圧造機
【課題】圧造本体部の周囲及び上方を覆うカバーの分解作業性を向上して内部調査や部品交換などのメンテナンスを容易とし、かつ耐油性に優れた圧造機を提供する。
【解決手段】ベース2と、ベース2上に配置されクーラントを使用しながらパンチとダイスによる圧造加工を行う圧造本体部3と、圧造本体部3の周囲及び上方を覆うカバー8と、を備える圧造機1であって、カバー8は、圧造本体部3の周囲及び上方に配置されて所定の機械的強度を有する骨組部材5と、骨組部材5及びベース2及び圧造本体部3の少なくとも一つに着脱可能に取り付けられるとともに互いに連接して圧造本体部3の周囲及び上方を覆う複数枚のパネル部材61〜73と、を含むことを特徴とする。さらに、骨組部材5は内部空間を有するパイプ材を用いて構成され、パイプ材の内部空間を圧造本体部3に至る配管及び電気配線の少なくとも一方の経路とすることが好ましい。
【解決手段】ベース2と、ベース2上に配置されクーラントを使用しながらパンチとダイスによる圧造加工を行う圧造本体部3と、圧造本体部3の周囲及び上方を覆うカバー8と、を備える圧造機1であって、カバー8は、圧造本体部3の周囲及び上方に配置されて所定の機械的強度を有する骨組部材5と、骨組部材5及びベース2及び圧造本体部3の少なくとも一つに着脱可能に取り付けられるとともに互いに連接して圧造本体部3の周囲及び上方を覆う複数枚のパネル部材61〜73と、を含むことを特徴とする。さらに、骨組部材5は内部空間を有するパイプ材を用いて構成され、パイプ材の内部空間を圧造本体部3に至る配管及び電気配線の少なくとも一方の経路とすることが好ましい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パンチとダイスにより圧造加工を行う圧造機に関し、より詳細には圧造本体部を覆うカバーの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
圧造機では、パンチとダイスを有する圧造本体部で圧造加工を行う際、パンチ及びダイスやワークを冷却及び潤滑するために、クーラントとしてオイルを適宜噴霧して使用している。このため、安全性や衛生面の向上を目的として、オイルの飛散やオイルミストの漏出を防止するカバーを圧造本体部の周囲及び上方に備えるのが一般的になっている。また、圧造本体部には、空気圧や油圧を利用した圧力機器やモータなどの電気機器が用いられている。このため、例えばプリカチューブと呼ばれる保護管内に配管や電気配線を収納してオイルに直接触れることを防止し、耐油性を向上している。
【0003】
上述のカバーや保護管は、圧造機だけでなく、クーラントを使用する工作機械一般で広く用いられている。例えば、特許文献1に開示される工作機械のカバー構造は、ベッドの左右両側面の複数箇所に固定されクーラントパンを油密に貫通する下部支柱と、下部支柱の上端に結合してカバーの上面を支持する上部支柱とを備え、下部支柱及び上部支柱が電気配線や油圧配管等のダクトを構成している。これにより、支柱がカバー内に位置してカバーの外観がスッキリとし、また、クーラント洩れ防止構造が容易に形成されるという作用が記載されている。
【0004】
この種のカバーでは、機械的強度を確保するために、ある程度の厚さを有する複数の鋼板を溶接し、工作機械全体を覆う一体型カバーを構成する場合が多い。また、カバーの厚さを減じるため、鋼板に補強ステーを溶接することも知られている。なお、配管や電気配線を収納する保護管は、圧造本体部に沿わせて、あるいはカバーの内壁面に沿わせて固定される場合が多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6−246581号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、圧造本体部で不具合が発生した場合、内部調査や部品交換のためにカバーを一時的に分解して取り外す必要が生じる場合がある。このとき、特許文献1をはじめとする従来のカバーは分解作業性について配慮されておらず、問題であった。例えば、溶接構造の一体型カバーは実質的に分解困難であり、内部調査や部品交換は臨機応変に多大な手間をかけて行っていた。また、複数の構成部材からなるカバーでは、取り外しが可能であっても着脱作業は容易でなく、重量や形状の制約もあって分解作業性は著しく低かった。さらには、保護管内の配管や電気配線の調査が必要な場合や、部品交換時に配管や電気配線の一部を交換する場合もあり、分解範囲が拡がるとともに分解作業内容も多岐にわたり大変な手間となっていた。
【0007】
本発明は上記背景技術の問題点に鑑みてなされたものであり、圧造本体部の周囲及び上方を覆うカバーの分解作業性を向上して内部調査や部品交換などのメンテナンスを容易とし、かつ耐油性に優れた圧造機を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の圧造機は、ベース部と、前記ベース部上に配置されクーラントを使用しながらパンチとダイスによる圧造加工を行う圧造本体部と、前記圧造本体部の周囲及び上方を覆うカバーと、を備える圧造機であって、前記カバーは、前記圧造本体部の周囲及び上方に配置されて所定の機械的強度を有する骨組部材と、前記骨組部材及び前記ベース部及び前記圧造本体部の少なくとも一つに着脱可能に取り付けられるとともに互いに連接して前記圧造本体部の周囲及び上方を覆う複数枚のパネル部材と、を含むことを特徴とする。
【0009】
さらに、前記骨組部材は内部空間を有するパイプ材を用いて構成され、前記パイプ材の前記内部空間を前記圧造本体部に至る配管及び電気配線の少なくとも一方の経路とすることが好ましい。
【0010】
さらに、前記パイプ材に前記内部空間を開放及び閉鎖可能な蓋部材を設け、前記蓋部材の内側の内部空間に前記配管を中継接続する配管中継部及び前記電気配線を中継接続する中継端子台の少なくとも一方を配置してもよい。
【0011】
また、前記パネル部材の少なくとも一部は、前記骨組部材及び前記ベース及び前記圧造本体部の少なくとも一つに着脱可能または開閉可能に設けられて開口部を有する外枠パネルと、前記外枠パネルに着脱可能に取り付けられて前記開口部を塞ぐ中央パネルと、を有してもよい。
【0012】
また、前記パネル部材の少なくとも一部は、取り付けられた状態で移動可能な扉パネルであってもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の圧造機では、カバーは、所定の機械的強度を有する骨組部材と、骨組部材及びベース部及び圧造本体部の少なくとも一つに着脱可能に取り付けられるとともに互いに連接して圧造本体部の周囲及び上方を覆う複数枚のパネル部材と、を含んでいる。このため、当初から着脱作業を想定してパネル部材を適宜複数枚に分割することができ、かつ骨組部材などに支持されて大きな機械的強度を必要としないのでパネル部材を軽量化できる。したがって、骨組部材を残して軽量のパネル部材を取り外すだけでカバーを分解でき、分解作業性が著しく向上して内部調査や部品交換などのメンテナンスが容易になる。
【0014】
さらに、骨組部材がパイプ材を用いて構成された態様では、パイプ材の内部空間を配管及び電気配線の少なくとも一方の経路に使用できる。したがって、骨組部材を保護管に兼用して配管や電気配線がオイルに直接触れることを防止でき、耐油性を向上できる。
【0015】
さらに、パイプ材に内部空間を開放及び閉鎖可能な蓋部材を設けた態様では、蓋部材の内側の内部空間に配管中継部や中継端子台を配置できる。したがって、蓋部材を取り外して配管や電気配線の調査や接続作業などを行え、内部調査や部品交換のメンテナンスが容易になる。
【0016】
また、パネル部材の一部が外枠パネルと中央パネルとを有する態様では、外枠パネル及び中央パネルを一括して取り外すことと、中央パネルだけを取り外すまたは開閉することを選択できる。したがって、メンテナンスの内容に対応して分解範囲を適宜選択し、メンテナンスを最小限の労力で効率的に行える。
【0017】
また、パネル部材の一部が取り付けられた状態で移動可能な扉パネルである態様では、扉パネルの移動により圧造本体部への接触、目視、接近などが行える。したがって、常時の運転を容易にかつ効率的に行える。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態の圧造機の全体構成を示す正面図である。
【図2】本発明の実施形態の圧造機の全体構成を示す平面図である。
【図3】骨組部材を説明する圧造機の正面図である。
【図4】骨組部材を説明する圧造機の平面図である。
【図5】骨組部材を説明する圧造機の背面図である。
【図6】骨組部材を説明する圧造機の右側面図である。
【図7】骨組部材を説明する圧造機の左側面図である。
【図8】パネル部材を説明する圧造機の背面図である。
【図9】パネル部材を説明する圧造機の右側面図である。
【図10】パネル部材を説明する圧造機の左側面図である。
【図11】パネル部材相互間の連接方法を説明する平面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明を実施するための形態を、図1〜図11を参考にして説明する。図1は本発明の実施形態の圧造機1の全体構成を示す正面図であり、図2は全体構成を示す平面図である。圧造機1は、ベース2、圧造本体部3及び主モータ4、骨組部材5及び13枚のパネル部材61〜73を含むカバー8、などで構成されている。
【0020】
ベース2は、鋼材を用いて略矩形に形成されており、図中左方には主モータ4を載置する補助ベース21が延設されている。圧造本体部3は、図1及び図2でパネル部材61〜73に覆われて外側から直視できず、外形のみが破線で示されている。圧造本体部3は、ベース2上に載置されており、クーラントとしてオイルを使用しながらパンチとダイスによる圧造加工を行う。本発明は、圧造本体部3の方式や構造に限定されず、周知の各種圧造本体部を用いることができる。主モータ4は、圧造本体部3の駆動源であり、圧造本体部3に隣接して補助ベース21上に載置されている。
【0021】
カバー8は、圧造本体部3の周囲及び上方を覆い、オイルの飛散やオイルミストの漏出を防止するものである。カバー8は、図1及び図2に一点鎖線で示される骨組部材5と、実線で示されるパネル部材61〜73とにより構成されている。
【0022】
図3〜図7はそれぞれ、骨組部材5を説明する圧造機1の正面図、平面図、背面図、右側面図、及び左側面図であり、パネル部材61〜73を取り外した状態が示されている。骨組部材5は、3本の柱部材51〜53と3本の梁部材54〜56とが連結されて構成されている。詳述すると、圧造本体部3の右側前方に右前柱部材51、右側後方に右後柱部材52、左側後方に左後柱部材53、がそれぞれ立設されている。各柱部材51、52、53の下端511、521、531には矩形の取付用フランジが形成され、固定ボルトによりベース2に固定されている。図6に示されるように、右前柱部材51は下側略半分が直立し中間高さ515で「く」字状にわずかに屈折している。また、右後柱部材52及び左後柱部材53は直立している(図6示、図7示)。
【0023】
右前柱部材51の上端512から右後柱部材52の上端522にかけて、右梁部材54が水平に架け渡されている((図6示)。また、右梁部材54の後方寄り側面541から左後柱部材53の上端532にかけて中央梁部材55が水平に架け渡されている((図3〜図5示)。図3に示されるように、中央梁部材55の中央から左側にかけては、断面積が大きな中継部551が形成されている。中継部551の下側2箇所は、支持部材552、553により圧造本体部3に支持されている(図5示)。中央梁部材55の上面には、パネル部材61〜64、68〜71を取り付けるための取付座559が付設されている(図6示)。中央梁部材55の左端上部寄り554から前方に向けて左梁部材56が水平に延設されている(図4示)。左梁部材56は、前方に向かい途中で屈折して右方に延長されている((図4示)。左梁部材56の延長端561の下側は、支持部材562により圧造本体部3に支持されている((図3示)。
【0024】
骨組部材である各柱部材51〜53及び各梁部材54〜56は、内部空間を有する断面矩形のパイプ材を用いて構成され、各部材51〜56の内部空間は連通している。また、中央梁部材55の中継部551は、断面「コ」字状で内部空間が後方側に開放した主部材555と、内部空間を開放及び閉鎖可能な平板状の3枚の蓋部材556で構成されている((図5示)。蓋部材556は、固定ボルトを用いて主部材555の開口部に着脱されるようになっている。
【0025】
各柱部材51〜53及び各梁部材54〜56の内部空間は、圧造本体部3に至る配管及び電気配線を一括集中した経路に使用されている。詳述すると、中央梁部材55の左端には、開口フランジ部557が形成されている((図3、図4、図7示)。開口フランジ部557は、図略の配管中継箱及び端子箱に連通しており、配管及び電気配線が挿通されている。また、中央梁部材55の中継部551の内部には、図略の配管中継部及び中継端子台が設けられて、配管の中継接続及び電気配線の中継接続が行われている。一方、各柱部材51〜53及び各梁部材54〜56には、9箇所の引出し部91〜99が設けられている(91と92は図3示、93〜98は図5示、99は図7示)。各引出し部91〜99には孔の穿設された板材が着脱可能に配設され、配管及び電気配線は孔を挿通して圧造本体部3に達している。
【0026】
次に、パネル部材61〜73について、図1、図2及び図8〜図10を参考にして説明する。図8〜図10はそれぞれ、パネル部材61〜73を説明する圧造機の背面図、右側面図、及び左側面図である。各パネル部材61〜73は、骨組部材5及びベース2及び圧造本体部3の少なくとも一つに着脱可能に取り付けられるとともに、互いに連接して圧造本体部3の周囲及び上方を覆うものである。各パネル部材61〜73は、薄い鋼材を曲げ加工し、取付け孔などを設けて形成することができる。以下、詳述する。
【0027】
図1及び図2に示されるように、圧造本体部3の上方から前方上部にかけて、図中右から左へと順に第1〜第3パネル部材61〜63が配置されている。第1〜第3パネル部材61〜63は、図2及び図9に示されるように、右梁部材54よりも上側で水平な天板部611、621、631と、右前柱部材51の前側に沿う形状の前板部612,622、632とが連続して形成されている。なおかつ、第1パネル部材61よりも第2パネル部材62はわずかに大きく、第2パネル部材62よりも第3パネル部材63はわずかに大きく形成されている。
【0028】
第1パネル部材61の天板部611の最奥端は中央梁部材55の取付座559に固定され((図9示)、天板部611及び前板部612の右端は右側面の第12パネル部材72に連接され、前板部612の下端は第5パネル部材65に連接されている。第2パネル部材62の天板部621の最奥端は中央梁部材55の取付座559に左右方向の移動可能に支持され、天板部621及び前板部622の右端は第1パネル部材61の外側にオーバーラップし、前板部622の下端は第5パネル部材に左右方向の移動可能に支持されている。同様に、第3パネル部材63の天板部631の最奥端は中央梁部材55の取付座559に左右方向の移動可能に支持され、天板部631及び前板部632の右端は第2パネル部材62の外側にオーバーラップし、前板部632の下端は第5パネル部材に左右方向の移動可能に支持されている。さらに、第3パネル部材63には、のぞき窓633及び把手634が設けられている((図1示)。
【0029】
そして、作業者が第3パネル部材63の把手634を図1の左方に操作すると、第3パネル部材63及び第2パネル部材62が第1パネル部材61に重なるまでスライド移動するようになっている。つまり、第3パネル部材63及び第2パネル部材62は、取り付けられた状態で移動可能な扉パネルとなっている。
【0030】
また、圧造本体部3の上方の第3パネル部材63の左側に第4パネル部材64が連接配置されている。第4パネル部材64は水平な天板部からなり、最奥端は中央梁部材55の取付座559に固定され、左端は左側面の第13パネル部材73に連接され、手前端は第7パネル部材67に連接されている。
【0031】
図1及び図9に示されるように、第1〜第3パネル部材61〜63の下端とベース2の間に、第5パネル部材65が配置されている。第5パネル部材65の右端は第12パネル部材72に連接され、左端は第6パネル部材66に連接されている。第6パネル部材66は、第3パネル部材63の下端とベース2の間に配置され、左端が第7パネル部材67に連接されている。第7パネル部材67は、図1の紙面手前方向に突出する凸部を有している。第7パネル部材67の上端は第4パネル部材64に連接され、下端はベース2に取り付けられ、左端は第13パネル部材73に連接されている。
【0032】
背面側に移り、図2及び図8に示されるように、圧造本体部3の上方から後方上部を経て後方下部にかけ、図2の右から左へと(図8の背面図では左から右へと)順に第8〜第11パネル部材68〜71が列設配置されている。第8〜第11パネル部材68〜71は、中央梁部材55の取付座559に固定されて水平に配置される天板部681、691、701、711と、天板部の端から垂直に下降する背板部682、692、702、712と、背板部の下端から内向きに屈折してベース2に達する下板部683、693、703、713とで形成されている。第8〜第11パネル部材68〜71は相互に側端で連接している。さらに、第8パネル部材68は、図8の右側に折り曲げられた側面部685を有して第12パネル部材72に連接している((図9示)。同様に、第11パネル部材71は、図8の左側に折り曲げられた側面部715を有して第13パネル部材73に連接している((図10示)。
【0033】
図8に示されるように、第8〜第11パネル部材68〜71の各背板部682、692、702、712の中央は大きく矩形に切り欠かれて開口部が形成されている。各開口部を塞ぐために、それぞれ中央パネル684,694,704,714が着脱可能に設けられている。中央パネル684,694,704,714の2箇所には把手が設けられ、容易に取り外しできるようになっている。つまり、第8〜第11パネル部材68〜71は、着脱可能な外枠パネルと中央パネル684,694,704,714とを有している。これにより、外枠パネル及び中央パネル684,694,704,714を一括して取り外すことと、中央パネル684,694,704,714だけを取り外すことを選択できるようになっている。
【0034】
次に、図9に示されるように、圧造本体部3の右側面には第12パネル部材72が直立配置されている。第12パネル部材72の上端は第1パネル部材61の天板部611に連接され、下端はベース2に取り付けられている。また、第12パネル部材72の前端は第1パネル部材61の前板部612と第5パネル部材65に連接され、後端は第8パネル部材68に連接されている。さらに、第12パネル部材72には開口部が形成され、開口部を塞ぐために扉721が開閉可能に設けられている。したがって、扉721を開けて圧造本体部3を調査することができ、第12パネル部材72自体を取り外すこともできて、メンテナンス作業上の選択肢が拡げられている。
【0035】
また、図10に示されるように、圧造本体部3の左側面には第13パネル部材73が直立配置されている。第13パネル部材73の上端は第4パネル部材64に連接され、下端はベース2に取り付けられている。また、第13パネル部材73の前端は第7パネル部材67に連接され、後端は第11パネル部材71に連接されている。
【0036】
次に、パネル部材相互間の連接方法について、図11を参考にして例示説明する。図11は、第8パネル部材68と第9パネル部材69の連接方法を説明する平面断面図である。図示されるように、両方のパネル部材68、69の側端は、互いに面接触するようにそれぞれ複数回曲げ加工され、接触する面に孔が穿設されている。そして、孔を挿通したねじ686とナット687の螺合により、両パネル部材68、69が連接されている。また、図11には、第8パネル部材68の背板部682と中央パネル684との間の連接方法も示されている。背板部682及び中央パネル684は、互いに面接触するようにそれぞれ複数回曲げ加工され、接触する面に孔が穿孔されている。そして、両者682、684の孔を挿通するように外側からピン688を押し込むことで、背板部682に中央パネル684を取り付けられるようになっている。このピン688は、プッシュ及びプル操作により簡易に着脱できるようになっている。
【0037】
なお、第1及び第4〜第13パネル部材61、64〜73の取付座559またはベース2への取り付けには主に固定ボルトを用いるが、これに限定されるものではない。
【0038】
次に、実施形態の圧造機1の作用及び効果について説明する。上述したように、各パネル部材61〜73は、多数枚に分割されかつ骨組部材5などに支持されているので、大きな機械的強度を必要とせず、軽量化されている。したがって、骨組部材5を残して軽量のパネル部材61〜73を取り外すだけでカバー8を分解でき、分解作業性が著しく向上して内部調査や部品交換などのメンテナンスが容易になる。
【0039】
また、骨組部材5である各柱部材51〜53及び各梁部材54〜56はパイプ材とされ、パイプ材の内部空間を配管及び電気配線の一括集中経路にしている。したがって、骨組部材5を従来の保護管に兼用して配管や電気配線がオイルに直接触れることを防止でき、耐油性を向上できる。
【0040】
さらに、中央梁部材55の中継部551を主部材555と蓋部材556とで構成し、内部空間に配管中継部及び中継端子台を配置している。したがって、蓋部材556を取り外して配管や電気配線の調査や接続作業などを行え、内部調査や部品交換のメンテナンスが容易になる。
【0041】
さらに、第8〜第11パネル部材68〜71は、着脱可能な外枠パネルと中央パネル684,694,704,714とを有している。また、第12パネル部材72は開閉可能な扉721を有している。これにより、外枠パネル及び中央パネル684,694,704,714を一括して取り外すことと、中央パネル684,694,704,714だけを取り外すこと、扉721を開けて圧造機本体3を調査することなどを選択できる。したがって、メンテナンスの内容に対応して分解範囲を適宜選択し、メンテナンスを最小限の労力で効率的に行える。
【0042】
また、第3パネル部材63及び第2パネル部材62は、取り付けられた状態で移動可能な扉パネルとなっている。これにより、圧造本体部3への接触、目視、接近などが行え、常時の運転を容易にかつ効率的に行える。
【符号の説明】
【0043】
1:圧造機
2:ベース 21:補助ベース
3:圧造本体部
4:主モータ
5:骨組部材
51:右前柱部材 52:右後柱部材 53:左後柱部材
54:右梁部材 55:中央梁部材 551:中継部
555:主部材 556:蓋部材 559:取付座 56:左梁部材
61〜73:第1〜第13パネル部材
633:のぞき窓 634:把手
684,694,704,714:中央パネル
686:ねじ 687:ナット 688:ピン 721:扉
8:カバー
【技術分野】
【0001】
本発明は、パンチとダイスにより圧造加工を行う圧造機に関し、より詳細には圧造本体部を覆うカバーの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
圧造機では、パンチとダイスを有する圧造本体部で圧造加工を行う際、パンチ及びダイスやワークを冷却及び潤滑するために、クーラントとしてオイルを適宜噴霧して使用している。このため、安全性や衛生面の向上を目的として、オイルの飛散やオイルミストの漏出を防止するカバーを圧造本体部の周囲及び上方に備えるのが一般的になっている。また、圧造本体部には、空気圧や油圧を利用した圧力機器やモータなどの電気機器が用いられている。このため、例えばプリカチューブと呼ばれる保護管内に配管や電気配線を収納してオイルに直接触れることを防止し、耐油性を向上している。
【0003】
上述のカバーや保護管は、圧造機だけでなく、クーラントを使用する工作機械一般で広く用いられている。例えば、特許文献1に開示される工作機械のカバー構造は、ベッドの左右両側面の複数箇所に固定されクーラントパンを油密に貫通する下部支柱と、下部支柱の上端に結合してカバーの上面を支持する上部支柱とを備え、下部支柱及び上部支柱が電気配線や油圧配管等のダクトを構成している。これにより、支柱がカバー内に位置してカバーの外観がスッキリとし、また、クーラント洩れ防止構造が容易に形成されるという作用が記載されている。
【0004】
この種のカバーでは、機械的強度を確保するために、ある程度の厚さを有する複数の鋼板を溶接し、工作機械全体を覆う一体型カバーを構成する場合が多い。また、カバーの厚さを減じるため、鋼板に補強ステーを溶接することも知られている。なお、配管や電気配線を収納する保護管は、圧造本体部に沿わせて、あるいはカバーの内壁面に沿わせて固定される場合が多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6−246581号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、圧造本体部で不具合が発生した場合、内部調査や部品交換のためにカバーを一時的に分解して取り外す必要が生じる場合がある。このとき、特許文献1をはじめとする従来のカバーは分解作業性について配慮されておらず、問題であった。例えば、溶接構造の一体型カバーは実質的に分解困難であり、内部調査や部品交換は臨機応変に多大な手間をかけて行っていた。また、複数の構成部材からなるカバーでは、取り外しが可能であっても着脱作業は容易でなく、重量や形状の制約もあって分解作業性は著しく低かった。さらには、保護管内の配管や電気配線の調査が必要な場合や、部品交換時に配管や電気配線の一部を交換する場合もあり、分解範囲が拡がるとともに分解作業内容も多岐にわたり大変な手間となっていた。
【0007】
本発明は上記背景技術の問題点に鑑みてなされたものであり、圧造本体部の周囲及び上方を覆うカバーの分解作業性を向上して内部調査や部品交換などのメンテナンスを容易とし、かつ耐油性に優れた圧造機を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の圧造機は、ベース部と、前記ベース部上に配置されクーラントを使用しながらパンチとダイスによる圧造加工を行う圧造本体部と、前記圧造本体部の周囲及び上方を覆うカバーと、を備える圧造機であって、前記カバーは、前記圧造本体部の周囲及び上方に配置されて所定の機械的強度を有する骨組部材と、前記骨組部材及び前記ベース部及び前記圧造本体部の少なくとも一つに着脱可能に取り付けられるとともに互いに連接して前記圧造本体部の周囲及び上方を覆う複数枚のパネル部材と、を含むことを特徴とする。
【0009】
さらに、前記骨組部材は内部空間を有するパイプ材を用いて構成され、前記パイプ材の前記内部空間を前記圧造本体部に至る配管及び電気配線の少なくとも一方の経路とすることが好ましい。
【0010】
さらに、前記パイプ材に前記内部空間を開放及び閉鎖可能な蓋部材を設け、前記蓋部材の内側の内部空間に前記配管を中継接続する配管中継部及び前記電気配線を中継接続する中継端子台の少なくとも一方を配置してもよい。
【0011】
また、前記パネル部材の少なくとも一部は、前記骨組部材及び前記ベース及び前記圧造本体部の少なくとも一つに着脱可能または開閉可能に設けられて開口部を有する外枠パネルと、前記外枠パネルに着脱可能に取り付けられて前記開口部を塞ぐ中央パネルと、を有してもよい。
【0012】
また、前記パネル部材の少なくとも一部は、取り付けられた状態で移動可能な扉パネルであってもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の圧造機では、カバーは、所定の機械的強度を有する骨組部材と、骨組部材及びベース部及び圧造本体部の少なくとも一つに着脱可能に取り付けられるとともに互いに連接して圧造本体部の周囲及び上方を覆う複数枚のパネル部材と、を含んでいる。このため、当初から着脱作業を想定してパネル部材を適宜複数枚に分割することができ、かつ骨組部材などに支持されて大きな機械的強度を必要としないのでパネル部材を軽量化できる。したがって、骨組部材を残して軽量のパネル部材を取り外すだけでカバーを分解でき、分解作業性が著しく向上して内部調査や部品交換などのメンテナンスが容易になる。
【0014】
さらに、骨組部材がパイプ材を用いて構成された態様では、パイプ材の内部空間を配管及び電気配線の少なくとも一方の経路に使用できる。したがって、骨組部材を保護管に兼用して配管や電気配線がオイルに直接触れることを防止でき、耐油性を向上できる。
【0015】
さらに、パイプ材に内部空間を開放及び閉鎖可能な蓋部材を設けた態様では、蓋部材の内側の内部空間に配管中継部や中継端子台を配置できる。したがって、蓋部材を取り外して配管や電気配線の調査や接続作業などを行え、内部調査や部品交換のメンテナンスが容易になる。
【0016】
また、パネル部材の一部が外枠パネルと中央パネルとを有する態様では、外枠パネル及び中央パネルを一括して取り外すことと、中央パネルだけを取り外すまたは開閉することを選択できる。したがって、メンテナンスの内容に対応して分解範囲を適宜選択し、メンテナンスを最小限の労力で効率的に行える。
【0017】
また、パネル部材の一部が取り付けられた状態で移動可能な扉パネルである態様では、扉パネルの移動により圧造本体部への接触、目視、接近などが行える。したがって、常時の運転を容易にかつ効率的に行える。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態の圧造機の全体構成を示す正面図である。
【図2】本発明の実施形態の圧造機の全体構成を示す平面図である。
【図3】骨組部材を説明する圧造機の正面図である。
【図4】骨組部材を説明する圧造機の平面図である。
【図5】骨組部材を説明する圧造機の背面図である。
【図6】骨組部材を説明する圧造機の右側面図である。
【図7】骨組部材を説明する圧造機の左側面図である。
【図8】パネル部材を説明する圧造機の背面図である。
【図9】パネル部材を説明する圧造機の右側面図である。
【図10】パネル部材を説明する圧造機の左側面図である。
【図11】パネル部材相互間の連接方法を説明する平面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明を実施するための形態を、図1〜図11を参考にして説明する。図1は本発明の実施形態の圧造機1の全体構成を示す正面図であり、図2は全体構成を示す平面図である。圧造機1は、ベース2、圧造本体部3及び主モータ4、骨組部材5及び13枚のパネル部材61〜73を含むカバー8、などで構成されている。
【0020】
ベース2は、鋼材を用いて略矩形に形成されており、図中左方には主モータ4を載置する補助ベース21が延設されている。圧造本体部3は、図1及び図2でパネル部材61〜73に覆われて外側から直視できず、外形のみが破線で示されている。圧造本体部3は、ベース2上に載置されており、クーラントとしてオイルを使用しながらパンチとダイスによる圧造加工を行う。本発明は、圧造本体部3の方式や構造に限定されず、周知の各種圧造本体部を用いることができる。主モータ4は、圧造本体部3の駆動源であり、圧造本体部3に隣接して補助ベース21上に載置されている。
【0021】
カバー8は、圧造本体部3の周囲及び上方を覆い、オイルの飛散やオイルミストの漏出を防止するものである。カバー8は、図1及び図2に一点鎖線で示される骨組部材5と、実線で示されるパネル部材61〜73とにより構成されている。
【0022】
図3〜図7はそれぞれ、骨組部材5を説明する圧造機1の正面図、平面図、背面図、右側面図、及び左側面図であり、パネル部材61〜73を取り外した状態が示されている。骨組部材5は、3本の柱部材51〜53と3本の梁部材54〜56とが連結されて構成されている。詳述すると、圧造本体部3の右側前方に右前柱部材51、右側後方に右後柱部材52、左側後方に左後柱部材53、がそれぞれ立設されている。各柱部材51、52、53の下端511、521、531には矩形の取付用フランジが形成され、固定ボルトによりベース2に固定されている。図6に示されるように、右前柱部材51は下側略半分が直立し中間高さ515で「く」字状にわずかに屈折している。また、右後柱部材52及び左後柱部材53は直立している(図6示、図7示)。
【0023】
右前柱部材51の上端512から右後柱部材52の上端522にかけて、右梁部材54が水平に架け渡されている((図6示)。また、右梁部材54の後方寄り側面541から左後柱部材53の上端532にかけて中央梁部材55が水平に架け渡されている((図3〜図5示)。図3に示されるように、中央梁部材55の中央から左側にかけては、断面積が大きな中継部551が形成されている。中継部551の下側2箇所は、支持部材552、553により圧造本体部3に支持されている(図5示)。中央梁部材55の上面には、パネル部材61〜64、68〜71を取り付けるための取付座559が付設されている(図6示)。中央梁部材55の左端上部寄り554から前方に向けて左梁部材56が水平に延設されている(図4示)。左梁部材56は、前方に向かい途中で屈折して右方に延長されている((図4示)。左梁部材56の延長端561の下側は、支持部材562により圧造本体部3に支持されている((図3示)。
【0024】
骨組部材である各柱部材51〜53及び各梁部材54〜56は、内部空間を有する断面矩形のパイプ材を用いて構成され、各部材51〜56の内部空間は連通している。また、中央梁部材55の中継部551は、断面「コ」字状で内部空間が後方側に開放した主部材555と、内部空間を開放及び閉鎖可能な平板状の3枚の蓋部材556で構成されている((図5示)。蓋部材556は、固定ボルトを用いて主部材555の開口部に着脱されるようになっている。
【0025】
各柱部材51〜53及び各梁部材54〜56の内部空間は、圧造本体部3に至る配管及び電気配線を一括集中した経路に使用されている。詳述すると、中央梁部材55の左端には、開口フランジ部557が形成されている((図3、図4、図7示)。開口フランジ部557は、図略の配管中継箱及び端子箱に連通しており、配管及び電気配線が挿通されている。また、中央梁部材55の中継部551の内部には、図略の配管中継部及び中継端子台が設けられて、配管の中継接続及び電気配線の中継接続が行われている。一方、各柱部材51〜53及び各梁部材54〜56には、9箇所の引出し部91〜99が設けられている(91と92は図3示、93〜98は図5示、99は図7示)。各引出し部91〜99には孔の穿設された板材が着脱可能に配設され、配管及び電気配線は孔を挿通して圧造本体部3に達している。
【0026】
次に、パネル部材61〜73について、図1、図2及び図8〜図10を参考にして説明する。図8〜図10はそれぞれ、パネル部材61〜73を説明する圧造機の背面図、右側面図、及び左側面図である。各パネル部材61〜73は、骨組部材5及びベース2及び圧造本体部3の少なくとも一つに着脱可能に取り付けられるとともに、互いに連接して圧造本体部3の周囲及び上方を覆うものである。各パネル部材61〜73は、薄い鋼材を曲げ加工し、取付け孔などを設けて形成することができる。以下、詳述する。
【0027】
図1及び図2に示されるように、圧造本体部3の上方から前方上部にかけて、図中右から左へと順に第1〜第3パネル部材61〜63が配置されている。第1〜第3パネル部材61〜63は、図2及び図9に示されるように、右梁部材54よりも上側で水平な天板部611、621、631と、右前柱部材51の前側に沿う形状の前板部612,622、632とが連続して形成されている。なおかつ、第1パネル部材61よりも第2パネル部材62はわずかに大きく、第2パネル部材62よりも第3パネル部材63はわずかに大きく形成されている。
【0028】
第1パネル部材61の天板部611の最奥端は中央梁部材55の取付座559に固定され((図9示)、天板部611及び前板部612の右端は右側面の第12パネル部材72に連接され、前板部612の下端は第5パネル部材65に連接されている。第2パネル部材62の天板部621の最奥端は中央梁部材55の取付座559に左右方向の移動可能に支持され、天板部621及び前板部622の右端は第1パネル部材61の外側にオーバーラップし、前板部622の下端は第5パネル部材に左右方向の移動可能に支持されている。同様に、第3パネル部材63の天板部631の最奥端は中央梁部材55の取付座559に左右方向の移動可能に支持され、天板部631及び前板部632の右端は第2パネル部材62の外側にオーバーラップし、前板部632の下端は第5パネル部材に左右方向の移動可能に支持されている。さらに、第3パネル部材63には、のぞき窓633及び把手634が設けられている((図1示)。
【0029】
そして、作業者が第3パネル部材63の把手634を図1の左方に操作すると、第3パネル部材63及び第2パネル部材62が第1パネル部材61に重なるまでスライド移動するようになっている。つまり、第3パネル部材63及び第2パネル部材62は、取り付けられた状態で移動可能な扉パネルとなっている。
【0030】
また、圧造本体部3の上方の第3パネル部材63の左側に第4パネル部材64が連接配置されている。第4パネル部材64は水平な天板部からなり、最奥端は中央梁部材55の取付座559に固定され、左端は左側面の第13パネル部材73に連接され、手前端は第7パネル部材67に連接されている。
【0031】
図1及び図9に示されるように、第1〜第3パネル部材61〜63の下端とベース2の間に、第5パネル部材65が配置されている。第5パネル部材65の右端は第12パネル部材72に連接され、左端は第6パネル部材66に連接されている。第6パネル部材66は、第3パネル部材63の下端とベース2の間に配置され、左端が第7パネル部材67に連接されている。第7パネル部材67は、図1の紙面手前方向に突出する凸部を有している。第7パネル部材67の上端は第4パネル部材64に連接され、下端はベース2に取り付けられ、左端は第13パネル部材73に連接されている。
【0032】
背面側に移り、図2及び図8に示されるように、圧造本体部3の上方から後方上部を経て後方下部にかけ、図2の右から左へと(図8の背面図では左から右へと)順に第8〜第11パネル部材68〜71が列設配置されている。第8〜第11パネル部材68〜71は、中央梁部材55の取付座559に固定されて水平に配置される天板部681、691、701、711と、天板部の端から垂直に下降する背板部682、692、702、712と、背板部の下端から内向きに屈折してベース2に達する下板部683、693、703、713とで形成されている。第8〜第11パネル部材68〜71は相互に側端で連接している。さらに、第8パネル部材68は、図8の右側に折り曲げられた側面部685を有して第12パネル部材72に連接している((図9示)。同様に、第11パネル部材71は、図8の左側に折り曲げられた側面部715を有して第13パネル部材73に連接している((図10示)。
【0033】
図8に示されるように、第8〜第11パネル部材68〜71の各背板部682、692、702、712の中央は大きく矩形に切り欠かれて開口部が形成されている。各開口部を塞ぐために、それぞれ中央パネル684,694,704,714が着脱可能に設けられている。中央パネル684,694,704,714の2箇所には把手が設けられ、容易に取り外しできるようになっている。つまり、第8〜第11パネル部材68〜71は、着脱可能な外枠パネルと中央パネル684,694,704,714とを有している。これにより、外枠パネル及び中央パネル684,694,704,714を一括して取り外すことと、中央パネル684,694,704,714だけを取り外すことを選択できるようになっている。
【0034】
次に、図9に示されるように、圧造本体部3の右側面には第12パネル部材72が直立配置されている。第12パネル部材72の上端は第1パネル部材61の天板部611に連接され、下端はベース2に取り付けられている。また、第12パネル部材72の前端は第1パネル部材61の前板部612と第5パネル部材65に連接され、後端は第8パネル部材68に連接されている。さらに、第12パネル部材72には開口部が形成され、開口部を塞ぐために扉721が開閉可能に設けられている。したがって、扉721を開けて圧造本体部3を調査することができ、第12パネル部材72自体を取り外すこともできて、メンテナンス作業上の選択肢が拡げられている。
【0035】
また、図10に示されるように、圧造本体部3の左側面には第13パネル部材73が直立配置されている。第13パネル部材73の上端は第4パネル部材64に連接され、下端はベース2に取り付けられている。また、第13パネル部材73の前端は第7パネル部材67に連接され、後端は第11パネル部材71に連接されている。
【0036】
次に、パネル部材相互間の連接方法について、図11を参考にして例示説明する。図11は、第8パネル部材68と第9パネル部材69の連接方法を説明する平面断面図である。図示されるように、両方のパネル部材68、69の側端は、互いに面接触するようにそれぞれ複数回曲げ加工され、接触する面に孔が穿設されている。そして、孔を挿通したねじ686とナット687の螺合により、両パネル部材68、69が連接されている。また、図11には、第8パネル部材68の背板部682と中央パネル684との間の連接方法も示されている。背板部682及び中央パネル684は、互いに面接触するようにそれぞれ複数回曲げ加工され、接触する面に孔が穿孔されている。そして、両者682、684の孔を挿通するように外側からピン688を押し込むことで、背板部682に中央パネル684を取り付けられるようになっている。このピン688は、プッシュ及びプル操作により簡易に着脱できるようになっている。
【0037】
なお、第1及び第4〜第13パネル部材61、64〜73の取付座559またはベース2への取り付けには主に固定ボルトを用いるが、これに限定されるものではない。
【0038】
次に、実施形態の圧造機1の作用及び効果について説明する。上述したように、各パネル部材61〜73は、多数枚に分割されかつ骨組部材5などに支持されているので、大きな機械的強度を必要とせず、軽量化されている。したがって、骨組部材5を残して軽量のパネル部材61〜73を取り外すだけでカバー8を分解でき、分解作業性が著しく向上して内部調査や部品交換などのメンテナンスが容易になる。
【0039】
また、骨組部材5である各柱部材51〜53及び各梁部材54〜56はパイプ材とされ、パイプ材の内部空間を配管及び電気配線の一括集中経路にしている。したがって、骨組部材5を従来の保護管に兼用して配管や電気配線がオイルに直接触れることを防止でき、耐油性を向上できる。
【0040】
さらに、中央梁部材55の中継部551を主部材555と蓋部材556とで構成し、内部空間に配管中継部及び中継端子台を配置している。したがって、蓋部材556を取り外して配管や電気配線の調査や接続作業などを行え、内部調査や部品交換のメンテナンスが容易になる。
【0041】
さらに、第8〜第11パネル部材68〜71は、着脱可能な外枠パネルと中央パネル684,694,704,714とを有している。また、第12パネル部材72は開閉可能な扉721を有している。これにより、外枠パネル及び中央パネル684,694,704,714を一括して取り外すことと、中央パネル684,694,704,714だけを取り外すこと、扉721を開けて圧造機本体3を調査することなどを選択できる。したがって、メンテナンスの内容に対応して分解範囲を適宜選択し、メンテナンスを最小限の労力で効率的に行える。
【0042】
また、第3パネル部材63及び第2パネル部材62は、取り付けられた状態で移動可能な扉パネルとなっている。これにより、圧造本体部3への接触、目視、接近などが行え、常時の運転を容易にかつ効率的に行える。
【符号の説明】
【0043】
1:圧造機
2:ベース 21:補助ベース
3:圧造本体部
4:主モータ
5:骨組部材
51:右前柱部材 52:右後柱部材 53:左後柱部材
54:右梁部材 55:中央梁部材 551:中継部
555:主部材 556:蓋部材 559:取付座 56:左梁部材
61〜73:第1〜第13パネル部材
633:のぞき窓 634:把手
684,694,704,714:中央パネル
686:ねじ 687:ナット 688:ピン 721:扉
8:カバー
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースと、前記ベース上に配置されクーラントを使用しながらパンチとダイスによる圧造加工を行う圧造本体部と、前記圧造本体部の周囲及び上方を覆うカバーと、を備える圧造機であって、
前記カバーは、前記圧造本体部の周囲及び上方に配置されて所定の機械的強度を有する骨組部材と、前記骨組部材及び前記ベース及び前記圧造本体部の少なくとも一つに着脱可能に取り付けられるとともに互いに連接して前記圧造本体部の周囲及び上方を覆う複数枚のパネル部材と、を含むことを特徴とする圧造機。
【請求項2】
前記骨組部材は内部空間を有するパイプ材を用いて構成され、前記パイプ材の前記内部空間を前記圧造本体部に至る配管及び電気配線の少なくとも一方の経路とした請求項1に記載の圧造機。
【請求項3】
前記パイプ材に前記内部空間を開放及び閉鎖可能な蓋部材を設け、前記蓋部材の内側の内部空間に前記配管を中継接続する配管中継部及び前記電気配線を中継接続する中継端子台の少なくとも一方を配置した請求項2に記載の圧造機。
【請求項4】
前記パネル部材の少なくとも一部は、前記骨組部材及び前記ベース及び前記圧造本体部の少なくとも一つに着脱可能に設けられて開口部を有する外枠パネルと、前記外枠パネルに着脱可能または開閉可能に取り付けられて前記開口部を塞ぐ中央パネルと、を有する請求項1〜3のいずれか一項に記載の圧造機。
【請求項5】
前記パネル部材の少なくとも一部は、取り付けられた状態で移動可能な扉パネルである請求項1〜4のいずれか一項に記載の圧造機。
【請求項1】
ベースと、前記ベース上に配置されクーラントを使用しながらパンチとダイスによる圧造加工を行う圧造本体部と、前記圧造本体部の周囲及び上方を覆うカバーと、を備える圧造機であって、
前記カバーは、前記圧造本体部の周囲及び上方に配置されて所定の機械的強度を有する骨組部材と、前記骨組部材及び前記ベース及び前記圧造本体部の少なくとも一つに着脱可能に取り付けられるとともに互いに連接して前記圧造本体部の周囲及び上方を覆う複数枚のパネル部材と、を含むことを特徴とする圧造機。
【請求項2】
前記骨組部材は内部空間を有するパイプ材を用いて構成され、前記パイプ材の前記内部空間を前記圧造本体部に至る配管及び電気配線の少なくとも一方の経路とした請求項1に記載の圧造機。
【請求項3】
前記パイプ材に前記内部空間を開放及び閉鎖可能な蓋部材を設け、前記蓋部材の内側の内部空間に前記配管を中継接続する配管中継部及び前記電気配線を中継接続する中継端子台の少なくとも一方を配置した請求項2に記載の圧造機。
【請求項4】
前記パネル部材の少なくとも一部は、前記骨組部材及び前記ベース及び前記圧造本体部の少なくとも一つに着脱可能に設けられて開口部を有する外枠パネルと、前記外枠パネルに着脱可能または開閉可能に取り付けられて前記開口部を塞ぐ中央パネルと、を有する請求項1〜3のいずれか一項に記載の圧造機。
【請求項5】
前記パネル部材の少なくとも一部は、取り付けられた状態で移動可能な扉パネルである請求項1〜4のいずれか一項に記載の圧造機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−45559(P2012−45559A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−187982(P2010−187982)
【出願日】平成22年8月25日(2010.8.25)
【出願人】(000117009)旭サナック株式会社 (194)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月25日(2010.8.25)
【出願人】(000117009)旭サナック株式会社 (194)
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