説明

地下水管理システム

【課題】少ない揚水井戸で井戸内水位の過剰低下を防止しつつ、精度の高い水位制御を行うことができる、地下水管理システムを提供すること。
【解決手段】管理領域の地下水位を所定水位以下に管理する地下水管理システムであって、所定水位より深い深度に設けられた透水層11と、透水層11中に略水平に配設され当該透水層11の地下水を管壁を介して集水可能な第1集水管12及び第2集水管13と、これら第1集水管12及び第2集水管13に接続された揚水井戸10を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、地下水の水位を管理する地下水管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
汚染地下水が地表に暴露することを防止するため、あるいは地下工事における盤膨れ防止やドライワークのため、特定の管理領域の地下水位を一定以下に管理することが必要となる場合がある。この場合、管理領域に揚水井戸及び観測井戸を設置し、観測井戸の井戸内水位を目標の水位(設計水位)以下に保持するように揚水井戸から揚水を行う、揚水工法が一般的に適用されている。また、降雨や季節変動等に伴って不規則に変動する地下水位を設計水位以下に常時保つため、あるいは周辺地盤の沈下や井戸枯れを防止するため、現水位と設定水位の差を解消するように揚水井戸に設置された電動弁の開度を自動制御する揚水管理システムも提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2001-323477号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載のシステムは、透水性が著しく低い地盤の場合、井戸内水位を大きく下げたとしても、揚水井戸間の水位を下げることが困難であった。したがって、揚水井戸の本数を増やさなければならず、特に広域になるほど揚水井戸の本数が多数必要となっていた。
【0005】
また、上記特許文献1に記載のシステムは、井戸内水位と設定水位の差を解消するために、設計水位に対して井戸内水位を過剰に低下させなければならなかった。したがって、揚水井戸の揚水量が過剰となり、汚染地下水を処理するための装置の大容量化や、下水放流料金の増加が問題となっていた。
【0006】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、少ない揚水井戸で井戸内水位の過剰低下を防止しつつ、精度の高い水位制御を行うことができる、地下水管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、請求項1に係る地下水管理システムは、管理領域の地下水位を所定水位以下に管理する地下水管理システムであって、前記所定水位より深い深度に設けられた透水層と、前記透水層中に略水平に配設され、当該透水層の地下水を管壁を介して集水可能な集水管と、前記集水管に接続された排水管とを備えることを特徴とする。
【0008】
また、請求項2に係る地下水管理システムは、請求項1に記載の地下水管理システムにおいて、複数の前記集水管を、前記透水層中における異なる深度に配設したことを特徴とする。
【0009】
また、請求項3に係る地下水管理システムは、請求項2に記載の地下水管理システムにおいて、前記複数の集水管を相互に連結する連結管を設けたことを特徴とする。
【0010】
また、請求項4に係る地下水管理システムは、請求項2又は3に記載の地下水管理システムにおいて、前記複数の集水管の少なくとも一部を、鉛直方向における異なる位置に配置したことを特徴とする。
【0011】
また、請求項5に係る地下水管理システムは、請求項2から4のいずれか一項に記載の地下水管理システムにおいて、前記排水管内の水位を計測する水位計測手段と、前記排水管から排水を行う排水機構と、前記排水管内の水位が、前記複数の集水管の中で最下方に配置された前記集水管の底面近傍位置以下であって当該位置を基準とする所定範囲内となるように、前記水位計測手段の計測結果に基づいて前記排水機構を制御する制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0012】
また、請求項6に係る地下水管理システムは、請求項1から5のいずれか一項に記載の地下水管理システムにおいて、前記管理領域は、外部水域に対して緩衝領域を隔てた領域であり、前記管理領域と前記緩衝領域との相互間には、これら相互間における地下水の移動を防止する第1遮水壁を設け、前記管理領域において前記第1遮水壁を介して前記緩衝領域に隣接する外部区画と、前記管理領域において前記外部区画に外囲される内部区画との相互間には、これら相互間における地下水の移動を防止する第2遮水壁を設け、前記外部区画及び前記内部区画の各々に、前記透水層、前記集水管、及び前記排水管を設け、前記内部区画の前記透水層を、前記外部水域の水位より深い深度に設層し、前記外部区画の前記透水層を、前記内部区画の前記透水層より深い深度に設層したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に係る地下水管理システムによれば、地下水を透水層を介してスムーズに集水管にて集水し、この集水した地下水を排水管を介して排出できるので、地下水位が透水層の深度以上に上昇することを防止でき、精度の高い水位制御を行うことができる。特に、透水性が低い地盤のように、揚水井戸間の地下水位と揚水井戸内の地下水位に差が生じやすい場合には、少ない揚水井戸で水位制御を行うことができると共に、井戸内水位の過剰低下も防止することができる。
【0014】
請求項2に係る地下水管理システムによれば、複数の集水管を、透水層中において異なる深度に配設することで、下部の集水管によって地下水を集水し、透水層を介した毛細管現象によって下部の集水管よりも上方に上昇した地下水を上部の集水管によって集水できるので、透水層の内部で発生する毛細管現象による地下水位の上昇についても効果的に抑制でき、一層精度の高い水位制御を行うことができる。
【0015】
請求項3に係る地下水管理システムによれば、複数の集水管を相互に連結する連結管を設けたことで、上部の集水管の集水量が過剰になった場合でも、上部の集水管から連結管を介して下部の集水管に地下水を迂回させること等ができ、システム全体の排水性を向上することができると共に、透水層内において地下水位の一様化を一層促進することができる。あるいは、集水管に長期使用によって生じた目詰まりを除去するために加圧水や洗浄機を導入する場合には、連結管を介して複数の集水管の相互間で加圧水や洗浄機が通過可能となり、除去作業の効率化を図ることもできる。
【0016】
請求項4に係る地下水管理システムによれば、集水管の少なくとも一部を、鉛直方向における異なる位置に配置したことで、下部の集水管の相互間で発生した毛細管現象によって地下水が上昇した場合であっても、この地下水を、その鉛直上方に配置された上部の集水管でスムーズに集水することができ、一層精度の高い水位制御を行うことができる。
【0017】
請求項5に係る地下水管理システムによれば、排水管内の水位が、複数の集水管の中で最下方に配置された集水管の底面近傍位置より下方の所定範囲内となるように、排水機構を制御することにより、排水管内の水位を下げ過ぎることで水処理装置への負担を増大させる事態や、排水管内の水位を上げ過ぎることで集水管による集水を阻害する事態を防止できる。
【0018】
請求項6に係る地下水管理システムによれば、管理領域と緩衝領域との相互間に第1遮水壁を設け、外部区画と内部区画の相互間に第2遮水壁を設けたことで、管理領域と緩衝領域との相互間や外部区画と内部区画の相互間における地下水の移動を防止できる。また、内部区画の透水層を外部水域の水位よりも深い深度とし、外部区画の透水層を内部区画の透水層より深い深度とすることで、外部水域の水位、内部区画の透水層、外部区画の透水層の順に深度が深くなるようにし、汚染物質が地下水と共に外部水域や内部区画へ流出することを一層確実に防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下に添付図面を参照して、この発明の本実施の形態を詳細に説明する。まず、〔I〕本実施の形態に共通の基本的概念を説明した後、〔II〕本実施の形態の具体的内容について説明し、〔III〕最後に、本実施の形態に対する変形例について説明する。ただし、これら本実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0020】
〔I〕本実施の形態に共通の基本的概念
まず、本実施の形態に共通の基本的概念について説明する。本実施の形態に係る地下水管理システムは、管理領域の地下水位を所定水位以下に管理するものである。
【0021】
本実施の形態に係る地下水管理システムの設置対象は任意であり、例えば、土壌汚染がない地域と、土壌汚染の可能性がある地域の両方を対象とすることができる。例えば、土壌汚染の可能性がある地域を対象とする場合としては、化学工場等の各種の工場の跡地となっている海上の埋め立て地を再利用する際に、当該跡地の土壌に含有されている可能性がある汚染物質が地下水と共に地表付近に暴露することを防止するため、当該跡地の地下水の水位を管理する場合を挙げることができる。以下の実施の形態では、このような海上の埋め立て地の地下水の水位を管理する例について説明する。
【0022】
本実施の形態に係る地下水管理システムの特徴の一つは、概略的に、地下水を排水するための排水管に加えて、所定水位より深い深度に設けられた透水層と、透水層中に配設され、当該透水層の地下水を集水できる集水管を備える点にある。これにより、地下水位が透水層の深度以上に上昇することを防止でき、精度の高い水位制御を行うことができる。特に、透水性が低い地盤のように、揚水井戸間の地下水位と揚水井戸内の地下水位に差が生じやすい場合には、少ない揚水井戸で水位制御を行うことができると共に、井戸内水位の過剰低下も防止することができる。
【0023】
〔II〕本実施の形態の具体的内容
次に、本実施の形態の具体的内容について説明する。
【0024】
以下、本実施の形態に係る地下水管理システムの構成、当該地下水管理システムによる処理、及び地下水管理システムの施工方法について順次説明する。
【0025】
(構成)
まず、地下水管理システムの構成について説明する。
【0026】
(構成−領域)
最初に、本実施の形態に係る地下水管理システムが設置される領域の構成について説明する。図1は本実施の形態に係る地下水管理システムの概要を示す平面図、図2は図1の要部断面図、図3は図2の透水層周辺の拡大断面図である。
【0027】
図1、2に示すように、本実施の形態において、地下水管理システムが設置される領域は、海上の埋め立て地であり、この領域の周囲は海(以下、外部水域)によって囲まれている。ここでは、この領域を、地下水位を管理する管理領域1と、この管理領域1を囲繞する領域であって、当該管理領域1の地下水が外部水域へ流出することを抑制するための緩衝領域2とに大別している。さらに、管理領域1を、建屋が設置される建屋領域(特許請求の範囲における内部区画)1Aと、この建屋領域1Aを囲繞する領域であって、建屋が設置されない建屋外領域(特許請求の範囲における外部区画)1Bとに大別している。そして、これら建屋領域1Aと建屋外領域1Bの各々の地下に対して、ほぼ同様の設備を配置しており、これら建屋領域1Aと建屋外領域1Bの地上には相互に共通の設備を配置している。
【0028】
なお、以下の説明では、建屋領域1Aにおいて制御目標となる地下水位を建屋領域水位L1A、建屋外領域1Bにおいて制御目標となる地下水位を建屋外領域水位L1B、緩衝領域2における地下水位(外部水域の水面レベルにほぼ同じ)を緩衝領域水位L2と称する。これら各水位の具体的な数値や相互の関係は任意であるが、ここでは、建屋領域水位L1A及び建屋外領域水位L1Bを緩衝領域水位L2より低く設定することで、管理領域1から外部水域への地下水の流出を防止し、また、建屋外領域水位L1Bを建屋領域水位L1Aより低く設定することで、建屋外領域1Bから建屋領域1Aへの地下水の流出を防止するものとする。また、建屋領域1A及び建屋外領域1Bにおける地下水位の設計水位(特許請求の範囲における所定水位)LMAXとすると、建屋領域水位L1A及び建屋外領域水位L1Bは、設計水位LMAXより低く設定される。
【0029】
図2に示すように、管理領域1と緩衝領域2との相互間には、これらの相互間における地下水の移動を防止するための第1遮水壁3が設けられている。また、建屋領域1Aと建屋外領域1Bとの相互間には、これらの相互間における地下水の移動を防止するための第2遮水壁4が設けられている。例えば、第1遮水壁3及び第2遮水壁4は、不透水層の深度まで到達する長さのパイル(杭材)を鉛直方向に沿って打設して形成されるもので、各領域間を隙間なく仕切るように、複数のパイルを相互に重合するように並設して構成されている。このパイルの具体的な材質は任意であるが、例えば、鋼鉄や鉄筋コンクリートやソイルセメントを用いることができる。
【0030】
(構成−地下水管理システム)
次に、地下水管理システムの構成について説明する。図1から3に示すように、建屋領域1Aと建屋外領域1Bには、揚水井戸10と透水層11が配置されており、この透水層11には、第1集水管12、第2集水管13、及び連結管14が配置されている。
【0031】
揚水井戸10は、地下水を地上に汲み上げるための排水管である。この揚水井戸10は、図1に示すように建屋領域1Aと建屋外領域1Bの各々において、複数が相互に間隔を隔てて配置されている。この揚水井戸10の設置深度については後述するが、少なくとも透水層11の深度より深い位置に至るように、設置深度が決定される。この揚水井戸10の具体的な構造や材質は任意であるが、例えば、鋼鉄管又はFRP管にて形成される。
【0032】
透水層11は、地下水をスムーズに透過させて第1集水管12又は第2集水管13に導入するものであり、建屋領域1A及び建屋外領域1Bのほぼ全域に設けられている。この透水層11の具体的な形成方法は任意であるが、例えば、地下水が通過可能な空間を形成するために、フィルター材(例えば砕石や砂利等)を用いて形成されたフィルター層(例えば砕石層又は砂利層)として形成されている。これら砕石や砂利の粒度を適宜調整することで、透水層11における透水率を調整することが可能となる。この透水層11は、設計水位LMAXより低い深度であって、建屋領域1Aにおいては建屋領域水位L1Aを含む深度に設層され、建屋外領域1Bにおいては建屋外領域水位L1Bを含む深度に設層されている。また、透水層11は、第1集水管12及び第2集水管13を包含可能な厚み(深さ)で形成されている。
【0033】
第1集水管12は、建屋領域1A又は建屋外領域1Bの地下水を集水して揚水井戸10に導くものである。図4は、第1集水管12、第2集水管13、及び連結管14の位置関係を説明するための説明図であり、(a)は平面図、(b)は縦断面図である(なお図4では、図示の明確化のため、第1集水管12を破線、第2集水管13を実線で示す)。図1、4(a)に示すように、第1集水管12は、建屋領域1A及び建屋外領域1Bのほぼ全域において、複数が相互に間隔を隔てて格子状に配置されている。これら複数の第1集水管12は、透水層11の内部において、相互にほぼ同一の深度において略水平状に配置されており、相互に継手等の公知の構造を用いて連結されており、その端部においては揚水井戸10に連結されている。各第1集水管12は、長尺の中空管路であり、その管壁に多数の貫通孔が形成された有孔管として構成されており、この貫通孔を介して、建屋領域1A又は建屋外領域1Bの地下水が第1集水管12の内部に流入する。例えば、第1集水管12は、筒状のメッシュ状繊維を補強体にて補強して構成された可撓性のある管路として構成することができる。
【0034】
第2集水管13は、建屋領域1A又は建屋外領域1Bの地下水を集水して揚水井戸10に導くものである。特に、第2集水管13は、透水層11において発生する毛細管現象によって第1集水管12よりも上方に上昇した地下水を集水する毛細管水位上昇防止手段である。この第2集水管13は、建屋領域1A及び建屋外領域1Bのほぼ全域において、複数が相互に間隔を隔てて格子状に配置されている(図1では第2集水管13を省略する)。これら複数の第2集水管13は、透水層11の内部において、相互にほぼ同一の深度であって、第1集水管12より上方の深度において、略水平状に配置されており、相互に継手等の公知の構造を用いて連結されており、その端部においては揚水井戸10に連結されている。なお、第2集水管13は、具体的には、第1集水管12と同様の構造又は材質にて構成することができる。
【0035】
連結管14は、第1集水管12と第2集水管13を相互に連結するものである。具体的には、連結管14は、長尺の中空管路として形成されており、第1集水管12と第2集水管13とが平面的に直交する個所に鉛直方向に沿って配置され、第1集水管12及び第2集水管13に対して溶接や継手等により接続されている。なお、連結管14は、具体的には、第1集水管12と同様の構造又は材質にて構成することができる。
【0036】
次に、透水層11、第1集水管12、及び第2集水管13の深度や位置関係について説明する。図4(b)に示すように、建屋領域1Aの第1集水管12は、当該第1集水管12の中心高さが建屋領域水位L1Aとなる深度で配置されており、建屋外領域1Bの第1集水管12は、当該第1集水管12の中心高さが建屋外領域水位L1Bとなる深度で配置されている。ここで、複数の第1集水管12を間隔を隔てて配置した場合、各第1集水管12に近い程、地下水が第1集水管12に流入し易く、各第1集水管12から離れる程、地下水が第1集水管12に流入し難くなる。従って、各第1集水管12から最も離れた位置(すなわち各第1集水管12の相互の中間位置)で地下水位が最も高くなると考えられ、この中間位置における地下水位は、各第1集水管12の相互間隔に応じて変化する(図4(b)には、地下水面の変化曲線を2点鎖線で示す)。
【0037】
そこで、本実施の形態では、この中間位置における地下水位が設計水位LMAX以下になるように、透水層11及び第1集水管12の深度と、第1集水管12の設置間隔及び設置本数を決定している。すなわち、透水層11の深度を設計水位LMAX以下とし、第1集水管12の深度(第1集水管12の中心高さ位置)が、その中間位置における地下水位以下となるように、第1集水管12の深度及び配置間隔を決定している。例えば、第1集水管12の管径を直径約200mm、排水量を約0.2m/分とした場合、第1集水管12の相互間隔を約50〜100mとする。
【0038】
また、第1集水管12により集水を行った場合であっても、第1集水管12に流入しなかった地下水が、透水層11を介した毛細管現象によって上昇する可能性がある。そこで、第2集水管13の深度(第2集水管13の中心高さ位置)を、第1集水管12の深度より高くなるように決定し、第1集水管12の深度より上方に上昇した地下水を第2集水管13に流入させ、第2集水管13より上昇することを防止している。
【0039】
ここで、第2集水管13を、第1集水管12の鉛直上方の位置(平面的にみて第2集水管13が第1集水管12に重合する位置)に配置することも考えられるが、毛細管現象によって上昇する地下水は、複数の第1集水管12の相互間を通って上昇する割合が高いと考えられるので、単に第2集水管13を第1集水管12の鉛直上方に配置したのでは、このような地下水を効率よく集水できない可能性がある。そこで、本実施の形態では、図4に示すように、第2集水管13を、第1集水管12の鉛直上方とは異なる位置(平面的にみて第2集水管13が第1集水管12に重合しない位置)に配置することで、複数の第1集水管12の相互間を通って上昇した地下水が効率よく第2集水管13にて集水されるようにしている。
【0040】
次に、地下水管理システムの機械的及び電気的構成について説明する。図5は、本実施の形態に係る地下水管理システムのブロック図である。地下水管理システムは、電動バルブ20、水圧計21、揚水ポンプ23、水処理装置24、及び制御装置25を備えて構成されている。
【0041】
水圧計21は、揚水井戸10の内部における地下水位を計測するための水位計測手段である。すなわち、水圧計21を揚水井戸10の内部の地下水中に配置し、水圧計21によって水圧を計測することで、地下水位を判定する。水圧計21は、常時あるいは所定間隔で、計測結果を制御装置25に有線又は無線によって出力する。
【0042】
図5において、電動バルブ20は、揚水ポンプ23から水処理装置24に至る管路26の開閉を行う排水機構である。この電動バルブ20は、制御装置25からの制御によって開閉される。
【0043】
揚水ポンプ23は、揚水井戸10から地下水を地表に汲み上げるための排水機構である。例えば、図2に示すように、揚水ポンプ23は、揚水井戸10の下方に設けられており、制御装置25からの制御に基づいて地下水を汲み上げ、汲み上げた地下水を管路26を介して水処理装置24へ導出する。揚水ポンプ23の具体的構成は任意である。また、例えば、地下水の汲み上げ量を段階的に切り替えられる揚水量可変型のポンプとして構成してもよい。
【0044】
図5において、水処理装置24は、揚水井戸10の地下水に対して所定の処理を行う排水機構である。例えば、図2に示すように、水処理装置24は、揚水井戸10の地下水を管路26を介して導入し、地下水に含まれる汚染物質を除去する浄化処理等を行い、処理後の地下水を管路27を介して下水道または外部水域に放出する。水処理装置24の種類は任意であるが、例えば、濾過装置、生物処理装置、加圧浮上装置等が該当する。
【0045】
図5において、制御装置25は、水圧計21の計測結果に基づいて、揚水ポンプ23及び水処理装置24の運転を継続させた状態において電動バルブ20の開度を調整したり、揚水ポンプ23及び水処理装置24の起動又は停止を制御する制御手段である。なお、当然のことながら、揚水ポンプ23又は水処理装置24のいずれか一方を起動又は停止させることで、いずれか他方を連動して起動又は停止させることができる場合には、制御装置25は、当該いずれか一方のみを起動又は停止させる。この制御装置25は、水圧計21からの計測結果を有線又は無線で受信する。この制御装置25は、制御部25a及び記憶部25bを備えて構成されている。
【0046】
制御部25aは、制御装置25の各部を制御する制御手段である。制御部25aの具体的な構成は任意であり、例えば、OS(Operating System)などの制御プログラム、各種の処理手順などを規定した組み込みプログラム、所要データを格納するための内部メモリ、及び、これらのプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)を備えて構成される。
【0047】
記憶部25bは、制御部25aによって実行される各種処理に必要なデータを記録する記録手段である。この記憶部25bの具体的な構成は任意であり、例えばHD(Hard Disk)の如き書き換え可能な記録手段を用いて構成することができる。
【0048】
(処理)
次に、地下水管理システムの制御部25aが実行する処理について説明する。図6、7は地下水管理システムによる地下水管理処理のフローチャートであり、図6は揚水量が多い場合(例えば、揚水井戸10内の水位の上昇周期が比較的短い場所に適用される場合)の処理、図7は揚水量が少ない場合(例えば、揚水井戸10内の水位の上昇周期が比較的長い場所であり、数時間から数日に1度程度の揚水で足りる場所に適用される場合)の処理を示す。この地下水管理システムは、建屋外領域1Bと建屋領域1Aで相互に同一の処理が独立して行われる。ここでは、建屋領域1Aの処理についてのみ説明し、建屋外領域1Bの処理の説明を省略する。なお、特記しない制御に関しては、制御部25aが行うこととする。
【0049】
まず、図6の揚水量が多い場合の処理について説明する。この処理は、使用者によって制御装置25が起動されることで開始され、例えば24時間連続運転が開始される。この制御装置25の起動後、制御部25aは、水処理装置24と揚水ポンプ23を順に起動させ、以降は、これら水処理装置24と揚水ポンプ23の運転を継続させたまま、水圧計21の計測結果に基づいて、電動バルブ20の開度のみを調整する。
【0050】
具体的には、制御部25aは、水圧計21の計測結果に基づいて揚水井戸10の内部の水位を算定し、この水位が所定の上方水位を超えているか否かを判定する(SA1)。ここで、上方水位は、図3に示すように、最も下方に配置された集水管(ここでは第1集水管12)の底面近傍位置に設定されている。なお、底面近傍位置とは、第1集水管12の底面と同一位置の他、当該同一位置より上方位置であって当該第1集水管12から揚水井戸10への排水を妨げない位置(高さ方向の位置)や、当該同一位置より下方位置であって揚水ポンプ23や水処理装置24の処理負荷を過大に増大させることがない位置を含む。なお、第1集水管12から揚水井戸10への排水を妨げない位置(高さ方向の位置)とは、例えば、当該第1集水管12内の水上にある水位高さ(これに対し、水下とは第1集水管12の底面と同一位置を云う)に対して、常に揚水井戸10側が水下となるような位置を云う。
【0051】
水位が上方水位を超えている場合(SA1、Yes)、制御部25aは、電動バルブ20の開度を増やし(SA2)、揚水ポンプ23にて揚水井戸10から汲み上げられて管路26を介して水処理装置24に導入される地下水の量を増加させる。この地下水は、水処理装置24で所定の処理がなされた後に管路27を介して下水道または外部領域に放出される。これにより、建屋領域1Aの地下水位が毛管上昇抑止深度までに抑えられるので、透水層11よりも上方の地盤が地下水に含まれる汚染物質により汚染されることを防止できる。
【0052】
その後、制御部25aは、水圧計21の計測結果に基づく揚水井戸10の内部の水位の算定を継続し、この水位が、所定の下方水位を下回る迄、電動バルブ20の開度を増加させた状態に保持する。ここで、下方水位とは、図3に示すように、上方水位より下の位置であって、上方水位との間に所定の変動間隔を空けた位置に設定される。この変動間隔の具体的な数値は任意であるが、この変動間隔が大き過ぎる場合には(下方水位を下方に設定し過ぎた場合には)、水処理装置24と揚水ポンプ23の処理負荷が増大し、一方、この変動間隔が小さ過ぎる場合には(下方水位を上方に設定し過ぎた場合には)、電動バルブ20の開度の調整間隔が短くなり過ぎて好ましくないため、これらの弊害が生じないように例えば計算や実験等で求めた適切な間隔(例えば数10cm程度)を設定する。
【0053】
そして、揚水井戸10の内部の水位が下方水位を下回った場合(SA3、Yes)、制御部25aは、電動バルブ20の開度を減らし(SA4)、揚水ポンプ23にて揚水井戸10から汲み上げられて管路26を介して水処理装置24に導入される地下水の量を低下させる。以降、SA1からSA4を同様に繰り返す。このような処理を行うことで、広域な範囲に渡る地下水位を高精度で制御することが可能であり、例えば、地下水位を上述した変動間隔の範囲で管理することが可能となる。
【0054】
次に、図7の揚水量が多い場合の処理について説明する。ただし、特に説明なき処理は図6の処理と同様である。この処理は、使用者によって制御装置25が起動されることで開始され、例えば24時間連続運転が開始される。この制御装置25の起動後、制御部25aは、水圧計21の計測結果に基づいて、水処理装置24と揚水ポンプ23の起動と停止を制御する。なお、この処理では、電動バルブ20の開度は所定の一定の開度に保持しておく。
【0055】
具体的には、制御部25aは、水圧計21の計測結果に基づいて揚水井戸10の内部の水位を算定し、この水位が所定の上方水位を超えているか否かを判定する(SB1)。ここで、上方水位は、図6の処理の場合と同様に設定できる。そして、水位が上方水位を超えている場合(SB1、Yes)、制御部25aは、水処理装置24と、当該水圧計21が設置されている揚水ポンプ23を順に運転させる(SB2、SB3)。揚水ポンプ23にて揚水井戸10から汲み上げられた地下水は、管路26を介して水処理装置24に導入される。そして、導入された地下水は、所定の処理がなされた後に管路27を介して下水道または外部領域に放出される。これにより、建屋領域1Aの地下水位が毛管上昇抑止深度までに抑えられるので、透水層11よりも上方の地盤が地下水に含まれる汚染物質により汚染されることを防止できる。
【0056】
その後、制御部25aは、水圧計21の計測結果に基づく揚水井戸10の内部の水位の算定を継続し、この水位が、所定の下方水位を下回る迄、水処理装置24と揚水ポンプ23の運転を継続する。ここで、下方水位は、基本的には図6の処理と同様であるが、この変動間隔が小さ過ぎる場合には、水処理装置24と揚水ポンプ23の起動と停止の間隔が短くなり過ぎて好ましくないため、これらの弊害が生じないように例えば計算や実験等で求めた適切な間隔(例えば数100cm程度)を設定する。
【0057】
そして、揚水井戸10の内部の水位が下方水位を下回った場合(SB4、Yes)、制御部25aは、揚水ポンプ23及び水処理装置24を順に停止させる(SB5、SB6)。以降、SB1からSB6を同様に繰り返す。このような処理を行うことで、広域な範囲に渡る地下水位を高精度で制御することが可能であり、例えば、地下水位を上述した変動間隔の範囲で管理することが可能となる。
【0058】
なお、上述した処理の他に、異常時(例えば揚水ポンプ23の故障、電気ケーブルの断線、あるいは不測の大雨や台風時)の処理を付加してもよい。例えば、異常発生が公知の検知手段で検知された場合、制御部25aは、異常信号を有線又は無線にて図示しない遠隔の制御盤やコンピュータに出力することで、管理者に異常発生の事実及び内容を報知する。また、これら制御盤やコンピュータからの指示信号に基づいて、制御部25aは異常対応制御を行うことも可能である。さらに、異常が揚水ポンプ23の故障である場合、制御部25aは、当該故障した揚水ポンプ23以外の揚水ポンプ23の揚水量を増加させることで、故障した揚水ポンプ23を補完するようにしてもよい。
【0059】
(地下水管理システムの施工方法)
次に、地下水管理システムの施工方法について図2を参照しつつ説明する。まず、管理領域1と緩衝領域2との相互間に第1遮水壁3を、そして建屋領域1Aと建屋外領域1Bとの相互間に第2遮水壁4を、それぞれ打設する。これら第1遮水壁3及び第2遮水壁4の土留め効果を利用することで、その後の作業を安全に行うことが期待できる。次いで、建屋領域1A及び建屋外領域1Bの地盤を透水層11の設置深度まで掘削する。また、建屋外領域1Bにおいて揚水井戸10を、そして建屋領域1Aにおいて揚水井戸10を各々所定の深度まで掘削する。
【0060】
次に、建屋外領域1Bにおいて透水層11を設層し、建屋領域1Aにおいて透水層11を設層する。すなわち、砕石等から形成される透水層11を第1集水管12の設置深度まで設け、第1集水管12及び連結管14を所定の位置に配設する。このとき、第1集水管12と揚水井戸10を接続させる。次に、透水層11をその上から第2集水管13の設置深度まで設け、第2集水管13を所定の位置に配設する。このとき、第2集水管13と揚水井戸10とを、また第2集水管13と連結管14とを接続させる。最後に、透水層11をその上から所定の深度まで設ける。なお、透水層11を設ける際には、揚水井戸10を掘削した領域を確保することに留意する。続いて、設層した透水層11から地表面まで盛土を行う。盛土の種類は任意であるが、例えば、掘削後の土を還元加熱分解脱塩素化処理したものを用いてもよい。これにて施工を終了する。
【0061】
(効果)
これまで説明したように本実施の形態に係る地下水管理システムによれば、地下水を透水層11を介してスムーズに第1集水管12及び第2集水管13にて集水し、この集水した地下水を揚水井戸10を介して排出できるので、地下水位が透水層11の深度以上に上昇することを防止でき、精度の高い水位制御を行うことができる。特に、透水性が低い地盤のように、揚水井戸10の相互間の地下水位と揚水井戸10の内部の地下水位に差が生じやすい場合には、少ない揚水井戸10で水位制御を行うことができると共に、井戸内水位の過剰低下も防止することができる。
【0062】
また、複数の第1集水管12及び第2集水管13を、透水層11中において異なる深度に配設することで、下部の第1集水管12によって地下水を集水し、透水層11を介した毛細管現象によって下部の第1集水管12よりも上方に上昇した地下水を上部の第2集水管13によって集水できるので、透水層11の内部で発生する毛細管現象による地下水位の上昇についても効果的に抑制でき、一層精度の高い水位制御を行うことができる。
【0063】
また、複数の第1集水管12及び第2集水管13を相互に連結する連結管14を設けたことで、上部の第2集水管13の集水量が過剰になった場合でも、上部の第2集水管13から連結管14を介して下部の第1集水管12に地下水を迂回させることができ、システム全体の排水性を向上することができると共に、透水層内において地下水位の一様化を一層促進することができる。あるいは、第1集水管12や第2集水管13に長期使用によって生じた目詰まりを除去するために加圧水や洗浄機を導入する場合には、連結管14を介して第1集水管12と第2集水管13の相互間で加圧水や洗浄機が通過可能となり、除去作業の効率化を図ることもできる。
【0064】
また、第1集水管12と第2集水管13の少なくとも一部を、鉛直方向における異なる位置に配置したことで、下部の第1集水管12の相互間で発生した毛細管現象によって地下水が上昇した場合であっても、この地下水を、その鉛直上方に配置された上部の第2集水管13でスムーズに集水することができ、一層精度の高い水位制御を行うことができる。
【0065】
また、揚水井戸10内の水位が最下方に配置された第1集水管12の底面近傍位置になるように、電動バルブ20の開度を調整したり、水処理装置24と揚水ポンプ23の起動や停止を制御することにより、揚水井戸10内の水位を下げ過ぎることで水処理装置24と揚水ポンプ23への負担を増大させる事態や、揚水井戸10内の水位を上げ過ぎることで第1集水管12による集水を阻害する事態を防止できる。
【0066】
また、管理領域1と緩衝領域2との相互間に第1遮水壁3を設け、建屋領域1Aと建屋外領域1Bの相互間に第2遮水壁4を設けたことで、管理領域1と緩衝領域2との相互間や建屋領域1Aと建屋外領域1Bの相互間における地下水の移動を防止できる。また、建屋領域1Aの透水層11を外部水域の水位よりも深い深度とし、建屋外領域1Bの透水層11を建屋領域1Aの透水層11より深い深度とすることで、外部水域の水位、建屋領域1Aの透水層11、建屋外領域1Bの透水層11の順に深度が深くなるようにし、汚染物質が地下水と共に外部水域や建屋領域1Aへ流出することを一層確実に防止できる。
【0067】
〔III〕本実施の形態に対する変形例
以上、本発明に係る一実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
【0068】
(解決しようとする課題や発明の効果について)
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、前記した内容に限定されるものではなく、本発明によって、前記に記載されていない課題を解決したり、前記に記載されていない効果を奏することもでき、また、記載されている課題の一部のみを解決したり、記載されている効果の一部のみを奏することがある。
【0069】
(領域の区画について)
例えば、緩衝領域を省略したり、管理領域をさらに区画することなくその全域に同一の構成を採用してもよい。あるいは、管理領域や緩衝領域をさらに細分化し、各領域に同一又は異なる目標水位を設定してもよい。
【0070】
(排水管について)
第1集水管12や第2集水管13にて集水された地下水の排水経路は、揚水井戸10に限定されない。例えば、地下水が清浄水である場合には、集水された地下水を排水管を介して河川や海に排水してもよく、この場合には揚水機能は不要である。
【0071】
(集水管について)
集水管の設置深度は、2段階以上としてもよく、例えば、第1集水管12より下方にさらに集水管を設けることで集水性能を向上させたり、第2集水管13より上方にさらに集水管を設けることで管理領域1に流入した雨水を集水してもよい。
【0072】
また、集水管は、必ずしも複数の深度に設置する必要はなく、特定の一つの深度のみに集水管した構造であっても目標とする水位管理を行うことが可能である。例えば、透水層11を毛細管現象が生じる限界値(限界毛管水頭)以上に厚くすることで、毛細管現象を防止できる場合には、第2集水管13を省略してもよい。透水層11の限界毛管水頭は、透水層11の組成によって異なるが、例えば、砂岩の場合で60から70cm、まさ土の場合で80から100cmであることから、透水層11を100cm以上とすることで、第2集水管13を省略することができる。すなわち、この場合には、透水層11が毛細管水位上昇防止手段として機能する。
【0073】
(水位計測手段について)
水位計測手段としては、水圧計21以外の手段を用いてもよく、例えばフロートスイッチを用いてもよい。具体的には、上下一対のフロートスイッチを揚水井戸10の内部に設置し、上方のフロートスイッチは、揚水井戸10の内部の水位が上述した上方水位を超えた場合にオンし、下方のフロートスイッチは、揚水井戸10の内部の水位が上述した下方水位を超えた場合にオンするように設定する。そして、制御部25aは、上方のフロートスイッチがオンした場合には水処理装置24と揚水ポンプ23を順次起動し、下方のフロートスイッチがオフになった場合に水処理装置24と揚水ポンプ23を順次停止させる。このような構成によっても、上記実施形態と同様の排水制御が可能である。ただし、フロートスイッチを用いる場合にはある程度の動作領域を確保する必要があったり、応答速度が遅い等の可能性があり、上述した変動間隔を、水圧計21を用いた場合の変動間隔よりも広げておく必要があるため、高精度な制御を行うためには、水圧計21を用いる方がより好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明の本実施の形態に係る地下水管理システムの概要を示す平面図である。
【図2】図1の要部断面図である。
【図3】図2の透水層周辺の拡大断面図である。
【図4】第1集水管、第2集水管、及び連結管の位置関係を説明するための説明図であり、(a)は平面図、(b)は縦断面図である。
【図5】地下水管理システムのブロック図である。
【図6】地下水管理システムによる地下水管理処理であって、揚水量が多い場合の処理のフローチャートである。
【図7】地下水管理システムによる地下水管理処理であって、揚水量が少ない場合の処理のフローチャートである。
【符号の説明】
【0075】
1 管理領域
1A 建屋領域
1B 建屋外領域
2 緩衝領域
3 第1遮水壁
4 第2遮水壁
10 揚水井戸
11 透水層
12 第1集水管
13 第2集水管
14 連結管
20 電動バルブ
21 水圧計
23 揚水ポンプ
24 水処理装置
25 制御装置
25a 制御部
25b 記憶部
26、27 管路
L1A 建屋領域水位
L1B 建屋外領域水位
L2 緩衝領域水位
LMAX 設計水位

【特許請求の範囲】
【請求項1】
管理領域の地下水位を所定水位以下に管理する地下水管理システムであって、
前記所定水位より深い深度に設けられた透水層と、
前記透水層中に略水平に配設され、当該透水層の地下水を管壁を介して集水可能な集水管と、
前記集水管に接続された排水管と、
を備えることを特徴とする地下水管理システム。
【請求項2】
複数の前記集水管を、前記透水層中における異なる深度に配設したこと、
を特徴とする請求項1に記載の地下水管理システム。
【請求項3】
前記複数の集水管を相互に連結する連結管を設けたこと、
を特徴とする請求項2に記載の地下水管理システム。
【請求項4】
前記複数の集水管の少なくとも一部を、鉛直方向における異なる位置に配置したこと、
を特徴とする請求項2又3に記載の地下水管理システム。
【請求項5】
前記排水管内の水位を計測する水位計測手段と、
前記排水管から排水を行う排水機構と、
前記排水管内の水位が、前記複数の集水管の中で最下方に配置された前記集水管の底面近傍位置以下であって当該位置を基準とする所定範囲内となるように、前記水位計測手段の計測結果に基づいて前記排水機構を制御する制御手段と、
を備えたことを特徴とする請求項2から4のいずれか一項に記載の地下水管理システム。
【請求項6】
前記管理領域は、外部水域に対して緩衝領域を隔てた領域であり、
前記管理領域と前記緩衝領域との相互間には、これら相互間における地下水の移動を防止する第1遮水壁を設け、
前記管理領域において前記第1遮水壁を介して前記緩衝領域に隣接する外部区画と、前記管理領域において前記外部区画に外囲される内部区画との相互間には、これら相互間における地下水の移動を防止する第2遮水壁を設け、
前記外部区画及び前記内部区画の各々に、前記透水層、前記集水管、及び前記排水管を設け、
前記内部区画の前記透水層を、前記外部水域の水位より深い深度に設層し、
前記外部区画の前記透水層を、前記内部区画の前記透水層より深い深度に設層したこと、
を特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の地下水管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−116688(P2010−116688A)
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−289195(P2008−289195)
【出願日】平成20年11月11日(2008.11.11)
【出願人】(000003621)株式会社竹中工務店 (1,669)
【出願人】(000150110)株式会社竹中土木 (101)