説明

圧縮流体混合物からのスペクトル付着

圧縮流体とマーキング物質トン混合物から複数のスペクトル反射の付着を作る装置及び方法が提供される。その方法は、レシーバを設け、圧縮流体溶媒とマーキング物質との混合物をレシーバに供給することにより、レシーバにマーキング物質を制御可能に付着し、その混合物は、レシーバへの供給の前に第1の条件で配合され、そのマーキング物質は、レシーバに到達する前に圧縮流体溶媒から解放され、圧縮流体溶媒とマーキング物質との混合物をレシーバに供給することにより、レシーバにマーキング物質を制御可能に付着し、その混合物は、レシーバへの供給の前に第2の条件で配合され、そのマーキング物質は、レシーバに到達する前に圧縮流体溶媒から解放され、第2の条件は第1の条件と異なることを有する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して印刷に関するものであり、特に複数のスペクトル付着を作る無溶媒マーキング物質での印刷に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェットプリンタは既知である。従来のインクジェットプリンタでは、インクはプリントヘッド(複数の放出装置とノズルとを有する)を通じてドロップ形式で放出され、連続的に又は要求に応じてレシーバに放出される。従来のインクは、一般的に着色剤(染料又は顔料)と、少なくとも溶媒とを有する。インクは、使用のためにインクタンク又はインクカートリッジに保管され、タンク又はカートリッジは、複数の既知の方法のうちの1つでプリントヘッドと液体関係で接続されている。複数色のインクジェットプリンタでは、プリンタは、複数のこれらのインクタンク又はインクカートリッジを有し、各タンク又はカートリッジは、異なる色又は色合いを有するインクを有する。
【0003】
従来のインクジェットプリンタは欠点を有する。所望のプリンタの生産性(しばしばスループットと呼ばれる)を維持する一方で、高画質メトリック(例えば高解像度の画像(900ドット/インチにに近い画像))を実現するために、プリンタヘッドは、頻繁に作動する多数の放出装置を一般的に有する。これは、放出インクの粘度を制限する。従って、通常では、インクの粘度は例えば水のような溶媒を追加することにより下げられる。溶媒の含有量の増加は、インクがレシーバに付着した後のインク乾燥時間を遅くする結果を生じる。そこで、このことがプリンタの生産性を減少させる。溶媒の含有量の増加はまた、画質メトリック(例えば画像解像度)に悪影響を及ぼす画像不良(例えば画像ブリード)の増加をも生じ得る。
【0004】
従来のインクジェットプリンタの他の欠点は、部分的又は完全に詰まるようになり、そのため使用不可能になるノズルを有する。一般的に、これは、乾燥したインクの集積、及び/又はノズル内とノズル周辺との残骸(例えば、紙の粉塵、汚れ等)により生じる。この問題を低減するために、グリコール又はグリセロールのような溶媒が、前述のような問題に導き得るインクに追加される。
【0005】
従来のインクジェットプリンタの他の欠点は、複数色の画像が望まれる場合には、複数色のインクタンク又はカートリッジを使用することを有する。これは、異なるインク色を含む各タンク又はカートリッジを備えた別個のインクタンク又はカートリッジが必要になるため、複数色の印刷に関連するコストを増加させる。
【0006】
ガス状放射を使用してレシーバに物質を付着する技術は既知である。例えば、2000年9月12日に発行された米国特許第6,116,718号において、Peeters他は、放射ガスがチャネルを通過し、マーキング物質が制御可能に放射ストリームに取り込まれ、十分な運動エネルギーでレシーバに非コロイド状の固体若しくは半固体の微粒子又は液体を放射する弾道エアゾールを形成し、レシーバにマーキング物質を融合させる。この技術では、マーキング物質と放射ストリームが2つの異なるエンティティであり、放射剤がマーキング物質に運動エネルギーを与えるために使用されるという問題が存在する。マーキング物質がチャネルで放射ストリームに追加されるときに、プリントヘッドを出る前に、非コロイド状の弾道エアゾールが形成される。この非コロイド状の弾道エアゾールは、マーキング物質と放射剤との合成であるが、熱力学的に安定的/準安定的ではない。従って、マーキング物質は放射剤に沈殿する傾向にあり、次にマーキング物質の塊を引き起こし、放出装置の障害及びマーキング物質の付着に対する不十分な制御に導き得る。
【0007】
WO02/45868A2において、Huck他は、圧縮二酸化炭素を使用してウエハーの表面にパターンを作る方法を開示している。その方法は、圧縮二酸化炭素を含む溶媒フェーズに物質を溶解又は懸濁し、溶液又は懸濁をウエハーの表面に付着し、物質のパターン付着を残して溶解フェーズを蒸発することを有する。ウエハーは、親水性及び疎水性の領域をウエハーに提供するリソグラフィーを使用してパターン化される。ウエハー表面への溶液(又は懸濁)の付着に続いて、溶媒フェーズの蒸発の後に、物質(ポリマー)は親水性又は疎水性の領域のうちの1つに付着する。溶液(又は懸濁)は、液滴又はフェザードスプレーの形式でウエハー表面に付着する。
【0008】
この方法は、フェザードスプレーを使用した付着は、付着の前にウエハー表面が予めパターン化されることを必要とするため、欠点を有する。従って、スプレーの発散面(フェザード)のため、ウエハー表面の直接のパターン化は不可能である。更に、予めパターン化されていないウエハー表面は、この方法を使用してパターン化することができない。この方法はまた、液滴(又はフェザードスプレー)が蒸発し得るように、乾燥時間を必要とする。溶媒フェーズの蒸発に関連する時間の間に、溶媒及び物質が拡散し得る。
【0009】
薄膜を作るために超臨界流体溶媒を使用する技術も既知である。例えば、1988年3月29日に発行された米国特許第4,734,227において、R.D.Smithは、超臨界流体溶液への固形物の溶解を通じて固体薄膜を付着し、又は微粉を生成し、急速に溶液を広げ、微粒又は細長い繊維質の形式でマーキング物質の粒子を作り、それが膜を作るために使用され得る方法を開示している。この方法では、超臨界流体溶液の自由噴流拡大が、レシーバに高解像度のパターンを作ることができない非平行/焦点ぼけのスプレーを生じるという問題が存在する。更に、焦点ボケはマーキング物質の損失に導く。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従って、レシーバに複数のスペクトル付着を作るマーキング物質の無溶媒の付着を可能にする技術の必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の1つの特徴によれば、印刷方法は、レシーバを設け、圧縮流体溶媒とマーキング物質との混合物をレシーバに供給することにより、レシーバにマーキング物質を制御可能に付着し、その混合物は、レシーバへの供給の前に第1の条件で配合され、そのマーキング物質は、レシーバに到達する前に圧縮流体溶媒から解放され、圧縮流体溶媒とマーキング物質との混合物をレシーバに供給することにより、レシーバにマーキング物質を制御可能に付着し、その混合物は、レシーバへの供給の前に第2の条件で配合され、そのマーキング物質は、レシーバに到達する前に圧縮流体溶媒から解放され、第2の条件は第1の条件と異なることを有する。
【0012】
本発明の他の特徴によれば、印刷方法は、レシーバを設け、圧縮流体溶媒と第1のマーキング物質との混合物をレシーバに供給することにより、レシーバに第1のマーキング物質を制御可能に付着し、その混合物は、レシーバへの供給の前に第1の条件で配合され、その第1のマーキング物質は、レシーバに到達する前に圧縮流体溶媒から解放され、圧縮流体溶媒と第1のマーキング物質との混合物をレシーバに供給することにより、レシーバに第1のマーキング物質を制御可能に付着し、その混合物は、レシーバへの供給の前に第2の条件で配合され、その第1のマーキング物質は、レシーバに到達する前に圧縮流体溶媒から解放され、第2の条件は第1の条件と異なり、第2のマーキング物質を付着することを有する。
【0013】
本発明の他の特徴によれば、印刷装置は、圧縮流体溶媒とマーキング物質との混合物のソースと、圧縮流体溶媒とマーキング物質との混合物のソースと流体関係で配置されている放出装置とを有する。条件制御装置は、ソースと放出装置との間に流体関係で配置されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に提示する本発明の好ましい実施例の詳細な説明において、添付図面に対して参照が行われる。
【0015】
この説明は、本発明による装置の一部を形成する要素、又は本発明による装置と直接的に協働する要素を特に対象とする。特に図示又は説明しない要素は、当業者に周知の様々な形式を採用してもよいことがわかる。更に、本発明の様々な面に適切なものと特定された物質(例えば、マーキング物質、溶媒、装置等)は、例として取り扱われるべきであり、決して本発明の範囲を制限することを目的としない。
【0016】
ここで使用される、印刷という用語は、被印刷物又はレシーバにマーキング物質を供給する装置及び方法を示す。これは、染料ベース又は顔料ベースのインクを使用して文字及び画像を印刷することと、被印刷物又はレシーバにその他の形式の物質を付着することとを含むが、それらに限定されない。
【0017】
図1〜5を参照すると、供給システム及び供給装置10の例示的な実施例が図示されている。供給システム12は、1つ以上の形成容器で及び/又は物質の放出の間に、プロセスパラメータ若しくは条件(例えば圧力及び/又は温度)を変更することにより、マーキング物質の反射スペクトルのピークを変更し、1つのマーキング物質を使用して複数の色及び/又は色合いを有する物を作るために使用され得る。
【0018】
図1〜5を参照すると、プリントヘッドからの色のストリームの変更を実現するために、圧力を変更する供給システム12の実施例が図示されている。しかし、他のプロセスパラメータ(例えば、温度、物質(溶質及び/又は分散剤)の濃度)を制御することで、生成される粒子ストリームに同様の効果をもたらすことができることがわかる。
【0019】
再び図1を参照すると、供給システム12は、圧縮流体のソース100と、主形成混合タンク300と、最高圧力供給タンク301と、中間圧力供給タンク302と、最低圧力供給タンク303とを有する。流体ソース100及びタンク300、301、302、303は、高圧力パイプ101を通じて流体関係で接続されている。供給システム12により、0.1g/cc3より大きい密度を有する圧縮流体への選択された物質の溶解及び/又は分散が可能になる。
【0020】
供給システム12は、異なる圧力条件でのマーキング物質の溶解及び/又は分散をプリントヘッド103に供給し、その放出は、同じマーキング物質から異なる色を作る。図1に示す実施例では、3つの異なる圧力でマーキング物質をプリントヘッドに供給するために、3つのタンク301、302、303が図示されている。一般的に3つの色が多数のカラー印刷用途で使用されているが、必要に応じて、更なるタンク又はより少ないタンクが供給システム12に組み込まれてもよい。
【0021】
付着中に、ノズル401(例えば、最高圧力供給タンク301に接続された1つ以上のノズル)から放出されたマーキング物質は、第1のカラーマーキング物質を作る。ノズル402(例えば、中間圧力供給タンク302に接続された1つ以上のノズル)から放出されたマーキング物質は、第2のカラーマーキング物質を作る。ノズル403(例えば、最低圧力供給タンク303に接続された1つ以上のノズル)から放出されたマーキング物質は、第3のカラーマーキング物質を作る。中間圧力タンク302及び最低圧力タンク303で圧力を減らすために、一般的に利用可能な条件制御装置310が使用される。圧力調整システムの場合には、これらの装置は圧力調整弁である。一種の適切な条件制御装置310は、一般的に減圧弁と呼ばれ、例えば、Keidel Supply Co., Norwood, OH、Tyco valves and Controls, Houston, TX等から商用で入手可能である。この構成において、供給システム12は、物質が放出されているときに圧力の変化が一般的に生じるときでも、個々のタンク301-303の圧力が最適レベルに維持され得る点で、自己調整である。更に、減圧弁を参照して圧力に関する条件制御を説明するが、圧力を制御(例えば生成及び/又は低減)する他の方法も存在する。例えば、圧縮流体の個々のソースは、異なる圧力でシステムに供給されてもよい。
【0022】
システムが温度で設計されている場合、条件制御装置310は、温度制御装置又はその他の適切な条件制御装置でもよい。例えば、温度制御装置は、加熱機構(加熱コイル等)及び/又は冷却機構(ウォーター・ジャケット等)を有してもよい。同様に、システムが溶質濃度に基づいて動作している場合、供給タンクはそれぞれ様々な濃度のマーキング物質を有する。
【0023】
定圧供給タンク301-303を使用する図2に示すように、供給システム12は多色の表示を作るために異なる色を提供することができるが、条件制御装置310は、より多くの色を作るために更なる圧力を提供するように、動作中に調整されてもよい。圧力変動はまた、用途に応じて色域及び/又は色合いを増加するために使用され得る。
【0024】
図2を参照すると、供給システム12の代替実施例が図示されている。供給システム12は、圧縮流体のソース100と、主形成混合タンク300と、最高圧力供給タンク301と、中間圧力供給タンク302と、最低圧力供給タンク303とを有する。流体ソース100及びタンク300、301、302、303は、高圧力パイプ101を通じて流体関係で接続されている。供給システム12により、0.1g/cc3より大きい密度を有する圧縮流体への選択された物質の溶解及び/又は分散が可能になる。
【0025】
供給システム12は、異なる条件(例えば圧力及び/又は温度)でのマーキング物質の溶解及び/又は分散をプリントヘッド103に供給し、その放出は、同じマーキング物質から異なる色を作る。この実施例では、各タンク301、302、303は、各タンク301、302、303の個々の圧力制御を可能にする条件制御装置310を通じて、形成タンク300に接続されている。図3に示す実施例では、3つのタンク301、302、303が図示されている。必要に応じて、更なるタンク又はより少ないタンクが供給システム12に組み込まれてもよい。物質の付着は、図1を参照して前述したように実現される。
【0026】
図3を参照すると、供給システム12の代替実施例が図示されている。この実施例では、改善した色域を実現するために、形成及び付着条件が制御される。供給システム12は、物質容器102a、102b、102cを有し、それぞれの容器は異なるマーキング物質を使用して溶解及び/又は分散を形成するためにそれぞれ使用される。圧縮流体は、パイプ101を通じて圧縮流体のソース100により容器102a、102b、102cに供給される。各容器102a、102b、102cは、条件制御装置310を通じてプリントヘッド103に供給する。従って、プリントヘッド103に供給される各マーキング物質は、マーキング物質の供給前及び/又は供給中に独立して制御され得る。
【0027】
付着前に、物質容器102a、102b、102cは物質毎に最高の所望の圧力で維持され、各物質で異なるスペクトル特性を作るように、条件制御装置310を使用して付着中に独立して制御される(例えば圧力が減少する)。このように、1つ以上のマーキング物質が動作条件の範囲で付着されることを可能にし、それによって異なるスペクトル反射特性を作ることにより、物質がノズル401、402、403のうちの1つを通じて放出されたときに、より広範囲の全体の色域が作られ得る。従来の印刷では、所望のときに、色域を増加させるために、3つより多くの物質が使用され得る。この実施例では、各マーキング物質は、スペクトル反射特性の範囲で変更することが可能であり、増加した色域を作るために更なるマーキング物質又は更なる添加物の必要を低減する。
【0028】
図4を参照すると、供給システム12の他の実施例が図示されている。この実施例では、圧縮流体のソース100により供給された供給システム12の主形成タンク300は、付着中に使用される全ての物質をプリントヘッド103に供給するために使用される。一般的に、この実施例は、第1の色を付着し、必要に応じて更なる色を付着することにより、動作する。
【0029】
主形成混合タンク300は、プリントヘッド103を通じて被印刷物(図示せず)に物質を放出することにより第1の色を作る最大の所望の圧力に加圧される。更なる色が望ましい場合、条件制御装置310は他の圧力(例えば前述の中間圧力)に設定され、物質がプリントヘッド103を使用して放出される。第3の色が望ましい場合、条件制御装置310等を使用して第3の圧力が設定される。
【0030】
図5を参照すると、供給装置10の一例が図示されている。供給装置10は、プリントヘッド103に接続された供給システム12を有する。プリントヘッド103は、被印刷物保持装置11の上に配置される。この実施例では、被印刷物保持装置11の移動ステージ107、108、109のうち1つ以上を使用して被印刷物106が移動し、プリントヘッド103は動作中に静止したままである。代替として、プリントヘッド103は一方向に移動し、被印刷物106が他方向に移動してもよい。
【0031】
他の供給システム10の構成及び物質供給方法も可能である。例えば、マーキング物質(各マーキング物質が異なる条件で維持される)は、連続して又は一度にプリントヘッド103を通じて放出されてもよい(例えば、Nelson他の名前で2001年12月6日に出願された米国特許出願第10/016,054号、及び/又はSadasivan他の名前で2002年6月5日に出願された米国特許出願第10/162,956号を参照のこと)。マーキング物質はまた、連続的に供給装置10を通じて供給されてもよい(例えば、Sadasivan他の名前で2002年1月4日に出願された米国特許出願第10/287,579号を参照のこと)。供給装置10はまた、必要に応じて調整及び手入れされてもよい(例えば、Sadasivan他の名前で2002年6月5日に出願された米国特許出願第10/163,326号を参照のこと)。更に、被印刷物106にマーキング物質を供給する前又は供給した後に、前塗り(precoat)及び/又は上塗りが適用されてもよい(例えば、Sadasivan他の名前で2002年1月17日に出願された米国特許出願第10/051,888号を参照のこと)。被印刷物106へのマーキング物質の浸透の深さもまた、供給装置10を使用して制御されてもよい(例えば、Jagannathan他の名前で2003年2月13日に公開された米国特許出願公開US2003/0030706A1を参照のこと)。
【0032】
図6A−7Bを参照すると、プリントヘッド103のノズル401、402、403の放出装置105は、第1の可変領域部118に続いて、第1の不変領域部120を有する。第2の可変領域部122は、不変領域部120から放出装置105の端点124に分岐する。第1の可変領域部118は、第1の不変領域部120に収束する。第1の不変領域部118は、第1の可変領域部120の出口直径に実質的に等しい直径を有する。代替として、放出装置105はまた、可変領域部122の後に配置された第2の不変領域部125を有してもよい。第2の不変領域部125は、可変領域部122の出口直径に実質的に等しい直径を有する。この形式の放出装置105は、Moog, East Aurora, New York及びVindum Engineering Inc., San Ramon, Californiaから商用で入手可能である。
【0033】
動作機構104は、放出装置105内に配置され、開放位置126と閉鎖位置128との間で移動可能であり、シーリング機構130を有する。閉鎖位置128では、動作機構104のシーリング機構130は、不変領域部120と接触し、超臨界流体とマーキング物質との熱力学的に安定した混合の放出を妨げる。開放位置126では、超臨界流体とマーキング物質との熱力学的に安定した混合が可能になり、放出装置105を出る。
【0034】
動作機構104はまた、特定の印刷用途や、流体と所望のマーキング物質との熱力学的に安定した混合等に応じて、様々な部分的な開放位置に配置されてもよい。代替として、動作機構104は、開放位置及び閉鎖位置を有する電磁弁でもよい。動作機構104が電磁弁である場合、流体とマーキング物質との熱力学的に安定した混合の質量流量を制御する更なる位置制御可能動作機構をも有することが好ましい。
【0035】
放出装置105の好ましい実施例では、放出装置105の第1の不変領域部120の直径は、約20ミクロンから約2000ミクロンの範囲である。更に好ましい実施例では、放出装置105の第1の不変領域部120の直径は、約10ミクロンから約20ミクロンの範囲である。更に、第1の不変領域部120は、用途に応じて、第1の不変領域部120の直径の約0.1から約1.0倍の所定の長さを有する。シーリング機構130は、円錐形状、ディスク形状等でもよい。
【0036】
図1〜5を参照すると、供給システム12は、所定のマーキング物質と分散媒(例えば溶媒)とを圧縮流体状態に取り込み、圧縮流体に所定のマーキング物質の溶解及び/又は分散を作り、制御された方法で、被印刷物106への平行ビーム及び/又は集束ビームとして物質を供給する。マーキング物質は、マーキング物質の合成でもよい(例えば、2001年10月29日に公表されたJagannathan他による米国特許第6,471,327B2を参照のこと)。
【0037】
これに関して、圧縮流体状態にされた選択溶媒は、周囲の圧力及び温度のガスである。この用途では、周囲の条件は、温度として-100〜+100℃の範囲で定められ、圧力として1x10-8〜1000atmの範囲で定められることが好ましい。
【0038】
流体ソース100に含まれる分散媒は、物質を溶解/可溶化/分散する何らかの物質である。流体ソース100は、圧縮流体として、圧力、温度及び流量の所定の条件で分散媒を供給する。臨界温度及び臨界圧力により定められる臨界点の上の物質は、超臨界流体として知られている。一般的に、臨界温度及び臨界圧力は、流体又は物質が超臨界になり、ガスのような特性又は液体のような特性を示す熱力学状態を定める。臨界点より下の十分に高い温度及び圧力にある物質は、圧縮液体として知られている。臨界点より下の十分に高い臨界圧力及び温度にある物質は、圧縮ガスとして知られている。周囲の条件でガスとして出る超臨界流体及び/又は圧縮液体/圧縮ガス状態の物質は、圧縮流体状態のときに関心の物質を可溶化及び/又は分散する固有の機能のため、ここに用途を見出す。
【0039】
分散媒は、二酸化炭素と、亜酸化窒素と、アンモニアと、キセノンと、エタンと、エチレンと、プロパンと、プロピレンと、ブタンと、イソブタンと、塩化フッ化メタンと、モノフルオロメタンと、六フッ化硫黄と、その合成とを含むが、それらに限定されない。低コストや広い可用性等のような特性のため、二酸化炭素は一般的に多くの用途で好ましい。
【0040】
図1〜5の形成容器300は、温度、圧力、容量及び濃度の所望の形成条件で、分散剤及び/又は界面活性剤を用いて又は用いずに、圧縮流体(圧縮液体、圧縮ガス又は超臨界流体)に所定のマーキング物質を溶解及び/又は分散するために使用される。マーキング物質と圧縮流体との合成は、一般的に混合物、形成物と呼ばれる。
【0041】
図1〜5の形成容器300は、形成条件で安全に動作し得る如何なる適切な物質でできてもよい。0.001気圧(1.013x102Pa)〜1000気圧(1.013x108Pa)の圧力、及び摂氏-25度〜摂氏1000度の動作範囲が一般的に好ましい。一般的に、好ましい物質は、様々なグレードの高圧ステンレススチールを含む。しかし、特定の付着又はエッチング用途が温度及び/又は圧力の厳しくない条件を示す場合には、他の物質を使用することも可能である。
【0042】
図1〜5の形成容器300は、動作条件(圧力、温度及び容量)に関して適切に制御されるべきである。物質の溶解性/分散性は、形成容器300内の条件に依存する。従って、形成容器300内の動作条件の小さな変化は、物質の溶解性/分散性に望ましくない影響を有し得る。
【0043】
更に、特定の用途で圧縮流体に物質を可用化/分散することができる如何なる適切な界面活性剤及び/又は分散剤も、物質と圧縮流体との合成に組み込まれ得る。このような物質は、ペルフルオポリエテール、シロキサン合成物等のようなフッ素化ポリマーを含むが、それらに限定されない。
【0044】
マーキング物質はまた、形成容器300に制御可能に取り込まれ得る。圧縮流体もまた、形成容器300に制御可能に取り込まれ得る。形成容器300の内容物は、混合装置を使用して適切に混合され、所定のマーキング物質と圧縮流体との間で親密な関係を確保する。混合プロセスが進むと共に、マーキング物質は、圧縮液体/圧縮ガス/超臨界流体に溶解又は分散する。マーキング物質の量と混合が進む速度とを含む溶解/分散のプロセスは、形成容器300内のマーキング物質自体、マーキング物質の粒子の大きさ及び粒子の大きさの分布(マーキング物質が固体の場合)、使用される圧縮流体、温度、並びに圧力に依存する。混合プロセスが完了すると、形成室内の温度及び圧力が一定に維持されている限り無期限に同じ状態で含まれるように、マーキング物質が圧縮流体に溶解又は分散するという点で、マーキング物質と圧縮流体との混合物又は形成物は熱力学的に安定/準安定になる。この状態は、容器内の温度及び圧力の熱力学的条件が変化しない限り、形成室内でマーキング物質の粒子の沈下、沈殿及び/又は塊が存在しないという点で、他の物理的混合物と異なる。従って、本発明のマーキング物質及び圧縮流体の混合物又は形成物は、熱力学的に安定/準安定であると考えられる。この熱力学的に安定/準安定した混合物又は形成物は、放出装置105と動作機構104とを通じて、形成容器300から制御可能に解放される。
【0045】
付着プロセスの間に、温度及び/又は圧力の条件が変更すると、物質は圧縮流体から沈殿する。沈殿物質は、集束ビーム及び/又は平行ビームとして動作機構104を通じて放出装置105により被印刷物106に向けられることが好ましい。第1の不変領域部120の直径及びレシーバ106へのプリントヘッド103の距離がほぼ小さいことを仮定すると、本発明はまた、発散ビームで実行されてもよい。例えば、10umの第1の不変領域部120の直径を有する放出装置105では、所要の大きさの画素サイズを作るために、レシーバ106に衝突する前に発散可能である。
【0046】
これらの大きさの放出装置105の直径は、集束イオンビーム装置やMEMSプロセス等のような現在の製造技術で生成可能である。代替として、所望の内径(約10ミクロン)と所望の外径(約15ミクロン)とを有し、PEEKやポリイミド等でできたキャピラリーチューブ(capillary tubing)は、プリントヘッド103を作るためにまとめられてもよい(例えば、4x100、4x1000、4x10000のマトリクスでのキャピラリーの矩形配列)。各キャピラリーチューブは動作機構104に接続され、それによって放出装置105を形成する。このように作られたプリントヘッドの印刷速度は、各行のキャピラリーチューブの数を増加することにより、所定の動作機構の周波数について増加し得る。
【0047】
レシーバ105に付着するマーキング物質の粒子の大きさは、一般的に1ナノメートル〜1000ナノメートルの範囲である。粒子の大きさの分布は、放出装置105の温度及び/又は圧力の変化率、放出装置105に関するレシーバ106の位置、及び放出装置105の外部の周囲の条件を制御することにより、均一に制御されてもよい。
【0048】
プリントヘッド103はまた、形成物の温度及び圧力を適切に変化し、物質の制御された沈殿及び/又は凝集を可能にするようにも設計される。一般的に圧力が段階的に下がると、形成流量は自励する。形成条件に対するその後の変化(圧力の変化、温度の変化等)により、圧縮流体の蒸発に加えて、物質の沈殿及び/又は凝集を生じる。結果の沈殿及び/又は凝集した物質は、正確且つ精密にレシーバ106に付着する。超臨界流体及び/又は圧縮液体/圧縮ガスの蒸発は、放出装置105の外部にある領域で生じ得る。代替として、圧縮流体の蒸発は、放出装置105内で始まり、放出装置105の外部にある領域で継続してもよい。代替として、蒸発は放出装置105内で生じてもよい。
【0049】
物質及び圧縮流体のビーム(ストリーム等)は、形成物が放出装置105を移動すると共に形成される。沈殿及び/又は凝集した物質の大きさが放出装置105の出口直径に実質的に等しい場合、沈殿及び/又は凝縮した物質は、放出装置105により平行になる。沈殿及び/又は凝集した物質の大きさが放出装置105の出口直径より小さい場合、沈殿及び/又は凝集した物質が放出装置105により集束される。
【0050】
被印刷物106は、沈殿及び/又は凝集した所定の物質がレシーバ106に付着するように、軌道に沿って配置される。放出装置105からレシーバ106の距離は、圧縮流体がレシーバ106に到達する前に気相に蒸発するように選択される。従って、その後のレシーバの乾燥プロセスの必要がない。代替として、レシーバ106は、レシーバ106での物質の位置が制御され得るように、電気又は静電気で帯電してもよい。
【0051】
マーキング物質の個々の粒子が放出装置105から放出される速度を制御することも望ましい。プリントヘッド103内から動作環境へのかなり大きい圧力低下が存在するため、圧力差は、プリントヘッド103の位置エネルギーを、レシーバ106に物質の粒子を推進する運動エネルギーに変換する。これらの粒子の速度は、動作機構104内の適切な放出装置105により制御され得る。レシーバ106に対する放出装置105の設計及び位置はまた、物質の付着パターンを決定する。
【0052】
放出装置105の温度も制御され得る。放出装置の温度制御は、放出装置105の開口が所望の流量特性を維持することを確保するように、特定の適用により必要に応じて制御されてもよい。
【0053】
被印刷物106は、有機、無機、有機金属、金属、合金、セラミック、合成物質及び/又は自然高分子、ゲル、ガラス、又は複合物質を含み、如何なる固形物でもよい。更に、被印刷物106は、1つより多いレイヤを有してもよい。被印刷物106は如何なる大きさのシート又はロールでもよい。
【0054】
印刷ページに異なるスペクトル反射を実現するために、複数の機能材料を必要とする異なる物質の化学性質が必要であると、印刷業界で以前から考えられていた。本発明の発明者は他の方法を発見した。
【0055】
以下の実験データに示すように、マーキング物質は、(従来の供給プロセスを使用して供給される同じマーキング物質と比較して)前述の圧縮流体供給プロセスを通過した後に異なるスペクトル特性を示すように作られ得る。従って、圧縮流体供給方法を使用して被印刷物に付着するマーキング物質は、同じマーキング物質が通常に示すルミネセンス(luminescence)スペクトルと異なるルミネセンススペクトルを示す。
【0056】
供給プロセス条件又はパラメータを変更することにより、同じマーキング物質を用いて、反射で異なるスペクトル出力が実現可能であることもわかった。従って、前述の印刷装置10は、形成容器及び/又は放出中の条件又はパラメータ(例えば、圧力、温度等)を制御及び/又は変更することにより、印刷装置10を通じて放出されるマーキング物質の反射スペクトルのピークを変更するために使用され得る。
【0057】
前述の供給方法及び装置は、特定の形式のマーキング物質又はプロセス条件若しくはパラメータに依存しない。従って、後述する例は3つの異なる圧力を表すが、本発明の実施は、3つの圧力(一般的に圧力)に限定されず、所定の用途に応じて変化する。
【0058】
[例1]
10mgのC-545Tと183gのCO2が40℃及び300barの高圧セルに置かれ、30分間かき混ぜられた。システムが明白に均質になると、セルの内容物は、2インチの長さの15μmの直径のキャピラリーに取り付けられたニードル弁を通じて、5秒間、膨張室でスプレーとして周囲の条件に解放される。高圧セルの圧力はその解放中に300barに維持され、スプレーはガラス瓶に向けられている。集められた沈殿物は青色であり、光ルミネセンスについて分析し、色について観測した。
【0059】
[例2]
高圧セルが200barに維持されるという点で圧力を除いて、例1の手順が繰り返された。集められた沈殿物は緑色であり、光ルミネセンスについて分析し、色について観測した。
【0060】
[例3]
高圧セルが150barに維持されるという点で圧力を除いて、例1の手順が繰り返された。集められた沈殿物は赤色であり、光ルミネセンスについて分析し、色について観測した。
【0061】
[結果]
例1、2及び3から生成された沈殿物の光ルミネセンスと、基準の粉剤(C545T)は、標準のヘリウムネオンレーザでそれぞれ457nmに励起することにより決定された。その結果が以下のグラフに示されており、対応のピークの光ルミネセンスの波長が以下の表1に示されている。
(外1)

【0062】
【表1】

前述の沈殿したマーキング物質は、ナノ形体マーキング物質とも呼ばれ得る。ナノ形体という用語は、以下のパラグラフで定義する。
【0063】
凝縮物質での原子間の相互作用は、バルクの固体の特徴の特性を生じる。バルクの固体は、大きさで数十ナノメートル以上の大きい粒子又は晶子として分類される。物理、機械、光学等を説明するために使用される物理学、化学及び材料科学を含む研究の古典科学分野では、バルクの固体の特性は、観測された現象(化学結合、超電導、物質の電子スピン及び磁気特性、放射熱放出又は放射性崩壊等)を説明するために量子力学を使用することを必要とする。
【0064】
これらのバルクの固体の長さの尺度が非常に小さい大きさ(<20nm(ナノメートル、10-9メートル))に近づくと、これらの物質は、バルク状態のものと異なる特性の変化を示す。このサイズの範囲の粒子はナノ結晶と呼ばれ得る。この特性の変化は、電子エネルギーレベルの減少の結果である。例えば、量子ドットと呼ばれるガリウムナイトライド(GaN)の小さいナノ結晶は、2.95eV(電子ボルト)を中心とする光ルミネセンスのピークを有することが示されているが、バルクのGaNのバンドギャップより0.5eV小さい(B.Daudin他, MRS Internet J. Nitride Semicond. Res.4S1, G9.2(1999))。これらの量子ドットは、直径で<30nmの無機半導体の小さな塊からなるポイントに電子を閉じ込める。多くの研究者は、量子ドットが電子にとって様々な進歩(更なる効率、電力消費の減少、更なる動作速度及び新規な電子特性)を提供すると信じている(M.May, Science Observer, July−August(1996))。存在するチャレンジは、所要の大きさの尺度でこれらの小さいナノ結晶を作る一般的なプロセスを開発することである。
【0065】
文献に記載されているナノ結晶の研究のほとんどは、無機/イオン物質のを軸として展開している(C.B.Murray他, IBM J. Res&Dev., v45, No1., pp47−56, 2001年1月)。有機/分子物質の分類数は無機化合物よりかなり大きいが、有機/分子ナノ結晶に関する文献は、H又はJ会合体を作る有機化合物に限られる。H及びJ会合体のナノ結晶に関するモノマー単位の数は、吸収単位毎に約4モノマー単位と推定されている(A.Herz, Photog. Sci. Eng. 18, 323−335(1974))。色素分子間の相互作用は、大きいスペクトルシフト及び/又はスペクトルバンド形状及び吸収スペクトルの強度の変化を生成し得る。これらのシフトの大きさ及び方向は、ナノ結晶の内部構造(すなわちH又はJ会合体の構造)により決定される。特定の色素のナノ結晶は、溶液におけるその濃度を次第に増加させることにより生成可能であり、ナノ結晶の内部構造は、短い波長への吸収スペクトルの次第のシフト(H会合体の場合)又は長い波長への急激のシフト(J会合体の場合)により特定されることが知られている(E.Jelley, Nature, 138, 1009−1010(1396))。これらのH及びJ会合体のナノ結晶は、バルクの固体の特性と異なる固有の特性を示し、ハロゲン化銀ベースの写真製品で使用される。
【0066】
ナノ結晶でH又はJ会合体の構造を形成しない有機/分子ナノ結晶におけるスペクトルシフト及び/又は変化は、バルク(大きい)有機/分子結晶における多形の類似の減少を検討することにより理解され得る。多形は、同じ分子エンティティの複数の結晶構造として定義される(J.Bernstein及びJ.Henk, Industrial Applications of X−ray Diffraction, Chapter25, F.H.Chung及びD.K.Smith eds., Marcel Dekker Inc., New York, 531−532(2000))。すなわち、特定の有機/分子物質のバルク結晶は、溶解度、色、吸収、放出、体積弾性率等のような、異なる物理的及び機械的特性を有する複数の結晶構造を示し得る。多形を示す物質の例は、トリス(8ヒドロキシキノリン)アルミニウムである。α、β及びγとして特定された3つの多形が存在すると報告されており(M.Brinkman他, J.Am.Chem.Soc., 122, 5147−5157(2000))、紫外線光で活性化したときに、α及びβは黄緑の蛍光を示し、γは青の蛍光を示す(M.Braun他 J.Chem.Phys., 114(21), 9625−9632(2001))。H及びJ会合体構造を示すナノ結晶と、多形を示す有機/分子のバルク有機/分子結晶とに共通する基本的な現象は、その内部構造(どのように会合体/固体の分子が相互に配置されているかについての構造的な詳細)で変動し、その物理的及び機械的特性に観測される変化を導くため、観測された有機/分子ナノ結晶のH及びJ会合体構造は、バルク結晶で観測される多形のナノ結晶の兆候として考えられてもよい。この兆候をナノ形体状態と呼び、ナノ形体状態を示すナノ液晶をナノ形体と呼ぶ。特定の有機/分子物質に可能なナノ形体の形式及び数は、ナノ結晶の分子の物理的大きさ(最短の距離で約<50nm)と分子の数(約<100)とにより決定されるため、バルク結晶における同じ有機/分子物質の多形の形式及び数と同じである必要はない点に留意すべきである。
【0067】
他に留意すべき重要な点は、生成され得る物質の多形の形式及び数は、有機/分子結晶が生成される方法(プロセス)の詳細に依存するという点である。例えば、液体溶媒からの沈殿(一般的に有機/分子物質のバルク結晶を生成する処理として使用される)の場合、溶媒の温度、混合、形式のような要因が、所定の有機/分子物質について生成される多形の形式及び数に影響を与えることが知られている(M.Bavin, Chem.Ind., 527−529(1989))。液体の溶媒からの沈殿物は、有機/分子物質のバルク結晶を生成する一般的な処理として考えられる。有機/分子物質のナノ結晶を生成する類似の一般的な処理は、RESS処理によるCO2のような圧縮流体からの沈殿物である(例えば、Jagannathan他の名前で2003年2月13日に公表された米国特許出願US2003/0030706A1を参照のこと)。これらのナノスケールの粒子は、有機、有機金属又は分子物質を含む圧縮流体の急速な脱飽和に導く急速の減圧の結果である多分子パッキング構造を示す。液体からの沈殿物とRESS処理によるCO2のような圧縮流体からの沈殿物との基本的な相違は、かなり高速の過飽和の生成及び散脱である(D.Matson他, Ind.Eng.Chem.Res., 26, 2298−2306(1987))。従って、CO2のような圧縮流体からの沈殿物は、ナノ形体を生成する便利なプロセスである。
【0068】
ナノ形体は、個々の粒子又は粒子のクラスタでもよい。ナノ形体の粒子の好ましい大きさは、50ナノメートル未満であり、より好ましくは30ナノメートル未満であり、最も好ましくは20ナノメートル未満である。ナノ形体の分子量は、10の最低限度を有し、10,000の好ましい上限を有し、20,000のより好ましい上限を有し、100,000の最も好ましい上限を有する。定義では、ナノ形体物質は、本発明で説明した新規な沈殿方法の結果であり、最終の使用に許容できる大きさにするために、粉砕又は研削のような更なる処理ステップを必要としない。
【0069】
本発明により作られた物は、単一のマーキング物質から異なる色を作るために、ナノ形体を使用する。その物は、被印刷物(しばしばレシーバ、サポート等とも呼ばれる)の上及び/又は中に配置されたナノ形体マーキング物質を有する。ナノ形体マーキング物質は、(供給中に制御される条件に応じて)第1の波長でルミネセンスを示し、(供給中に制御される条件に応じて)第2の波長でルミネセンスを示す。第1の波長のナノ形体マーキング物質と、第2の波長のナノ形体マーキング物質とは、相互に比較したときに、等価な化学結合を有し得る。
【0070】
サポートにより保持されたマーキング物質は、バルク状態で同じマーキング物質の特徴ではない測定可能な特性を有するナノ結晶の微粒子を有し得る。マーキング物質の中間の粒子サイズは、付着を通じてナノ結晶でもよい。マーキング物質は、微粒子のルミネセンス波長側面と中間の粒子サイズとの双方の共通の空間調整を有し得る。波長側面は、ピーク波長側面でもよい。
【0071】
前述のナノ形体マーキング物質は前述の装置及び方法を使用して製造及び付着され得るが、他の装置及び方法も使用可能である。例えば、マーキング物質は前述のプロセスを使用して製造され、集められ、従来の技術を使用して付着されてもよい。従来の技術は、マーキング物質をインクジェット用インクに組み込み、インクジェットプリンタを使用してマーキング物質を付着することと、マーキング物質をトナーに組み込み、静電記録式プリンタを使用して付着することと、マーキング物質をドナーシートに組み込み、感熱式プリンタを使用してマーキング物質を付着すること等を含むが、それらに限定されない。従来の技術はまた、ナノ形体マーキング物質の特徴(例えば粒子サイズ)を変更することなく、ナノ形体マーキング物質を付着するように適合され得る如何なる技術をも含む。これらのプロセスは、マーキング物質の溶解及び再沈殿に導くプロセスを除外する。
【0072】
特定の好ましい実施例を特に参照して、本発明を詳細に説明したが、本発明の範囲内で変更及び変形が行われ得ることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明に従って作られた例示的な実施例の概略図
【図2】本発明に従って作られた例示的な実施例の概略図
【図3】本発明に従って作られた例示的な実施例の概略図
【図4】本発明に従って作られた例示的な実施例の概略図
【図5】本発明に従って作られた例示的な実施例の概略図
【図6A】本発明に従って作られた放出装置及び動作機構の一例の実施例の概略図
【図6B】本発明に従って作られた放出装置及び動作機構の一例の実施例の概略図
【図7A】本発明に従って作られた放出装置及び動作機構の一例の実施例の概略図
【図7B】本発明に従って作られた放出装置及び動作機構の一例の実施例の概略図

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レシーバを設け、
圧縮流体溶媒とマーキング物質との混合物を前記レシーバに供給することにより、前記レシーバにマーキング物質を制御可能に付着し、前記混合物は、前記レシーバへの供給の前に第1の条件で配合され、前記マーキング物質は、前記レシーバに到達する前に前記圧縮流体溶媒から解放され、
前記圧縮流体溶媒と前記マーキング物質との混合物を前記レシーバに供給することにより、前記レシーバに前記マーキング物質を制御可能に付着し、前記混合物は、前記レシーバへの供給の前に第2の条件で配合され、前記マーキング物質は、前記レシーバに到達する前に前記圧縮流体溶媒から解放され、前記第2の条件は前記第1の条件と異なることを有する印刷方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記第1の条件に関連する前記マーキング物質の付着は、第1のスペクトル波長を有する物質を作り、
前記第2の条件に関連する前記マーキング物質の付着は、第2のスペクトル波長を有する物質を作る方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、
前記第1の条件に関連する前記マーキング物質の付着は、第1の公称サイズを有するマーキング物質の粒子を作り、
前記第2の条件に関連する前記マーキング物質の付着は、第2の公称サイズを有するマーキング物質の粒子を作る方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法であって、
前記第1の条件は、第1の圧力で前記圧縮流体溶媒と前記マーキング物質との混合物を維持することを有し、
前記第2の条件は、第2の圧力で前記圧縮流体溶媒と前記マーキング物質との混合物を維持することを有する方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法であって、
前記第1の条件で配合された混合物のマーキング物質を制御可能に付着することは、前記第1の圧力から溶媒蒸発圧力まで前記混合物をもたらすことを有する方法。
【請求項6】
請求項4に記載の方法であって、
前記第2の条件で配合された混合物のマーキング物質を制御可能に付着することは、前記第2の圧力から溶媒蒸発圧力まで前記混合物をもたらすことを有する方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法であって、
前記第1の条件は、第1の温度で前記圧縮流体溶媒と前記マーキング物質との混合物を維持することを有し、
前記第2の条件は、第2の温度で前記圧縮流体溶媒と前記マーキング物質との混合物を維持することを有する方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法であって、
前記第1の条件で配合された混合物のマーキング物質を制御可能に付着することは、前記第1の温度から溶媒蒸発温度まで前記混合物をもたらすことを有する方法。
【請求項9】
請求項7に記載の方法であって、
前記第2の条件で配合された混合物のマーキング物質を制御可能に付着することは、前記第2の温度から溶媒蒸発温度まで前記混合物をもたらすことを有する方法。
【請求項10】
請求項1に記載の方法であって、
前記第1の条件に関連する前記マーキング物質の制御可能な付着は、前記第2の条件に関連する前記マーキング物質の制御可能な付着の前に、前記第1の条件に関連して前記マーキング物質を制御可能に付着することを有する方法。
【請求項11】
請求項1に記載の方法であって、
前記第1の条件に関連する前記マーキング物質の制御可能な付着は、前記第2の条件に関連する前記マーキング物質の制御可能な付着と同時に生じる方法。
【請求項12】
請求項1に記載の方法であって、
前記第1の条件に関連する前記マーキング物質の制御可能な付着は、前記レシーバの第1の位置で、前記第1の条件に関連して前記マーキング物質を制御可能に付着することを有し、
前記第2の条件に関連する前記マーキング物質の制御可能な付着は、前記レシーバの第2の位置で、前記第2の条件に関連して前記マーキング物質を制御可能に付着することを有し、
前記第1の位置は前記第2の位置と異なる方法。
【請求項13】
請求項1に記載の方法であって、
前記第1の条件に関連する前記マーキング物質の制御可能な付着は、前記レシーバの第1の位置で、前記第1の条件に関連して前記マーキング物質を制御可能に付着することを有し、
前記第2の条件に関連する前記マーキング物質の制御可能な付着は、前記レシーバの第2の位置で、前記第2の条件に関連して前記マーキング物質を制御可能に付着することを有し、
前記第2の位置は前記第1の位置と少なくとも部分的に重なる方法。
【請求項14】
請求項1に記載の方法であって、
前記第1の条件に関連する前記マーキング物質の制御可能な付着、及び前記第2の条件に関連する前記マーキング物質の制御可能な付着は、結合の付着したマーキング物質が、前記第1の条件に関連する前記マーキング物質と比較して、更なる色のスペクトルを有するように、前記第1の条件及び前記第2の条件に関連して前記マーキング物質を制御可能に付着することを有する方法。
【請求項15】
請求項1に記載の方法であって、
前記第1の条件は、前記圧縮流体溶媒と第1の濃度の前記マーキング物質との混合物を維持することを有し、
前記第2の条件は、前記圧縮流体溶媒と第2の濃度の前記マーキング物質との混合物を維持することを有する方法。
【請求項16】
請求項1に記載の方法であって、
前記第1の条件は、所定の圧力、温度及びマーキング物質の濃度で前記圧縮流体溶媒と前記マーキング物質との混合物を維持することを有し、
前記第2の条件は、所定の圧力、温度及びマーキング物質の濃度のうちの少なくとも1つを変更することを有する方法。
【請求項17】
レシーバを設け、
圧縮流体溶媒と第1のマーキング物質との混合物を前記レシーバに供給することにより、前記レシーバに第1のマーキング物質を制御可能に付着し、前記混合物は、前記レシーバへの供給の前に第1の条件で配合され、前記第1のマーキング物質は、前記レシーバに到達する前に前記圧縮流体溶媒から解放され、
前記圧縮流体溶媒と前記第1のマーキング物質との混合物を前記レシーバに供給することにより、前記レシーバに前記第1のマーキング物質を制御可能に付着し、前記混合物は、前記レシーバへの供給の前に第2の条件で配合され、前記第1のマーキング物質は、前記レシーバに到達する前に前記圧縮流体溶媒から解放され、前記第2の条件は前記第1の条件と異なり、
第2のマーキング物質を付着することを有する印刷方法。
【請求項18】
請求項17に記載の方法であって、
前記第2のマーキング物質の付着は、
前記圧縮流体溶媒と前記第2のマーキング物質との混合物を前記レシーバに供給することにより、前記レシーバに前記第2のマーキング物質を制御可能に付着し、前記混合物は、前記レシーバへの供給の前に第1の条件で配合され、前記第2のマーキング物質は、前記レシーバに到達する前に前記圧縮流体溶媒から解放され、
前記圧縮流体溶媒と前記第2のマーキング物質との混合物を前記レシーバに供給することにより、前記レシーバに前記第2のマーキング物質を制御可能に付着し、前記混合物は、前記レシーバへの供給の前に第2の条件で配合され、前記第2のマーキング物質は、前記レシーバに到達する前に前記圧縮流体溶媒から解放され、前記第2の条件は前記第1の条件と異なることを有する方法。
【請求項19】
請求項18に記載の方法であって、
前記第1の条件に関連する前記第2のマーキング物質の付着は、第1のスペクトル波長を有する物質を作り、
前記第2の条件に関連する前記第2のマーキング物質の付着は、第2のスペクトル波長を有する物質を作る方法。
【請求項20】
請求項18に記載の方法であって、
前記第1の条件に関連する前記第2のマーキング物質の付着は、第1の公称サイズを有する第2のマーキング物質の粒子を作り、
前記第2の条件に関連する前記第2のマーキング物質の付着は、第2の公称サイズを有する第2のマーキング物質の粒子を作る方法。
【請求項21】
請求項18に記載の方法であって、
前記第1の条件及び前記第2の条件のうちいずれかに関連する前記第1のマーキング物質の制御可能な付着、及び前記第1の条件及び前記第2の条件のうちいずれかに関連する前記第2のマーキング物質の制御可能な付着は、結合の付着したマーキング物質が、前記第1及び第2のマーキング物質の付着した結合と比較して、更なる色のスペクトルを有するように、前記第1及び第2のマーキング物質を制御可能に付着することを有する方法。
【請求項22】
請求項17に記載の方法であって、
前記第1の条件に関連する前記第1のマーキング物質の付着は、第1のスペクトル波長を有する物質を作り、
前記第2の条件に関連する前記第1のマーキング物質の付着は、第2のスペクトル波長を有する物質を作る方法。
【請求項23】
請求項17に記載の方法であって、
前記第1の条件に関連する前記第1のマーキング物質の付着は、第1の公称サイズを有する第1のマーキング物質の粒子を作り、
前記第2の条件に関連する前記第1のマーキング物質の付着は、第2の公称サイズを有する第1のマーキング物質の粒子を作る方法。
【請求項24】
請求項17に記載の方法であって、
前記第1の条件は、第1の圧力で前記圧縮流体溶媒と前記第1のマーキング物質との混合物を維持することを有し、
前記第2の条件は、第2の圧力で前記圧縮流体溶媒と前記第1のマーキング物質との混合物を維持することを有する方法。
【請求項25】
請求項17に記載の方法であって、
前記第1の条件は、第1の温度で前記圧縮流体溶媒と前記第1のマーキング物質との混合物を維持することを有し、
前記第2の条件は、第2の温度で前記圧縮流体溶媒と前記第1のマーキング物質との混合物を維持することを有する方法。
【請求項26】
請求項17に記載の方法であって、
前記第1の条件に関連する前記マーキング物質の制御可能な付着は、前記第2の条件に関連する前記マーキング物質の制御可能な付着の前に、前記第1の条件に関連して前記マーキング物質を制御可能に付着することを有する方法。
【請求項27】
請求項17に記載の方法であって、
前記第1の条件に関連する前記マーキング物質の制御可能な付着は、前記第2の条件に関連する前記マーキング物質の制御可能な付着と同時に生じる方法。
【請求項28】
圧縮流体溶媒とマーキング物質との混合物のソースと、
前記圧縮流体溶媒と前記マーキング物質との混合物のソースと流体関係で配置されている放出装置と、
前記ソースと前記放出装置との間に流体関係で配置されている条件制御装置と
を有する印刷装置。
【請求項29】
請求項28に記載の装置であって、
前記条件制御装置は、前記マーキング物質が第1の条件に関連するときに、前記マーキング物質から第1のスペクトル波長を有する物質を作るように適合され、前記マーキング物質が第2の条件に関連するときに、前記マーキング物質から第2のスペクトル波長を有する物質を作るように適合された装置。
【請求項30】
請求項28に記載の装置であって、
前記条件制御装置は、前記マーキング物質が第1の条件に関連するときに、第1の公称サイズを有する前記マーキング物質の粒子を作るように適合され、前記マーキング物質が第2の条件に関連するときに、第2の公称サイズを有する前記マーキング物質の粒子を作るように適合された装置。
【請求項31】
請求項28に記載の装置であって、
前記条件制御装置は、圧力制御装置である装置。
【請求項32】
請求項31に記載の装置であって、
前記圧力制御装置は、減圧弁である装置。
【請求項33】
請求項28に記載の装置であって、
前記条件制御装置は、温度制御装置である装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2007−516102(P2007−516102A)
【公表日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−517576(P2006−517576)
【出願日】平成16年6月24日(2004.6.24)
【国際出願番号】PCT/US2004/020125
【国際公開番号】WO2005/002857
【国際公開日】平成17年1月13日(2005.1.13)
【出願人】(590000846)イーストマン コダック カンパニー (1,594)
【Fターム(参考)】