説明

圧電素子駆動回路及びこれを用いたリモコン送信機

【課題】主に各種電子機器の遠隔操作に用いられるリモコン送信機に関し、簡易な構成で大きなブザー音が得られ、探索の容易な圧電素子駆動回路、及びこれを用いたリモコン送信機を提供することを目的とする。
【解決手段】圧電素子としての圧電ブザー1にコイル6を並列に接続すると共に、このコイル6から圧電ブザー1へ電流が流れるように、コイル6と圧電ブザー1の間に整流素子としてのダイオード7を設けて圧電素子駆動回路8を構成することによって、駆動電圧を高めると共に、一方向からロスなく圧電ブザー1を駆動できるため、簡易な構成で大きなブザー音が得られ、探索の容易なものを得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に各種電子機器の遠隔操作に用いられるリモコン送信機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、居室内や自動車等の車室内において、リモコン送信機を用いたテレビやオーディオ、エアコン等の各種電子機器の遠隔操作が広く行われるなか、リモコン送信機が荷物の下やシートの隙間等に隠れていた場合でも、リモコン送信機を容易に探せるように、所定の操作によって内蔵された圧電素子駆動回路を作動させ、その所在を知らせるようにしたものが考えられている。
【0003】
このような従来のリモコン送信機の圧電素子駆動回路について、図4及び図5を用いて説明する。
【0004】
図4は従来の圧電素子駆動回路の回路図であり、同図において、1は圧電素子としての圧電ブザーで、この圧電ブザー1には抵抗2が並列に接続されると共に、一端は電池等のDC5V電源に接続されている。
【0005】
そして、3はスイッチング素子としてのトランジスタで、このトランジスタ3のコレクタが圧電ブザー1に接続されると共に、ベースが抵抗4を介して、水晶発振子等のクロック回路5に接続されて、圧電素子駆動回路が構成されている。
【0006】
また、このような圧電素子駆動回路や、マイコンや発光ダイオード等からなる制御回路(図示せず)、アンテナ等の受信回路(図示せず)等が上下面に形成された配線基板を、絶縁樹脂製の筐体が覆って、リモコン送信機が構成される。
【0007】
以上の構成において、このようなリモコン送信機を電子機器に向け、筐体から上下動可能に突出した所定のキー、例えば、電源の入/切用や音量切換え用のキー等を押圧操作すると、これらに対応した赤外線のリモコン信号が制御回路から機器へ送信され、例えば、テレビやオーディオ、エアコンの電源の入/切や、音量の増減等が遠隔操作によって行われる。
【0008】
また、リモコン送信機が荷物の下やシートの隙間等に隠れていて、どこにあるか判らない場合には、電子機器や車両に設けられたスイッチ等を操作すると、機器や車両から電波の探索信号が発信され、この探索信号をリモコン送信機の受信回路が受信して、制御回路が圧電素子駆動回路を作動させる。
【0009】
そして、この時、圧電ブザー1とトランジスタ3の接続点Aには、図5の波形図に示すように、トランジスタ3がOFFの状態では電源電圧の5Vが加わっているが、探索信号を受信して制御回路が圧電素子駆動回路を作動させ、トランジスタ3がONになると電圧は0Vとなり、クロック回路5からのクロック信号に基づいて、トランジスタ3は一定周期でこのON/OFFの動作を繰返す。
【0010】
つまり、探索信号を受信し圧電素子駆動回路が作動している間は、圧電ブザー1には0Vと5Vの電圧が一定周期で加わるため、圧電ブザー1が断続的に吹鳴し、このブザー音によって所在を知らせることで、リモコン送信機を容易に探し出すことができるように構成されているものであった。
【0011】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
【特許文献1】特開2000−22562号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、上記従来のリモコン送信機においては、圧電素子駆動回路の圧電ブザー1が電源電圧の5Vで駆動されているため、ブザー音が小さく、大きな荷物の下やシートの隙間の奥等に隠れていた場合には、音が聞こえづらく探しにくいため、この対策として昇圧回路等の音を拡大するための回路が必要となるという課題があった。
【0013】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、簡易な構成で大きなブザー音が得られ、探索の容易な圧電素子駆動回路、及びこれを用いたリモコン送信機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために本発明は、以下の構成を有するものである。
【0015】
本発明の請求項1に記載の発明は、圧電素子にコイルを並列に接続すると共に、このコイルから圧電素子へ電流が流れるように、コイルと圧電素子の間に整流素子を設けて圧電素子駆動回路を構成したものであり、コイルの逆起電圧によって圧電素子の駆動電圧を高めると共に、整流素子によって一方向からロスなく圧電素子を駆動できるため、簡易な構成で大きなブザー音の発生が可能な圧電素子駆動回路を得ることができるという作用を有する。
【0016】
請求項2に記載の発明は、請求項1記載の圧電素子駆動回路を、受信回路が探索信号を受信した時に、制御回路が作動させるようにしてリモコン送信機を構成したものであり、簡易な構成で大きなブザー音が得られ、探索の容易なリモコン送信機を実現することができるという作用を有する。
【発明の効果】
【0017】
以上のように本発明によれば、簡易な構成で大きなブザー音が得られ、探索の容易な圧電素子駆動回路、及びこれを用いたリモコン送信機を実現することができるという有利な効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について、図1〜図3を用いて説明する。
【0019】
なお、背景技術の項で説明した構成と同一構成の部分には同一符号を付して、詳細な説明を簡略化する。
【0020】
(実施の形態)
図1は本発明の一実施の形態による圧電素子駆動回路の回路図であり、同図において、1は圧電素子としての圧電ブザー、3はスイッチング素子としてのトランジスタで、圧電ブザー1の一端が電池等のDC5V電源に接続されると共に、他端にはトランジスタ3のコレクタが接続され、トランジスタ3のベースは抵抗4を介して、水晶発振子等のクロック回路5に接続されている。
【0021】
そして、圧電ブザー1にはコイル6が並列に接続されると共に、圧電ブザー1とコイル6の間には整流素子としてのダイオード7が、コイル6から圧電ブザー1へ電流が流れる方向に設けられて、圧電素子駆動回路8が構成されている。
【0022】
また、図2はこのような圧電素子駆動回路8を用いたリモコン送信機の断面図であり、同図において、11は略箱状でポリスチレンやABS等の絶縁樹脂製の筐体で、この筐体11上面には、下面にスイッチ接点が設けられたゴムや絶縁樹脂製の複数のキー12が、上下動可能に突出して操作手段が形成されている。
【0023】
そして、筐体11内には上下面に銅箔等によって複数の配線パターンが形成された、紙フェノールやガラス入りエポキシ等の配線基板13が収納され、この配線基板13に実装された圧電ブザー1やトランジスタ3、コイル6やダイオード7等によって、圧電素子駆動回路8が形成されている。
【0024】
さらに、この配線基板13には、マイコンや発光ダイオード等の電子部品によって制御回路14や、アンテナ等によって受信回路15が各々形成されて、リモコン送信機が構成されている。
【0025】
以上の構成において、このようなリモコン送信機を電子機器に向け、筐体から上下動可能に突出した所定のキー12、例えば、電源の入/切用や音量切換え用のキー等を押圧操作すると、このキー12下面に形成されたスイッチ接点の電気的接離が行われ、これらに対応した赤外線のリモコン信号が制御回路14から機器へ送信され、例えば、テレビやオーディオ、エアコンの電源の入/切や、音量の増減等が遠隔操作によって行われる。
【0026】
また、リモコン送信機が荷物の下やシートの隙間等に隠れていて、どこにあるか判らない場合には、電子機器や車両に設けられたスイッチ等を操作すると、機器や車両から電波の探索信号が発信され、この探索信号をリモコン送信機の受信回路15が受信して、制御回路14が圧電素子駆動回路8を作動させる。
【0027】
なお、この時、圧電ブザー1とトランジスタ3の接続点Aには、図3(a)の波形図に示すように、トランジスタ3がOFFの状態では電源電圧の約5Vが加わっているが、探索信号を受信して制御回路14が圧電素子駆動回路8を作動させ、トランジスタ3がONになると電圧は0Vとなる。
【0028】
そして、次にクロック回路5からのクロック信号に基づいて、トランジスタ3がOFFとなると、圧電ブザー1に並列に接続されたコイル6によって、電源電圧の5Vよりも大きな約20Vの逆起電圧が発生し、接続点Aには、図3(a)に示すような凹凸波形の電圧が、時計及び反時計方向に流れようとする。
【0029】
但し、圧電ブザー1とコイル6の間にはダイオード7が、コイル6から圧電ブザー1方向の反時計方向へ電流が流れるように設けられているため、圧電ブザー1には、このような凹凸波形の電圧ではなく、図3(b)に示すような、凹凸がなくロスの少ない電圧20Vの波形が、反時計方向から流れる。
【0030】
そして、探索信号を受信して制御回路14が圧電素子駆動回路8を作動させている間は、トランジスタ3が一定周期でこのON/OFFの動作を繰返し、圧電ブザー1には、ON時には0V、OFF時には電源電圧の5Vよりも大きくロスの少ない約20Vの電圧が繰返し加わり、圧電ブザー1が断続的に吹鳴する。
【0031】
つまり、圧電素子駆動回路8が作動している間は、コイル6の逆起電圧によって約20Vの電圧に高められ、ダイオード7によってコイル6から圧電ブザー1の反時計方向へのみロスなく流れる駆動電圧が、繰返し加わることによって、圧電ブザー1が大きな音で断続的に吹鳴し、この大きなブザー音で所在を知らせることによって、リモコン送信機を容易に探し出すことができるように構成されている。
【0032】
このように本実施の形態によれば、圧電素子としての圧電ブザー1にコイル6を並列に接続すると共に、このコイル6から圧電ブザー1へ電流が流れるように、コイル6と圧電ブザー1の間に整流素子としてのダイオード7を設けることによって、駆動電圧を高めると共に、一方向からロスなく圧電ブザー1を駆動できるため、簡易な構成で大きなブザー音の発生が可能な圧電素子駆動回路、及び探索の容易なリモコン送信機を得ることができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明による圧電素子駆動回路及びこれを用いたリモコン送信機は、簡易な構成で大きなブザー音が得られ、探索の容易なものが実現でき、主に各種電子機器の遠隔操作用として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の一実施の形態による圧電素子駆動回路の回路図
【図2】同リモコン送信機の断面図
【図3】同波形図
【図4】従来の圧電素子駆動回路の回路図
【図5】同波形図
【符号の説明】
【0035】
1 圧電ブザー
3 トランジスタ
4 抵抗
5 クロック回路
6 コイル
7 ダイオード
8 圧電素子駆動回路
11 筐体
12 キー
13 配線基板
14 制御回路
15 受信回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
音または振動を発生する圧電素子と、この圧電素子への電流を一定周期で断続するスイッチング素子からなり、上記圧電素子にコイルを並列に接続すると共に、このコイルから上記圧電素子へ電流が流れるように、コイルと圧電素子の間に整流素子を設けた圧電素子駆動回路。
【請求項2】
請求項1記載の圧電素子駆動回路と、操作に応じてリモコン信号を送信する制御回路と、この制御回路に接続され探索信号を受信する受信回路からなり、上記受信回路が探索信号を受信した時に、上記制御回路が上記圧電素子駆動回路を作動させるリモコン送信機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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