説明

地上に設置した構造物の地盤変動に対する絶対位置補正装置

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は地上に設置した構造物の地盤変動に対する絶対位置補正装置に関する。
【0002】
【従来の技術】地上に設置した構造物、例えば定点観測用アンテナ、パラボラアンテナ、レーダアンテナ等は、その設置した絶対位置が変化しないことが要求される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、例えば火山島などにおいては、地殻変動により、設置した絶対位置が変化する。その絶対位置は、人工衛生を利用して簡単に求め得るのは公知であるが、求めた絶対位置に補正する技術は、確立されていない。
【0004】本発明は、地上に設置した構造物の地盤変動に対する絶対位置補正装置を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、構造物を支持する上端支持部を備えた脚体と、該脚体を囲む筒体と、該筒体の上縁部と前記脚体の下端部とに枢着され放射状に配置された3個の位置出しシリンダとを設けている。
【0006】上記補正装置は、例えば長方形の構造物の4隅部に配置するのが好ましい。
【0007】
【作用】上記のように構成された補正装置においては、構造物の運転開始の所定期間後に、構造物支承部のX、Y、Z変位量を求めると共に、各シリンダの位置、姿勢を求めて、支承部を設定位置に移動するための各シリンダのストローク修正量を求める。次いで、各シリンダのストロークを修正ストローク値になるように伸縮し、上端支持部を移動して構造物を設定位置に移動させる。
【0008】
【実施例】以下図面を参照して本発明の実施例を説明する。
【0009】図1及び図2において、全体を符号Dで示す補正装置の脚体であるピア1の上端部には、上端支持部2が設けられ、下端部には、連結ブラケット3が設けられている。
【0010】このピア1を囲んで筒体であるアウタチューブ4が設けられれている。そのアウタチューブ4の上縁部には、円周等配に3個のシリンダブラケット5が内方に突設され、下端部には、ベース6が設けられている。そして、ピア1は、連結ブラケット3とシリンダブラケット5とに枢着された3個の位置出しシリンダ7a、7b、7cにより垂直に支持されており、これらシリンダ7a〜7cには、それぞれストローク保持形シリンダ8が設けられている。
【0011】この補正装置Dは、例えばレーダの複数のペア受信アンテナAを立設した長方形のアンテナプラットフォームPの4隅部を上端支持部2で支持している。
【0012】次に作用について説明するレーダ運転開始の所定期間後に、アンテナプラットフォームPの上端支持部2による支承部のX、Y、Z変位量を公知の方法により計測する。
【0013】次いで、図示しないストロークメータ、傾斜計により、各シリンダ7a〜7cの位置、姿勢を求める。
【0014】次いで、支承部を設定位置に戻すための各シリンダ7a〜7cのストローク修正量を求める。
【0015】次いで、図示しないコントローラにより、各シリンダ7a〜7cのストロークを修正ストローク値になるように伸縮し、上端支持部2を移動してアテンナプラットフォームPを設定位置に移動させる。
【0016】
【発明の効果】本発明は、以上説明したように構成されているので、地盤の変動により構造物の絶対位置が変動しても、その変位を補正し、例えばレーダ運転上の支障をなくすことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す斜視図。
【図2】アンテナプラットフォームを支持した状態を示す斜視図。
【符号の説明】
D・・・補正装置
P・・・アンテナプラットフォーム
1・・・ピア
2・・・上端支持部
3・・・連結ブラケット
4・・・アウタチューブ
5・・・シリンダブラケット
6・・・ベース
7a〜7c・・・位置出しシリンダ

【特許請求の範囲】
【請求項1】 構造物を支持する上端支持部を備えた脚体と、該脚体を囲む筒体と、該筒体の上縁部と前記脚体の下端部とに枢着され放射状に配置された3個の位置出しシリンダとを設けたことを特徴とする地上に設置した構造物の地盤変動に対する絶対位置補正装置。

【図1】
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【図2】
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【特許番号】第2947530号
【登録日】平成11年(1999)7月2日
【発行日】平成11年(1999)9月13日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平3−60020
【出願日】平成3年(1991)3月25日
【公開番号】特開平4−294609
【公開日】平成4年(1992)10月19日
【審査請求日】平成8年(1996)10月2日
【出願人】(000001373)鹿島建設株式会社 (1,387)
【参考文献】
【文献】実開 昭51−50945(JP,U)