説明

圧電物質含有ゴルフボール

【課題】 高硬度(長距離)及び低硬度(高スピン)に関連する、異なるプレイ特徴を有することが可能なゴルフボールを供給するためのシステム及び方法を提供すること。
【解決手段】 圧電物質を含むゴルフボールは、電流を印加することによってゴルフボールの特徴を変えることを可能とする。電流は、ゴルフクラブによるゴルフボールの打撃前に、電源を有するゴルフティーを用いて圧電物質に印加してもよい。電流は、ゴルフクラブによるゴルフボールの打撃後でゴルフボールの飛行中に、圧電物質に印加されてもよい。ゴルフクラブによる打撃前、最中、又は後に電流を選択的に印加又は除去することによって、ゴルフボール特徴を変えることが可能であり、且つ、ゴルフボールの飛行軌道特徴を変更することが可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電物質を含むゴルフボールに関し、特に、圧電物質を含むゴルフボールの特徴を変えるシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ここ数年に亘ってゴルフボールは著明な変化を遂げた。例えば、ゴムコアは、品質の一貫性、及び、より長距離を実現するドライバースピンの低下などの性能利点のために、徐々に糸巻きコアに取って代わっている。さらに、ゴルフボールのカバー及びディンプルパターンにも他の目覚ましい変化が起こっている。
【0003】
ゴルフボールのデザイン及び技術は進歩し、そのため、全米ゴルフ協会("USGA")は、USGA認可イベントにおいて、130フィート/秒の速度を有するドライバーによって打たれた場合(以後、「USGA試験」と呼ぶ)、250フィート/秒の初速を達成することが可能な全てのゴルフボールの使用を禁ずるとする規則を設けるまでに至った(ロイヤルアンドエンシェントクラブ、セントアンドリュース("R&A")も、R&A認可イベントのために同様の規則を設けた)。メーカーは、USGA試験においてこの限界を超えることなく可能な最高速度を一貫して実現するゴルフボールの生産に大きな力点を置いている。そうは言っても、市販のゴルフボールは、ある範囲の、例えば、速度、スピン、及び圧縮度などの、様々な特性及び特徴を有する。したがって、広範囲のゴルファーの要求及び願望に応えるために、種々の異なるボールが用意されてもよい。
【0004】
構造とは無関係に、多くのプレイヤーは、多くの場合、最大距離に達するゴルフボールを求める。当然、この性質のボールは、インパクトの際、高い初速を要求する。その結果、ゴルフボールメーカーは、常に、あらゆるスキルレベルのゴルファー達に最大性能を提供するゴルフボールを供給するための新規方法を探求し、より低い圧縮ボールでありながら、一般に高圧縮ボールと関連する性能の実現を可能とする組成を見出そうと追求している。
【0005】
ゴルファーは、そのゴルファーの好みに応じて様々なプレイ特徴を有する様々なゴルフボールを使用してよい。例えば、異なるディンプルパターンは、飛行中のゴルフボールの航空力学的特性に影響を及ぼす可能性があり、或いは、硬度の違いは、バックスピン率に影響を及ぼす可能性がある。特に硬度に関しては、ゴルファーは、より硬いか、又はより軟らかいカバー層及び/又はコアを有するゴルフボールの使用を選択する可能性がある。硬いカバー層を有するゴルフボールでは、一般に、比較的大きな距離が得られるが、スピンは少なくなり、したがって、ドライブには良いが、比較的短いショットではコントロールがより難しくなる。一方、比較的軟らかいカバー層を有するゴルフボールは、一般に、より大きなスピンを受けるので、コントロールはより易しくなるが、距離が不足する。
【0006】
当該技術分野では、種々の硬度特徴を有する、広範囲のゴルフボールが知られる。一般に、ゴルフボールの硬度は、該ゴルフボールを構成する種々層の化学的組成及び物理的配置によって決定される。したがって、異なる硬度値及び異なる硬度プロフィールを有するゴルフボールを創出するために、いくつかの異なるゴルフボール材料が、種々の組み合わせ及び配置で混ぜ合わされ、突き合わされる。
【0007】
しかしながら、所望の硬度特徴を実現するようにゴルフボールをデザインすることは、少なくともいくつかの困難に悩まされる。一般に、公知のゴルフボールの構造は、広範な設計変数、例えば、層配置、各層に使用される材料、及び層厚などが互いにバランスされることを要求する。したがって、これらの変数に対する変化は、それがどの変数に対するものであれ、所望の硬度の改善をもたらすにしても、それは必ず他のプレイ特徴の犠牲を伴う。恐らくもっとも重要なことは、公知のゴルフボールは、一般に、高い硬度と関連する有利なプレイ特徴(比較的長距離)を実現しながら、同時に、低い硬度と関連する有利なプレイ特徴(比較的高いスピン)を実現することができないことである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、当該技術分野では、異なるプレイ特徴を有することが可能なゴルフボールを供給するためのシステム及び方法が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一局面において、本発明は、ゴルフボールを打つためのシステムであって:圧電物質を含むゴルフボール;電源を含むゴルフティーを含み、ここに、ゴルフティーは、圧電物質層を電流に暴露するように適応されるシステムを提供する。
【0010】
別の局面では、本発明は、カバーを含むゴルフボールにおいて、該カバーは圧電物質を含み、ここに、該圧電物質は、幾何学的パターンとして配置される複数のパネルを含み、該複数のパネルの間には介在空間が配置される、ゴルフボールを提供する。
【0011】
別の局面では、本発明は、圧電物質層を含むゴルフボールに関連する飛行軌道特徴を変える方法であって:圧電物質層を有するゴルフボールを準備すること;該ゴルフボールがゴルフクラブによって打たれる前に圧電物質層に第1電流を印加すること;該ゴルフボールがゴルフクラブによって打たれた後、指定期間圧電物質層に第2電流を印加すること;及び、該指定期間の終了後第2電流を取り去ること、を含む方法を提供する。
【0012】
本発明の他のシステム、方法、特色、及び利点は、当業者には明白であろうし、或いは、下記の図面及び詳細な説明を精査することによって明白となろう。そのような追加のシステム、方法、特色、及び利点は全て、本明細書及び本概要の範囲に含まれ、本発明の範囲に含まれ、且つ、下記の特許請求項によって保護されることが意図される。
【0013】
本発明は、下記の図面及び説明を参照することによってさらによく理解することが可能である。図面の成分は必ずしも実尺に合致するものではなく、強調はむしろ本発明の原理の具体的説明に置かれる。さらに、図面において、同じ参照数字は、種々の投影図を通じて対応する部品を表示する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】ゴルフボール、ゴルフティー、及びゴルフクラブを伴うゴルファーの等尺図である。
【図2】圧電物質カバーを有するゴルフボール例示実施態様の断面図である。
【図3】圧電物質カバーを有するゴルフボール例示実施態様の断面図である。
【図4】圧電物質カバーを有するゴルフボール例示実施態様の断面図である。
【図5】圧電物質カバーを有するゴルフボール例示実施態様の断面図である。
【図6】圧電物質カバーを有するゴルフボール例示実施態様の断面図である。
【図7】圧電物質カバーを有するゴルフボール例示実施態様の断面図である。
【図8】圧電物質カバー及び内部エネルギー保存デバイスを有するゴルフボール例示実施態様の拡大断面図である。
【図9】圧電物質カバーを幾何学パターンに配置させるゴルフボール例示実施態様の等尺図である。
【図10】圧電物質カバーを幾何学パターンに配置させるゴルフボール例示実施態様の等尺図である。
【図11】ゴルフボールに電流を課すように適応されるゴルフティー例示実施態様の模式図である。
【図12】ゴルフボールに電流を課すように適応されるゴルフティーの、別の例示実施態様の模式図である。
【図13】ゴルフクラブによってまさに打たれようとする、ゴルフティー上の圧電物質含有ゴルフボール例示実施態様の画像である。
【図14】ゴルフティーによって電流を課せられる、圧電物質含有ゴルフボール例示実施態様の画像である。
【図15】ゴルフクラブによってまさに打たれようとする、ゴルフティー上で圧縮状態にある、圧電物質含有ゴルフボール例示実施態様の画像である。
【図16】ゴルフクラブによって打たれる、圧縮状態にある、圧電物質含有ゴルフボール例示実施態様の画像である。
【図17】ゴルフクラブによって打たれた後飛行中の、圧縮状態にある、圧電物質含有ゴルフボール例示実施態様の画像である。
【図18】従来型のボール及び従来型の飛行軌道特徴と比較した場合の、飛行軌道特徴を変える圧電物質含有ゴルフボール例示実施態様の画像である。
【図19】従来型ボールと比較した場合の、圧電物質含有ゴルフボール例示実施態様の飛行軌道の画像である。
【図20】第1圧電物質を含む外方マントル及び第2圧電物質を含む内方マントルを有するゴルフボール例示実施態様の断面図である。
【図21】内部ストレスを受ける、第1圧電物質を含む外方マントル及び第2圧電物質を含む内方マントルを有するゴルフボール例示実施態様の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
ゴルフボールを打つためのシステム100の例示実施態様が図1に示される。システム100は、ゴルフクラブ108によってゴルフティー106上のゴルフボール104を打つゴルファー102のために準備されてもよい。下記にさらに詳述されるように、例示実施態様では、システム100は、ゴルフボール104の特性及び特徴を変えてもよい。ある実施態様では、システム100は、ゴルフボール104がゴルフティー106の上にあるとき、ゴルフボール104の特性及び特徴を変えてもよい。別の実施態様では、システム100は、ゴルフクラブ108による打撃の前、最中、及び/又は後にゴルフボール104の特性及び特徴を変えてもよい。ある実施態様では、システム100は、ゴルフクラブ108のクラブフェース110による、ゴルフボール104に対する衝撃の作用を変えるために提供されてもよい。別の場合では、システム100は、ゴルファー102による打撃後、ゴルフボール104の飛行軌道特徴を変えるために提供されてもよい。ある実施態様では、ゴルフボール104は、圧電物質を含んでもよい。ある実施態様では、ゴルフティー106は、ゴルフボール104を電流に暴露するように適応されてもよい。
【0016】
図示の都合上、図面に示すゴルフボールは、滑らかなカバーを持っているところが描かれる。図面に示され、本明細書の各種実施態様に記載される実施態様は、当該技術分野で公知のディンプルタイプ、構成、及び/又は配置を含むディンプルを含んでもよい。
【0017】
図2から7は、ゴルフボールの内部に配置される圧電物質の、異なる種々の例示実施態様を示す。圧電物質とは、機械的力を印加されると電位差を生じる一群の物質である。印加される力に応じて、圧電物質の中に該印加力に比例する電圧が発生する。同様に、逆作用も可能である、すなわち、印加電圧は、圧電物質において圧縮力を生ずる。極めてよく知られる一つの圧電物質はクォーツであり、これは、典型的には、腕時計に使用される。外にも多くの、各種結晶、セラミック、及びポリマーを含む、天然及び合成物質が圧電性を有する。
【0018】
一実施態様では、圧電物質は圧電ポリマーである。ある場合、圧電ポリマーとしては、ただしこれらに限定されないが:ポリフッ化ビニール(PVF)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリ塩化ビニール(PVC)、ポリテトラフルオロエチレン-ポリフッ化ビニリデン(PTFE-PVF2)、及び、他のポリマー類、コポリマー類、及びセラミックポリマー混合物が挙げられる。
【0019】
一般に、ゴルフボールは、種々の構成において製造することが可能であり、種々の材料から組成することが可能である。ゴルフボールの構成としては、ただしこれらに限定されないが、ツーピース、スリーピース、又はフォーピース構成が挙げられる。各構成はカバーを含む。ある場合、カバー材料としては、ただしこれらに限定されないが、ウレタン、バラタ、合成バラタ、Surlyn(登録商標)、エラストマー、及びその他の材料が挙げられる。ゴルフボールの内方組成物は、コア、マントル、及び、ゴルフボールが、ツーピース、スリーピース、又はフォーピース構成であるかどうかに応じて、さらに追加のコア又はマントル層を含んでもよい。ゴルフボールの内方組成物は、種々の材料、ただしこれらに限定されないが:天然ゴム、バラタ、合成ゴム、プラスチック、熱可塑性材料、ポリマー、エラストマー、樹脂、及びその他の材料、及び材料の組み合わせなどを含んでもよい。
【0020】
一例示実施態様では、圧電物質部分は、ゴルフボールの中に注入されてもよい。ある実施態様では、圧電物質は、ゴルフボールの層であってもよい。別の実施態様では、圧電物質部分はフィルムであってもよい。さらに別の実施態様では、圧電物質部分は、ゴルフボールの中に取り込まれる固体物質であってもよい。
【0021】
ここで図2を参照すると、第1例示実施態様では、ゴルフボール200は、カバー202及びコア204を含むツーピース構成を含んでもよい。この実施態様では、カバー202は圧電物質を含む。異なる実施態様では、コア204は、従来からゴルフボール組成のために使用される各種天然及び合成材料を含んでもよい。図3を参照すると、第2例示実施態様では、ゴルフボール300は、カバー302、マントル層304、及びコア306を含む、スリーピース構成を含んでもよい。この実施態様では、コア306は圧電物質を含んでもよい。異なる実施態様では、カバー302及び/又はマントル層304は、従来からゴルフボール組成のために使用される各種天然及び合成材料を含んでもよい。
【0022】
ここで図4を参照すると、第3例示実施態様では、ゴルフボール400は、カバー402及びコア404を含むツーピース構成を含んでもよい。この実施態様では、カバー402は圧電物質を含む。異なる実施態様では、コア404は、従来からゴルフボール組成のために使用される各種天然及び合成材料を含んでもよい。
【0023】
ある実施態様では、ゴルフボール400は、内部回路406及び接続リード408を含んでもよい。ある実施態様では、内部回路406は、カバー402中の圧電物質に電流を印加するためのプロセッサー又はその他の回路を含んでもよい。ある実施態様では、内部回路406は、接続リード408を通じてカバー402中の圧電物質に電流を印加してもよい。別の実施態様では、内部回路406は、カバー402中の圧電物質に電流を印加するための接続リードを含まなくともよい。ある場合には、ゴルフボールのコア、マントル、及び付加的コア又はマントル層の内の一つ以上が、導電物質を含んでもよい。別の場合には、ゴルフボール400のカバー402が、導電物質を含んでもよい。
【0024】
図5は、ゴルフボール500の第4例示実施態様を示す。ある実施態様では、ゴルフボール500は、カバー502、マントル504、及びコア506を含むスリーピース構成を含んでもよい。この実施態様では、カバー502は圧電物質を含む。異なる実施態様では、マントル504及び/又はコア506は、従来からゴルフボール組成のために使用される各種天然及び合成材料を含んでもよい。例示実施態様では、ゴルフボール500は、内部回路508及び接続リード510を含んでもよい。別の実施態様では、接続リード510は必要に応じて設けられてもよい。内部回路508及び接続リード510は、上述の内部回路406及び接続リード408と事実上同一であってもよい。この実施態様では、内部回路508は、ゴルフボール500の一セクションにそってカバー502中の圧電物質部分のごく近傍に配置される。別の実施態様では、内部回路508は、ゴルフボール500において圧電物質に対し異なる関係で配置されてもよい。
【0025】
ある実施態様では、圧電物質は、ゴルフボール500の一つ以上の別々のセクション中に含まれてもよい。ある実施態様では、内部回路508は、ゴルフボール500の、一つ以上の別々セクションに含まれる圧電物質部分に選択的に電流を印加してもよい。この配置では、ゴルフボール500の各種セクション中の圧電物質は、異なる時点で内部回路508から印加される電流のために圧縮を受け、ゴルフボール500の様々な特性及び特徴に影響を及ぼす可能性がある。ある実施態様では、内部回路508による、ゴルフボール500中の圧電物質に対する電流の選択的印加は、クラブフェース衝撃及び/又はゴルフボール500の飛行軌道特徴に影響を及ぼすよう、ゴルフボール500がゴルフクラブによって打たれる前、最中、及び/又は後に実行されてもよい。ある場合では、ゴルフボール500のカバー502における証印(図示せず)が、圧電物質を含む、ゴルフボール500のセクションの場所を示してもよい。
【0026】
図6は、ゴルフボール600の第5例示実施態様を示す。ある実施態様では、ゴルフボール600は、カバー602及びコア604を含むツーピース構成を含んでもよい。この例示実施態様では、カバー602は圧電物質を含んでもよい。異なる実施態様では、コア604は、従来からゴルフボール組成のために使用される各種天然及び合成材料を含んでもよい。この実施態様では、ゴルフボール600は内部回路606を含んでもよい。内部回路606は、上述の内部回路406と事実上同一であってもよい。この実施態様では、内部回路は、カバー602中の圧電物質と接触する。この配置において、内部回路606は、圧電物質に電流を印加してもよい。
【0027】
図7は、ゴルフボール700の第6例示実施態様を示す。ある実施態様では、ゴルフボール700は、カバー702、マントル704、及びコア706を含むスリーピース構成を含んでもよい。この実施態様では、カバー702及びコア706は、圧電物質を含んでもよい。異なる実施態様では、マントル704は、従来からゴルフボール組成のために使用される各種天然及び合成材料を含んでもよい。例示実施態様では、ゴルフボール700は、内部回路708、カバー接続リード710、及びコア接続リード712を含んでもよい。内部回路708は、上述の内部回路406と事実上同一であってもよい。同様に、カバー接続リード710及び/又はコア接続リード712は、上述の接続リード408と事実上同一であってもよい。別の実施態様では、カバー接続リード710及びコア接続リード712の内のいずれか又は両方が、必要に応じて設けられてもよい。
【0028】
ある実施態様では、圧電物質は、ゴルフボール700の一つ以上の部分に含まれてもよい。図7に示す例示実施態様では、圧電物質は、ゴルフボール700のカバー702及び/又はコア706を含んでもよい。ある実施態様では、内部回路708は、カバー702及び/又はコア706を含む、ゴルフボール700の一つ以上の部分に含まれる圧電物質に電流を選択的に印加してもよい。この配置では、ゴルフボール700の各種部分における圧電物質は、異なる時点で内部回路708から印加される電流のために圧縮を受け、ゴルフボール700の様々な特性及び特徴に影響を及ぼすと考えられる。
【0029】
ある実施態様では、内部回路708による、ゴルフボール700中の圧電物質に対する電流の選択的印加は、クラブフェース衝撃及び/又はゴルフボール700の飛行軌道特徴に影響を及ぼすよう、ゴルフボール700がゴルフクラブによって打たれる前、最中、及び/又は後に実行されてもよい。一つの例示実施態様では、内部回路708は、ゴルフボール700がゴルフクラブによって打たれる前に、カバー702中の圧電物質に対しカバー接続リード710を通じて電流を印加してもよい。別の例示実施態様では、内部回路708は、ゴルフボール700がゴルフクラブによって打たれた後、ある指定時間の間、カバー702中の圧電物質に対する電流を選択的に取り去ってもよい。異なる実施態様では、内部回路708は、クラブフェース衝撃及び/又はゴルフボール700の飛行軌道特徴に影響を及ぼすよう、ゴルフボール700がゴルフクラブによって打たれる前、最中、及び/又は後に、カバー702中の圧電物質に対する電流の印加及び/又は除去を行ってもよい。
【0030】
別の例示実施態様では、内部回路708は、コア接続リード712を通じてコア706中の圧電物質に電流を印加してもよい。ある実施態様では、内部回路708は、コア接続リード712を通じてコア706中の圧電物質に電流を印加してもよい。一つの例示実施態様では、内部回路708は、ゴルフクラブのクラブフェースのゴルフボール700に対する衝撃の特性及び特徴に影響を及ぼすように、コア706中の圧電物質に対する電流の印加及び/又は除去を実行してもよい。異なる実施態様では、内部回路708は、クラブフェース衝撃及び/又はゴルフボール700の飛行軌道特徴に影響を及ぼすよう、ゴルフボール700がゴルフクラブによって打たれる前、最中、及び/又は後に、コア706中の圧電物質に対する電流の印加及び/又は除去を行ってもよい。
【0031】
別の実施態様では、電流は、外部装置を介してゴルフボール700の一つ以上の部分に印加されてもよい。後述の一つの例示実施態様では、電流は、電源を含むゴルフティーを介して、圧電物質含有ゴルフボールに印加されてもよい。
【0032】
前述の実施態様では、圧電物質は、ゴルフボールのカバー及び/又はコアを含む。異なる実施態様では、圧電物質は、コア、マントル、及び追加のコア又はマントル層の内の一つ以上を含む、ゴルフボールの任意の層を含んでもよい。
【0033】
一つの例示実施態様では、ゴルフボールは、圧電物質から構成されるマントル、及び、従来からゴルフボール組成に使用される各種天然及び合成材料から構成されるコア及びカバーを含むスリーピース構成を含んでもよい。この実施態様では、電流は、上述の内部回路及び/又は後述の外部装置を用いて、ゴルフボールのマントルに含まれる圧電物質に印加されてもよい。この配置では、ゴルフボールのマントルにおける圧電物質は、印加される電流のために圧縮を受け、ゴルフボールの様々な特性及び特徴に影響を及ぼしてもよい。一実施態様では、ゴルフボールのマントル中の圧電物質に対する印加電流は、ゴルフボールの見かけの硬度をより大きくし、及び/又は、ゴルフボールの内部ストレスを高める可能性がある。
【0034】
別の実施態様では、圧電物質は、ゴルフボールの一つ以上の層に配置されてもよい。ある場合、圧電物質は、コア、マントル、及び追加のコア又はマントル層の、任意の二つの組み合わせの間、又は任意の三つ以上の組み合わせの間に配置されてもよい。別の実施態様では、圧電物質はカバーの外側に配置されてもよい。
【0035】
図8は、ゴルフボール400内における内部回路の例示実施態様を示す。図8に示すように、ゴルフボール400は内部回路406を含んでもよい。ある実施態様では、内部回路406は、エネルギー保存デバイスを含む。ある場合、このエネルギー保存デバイスはバッテリーを含む。別の場合、このエネルギー保存デバイスはコンデンサーを含む。さらに別の場合、このエネルギー保存デバイスは、電流を発生するための任意の装置を含んでもよい。一つの例示実施態様では、内部回路406は、バッテリー802及び/又はコンデンサー804を含んでもよい。内部回路は、接続リード408を通じてカバー402中の圧電物質に電流を印加するために、バッテリー802及び/又はコンデンサーコンデンサー804中に保存されるエネルギーを使用してもよい。ある実施態様では、内部回路406は、電流を発生するためにプロセッサー800を含んでもよい。プロセッサー800は、プロセッサーか、又は、電流を発生するものであれば、当該技術分野で公知の他のいずれの回路を含んでもよい。別の実施態様では、プロセッサー800は、起動行動の際、指定の期間又は他の任意の基準に基づいて、電流の印加及び/又は除去を選択的に実行するためのタイマー回路を含んでもよい。別の実施態様では、プロセッサー800は、当該技術分野で公知のように、各種指示及びプログラムを実行するようにプログラムされてもよい。
【0036】
別の実施態様では、内部回路406はさらに、ゴルフクラブによる打撃の際、接続リード408を通じてカバー402中の圧電物質からの出力を検出するための内部センサーを含んでもよい。ある実施態様では、内部回路406はさらに、データ保存デバイスを含んでもよい。データ保存デバイスは、ゴルフボール400がゴルフクラブによって打たれるときに発生する、内部センサーからのデータを保存してもよい。一実施態様では、データ保存デバイスは、ゴルファーによるゴルフボール400の複数回打撃と関連するデータを記録するために使用されてもよい。別の実施態様では、データ保存デバイスは、プレイ時、ゴルファーによる、ゴルフボール400などのゴルフボールの打撃に関連するデータを記録するために使用されてもよい。
【0037】
図9及び10は、圧電物質カバーを幾何学パターンとして配置させるゴルフボールの例示実施態様の図を示す。図9を参照すると、この実施態様では、ゴルフボール900は、圧電物質を含むカバーを含んでもよい。ある実施態様では、圧電物質カバーは、ゴルフボール900の外面全体に亘って幾何学パターンとして配置されてもよい。一つの例示実施態様では、幾何学パターンは、圧電物質によって構成される複数のパネル902によって形成されていてもよい。ある実施態様では、複数の介在空間904がパネル902の間に配置されてもよい。例示実施態様では、介在空間904は、圧電物質カバーを含むパネル902が電流に暴露されると圧縮することが可能となるように設けられてもよい。この実施態様では、介在空間904は、印加電流不在のときのパネル902間の距離に関連する第1幅W1を有していてもよい。ある場合、第1幅W1は、ゴルフボール900の第1直径D1と関連してもよい。異なる実施態様では、介在空間904は、ゴルフボール900の圧電物質カバーを含むパネル902の圧縮及び拡大が実現されるよう、種々の幅に対応する大きさ、形状を持っていてもよい。
【0038】
一つの例示実施態様では、圧電物質カバーを形成するようゴルフボール900の外面に配置されるパネル902は、6角形及び5角形の組み合わせを含む幾何学パターンとして配置されてもよい。別の実施態様では、パネル902は、種々のパターンとして配置されてもよく、そのようなパターンとしては、ただしこれらに限定されないが:6角形、5角形、3角形、円形、卵形、楕円形、及び、その他の幾何学的、規則的及び/又は不規則パターン、またはそれらの組み合わせが挙げられる。
【0039】
ここで図10を参照すると、この実施態様では、ゴルフボール1000は、印加電場の存在下に圧電物質を含むカバーを有するところが示される。ある実施態様では、圧電物質カバーは、図9を参照しながら上述したように、ゴルフボール1000の外面上に幾何学パターンとして配置されてもよい。一つの例示実施態様では、幾何学パターンは、圧縮状態の圧電物質によって構成される複数のパネル1002によって形成されていてもよい。この実施態様では、パネル1002は、印加電流が存在するために圧縮される。
【0040】
ある実施態様では、介在空間1004が、圧縮パネル1002の間に配置されてもよい。例示実施態様では、介在空間1004は、圧電物質カバーを含む圧縮パネル1002が電流に暴露されると、事実上連続的なカバーを形成することが可能となるように設けられてもよい。異なる実施態様では、介在空間1004は、ゴルフボール1000の圧電物質カバーを含むパネル1002の圧縮及び拡大が実現されるよう、種々の幅に対応する大きさ、形状を持っていてもよい。図10の実施態様では、介在空間1004は、印加電流存在下のパネル1004間の辺縁距離に関連する第2幅W2を有していてもよい。ある場合、第2幅W2は、ゴルフボール1000の第2直径D2と関連してもよい。ある例示実施態様では、第2幅W2は、第1幅W1よりも事実上小さい。一実施態様では、印加電流不在下のゴルフボール900の第1直径D1は、印加電流存在下のゴルフボール1000の第2直径D2よりも大きくともよい。ある実施態様では、第1直径D1及び/又は第2直径D2は、約1.68インチの直径に一致していてもよい。別の実施態様では、第1直径D1及び/又は第2直径D2は、1.68インチよりも大きくてもよいし、小さくてもよい。さらに別の実施態様では、第1直径D1及び/又は第2直径D2は、プロ及び/又はアマチュアのゴルフに適用可能な一つ以上の規制に一致する大きさ及び形状を持っていてもよい。
【0041】
図11及び12は、圧電物質を含むゴルフボールに電場を印加するための外部装置に関する異なる実施態様を示す。図11を参照すると、ゴルフティー1100は、圧電物質を含むゴルフボールに電流を課すように適応されてもよい。この実施態様では、ゴルフティー1100は、ゴルフボールを所定の場所に保持するための上面1102を含んでもよい。ある実施態様では、ゴルフティー1100は、上面1102に配置される第1接触部材1104及び第2接触部材1106を含んでもよい。一実施態様では、第1接触部材1104及び第2接触部材1106は、ゴルフボールが、ゴルフティー1100の上面1102における第1接触部材1104及び/又は第2接触部材1106と交信状態に置かれると、該ゴルフボールに対して電流を印加するように設けられていてもよい。
【0042】
ある実施態様では、ゴルフティー1100は電源1112を含んでもよい。ある場合、電源1112は、バッテリー及び/又はコンデンサーであってもよい。別の場合、電源1112は、外部電源を介して供給されてもよい。一実施態様では、第1接触部材1104は、陽性リード1110を通じて電源1112に接続される陽性端子に合致してもよい。同様に、第2接触部材1106は、陰性リード1108を通じて電源1112に接続される陰性端子に合致してもよい。ある実施態様では、ゴルフティー1100は、ゴルフボールが、ゴルフティー1100の上面1102における第1接触部材1104及び/又は第2接触部材1106と交信状態に置かれると、ゴルフボールの圧電物質層に電流を印加するように電源1112を使用してもよい。この実施態様では、第1接触部材1104及び第2接触部材1106との交信においてゴルフボールに対して印加される電流は、電源1112から陰性リード1108及び陽性リード1110を通じて生成されてもよい。
【0043】
ここで図12を参照すると、この実施態様では、ゴルフティー1200は、圧電物質を含むゴルフボールに対し電流を課すように適応されていてもよい。ある実施態様では、ゴルフティー1200は、印加電流を生成するために、電源1206に接続される誘起コイル1204を使用してもよい。ある場合、電源1206は、バッテリー及び/又はコンデンサーであってもよい。別の場合、電源1206は、外部電源を介して供給されてもよい。この実施態様では、ゴルフティー1200は、ゴルフボールを所定の場所に保持するための上面1202を含んでもよい。一つの例示実施態様では、ゴルフティー1200は、ゴルフクラブのスウィング運動を検出するために、センサー1210に接続1208を介して接続されてもよい。一実施態様では、センサー1210は、ゴルフティー1200の近傍でゴルフクラブのスウィング運動を検出するために、光学検出器を含んでもよい。別の実施態様では、センサー1210は、ゴルフクラブの存在を検出することが可能な、一つ以上の別のセンサーを含んでもよく、そのようなセンサーとしては、ただしこれらに限定されないが:光学的、聴覚的、磁気的、及び、その他の、ゴルフクラブの運動を検出するための公知のセンサーが挙げられる。
【0044】
ある実施態様では、ゴルフティー1200及び/又はセンサー1210は、プロセッサーと交信してもよい。このプロセッサーは、ゴルフクラブのスウィング運動を検出するセンサー1210からの信号の受信に応じて、ゴルフボール中の圧電物質に電流を課すように電源1206を制御するように適応されていてもよい。別の実施態様では、ゴルフティー1200は、ゴルフボールが、ゴルフティー1200の上面1202上の接触部材と交信状態に置かれると、該ゴルフボールに対して電流を印加するように圧感受性接触部材(図示せず)を含んでもよい。
【0045】
ある実施態様では、ゴルフティー1100及び/又はゴルフティー1200は、ゴルフボールの一つ以上の部分、例えば、ただしこれらに限定されないが、上述の圧電物質含有ゴルフボールの諸々の例示実施態様に含まれる圧電物質に対し電流を印加してもよい。この配置では、ゴルフボールの各種部分中の圧電物質は、様々な時点でゴルフティー1100及び/又はゴルフティー1200からの印加電流によって圧縮されて、ゴルフボールの様々な特性及び特徴に影響を及ぼすことが考えられる。
【0046】
ある実施態様では、ゴルフティー1100及び/又はゴルフティー1200によるゴルフボールの圧電物質に対する電流の選択的印加は、ゴルフボールがゴルフクラブによって打たれる際、そのクラブフェース衝撃及び/又はゴルフボールの飛行軌道特徴に影響を及ぼすよう、グラブによる打撃の前、最中、及び/又は後に実行されてもよい。一つの例示実施態様では、ゴルフティー1100及び/又はゴルフティー1200は、ゴルフボールのカバー中の圧電物質に対し、該ゴルフボールがゴルフクラブによって打たれる前に電流を印加してもよい。
【0047】
図13-17は、ゴルフクラブ108によって打たれる、圧電物質含有ゴルフボール例示実施態様の連続図面を示す。図13-17に示すステップの順序は例示的であって、これでなければならないというものではない。上述のように、ゴルフボールの中に含まれる圧電物質に対し電流を選択的に印加及び/又は除去することによって、ゴルフボールの特性及び特徴を変えてもよい、すなわち、ただしこれらに限定されないが:変形量、ボールスピード、バックスピン、サイドスピン、合計スピン、及び、その他のゴルフボールに関連するパラメータを変えてもよい。この配置では、クラブフェース衝撃特徴及び/又は飛行軌道特徴を変えてもよい。
【0048】
ゴルフボールのカバーに含まれる圧電物質に対し電流を印加することによって、その電流による圧電物質の圧縮、したがってゴルフボールカバーの硬化を誘発させてもよい。この配置では、ゴルフボールに含まれる圧電物質に対し、該ゴルフボールがゴルフクラブのクラブフェースによって打たれる前に、電流を選択的に印加することによって、該ゴルフボールのクラブフェース衝撃特徴及び/又は飛行軌道特徴を変えてもよい。一つの例示実施態様では、衝撃前にゴルフボール中の圧電物質に電流を印加することによって、ボールスピード及びスピン率に影響を及ぼしてもよい。ボールスピードとは、ゴルフクラブのクラブヘッドによる衝撃後の、ゴルフボール速度の測定値である。ボールスピードは、クラブヘッドのゴルフボールに対する衝撃力に比例するから、衝撃前に、圧電物質を圧縮してゴルフボールのカバーをより硬くすることによってボールスピードを増すようにしてもよい。
【0049】
ゴルフボールのスピンとは、飛行時のゴルフボールの回転である。スピンは、飛行方向に逆らう回転、すなわち、バックスピン、及び、スピン方向に対して横向きの回転、すなわち、サイドスピンを含む。合計スピンとは、バックスピンとサイドスピンのベクトル和である。ゴルフボールのスピン率とは、ゴルフボールが、飛行中その軸上において回転するスピードである。典型的には、スピン率は、1分当たりの回転(rpm)として測定される。ゴルフボールのスピンは、ゴルフボールの変形量に関連する。ゴルフボールの変形量は、ゴルフボールの硬度にしたがって変動する可能性があり、その際、比較的硬いゴルフボールの変形は、比較的軟らかいゴルフボールよりも小さい。より硬いゴルフボールは、一般に、より長い距離を実現するが、スピンはより少ない。一方、より軟らかいボールは、一般に、より多くのスピンを受けるが、距離は不足する。ゴルフボールに含まれる圧電物質に対する電流の選択的印加に基づいて、その硬度を変え、それによってゴルフボールの変形量に影響を及ぼし、スピン率を変えることが可能である。同様に、圧電物質がゴルフボールのコアに含まれる実施態様では、コア中の圧電物質に対する電流の選択的印加は、ゴルフボールのゴルフクラブとの衝撃後における、反跳反応に影響を及ぼす可能性がある。
【0050】
ある実施態様では、ゴルフボール中の圧電物質に対する電流の印加は、該ゴルフボールに関連する材料特性を変える可能性がある。ある場合、圧電物質に印加される電流は、該圧電物質の圧縮を誘発する可能性がある。圧縮された圧電物質によってゴルフボール内部に誘発される内部ストレスの作用は、ゴルフボールの硬度を増すことによって生じる作用と類似する。その結果、ゴルフボールにおける圧電物質の圧縮のために、ゴルフボールは、この圧縮された圧電物質によって、見かけ上、より大きな硬度を呈する可能性がある。
【0051】
ここで図13を参照すると、圧電物質含有カバー402を含むゴルフボール400は、電流を供給するように適応されるゴルフティー1100の上に置かれてもよい。この実施態様では、カバー402中の圧電物質は、ゴルフティー1100からの印加電流不在下では、非圧縮状態にある。図14を参照すると、ゴルフクラブ108のクラブフェース110の、ゴルフボール400との衝撃前に、ゴルフティー1100は、上述のように、電源からの電気1400を用いて電流1402を発生してもよい。この実施態様では、ゴルフボール400が、ゴルフティー1100の上面において第1接触部材1104及び/又は第2接触部材1106と交信状態に置かれると、ゴルフティー1100は、ゴルフボール400の圧電物質に電流1402を印加する。
【0052】
ここで図15を参照すると、ゴルフボール400のカバー402に含まれる圧電物質に印加される電流1402によって、圧電物質の圧縮が誘発される。その結果、ゴルフボール400のカバー402は、クラブフェース110のゴルフボール400との衝撃前に、より硬くなると考えられる。さらに、カバー402を圧縮することによって、ゴルフボール400の直径は、上述のように、より小さくなると考えられる。図16に示すように、ゴルフクラブ108のクラブフェース110は、ゴルフボール400と接触する。クラブフェース110がゴルフボール400と接触すると、運動エネルギーが、クラブフェース110からゴルフボール400へ伝送される。上述のように、カバー402中の圧電物質の圧縮は、ゴルフボール400をより硬くし、そのため、ゴルフボール400に対し、より大量の運動エネルギーの伝送をもたらし、したがって、より高いボールスピードを実現する。
【0053】
ここで図17を参照すると、ゴルフボール400の、ゴルフクラブ108のクラブフェース110との衝撃後、ゴルフボール400は、初期の飛行軌道に乗り出すと考えられる。初期の飛行軌道は、ゴルフクラブ108による打撃の際の、クラブフェース衝撃特徴、及び/又は、
ゴルフボール400の飛行軌道特徴、すなわち、ただしこれらに限定されないが、衝撃前の印加電流の存在又は不在によって影響される特徴と関連すると考えられる。ある実施態様では、内部回路406は、上述のように、衝撃後、及び/又は、初期飛行軌道に乗り出すゴルフボール400の飛行中、ゴルフボール400中の圧電物質に電流を印加してもよい。ある例示の実施態様では、内部回路406は、ゴルフボール400の飛行軌道特徴に影響を及ぼすために、ゴルフボール400のカバー402中の圧電物質に対し電流を選択的に印加及び/又は除去してもよい。一つの例示実施態様では、内部回路406は、初期飛行軌道の距離及び/又は上昇を変えるために、ゴルフボール400のカバー402中の圧電物質に対する電流を選択的に印加及び/又は除去してもよい。
【0054】
図18は、従来型のゴルフボール1800と、電流に暴露される、圧電物質含有ゴルフボール1802の例示実施態様との、クラブフェース衝撃特徴及び/又は飛行特徴の比較を示す。図18に示すステップの順序は例示的であって、これでなければならないというものではない。図18を参照すると、従来型ゴルフボール1800は、第1直径D1と関連づけられてもよい。従来型ゴルフボール1800は、ステップ1810において従来型ゴルフティーの上に置かれ、ステップ1820においてゴルフクラブによって打たれる際、第1直径D1を維持する。従来型ゴルフボール1800の構成及び組成に応じて、このボールは、クラブヘッドスピード及び打ち上げ角度などの初期発射条件に応じて変動するが、一旦従来型ゴルフボール1800が飛行状態に入ると通常変わることのない、典型的飛行軌道1830を示す。
【0055】
一方、圧電物質含有ゴルフボール1802は、ステップ1812に示されるように、印加電流の不在下には第1直径D1と関連すると考えられるが、ステップ1822に示されるように、印加電流の存在下には第2直径D2と関連すると考えられる。この配置では、圧電物質含有ゴルフボール1802の特性及び特徴は、ステップ1814に示されるように、電流の印加によって、ゴルフクラブによる打撃前に変えられると考えられる。異なる実施態様では、電流は、上記実施態様において前述されたように、ゴルフティー及び/又はゴルフボール1802内の内部回路によって補給されてもよい。
【0056】
この実施態様では、圧電物質に対して印加される電流によって、ゴルフクラブのクラブフェースによる打撃の前に、ゴルフボール1802のカバーの圧縮が誘発され、そのために、ゴルフボール1802は、電流不在下のゴルフボール1802と関連する第1直径D1よりも小さい第2直径D2を持たされる。この配置では、ゴルフボール1802の直径は、カバー中の圧電物質に対する電流の選択的印加によって変えられると考えられる。一つの例示実施態様では、内部回路は、ステップ1834において印加電流を除去し、ゴルフボール1802の飛行時、ゴルフボール1802の直径の、第2直径D2から第1直径D1への増大を誘発してもよい。ステップ1832における第1直径D1の、より大きな相対的直径は、ゴルフボール1802の空気抵抗を増すから、そのため、その飛行軌道に沿うゴルフボール1802の浮揚は増大すると考えられる。
【0057】
図19は、従来型ゴルフボール1800、及び、本明細書に記述する方法にしたがって電流に暴露される圧電物質含有ゴルフボール1802の飛行軌道の比較を示す。図19に示すように、従来型ゴルフボール1800は、終末点1910で終息する従来型飛行軌道を有すると考えられる。ゴルフボール1800の従来型飛行軌道は、終末点1910までの第1距離L1と関連し、さらに、第1高度H1に一致する上昇点と関連すると考えられる。一方、飛行軌道特徴を変えるために、本明細書に記述する方法にしたがって電流に暴露される圧電物質含有ゴルフボール1802は、終末点1912で終息する例示の飛行軌道を有すると考えられる。この実施態様では、ゴルフボール1802の例示飛行軌道は、終末点1912までの第2距離L2と関連し、さらに、第2高度H2に一致する上昇点と関連すると考えられる。
【0058】
ある実施態様では、本明細書に記述されるシステム及び方法を用いて、ゴルフボール中の圧電物質に対する電流を印加及び/又は除去することによって、ゴルフボール飛行軌道に関連するパラメータを変化又は変更してもよい。例示実施態様では、本明細書に記述するように、ゴルフボール1802に含まれる圧電物質に電流を印加することによって、第2距離L2を、従来型ゴルフボール1800に関連する第1距離L1よりも大きくしてもよい。同様に、別の例示実施態様では、本明細書に記述するように、ゴルフボール1802に含まれる圧電物質に電流を選択的に印加及び/又は除去することによって、ゴルフボール1802の上昇点に関連する第2高度H2が、従来型ゴルフボール1800の上昇点と関連する第1高度H1よりも大きくなるようにしてもよい。
【0059】
別の実施態様では、本明細書に記述されるシステム及び方法を用いてゴルフボール中の圧電物質に対し電流を印加及び/又は除去することによって、ゴルフボールの飛行軌道に関連するパラメータを変化又は変更して、ゴルフボールにより多くのスピンを付与するようにしてもよい。一実施態様では、圧電物質含有ゴルフボール1802に対しより多くのスピンを与えることは、第2距離L2が、第1距離L1よりも小さくなる短縮が誘発される可能性がある。別の実施態様では、飛行軌道時に、電流を圧電物質含有ゴルフボール1802に印加し、第2高度H2が第1高度H1よりも小さくなるようにしてもよい。異なる実施態様では、電流の選択的印加及び/又は除去を種々に組み合わせて、ゴルフボールの飛行軌道に沿う種々の点においてゴルフボールに含まれる圧電物質の短縮及び/又は拡張を誘発し、より大きいか、又はより小さい上昇高度及び/又は距離を実現してもよい。
【0060】
上述の実施態様では、印加電場の存在下に圧縮する圧電物質が記載された。他のタイプの圧電物質は、印加電場の存在下に異なる特性を有する可能性がある。一実施態様では、ある圧電物質は、印加電場の存在下に拡大する可能性がある。一つの例示実施態様では、圧電物質は、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)を含んでもよい。異なる実施態様では、上述の圧電物質含有ゴルフボール実施態様のいずれにおいても、拡大性圧電物質の使用が可能である。
【0061】
ここで図20及び21を参照すると、圧電物質を含む内方マントル層及び外方マントル層を有するゴルフボールの例示実施態様が示される。図20を参照すると、この例示実施態様では、ゴルフボール2000は、カバー2002、外方マントル層2004、内方マントル層2006、及びコア2008を含むフォーピース構成を含んでもよい。この実施態様では、外方マントル層2004及び内方マントル層2006は、圧電物質を含んでもよい。異なる実施態様では、カバー2002及び/又はコア2008は、ゴルフボール組成のために従来使用される、各種天然及び合成材料を含んでもよい。
【0062】
ある実施態様では、外方マントル層2004及び内方マントル層2006は、事実上同じ圧電物質を含んでもよい。別の実施態様では、外方マントル層2004及び内方マントル層2006は、異なる圧電物質を含んでもよい。この実施態様では、外方マントル層2004は第1圧電物質を含んでもよく、内方マントル層2006は第2圧電物質を含んでもよい。ある実施態様では、第1圧電物質と第2圧電物質は、異なる特性を持ってもよい。一例示実施態様では、第1圧電物質は、印加電流の存在下に圧縮し、第2圧電物質は、印加電流の存在下に拡大する。
【0063】
図20に示す実施態様では、外方マントル層2004は、印加電流不在下の第1圧電物質と関連する第1厚みT1を有してもよい。同様に、内方マントル層2006は、印加電流不在下の第2圧電物質と関連する第2厚みT2を有してもよい。この実施態様では、境界部2010は、ゴルフボール2000において、内方マントル層2006が終息し、外方マントル層2004が始まる場所を表示する。この実施態様では、内方マントル層2006の外縁は、境界部2010において、外方マントル層2004の内縁と接触する。
【0064】
図21は、印加電流存在下のゴルフボール2100の例示実施態様を示す。電流は、圧電物質に対し、本明細書に記載されるいずれの方法を用いて、すなわち、上述の内部回路及び/又は外部装置の使用などによって印加してもよい。この実施態様では、ゴルフボール2100は、印加電流不在下の、カバー2002及びコア2008を含むゴルフボール2000と事実上同様に構成される。しかしながら、この実施態様では、印加電流の存在は、外方マントル層2004の第1圧電物質、及び内方マントル層2006の第2圧電物質の材料特性に対して影響を及ぼした。
【0065】
一例示実施態様では、印加電流は、外方マントル層2104の第1圧電物質の圧縮を誘発し、内方マントル層2106の第2圧電物質の拡大を誘発してもよい。図21に示すように、外方マントル層2104は、印加電流の存在下に拡大して、第1圧電物質に関連する第3厚みT3を有してもよい。この実施態様では、第3厚みT3は第1厚みT1よりも小さい。同様に、内方マントル層2106は、印加電流の存在下に圧縮して、第2圧電物質に関連する第4厚みT4を有してもよい。この実施態様では、第4厚みT4は、第2厚みT2よりも大きい。
【0066】
ある実施態様では、外方マントル層2004及び内方マントル層2006の、第1厚みT1及び第2厚みT2は、それぞれ、印加電流の不在下に所望の直径を有するゴルフボール2000を提供するように選択されてもよい。同様に、外方マントル層2104の第1圧電物質、及び内方マントル層2106の第2圧電物質は、ゴルフボール2100の直径が、印加電流存在下でも、ゴルフボール2000と事実上同じままであるように選択されてもよい。一例示実施態様では、印加電流不在下における第1厚みT1と第2厚みT2の合計は、印加電流存在下における第3厚みT3及び第4厚みT4の合計と事実上等しい。この配置では、印加電流不在下のゴルフボール2000は、印加電流存在下のゴルフボール2100と事実上同じ直径を保持してもよい。
【0067】
ある実施態様では、ゴルフボール2100に対する印加電流は内部ストレスを誘発してもよい。内部ストレスは、境界部2010における対向力によって誘発されてもよい。この実施態様では、内方マントル層2104の拡大と、外方マントル層2104の圧縮が、境界部2010において対向力を誘発してもよい。この配置において、これらの圧電物質によってゴルフボール2100内部に誘発される内部ストレスの作用によって、より大きな見かけ硬度が与えられてもよい。この、より大きな見かけ硬度は、上述のようにゴルフボール2100の飛行特徴に影響を及ぼす可能性がある。
【0068】
上述の実施態様の外に、圧電物質含有ゴルフボールは、圧電物質の特性を利用する他のシステムにおいて使用されてもよい。例えば、システム及び方法は、そうしようと思えば、圧電物質含有ゴルフボールの打撃に関連するパラメータを測定して、該圧電物質における電気信号を検出することも可能と考えられる。本発明の方法及びシステムにしたがって圧電物質含有ゴルフボールから取得されるゴルフボール打撃データは、係属中であり、共通の所有者による米国特許第____号、最近では、2009年7月7日出願、名称「ゴルフボール適合分析のための方法およびシステム("Method and System for Golf Ball Fitting Analysis")」なる、米国特許出願公開第12/498,364号において開示されるシステム中の成分として使用してもよい。なお、この特許文書を引用により本明細書に含める。
【0069】
これまで本発明の各種実施態様が説明されてきたわけであるが、この説明は、限定的であるよりはむしろ例示的であることを意図するものであり、本発明の範囲内において、さらに多くの実施態様及び実行例が可能であることは当業者には明白であろう。したがって、本発明は、添付の特許請求項及びその等価物に徴することを除き、限定されてはならない。さらに、種々の改変及び変更が、添付の特許請求項の範囲内において実行することが可能である。
【符号の説明】
【0070】
100 システム
102 ゴルファー
104 ゴルフボール
106 ゴルフティー
108 ゴルフクラブ
110 クラブフェース
400 ゴルフボール
402 カバー
404 コア
406 内部回路
408 接続リード
800 プロセッサー
802 バッテリー
804 コンデンサー


【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧電物質層を含むゴルフボール、
電源を含むゴルフティーを含み、
該ゴルフティーは、該圧電物質層を電流に暴露するように適応されることを特徴とする、ゴルフボールを打つためのシステム。

【請求項2】
前記圧電物質層が、ポリフッ化ビニリデン材料を含むことを特徴とする、請求項1に記載のシステム。

【請求項3】
前記圧電物質層が、前記ゴルフボールのカバーを含むことを特徴とする、請求項1に記載のシステム。

【請求項4】
前記ゴルフボールが、
プロセッサー、
エネルギー保存デバイスをさらに含み、
該プロセッサーは、指定の期間、前記圧電物質層を電流に暴露するように適応されることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。

【請求項5】
前記エネルギー保存デバイスが、バッテリー及びコンデンサーの内の少なくとも一つを含むことを特徴とする、請求項4に記載のシステム。

【請求項6】
前記ゴルフティーが、
前記ゴルフボールを所定の場所に保持するための上面、
該上面に配される接触部材をさらに含み、
該ゴルフティーは、該ゴルフボールが、該ゴルフティーの上面において該接触部材と交信的に置かれると、前記圧電物質層を前記電流に暴露するように適応されることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。

【請求項7】
ゴルフクラブのスウィング運動を検出するためのセンサー、
該センサー及び前記ゴルフティーと交信するプロセッサーをさらに含み、
該プロセッサーは、該ゴルフクラブのスウィング運動を検出する該センサーからの信号の受信に応じて前記圧電物質層を前記電流に暴露するように前記電源を制御することを特徴とする、請求項1に記載のシステム。

【請求項8】
カバーを含むゴルフボールにおいて、該カバーは、
圧電物質を含み、
該圧電物質は、幾何学パターンに配置される複数のパネルを含み、且つ
該複数のパネルの間に、複数の介在空間が配置されることを特徴とする、カバーを含むゴルフボール。

【請求項9】
前記圧電物質が、ポリフッ化ビニリデン材料を含むことを特徴とする、請求項8に記載のゴルフボール。

【請求項10】
前記複数の介在空間が、
印加電流の不在下では前記複数のパネルの間に第1幅、
該印加電流の存在下では該複数のパネルの間に第2幅、
をさらに含み、
第2幅は、第1幅よりも事実上小さいことを特徴とする、請求項8に記載のゴルフボール。

【請求項11】
前記ゴルフボールが、
印加電流の不在下では前記複数のパネルの間に第1直径、
該印加電流の存在下では該複数のパネルの間に第2直径、
をさらに含み、
第2直径は第1直径よりも小さいことを特徴とする、請求項8に記載のゴルフボール。

【請求項12】
印加電流の存在下では、前記複数のパネルは、前記ゴルフボールのサイズを第1直径から第2直径へ短縮するように圧縮し、第1直径は第2直径よりも大きいことを特徴とする、請求項8に記載のゴルフボール。

【請求項13】
前記複数の介在空間が、
前記印加電流の不在下では、前記複数のパネルの間に、前記第1直径と関連する第1幅、
該印加電流の存在下では、該複数のパネルの間に、前記第2直径と関連する第2幅、
をさらに含み、
第2幅は、第1幅よりも事実上小さいことを特徴とする、請求項12に記載のゴルフボール。

【請求項14】
前記ゴルフボールが、
プロセッサー、
エネルギー保存デバイスをさらに含み、
該プロセッサーは、指定の期間、前記圧電物質層を電流に暴露するように適応されることを特徴とする、請求項8に記載のゴルフボール。

【請求項15】
圧電物質層を有するゴルフボールを準備すること、
該ゴルフボールがゴルフクラブによって打たれる前に該圧電物質層に第1電流を印加すること、
該ゴルフボールが該ゴルフクラブによって打たれた後、指定期間、該圧電物質層に第2電流を印加すること、
該指定期間の終了後、第2電流を取り去ること、
を含む、
圧電物質層を含むゴルフボールに関連する飛行軌道特徴を変える方法。

【請求項16】
前記ゴルフボールが、
プロセッサー、
エネルギー保存デバイスをさらに含み、
該プロセッサーは、指定の期間、該エネルギー保存デバイスを用いて前記圧電物質層を第2電流に暴露するように適応されることを特徴とする、請求項15に記載の方法。

【請求項17】
前記第1電流が、電源を含むゴルフティーを用いて前記圧電物質層に印加されることを特徴とする、請求項15に記載の方法。

【請求項18】
前記ゴルフティーは、
前記ゴルフボールを所定の場所に保持するための上面、
該上面に配置される接触部材をさらに含み、
該ゴルフティーは、該ゴルフボールが、該ゴルフティーの上面の接触部材と交信状態に置かれると、前記圧電物質層に前記第1電流を印加する、
ことを特徴とする、請求項17に記載の方法。

【請求項19】
前記圧電物質層が、ポリフッ化ビニリデン材料を含むことを特徴とする、請求項15に記載の方法。

【請求項20】
前記ゴルフボールが、
前記第1電流及び第2電流の不在下に第1直径、
該第1電流又は第2電流の存在下に第2直径、
をさらに含み、
第2直径は第1直径よりも小さいことを特徴とする、請求項15に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2011−189123(P2011−189123A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−44188(P2011−44188)
【出願日】平成23年3月1日(2011.3.1)
【出願人】(505424859)ナイキ インターナショナル リミテッド (249)