説明

地上型LED標識灯

【課題】出射光の切り替えが容易に行える地上型標識灯を提供する。
【解決手段】地上型LED標識灯1は、一端側5aに形成された開口を覆う透光性カバー7および透光性カバー7の内側に設けられた取付け部25を有する灯体5と、灯体5の周方向に主として光を放射する第1の発光ダイオード10を有する第1の光源ユニット2と、第1の発光ダイオード10と異なる色調の光を放射する第2の発光ダイオード15を有する第2の光源ユニット3と、第1および第2の発光ダイオード10,15を選択的に点灯させることが可能な点灯回路4と、点灯回路4に第1および第2の発光ダイオード10,15のいずれか一方が点灯するように選択させる切り替え手段6を具備している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、出射光の光色を切り替えることができる地上型LED標識灯に関する。
【背景技術】
【0002】
地上型航空標識灯である誘導路灯は、航空機の操縦者に空港の誘導路およびエプロンの縁を認識させるものであり、誘導路に沿って一定間隔で設けられ、例えば青色光を全周に亘って出射している(例えば特許文献1参照。)。この従来技術の航空標識灯は、例えば青色光を発光する発光ダイオード(LED)が基板上に並設され、管制塔や調光制御室等からの階調信号により複数の発光ダイオードの青色発光が制御されるというものである。
【0003】
一方、滑走路灯は、航空機が離着陸する滑走路の縁に設けられ、地上型標識灯または埋込型標識灯が用いられて白色光を出射している(例えば特許文献2参照。)。この従来技術の航空標識灯(発光装置)は、赤、緑または青の光を放射する半導体素子を有し、これらを交互に配置することにより、可変の白色光を放射することが可能というものである。
【0004】
ところで、緊急時などにおいては、特に小型の航空機に対して、滑走路に対して平行して敷設されている誘導路を滑走路に使用することが可能である。この場合、誘導路灯から出射される青色光を白色光に切り替えて擬似的な滑走路灯として機能させることで、航空機の操縦者に対して、注意、喚起を促すことができて安全性を高めることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−173304号公報(第6頁、第1図)
【特許文献2】特表2000−511334号公報(第16頁、第11図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記光色の切り替えを行うには、灯器を一括交換するか、または設置状態での分解、部品の変更が必要になるために時間を要するので、切り替え作業が煩雑である。
【0007】
また、特許文献2に示すように、赤、緑または青の色光を放射する半導体素子を有して航空標識灯を構成すれば、航空標識灯から青色光または白色光を出射させることができるが、複数の異なる発光色の半導体素子を有するので、灯器が大型化するとともに、光色の切り替えのための制御システム等を有するので、システム構成が複雑になり、高価になるという問題がある。
本発明は、出射光の切り替えが容易に行える安価な地上型LED標識灯を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の地上型LED標識灯の発明は、一端側に開口が形成されていて、この開口を覆う透光性カバーおよびこの透光性カバーの内側に設けられた取付け部を有する筒状の灯体と;この灯体の取付け部に固定されるとともに、主として前記灯体の周方向に光を放射する第1の発光ダイオードおよびこの第1の発光ダイオードを囲み前記第1の発光ダイオードから放射された光を透過する透光性部材を有して構成された第1の光源ユニットと;前記第1の発光ダイオードと異なる色調の光を放射する第2の発光ダイオードを有し、この第2の発光ダイオードが前記第1の発光ダイオードよりも前記灯体の一端側に配設されて構成された第2の光源ユニットと;前記灯体に収納され、前記第1および第2の発光ダイオードを選択的に点灯させることが可能な点灯回路と;前記点灯回路に前記第1および第2の発光ダイオードのいずれか一方が点灯するように選択させる切り替え手段と;を具備していることを特徴とする。
本発明および以下の発明において、特に言及しない限り、各構成は以下による。
第1および第2の発光ダイオードは、それぞれ1個であってもよく、複数個であってもよい。
【0009】
第2の光源ユニットは、第2の発光ダイオードから放射された光を主として灯体の周方向に出射するものであってもよく、主として灯体の上方側などの所望の方向に出射するものであってもよい。
【0010】
「透光性部材が第1の発光ダイオードを囲み」とは、透光性部材が第1の発光ダイオードを密閉または略密閉するように包囲しているものであってもよく、第1の発光ダイオードの周りに透光性部材が部分的に位置するものであってもよい。そして、透光性部材は、第2の発光ダイオードを直接的に配設していてもよく、他の部材を介して配設していてもよい。
【0011】
また、透光性部材は、第1の発光ダイオードから放射された光の光路が大きく変更しないように形成されていればよく、灯体の周方向に放射された光に対しては、その光をさらに当該周方向側に屈折させて透過するように形成されていることが好ましい。
【0012】
灯体の取付け部は、第1の光源ユニットを直接的に取付けて固定してもよく、他の部材を介して取付け、固定してもよい。また、第2の光源ユニットは、灯体の取付け部に取り付けられてもよく、第1の光源ユニットに取り付けられてもよい。また、第1の光源ユニットは、灯体の取付け部に取り付けられた第2の光源ユニットに固定されてもよい。
【0013】
点灯回路は、第1の発光ダイオードまたは第2の発光ダイオードがそれぞれ定格出力または所望の出力をするように、第1または第2の発光ダイオードの接続に応じて、第1または第2の発光ダイオードに流れる電流を調整可能に形成されてもよい。
【0014】
切り替え手段は、点灯回路と第1または第2の発光ダイオードとの接続をリレーやスイッチなどを用いて機械的に接続してもよく、トランジスタなどの半導体素子を用いて電気的に接続してもよい。
【0015】
本発明によれば、切り替え手段により、点灯回路は、第1の発光ダイオードまたは第2の発光ダイオードのいずれか一方に選択的に接続され、当該一方の発光ダイオードを選択的に点灯させる。第1の発光ダイオードは、主として第1の光源ユニット(灯体)の周方向に光を放射するので、第1の発光ダイオードから放射された光は、第2の光源ユニットにより遮られる光量が少なく、第1の光源ユニットの透光性部材および灯体の透光性カバーを通過して灯体の外方に出射される。また、第2の発光ダイオードから放射された光は、透光性カバーを通過して灯体の外方に出射される。そして、第1および第2の発光ダイオードから放射される色調の光が異なるので、第1または第2の発光ダイオードを選択して点灯させることにより、透光性カバーから異なる色調の光が出射される。すなわち、切り替え手段により、出射光の光色の切り替えが容易に行える。
【0016】
請求項2に記載の地上型LED標識灯の発明は、請求項1記載の地上型LED標識灯の発明において、切り替え手段は、前記点灯回路に入力される電流値に応じて前記点灯回路に前記第1または第2の発光ダイオードを接続するように構成されていることを特徴とする。
【0017】
本発明によれば、点灯回路に入力する電流値を可変させることにより、切り替え手段が点灯回路に第1の発光ダイオードまたは第2の発光ダイオードを接続する。すなわち、点灯回路に入力する電流値に応じて、出射光の光色が自動的に切り替わる。
【発明の効果】
【0018】
請求項1の発明によれば、主として灯体の周方向に光を放射する第1の発光ダイオードおよび第1の発光ダイオードから放射された光を透過する透光性部材を有する第1の光源ユニットと、第1の発光ダイオードと異なる色調の光を放射する第2の発光ダイオードを有する第2の光源ユニットと、点灯回路に第1および第2の発光ダイオードのいずれか一方が点灯するように選択させる切り替え手段とを有してなる簡易な構成であるので、出射光の光色の切り替えが容易に行える地上型LED標識灯を安価に形成することができる。
【0019】
請求項2の発明によれば、点灯回路に入力する電流値に応じて、切り替え手段が点灯回路に第1の発光ダイオードまたは第2の発光ダイオードを接続することにより、出射光の光色の切り替えが自動的に行えるので、地上型LED標識灯の出射光の光色の切り替えを迅速に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施例1を示す地上型LED標識灯の概略側断面図。
【図2】同じく、灯体の部分拡大図。
【図3】同じく、点灯回路のブロック図。
【図4】同じく、点灯回路の回路図。
【図5】同じく、青色発光ダイオードの配光特性図。
【図6】同じく、地上型LED標識灯の青色光の配光図。
【図7】同じく、白色発光ダイオードの配光特性図。
【図8】本発明の実施例2を示す地上型LED標識灯の概略側断面図。
【図9】同じく、点灯回路の回路図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の一実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0022】
本発明の地上型LED標識灯は、異なる色調の光を放射する第1および第2の発光ダイオードを有し、第1および第2の発光ダイオードが点灯回路および切り替え手段により選択的に点灯されるものである。
【実施例1】
【0023】
図1ないし図7は、本発明の実施例1を示し、図1は地上型LED標識灯の概略側断面図、図2は灯体の部分拡大図、図3は点灯回路のブロック図、図4は点灯回路の回路図、図5は青色発光ダイオードの配光特性図、図6は地上型LED標識灯の青色光の配光図、図7は白色発光ダイオードの配光特性図である。
【0024】
図1において、地上型LED標識灯1は、地上型航空標識灯であり、第1の光源ユニット2、第2の光源ユニット3、点灯回路4、灯体5、切り替え手段としての切替えスイッチ6および透光性カバーとしての保護カバー7を有して構成されている。そして、地上型LED標識灯1は、灯体5が可折接手8に固定され、第1の光源ユニット2または第2の光源ユニット3から放射された光を灯体5の全周方向を出射するものである。
【0025】
図2において、第1の光源ユニット2は、第1の基板9、第1の発光ダイオード10および透光性部材11を有して構成されている。第1の基板9は、例えばアルミニウム(Al)などの伝熱性の良好な金属板により円形状に形成されている。そして、灯体5の一端側5aに形成されている開口5cに配設されている土台12に貼着により固定されている。
【0026】
第1の発光ダイオード10は、1個が第1の基板9に実装され、青色光を放射し、レンズ13を具備する構造に形成されている。また、第1の発光ダイオード10は、灯体3の一端側開口5cの中心線上(中心上)に位置している。これにより、第1の発光ダイオード10は、図5に示すように、主として灯体5の一端側開口5cの垂直方向(図5中、90度)に対して周方向に光を放射する。そして、第1の発光ダイオード10は、灯体5の内部に配設されている点灯回路4に図示しないリード線により接続され、点灯回路4から給電されて点灯する。
【0027】
透光性部材11は、例えばアクリル樹脂からなり、鍔部11aを有し、内面11bが略ドーム状に形成され、上面11cが平坦面に形成された有底の略円筒体である。そして、第1の基板9を包囲するようにして、鍔部11aが土台12に設置され、鍔部11aにおいて土台12に図示しないねじによりねじ止めされている。また、透光性部材11は、灯体5の一端側開口5cの中心線上(中心上)に回転対称に配設されている。
【0028】
そして、透光性部材11は、第1の発光ダイオード10から放射された光(青色光)を透過するとともに、プリズムとして機能し、図1に示すように、灯体5の周方向に放射された光をさらに周方向側に屈折させ、上面11c側に放射された光を灯体5の上方側に屈折させるものである。透光性部材11を透過した光は、保護カバー7を通過(透過)して、主として灯体5の周方向側に出射する。図6は、保護カバー7から出射される青色光の配光を示したものであり、青色光の光度(カンデラ)は、空港に設置される誘導路灯の規定値以上となっている。
【0029】
図2において、第2の光源ユニット3は、第2の基板14および第2の基板14に実装された第2の発光ダイオード15を有して構成されている。第2の基板14は、例えばアルミニウム(Al)などの伝熱性の良好な金属板により円形状に形成されている。そして、第2の基板14は、透光性部材11の上面11cに固着された円柱体16に貼着により固定されている。すなわち、第2の基板14は、透光性部材11の第1の発光ダイオード10よりも灯体5の一端側5aに配設されている。円柱体16は、例えばアクリル樹脂からなっている。
【0030】
第2の発光ダイオード15は、1個が第2の基板14に実装され、白色光を放射する構造に形成されている。第2の発光ダイオード15自体は、図7に示すように、灯体5の上方側に白色光を放射するものである。そして、第2の発光ダイオード15は、第1の発光ダイオード10と同様に、灯体3の一端側開口5cの中心線上(中心上)に位置している。
【0031】
そして、第2の基板14には、第1の発光ダイオード15を包囲するようにして、外形が略ドーム状に形成されたプリズム17が固着されている。プリズム17は、頂部側に円錐台状の凹部17aを有している。そして、プリズム17は、図1に示すように、第2の発光ダイオード15から放射された光(白色光)を主として灯体5の周方向側に屈折させるとともに、一部の光(白色光)を灯体5の上方側に屈折させる。すなわち、プリズム17を透過した光は、保護カバー7を通過(透過)して、灯体5の周方向側および上方側に出射する。そして、第2の発光ダイオード15は、点灯回路4に図示しないリード線により接続され、点灯回路4から給電されて点灯する。
【0032】
点灯回路4は、土台12に一体に取り付けられた収容箱18に収納されている。点灯回路4は、図3に示すように、主電源部19、補助電源部20、電流検出判定部21および定電流回路部22を有して形成されている。主電源部19、補助電源部20および電流検出判定部21のそれぞれの入力端子(図示しない。)は、直列接続されて、地上型LED標識灯1の入力端子23a,23bに接続されている。また、定電流回路部22の出力端子(図示しない。)は、切替えスイッチ6を介して第1の発光ダイオード10および第2の発光ダイオード15に接続されている。
【0033】
地上型LED標識灯1は、誘導路に沿って等間隔に複数個が設置され、その入力端子23a,23bが直列されて定電流電源(CCR)24に接続されている。定電流電源(CCR)24は、調光タップ切替えにより、6.6A、5.5Aおよび4.8Aの交流電流(出力電流)を地上型LED標識灯1に供給する。また、定電流電源(CCR)24は、さらに調光タップ切替えにより、3.4Aおよび2.8Aの交流電流も供給可能となっている。
【0034】
点灯回路4は、入力端子23a,23bに入力される定電流電源(CCR)24からの出力電流に応じて、青色光を放射する第1の発光ダイオード10の光度比率を変化させるように形成されている。すなわち、定電流電源(CCR)24から6.6Aの出力電流が供給されると、第1の発光ダイオード10に350mAの定電流を供給して第1の発光ダイオード10を100%光度(カンデラ)で点灯させる。同様に、5.5Aの出力電流が供給されると、第1の発光ダイオード10に105mAの定電流を供給して第1の発光ダイオード10を30%光度で点灯させ、4.8Aの出力電流が供給されると、第1の発光ダイオード10に35mAの定電流を供給して第1の発光ダイオード10を10%光度で点灯させる。
【0035】
点灯回路4は、図4に示すように、主電源部19、補助電源部20および電流検出判定部21にそれぞれカレントトランスCT1,CT2,CT3を有している。そして、これらのカレントトランスCT1,CT2,CT3が直列接続されて入力端子23a,23b間に接続されている。すなわち、定電流電源(CCR)24から出力された6.6A、5.5Aおよび4.8Aの交流電流が主電源部19、補助電源部20および電流検出判定部21にそれぞれ入力される。
【0036】
主電源部19は、カレントトランスCT1、整流器DB1、電解コンデンサC1、比較器CP1および電界効果トランジスタQ1を有して構成されている。整流器DB1は、カレントトランスCT1に入力した定電流電源(CCR)24からの交流電流を整流する。この整流した電流がダイオードD1を介して電解コンデンサC1を充電し、電解コンデンサC1の両端間に直流電圧を発生させる。この直流電圧は、第1の発光ダイオード10または第2の発光ダイオード15、切替えスイッチ6、定電流回路部22の電界効果トランジスタQ2、直列接続された抵抗R1,R1a,R1bからなる直列回路の両端間に印加される。また、当該直流電圧は、抵抗R2,R3で検出されて比較器CP1の非反転入力端子に入力される。
【0037】
比較器CP1の反転入力端子は、抵抗R4を介して補助電源部20の定電圧素子ZD1に接続され、この定電圧素子ZD1により形成される定電圧が入力されている。比較器CP1は、前記直流電圧が当該定電圧を上回ると、High信号例えばDC5Vを出力し、前記直流電圧が当該定電圧以下になると、Low信号(DC0V)を出力する。比較器CP1の出力電圧は、抵抗R5,R6を介して電界効果トランジスタQ1のゲート、ソース間に印加される。
【0038】
そして、比較器CP1からHigh信号が出力されると、電界効果トランジスタQ1がオンして整流器DB1の出力間が短絡され、比較器CP1からLow信号が出力されると、電界効果トランジスタQ1がオフして整流器DB1の出力間が開放される。これにより、電解コンデンサC1の両端間には、補助電源部20の定電圧素子ZD1により形成される定電圧に応じた所定電圧が発生する。
【0039】
定電流回路部22は、電界効果トランジスタQ2、直列接続された抵抗R1,R1a,R1bおよび比較器CP2を有して構成されている。抵抗R1,R1a,R1bは、第1の発光ダイオード10または第2の発光ダイオード15に流れる電流を電圧に変換して検出するものである。当該検出電圧は、抵抗R7を介して比較器CP2の反転入力端子に入力される。
【0040】
そして、カレントトランスCT1〜CT3に定電流電源(CCR)24からの出力電流6.6Aが入力されているときには、補助電源部20の電界効果トランジスタQ3,Q4により抵抗R1a,R1bのそれぞれの両端間が短絡され、抵抗R1の両端間電圧が比較器CP2の反転入力端子に入力される。また、カレントトランスCT1〜CT3に出力電流5.5Aが入力されているときには、電界効果トランジスタQ4により抵抗R1bの両端間が短絡され、抵抗R1,R1aの直列回路の両端間電圧が比較器CP2の反転入力端子に入力される。また、カレントトランスCT1〜CT3に出力電流4.8Aが入力されているときには、抵抗R1a,R1bは短絡されず、抵抗R1,R1a,R1bの直列回路の両端間電圧が比較器CP2の反転入力端子に入力される。
【0041】
そして、比較器CP2の非反転入力端子は、補助電源部20の直列接続された可変抵抗VR1,VR2,VR3に接続されている。可変抵抗VR1,VR2,VR3は、抵抗R8に直列接続され、抵抗R8を介して定電圧素子ZD1の両端間に接続されている。抵抗R8、可変抵抗VR1,VR2,VR3は、定電圧素子ZD1により形成される定電圧を分圧する。
【0042】
そして、カレントトランスCT1〜CT3に定電流電源(CCR)24からの出力電流6.6Aが入力されているときには、補助電源部20の電界効果トランジスタQ5,Q6により可変抵抗VR2,VR3のそれぞれの両端間が短絡され、定電圧素子ZD1により形成される定電圧を抵抗R8および可変抵抗VR1で分圧した可変抵抗VR1の両端間電圧が比較器CP2の非反転入力端子に入力される。
【0043】
また、カレントトランスCT1〜CT3に出力電流5.5Aが入力されているときには、電界効果トランジスタQ6により可変抵抗VR3の両端間が短絡され、定電圧素子ZD1により形成される定電圧を抵抗R8、可変抵抗VR1および可変抵抗VR2で分圧した可変抵抗VR1、VR2の直列回路の両端間電圧が比較器CP2の非反転入力端子に入力される。
【0044】
また、カレントトランスCT1〜CT3に出力電流4.8Aが入力されているときには、可変抵抗VR2,VR3は短絡されず、定電圧素子ZD1により形成される定電圧を抵抗R8、可変抵抗VR1,VR2,VR3で分圧した可変抵抗VR1、VR2,VR3の直列回路の両端間電圧が比較器CP2の非反転入力端子に入力される。
【0045】
比較器CP2は、その出力端子が抵抗R9、抵抗R10および抵抗R1,R1a,R1bを介して電界効果トランジスタQ2のゲート、ソース間に接続されている。比較器CP2は、カレントトランスCT1〜CT3に出力電流6.6Aが入力されているときには、抵抗R1の両端間電圧と可変抵抗VR1の両端間電圧を比較し、両者の差分が零となるように出力端子から出力する制御電圧(出力電圧)を増減させる。すなわち、可変抵抗VR1の両端間電圧が抵抗R1の両端間電圧を上回ると、電界効果トランジスタQ2のゲートに印加する制御電圧を増加させる。これにより、電界効果トランジスタQ2の抵抗成分が減少し、抵抗R1に流れる電流が増加する。また、可変抵抗VR1の両端間電圧が抵抗R1の両端間電圧以下になると、電界効果トランジスタQ2のゲートに印加する制御電圧を低下させる。これにより、電界効果トランジスタQ2の抵抗成分が増加し、抵抗R1に流れる電流が減少する。
【0046】
そして、抵抗R1の両端間電圧と可変抵抗VR1の両端間電圧とがほぼ一致するときには、電解コンデンサC1の両端間電圧に対して、抵抗R1に350mAが流れるものである。すなわち、第1の発光ダイオード10は、350mAの電流が流れて100%光度(カンデラ)で点灯するものである。
【0047】
また、比較器CP2は、カレントトランスCT1〜CT3に出力電流5.5Aが入力されているときには、抵抗R1,R1aの直列回路の両端間電圧と可変抵抗VR1,VR2の直列回路の両端間電圧とを比較し、その両者がほぼ一致するように出力端子から出力する制御電圧(出力電圧)を増減させる。すなわち、電解コンデンサC1の両端間電圧に対して、抵抗R1,R1aに105mAの電流が流れるように電界効果トランジスタQ2を制御する。これにより、第1の発光ダイオード10は、105mAの電流が流れて30%光度(カンデラ)で点灯する。
【0048】
また、比較器CP2は、カレントトランスCT1〜CT3に出力電流4.8Aが入力されているときには、抵抗R1,R1a,R1bの直列回路の両端間電圧と可変抵抗VR1,VR2,VR3の直列回路の両端間電圧とを比較し、その両者がほぼ一致するように出力端子から出力する制御電圧(出力電圧)を増減させる。すなわち、電解コンデンサC1の両端間電圧に対して、抵抗R1,R1a,R1bに35mAの電流が流れるように電界効果トランジスタQ2を制御する。これにより、第1の発光ダイオード10は、35mAの電流が流れて10%光度(カンデラ)で点灯する。
【0049】
こうして、定電流電源部22は、定電流電源(CCR)24から供給される出力電流6.6A、5.5Aおよび4.8Aに応じて、第1の発光ダイオード10に350mA、105mAおよび35mAの定電流を供給するように形成されている。そして、定電流電源部22に第2の発光ダイオード15が接続されると、第2の発光ダイオード15に上記同様に、定電流を供給する。
【0050】
補助電源部20は、カレントトランスCT2、整流器DB2、電解コンデンサC2、定電圧素子ZD1、比較器CP3、電界効果トランジスタQ7、電界効果トランジスタQ3〜Q6、可変抵抗VR1〜VR31および可変抵抗VR4〜VR6を有して構成されている。
【0051】
整流器DB2は、カレントトランスCT2に入力した定電流電源(CCR)24からの交流電流を整流する。この整流した電流がダイオードD2を介して電解コンデンサC2を充電することにより、電解コンデンサC2の両端間に直流電圧が発生する。この直流電圧は、比較器CP3、主電源部19の比較器CP1、定電流電源部22の比較器CP2および電流検出判定部21の演算回路IC1、比較器CP4,CP5の駆動電源となっている。
【0052】
電解コンデンサC2の両端間には、抵抗R11および定電圧素子ZD1の直列回路が接続されている。そして、定電圧素子ZD1のカソード側は、抵抗R12を介して比較器CP3の反転入力端子に接続され、さらに抵抗R4を介して主電源部19の比較器CP1の反転入力端子に接続されている。すなわち、定電圧素子ZD1により形成される定電圧が抵抗R12を介して比較器CP3の反転入力端子に入力され、抵抗R4を介して比較器CP1の反転入力端子に入力されている。また、電解コンデンサC2の両端間に発生した直流電圧は、抵抗R13および抵抗R14により分圧されて比較器CP3の非反転入力端子に入力されている。
【0053】
比較器CP3は、電解コンデンサC2の両端間に発生した直流電圧が定電圧素子ZD1により形成された定電圧を上回ると、High信号例えばDC5Vを出力し、前記直流電圧が前記定電圧以下になると、Low信号(DC0V)を出力する。比較器CP3の出力電圧は、抵抗R15,R16を介して電界効果トランジスタQ7のゲート、ソース間に印加される。
【0054】
そして、比較器CP3からHigh信号が出力されると、電界効果トランジスタQ7がオンして整流器DB2の出力間が短絡され、比較器CP3からLow信号が出力されると、電界効果トランジスタQ7がオフして整流器DB2の出力間が開放される。これにより、電解コンデンサC2の両端間には、定電圧素子ZD1により形成される定電圧に応じた一定電圧が発生する。
【0055】
定電圧素子ZD1には、抵抗R17および可変抵抗VR4、VR5、VR6の直列回路が接続されている。すなわち、定電圧素子ZD1により形成される定電圧は、抵抗R17および可変抵抗VR4、VR5、VR6により分圧されている。
【0056】
そして、可変抵抗VR4、VR5、VR6の直列回路の両端間電圧が電流検出判定部21の比較器CP5の反転入力端子に入力されている。当該両端間電圧は、比較器CP5の基準電源となっている。また、可変抵抗VR5,VR6の直列回路の両端間電圧が比較器CP4の反転入力端子に入力されている。当該両端間電圧は、比較器CP4の基準電源となっている。
【0057】
また、定電圧素子ZD1には、抵抗R8および可変抵抗VR1、VR2、VR3の直列回路が接続されている。すなわち、定電圧素子ZD1により形成される定電圧は、抵抗R8および可変抵抗VR1、VR2、VR3により分圧される。そして、分圧された可変抵抗VR1、VR2、VR3側の電圧が定電流回路部22の比較器CP2の非反転入力端子に入力されている。
【0058】
可変抵抗VR1、VR2、VR3のそれぞれの両端間は、定電流回路部22において説明したように、カレントトランスCT1〜CT3に定電流電源(CCR)24から4.8Aの出力電流が供給されているときには、短絡されない。そして、カレントトランスCT1〜CT3に5.5Aの出力電流が供給されるときには、可変抵抗VR3の両端間が短絡され、カレントトランスCT1〜CT3に6.6Aの出力電流が供給されるときには、可変抵抗VR2,VR3の直列回路の両端間が短絡される。
【0059】
可変抵抗VR3の両端間は、電界効果トランジスタQ6に接続されている。電界効果トランジスタQ6のゲート、ソース間には、電流検出判定部21の比較器CP4の出力電圧が抵抗R18,R19を介して印加される。そして、比較器CP4からHigh信号が出力されたときに電界効果トランジスタQ6がオンし、可変抵抗VR3の両端間が短絡される。
【0060】
また、比較器CP4の出力端子は、抵抗R20,R21を介して電界効果トランジスタQ4のゲート、ソース間に接続されている。電界効果トランジスタQ4は、定電流電源部22の抵抗R1bの両端間に接続されており、比較器CP4から出力されたHigh信号によりオンして、抵抗R1bの両端間を短絡する。すなわち、比較器CP4からHigh信号が出力されると、可変抵抗VR3の両端間および抵抗R1bの両端間が同時に短絡される。
【0061】
そして、可変抵抗VR2,VR3の直列回路の両端間は、電界効果トランジスタQ5に接続されている。電界効果トランジスタQ5のゲート、ソース間には、電流検出判定部21の比較器CP5の出力電圧が抵抗R22,R23を介して印加される。そして、比較器CP5からHigh信号が出力されたときに電界効果トランジスタQ5がオンし、可変抵抗VR2,VR3の直列回路の両端間が短絡される。
【0062】
また、比較器CP5の出力端子は、抵抗R24,R25を介して電界効果トランジスタQ3のゲート、ソース間に接続されている。電界効果トランジスタQ3は、定電流電源部22の抵抗R1a,R1bの直列回路の両端間に接続されており、比較器CP5から出力されたHigh信号によりオンして、抵抗R1a,R1bの直列回路の両端間を短絡する。すなわち、比較器CP5からHigh信号が出力されると、可変抵抗VR2,VR3の直列回路の両端間および抵抗R1a,R1bの直列回路の両端間が同時に短絡される。
【0063】
このように、補助電源部20は、比較器CP1〜CP5に駆動電源を供給し、比較器CP1,CP3に基準電圧を供給するとともに、比較器CP2,CP4,CP5にカレントトランスCT1〜CT3に供給される定電流電源(CCR)24からの出力電流に応じた基準電源などを供給するように形成されている。
【0064】
なお、可変抵抗VR1〜VR3および可変抵抗VR4〜VR6は、比較器CP2、比較器CP4および比較器CP5のそれぞれの非反転入力端子または反転入力端子に入力する基準電圧を微調整するために用いられている。
【0065】
電流検出判定部21は、カレントトランスCT3、演算回路IC1、比較器CP4および比較器CP5を有して構成されている。演算回路IC1は、チップ形成され、カレントトランスCT3に供給された定電流電源(CCR)24からの出力電流がインピーダンス抵抗R26を介して入力され、当該出力電流を実効値に演算し、電圧の実効値に変換して出力抵抗R27の両端間に出力するように形成されている。当該出力電流の実効値は、抵抗28を介して比較器CP4の非反転入力端子に入力され、さらに抵抗R29を介して比較器CP5の非反転入力端子に入力されている。
【0066】
比較器CP4は、その反転入力端子に補助電源部20の可変抵抗VR5,VR6の直列回路の両端間電圧が入力されている。ここで、当該両端間電圧は、カレントトランスCT3に供給される定電流電源(CCR)24からの出力電流5.5Aおよび出力電流4.8Aの間の出力電流例えば5.1Aに相当する電圧に設定されている。すなわち、当該両端間電圧が当該5.1Aに相当する電圧になるように、抵抗R17および可変抵抗VR4〜VR6の合成抵抗値に対する可変抵抗VR5,VR6の合成抵抗値が設定されている。
【0067】
そして、比較器CP4は、演算回路IC1の出力電圧と可変抵抗VR5,VR6の直列回路の両端間電圧とを比較し、演算回路IC1の出力電圧が可変抵抗VR5,VR6の直列回路の両端間電圧を上回っているときにHigh信号例えばDC5Vを出力する。すなわち、比較器CP4は、カレントトランスCT3に定電流電源(CCR)24から出力電流5.5Aまたは6.6Aが供給されているときにHigh信号を出力し、同じく4.8Aが供給されているときにLow信号(DC0V)を出力するものである。
【0068】
比較器CP5は、その反転入力端子に補助電源部20の可変抵抗VR4,VR5,VR6の直列回路の両端間電圧が入力されている。ここで、当該両端間電圧は、カレントトランスCT3に供給される定電流電源(CCR)24からの出力電流6.6Aおよび出力電流5.5Aの間の出力電流例えば6.1Aに相当する電圧に設定されている。すなわち、当該両端間電圧が当該6.1Aに相当する電圧になるように、抵抗R17および可変抵抗VR4〜VR6の合成抵抗値に対する可変抵抗VR4,VR5,VR6の合成抵抗値が設定されている。
【0069】
そして、比較器CP5は、演算回路IC1の出力電圧と可変抵抗VR4,VR5,VR6の直列回路の両端間電圧とを比較し、演算回路IC1の出力電圧が可変抵抗VR4,VR5,VR6の直列回路の両端間電圧を上回っているときにHigh信号例えばDC5Vを出力する。すなわち、比較器CP5は、カレントトランスCT3に定電流電源(CCR)24から出力電流6.6が供給されているときにHigh信号を出力し、同じく5.5Aまたは4.8Aが供給されているときにLow信号(DC0V)を出力するものである。
【0070】
このように、電流検出判定部21は、定電流電源(CCR)24からカレントトランスCT3に供給される出力電流の電流値に応じて比較器CP4および比較器CP5からHigh信号を出力するように形成されている。すなわち、定電流電源(CCR)24から6.6Aの出力電流が供給されると、比較器CP4および比較器CP5は、それぞれHigh信号を出力する。これにより、補助電源部20の電界効果トランジスタQ3〜Q6がオンして、可変抵抗VR5,VR6の直列回路の両端間が短絡され、定電流回路部22の抵抗R1a,R1bの直列回路の両端間が短絡される。
【0071】
定電流回路部22の比較器CP2は、可変抵抗VR1の両端間電圧と抵抗R1の両端間電圧がほぼ一致するように電界効果トランジスタQ2を制御する。これにより、第1の発光ダイオード10に350mAの定電流が流れて、第1の発光ダイオード10は、100%光度(カンデラ)で点灯し、青色光を放射する。また、切替えスイッチ6により、第2の発光ダイオード15が定電流回路部22に接続されると、第2の発光ダイオード15に350mAの定電流が流れる。第2の発光ダイオード15は、100%光度(カンデラ)で点灯し、白色光を放射する。
【0072】
そして、定電流電源(CCR)24から5.5Aの出力電流が供給されると、比較器CP4はHigh信号を出力し、比較器CP5は、Low信号を出力する。これにより、補助電源部20の電界効果トランジスタQ4,Q6がオンし、電界効果トランジスタQ3,Q5がオフして、可変抵抗VR3の両端間が短絡され、定電流回路部22の抵抗R1bの両端間が短絡される。
【0073】
定電流回路部22の比較器CP2は、可変抵抗VR1,VR2の直列回路の両端間電圧と抵抗R1,R1aの直列回路の両端間電圧がほぼ一致するように電界効果トランジスタQ2を制御する。これにより、第1の発光ダイオード10に105mAの定電流が流れて、第1の発光ダイオード10は、30%光度(カンデラ)で点灯する。また、切替えスイッチ6により、第2の発光ダイオード15が定電流回路部22に接続されると、第2の発光ダイオード15に105mAの定電流が流れて、第2の発光ダイオード15は、30%光度(カンデラ)で点灯する。
【0074】
そして、定電流電源(CCR)24から4.8Aの出力電流が供給されると、比較器CP4および比較器CP5は、それぞれLow信号を出力する。これにより、補助電源部20の電界効果トランジスタQ3〜Q6がオフする。
【0075】
定電流回路部22の比較器CP2は、可変抵抗VR1,VR2,VR3の直列回路の両端間電圧と抵抗R1,R1a,R1bの直列回路の両端間電圧がほぼ一致するように電界効果トランジスタQ2を制御する。これにより、第1の発光ダイオード10に35mAの定電流が流れて、第1の発光ダイオード10は、10%光度(カンデラ)で点灯する。また、切替えスイッチ6により、第2の発光ダイオード15が定電流回路部22に接続されると、第2の発光ダイオード15に35mAの定電流が流れて、第2の発光ダイオード15は、10%光度(カンデラ)で点灯する。
【0076】
図1において、灯体5は、例えばアルミニウム(Al)からなり、一端側5aの内側に、取付け部25を内方に突出する環状座に形成している。取付け部25には、円盤状の土台12が図示しないねじにより固定されている。
【0077】
土台12は、灯体5の内部に収容するようにして、例えばアルミニウム(Al)からなる収容箱18を鋳造により一体に取り付けているとともに、第1および第2の発光ダイオード10,15が灯体5の上方側となるようにして第1の光源ユニット2を図示しないねじにより固定している。第2の光源ユニット3は、柱状体16が透光性部材11に固着されることにより、第1の光源ユニット2を介して土台12に固定されている。そして、収納箱18は、図4に示す電子部品および回路部品などが回路基板に実装された点灯回路4を収納している。
【0078】
また、灯体5は、その他端側5bにおいて、一部が他端側5bの内部に挿入された略円筒状の可折接手8に複数個のボルト26により取り付けられている。可折接手8は、例えばアルミニウム(Al)からなっている。そして、可折接手8の一端部8aからは、収納箱18に配設された入力端子23a,23bに接続されている図示しないコネクタ付きの電源コードが導出されている。可折接手8は、図示しない固定部材を介して地面に固定されており、灯体5に自動車や航空機等が接触したときに折れ曲がり、自動車や航空機等の接触部位の破損などを防止するものである。
【0079】
灯体5は、複数個のボルト26を緩めることにより、可折接手8の回りに回動させることができ、また、可折接手8から取り外すことができる。そして、複数個のボルト26を可折接手8に押し付けることにより、灯体5の他端側5bが可折接手8に固定される。
また、灯体5は、その一端側5aの外面に環状の段部27が形成されている。段部27の外周面には、周回方向に亘るネジ部28が形成されている。
【0080】
切替えスイッチ6は、その操作部6aが灯体5の外面に露出するように、灯体5に設けられた図示しない貫通孔に防水パッキンとともに挿入されて、灯体5の外面側において接着材により固定されている。そして、切替えスイッチ6は、第1および第2の光源ユニット2,3と、収納箱18の収納されている点灯回路4にそれぞれ図示しないリード線により接続されている。そして、手動部6aの切替え操作により、図4に示すように、第1および第2の発光ダイオード10,15のいずれか一方を点灯回路4に接続する。
【0081】
保護カバー7は、例えばポリカーボネート(PC)樹脂からなり、図2に示すように、一端側7aが閉塞された略円筒状に形成されている。そして、他端側7bの内周面には、灯体5のネジ部28に螺合する被ネジ部29が形成されている。保護カバー7は、その被ネジ部29が灯体5のネジ部28に螺合されると、灯体5の一端側5aに取り付けられて、第1および第2の光源ユニット2,3を内包し、灯体5の一端側開口5cを覆うものである。
【0082】
そして、保護カバー7は、その被ネジ部29の灯体5のネジ部28への螺合が解除されると、灯体5の一端側5aから取り外されるものである。このように、保護カバー7は、灯体5の一端側5aに着脱可能に取り付けられるものであり、灯体5の一部を構成している。
【0083】
また、保護カバー7および灯体5の間には、例えばシリコーン樹脂からなり、環状に形成されたパッキン30が配設されている。パッキン30は、灯体5の段部27に挿入され、保護カバー7の被ネジ部29を灯体5のネジ部28に螺合するときに押圧され、ネジ部28および被ネジ部29の部分より水分が灯体5の内部に侵入しないようにしている。
次に、本発明の実施1の作用について述べる。
【0084】
通常、切替えスイッチ6は、点灯回路4に第1の光源ユニット2を接続している。定電流電源(CCR)24からの出力電流が電源コードを介して地上型LED標識灯1の入力端子23a,23bに入力すると、点灯回路4が動作する。そして、点灯回路4の制御動作により、第1の光源ユニット2の第1の発光ダイオード10が点灯する。
【0085】
第1の発光ダイオード10は、主として灯体5の全周方向側に青色光を放射し、一部の青色光を灯体5の上方側に放射する。第1の発光ダイオード10から放射された青色光は、透光性部材11で屈折される。このとき、透光性部材11は、図1に示すように、第1の発光ダイオード10から全周方向側に放射された青色光を灯体5の一端側開口5cの中心線から遠ざかる方向に放射光を屈折し、灯体5の上方側に放射された青色光を灯体5の一端側開口5cの中心線に近づくように屈折させる。
【0086】
灯体5の上方側に放射された青色光は、その一部が第2の光源ユニット3の柱状体16により遮られるが、その残部が柱状体16の周りの透光性部材11の上面11cから出射される。そして、透光性部材11から出射された青色光は、透光性の保護カバー7を通過(透過)して、灯体3の外方側に出射される。
【0087】
地上型LED標識灯1は、灯体5が地上面に可折接手8を介して取り付けられているので、第1の発光ダイオード10から全周方向側に放射された青色光により、地上面に対して斜め上方および水平方向に青色光を出射し、灯体5の上方側に放射された青色光により、地上面に対して上方に青色光を出射する。これにより、例えば誘導路を走行している航空機などの操縦者は、地上型LED標識灯1の斜め方向および上方から青色光を視認することができ、走行に対する注意および喚起などが促すことができる。
【0088】
そして、第1の発光ダイオード10は、定電流電源(CCR)24から供給される出力電流の電流値に応じて異なる光度比率で点灯する。すなわち、図4において説明したように、第1の発光ダイオード10は、定電流電源(CCR)24からの出力電流が6.6Aであると、350mAの定電流が流れて100%光度(カンデラ)で点灯し、同じく5.5Aであると、105mAの定電流が流れて30%光度で点灯し、同じく4.8Aであると、35mAの定電流が流れて10%光度で点灯する。したがって、昼間や夜間などの時間帯および天候状態などに応じて、定電流電源(CCR)24から地上型LED標識灯1に供給する出力電流の電流値を切り替えることにより、地上型LED標識灯1から出射される青色光の光量が変化し、操縦者に青色光を視認させやすくなるとともに、省電力化を図ることができる。
【0089】
そして、例えば誘導路を滑走路として使用する緊急時に、切替えスイッチ6の手動部6aを切替え操作する。これにより、点灯回路4に第1の発光ダイオード10に替えて第2の光源ユニット3の第2の発光ダイオード15が接続される。第2の発光ダイオード15は、点灯回路4の制御動作により点灯し、白色光を放射する。
【0090】
第2の発光ダイオード15から放射された白色光は、プリズム17により、図1に示すように、主として灯体5の全周方向側に出射され、一部が灯体5の上方側に出射される。これにより、例えば誘導路を走行する航空機などの操縦者は、当該白色光を認識することにより、注意、喚起が促されて、離着陸に対する安全性が向上する。
【0091】
そして、第2の発光ダイオード15は、第1の発光ダイオード10と同様に、定電流電源(CCR)24から供給される出力電流の電流値に応じて異なる光度比率で点灯する。したがって、昼間や夜間などの時間帯および天候状態などに応じて、地上型LED標識灯1から出射される白色光の光量を変化させることにより、操縦者に白色光を視認させやすくなるとともに、省電力化を図ることができる。
【0092】
そして、例えば誘導路を滑走路として使用する緊急事態が解除されたときには、再び、切替えスイッチ6を切り替える。これにより、地上型LED標識灯1から青色光が出射される。
【0093】
このように、地上型LED標識灯1は、切替えスイッチ6の切替え操作により、青色光および白色光の光色の切り替えが行える簡易な構成であるので、安価に形成することができる。そして、切替えスイッチ6が設けられていることにより、第1および第2の発光ダイオード10,15のいずれも、定電流電源(CCR)24から供給される出力電流に応じた光度比率で点灯させることができる。
【0094】
また、青色光を放射する第1の発光ダイオード10が主として灯体5の周方向に光を放射するように構成され、白色光を放射する第2の発光ダイオード15が第1の発光ダイオード10よりも灯体5の上方側(一端側5a)に設けられた構成としているので、保護カバー7の内側(灯体5の一端側5a)に第1および第2の光源ユニット2,3をコンパクトに配設することができて、灯体5から青色光および白色光の両方の光を規定値以上の光度(カンデラ)で出力可能となっているものである。
【0095】
なお、第1および第2の発光ダイオード10,15は、互いに異なる色調の光を放射するものであればよく、青色光および白色光に限らず、他の色調の光であってもよい。
【実施例2】
【0096】
次に、本発明の実施例2について説明する。
【0097】
図8は、本発明の実施例2を示す地上型LED標識灯の概略側断面図、図9は、同じく点灯回路の回路図である。なお、図1、図2および図4と同一部分には、同一符号を付して説明は省略する。
【0098】
図8に示す地上型LED標識灯1Aは、図1に示す地上型LED標識灯1において、切替えスイッチ6を具備せず、点灯回路4Aに切り替え手段としてのリレー31を設けたものである。そして、定電流電源(CCR)24からの出力電流の電流値により、第1および第2の発光ダイオード10,15の切り替えを行うものである。定電流電源(CCR)24は、4.8Aよりも小さい出力電流例えば3.4Aを地上型LED標識灯1Aに供給するものである。
【0099】
図9において、点灯回路4Aは、定電流電源部22Aにリレー31のリレー接点31a,31b,31cを有している。そして、リレー31の付勢により常開接点31aが共通接点31cに接続されると、第1の発光ダイオード10が定電流電源部22Aに接続され、リレー31の消勢により常閉接点31bが共通接点31cに接続されると、第2の発光ダイオード15が定電流電源部22Aに接続される。
【0100】
リレー31は、電流検出判定部21Aに設けられ、そのリレーコイルが電界効果トランジスタQ8に直列接続されて、補助電源部20Aの電解コンデンサC2の両端間に接続されている。
【0101】
電流検出判定部21Aは、切替え手段としての比較器CP6を有し、比較器CP4,CP5と同様に、演算回路IC1の出力電圧(定電流電源(CCR)24の出力電流の実効値)が抵抗R30を介して比較器CP6の非反転入力端子に入力されている。比較器CP6は、補助電源部20Aの電解コンデンサC2から駆動電源が供給されている。
【0102】
そして、比較器CP6の反転入力端子には、補助電源部20Aの可変抵抗VR6の両端間電圧が入力されている。ここで、当該両端間電圧は、定電流電源(CCR)24からの出力電流4.8Aおよび出力電流3.4Aの間の出力電流例えば4.1Aに相当する電圧に設定されている。すなわち、当該両端間電圧が当該4.1Aに相当する電圧になるように、抵抗R17および可変抵抗VR4〜VR6の合成抵抗値に対する可変抵抗VR6の抵抗値が設定されている。
【0103】
比較器CP6は、演算回路IC1の出力電圧と可変抵抗VR6の両端間電圧とを比較し、演算回路IC1の出力電圧が可変抵抗VRの両端間電圧を上回っているときにHigh信号例えばDC5Vを出力する。すなわち、比較器CP6は、カレントトランスCT3に定電流電源(CCR)24から出力電流4.8A、5.5Aまたは6.6Aが供給されているときにHigh信号を出力し、同じく3.4Aが供給されているときにLow信号(DC0V)を出力するものである。
【0104】
比較器CP6の出力端子は、抵抗R31,R32を介して電界効果トランジスタQ8のゲート、ソース間に接続されている。そして、比較器CP6がHigh信号を出力すると、電界効果トランジスタQ8がオンし、補助電源部20Aの電解コンデンサC2からの電流がリレー31のリレーコイルに流れてリレー31が付勢する。また、比較器CP6がLow信号を出力すると、電界効果トランジスタQ8はオフし、リレー31は消勢するものである。
【0105】
リレー31が付勢すると、定電流回路部22Aに設けられた常開接点31aが共通接点31cに接続され、第1の発光ダイオード10が点灯回路4Aに接続される。また、リレー31が消勢すると、常閉接点31bが共通接点31cに接続され、第2の発光ダイオード15が点灯回路4Aに接続される。すなわち、地上型LED標識灯1Aは、定電流電源(CCR)24から6.6A、5.5Aまたは4.8Aの出力電流が供給されると、点灯回路4Aに第1の発光ダイオード10が接続されて青色光を出射し、同じく3.4Aの出力電流が供給されると、点灯回路4Aに第2の発光ダイオード15が接続されて白色光を出射するものである。
【0106】
また、電流検出判定部21Aには、電界効果トランジスタQ9および電界効果トランジスタQ10が設けられている。電界効果トランジスタQ9は、補助電源部20Aの可変抵抗VR2,VR3の直列回路に並列接続され、電界効果トランジスタQ10は、定電流電源部22Aの抵抗R1a,R1bの直列回路に並列接続されている。
【0107】
リレー31のリレーコイルと直列接続している電界効果トランジスタQ8には、抵抗R33,R34の直列回路と、抵抗R35、R36の直列回路とが接続されている。そして、抵抗R34の両端間が電界効果トランジスタQ9のゲート、ソース間に接続され、抵抗R36の両端間が電界効果トランジスタQ10のゲート、ソース間に接続されている。
【0108】
比較器CP6がHigh信号を出力し、電界効果トランジスタQ8がオンすると、電界効果トランジスタQ8により、抵抗R33,R34の直列回路の両端間および抵抗R35、R36の直列回路の両端間が短絡され、電界効果トランジスタQ9および電界効果トランジスタQ10は、オフする。
【0109】
そして、比較器CP6がLow信号を出力し、電界効果トランジスタQ8がオフすると、補助電源部20Aの電解コンデンサC2の両端間にリレー31のリレーコイルを介して抵抗R33,R34の直列回路と抵抗R35、R36の直列回路とが接続される。ここで、抵抗R33〜R36のそれぞれの抵抗値は、比較的高く設定している。これにより、リレー31のリレーコイルに流れる電流は、非常に小さくなり、リレー31は付勢しない。一方、抵抗R34および抵抗R36のそれぞれの両端間には、電圧駆動型の電界効果トランジスタQ9および電界効果トランジスタQ10をオンさせる電圧が発生する。電界効果トランジスタQ9および電界効果トランジスタQ10は、それぞれのゲート、ソース間に当該電圧が印加されてオンする。
【0110】
電界効果トランジスタQ9のオンにより補助電源部20Aの可変抵抗VR2,VR3の直列回路の両端間が短絡され、可変抵抗VR1の両端間電圧が定電流電源部22Aの比較器CP2の非反転入力端子に入力する。また、電界効果トランジスタQ10のオンにより定電流電源部22Aの抵抗R1a,R1bの直列回路の両端間が短絡され、抵抗R1の両端間電圧が比較器CP2の反転入力端子に入力する。
【0111】
比較器CP2は、抵抗R1の両端間電圧が可変抵抗VR1の両端間電圧となるように電界効果トランジスタQ2を制御する。これにより、第2の発光ダイオード15は、350mAの定電流が流れて、100%光度(カンデラ)で点灯する。すなわち、地上型LED標識灯1Aは、定電流電源(CCR)24から3.4Aの出力電流が供給されると、第2の発光ダイオード15が100%光度で点灯し、白色光を出射するものである。
【0112】
上述したように、地上型LED標識灯1Aの点灯回路4Aに入力する定電流電源(CCR)24からの出力電流6.6A、5.5A、4.8Aまたは3.4Aに応じて、比較器CP6およびリレー31などにより点灯回路4Aに第1の発光ダイオード10または第2の発光ダイオード15が自動的に接続されるので、定電流電源(CCR)24からの出力電流の電流値を切り替えることにより、地上型LED標識灯1Aから出射する青色光および白色光の光色の切り替えを迅速に行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0113】
地上型LED標識灯1,1Aは、空港や飛行場の他、道路、公園、広場や建物など、適宜の場所に設置可能である。
【符号の説明】
【0114】
1,1A…地上型LED標識灯
2…第1の光源ユニット
3…第2の光源ユニット
4,4A…点灯回路
5…灯体
6…切り替え手段としての切替えスイッチ
7…透光性カバーとしての保護カバー
10…第1の発光ダイオード
11…透光性部材
15…第2の発光ダイオード
25…取付け部
31…切り替え手段としてのリレー
CP6…切り替え手段としての比較器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端側に開口が形成されていて、この開口を覆う透光性カバーおよびこの透光性カバーの内側に設けられた取付け部を有する筒状の灯体と;
この灯体の取付け部に固定されるとともに、主として前記灯体の周方向に光を放射する第1の発光ダイオードおよびこの第1の発光ダイオードを囲み前記第1の発光ダイオードから放射された光を透過する透光性部材を有して構成された第1の光源ユニットと;
前記第1の発光ダイオードと異なる色調の光を放射する第2の発光ダイオードを有し、この第2の発光ダイオードが前記第1の発光ダイオードよりも前記灯体の一端側に配設されて構成された第2の光源ユニットと;
前記灯体に収納され、前記第1および第2の発光ダイオードを選択的に点灯させることが可能な点灯回路と;
前記点灯回路に前記第1および第2の発光ダイオードのいずれか一方が点灯するように選択させる切り替え手段と;
を具備していることを特徴とする地上型LED標識灯。
【請求項2】
切り替え手段は、前記点灯回路に入力される電流値に応じて前記点灯回路に前記第1または第2の発光ダイオードを接続するように構成されていることを特徴とする請求項1記載の地上型LED標識灯。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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