝撃等による破損から計器を一層良好に保護するとの課題を解決するために、前記衝撃減衰機構は計器の底の側またはねじ結合部の側にある計器エッジの囲いを有する。
【0026】
ねじ結合部が設けられている限り、計器の底の側はねじ結合部の側と一致している。
【0027】
前記囲いは、好ましくは前記計器を前記エッジに沿って取り囲んでいる。
【0028】
換言するなら、囲いは計器を周方向で完全に包囲している。これにより囲いは衝撃減衰の他に計器の密封にも利用することができる。
【0029】
さらに好ましくは、前記囲いに導入斜面が設けられている。
【0030】
この構成は、囲い内への計器の嵌挿を容易とする。
【0031】
本発明によりやはり好ましくは、測定精度/読取精度を高めるために、前記囲いを基準に前記計器の回動を防止するための機構を設けておくことができる。
【0032】
前記回動防止機構はやはり異形部を有することができ、この異形部はリブ、波形等とすることができる。
【0033】
囲いは基本的に任意に形成しておくことができる。特に、囲いは衝撃減衰機構のうち螺着に役立つ部品と一体に形成しておくことができる。本発明により好ましくは、囲いが圧力測定装置のハウジングに固着されている。
【0034】
このような固着はやはり任意に、特に摩擦接合、形状接合または固着要素によって行うことができる。
【0035】
本発明により好ましくは、前記衝撃減衰機構の(他の)1つの部品は前記底または前記ねじ結合部とは反対の計器側にある。
【0036】
ねじ結合部は‐上で詳しく述べたように‐あらゆる空間方向からの衝撃に対して保護を既に提供するのではあるが、このような他の保護措置を講じるのが有利であり、または必要でさえあることがある。
【0037】
衝撃減衰機構の(他の)1つの部品はやはり個別の部材または個別の構造群によって形成しておくことができ、あるいは囲いと一体に、および/または衝撃減衰機構の、ねじ結合部に付属する部品と一体に形成しておくこともできる。
【0038】
好ましくはさらに、前記計器と前記衝撃減衰機構の、前記底または前記ねじ結合部とは反対の計器側にある部品との間に間座が設けられている。
【0039】
このような間座は衝撃減衰機構の個々の部品の間に、計器を受容するための空間を提供する。この空間は例えば、衝撃減衰機構の1部品または1構造群が圧縮荷重を受ける場合も維持される。このような圧縮荷重(予荷重)は計器の密封性を高めるうえで有意義なことがある。
【0040】
やはり測定精度/読取精度を高めるために本発明によれば、前記計器を基準に前記間座の回動を防止するための機構が設けられている。
【0041】
同じ理由から、本発明によればさらに好ましくは、前記間座を基準に読取目盛の回動を防止するための機構が設けられている。
【0042】
この回動防止機構によって、計器を基準に読取目盛の回動も阻止されており、測定精度と読取精度は維持される。
【0043】
本発明により好ましくは前記衝撃減衰機構の少なくとも1つの部品がショアA40°〜80°の硬さを有する。
【0044】
最後に、前記衝撃減衰機構の少なくとも1つの部品は下記素材の単数または複数を有する:
‐合成ゴム、好ましくはニトリルブタジエンゴム(NBR)、
‐ターポリマーエラストマー(ゴム)、好ましくはエチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、
‐シリコーン。
【0045】
本発明により構成した圧力測定装置において寸法も硬さも好適に設計すると1.5mまでの高さからの自由落下に対する耐衝撃性が達成される。
【0046】
以下、本発明は好ましい実施例に基づいて添付図面を参考に他の細部と共に詳しく説明される。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の好ましい1実施形態による血圧測定装置の諸部品の略展開断面図である。
【図2】本発明の別の実施例を図1と同じ図で示す。
【図3】本発明のさらに別の実施例を図1、図2と同じ図で示す。
【図4】本発明のさらに別の実施例を図1〜図3と同じ図で示す。
【発明を実施するための形態】
【0048】
図1の血圧測定装置に付属するのは計器10、計器エッジ14用の囲い12、ダンパ14、ハウジング16およびねじ付インサート18である。囲い12は囲い12内への計器10の導入を容易とするために導入斜面20を有する。雄ねじ24を備えた突出部22が計器10に取付けられている。ねじ付インサート18は対応する雌ねじ26を有する。アンダカット32を備えた突出部30がハウジング16の底28に取付けられている。組立状態のときねじ付インサート18がビード34をアンダカット32に押し込み、ダンパ14は形状接合式にハウジング16で保持されている。
【0049】
図2の血圧測定装置は実質的に図1のものと同様に構成されており、つまり特にねじ付インサート18を備えたダンパ14と囲い12とを有する。しかし付加的に、目盛円板36と間座38と計器10とを介してダンパ14で支えられるダンパ40が設けられている。このダンパ40は、固定リング44をハウジング16に螺着することによって、透明プラスチック円板42を介装して固定リング44によって図2で押し下げられる。このため固定リング44に(図示しない)雌ねじが設けられている一方、ハウジング16は(図示しない)雄ねじを有する。
【0050】
従ってダンパ14、40および囲い12に作用する予荷重は血圧測定装置の密封に寄与する。
【0051】
図3の実施例は図2の実施例に実質一致しているが、しかしねじ付インサート18を備えたダンパ14を有していない。従って突出部22も計器に設けられていない。こうして図3の実施例ではダンパ40と囲い12のみが衝撃防止と密封とに役立つ。
【0052】
図4が示す実施例では囲い12がダンパ14と一体に実施されている。認めることのできる通路46は、その圧力を測定されねばならない空気を計器10に供給するのに役立つ。通路46の延長部を形成する通路48がねじ付インサート18の内部と通じている。そのことが図面に示してはないが、計器は計器を通路48もしくは46と結合する他の通路を有する。
【0053】
図2と図3では目盛円板36に回動防止機構50が突出部の態様で設けられており、この突出部が間座38の(図示しない)対応する溝内に係合する。符号51は間座38に配置される回動防止機構である。
【0054】
さらになお他の回動防止機構が設けられているが、それらは図示されていない。囲い12とダンパ14とダンパ40とで表面がそれぞれ波形段面を備えており、こうしてこれらの表面にそれぞれ当接する部材(ハウジング16、計器10、間座38および/またはねじ付インサート18)は回動を防止されている。
【0055】
以上の明細書、特許請求の範囲および図面に開示された本発明の特徴は個々に、または任意に組合せても、さまざまな実施形態で本発明を実現するうえで本質的たり得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
計器(10)と衝撃減衰機構(12、14、40)とを備えた圧力測定装置、特に血圧測定装置において、前記計器を前記衝撃減衰機構と連結するためのねじ結合部(24、26)を特徴とする圧力測定装置。
【請求項2】
前記計器(10)および/または前記衝撃減衰機構(12、14、40)が1つの穴を有し、前記穴のなかに前記ねじ結合部(24、26)の雌ねじ(26)が配置されていることを特徴とする、請求項1記載の圧力測定装置。
【請求項3】
前記衝撃減衰機構(12、14、40)および/または前記計器(10)が1つの突出部(22)を有し、前記突出部に前記ねじ結合部(24、26)の雄ねじ(24)が配置されていることを特徴とする、請求項1または2記載の圧力測定装置。
【請求項4】
前記ねじ結合部(24、26)の雌ねじおよび/または雄ねじが前記計器(10)または前記衝撃減衰機構(12、14、40)と一体に形成されていることを特徴とする、先行請求項のいずれか1項記載の圧力測定装置。
【請求項5】
前記ねじ結合部(24、26)の雌ねじ(26)がねじ付インサート(18)に形成されていることを特徴とする、先行請求項のいずれか1項記載の圧力測定装置。
【請求項6】
ハウジング(16)と、前記ねじ付インサート(18)が前記衝撃減衰機構(12、14、40)の突出部(34)を前記ハウジングのアンダカット(32)に押し込むこととを特徴とする、請求項5記載の圧力測定装置。
【請求項7】
ハウジング(16)と、前記衝撃減衰機構(12、14、40)が前記ハウジングに固着されていることとを特徴とする、先行請求項のいずれか1項記載の圧力測定装置。
【請求項8】
前記ねじ結合部の雌ねじ(26)が通路(48)の内壁に取付けられており、前記通路を介して前記計器(10)が外界と結合されていることを特徴とする、先行請求項のいずれか1項記載の圧力測定装置。
【請求項9】
前記衝撃減衰機構を基準に前記計器(10)の回動を防止するための機構を特徴とする、先行請求項のいずれか1項記載の圧力測定装置。
【請求項10】
前記回動防止機構が異形部を有することを特徴とする、請求項9記載の圧力測定装置。
【請求項11】
計器(10)と衝撃減衰機構(12、14、40)とを有する特に先行請求項のいずれか1項記載の圧力測定装置において、前記衝撃減衰機構が、前記計器の底(28)の側または前記ねじ結合部(24、26)の側にある計器エッジ(14)の囲い(12)を有することを特徴とする圧力測定装置。
【請求項12】
前記囲い(12)が前記計器(10)を前記エッジ(14)に沿って取り囲んでいることを特徴とする、請求項11記載の圧力測定装置。
【請求項13】
前記囲い(12)の導入斜面(20)を特徴とする、請求項11または12記載の圧力測定装置。
【請求項14】
前記囲い(12)を基準に前記計器(10)の回動を防止するための機構を特徴とする、請求項11〜13のいずれか1項記載の圧力測定装置。
【請求項15】
前記回動防止機構が異形部を有する、請求項14記載の圧力測定装置。
【請求項16】
ハウジング(16)と、前記囲い(12)が前記ハウジングに固着されていることとを特徴とする、請求項11〜15のいずれか1項記載の圧力測定装置。
【請求項17】
前記衝撃減衰機構(12、14、40)の1つの部品(12、14)が前記計器(10)の、前記底(28)または前記ねじ結合部(24、26)とは反対の側にあることを特徴とする、先行請求項のいずれか1項記載の圧力測定装置。
【請求項18】
前記計器(10)と前記衝撃減衰機構(12、14、40)の、前記底(28)または前記ねじ結合部(24、26)とは反対の計器側にある部品との間の間座(38)を特徴とする、請求項17記載の圧力測定装置。
【請求項19】
前記計器(10)を基準に前記間座(38)の回動を防止するための機構(51)を特徴とする、請求項18記載の圧力測定装置。
【請求項20】
前記間座(38)を基準に読取目盛(36)の回動を防止するための機構(50)を特徴とする、請求項17〜19のいずれか1項記載の圧力測定装置。
【請求項21】
前記衝撃減衰機構(12、14、40)の少なくとも1つの部品がショアA40°〜80°の硬さを有することを特徴とする、先行請求項のいずれか1項記載の圧力測定装置。
【請求項22】
前記衝撃減衰機構(12、14、40)の少なくとも1つの部品が
‐合成ゴム、好ましくはニトリルブタジエンゴム(NBR)、
‐ターポリマーエラストマー(ゴム)、好ましくはエチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、
‐シリコーン
上記素材の単数または複数を有することを特徴とする、先行請求項のいずれか1項記載の圧力測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2010−538711(P2010−538711A)
【公表日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−524355(P2010−524355)
【出願日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際出願番号】PCT/EP2007/007994
【国際公開番号】WO2009/036777
【国際公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(510071404)ルドルフ リースター ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (1)
【Fターム(参考)】