説明

圧電セラミックトランス

【課題】高効率でより高電力の出力が可能で、かつ高電力の出力時に圧電セラミックスが破損することを防止できる圧電セラミックトランスを提供すること。
【解決手段】圧電セラミックスを、長手方向の端部から他方の端部までの分極状態が、長手方向に分極された第1領域と、長手方向に垂直な第1の方向に分極された第2領域と、未分極の第3領域と、第2領域とは逆方向の前記第1の方向に分極された第4領域と、第1領域とは逆方向の長手方向に分極された第5領域とに分割され、さらに、長手方向に垂直な面における断面形状の少なくとも一部が曲線である、および/または、第1の方向の長さtと第1の方向と直交する第2の方向の長さwとの関係が0.5≦t/w≦2.0を満足する形状とすることにより上記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電セラミックトランスの分野に属し、より詳しくは、照明装置に用いられる冷陰極管、蛍光灯等をドライブする駆動装置に用いる圧電セラミックトランスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
照明装置として用いる冷陰極管、蛍光灯等の光源は、発光させるために高い電圧を印加する必要がある。このため、通常ドライブには、光源を発光させることができる電圧まで昇圧させるためにトランスが用いられる。トランスとしては、巻線を利用した巻線トランスと、圧電セラミックスを利用した圧電セラミックトランスとが知られている。
【0003】
巻線トランスは、通常、鉄心と、鉄心に鎖交された2つの巻線とから構成され、一方の巻線(一次巻線)が入力側回路に接続されている。この入力側回路から一次巻線に交流電力を供給すると、出力側回路に接続される他方の巻線(二次巻線)に電圧が誘起される。この二次巻線に誘起される電圧は、一次巻線の巻き数と二次巻線の巻き数との比に応じて変化し、一次巻線よりも二次巻線の巻き数を多くすることで、二次巻線に流れる電圧を入力側回路から一次巻線に印加される電圧よりも高い電圧とすることができる。つまり、昇圧することができる。
このようにして、電圧を昇圧させる巻線トランスでは、電圧を大幅に昇圧するためには、一次巻線と二次巻線との巻き数の比を大きくする必要があるが、二次巻線の巻き数を多くすると、装置として大きくなってしまう。
このような問題に対しては、巻線に用いる線を細くすることで、巻線トランスを小さくすることはできるが、極細化には限界があるため、小型化には限界がある。また、巻線を細くするために巻線の絶縁層を薄くすると巻線間でショートしやすくなり、故障の原因となる。さらに、ショートによりトランスで発火する危険性もあるという問題がある。また、各種損失のため効率も低下するという問題もある。
【0004】
一方、圧電セラミックトランスは、電圧が印加されると形状が変化する圧電セラミックスに入力側から電圧を印加して圧電逆効果により機械的に大きく振動させる。この振動により入力側とは異なる方向の出力側で機械的歪みを生じさせ、この機械的歪みを圧電効果により電荷として取り出すことで、入力側よりも高い電圧を出力側で取り出すことができる。
このような圧電セラミックトランスは、高電圧、高効率、小型、薄型、不燃性、低ノイズ、耐熱等の優れた特性を有するが、高出力を得ることができないという問題がある。具体的には、大電力化とともに高熱を発生して、出力低下や効率低下などが伴い、3〜5Wを超えると圧電トランスが熱暴走して、圧電セラミックスが破壊されてしまうという問題がある。このように、出力5W以上で使用すると、圧電セラミックスが割れてしまうため、従来の圧電トランスでは、例えば、直径2mm、長さ250mmの冷陰極管を1〜2本発光させることが可能な3W程度の出力が限界であった。
そのため、15インチないし17インチ程度の液晶ディスプレイのバックライトの光源のトランスとして用いることはできたが、高出力を要する大型の液晶ディスプレイの光源のトランスとして用いることはできなかった。
【0005】
このような問題に対して、本発明者の一人は、特許文献1に示すような複数の入力部と複数の出力部と中央部の未分極部からなる剛体部とから構成されてなり、前記トランスの長さ方向の寸法と、幅方向の寸法との寸法比が、略0.2前後以下となる形状を有する圧電セラミックトランスを提案した。
このような構成とすることで、超音波振動励振の中央部が、未分極で振動せず強固な剛体部として機能することで、ハイパワードライブ時に発生する捩り方向振動モードや、蛇行方向振動モードを共に抑制する効果を発して、前記構成がロス系を小さくする方向に働き、この振動モードに起因する効果で圧電インバータ効率が15W程度のドライブ時にも、18Wないし30W程度の大電力ドライブ時においても共に90%ないし95%という高効率を始めて実現した。
【特許文献1】特開2005−129475号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように、引用文献1の構成の圧電セラミックトランスとすることで、高出力とすることができるが、さらに高出力を得るために高電力を入力すると圧電セラミックスの温度が瞬時に上昇し、出力低下や効率低下が生じ、さらに、圧電セラミックスが破損してしまうことがあった。
【0007】
本発明の目的は、高効率でより高電力の出力が可能で、かつ高電力の出力時に圧電セラミックスが破損することを防止できる圧電セラミックトランスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の第1の態様は、柱状形状の圧電セラミックスを用いた圧電セラミックトランスであって、長手方向の端部から他方の端部までの分極の状態が、前記長手方向に分極された第1領域と、前記長手方向に垂直な第1の方向に分極された第2領域と、未分極の第3領域と、前記第2領域とは逆方向の前記第1の方向に分極された第4領域と、前記第1領域とは逆方向の長手方向に分極された第5領域とに分割され、前記圧電セラミックスの長手方向に垂直な面における断面形状の少なくとも一部が曲線である圧電セラミックスと、前記第2領域を挟んで設けられた一対の第1入力電極と、前記第4領域を挟んで設けられた一対の第2入力電極と、前記圧電セラミックスの前記長手方向の一方の端部に配置された第1出力用電極と、前記圧電セラミックスの前記長手方向の他方の端部に配置された第2出力用電極とを有することを特徴とする圧電セラミックトランスを提供するものである。
ここで、前記第1領域と前記第2領域と前記第3領域と前記第4領域と前記第5領域との前記長手方向における長さの比が、実質的に2:2:1:2:2であることが好ましい。
【0009】
また、前記圧電セラミックスは、前記第1の方向の長さtと、前記第1の方向かつ前記長手方向に垂直な第2の方向との長さwとの関係が0.5≦t/w≦2.0を満たすことが好ましく、0.5≦t/w≦1.0を満たすことがさらに好ましい。
また、前記第1入力電極および前記第2入力電極の配置されている部分が曲面形状であることが好ましい。
さらに、前記圧電セラミックスの長手方向に垂直な面における断面形状が、楕円形であることが好ましい。
また、前記圧電セラミックスの長手方向に垂直な面における断面形状が、円形であることが好ましい。
【0010】
また、前記第1の方向の長さtは、5mm以上12mm以下であることが好ましい。
【0011】
また、上記課題を解決するために、本発明の第2の態様は、柱状形状を有し、長手方向に垂直な面における断面形状が矩形であり、圧電セラミックスを用いた圧電セラミックトランスであって、長手方向の端部から他方の端部までの分極の状態が、前記長手方向に分極された第1領域と、前記長手方向に垂直で断面の1つの面と平行である第1の方向に分極された第2領域と、未分極の第3領域と、前記第2領域とは逆方向の前記第1の方向に分極された第4領域と、前記第1領域とは逆方向の長手方向に分極された第5領域とに分割され、前記圧電セラミックスの前記第1の方向の長さtと、前記第1の方向かつ前記長手方向に垂直な第2の方向との長さwとの関係が0.5≦t/w≦2.0を満たす圧電セラミックスと、前記第2領域を挟んで設けられた一対の第1入力電極と、前記第4領域を挟んで設けられた一対の第2入力電極と、前記圧電セラミックスの前記長手方向の一方の端部に配置された第1出力用電極と、前記圧電セラミックスの前記長手方向の他方の端部に配置された第2出力用電極とを有することを特徴とする圧電セラミックトランスを提供するものである。
前記第1入力電極は、前記圧電セラミックスの前記長手方向に垂直な面における中心を通りかつ前記第1の方向と平行な線と前記圧電セラミックスの前記第2領域の表面との交点の一方のみを含むようにそれぞれ配置することが好ましく、また、第2入力電極は、前記圧電セラミックスの前記長手方向に垂直な面における中心を通りかつ前記第1の方向と平行な線と前記圧電セラミックスの前記第4領域の表面との交点の一方のみを含むようにそれぞれ配置することが好ましい。
【0012】
ここで、前記圧電セラミックスは、前記第1領域と前記第2領域と前記第3領域と前記第4領域と前記第5領域との前記長手方向における長さの比が、実質的に2:2:1:2:2であることが好ましい。
また、前記圧電セラミックスは、前記第1の方向の長さtと、前記第1の方向かつ前記長手方向に垂直な第2の方向との長さwとの関係が0.5≦t/w≦1.0を満たすことが好ましい。
また、前記圧電セラミックスの前記長手方向に垂直な断面形状が正方形であることが好ましい。
また、前記第1の方向の長さtは、5mm以上12mm以下であることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の第1の態様および第2の態様によれば、高い効率で高電力を出力することができ、高電力の出力時に圧電セラミックスが破損することを防止することができる。
さらに、第1入力電極および第2入力電極の配置されている部分を曲面形状とすることで、ハイパワー時(高電圧の出力時)のトランス(圧電セラミックス)の耐破壊性を向上させ、かつ、分極軸の方向を断面の中心に集中することができ、入力部における損失を低減させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の圧電セラミックトランスについて、添付の図面に示される好適な態様に基づいて詳細に説明する。
【0015】
図1(A)は、本発明に従う圧電セラミックトランスの一実施形態の概略構成を示す斜視図であり、図1(B)は、図1(A)に示した圧電セラミックトランスの上面図であり、図1(C)は、図1(A)に示した圧電セラミックトランスを長手方向に垂直な面における断面図である。
圧電セラミックトランス10は、圧電セラミックス12と、第1入力電極14a、14bと、第2入力電極16a、16bと、第1出力電極18と、第2出力電極20とを有する。
【0016】
圧電セラミックス12は、軸方向が長手方向となる円柱形状を有する。この圧電セラミックス12は、長手方向の一方の端部から他方の端部までの分極の状態が、第1領域22と、第2領域24と、第3領域26と、第4領域28と、第5領域30との5つの領域に分割され、第1領域22および第5領域30は、長手方向に平行で、かつそれぞれ中央から端面に向かう方向(外側方向)に分極され、第2領域24は、長手方向に垂直な第1の方向に分極され、第4領域28は、長手方向に垂直かつ第1の方向と180度反対側の方向に分極され、中央部の第3領域は、未分極状態とされている。図示例では、第2領域24が上向きに分極され、第4領域28が下向きに分極されている。
また、長手方向における第1領域22と、第2領域24と、第3領域26と、第4領域28と、第5領域30との長さの割合は、実質的に2:2:1:2:2の割合に分割されている。
【0017】
第1入力電極14a、14bは、焼成銀で形成された一対の電極であり、圧電セラミックスの長手方向に垂直な面における中心を通りかつ第1の方向に対して平行な線と第2領域24の表面との交点の一方を含むように第2領域24の表面にそれぞれ配置されている。
また、第2入力電極16a、16bも、焼成銀で形成された一対の電極であり、圧電セラミックスの長手方向に垂直な面における中心を通りかつ第1の方向に対して平行な線と第4領域28の表面との交点の一方を含むように第4領域28の表面にそれぞれ配置されている。第1入力電極14a、14b及び第2入力電極16a、16bには、それぞれ、入力端子32(32a、32b)、入力端子34(34a、34b)が設けられており、これらの入力端子32a、32b、34a、34bは、図示しない駆動回路と接続されている。また、入力端子32a、32b、34a、34bは、圧電セラミックスを駆動させて振動させたときに節となる位置に形成されることが好ましい。
また、圧電セラミックスの長手方向において、第1領域22の端面には第1出力電極18が形成され、第5領域30の端面には第2出力電極20が形成されている。第1出力電極18及び第2出力電極20には、それぞれ出力端子36及び38が設けられている。
【0018】
第1入力電極14a、14bと第2入力電極16a、16bには、図示しない駆動回路から駆動信号が入力される。ここで、第1入力電極14b及び第2入力電極16bに入力される駆動信号は、第1入力電極14a及び第2入力電極16aに入力される駆動信号に対して位相が180度異なるように調整されている。具体的には、第1入力電極14aに接続された入力端子32aと、第2入力電極16aに接続された入力端子34aとを互いに接続し、第1入力電極14bに接続された入力端子32bと、第2入力電極16bに接続された入力端子34bとを互いに接続し、入力端子32a、34aに一方の駆動信号を、入力端子32ba、34bに他方の駆動信号を駆動回路から入力する。ここで、本実施形態では、第1入力電極14a及び第2入力電極16aに、第1入力電極14b及び第2入力電極16bに入力される駆動信号に対して位相が180度異なる駆動信号が入力される。つまり、第1入力電極14a、第2入力電極16aと、第1入力電極14b、第2入力電極16とには、それぞれ互いに位相の180度異なる2相の駆動信号が入力される。
【0019】
ここで、本実施形態では、第1入力電極および第2入力電極を矩形状としたが、電極の形状は、特に限定されず、多角形、円形、楕円形等種々の形状とすることができる。また、第1入力電極および第2入力電極の大きさも、特に限定されないが、長手方向においては、それぞれ、第2の領域または第4の領域の全域、つまり、第2の領域または第4領域の長さと同じ長さとすることが好ましい。また、円周方向、つまり長手方向に垂直な断面においては、上下の電極(対になっている入力電極)間での短絡(電極間リーク)の発生を防止できる範囲で最大の大きさとすることが好ましい。
このように、第1入力電極および第2入力電極を広い(大きい)形状とすることで、入力インピーダンスを下げ、より大きな電力の投入が可能となり、より高い電力(ハイパワー)の出力が可能となる。
【0020】
このように、図示しない駆動回路から第1入力電極14a、14bおよび第2入力電極16a、16bに駆動信号を入力され、第1の方向に分極されている第2領域24および第4領域28に電圧(交流電圧)が印加されると、圧電セラミックス12には逆圧電効果により、駆動信号に応じた周期で応力が生じ機械的歪みが生じる。これにより、圧電セラミックス12は振動する。
具体的には、第1入力電極14a、第2入力電極16aと、第1入力電極14b、第2入力電極16bとに駆動信号として互いに180度位相の異なる2相の駆動信号が入力されると、第2領域24と第4領域28には、駆動信号に応じた周期で機械的に応力が生じる。これにより、圧電セラミックス12は、所定の振動数で振動する。
【0021】
このような圧電セラミックス12の振動によって、第2領域24および第4領域28には、厚さ方向(第1の方向)に機械的歪みが生じる。すると、第1出力電極18および第2出力電極20には、この圧電効果により第1領域22および第5領域にそれぞれ生じた電位差が電圧として出力される。ここで、第1出力電極18および第2出力電極20から出力される電圧は、駆動信号として入力された電圧よりも高くなっている。
【0022】
つぎに、第1入力電極14a、14bおよび第2入力電極16a、16bに、駆動信号として圧電セラミックス12の2次モード(λモード)の共振周波数となる周波数の交流電圧を印加する場合を例に、圧電セラミックトランス10の動作について詳しく説明する。
第1入力電極14a、14bおよび第2入力電極16a、16bに駆動信号が印加されると、第2領域24および第4領域28には、逆圧電効果により分極方向に応力が生じ、この応力により圧電セラミックス12が2次モードで振動する。2次モードの振動とは、圧電セラミックス12の端部からの距離が圧電セラミックス12の長さの1/4、3/4となる位置を節として振動するモードである。
ここで、上述したように、第1入力電極14a、第2入力電極16aと第1入力電極14b、第2入力電極16bに互いに180度異なる位相の駆動信号が印加されると、互いに180度異なる方向に分極された第2領域24および第4領域28には、機械的に応力が生じ、圧電セラミックス12が振動する。
【0023】
圧電セラミックス12が振動することにより、長手方向に分極された第1領域22および第5領域30には、圧電効果により電位差が生じる。そして、この電位差が出力電圧として第1出力電極18および第2出力電極20から出力される。ここで、第1出力電極18および第2出力電極20から出力される電圧は、180度位相の異なる電圧となる。
【0024】
本実施形態では、一例として、圧電セラミックス12の長手方向の長さ80mm、半径4mm前後とし、駆動信号として650Vp−p(ピークツーピーク)の電圧を印加した場合は、出力電圧として、およそ6500Vp−pの電圧を得ることができる。従って上記例では、入力電圧を約10倍に昇圧することができる。
これにより、例えば、1本当たりの1000〜1200Vrmsの管長527mm、管外径φ2.6mmの冷陰極管を2本直列に接続した場合も点灯可能となる。
また、圧電セラミックスが破損することなく、30Wを超える電力を出力することができる。これにより、1つの圧電セラミックトランスで、複数系統の2本の冷陰極管を直列に接続した2管直列光源を同時に点灯させる可能となる。つまり、1つの圧電セラミックトランスで、複数本の冷陰極管を同時に点灯させることができる。
【0025】
このように、圧電セラミックスを円柱形状とすることで、つまり図1(C)に示すように長手方向に垂直な方向における断面形状を円形形状とすることで、圧電セラミックスの強度をより高くすることができる。
これにより大電力駆動時に生じる発熱により、圧電セラミックスが軟化することで発生する、圧電セラミックスの電力伝送に寄与しない捩れ方向の振動モードや蛇行方向の振動モードの振動をより抑制でき、大電力の出力が可能となる。つまり、圧電セラミックスの強度を高くすることで、発熱により圧電セラミックスが軟化した場合でも、圧電セラミックスの電力伝送に寄与しない捩れ方向の振動モードや蛇行方向の振動モードの振動をより抑制でき、これらの振動モードがλモードの振動に重畳することを防止できる。従って、急激な発熱が生じることを防ぎ、圧電セラミックスが破損することが防止でき、また、電力伝送に寄与しない振動モードを抑制することで、エネルギーの損失(ロス)を少なくすることができ、高い効率で電力を出力することができる。
以上より、本発明によれば、高い効率で高電力を出力することができ、高電力の出力時に圧電セラミックスが破損することを防止することができる。
また、圧電セラミックスを円柱形状とすることで、不要な振動を発生させる可能性の高い角部のない形状とすることができ、電力伝送損失を少なくすることができる。
【0026】
また、本実施形態のように、圧電セラミックスの中央部に未分極の第3領域を設けることで、未分極部が剛体部として機能し、高電力の出力時に発生する捩り方向の振動モードや、蛇行方向の振動モードをより好適に抑制することができる。
【0027】
ここで、上記実施形態では、長手方向に垂直な断面の形状が円となる圧電セラミックスを用いたが本発明はこれに限定されない。以下に、本発明に好適に用いることができる圧電セラミックスの形状について説明する。
図2(A)〜(C)は、本発明に用いることができる種々の圧電セラミックスの長手方向に垂直な面における断面形状を示すものである。ここで、図2(A)〜(C)に示す圧電セラミックスの長手方向に垂直な面の断面形状は、いずれの位置においても同一の形状を有する。
図2(A)は、圧電セラミックス12aの長手方向に垂直な断面形状が楕円形状の場合である。このような形状の圧電セラミックス12aにおいては、図2(A)に示されるように、楕円の短軸方向の表面に第1入力電極14a、14bと第2入力電極16a及び16bが形成される。図2(B)は、圧電セラミックス12bの長手方向に垂直な断面形状が、互いに対向する2つの円弧部分と2つの直線部分とから構成された形状、すなわち、円の直径方向の両端の一部を切り取ったような形状の場合である。このような形状の圧電セラミックス12bにおいては、図2(B)に示されるように、互いに対向する円弧に第1入力電極14a、14bと第2入力電極16a及び16bが形成される。また、図2(C)は、圧電セラミックス12cの長手方向に垂直な断面形状が、図2(C)に示すように、互いに対向する2つの曲線部分と2つの直線部分とから構成された形状、断面形状が楕円の長径方向の両端の一部を切り取ったような形状の場合である。このような形状の圧電セラミックス12bにおいては、図2(C)に示されるように、互いに対向する曲面に第1入力電極14a、14bと第2入力電極16a及び16bが形成される。
【0028】
このように、圧電セラミックスの長手方向に垂直な面の断面形状の少なくとも一部に曲線を有する形状になるように圧電セラミックスを構成することで、図1に示した圧電トランス10と同様に耐破壊性を強くすることができる。
また、上記実施形態に示すように第1および第2入力電極が配置されている部分を曲面とすることが好ましい。第1および第2入力電極が配置されている部分を曲面とすることで、分極軸の方向を断面中心方向に集中させることができる。これにより、入力部における損失を減らすことができ、より効率よく、高い電力を出力させることができる。
【0029】
また、圧電セラミックスの長手方向に垂直な面の断面形状を円とすることが好ましい。断面形状を円とすることで、分極軸の方向を断面中心方向により集中させることができ、さらに高い電力を出力させることができる。
また、圧電セラミックスの長手方向に垂直な面の断面形状を楕円とすることも好ましい。断面形状を楕円とすることで、断面中心付近での分極軸の方向の集中がぼやける(分散する)ため、応力集中をやわらげ(低減させ)、ハイパワー時のトランスの耐破壊性を向上させることができる。つまり、耐破壊性を向上させ、かつ、効率よく高い電力を出力させることができる。
【0030】
ここで、圧電セラミックスは、長手方向に垂直な断面における第1の方向の長さtと第2の方向の長さwとの関係が、0.5≦t/w≦2.0を満たす形状とすることが好ましく、0.5≦t/w≦1.0を満たす形状とすることがさらに好ましい。
t/wを0.5以上2.0以下とすることで、ハイパワー時の圧電セラミックス(トランス)の耐破壊性を向上させることができ、0.5≦t/w≦1.0を満たす形状とすることで上記効果をより好適に得ることができる。
【0031】
また、圧電セラミックスの第1の方向の長さtは、5mm以上12mm以下であることが好ましい。長さtを5mm以上とすることで、ハイパワー時の圧電セラミックス(トランス)の耐破壊性をより向上させることができる。また、長さtを12mm以下とすることで、圧電セラミックトランスの製造時に圧電セラミックスの分極精度の低下を防ぎ、歩留まりを高くすることができる。つまり、圧電セラミックスを好適に分極させることができる。これにより、製造コストを低くすることができる。
【0032】
また、圧電セラミックスの長手方向の長さLと、第2の方向の長さwとの関係は、w/Lを実質的に0.2とすることが好ましい。
w/Lを実質的に0.2とすることで、ハイパワー時の圧電セラミックスの耐破壊性をより向上させることができる。
【0033】
ここで、上記実施形態では、いずれも断面形状の少なくとも一部に曲線を含む圧電セラミックスを用いる圧電セラミックトランスの例を説明したが、本発明はこれに限定されない。
次に、本発明の圧電セラミックトランスの他の一例を説明する。
【0034】
図3(A)は、本発明に従う圧電セラミックトランスの他の一例の概略構成を示す斜視図であり、図3(B)は、図3(A)に示した圧電セラミックトランスの長手方向に垂直な方向における断面図である。
図3に示す圧電セラミックトランス40は、圧電セラミックス42の形状を除いて図1に示した圧電セラミックトランス10と同じ構成のものである。従って、両者で同一の構成要素には、同一の符号を付してその詳細な説明を省略し、以下に圧電セラミックトランス40に特有の点を重点的に説明する。
【0035】
本実施形態の圧電セラミックス42は、長手方向に垂直な方向の断面形状が、長手方向に垂直な第1の方向と、長手方向および第1の方向に垂直な第2の方向とに平行な線で構成される正方形を有する。つまり、第1の方向の長さtと第2の方向の長さwとの関係がt/w=1となる形状を有する。
また、圧電セラミックス42は、上記の圧電セラミックス12と同様に長手方向の一端から他端までが5つの領域に分割され、それぞれの領域は、圧電セラミックス12と同様に、第1領域22と第5領域30とは、長手方向と平行で、かつ互いに異なる方向に分極され、第2領域24と第4領域28とは、第1の方向に平行で、かつ互いに異なる方向に分極され、第3領域は、未分極状態とされている。
【0036】
このように断面形状が正方形の圧電セラミックス42を用いた場合でも、第1入力電極14a、14bおよび第2入力電極16a、16bに駆動信号を印加することで、逆圧電効果により圧電セラミックス42は振動し、圧電効果により出力される高電圧を第1出力電極18および第2出力電極20から取り出すことができる。
【0037】
このように、圧電セラミックスの断面形状を正方形とすることで、つまり第1の方向の長さtと第2の方向の長さwとの関係をt/w=1とすることで、圧電セラミックスの強度を高くすることができる。
これにより、大電力駆動時に生じる発熱により、圧電セラミックスが軟化することで発生する、圧電セラミックスの電力伝送に寄与しない捩れ方向の振動モードや蛇行方向の振動モードの振動をより抑制でき、高効率で大電力の出力が可能となる。
【0038】
なお、上記実施形態のように、圧電セラミックスの長手方向に垂直な方向の断面形状を正方形とすることで、圧電セラミックスの電力伝送に寄与しない捩れ方向の振動モードや蛇行方向の振動モードをより好適に抑制することができるが、本発明はこれに限定されず、圧電セラミックスの長手方向に垂直な方向の断面形状の第1の方向の長さtと第2の方向の長さwとの関係が、0.5≦t/w≦2.0を満たす矩形形状とすることで、好ましくは0.5≦t/w≦1.0を満たす矩形形状とすることで、圧電セラミックスの電力伝送に寄与しない捩れ方向の振動モードや蛇行方向の振動モードを抑制することができる。これにより、大電力の出力が可能であり、かつ、大電力の出力時に圧電セラミックスが破損することを防止できる。
【0039】
ここで、圧電セラミックスの第1の方向の長さ(厚み方向の長さ)tは、5mm以上12mm以下であることが好ましい。長さtを5mm以上とすることで、ハイパワー時の圧電セラミックスの耐破壊性をより向上させることができる。また、長さtを12mm以下とすることで、圧電セラミックトランスの製造時に圧電セラミックスの分極精度の低下を防ぎ、歩留まりを高くすることができる。つまり、圧電セラミックスを好適に分極させることができる。これにより、製造コストを低くすることができる。
【0040】
次に、本発明の圧電セラミックトランスを用いる照明装置の一例を説明する。
図4は、本発明の圧電セラミックトランス10を用いる照明装置50の概略構成を示すブロック図である。
照明装置50は、電源52と、電圧制御発振回路54と、駆動回路56と、圧電セラミックトランス10と、発光部58と、管電流検出回路60とを有する。
【0041】
電源52は、所定電圧(本実施形態では、24V)の直流電圧を出力する直流電源である。この直流電圧は、駆動回路56に供給される。
【0042】
電圧制御発振回路54は、後述する管電流検出回路60から供給される冷陰極管の合計電流の電流値に応じて、その発振周波数が変化する初期周波数約40KHzの基本波を発生する。電圧制御発振回路は、例えば、合計電流が基準電流量よりも少ない場合には、基本波の周波数を初期周波数よりも低くする方向に制御し、逆に合計電流が基準電流量よりも多い場合には基本波の周波数を初期周波数よりも高くする方向に制御する。この基本波は、同じく駆動回路56に供給される。
【0043】
なお、電圧制御発振回路54の具体的な構成は特に限定されず、同様の機能を実現する各種構成の回路を使用することができる。また、基準電流量は、外部から制御可能であり、必要に応じて可変できる。
【0044】
駆動回路56は、電源52から供給された所定電圧および電圧制御発振回路54から供給される基本波とに基づいて、圧電セラミックトランス10を駆動する2種類の駆動信号を生成する。本実施例では、2本の駆動信号は、約650Vp−p、約40KHzで、180度逆位相の交流信号(正弦波)である。電圧制御発振回路54から供給される基本波の周波数に応じて駆動信号の周波数が変化し、冷陰極管の合計電流すなわち発光部58の輝度が常に同じ一定値に保たれる。
【0045】
なお、駆動回路56の具体的な回路構成は何ら限定されず、同様の機能を実現する各種構成の回路を使用することができる。
【0046】
圧電セラミックトランス10は、上述の構成を有するものであり、駆動回路56から入力された650Vp−pの駆動信号を6500Vp−pに昇圧させて出力する。
【0047】
続いて、圧電セラミックトランス10によって発生された高圧信号は、バラストコンデンサ57に入力される。従来、3W級のローパワー出力の圧電セラミックトランスと冷陰極管との組合せでは、圧電セラミックトランスの出力インピーダンスが大きいため、バラストコンデンサを使用せずに冷陰極管を駆動できる。しかし、本実施形態のように、30W級のハイパワー出力の圧電セラミックトランスの場合、その厚みが増えたために出力インピーダンスが小さくなり、負性抵抗素子(冷陰極管)とのバランスがとれずに安定点灯しにくくなる。
【0048】
これは負荷側(冷陰極管)の負性抵抗よりも、入力側(圧電セラミックトランス)の出力インピーダンスの方が大きくないと、安定しないという理由による。すなわち、本実施形態のように、ハイパワー化した圧電セラミックトランス10と冷陰極管との組合せにおいては、圧電セラミックトランス10の出力側と冷陰極管との間にバラストコンデンサ57を入れることで、冷陰極管を安定駆動することが可能となる。
【0049】
発光部58は、4本の冷陰極管(CCFL)を有し、2本の冷陰極管を直列に接続した2管直列光源を2系統交差しないように並列に配置し、同時複数点灯を可能にしている。冷陰極管としては、管長527mm、管外形φ2.6mm、管内径φ2.0mm、色温度6500K、Ni電極、ガス圧70Torr、輝度約30000cd/m2が例示される。
ここで、冷陰極管の接続本数、接続方法は特に限定されず、種々の構成とすることができる。また、発光部としては、冷陰極管に限定されず、通常の蛍光管、熱陰極管、外部電極管、ネオン管、水銀灯の種々の放電管を用いることができる。
【0050】
管電流検出回路60は、2系統の冷陰極管の2管直列光源の合計電流を出力するものである。本実施形態では、リング状のコアに、3つのコイルを巻きつけたトロイダル型のトランスを用いている。2つのコイルは、2系統の2管直列光源のそれぞれの直列接続部間において極性(コイルの巻く方向)が同じ向きの一対のコイルであって、管電流の合計電流を算出する。もう一つのコイルは、前述の管電流の合計電流を出力するためのもので、前述の電圧制御発振回路54にフィードバックされる。
電圧制御発振回路54は、上述したように、管電流検出回路60から出力された合計電流に応じて、発振周波数を変化させた基本波を駆動回路56に供給する。
【0051】
このように、高電力出力を可能とした本発明の圧電セラミックトランスを用いることで、1つの圧電セラミックトランスで複数本の冷陰極管を駆動することができ、電磁波を発生せず、高効率、省スペースで発火の危険性のない大型のディスプレイ等の照明装置とすることができる。
【0052】
ここで、管電流検出回路には、さらに、2系統の2管直列光源のそれぞれの冷陰極管に流れる管電流をほぼ同じ一定値に揃えるバランス回路、2系統の冷陰極管の2管直列光源の電流差(差分電流)を検出する電流差検出回路等を設けてもよい。
バランス回路を設けることで、各冷陰極管の管電流を略同じ電流に制御でき、輝度のばらつきを抑えることができ、電流差検出回路を設けることで、光源の各系統間の差分電流を検出することができる。
【0053】
また、駆動回路56には、合計電流検出回路から供給される冷陰極管の合計電流の電流値が所定の範囲を超えている場合や、電流差検出回路から供給される差分の電流値が所定値を上回っている場合に、駆動回路56から駆動信号の出力を停止するように制御する保護回路を備えることが好ましい。保護回路を備えることによって、発光部58の冷陰極管に何らかの異常が発生した場合に圧電セラミックトランス10が破壊されるのを未然に防止することができる。
また、保護回路において、冷陰極管の合計電流の許容範囲や、電流差電流の上限値などの値は外部から制御可能であり、必要に応じて可変できる。
【0054】
ここで、本発明の圧電セラミックトランスは、上述したように、電磁波を発生せず、小型・軽量で低価格、省スペースであり、高電力の出力が可能であるという種々の効果を有する。従って、上記のような照明装置に限定されず、小型・携帯機器、冷・暖房機器、イオナイザー等の健康機器等、種々の装置のトランスとして用いることができる。
【0055】
以上、本発明の圧電セラミックトランスについて詳細に説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種改良や変更を行ってもよいのはもちろんである。
【0056】
例えば、上記実施形態では、第1出力電極および第2出力電極を圧電セラミックスの端面に配置したが、これに限定されず、入力電極と同様に、第1領域および第5領域の側面に設けてもよい。ここで、出力電極は、圧電セラミックスの端部側に設けることが好ましい。つまり、それぞれ第1領域、第5領域の端面に近い位置に配置することが好ましい。
出力電極を圧電セラミックスの端部に設けることで、効率よく、高い電圧を出力することができる。
【0057】
また、本実施形態では、一対の入力電極にそれぞれ180度位相の異なる2相の駆動信号を入力したが、本発明は、これに限定されず、一対の入力電極の内の一方の電極を接地させ(GNDとし)、もう一方の電極に駆動信号を入力するようにしてもよい。つまり、単相の駆動信号により、圧電セラミックトランスを駆動してもよい。
【0058】
また、上記実施形態では、入力信号(駆動信号、入力電圧)の電圧に対して出力信号(出力電圧)の電圧を昇圧させているが、これも限定されず、降圧させてもよく、同一電圧を出力してもよい。すなわち、必要に応じて所定電圧に変圧してもよい。
【0059】
また、より高い電力を出力できる点から上記構成の圧電セラミックトランスとすることが好ましいが、本発明はこれに限定されない。例えば、ローゼン型トランス、横効果を用いた圧電トランス、面振動圧電トランス、中央駆動圧電トランス、ブロック型圧電トランス、積層圧電トランス、中央出力圧電トランス、複数出力型圧電トランス、高次モードを用いた圧電トランス、ボルト締型圧電トランス、アレイ形圧電トランスなどを含むあらゆる構造の圧電セラミックトランスの圧電セラミックスを本発明の形状とすることで、つまり、長手方向に垂直な方向の断面の少なくとも一部を曲面とする、および/または、第1の方向の長さと第2の方向の長さとの比を上記範囲とすることで、圧電セラミックスを破損することなく、より高い電力を出力することができる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】(A)は、本発明に従う圧電セラミックトランスの一実施形態の概略構成を示す斜視図であり、(B)は、(A)に示した圧電セラミックトランスの上面図であり、(C)は、(A)に示した圧電セラミックトランスの長手方向に垂直な面における断面図である。
【図2】(A)〜(C)は、それぞれ本発明に用いることができる種々の圧電セラミックスの長手方向に垂直な面における断面図である。
【図3】(A)は、本発明に従う圧電セラミックトランスの他の一例の概略構成を示す斜視図であり、(B)は、(A)に示した圧電セラミックトランスの長手方向に垂直な方向における断面図である。
【図4】本発明の圧電セラミックトランスを用いる光源装置の概略構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0061】
10、40 圧電セラミックトランス
12、42 圧電セラミックス
14a、14b 第1入力電極
16a、16b 第2入力電極
18 第1出力電極
20 第2出力電極
22 第1領域
24 第2領域
26 第3領域
28 第4領域
30 第5領域
32a、32b、34a、34b 入力端子
36、38 出力端子
50 照明装置
52 電源
54 電圧制御発信回路
56 駆動回路
57 バラストコンデンサ
58 発光部
60 管電流検出回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
柱状形状の圧電セラミックスを用いた圧電セラミックトランスであって、
長手方向の端部から他方の端部までの分極の状態が、前記長手方向に分極された第1領域と、前記長手方向に垂直な第1の方向に分極された第2領域と、未分極の第3領域と、前記第2領域とは逆方向の前記第1の方向に分極された第4領域と、前記第1領域とは逆方向の長手方向に分極された第5領域とに分割され、
前記圧電セラミックスの長手方向に垂直な面における断面形状の少なくとも一部が曲線である圧電セラミックスと、
前記第2領域を挟んで設けられた一対の第1入力電極と、
前記第4領域を挟んで設けられた一対の第2入力電極と、
前記圧電セラミックスの前記長手方向の一方の端部に配置された第1出力用電極と、
前記圧電セラミックスの前記長手方向の他方の端部に配置された第2出力用電極とを有することを特徴とする圧電セラミックトランス。
【請求項2】
前記第1領域と前記第2領域と前記第3領域と前記第4領域と前記第5領域との前記長手方向における長さの比が、実質的に2:2:1:2:2である請求項1に記載の圧電セラミックトランス。
【請求項3】
前記圧電セラミックスは、前記第1の方向の長さtと、前記第1の方向かつ前記長手方向に垂直な第2の方向との長さwとの関係が0.5≦t/w≦2.0を満たす請求項1または2に記載の圧電セラミックトランス。
【請求項4】
前記第1入力電極および前記第2入力電極の配置されている部分が曲面形状である請求項1〜3のいずれかに記載の圧電セラミックトランス。
【請求項5】
前記圧電セラミックスの長手方向に垂直な面における断面形状が、楕円形である請求項1〜4のいずれかに記載の圧電セラミックトランス。
【請求項6】
前記圧電セラミックスの長手方向に垂直な面における断面形状が、円形である請求項1〜5のいずれかに記載の圧電セラミックトランス。
【請求項7】
前記第1の方向の長さtは、5mm以上12mm以下である請求項1〜6のいずれかに記載の圧電セラミックトランス。
【請求項8】
柱状形状を有し、長手方向に垂直な面における断面形状が矩形であり、圧電セラミックスを用いた圧電セラミックトランスであって、
長手方向の端部から他方の端部までの分極の状態が、前記長手方向に分極された第1領域と、前記長手方向に垂直で断面の1つの面と平行である第1の方向に分極された第2領域と、未分極の第3領域と、前記第2領域とは逆方向の前記第1の方向に分極された第4領域と、前記第1領域とは逆方向の長手方向に分極された第5領域とに分割され、
前記圧電セラミックスの前記第1の方向の長さtと、前記第1の方向かつ前記長手方向に垂直な第2の方向との長さwとの関係が0.5≦t/w≦2.0を満たす圧電セラミックスと、
前記第2領域を挟んで設けられた一対の第1入力電極と、
前記第4領域を挟んで設けられた一対の第2入力電極と、
前記圧電セラミックスの前記長手方向の一方の端部に配置された第1出力用電極と、
前記圧電セラミックスの前記長手方向の他方の端部に配置された第2出力用電極とを有することを特徴とする圧電セラミックトランス。
【請求項9】
前記圧電セラミックスは、前記第1領域と前記第2領域と前記第3領域と前記第4領域と前記第5領域との前記長手方向における長さの比が、実質的に2:2:1:2:2である請求項8に記載の圧電セラミックトランス。
【請求項10】
前記圧電セラミックスの前記長手方向に垂直な断面形状が正方形である請求項8または9に記載の圧電セラミックトランス。
【請求項11】
前記第1の方向の長さtは、5mm以上12mm以下である請求項8〜10のいずれかに記載の圧電セラミックトランス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−281359(P2007−281359A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−108807(P2006−108807)
【出願日】平成18年4月11日(2006.4.11)
【出願人】(000005201)富士フイルムホールディングス株式会社 (7,609)
【出願人】(501488594)京都技術研究所株式会社 (8)