説明

圧電セラミックトランスユニット

【課題】駆動時に圧電セラミックトランスが振動しても基板に対してずれることがなく、基板に安定に固定される圧電セラミックトランスユニットを提供する。
【解決手段】圧電セラミックトランスユニット1は、圧電セラミックトランス2と保持部材6を用いて構成される。圧電セラミックトランス2は、圧電セラミックス12、第1入力電極14a、14b、第2入力電極16a、16b及び出力電極18、20を有する。保持部材6は、圧電セラミックトランス2の長手方向に垂直な方向の外周を周回して設けられ、その幅が前記圧電セラミックストランスから遠ざかるに従って狭くなる形状を有する。圧電セラミックストランスユニット1は、基板4と固定部材8との間に保持部材6が介在されるように配置されて基板4に固定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力電圧を変圧するための圧電セラミックトランスに関し、更に詳細には、液晶表示装置の照明装置や複写機、ファクシミリ、イオン発生器などの高出力用の小型電源などに搭載される圧電セラミックトランスに関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置のバックライト用のインバータ、複写機、ファクシミリ、イオン発生器、オゾン発生器などの高出力用電源に圧電セラミックトランスが搭載されている。圧電セラミックトランスは、電気部品が搭載されるPWB(Printed Wiring Board)上に配置されるため、基板上での固定が必要とされる。セラミックトランスは、この基板に直接実装されたり、ケースに収められてから実装されたりする。しかしながら、圧電セラミックトランスは、電気−機械変換により電力から機械的変位を生じさせ、また、その結果を電力として取り出すことによって、入力電圧を昇圧するので、圧電セラミックトランスの変位部を機械的に固定してしまうと、圧電セラミックトランスの能力を十分に発揮させることができない。
【0003】
圧電セラミックトランスの固定方法として、特許文献1のように、金属等のバネを用いて圧電セラミックスを固定する方法が知られている。この方法の場合、圧電セラミックスの振動を阻害することなく固定できるのと、圧電セラミックスの電極にバネ自身が接触するため、特許文献2の従来技術に記載されているような接続のためのリード線の代わりとなり、組立作業性の改善にもなっている。
【0004】
圧電セラミックの振動を阻害しないような方法として提案されているこれらの特許文献を説明すると、特許文献1では、電子素子を収納するパッケージが本体部とふた部とからなり、本体部に電子素子の電極に当接し支持するための電極板と、この電極板と通電する外部電極端子とが形成されている電子部品を開示している。電子素子をパッケージ本体内に形成された電極板等支持部材に装着し、電子素子の電気的接続と機械的保持あるいは固定を行っている。
また、特許文献2では、圧電トランス素子の振動の腹の部分にバネ性を有する金属端子を接合し、金属端子が電気的接続と共に、圧電トランス素子の保持を行っている圧電トランスを開示している。このように圧電トランス素子を振動の腹部分で電気的接続及び固定を行うため、種々の圧電トランスにおいて、無駄な延長電極をなくすことができ、工数削減、効率低下防止、信頼性向上などの効果を得ることができ、また腹の部分をバネ性のある端子を用いて接合するため、素子の振動への影響を最小限にできるとしている。
【0005】
【特許文献1】特開平9−214091号公報
【特許文献2】特開平10−200173号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
圧電セラミックスを機械的に基板やケースの内部に固定する場合には、上述した特許文献1及び2のように、バネ性を持った保持部材でセラミックを支える以外に方法が無かった。また、特許文献1の実施形態に開示されている弾性体を用いる方法もある。
ここ近年、液晶テレビ等のバックライト光源に使用される放電管を駆動するためのインバータに、セラミックトランスが応用されるケースが多くなってきている。これは、高圧を発生させる場合、巻き線型トランスに比較して発煙発火の恐れのないセラミックトランスが選択されているためである。また、液晶テレビ等の光源寿命は6万時間を保証されるケースが少なくなく、圧電セラミックトランスを用いたインバータにも同等の寿命保証が要求されている。そのため、圧電セラミックトランスを長時間駆動した場合に想定される事態を考慮し、各種工夫が必要になってくる。
【0007】
特許文献1に開示されている方法によって、セラミックの振動が阻害されることからは回避できるが、ゴムあるいはバネ性を持った部材の押圧により固定されているだけであるため、振動するセラミック自身を長時間同じ位置に固定するのは困難である。固定のためにゴム等の弾性体とセラミックの接触面積を単に増やす方法が考えられるが、セラミックの振動を抑制する方向に働くので好ましくない。
また、同時に、セラミックス電極との接続を、バネ性を持った部材により外部との接続を実現しているものの、バネ性を持った保持部材とセラミック上に形成された焼成銀等の導電材が振動により磨耗して、時間の経過と共に接触不良が発生する恐れがあり、セラミック電極の信号を外部に接続する機能を果たさなくなる。
【0008】
特許文献2においては、振動の腹の部分をバネ性のある保持部材で支え、さらにこの金属製の保持部材は圧電セラミックスの節部分表面の電極と半田付けされ固定されているが、長期間の圧電セラミックスの振動により、半田付けされた圧電セラミックス表面電極部が圧電セラミックス表面から剥離し、圧電セラミックトランスの保持ができなくなる恐れがある。また、半田のクラックが発生する恐れもある。
【0009】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、駆動時に圧電セラミックトランスが振動しても基板やケース内の固定に対してずれることがない圧電セラミックトランスユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の第1の態様は、固定部材によって基台に固定されて使用され、入力された電圧を、圧電効果を利用して変圧し出力するための圧電セラミックトランスユニットであって、圧電セラミックスと、前記圧電セラミックスに形成される入力電極と、前記圧電セラミックスに形成される出力電極とを含んで構成される圧電セラミックトランスと、厚さが幅方向で次第に薄くなる形状を有し、前記圧電セラミックトランスを部分的に挟むように設けられて前記基台に対して前記圧電セラミックトランスを部分的に保持する保持部材とを有し、前記基台と前記固定部材との間に前記保持部材を介在させることによって前記基台に固定される圧電セラミックトランスユニットを提供する。
【0011】
本発明の圧電セラミックトランスユニットにおいては、保持部材は、台形または略台形の断面形状を有することが好ましい。
また、前記保持部材は、前記圧電セラミックトランスの外周を周回して設けられることが好ましい。又は、前記保持部材は、前記圧電セラミックトランスを介して互いに対向して配置される棒状の2つの保持体から構成されており、それぞれの保持体は、前記圧電セラミックトランスの長さ方向、幅方向及び厚さ方向のいずれかの方向に直線状に延設されていることが好ましい。この場合は、前記保持体が、導電性を有する弾性材料を用いて形成されていることが好ましい。
また、前記基台は、プリント基板又は平面板であることが好ましい。この場合は、前記固定部材は、凹部が形成された上ケースであり、当該上ケースの凹部に全部または一部が収容されて使用されることが好ましい。
又は、前記基台は、凹部が形成された下ケースであり、当該下ケースの凹部に全部または一部が収容されて使用されることが好ましい。この場合は、前記固定部材は、凹部が形成された上ケースであり、当該上ケースの凹部が形成されている側と前記下ケースの凹部が形成されている側が対向するように前記上ケースと前記下ケースとを組み合わされ、前記上ケースの凹部と前記下ケースの凹部とによって形成される空間に収容されて使用されることが好ましい。
また、前記固定部材は、固定時に、前記保持部材の、前記圧電セラミックトランスと接する側の面と反対の面と接する平端部と、前記平坦部の両端から略垂直に互いに同じ方向に屈曲する一対の脚部と、前記一対の脚部のそれぞれの端部に位置し、前記基台と接続される固定端部とを有することが好ましい。
また、前記保持部材が、前記圧電セラミックトランスの振動の節となる位置に設けられていることが好ましい。
【0012】
また、前記圧電セラミックスは、長手方向の一方の端部を含み、前記端部に向かう方向に分極した第1領域と、前記第1領域に隣接し、前記圧電セラミックスの厚さ方向に分極した第2領域と、前記第2領域に隣接し、且つ、前記圧電セラミックスの略中央に位置し、未分極状態の第3領域と、前記第3領域に隣接し、前記第2領域と反対向きに分極した第4領域と、前記第4領域と隣接し、且つ、前記端部と反対側の端部を含み、前記第1領域と反対向きに分極した第5領域とを有しており、前記第1領域と前記第2領域と前記第3領域と前記第4領域と前記第5領域との前記長手方向における長さの比が、実質的に2:2:1:2:2であり、前記第2領域を挟んで一対の第1入力電極が設けられ、前記第4領域を挟んで一対の第2入力電極が設けられ、前記圧電セラミックスの長手方向の両方の端部にそれぞれ出力電極が設けられていることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の圧電セラミックトランスユニットは、基台に対して圧電セラミックトランスを保持する保持部材を備え、その保持部材は、厚さが幅方向で次第に薄くなる形状を有しているので、固定部材で保持部材を介して圧電セラミックトランスを固定させたときに、圧電セラミックトランスが固定部材と基台に対してずれてしまうことが防止される。従って、本発明の圧電セラミックトランスユニットは、駆動時に振動しても、安定して基板上やケース内に固定されることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の圧電セラミックトランスユニット(以下、圧電トランスユニットという)について、添付の図面に示す実施形態を基に詳細に説明する。
【0015】
図1に、基台としての基板4上に固定された圧電トランスユニット1の概略構造を示す。また、図2(A)に、図1に示した圧電トランスユニット1の模式的平面図を示し、図2(B)には、圧電トランスユニット1の模式的側面図を示し、図2(C)には、図2(B)のC−C線矢視図を模式的に示す。
圧電トランスユニット1は、圧電セラミックス12に第1入力電極14a、14b、第2入力電極16a、16b、第1出力電極18、第2出力電極20が形成された圧電セラミックトランス(以下、圧電トランスという)2と、圧電トランス2を基板4に固定させるために用いられる保持部材6とを備える。圧電トランスユニット1は、図1に示すように、固定部材8によって、プリント基板等の基板4に固定される。圧電トランスユニット1と、その圧電トランスユニット1が装着される基板4と、その基板4に圧電トランスユニット1を固定するための固定部材8とを含む構造体(圧電トランスモジュール)は、照明装置などの高出力を必要とする装置に組み込まれて使用される。
【0016】
まず、圧電トランス2について説明する。図3に圧電トランス2の模式的斜視図を示した。圧電トランス2は、圧電セラミックス12と、一対の第1入力電極14a及び14bと、一対の第2入力電極16a及び16bと、第1出力電極18と、第2出力電極20とを備える。
圧電セラミックス12は、厚みが一定の平板形状を有している。圧電セラミックス12は、長さ方向の位置に応じて分極の状態が異なっており、長さ方向の略中央の第3領域33は未分極であり、第3領域33の両側に隣接する第2領域32及び第4領域34は厚さ方向に分極し、第2領域32及び第4領域34よりも外側に隣接する第1領域31と第5領域35は、長さ方向に分極している。長さ方向における第1領域31から第5領域35の比率は、略2:2:1:2:2である。第1領域31と第5領域35は、圧電セラミックス12の長さ方向において互いに逆向きに分極しており、図示例では、それぞれ、中央から外側に向かう方向に分極している。また、第2領域32と第4領域34の分極方向も互いに逆向きであり、図示例では、第2領域32が上向きに分極し、第4領域34が下向きに分極している。
【0017】
圧電セラミックス12の厚さ方向の表面には、一対の第1入力電極14a及び14bが圧電セラミックス12の第2領域を挟むように形成され、一対の第2入力電極16a及び16bが圧電セラミックス12の第4領域を挟むように形成されている。第1入力電極14a、14b及び第2入力電極16a、16bには、それぞれ、入力端子24(24a、24b)、入力端子26(26a、26b)が設けられており、これらの入力端子24a、24b、26a、26bは、図示しない電源装置と接続されている。また、入力端子24a、24b、26a、26bは、圧電セラミックス12を駆動させて振動させたときに節となる位置に形成されることが好ましい。
また、圧電セラミックスの長さ方向において、第1領域31の端面には第1出力電極18が形成され、第5領域35の端面には第2出力電極20が形成されている。第1出力電極18及び第2出力電極20には、それぞれ出力端子28及び30が設けられている。
【0018】
第1入力電極14a、14bと第2入力電極16a、16bには、図示しない駆動回路から駆動信号が入力される。ここで、第1入力電極14b及び第2入力電極16bに入力される駆動信号は、第1入力電極14a及び第2入力電極16aに入力される駆動信号に対して位相が180度異なるように調整されている。具体的には、第1入力電極14aに接続された入力端子32aと、第2入力電極16aに接続された入力端子34aとを互いに接続し、第1入力電極14bに接続された入力端子32bと、第2入力電極16bに接続された入力端子34bとを互いに接続し、入力端子32a、34aに一方の駆動信号を、入力端子32ba、34bに他方の駆動信号を駆動回路から入力する。これにより、第1入力電極14a及び第2入力電極16aに入力される駆動信号は、第1入力電極14b及び第2入力電極16bに入力される駆動信号に対して位相が180度異なるようになる。
【0019】
このように、図示しない駆動回路から入力端子24及び26を介して第1入力電極14a、14bおよび第2入力電極16a、16bに駆動信号を入力され、第1の方向に分極されている第2領域24および第4領域28に電圧(交流電圧)が印加されると、圧電セラミックス12には逆圧電効果により、駆動信号に応じた周期で応力が生じ機械的歪みが生じる。ここで、第2領域32と第4領域34とは、180度異なる方向に分極しているため、第1入力電極14a、第2入力電極16aと、第1入力電極14b、第2入力電極16bとに、駆動信号として互いに180度位相の異なる信号が入力されると、第2領域32と第4領域34には、入力される信号に応じた周期で機械的に応力が生じる。これにより、圧電セラミックス12は振動する。
【0020】
このような圧電セラミックス12の振動によって、第2領域32および第4領域34には、厚さ方向に機械的歪みが生じる。すると、第1領域31と第5領域35には、圧電効果によりその分極方向に電位差が生じる。その結果、第1領域31と第5領域35の端部にそれぞれ形成された第1出力電極18と第2出力電極20には互いに180度位相の異なる高電圧の信号が同時に出力される。ここで、第1出力電極18および第2出力電極20から出力される信号の電圧は変圧され、本実施例では第1入力電極及び第2入力電極に入力した駆動信号の電圧よりも高くなっている。
【0021】
つぎに、第1入力電極14a、14bおよび第2入力電極16a、16bに、駆動信号として圧電セラミックス12の2次モード(λモード)の共振周波数となる周波数の交流電圧を印加する場合を例に、圧電トランス2の動作について詳しく説明する。
第1入力電極14a、14bおよび第2入力電極16a、16bに駆動信号が印加されると、第2領域32および第4領域34には、逆圧電効果により分極方向に応力が生じ、この応力により圧電セラミックス12が2次モードで振動する。2次モードの振動とは、圧電セラミックス12の端部からの距離が圧電セラミックス12の長さの1/4、3/4となる位置を節として振動するモードである。
ここで、上述したように、第2領域32と第4領域34は、互いに180度異なる方向に分極され、第1入力電極14a、第2入力電極16aと第1入力電極14b、第2入力電極16bには、互いに180度異なる位相の駆動信号が印加されるので、第2領域32および第4領域34には、駆動信号に応じたタイミングで機械的に応力が生じる。
【0022】
圧電セラミックス12が振動することにより長手方向にも機械的歪みを生じ、その結果、長手方向に分極された第1領域31および第5領域35には、圧電効果により電位差が生じる。そして、この電位差が出力電圧として第1出力電極18および第2出力電極20から出力される。
このようにして変圧され、本実施例においては、入力された駆動信号よりも昇圧された電圧が圧電トランス2から出力される。上記構成の圧電トランス2は、圧電セラミックスを破損させることなく、30W程度の電力を出力することができる。
【0023】
一例として、圧電セラミックス12の長手方向の長さを80mm、幅を18mm、厚みを4mmとし、駆動信号として650Vp−pの電圧を印加した場合は、出力電圧として、6500Vp−pの電圧を得ることができる。従って上記例では、入力電圧を約10倍に昇圧することができる。
これにより、例えば、1本当たりの1000〜1200Vrmsの管長527mm、管外径φ2.6mmの冷陰極管を2本直列に接続した場合であっても冷陰極管を点灯させることが可能となる。
なお、圧電セラミックス12の振動の中心周波数は、圧電セラミックス12の長さによって決定され、入力電圧に対する出力電圧の電圧増幅率は、圧電セラミックス12の長さをL、厚みをTとしたときにL/Tによって決定される。
また、本実施形態のように、圧電セラミックスの中央部に未分極の第3領域を設けることで、未分極部が剛体部として機能し、高電力の出力時に発生する捩り方向の振動モードや、蛇行方向の振動モードをより好適に抑制することができる。
【0024】
つぎに、圧電トランスユニット1の保持部材6について、図1、図2、図4(A)及び(B)を用いて説明する。図4(A)及び(B)は、それぞれ、保持部材6の模式的側面図及び模式的断面図である。
保持部材6は弾性材料を用いて形成され、図4(A)に示されるように、圧電トランスを嵌入させるための矩形形状の開口部6aを有する。保持部材6の開口部6aの形状は、圧電トランス2を幅方向(長さ方向に垂直な方向)で切断したときの外形形状と略同一形状であり、圧電トランス2の外形形状よりも若干小さくなっていることが好ましい。圧電トランス2の外形形状よりも若干小さくすることにより、保持部材6が圧電トランス2の外周に装着されたときに、圧電トランス2を所定の圧力で締め付けることが可能となり、圧電トランス2が保持部材6に対してずれることが抑制される。更に、保持部材6は、圧電トランスのずれをより一層抑制するために、圧電トランス2と接着剤で接着されていても良い。
【0025】
また、保持部材6は、図4(B)に示すように、圧電トランス2と接触する面(内壁面)6bの方が、外側の面(外周面)6cよりも幅が広く形成されており、内側から外側に向かうに従って幅が次第に狭くなるような形状を有している。すなわち、保持部材6の断面形状は、図4(B)に示されように、保持部材6の幅方向において、中央から遠ざかるに従って保持部材6の厚みが徐々に薄くなるような形状である。このように、保持部材6は、厚みが一定の肉厚部6dと、肉厚部の両側に位置し、山の裾野のような形状を有する薄肉部(テーパー部)6eから構成されている。
保持部材6は、その幅が内側から外側に向かうに従って狭くなる形状であればどのような形状でもよく、台形形状であってもよい。かかる形状を有する保持部材は、圧電トランスと接触する部分の面積が、固定部材と接触する部分の面積よりも大きくなるので、固定部材と圧電トランスの間に挟まれて使用される際に、圧電トランスがずれてしまうことが防止され、固定部材に対して安定して圧電トランスを保持することが可能となる。また、圧電セラミックスに接する面の方が大きいので、固定部材からかかる圧力が圧電セラミックス上では分散され、圧電セラミックの振動の阻害をより少なくすることができるという効果もある。
【0026】
保持部材6は、図1及び2に示されるように、圧電トランス2を駆動して振動させたときの振動の節となる位置に設けられる。圧電トランス2は、振動モードに応じて節となる位置が異なる。図5には、圧電トランスの1次〜3次モードの振動の概念を模式的に示した。図5からわかるように、1次モードでは略中央部分が節となり、2次モードでは全体の長さの1/4と3/4の位置が節となり、3次モードでは、全体の長さの1/6、3/6、5/6の位置が節となる。図1に示した圧電トランス2は、2次モードで振動させる形態であるので、圧電トランス2の一方の端部からの距離が、圧電トランス2の長さの1/4と3/4となる部分に保持部材6が設けられている。また、圧電トランス2を1次モードで振動させて使用する場合は、圧電トランス2の略中央部に保持部材6が設けられる。この場合は、圧電トランス2が安定しないので、圧電トランス2の振動を阻害しにくい弾性体を用いて補助的に腹部分に支持部材を設けても良い。また、圧電トランス2を3次モードで振動させて使用する場合は、圧電トランス2の一方の端部からの距離が、圧電トランス2の長さの1/6、3/6、5/6となる部分の少なくとも一箇所に保持部材6が設けられる。なお、圧電トランス2を2次モードで振動させて使用する場合は、このような振動を阻害しにくい材料を使用するのであれば、振動の大きい圧電トランス2の中央部分の腹の位置に保持部材6を設けて圧電トランス2を固定させることもできる。
圧電トランス2は、図1に示されるように、その節の部分が保持部材6によって保持された状態で固定部材8によって基板4に固定されて基板4に装着される。すなわち、固定部材8の内側の壁面を保持部材6の外周面6cに押し当てて、固定部材8で保持部材6を押さえつけるとともに、固定部材8の足の部分を基板4に半田付け等の固定方法によって、圧電トランス2が基板4に装着される。ここで、固定部材8は保持部材6と接着剤などにより接着させて固定されても良い。
固定部材8は、図2(C)に示されるように、固定時に、保持部材6の、圧電セラミックトランスと接する側の面と反対の面に接する平端部8aと、その平坦部8aの両端から、平端部8aに略垂直に互いに同じ方向(基板4に向かう方向)に屈曲する一対の脚部8bと、脚部8bのそれぞれの下方の端部に位置し、基板4と接続される固定端部8cとを有する。固定部材8としては、例えば、金属やプラスチック等の板状の部材を所定の形状に加工して利用することができる。
【0027】
保持部材6の材料としては、例えば、硬度20度程度のシリコンゴムを用いることができ、電気的に絶縁ができ、保持による損失が軽度になるような材料が好適である。
【0028】
保持部材6は、導電性を有する弾性材料を用いて形成され、固定部材を銅板等の電気的導通を示す材料を用いて形成してもよい。
従来は、電気基板上に機械的に固定されて搭載されていた圧電トランスであっても、電気基板と接続するためには、配線材としては、ワイヤーやフレキシブル基板(FFC、FPC)のような柔軟な素材を用いるしかなく、それらを半田等で接続する必要があった。そのため、取り付けの工数が多くかかり、コストダウンの妨げとなっていた。また、圧電トランスの振動に応じて、圧電トランスに取り付けられている配線部材も振動してしまい、その配線部材の振動が可聴帯域に含まれると、いわゆる鳴きと呼ばれる現象が発生し、耳につくノイズとなる場合があった。
【0029】
そこで、本発明では、このような配線の振動の鳴きを防止し、組み立てを簡素化するために、圧電トランスを固定部材に対して保持するための保持部材6を、導電性を有する弾性材料で構成し、この保持部材を配線部材の代わりとして用いることもできる。
図6には、導電性を有する弾性材料を用いて保持部材を構成し、この保持部材を介して固定部材により圧電トランスを基板に固定する例を示した。また、図7(A)には、圧電トランスが基板に固定されている様子の模式的側面図を示し、図7(B)には、図7(A)のB−B線における模式的断面図を示した。これらの図に示されるように、圧電トランス2は、保持部材36によって固定部材8と基板4との間に保持されている。
保持部材36は、外周を周回する図4に示す構造とは異なり、上下が分離した複数の保持体37から構成されている。それぞれの保持体37は、図8に示すように、細長い棒状の形状を有し、前述した図4(B)に示す保持部材6と同様に略台形状の断面形状を有している。図2(A)〜(C)に示した例では、保持部材6で圧電トランス2を周回することによって圧電トランス2を保持したが、ここでは、圧電トランス2を介して互いに対向するように2つの保持体37を配置して、圧電トランス2を保持している。このとき、保持体37の幅広の面37bが圧電トランス2の第1入力電極14a、14b及び第2入力電極16a、16bと接し、保持体37の幅の狭い方の面37aが固定部材8の内側の面と接するように配置される。導電性を有する材料を用いて保持部材36を構成する場合は、圧電トランス2を周回するような構造の保持部材とはせずに、圧電トランス2の幅方向に延在する形状の2つの保持体を用いて、圧電トランス2の一方の面とその反対側の面をそれぞれ独立に保持させる。
図6及び図7(A)、(B)に示した例では、固定部材8として、図1に示す固定部材よりも長さと幅がともに長い固定部材を用いて、圧電トランス2を基板4に固定している。固定部材8は、図1に示される固定部材と同様に、固定時に、保持部材6の、圧電セラミックトランスと接する側の面と反対の面に接する平端部8aと、その平坦部8aの両端から略垂直に互いに同じ方向(基板4に向かう方向)に屈曲する一対の脚部8bと、脚部8bのそれぞれの下方の端部に位置し、基板4と接続される固定端部8cとを有する。
【0030】
また、図6に示すように、基板4には、略矩形状のランドが8個形成されている。ランド78A及びランド78Dは、圧電トランス2の長さ方向に対して垂直な方向に沿って設けられている。ランド78A及び78Dの長さは、圧電トランス2の幅(長手方向に垂直な方向の長さ)よりも僅かに長くなっている。また、ランド78A及び78Dは、圧電トランス2の保持部材36に対応する位置に配置されている。これにより、圧電トランス2を基板4に装着したときに、圧電トランス2の下面側の第1入力電極14b及び第2入力電極16bに、それぞれ接して配置された保持体37がランド78A及び78Dと接触することになる。保持体37は、上述したように導電性を有するので、圧電トランス2の第1入力電極14b及び第2入力電極16bは、それぞれ、保持体37を介してランド78A及びランド78Dと通電することになる。
また、ランド78Aの長さ方向の両側には、それぞれ、ランド78B及びランド78Cが、ランド78Aから所定間隔だけ離れて形成されている。また、同様に、ランド78Dの長さ方向の両側には、それぞれ、ランド78E及びランド78Fが、ランド77Dから所定間隔だけ離れて形成されている。固定部材8を用いて圧電トランス2を基板4に固定するときには、それぞれの固定部材8の固定端部8cが、ランド78B及び78C並びにランド78E及び78Fに半田付けされる。
また、基板4には、圧電トランス2の第1出力電極18及び第2出力電極20にそれぞれ接続されるランド78G及び78Hが形成されている。ランド78G及び78Hは、基板4に圧電トランス2を固定したときに圧電トランス2の第1出力電極18及び第2出力電極20の近傍に位置するように設けられる。ランド78G及び78Hには、圧電トランス2の出力電極18及び20と接続された導線が接続される。
【0031】
以上説明したように、導電性を有する弾性材料を用いて保持部材を構成し、この保持部材を配線部材の代わりとして用いることにより、配線部材を圧電トランスの入力電極に半田付けしなくても配線部材を入力電極と導通させることができる。その結果、半田付けなどの工数が不要となり、従来よりも工数を削減することが可能となる。また、本実施形態の圧電トランスにおいては、保持部材と第1及び第2入力電極は、圧電トランスの振動の節の部分に設けられているため、圧電トランスの保持と入力電極への配線を兼ねることができ、更に、圧電トランスの振動に応じて入力電極部の配線部材が振動することが防止される。したがって、入力電極の配線による鳴きの発生が防止され、出力電極に接続される配線による鳴きだけとなるので、全体としての鳴きが低減される。このように、本発明では、上記変更以外は、加工方法の変更や周辺回路の変更を伴わないという利点がある。
【0032】
本発明では、図1及び図6に示されるように、圧電トランス2と固定部材8の間に、弾性材料で形成された保持部材6(36)を介在させて、保持部材6(36)で圧電トランス2を保持させることにより、圧電トランス2の振動を阻害させることなく圧電トランス2を基板4上に固定することができる。また、保持部材6(36)の断面形状を上述したように山の裾野のような形状としたことにより、圧電トランス2が振動によって長さ方向にずれたときに、圧電トランス2の移動に伴って保持部材6の厚みの薄い裾野の部分が固定部材とセラミック表面との間に引き込まれて折れ曲がり、その裾野の部分が保持部材6と圧電トランス2との間に介在することになる。すなわち、固定部材8によって固定される保持部材の厚みが、引き込まれた裾野の部分の分だけ厚くなる。固定部材8は基板4に固定され、基板4と固定部材8との間隔は一定であるので、圧電トランス2の移動によって保持部材6(36)の裾野の部分が折れ曲がり厚みが増すと、圧電トランス2の長さ方向への移動が制限されることになる。こうして、圧電トランス2が振動したとしても圧電トランス2は基板に安定に保持されることになる。
【0033】
本実施形態においては、図4に示したように、圧電トランス2の外周を周回して保持するタイプの保持部材6や、図6に示したように、2つの保持体を、圧電トランス2を間に挟んで互いに対向させることによって圧電トランス2を保持するタイプの保持部材を用いたが、本発明は、これに限定されるものではない。図9には、圧電トランス2の外周を周回して保持するタイプの保持部材の他の形状の例を示した。図9に示す保持部材56は、固定部材58と接触する外周面56aに2つの突起部(ボス)56bが形成されている。このような形状の保持部材56を用いる場合は、固定部材58に、保持部材56の突起物56bと嵌合する貫通孔58aを形成しておく。そして、保持部材56の突起部56bを固定部材58の貫通孔58aに勘合させて、固定部材58により圧電トランスユニット1を基板4に固定する。これにより、圧電トランス2の長さ方向へのずれをより一層抑制させることができ、駆動時に圧電トランスを安定に固定させることができる。
ここでは、保持部材に2個の突起部を形成したが、突起部は1個であってもよいし、3個以上であっても良い。
【0034】
また、図4に示される保持部材6の代わりに、図10に示されるように、固定部材と接触する外周面66aに固定部材の幅と略同じ幅の溝66bが形成された保持部材66を用いてもよい。かかる形状の保持部材66を用いる場合は、保持部材66の溝66bに固定部材をはめ込んで圧電トランスユニットを基板に固定する。
【0035】
また、図1及び図6に示す例では、保持部材6(36)を圧電トランス2の長手方向に対して垂直な方向に延在するように設けたが、使用する圧電トランスの振動モードに応じて保持部材を設ける位置を変更することができる。例えば、図1に示す圧電トランスと同様の形状の圧電トランスにおいて、圧電トランスの幅方向に振動するモードで使用する場合には、圧電トランスの長手方向に延在するように保持部材を設けても良い。この場合は、圧電トランスの長手方向を周回するように設けても良いし、2つの保持体を用いて保持部材を構成したときは、それら保持体の間に圧電トランスを介在させてもよい。更に、厚さ方向に振動するモードで圧電トランスを使用する場合には、圧電トランスの側面に保持部材を設けても良い。この場合は、圧電トランスの側面を周回するように保持部材を設けても良いし、圧電トランスの互いに対向する側面に、図8に示すような棒状の保持体を、それぞれ設けても良い。
【0036】
また、上記実施形態では、2つの固定部材を用いて圧電トランスユニットを基板に固定させたが、本発明では、1つの固定部材で圧電トランスユニットを基板に固定させてもよい。この場合は、例えば、図1又は図2において、圧電トランスユニット1の長さ方向で、固定部材の長さが、圧電トランスユニット1の2つの保持部材6の配置間隔よりも長くなるように固定部材を構成すればよい。これにより、所定間隔はなれて配置された、圧電トランスユニットの2つの保持部材6の表面を同時に押さえることが可能となる。また、図1において、圧電トランスユニット1の2つの保持部材6の間隔よりも長い平坦な板部材を、2つの保持部材の上面に配置して、この板部材を留め具などにより基板に固定させてもよい。この場合は、板部材と留め具が固定部材として機能する。
このように、本発明においては、圧電トランスユニットをプリント基板などの基台に固定させることができるのであれば、固定部材の形状や寸法は特に限定されるものではない。
【0037】
また、上記実施形態では、固定部材を用いて基板に圧電トランスユニットを固定した例について説明したが、圧電トランスユニットをケース(収容体)に収容してもよい。この場合は、圧電トランスユニットを収容したケースが基板に固定される。すなわち、圧電トランスユニットと、それを収容するケースとを含む構造体(圧電トランスモジュールという)が、1つの構成単位として、プリント基板等に装着されて使用される。以下に、圧電トランスユニットがケースに収容された状態で基板に固定される実施形態について図11を用いて説明する。
【0038】
図11に、圧電トランスユニットを収容するケース70の外観の斜視図を模式的に示した。このケース70は、上述の図1及び図2に示した構造の圧電セラミックトランス1を収容するためのケースである。ケース70は、共に電気的絶縁性材料、例えば、プラスチック製の上ケース72と下ケース74とから構成されている。本発明において、圧電セラミックトランスユニットをケースに収容して使用する場合は、上ケースが固定部材として機能し、下ケースが基台として機能する。したがって、本発明における用語「固定部材」は、上記例に示した板金のみならず上ケースも含む概念であり、用語「基台」は、上記例に示したプリント基板のみならず下ケースも含む概念である。
図12には、上ケース72を下方から見た斜視図を示し、図13には、下ケース74を上方から見た斜視図を示す。上ケース72と下ケース74には、それぞれ、矩形状の凹部72a及び74aが形成されており、これら凹部72a及び74aに、図1に示す圧電トランスユニット1が収容される。なお、図12及び図13においては、圧電トランスユニットの図示は省略している。
また、下ケース74には、ケース70をネジで基板に固定するための4つのネジ穴部76が設けられている。また、下ケース74には、図1及び図2の圧電トランス2の第1入力電極14a、14b、第2入力端子16a、16b、第1出力電極18、第2出力電極20と接続される導線を取り出すための4つの溝74b、74c、74d及び74dが形成されている。ケース74の長手方向の一方の端部と他方の端部に形成されている溝74b及び74eが圧電トランスの出力電極の導線を取り出すための溝であり、ケース74の長さ方向に垂直な方向の一方の端部に形成されている溝74c、74dが、それぞれ、第1入力電極と第2入力電極の導線を取り出すための溝である。
【0039】
圧電トランスユニットは、このような構造を有するケース70の中に収容される。このとき、圧電トランスユニットの保持部材がケース70内の壁面と接触し、その壁面によって押圧されることによって圧電トランスユニットがケース70の内部で固定され、保持される。
ここでは、下ケース74に、導線を取り出すための4つの溝74b、74c、74d及び74eを形成したが、これらの溝を上ケース72に形成してもよいし、上ケースと下ケースの両方に溝を形成しても良い。
【0040】
つぎに、圧電トランスユニットを収容するケースの異なる例について説明する。図14に、圧電トランスユニットを収容するケース全体の斜視図を模式的に示した。
図14に示すケース80は、電気的絶縁性材料、例えば、プラスチック製の上ケース82と下ケース84とから構成されている。図15には、上ケース82を下方から見た概略斜視図を示し、図16には、下ケース84を上方から見た概略斜視図を示した。図14及び図15に示されるように、上ケース82には、ケース内に収容される圧電トランスの入力電極と接続される端子86及び88が設けられている。端子86及び88は、図15に示すように、上ケース82の表面に平行で、且つ、上ケース82の長手方向に対して垂直な方向に延設されており、上ケース82の両方の側面を貫通するとともに、上ケース82の内側で露出するように設けられている。端子86及び88の上ケース82の内側の露出部分86a及び88aは、圧電セラミックトランスを上ケース82に配置したときに、圧電セラミックトランスの保持部材と接触する位置に配置される。
また、下ケース84にも同様に、圧電セラミックストランスの入力電極と接続される端子90及び92が設けられており、それら端子90及び92は、図16に示すように、下ケース84の表面に平行で、下ケース84の長手方向に対して垂直な方向に延設されており、下ケース84の両方の側面を貫通するとともに、下ケース84の内側で露出するように設けられている。また、端子90及び92の下ケース84の内側の露出部分86a及び88aは、圧電セラミックトランスを下ケース84に配置したときに、圧電トランスの保持部材と接触する位置に配置される。また、下ケース84には、圧電トランスの出力電極と接続される導線を取り出すための溝84a及び84bが設けられている。
【0041】
また、図14に示すように、上ケース82と下ケース84を組み合わせて圧電セラミックトランスを収容したときに、上ケース82の端子と下ケース84の端子が互いに接触することを避けるために、上ケース82の端子86及び88は、互いに、上ケース82の外側の側面に沿って、上ケース長手方向の中央に向かって屈曲している。上ケース82に設けられている端子86及び88と、下ケース84に設けられている端子90及び92は、圧電セラミックトランスを収納したケースを基板に装着したときに、基板のランド部に半田付けされて固定される。
このようなケースに収容される圧電トランスユニットを図17(A)〜(C)に示す。図17(A)及び(B)は、それぞれ、圧電トランスユニット91の模式的上面図及び模式的側面図であり、図17(C)は、図17(B)のC−C線における模式的断面図である。図17(A)〜(C)に示す圧電トランスユニット91は、保持部材96の形状が異なる以外は、図1に示した圧電トランスユニット1と同様である。したがって、ここでは、基本的には保持部材96だけを説明し、圧電トランスの説明については省略する。
【0042】
図17(A)〜(C)に示すように、圧電トランスユニット91は2つの保持部材96を有する。保持部材96は、2つの保持体97から構成されている。それぞれの保持体97は、導電性材料から構成されており、図17(A)及び(C)に示すように、横断面の形状が略台形で、縦断面の形状がコの字状である。すなわち、保持体97は、その厚みが、圧電トランス2の長さ方向の中央から端部に向かうに従って薄くなるような形状を有している。ここでは、2つの保持体97が一組として用いられ、2つの保持体は、圧電トランス2を介して互いに対向するように配置される。図17(A)〜(C)に示した例では、圧電トランス2の長手方向の2箇所を、2つの保持体97で構成された保持部材96でそれぞれ保持している。図示例では、このような保持部材96によって圧電トランス2がケース80に対して保持されている。このとき、保持体97の幅広の面97aが圧電トランス2の入力電極と接し、保持体97の幅の狭い方の面97bが固定部材の内側の面と接するように配置される。また、図示例の保持部材96は、圧電トランス2の上面と下面だけでなく、側面の一部を覆うように構成されているので、圧電トランス2の幅方向への移動が規制される。
【0043】
圧電トランスユニット91がこのようなケース80に収容されたときに、保持部材96を構成するそれぞれの保持体97は、上ケース82の内部において露出している端子86及び88の露出部分86a及び88aと接触するとともに、下ケース84の内部において露出している端子90及び92の露出部分90a及び92aと接触する。それぞれの保持体97は導電性材料から構成されているので、このように圧電トランスユニット91をケース80に収容することによって、圧電トランス2の一方の面に設けられた入力電極14a及び16aは、それぞれ、上ケース82の端子86及び88と通電する。また、圧電トランス2の他方の面に設けられた入力電極14b及び16bは、それぞれ、下ケース84の端子92及び90と通電する。また、圧電トランス2は、上ケース82と下ケース84に設けられた端子の露出部分によって挟まれ、ケース内で保持される。下ケース84は、圧電トランスの基台として機能し、上ケース82は、基台である下ケースに対して圧電トランスを固定するための固定部材として機能する。圧電トランスユニットと、その圧電トランスユニットを収容したケース80とから構成される構造体(圧電トランスモジュール)は、照明装置などのプリント基板の所定位置に装着されて使用される。
【0044】
以上、圧電トランスユニットをケースに収容して使用する実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されない。例えば、上記実施形態においては、上ケースと下ケースの2つのケースを用いて構成したが、一方の面が開放された下ケース(収容体)と、その開放面を覆う蓋部材を用いることができる。この場合は、下ケースに圧電トランスユニットを収容し、その下ケースの開放面を蓋部材で覆えばよい。この場合は、蓋部材が固定部材としての機能を有する。下ケースの開放面に設けられる蓋部材を下ケースに対して固定する方法としては、下ケースの開放面に平坦な蓋部材を嵌め込む方法や、ネジ止めによる固定など既に知られた方法を利用することができる。
また、この場合、下ケースは、圧電トランスユニットの厚さ方向において、全体を収容するような構成にしても、部分的に収容するような構成にしてもよい。下ケースに圧電トランスユニットを部分的に収容する場合は、固定部材として平坦な蓋部材を用いるのではなく、例えば、図1又は図6に示されるような形状の固定部材(板金)を用いればよい。図1又は図6に示されるような固定部材を、圧電トランスの外周に配置された保持部材の上面部分に密着させた状態で配置し、固定部材の脚の部分を下ケースの側面や上部の縁部に固定させることによって、圧電トランスユニットを下ケースに固定することができる。
【0045】
また、平坦な板状の部材の上に圧電トランスユニットを配置し、圧電トランスユニットを収容可能な構造の上ケース(例えば、図15に示されるような上ケース)をかぶせて圧電トランスユニットをプリント基板に固定することも可能である。この場合、平坦な板状の部材は、プリント基板であってもよいし、配線などの形成されていない平面板であっても良い。また、この場合は、平坦な板状の部材が基台として機能し、上ケースが固定部材として機能する。また、上ケースは、圧電トランスユニットの厚さ方向において、圧電トランスユニットの全体が覆われるように構成されても、一部分が覆われるように構成されてもよい。
【0046】
また、本発明においては、上ケースと下ケースによって保持部材が挟まれるように配置されるのであれば、上ケース及び下ケースの部品点数は特に限定されるものではなく、上ケース又は下ケースを更に複数の部材から構成することもできる。例えば、上ケース又は下ケースが圧電トランスの長手方向に2つに分離されていて構成されていても良い。
【0047】
以上、本発明の圧電トランスユニットについて詳細に説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、上記実施形態では、図3に示すように第1出力電極18及び第2出力端子20を圧電セラミックス2の端面に形成したが、図18に示すように、一方の端部の上面と下面にそれぞれ電極104A及び104Bを形成し、他方の端部の上面と下面にそれぞれ電極106A及び106Bを形成し、一方の端部の上面及び下面の電極104A及び104Bと、他方の端部の上面及び下面の電極106A及び106Bを出力電極として利用してもよい。この場合は、圧電セラミックスの両方の端部の上下面に形成された電極104A、104B及び電極106A及び106Bを覆うように、図2(C)に示す形状の保持部材を周回させて設けてもよい。この場合は、導電性を有する弾性材料を用いて保持部材を構成することができる。この構成を図6、図7及び17に示される構造の圧電セラミックトランスの出力電極に適用するとともに、それらの圧電セラミックスを収容する図14〜16に示されるケースに、出力電極部に設けられた保持部材と接するように、電極板を形成すれば、出力端子部の配線に電線を使用しなくて済み、入力電極部のみならず出力電極部においても、電線の振動に起因する鳴きが防止される。
【0048】
また、図1に示されるように固定部材と保持部材によって基板に固定されている圧電トランスは、ケースに収容されて利用されることもできる。この場合、ケースは、基板に固定された状態の圧電トランスユニットが収容されるような寸法で構成される。また、ケースは、上ケースと下ケースの2つのケースを組み合わせることによって構成されても、一面が開放された下ケースと、その下ケースの開放側を覆う平板上の蓋部材とを組み合わせることによって構成されてもよい。
また、基板に固定された状態の圧電トランスをケースに収容する場合は、ケースの側面に、圧電トランスの各電極に接続されている電線をケース外に取り出すための穴部を形成することができる。
【0049】
また、図6に示されるような固定部材8と保持体37によって基板に固定されている圧電トランス2もケースに収容されて利用されることができる。この場合も、ケースは、基板に固定された状態の圧電トランスユニットが収容されるような寸法で構成され、上ケースと下ケースの2つのケースを組み合わせることによって構成されてもよいし、一面が開放された下ケースと、その下ケースの開放側を覆う平板上の蓋部材とを組み合わせることによって構成されてもよい。図6に示される例では、保持部材が導電性材料によって構成され、基板には、圧電トランスの各入力電極及び各出力電極に対応してランド部が設けられている。このように基板にランド部が設けられている場合は、それぞれのランド部から延びるように金属の電極板を形成し、それぞれの電極板をケース外に取り出すように構成することができる。各電極板をケースに取り出す方法としては、例えば、ケースが上ケースと下ケースとから構成されている場合は、上ケースと下ケースの間に隙間部を設け、その隙間部からそれぞれの電極板をケース外に取り出す方法を利用することができる。また、ケースが、下ケースと蓋部材とから構成されている場合には、下ケースと蓋部材との間に隙間部を設けて、その隙間部から各電極板をケース外に取り出す方法を利用することができる。
また、基板に出力用のランドを設けずに、ケースの側面に穴部を設けて、その穴部から、出力電極と接続された電線をケース外に取り出すことも可能である。
【0050】
また、図18に示されるように圧電トランスの両方の端部の上下面に出力電極を形成する場合は、図6の圧電トランスの各入力電極の表面に配置される複数の保持体(以下、第1保持体という)と同様に、両端部の上下に配置される出力電極の表面にも導電性材料の複数の保持体(以下、第2保持体という)を設け、第1保持体と第2保持体をそれぞれの固定部材の間に介在させつつ、固定部材により圧電トランスを基板に固定させることができる。この場合は、基板に対向する側の第2保持体に接触するように基板に出力電極用の第1ランド部を形成し、また、固定部材の脚の部分と接触して半田付け可能に基板に別の出力電極用の第2ランド部を形成することができる。
また、このようにして基板に固定される圧電トランスもケースに収容されて使用されることができる。この場合も、ケースは、基板に固定された状態の圧電トランスユニットが収容されるような寸法で構成される。また、ケースは、上ケースと下ケースの2つのケースを組み合わせることによって構成されてもよいし、一面が開放された下ケースと、その下ケースの開放側を覆う平板上の蓋部材とを組み合わせることによって構成されてもよい。また、この場合は、入力電極用のランド部と同様に、出力電極用の第1ランド部と第2ランド部からも、それぞれ延びるように金属の電極板を形成し、それぞれの電極板をケースの外に取り出すように構成することができる。
また、各電極板をケースに取り出す方法としては、上述と同様に、例えば、ケースが上ケースと下ケースとから構成されている場合は、上ケースと下ケースの間に隙間部を設け、その隙間部からそれぞれの電極板をケース外に取り出す方法を利用することができる。また、ケースが、下ケースと蓋部材とから構成されている場合には、下ケースと蓋部材との間に隙間部を設けて、その隙間部から各電極板をケース外に取り出す方法を利用することができる。
【0051】
また、上記実施形態では、圧電トランスの圧電セラミックスとして平板形状の圧電セラミックスを用いたが、これに限定されず、柱状形状の圧電セラミックスを用いてもよく、例えば、軸に垂直な断面形状が正方形、円形、楕円形などの形状の圧電セラミックスを利用することもできる。
また、本発明の圧電トランスユニットに用いられる圧電トランスは、上記構造の圧電トランスに限定されず、例えば、ローゼン型トランス、横効果を用いた圧電トランス、面振動圧電トランス、中央駆動圧電トランス、ブロック型圧電トランス、積層圧電トランス、中央出力圧電トランス、複数出力型圧電トランス、高次モードを用いた圧電トランス、ボルト締型圧電トランス、アレイ形圧電トランスなどの圧電トランスを利用することができる。
【0052】
図19には、円柱形状の圧電セラミックスを用いた圧電トランス10の構成例を示した。図19に示される圧電トランスは、圧電セラミックスの形状が異なる以外は、図1に示される圧電トランスと、基本的には同じであるので、図1に示される圧電トランスと同じ機能を有する構成要素には同じ符号を付し、その詳しい説明については省略する。
圧電セラミックス62は、軸方向が長手方向となる円柱形状を有する。この圧電セラミックス62の第1領域31および第5領域35は、長手方向に平行で、かつそれぞれの端面方向(外側方向)に分極され、第2領域32は、長手方向に垂直な第1の方向に分極され、第4領域34は、長手方向に垂直かつ第1の方向と180度反対側の方向に分極され、中央部の第3領域は、未分極状態とされている。また、長手方向における第1領域31と、第2領域32と、第3領域33と、第4領域34と、第5領域35との長さの割合は、実質的に2:2:1:2:2の割合に分割されている。
【0053】
図19に示される第1入力電極14a、14bは、圧電セラミックスの長手方向に垂直な面における中心を通りかつ第1の方向に対して平行な線と第2領域32の表面との交点の一方を含むように第2領域32の表面にそれぞれ配置されている。また、第2入力電極16a、16bは、圧電セラミックスの長手方向に垂直な面における中心を通りかつ第1の方向に対して平行な線と第4領域34の表面との交点の一方を含むように第4領域34の表面にそれぞれ配置されている。
【0054】
かかる形状の圧電トランス10も、上記と同様に、駆動時には、第1入力電極と第2入力電極に駆動信号が入力され、入力された駆動信号の電圧よりも高い電圧が、出力端子28及び30から出力される。
【0055】
図19に示した圧電トランス10においては、第1入力電極および第2入力電極を矩形状としたが、電極の形状は、特に限定されず、多角形、円形、楕円形等種々の形状とすることができる。また、第1入力電極および第2入力電極の大きさも、特に限定されないが、長さ方向に略2:2:1:2:2の比で分割されて構成される条件下で、上下の電極間のリークがない限り円周方向にできる限り広く取り、入力インピーダンスを下げ、より大きな電力を投入できるようにすることが好ましい。これにより、よりハイパワーを出力することができる。
【0056】
このように、圧電セラミックスを円柱形状とすることで、つまり図19(C)に示すように長手方向に垂直な方向における断面形状を円形形状とすることで、圧電セラミックスの強度をより高くすることができる。
これにより大電力駆動時に生じる発熱により、圧電セラミックスが軟化することで発生する、圧電セラミックスの電力伝送に寄与しない捩れ方向の振動モードや蛇行方向の振動モードをより抑制でき、大電力の出力が可能となる。つまり、圧電セラミックスの強度を高くすることで、発熱により圧電セラミックスが軟化した場合でも、圧電セラミックスの電力伝送に寄与しない捩れ方向の振動モードや蛇行方向の振動モードをより抑制でき、これらの振動モードが主の振動に重畳することを防止できる。従って、急激な発熱を生じることを防ぎ、圧電セラミックスが破損することが防止でき、また、電力伝送に寄与しない振動モードを抑制することで、エネルギーの損失(ロス)を少なくすることができ、高い効率で電力を出力することができる。
さらに、余計な振動を発生しやすい角の部分がなくなるので、これも電力伝送損失を少なくする効果に寄与する。
【0057】
また、円柱形状の圧電セラミックス62の代わりに、圧電セラミックスの長手方向に垂直な方向の断面形状が、図20(A)〜(C)に示されるような断面形状である圧電セラミックスも好適に用いることができる。図20(A)〜(C)は、本発明の圧電トランスユニットに用いることができる種々の圧電セラミックスの長手方向に垂直な面における断面形状を示すものである。ここで、図20(A)〜(C)に示す圧電セラミックスの長手方向に垂直な面の断面形状は、圧電セラミックスの長手方向のいずれの位置においても同一の形状を有する。
図20(A)は、圧電セラミックス12aの長手方向に垂直な断面形状が楕円形状の場合である。このような形状の圧電セラミックス12aにおいては、図20(A)に示されるように、楕円の短軸方向の表面に第1入力電極14a、14bと第2入力電極16a及び16bが形成される。図20(B)は、圧電セラミックス12bの長手方向に垂直な断面形状が、互いに対向する2つの円弧部分と2つの直線部分とから構成された形状、すなわち、円の直径方向の両端の一部を切り取ったような形状の場合である。このような形状の圧電セラミックス12bにおいては、図20(B)に示されるように、互いに対向する円弧に第1入力電極14a、14bと第2入力電極16a及び16bが形成される。また、図20(C)は、圧電セラミックス12cの長手方向に垂直な断面形状が、図20(C)に示すように、互いに対向する2つの曲線部分と2つの直線部分とから構成された形状、断面形状が楕円の長径方向の両端の一部を切り取ったような形状の場合である。このような形状の圧電セラミックス12bにおいては、図20(C)に示されるように、互いに対向する曲面に第1入力電極14a、14bと第2入力電極16a及び16bが形成される。
【0058】
このように、圧電セラミックスの長手方向に垂直な断面の形状の少なくとも一部に曲線を有する形状とすることで、図19において示した圧電トランス10と同様に耐破壊性を高めることができる。
また、上記実施形態に示すように第1および第2入力電極が配置されている部分を曲面とすることが好ましい。第1および第2入力電極が配置されている部分を曲面とすることで、分極軸の方向を断面中心方向に集中させることができる。これにより、入力部における損失を減らすことができ、より効率よく、高い電力を出力させることができる。
また、圧電セラミックスの長手方向に垂直な面の断面形状を円とした場合には、分極軸の方向を断面中心方向により集中させることができ、さらに高い電力を出力させることができる。
また、圧電セラミックスの長手方向に垂直な面の断面形状を楕円とした場合には、断面中心付近での分極軸の方向の集中がぼやける(分散する)ため、応力集中をやわらげ(低減させ)、ハイパワー時のトランスの耐破壊性を向上させることができる。つまり、耐破壊性を向上させ、かつ、効率よく高い電力を出力させることができる。
【0059】
以上、圧電セラミックスの長手方向に垂直な断面における形状として、円や楕円など種々の形状を示したが、本発明においては、入力電極が形成される面が曲面形状である場合に、図に示される圧電セラミックスの長手方向に垂直な断面おける第1の方向の長さtと、それに垂直な第2の方向の長さwとの関係が、0.5≦t/w≦2.0を満たす形状であることが好ましく、0.5≦t/w≦1.0を満たす形状であることがより好ましい。このような関係を満たす形状であれば、上記効果を得ることができる。
【0060】
また、圧電セラミックスの第1の方向の長さtは、5mm以上12mm以下であることが好ましい。長さtを5mm以上とすることで、ハイパワー時の圧電セラミックス(トランス)の耐破壊性をより向上させることができる。また、長さtを12mm以下とすることで、圧電セラミックトランスの製造時に圧電セラミックスの分極精度の低下を防ぎ、歩留まりを高くすることができる。つまり、圧電セラミックスを好適に分極させることができる。これにより、製造コストを低くすることができる。
【0061】
また、圧電セラミックスの長手方向の長さLに対する第2の方向の長さwの比w/Lは、実質的に0.2とすることが好ましい。w/Lを実質的に0.2とすることで、ハイパワー時のトランスの耐破壊性を向上することができる。
【0062】
また、本発明においては、図21に示すように、圧電セラミックス12の断面形状が矩形形状の場合は、圧電セラミックス12の長手方向に垂直な断面おける第1の方向の長さtと、それに垂直な第2の方向の長さwとの関係が、0.5≦t/w≦2.0を満たすことが好ましく、0.5≦t/w≦1.0を満たすことがより好ましい。このような範囲にすることにより、圧電セラミックスの電力伝送に寄与しない振れ方向の振動モードや蛇行方向の振動モードを抑制することができ、大電力の出力が可能となり、且つ大電力の出力時に圧電セラミックスが破損することを防止できる。
【0063】
また、圧電セラミックスの第1の方向の長さtは、5mm以上12mm以下であることが好ましい。長さtを5mm以上とすることで、ハイパワー時の圧電セラミックスの耐破壊性をより向上させることができる。また、長さtを12mm以下とすることで、圧電セラミックトランスの製造時に圧電セラミックスの分極精度の低下を防ぎ、歩留まりを高くすることができる。つまり、圧電セラミックスを好適に分極させることができる。これにより、製造コストを低くすることができる。
【0064】
圧電セラミックスの長手方向の長さLに対する第2の方向の長さwの比w/Lは、実質的に0.2とすることが好ましい。w/Lを実質的に0.2とすることで、ハイパワー時のトランスの耐破壊性を向上することができる。
【0065】
また、図22(A)及び(B)には、本発明の圧電トランスユニットに用いられる圧電セラミックスの更に異なる構成例を示す。
図22(A)は、本発明に従う圧電セラミックトランスの他の一例の概略構成を示す斜視図であり、図22(B)は、図22(A)に示した圧電セラミックトランスの長手方向に垂直な方向における断面図である。
図22(A)及び(B)に示す圧電トランス40は、圧電セラミックス42の形状を除いて図1に示した圧電トランス2と同じ構成のものである。従って、両者で同一の構成要素には、同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0066】
本実施形態の圧電セラミックス42は、長手方向に垂直な方向の断面形状が、長手方向に垂直な第1の方向と、長手方向および第1の方向に垂直な第2の方向とに平行な線で構成される正方形を有する。つまり、第1の方向の長さtと第2の方向の長さwとの関係がt/w=1となる形状を有する。
また、圧電セラミックス42は、上記の圧電セラミックス12と同様に、第1領域31と第5領域35が、長手方向と平行で、かつ互いに異なる方向に分極され、第2領域32と第4領域34が、第1の方向に平行で、かつ互いに異なる方向に分極され、第3領域33は、未分極状態とされている。
【0067】
このように断面形状が正方形の圧電セラミックス42を用いた場合でも、第1入力電極14a、14bおよび第2入力電極16a、16bに駆動信号を印加することで、逆圧電効果により圧電セラミックス42は振動し、圧電効果により出力される高電圧を第1出力電極18および第2出力電極20から取り出すことができる。
【0068】
このように、圧電セラミックスの断面形状を正方形とすることで、つまり第1の方向の長さtと第2の方向の長さwとの関係をt/w=1とすることで、圧電セラミックスの強度を高くすることができる。
これにより、大電力駆動時に生じる発熱により、圧電セラミックスが軟化することで発生する、圧電セラミックスの電力伝送に寄与しない捩れ方向の振動モードや蛇行方向の振動モードをより抑制でき、大電力の出力が可能となる。
【0069】
以上、本発明の圧電トランスユニットに用いられる種々の圧電セラミックスについて説明した。
本発明の圧電トランスユニットにおいては、その構成要素である保持部材の開口部の形状が、上述した圧電セラミックスを備える圧電トランスの外形形状に応じて変更される。また、固定部材の形状も同様に変更され、保持部材を圧電トランスに装着した状態で、保持部材を介して固定部材で圧電トランスが基板上に固定される。
また、保持部材と圧電セラミックトランスとを有する圧電トランスユニットと、その圧電トランスユニットが装着される基台と、その基台に圧電トランスユニットを固定するための固定部材とを含む構造体(圧電トランスモジュール)は、照明装置、小型・携帯機器、冷・暖房機器、イオナイザー等の健康機器等、種々の装置のなどに組み込まれて使用されることができる。
【0070】
次に、上述した本発明の圧電トランスユニットを用いる照明装置の一例を説明する。図23に、かかる照明装置のブロック図を示す。
照明装置50は、電源52と、電圧制御発振回路54と、駆動回路56と、圧電トランス10と、発光部58と、管電流検出回路60とを有する。
【0071】
電源52は、所定電圧(本実施形態では、24V)の直流電圧を出力する直流電源である。電源52は、駆動回路56と接続されており、直流電圧が駆動回路56に供給される。
【0072】
電圧制御発振回路54は、後述する管電流検出回路60から供給される冷陰極管の合計電流の電流値に応じて、その発振周波数が変化する初期周波数約40KHzの基本波を発生する。電圧制御発振回路54は、例えば、合計電流が基準電流量よりも少ない場合には、基本波の周波数を初期周波数よりも低くする方向に制御し、逆に合計電流が基準電流量よりも多い場合には基本波の周波数を初期周波数よりも高くする方向に制御する。電圧制御発振回路54は、駆動回路に接続されており、この基本波が、同じく駆動回路56に供給される。
【0073】
なお、電圧制御発振回路54の具体的な構成は特に限定されず、同様の機能を実現する各種構成の回路を使用することができる。また、基準電流量は、外部から制御可能であり、必要に応じて可変できる。
【0074】
駆動回路56は、電源52から供給された所定電圧および電圧制御発振回路54から供給される基本波とに基づいて、圧電セラミックトランス2を駆動する2種類の駆動信号を生成する。本実施例では、2本の駆動信号は、約650Vp−p、約40KHzで、180度逆位相の交流信号(正弦波)である。電圧制御発振回路54から供給される基本波の周波数に応じて駆動信号の周波数が変化し、冷陰極管の合計電流すなわち発光部58の輝度が常に同じ一定値に保たれる。
【0075】
なお、駆動回路56の具体的な回路構成は何ら限定されず、同様の機能を実現する各種構成の回路を使用することができる。
【0076】
圧電セラミックトランス2は、上述の構成を有するものであり、駆動回路56から入力された650Vp−pの駆動信号を6500Vp−pに昇圧させて出力する。
【0077】
続いて、圧電セラミックトランス2によって発生された高圧信号は、バラストコンデンサ57に入力される。従来、3W級のローパワー出力の圧電セラミックトランスと冷陰極管との組合せでは、圧電セラミックトランスの出力インピーダンスが大きいため、バラストコンデンサを使用せずに冷陰極管を駆動できた。しかし、本実施形態のように、30W級のハイパワー出力の圧電セラミックトランスの場合、その厚みが増えたために出力インピーダンスが小さくなり、負性抵抗素子(冷陰極管)とのバランスがとれずに安定点灯しにくくなる。
【0078】
これは負荷側(冷陰極管)の負性抵抗よりも、入力側(圧電セラミックトランス)の出力インピーダンスの方が大きくないと、安定しないという理由による。すなわち、本実施形態のように、ハイパワー化した圧電セラミックトランス2と冷陰極管との組合せにおいては、圧電セラミックトランス2の出力側と冷陰極管との間にバラストコンデンサ57を入れることで、冷陰極管を安定駆動することが可能となる。
【0079】
発光部58は、4本の冷陰極管(CCFL)を有し、2本の冷陰極管を直列に接続した2管直列光源を2系統交差しないように並列に配置し、同時複数点灯を可能にしている。冷陰極管としては、管長527mm、管外形φ2.6mm、管内径φ2.0mm、色温度6500K、Ni電極、ガス圧70Torr、輝度約30000cd/m2が例示される。
ここで、冷陰極管の接続本数、接続方法は特に限定されず、種々の構成とすることができる。また、発光部としては、冷陰極管に限定されず、通常の蛍光管、熱陰極管、外部電極管、ネオン管、水銀灯の種々の放電管等の種々の光源を用いることができる。
【0080】
管電流検出回路60は、2系統の冷陰極管の2管直列光源の合計電流を出力するものである。本実施形態では、リング状のコアに、3つのコイルを巻きつけたトロイダル型のトランスを用いている。3つのコイルは、2系統の2管直列光源のそれぞれの直列接続部間において極性(コイルの巻く方向)が同じ向きの一対のコイルであって、管電流の合計電流を算出する。もう一つのコイルは、前述の管電流の合計電流を出力するためのもので、前述の電圧制御発振回路54にフィードバックされる。
電圧制御発振回路54は、上述したように、管電流検出回路60から出力された合計電流に応じて、発振周波数を変化させた基本波を駆動回路56に供給する。
【0081】
このように、高電力出力を可能とした圧電セラミックトランスを用いることで、1つの圧電セラミックトランスで複数本の冷陰極管を駆動することができ、電磁波を発生せず、高効率、省スペースで発火の危険性のない大型のディスプレイ等の照明装置とすることができる。
【0082】
ここで、管電流検出回路60には、さらに、2系統の2管直列光源のそれぞれの冷陰極管に流れる管電流をほぼ同じ一定値に揃えるバランス回路、2系統の冷陰極管の2管直列光源の電流差(差分電流)を検出する電流差検出回路等を設けることが好ましい。
バランス回路を設けることで、各冷陰極管の輝度のばらつきを抑えることができ、更に電流差検出回路を設けることで、光源の各系統間の差分電流を検出することができる。
【0083】
また、駆動回路56には、合計電流検出回路から供給される冷陰極管の合計電流の電流値が所定の範囲を超えている場合や、電流差検出回路から供給される電流差の電流値が所定値を上回っている場合に、駆動回路56から駆動信号の出力を停止するように制御する保護回路を備えることが好ましい。保護回路を備えることによって、発光部58の冷陰極管に何らかの異常が発生した場合に圧電セラミックトランス10が破壊されるのを未然に防止することができる。
また、保護回路において、冷陰極管の合計電流の許容範囲や、電流差の上限値などの値は外部から制御可能であり、必要に応じて可変できる。
【0084】
ここで、本発明の圧電セラミックトランスは、上述したように、電磁波を発生せず、小型・軽量で低価格、省スペースであり、高電力の出力が可能であるという種々の効果を有する。従って、上記のような照明装置に限定されず、小型・携帯機器、冷・暖房機器、イオナイザー等の健康機器等、種々の装置のトランスとして用いることができる。
【0085】
以上、本発明に係る圧電トランスユニットについて詳細に説明したが、本発明は、以上の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変更を行ってもよい。
【0086】
例えば、本実施形態では、一対の入力電極にそれぞれ180度位相の異なる2相の駆動信号を入力したが、本発明は、これに限定されず、一対の入力電極の内の一方の電極を接地させ(GNDとし)、もう一方の電極に駆動信号を入力するようにしてもよい。つまり、単相の駆動信号により、圧電セラミックトランスを駆動してもよい。
【0087】
また、上記実施形態では、電圧を昇圧させているが、これも限定されず、降圧させてもよく、同一電圧を出力してもよい。すなわち、必要に応じて所定電圧に変圧してもよい。
【0088】
また、本発明においては、図7(A)及び(B)に示した保持体に代えて、図24に示すように、2つの突起部(ボス)42aを有する保持体42を用いることもできる。このような保持体42を用いる場合は、図9に示す固定部材58と同様に、保持体42の突起部42aと嵌合される貫通孔58aが形成された固定部材を用いることができる。また、保持体42は、図7に示される保持体と同様に、導電性材料から構成することができる。保持体42を有する圧電トランスユニットは、図6と同様に、基板4側に配置される保持体42と接する場所にランドが形成された基板4に装着されて使用されることができる。また、基板4のランド部(図示しない)には、下側の保持体42の突起部42aと嵌合するような貫通孔4aが形成される。このように固定部材58の貫通孔58aと、基板4の貫通孔4aに、保持体42の突起部42aを嵌め合わせた状態で、圧電トランスユニットを、保持体42を介して固定部材58で基板4に固定することにより、図6及び図7に示される構成よりも圧電トランスのずれをより一層防止することができる。ここでは、保持体42の突起部42aの個数を2個としたが、1個でも3個以上であってもよい。
【0089】
また、図24に示した例では、基板側に配置される保持体と、その反対側に配置される保持体を同様の形状で構成したが、それらを互いに異なる形状で構成することもできる。図25に、互いに異なる形状で形成された1組の保持体44、46を備える圧電トランスユニットを、基板4に装着された状態で、それら保持体を含む面で切断したときの断面構造を模式的に示した。図25に示すように、基板4側に配置される第1保持体46は、図24に示す保持体42と同様に、2つの突起部46aを備えている。また、その反対側に配置される第2保持体44は、図17(C)に示す保持体97と同様に、縦断面形状がコの字状の形状を有している。図25に示した例では、保持体44の縁部44aによって圧電トランスの側面の上方の一部が保持されるので、圧電トランスの幅方向(図中、左右方向)のずれも防止される。図25に示した例においては、第2保持体の上面(固定部材と接触する面)に、図24に示す保持体42と同様に突起部を設けてもよい。
【0090】
また、上記実施形態では、図4(B)に示すように、保持部材6の断面形状が、略第形状で、中央部分から幅方向の両側に向かって厚みが次第に薄くなるような形状になるように保持部材を構成した。すなわち、厚みが一定の肉厚部6dと、その肉厚部6dの両側に位置し、幅方向外側に向かうに従って厚みが薄くなる薄肉部(テーパー部)6eとを有する保持部材6とした。しかしながら、本発明においては、保持部材の形状はこれに限定されない。例えば、図26に示すように、保持部材の断面形状において、厚みが一定の肉厚部46dと、その肉厚部49dの一方の側に位置し、幅方向外側に向かうに従って厚みが薄くなるテーパー部49eとを有する構造の保持部材49を用いることもできる。この保持部材49では、図26に示すように、保持部材49の厚肉部49dの底面とテーパー部49eの底面によって同一面が構成されている。また、保持部材49の肉厚部49dの側面49gは、上面49c及び下面49bに対して垂直に形成されており、テーパー部49eの傾斜面49fは、凹曲面で形成されている。図26では、テーパー部49eの傾斜面49fを曲面で構成したが、平面で構成してもよい。また、保持部材49の肉厚部49dの側面49gは、上面49c及び下面49bに対して垂直でなくてもよく、傾斜していてもよい。
また、図26に示される形状の保持部材を、圧電トランスの長さ方向において2箇所に設ける場合には、保持部材49の肉厚部の側面49g同士が互いに向き合うように、或いはテーパー部49eが互いに向き合うように、それぞれ設けられることが好ましい。
本発明では、図4に示されるように圧電トランスの外周面を周回して用いられる保持部材に、図26に示される形状を適用してもよいし、図7及び8に示されるように圧電トランスユニットを挟むように設けられる一対の保持体に図26に示される形状を適用してもよい。
【0091】
また、図4(B)に示されるように肉厚部6dの両側にテーパー部6eを有する保持部材6においては、両側のテーパー部6eの傾斜面の角度を互いに変えてもよい。すなわち、一方のテーパー部6eの傾斜面の傾斜角度と、他方のテーパー部6eの傾斜面の傾斜角度が互いに異なるように構成してもよい。また、一方のテーパー部の傾斜面を曲面で構成し、他方の傾斜面を平面で構成することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】本発明の圧電セラミックトランスユニットの概略斜視図である。
【図2】(A)は、本発明の圧電セラミックトランスユニットの模式的側面図であり、(B)は、その模式的上面図であり、(C)は、図2(B)のC−C線矢視図である。
【図3】本発明の圧電セラミックトランスユニットに用いられる圧電セラミックトランスの概略斜視図である。
【図4】(A)は、本発明の圧電セラミックトランスユニットの保持部材の模式的正面図であり、(B)は、(A)に示される保持部材のB−B線矢視図である。
【図5】圧電トランスの1次〜3次モードの振動の概念を模式的に示す図である。
【図6】導電性を有する保持部材を用いた圧電トランスユニットの概略斜視図である。
【図7】(A)は、図6に示す圧電トランスユニットの概略側面図であり、(B)は、図7(A)のB−B線矢視図である。
【図8】図に示す圧電トランスユニットに用いられる保持部材の概略斜視図である。
【図9】圧電セラミックトランスユニットの保持部材の他の形状を説明するための模式図である。
【図10】圧電セラミックトランスユニットの保持部材の更に他の形状を説明するための断面模式図である。
【図11】圧電セラミックトランスユニットを収納するケースの概略斜視図である。
【図12】図11に示すケースの上ケースの概略斜視図である。
【図13】図11に示すケースの下ケースの概略斜視図である。
【図14】圧電セラミックトランスユニットを収納するケースの別の構成例の概略斜視図である。
【図15】図14に示すケースの上ケースの概略斜視図である。
【図16】図14に示すケースの下ケースの概略斜視図である。
【図17】(A)は、図13のケースに収納される圧電セラミックトランスユニットの概略上面図であり、(B)は、その概略側面図であり、(C)は、(B)に示す圧電セラミックトランスユニットのC−C線矢視図である。
【図18】出力電極が圧電セラミックスの端部の上下面に形成された圧電トランスユニットの概略斜視図である。
【図19】(A)〜(C)は、円柱形状の圧電セラミックトランスの構成を模式的に示す図である。
【図20】(A)〜(C)は、本発明に用いることができる種々の圧電セラミックスの長手方向に垂直な面における断面図である。
【図21】矩形状の断面形状の圧電セラミックスの厚さと幅の関係を説明するための図である。
【図22】(A)は、本発明に従う圧電セラミックトランスの他の一例の概略構成を示す斜視図であり、(B)は、(A)に示した圧電セラミックトランスの長手方向に垂直な方向における断面図である。
【図23】本発明の圧電セラミックトランスを用いる照明装置の概略構成を示すブロック図である。
【図24】突起部を有する保持体の構造を説明するための圧電トランスユニットの模式的断面図である。
【図25】互いに異なる形状を有する一対の保持体を説明するための圧電トランスユニットの模式的断面図である。
【図26】本発明の圧電トランスユニットの保持部材の一例の模式的断面図である。
【符号の説明】
【0093】
1 圧電セラミックトランスユニット
2 圧電セラミックトランス(圧電トランス)
4 基板
6 保持部材
6a 開口部
6c 外周面
8 固定部材
12、12a、12b、12c、72 圧電セラミックス
14 駆動回路
14a、14b 第1入力電極
16a、16b 第2入力電極
18 第1出力電極
20 第2出力電極
24a、24b、26a、26b 入力端子
28、30 出力端子
31 第1領域
32 第2領域
33 第3領域
34 第4領域
35 第5領域
36、49 保持部材
3742、44、46 保持体
40 圧電トランス
58 固定部材
58a 貫通孔
66a、66b 溝
50 照明装置
52 電源
54 電圧制御発振回路
56 駆動回路
57 バラストコンデンサ
58 発光部
60 管電流検出回路
70、80 ケース
72、82 上ケース
74、84 下ケース
72a、74a 凹部
76 ネジ穴部
78A、78B、78C、78D、78E、78F、78G、78H ランド
74b、74c、74d、74e 溝
86、88 端子
86a、88a 露出部分
91 圧電トランスユニット
90、92 端子
96 保持部材
97 保持体
104A、104B、106A、106B 電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定部材によって基台に固定されて使用され、入力された電圧を、圧電効果を利用して変圧し出力するための圧電セラミックトランスユニットであって、
圧電セラミックスと、前記圧電セラミックスに形成される入力電極と、前記圧電セラミックスに形成される出力電極とを含んで構成される圧電セラミックトランスと、
厚さが幅方向で次第に薄くなる形状を有し、前記圧電セラミックトランスを部分的に挟むように設けられて前記基台に対して前記圧電セラミックトランスを部分的に保持する保持部材とを有し、
前記基台と前記固定部材との間に前記保持部材を介在させることによって前記基台に固定される圧電セラミックトランスユニット。
【請求項2】
前記保持部材は、台形または略台形の断面形状を有する請求項1に記載の圧電セラミックトランスユニット。
【請求項3】
前記保持部材は、前記圧電セラミックトランスの外周を周回して設けられる請求項1又は2に記載の圧電セラミックトランスユニット。
【請求項4】
前記保持部材は、前記圧電セラミックトランスを介して互いに対向して配置される棒状の2つの保持体から構成されており、それぞれの保持体は、前記圧電セラミックトランスの長さ方向、幅方向及び厚さ方向のいずれかの方向に直線状に延設されている請求項1又は2に記載の圧電セラミックトランスユニット。
【請求項5】
前記保持体が、導電性を有する弾性材料を用いて形成されている請求項4に記載の圧電セラミックトランスユニット。
【請求項6】
前記基台は、プリント基板又は平面板である請求項1〜5のいずれか一項に記載の圧電セラミックトランスユニット。
【請求項7】
前記固定部材は、凹部が形成された上ケースであり、当該上ケースの凹部に全部または一部が収容されて使用される請求項6に記載の圧電セラミックトランスユニット。
【請求項8】
前記基台は、凹部が形成された下ケースであり、当該下ケースの凹部に全部または一部が収容されて使用される請求項1〜5に記載の圧電セラミックトランスユニット。
【請求項9】
前記固定部材は、凹部が形成された上ケースであり、当該上ケースの凹部が形成されている側と前記下ケースの凹部が形成されている側が対向するように前記上ケースと前記下ケースとを組み合わされ、前記上ケースの凹部と前記下ケースの凹部とによって形成される空間に収容されて使用される請求項8に記載の圧電セラミックトランスユニット。
【請求項10】
前記固定部材は、固定時に、前記保持部材の、前記圧電セラミックトランスと接する側の面と反対の面と接する平端部と、前記平坦部の両端から略垂直に互いに同じ方向に屈曲する一対の脚部と、前記一対の脚部のそれぞれの端部に位置し、前記基台と接続される固定端部とを有する請求項6に記載の圧電セラミックトランスユニット。
【請求項11】
前記保持部材が、前記圧電セラミックトランスの振動の節となる位置に設けられている請求項1〜10のいずれか一項に記載の圧電セラミックトランスユニット。
【請求項12】
前記圧電セラミックスは、
長手方向の一方の端部を含み、前記端部に向かう方向に分極した第1領域と、
前記第1領域に隣接し、前記圧電セラミックスの厚さ方向に分極した第2領域と、
前記第2領域に隣接し、且つ、前記圧電セラミックスの略中央に位置し、未分極状態の第3領域と、
前記第3領域に隣接し、前記第2領域と反対向きに分極した第4領域と、
前記第4領域と隣接し、且つ、前記端部と反対側の端部を含み、前記第1領域と反対向きに分極した第5領域とを有しており、
前記第1領域と前記第2領域と前記第3領域と前記第4領域と前記第5領域との前記長手方向における長さの比が、実質的に2:2:1:2:2であり、
前記第2領域を挟んで一対の第1入力電極が設けられ、前記第4領域を挟んで一対の第2入力電極が設けられ、前記圧電セラミックスの長手方向の両方の端部にそれぞれ出力電極が設けられている請求項1〜11のいずれか一項に記載の圧電セラミックトランスユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2007−281357(P2007−281357A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−108761(P2006−108761)
【出願日】平成18年4月11日(2006.4.11)
【出願人】(000005201)富士フイルムホールディングス株式会社 (7,609)
【出願人】(501488594)京都技術研究所株式会社 (8)