説明

地図データ作成装置、地図データ作成方法、地図データ作成プログラムおよび地物情報取得装置

【課題】地物情報の分割数を抑制する技術を提供する。
【解決手段】(n−t)列目(tは自然数)からn列目にわたって地物が存在する場合に、tがr以下であるか否かを判定し、tがr以下であると判定された場合に、前記地物に関する地物情報を分割することなく(n−r)列目から(n−t)列目までの範囲内のいずれの区画に対応付け、tがr以下でないと判定された場合に、前記地物に関する地物情報を(n−u)列目(uはu≦rを満足する自然数)の区画上に設けられた分割線よりもn列側の分割部分に関する地物情報と、当該地物の残りの部分に関する地物情報とに分割し、当該分割部分に関する地物情報を(n−r)列目から(n−u)列目までの範囲内のいずれかの区画に対応付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地図データ作成装置、地図データ作成方法、地図データ作成プログラムおよび地物情報取得装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の区画上にわたって存在する地物に関する地物情報を区画の境界で分割するとともに、分割した地物情報を各区画に対応付ける技術が提案されている(例えば、特許文献1の段落0044、参照)。分割された地物情報が地物の存在する各区画に対応付けられるため、各区画上に存在する地物についての情報を、各区画に対応付けられた地物情報から得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−267562号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、区画ごとに地物情報を分割すると、地物情報の分割数が多くなるという問題があった。地物情報の分割数が多くなると、地物情報の管理が煩雑となるとともに、分割された地物情報の連結状態を示すリンクデータのデータ量が増大する弊害が生じる。
本発明は、前記課題にかんがみてなされたものであり、地物情報の分割数を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記の目的を達成するため、本発明の地図データ作成装置は、地物情報取得装置のための地図データを作成する。この地物情報取得装置は、地図上の所定軸方向に予め設定されたn列目(nは自然数)の区画上に存在する地物に関する情報を、(n−r)列目(rは自然数)からn列目までの範囲(以下、n列目の区画についての参照範囲と表記)内の区画に対応付けられた地物情報を参照して取得する。このような地物情報取得装置のための地図データを作成するために、地図データ作成装置は判定手段と分割手段と非分割手段とを備える。
【0006】
判定手段は、(n−t)列目(tはt<nを満足する自然数)からn列目にわたって地物が存在する場合に、tがr以下であるか否かを判定する。tがr以下であると判定された場合、n列目の区画についての参照範囲内に地物が含まれる。非分割手段は、tがr以下であると判定された場合に、前記地物に関する地物情報を分割することなく(n−r)列目から(n−t)列目までの範囲内のいずれの区画に対応付ける。すなわち、n列目の区画についての参照範囲内に地物が含まれる場合に、前記地物に関する地物情報を分割しないことより、地物情報の分割数を抑制できる。分割数が抑制できれば、地物情報の連結状態を示すリンクデータのデータ量も抑制できる。
【0007】
分割しなかった地物情報が対応付けられる(n−r)列目から(n−t)列目までの範囲内の区画は、所定軸方向における地物の一端が存在するn列目の区画についての参照範囲((n−r)列目からn列目までの範囲)内に属し、地物のもう一端が存在する(n−t)列目の区画についての参照範囲((n−t−r)列目から(n−t)列目までの範囲)内にも属する。従って、分割しなかった地物情報が対応付けられる区画は、当該地物が存在するいずれの区画についての参照範囲にも属する。すなわち、地物が存在するいずれの区画から参照しても、当該区画上に存在する地物の情報が取得できる。
【0008】
一方、tがr以下でないと判定された場合、分割手段は地物情報を分割する。すなわち、n列目の区画についての参照範囲内に地物が含まれない場合に限り、当該地物に関する地物情報を分割する。分割手段は、(n−u)列目(uはu≦rを満足する自然数)の区画上に設けられた分割線よりもn列側の分割部分に関する地物情報と、当該地物の残りの部分に関する地物情報とに分割する。そして、分割手段は、分割部分に関する地物情報を(n−r)列目から(n−u)列目までの範囲のいずれかの区画に対応付ける。ここで、分割部分に関する地物情報が対応付けられる(n−r)列目から(n−u)列目までの範囲内の区画は、所定軸方向における分割部分の一端が存在するn列目の区画についての参照範囲内((n−r)列目からn列目までの範囲)に属し、分割部分のもう一端を構成する分割線が設けられた(n−u)列目の区画についての参照範囲((n−u−r)列目から(n−u)列目までの範囲)にも属する。従って、分割部分に関する地物情報が対応付けられる区画は、当該分割部分が存在するいずれの区画についての参照範囲にも属する。すなわち、分割部分が存在するいずれの区画から参照しても、当該区画上に存在する分割部分の情報が取得できる。
【0009】
また、uはu≦rを満足する自然数であるため、分割線は、(n−u)列目の区画上、すなわち(n−r)列目から(n−1)列目までの範囲内の区画上に設けられる。これにより、n列の区画上にて地物情報が分割されるのが防止でき、地物情報が必要以上に細かく分割されることが防止できる。
【0010】
さらに、できるだけ分割部分の大きさを大きくして地物情報を分割することが、分割数の抑制のために望ましい。分割線は(n−u)列目の区画上、すなわち(n−r)列目から(n−1)列目までの範囲内に設けられるため、r=uとして、当該範囲内のうち最もn列から遠い(n−r)列目の区画上に分割線を設ければ分割部分の大きさを最も大きくすることができる。
【0011】
また、本発明の一具体的態様として、r=u=1としてもよい。r=1とすることにより、地物情報取得装置における参照範囲を狭くすることができ、n行目の区画上に存在する地物に関する情報を取得する処理の負荷を軽減し、地物に関する情報を迅速に取得できる。すなわち、本発明において、n行目の区画上に存在する地物に関する情報を取得する処理の負荷の軽減を重視するほどr,uを小さくし、地物情報の分割数の抑制を重視するほどr,uを大きくすればよい。例えば、地物情報取得装置が備えるプロセッサやRAMのハードウェアスペックが低いほど、r,uを小さくしてもよいし、地物情報取得装置が地図データを記録するために備える記録媒体の記録容量が小さいほど、r,uを大きくしてもよい。
【0012】
ところで、地物情報を分割した場合における分割部分を除く残りの部分に関する地物情報を、新たな地物に関する地物情報として再分割してもよい。
以上においては、地図上の所定軸方向について地物情報を分割する場合を説明したが、地図上の所定軸方向および当該所定軸方向に直交する直交軸方向に地物情報を分割する場合も、同様の手法が適用できる。さらに、地物情報を分割する方向は三軸方向であってもよく、例えば水平面上の二直交軸方向、および、鉛直軸方向に地物情報を分割する場合でも、同様の手法が適用できる。
【0013】
本発明の手法により作成された地図データを使用する地物情報取得装置も、本発明と同一または対応する特別な技術的特徴を有するとともに、本発明特有の効果を奏する。なお、本発明のように、地物情報を分割して地図データを作成する手法は、この処理を行う方法やプログラムとしても適用可能である。また、本発明の手法を適用した地図データ作成装置、方法、プログラムは、単独の装置として実現される場合もあれば、複数の装置として実現される場合もある。また、一部がソフトウェアであり一部がハードウェアであったりするなど、適宜、変更可能である。さらに、地図データ作成装置を制御するプログラムの記録媒体としても発明は成立する。むろん、そのソフトウェアの記録媒体は、磁気記録媒体であってもよいし光磁気記録媒体であってもよいし、今後開発されるいかなる記録媒体においても全く同様に考えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】地図データ作成装置とナビゲーション装置のブロック図である。
【図2】地物に関する情報を取得する様子を示す模式図である。
【図3】地物情報を分割する処理の説明図である。
【図4】地図データ作成処理を示すフローチャートである。
【図5】地物情報を分割する様子を示す模式図である。
【図6】地物情報を分割する様子を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
ここでは、下記の順序に従って本発明の実施の形態について説明する。
(1)ナビゲーション装置の構成:
(2)地図データ作成装置の構成:
(3)地図データ作成処理:
(4)他の実施形態:
【0016】
(1)ナビゲーション装置の構成:
図1は、地図データ作成装置10と地物情報取得装置としてのナビゲーション装置100の構成を示すブロック図である。本実施形態において、地図データ作成装置10は地図データ30cを作成し、ナビゲーション装置100は当該地図データ30cを複製した地図データ300aを参照して地物に関する情報を取得する処理を行う。
【0017】
ナビゲーション装置100は、CPUとRAMとROM等を備える制御部200と記録媒体300とを備えており、当該記録媒体300やROMに記憶されたプログラムを制御部200が実行する。制御部200は、このプログラムの一つとしてナビゲーションプログラム210を実行する。地図データ記録手段としての記録媒体300は、地図データ300aを記録する。地図データ300aは、地物情報を含み、当該地物情報は地図上において行列状に隙間なく配列する複数の区画に対応付けられている。地物情報は、地図上に存在する道路や建物等の地物についての情報であり、例えば地物の属性や位置や大きさや形状や色等を示す情報である。
【0018】
ナビゲーションプログラム210は、地物情報取得部210aを含む。地物情報取得部210aは、地図上の経度軸方向に予め設定されたn列目(nは自然数)に存在する地物に関する情報を、(n−r)列目(rは自然数)からn列目までの範囲内の区画に対応付けられた地物情報を参照して取得する機能を制御部200に実行させるためのプログラムである。例えば、地物情報取得部210aの機能により制御部200は、地図上のある地域に存在する地物を検索する操作が受け付けられた場合に、当該地域に対応する区画を特定し、当該区画上に存在する地物に関する情報を取得する。本実施形態において、地物情報取得部210aの機能により制御部200は、地図上の経度軸方向に直交する緯度軸方向についても同様の手法により地物に関する情報を取得する。すなわち、地物情報取得部210aは、地図上の緯度軸方向に予め設定されたm行目(mは自然数)に存在する地物に関する情報を、(m−s)行目(sは自然数)からm行目までの範囲内の区画に対応付けられた地物情報を参照して取得する。
【0019】
図2は、n列目、かつ、m行目の区画上に存在する地物に関する情報を取得する様子を示す模式図である。同図における左右方向を経度軸方向とし、上下方向を緯度軸方向とする。同図の右となるほど列の番号が増加し、同図の上となるほど行の番号が増加する。本実施形態では、r=s=1とする。すなわち、地物情報取得部210aの機能により制御部200は、ハッチングで示すn列目、かつ、m行目の区画上に存在する地物に関する情報を、破線で外縁を示す参照範囲Rとしての(n−1)列目からn列目までの範囲内、かつ、(m−1)行目からm行目までの範囲内の区画に対応付けられた地物情報を参照して取得する。すなわち、n列目かつm行目の区画についての参照範囲Rには、n列目かつm行目の区画と、その左隣の区画と下隣の区画と左下隣の区画とが属する。地物情報取得部210aの機能により制御部200は、n列目かつm行目の区画についての参照範囲Rにおけるいずれかの区画に地物情報が対応付けられている場合、当該地物情報が示す地物の位置と大きさとを取得する。そして、当該位置と大きさに基づいて当該地物がn列目かつm行目の区画上に存在すると特定した場合には、当該地物情報をn列目かつm行目の区画上に存在する地物に関する情報として取得する。
【0020】
(2)地図データ作成装置の構成:
地図データ作成装置10は、CPUとRAMとROM等を備える制御部20と記録媒体30とを備えており、当該記録媒体30やROMに記憶されたプログラムを制御部20が実行する。制御部20は、このプログラムの一つとして地図データ作成プログラム21を実行する。記録媒体30は、初期地図データ30aと地物DB(Database)30bと地図データ30cとを記録する。地図データ30cは、ナビゲーション装置100にて記録された地図データ300aの複製元であり、地図データ300aと同じデータである。初期地図データ30aにおいては、地図上の各区画が設定されており、各区画に対して地物情報は対応付けられていない。地物DB30bは、各地物の属性や位置や大きさや形状や色等を示す地物情報が蓄積されたデータである。
【0021】
地図データ作成プログラム21は、判定部21aと非分割部21bと分割部21cとを含む。判定部21aは、(n−t)列目(tは自然数)からn列目にわたって地物が存在する場合に、tがr以下であるか否かを判定する機能を制御部20に実行させるモジュールである。なお、本実施形態において(n−t)列目(tは自然数)からn列目にわたって地物が存在するとは、地物の左端が(n−t)列目の区画上に存在し、地物の右端がn列目の区画上に存在することを意味する。すなわち、判定部21aの機能により制御部20は、tがr以下であるか否かを判定することにより、n列目の区画上に右端が存在する地物の左端が、n列目についての参照範囲R内に位置しているか否かを判定する。また、判定部21aの機能により制御部20は、緯度軸方向にも前記と同様の処理を行う。すなわち、判定部21aの機能により制御部20は、(m−w)列目(wは自然数)からn列目にわたって地物が存在する場合に、wがs以下であるか否かを判定する。
【0022】
非分割部21bは、tがr以下であると判定された場合に、地物に関する地物情報を経度軸方向に分割することなく(n−r)列目から(n−t)列目までの範囲内のいずれの区画に対応付ける機能を制御部20に実行させるモジュールである。非分割部21bの機能により制御部20は、緯度軸方向にも同様の処理を行う。すなわち、非分割部21bの機能により制御部20は、wがs以下であると判定された場合に、地物に関する地物情報を緯度軸方向に分割することなく(m−s)行目から(m−w)行目までの範囲内のいずれかの区画に対応付ける。本実施形態において、r=s=1であるため、t≦r,w≦sを満足するt,wはそれぞれ1のみとなる。
【0023】
図3Aは、経度軸方向に関して実行される非分割部21bの処理の説明図である。同図に示すように、地物Gが4列目から5列目までの範囲にわたって存在しており、n=5とした場合にtが1となる。この場合、t=1がr=1以下となり、経度方向に関して、地物Gの全体が5列目の区画についての参照範囲Rに含まれる。このような場合、非分割部21bの機能により制御部20は、当該地物Gに関する地物情報を分割することなく、当該地物情報を(n−r)列目から(n−t)列目までの範囲内のいずれかの区画に対応付ける。なお、本実施形態では、n=5,r=1,t=1であるため、地物情報が対応付け可能な範囲である(n−r)列から(n−t)列目までの範囲に属する列は4列目のみであり、4列目の区画に当該地物情報が対応付けられる。
【0024】
分割部21cは、tがr以下でないと判定された場合に、地物に関する地物情報を(n−u)列目(uはu≦rを満足する自然数)の区画上に設けられた分割線よりもn列側の分割部分に関する地物情報と、当該地物の残りの部分に関する地物情報とに分割し、当該分割部分に関する地物情報を(n−r)列目から(n−u)列目までの範囲内のいずれかの区画に対応付ける機能を制御部20に実行させるモジュールである。分割部21cの機能により制御部20は、緯度軸方向にも同様の処理を行う。すなわち、分割部21cの機能により制御部20は、wがs以下でないと判定された場合に、地物に関する地物情報を(m−v)行目(vはv≦sを満足する自然数)の区画上に設けられた分割線よりもm行側の分割部分に関する地物情報と、当該地物の残りの部分に関する地物情報とに分割し、当該分割部分に関する地物情報を(m−s)行目から(m−v)行目までの範囲内のいずれかの区画に対応付ける。本実施形態において、r=s=1であるためu≦r,v≦sを満足するu,vはそれぞれ1のみとなる。
【0025】
図3Bは、経度軸方向に関して実行される分割部21cの処理の説明図である。同図に示すように、地物Gが2列目から5列目までの範囲にわたって存在しており、n=5とした場合のtが3となる。この場合、t=3がr=1以下とならず、経度方向に関して、地物Gの全体が5列目の区画についての参照範囲Rに含まれない。このような場合、分割部21cの機能により制御部20は、当該地物Gに関する地物情報を(n−u)列目の区画上、すなわち4列目の区画上に設けられた分割線Lよりもn列側、すなわち右側の分割部分Dに関する地物情報と、当該地物の残りの部分に関する地物情報とに分割する。なお、n=5,r=1,u=1であるため、分割線Lは4列目の区画上に設けられる。そして、分割部21cの機能により制御部20は、当該分割部分Dに関する地物情報を(n−r)列目から(n−u)列目までの範囲内のいずれかの区画に対応付ける。なお、本実施形態では、n=5,r=1,u=1であるため、地物情報が対応付け可能な範囲である(n−r)列目から(n−u)列目までの範囲に属する列は4列目のみであり、4列目の区画に当該地物情報が対応付けられる。
【0026】
以上説明したように本実施形態において、非分割部21bの機能により制御部20は、tがr以下である場合、すなわち経度軸方向に関して、当該地物Gが参照範囲Rに含まれる場合に、当該地物Gに関する地物情報を分割することなく(n−r)列目から(n−t)列目までの範囲内のいずれの区画に対応付ける。すなわち、n列目の区画についての参照範囲内Rに地物Gの全体が含まれる場合に、当該地物Gに関する地物情報を分割しないことより、地物情報の分割数を抑制できる。分割数が抑制できれば、地物情報の連結状態を示すリンクデータのデータ量も抑制できる。
【0027】
また、分割しなかった地物情報が対応付けられる(n−r)列目から(n−t)列目までの範囲内の区画は、経度軸方向における地物Gの一端が存在するn列目の区画についての参照範囲R((n−r)列目からn列目までの範囲)内、かつ、地物Gのもう一端が存在する(n−t)列目の区画についての参照範囲R((n−t−r)列目から(n−t)列目までの範囲)内となる。従って、分割しなかった地物情報が対応付けられる区画は、当該地物Gが存在するいずれの区画についての参照範囲Rにも属する。すなわち、地物Gが存在するいずれの区画から参照しても、当該区画上に存在する地物Gの情報が取得できる。図3Aの例では、分割しなかった地物情報が対応付けられる4列目の区画は、経度軸方向における地物Gの一端が存在する5列目の区画についての参照範囲R内、すなわち4列目から5列目までの範囲内、かつ、地物Gのもう一端が存在する4列目の区画についての参照範囲R内、すなわち3列目から4列目までの範囲内となる。
【0028】
一方、分割部21cの機能により制御部20は、tがr以下でないと判定された場合、すなわち経度軸方向に関して、当該地物Gの全体が参照範囲Rに含まれない場合に限り、当該地物Gに関する地物情報を分割する。ここで、分割部分Dに関する地物情報が対応付けられる(n−r)列目から(n−u)列目までの範囲内の区画は、経度軸方向における分割部分Dの一端が存在するn列目の区画についての参照範囲R((n−r)列目からn列目までの範囲)内、かつ、分割部分Dのもう一端を構成する分割線が設けられた(n−u)列目の区画についての参照範囲R((n−u−r)列目から(n−u)列目までの範囲)内となる。従って、分割部分Dの地物情報が対応付けられる区画は、当該分割部分Dが存在するいずれの区画についての参照範囲Rにも属する。すなわち、分割部分Dが存在するいずれの区画から参照しても、当該区画上に存在する分割部分Dの情報が取得できる。図3Bの例では、分割部分Dに関する地物情報が対応付けられる4列目の区画は、経度軸方向における分割部分Dの一端が存在する5列目の区画についての参照範囲R内、すなわち4列目から5列目までの範囲内、かつ、分割部分Dのもう一端を構成する分割線Lが設けられた4列目の区画についての参照範囲R内、すなわち3列目から4列目までの範囲内となる。
【0029】
また、uはu≦rを満足する自然数であるため、分割線Lは、(n−u)列目の区画上、すなわち(n−r)列目から(n−1)列目までの範囲内の区画上に設けられる。これにより、n列の区画上にて地物情報が分割されるのが防止でき、地物情報が必要以上に細かく分割されることが防止できる。また、(n−r−1)列目の区画上に存在する地物Gの部分が分割部分Dに含まれることが防止できる。上述のように分割部分Dに関する地物情報は(n−r)列目から(n−u)列目までの範囲のいずれかの区画に対応付けられるため、(n−r−1)列目の区画についての参照範囲R((n−2r−1)列目から(n−r−1)列目までの範囲)外となる。従って、(n−r−1)列目の区画上に存在する地物Gの部分を含む分割部分Dに関する地物情報が、(n−r−1)列目の区画についての参照範囲R外の区画に対応付けられ、(n−r−1)列目の区画から参照不能となることが防止できる。図3Bの例では、3列目の区画についての参照範囲R(2列目から3列目までの範囲)外の4列目の区画に地物情報が対応けられる分割部分Dに、3列目の区画上に存在する地物Gの部分が含まれない。従って、3列目の区画から4列目の区画に対応付けられた地物情報を参照する必要性を生じさせなくても済む。
本実施形態では、緯度軸方向についても同様の手法を適用するため、緯度軸方向についても同様の作用効果を得ることができる。
【0030】
(3)地図データ作成処理:
図4は地図データ作成処理のフローチャートである。ステップS100において、判定部21aの機能により制御部20は、初期地図データ30aにて設定された区画のなかから処理対象の区画を選択する。図5Aは、処理対象の区画を選択する順序を模式図である。同図にて矢印で示すように、判定部21aの機能により制御部20は、現在の処理対象の区画から、右下の区画を次の処理対象とするように選択する。すなわち、制御部20は、n列目かつm行目の区画の次に(n+1)列目かつ(m−1)行目の区画を選択する。また、制御部20は、処理対象の区画が初期地図データ30aにて設定された右端の区画に到達すると、上端の行に属する未選択の区画のうち最も右側に位置する区画を次に選択する。すなわち、制御部20は、n=N(Nはnがとり得る最大値)の場合には、n列目かつm行目の区画の次に{N−(M−m)−1)列目(Mはmがとり得る最大値)かつM行目の区画を選択する。このようにすることにより、地物の右上隅が存在する区画を起点として、左側と下側に向かって順次地物情報を分割する処理を進めていくことができる。これにより、処理済みの地物の部分と、未処理の地物の部分とが空間的に複雑に入り交じることが防止でき、重複処理を防止するために、選択した区画上に存在する地物の部分が処理済みであるか否かを判定しなくても済む。図5Bは、本実施形態の地図データ作成処理にて地物情報が分割される地物Gの例を示す。図5BにおいてD1〜D4は破線で示す分割線L1〜L4によって分割された地物Gの各部分を示し、破線の円内に示す文字は当該円を含む区画に地物情報が対応付けられた地物Gの各部分D1〜D4を指し示す。地物Gは例えば周回道路である。
【0031】
図5Bの例においては、まず処理対象の区画として、5列目かつ5行目の区画が選択される。ここではまず、図5Bの5列目かつ5行目の区画が処理対象の場合の処理を説明する。なお、本実施形態においてr=s=1であるためu≦r,v≦sを満足するu,vはそれぞれ1のみとなる。ステップS105において、判定部21aの機能により制御部20は、地物存在条件を満足するか否かを判定する。本実施形態において、処理対象の区画についての参照範囲R内におけるn列の区画上、および、m行の区画上の双方に未処理の地物Gが存在すれば地物存在条件が満足される。すなわち、処理対象の区画についての参照範囲Rにおける右端の列の区画と上端の行の区画との双方に未処理の地物Gが存在することが地物存在条件とされる。なお、地物存在条件を満足する場合、処理対象の区画についての参照範囲Rの緯度軸方向の範囲((m−s)行目からm行目までの範囲)内において(n−t)列目からn列目までの範囲にわたって未処理の地物Gが存在し、かつ、参照範囲Rの経度軸方向の範囲((n−r)列目からn列目までの範囲)内において(m−w)列目からs列目までの範囲にわたって未処理の地物Gが存在することとなる。判定部21aの機能により制御部20は、地物存在条件を満足する場合にt,wを取得しておく。なお、未処理の地物Gとは、当該地物Gに関する地物情報がいずれの区画にも対応付けられていない地物Gまたはその一部分を意味する。
【0032】
図5Bの5列目かつ5行目の区画についての参照範囲Rは4列目から5列目までの範囲、かつ、4行目から5行目までの範囲であり、当該参照範囲Rにおける5列目の区画上、および、5行目の区画上に未処理の地物Gが存在し、地物存在条件を満足すると判定される。なお、地物存在条件を満足しないと判定された場合には、ステップS155において判定部21aの機能により制御部20は、初期地図データ30aにて設定された区画の左下隅の区画を処理対象として選択したか否かを判定する。すなわち、すべての区画が処理対象として選択済みとなったか否かを判定する。左下隅の区画を処理対象として選択しなかったと判定された場合、ステップS100に戻り、次の区画を処理対象として選択する。
【0033】
地物存在条件を満足すると判定されると、ステップS110において制御部20は、tがr以下であるか否か判定する。図5Bの5列目かつ5行目の区画が処理対象の場合、3列目から5列目までの範囲にわたって未処理の地物Gが存在し、t=2はr=1以下でないと判定される。ステップS115において制御御部20は、未処理の地物Gに関する地物情報を(n−u)列目の区画上に設けられた分割線L1よりもn列側の分割部分D1に関する地物情報と、当該地物Gの残りの部分に関する地物情報とに分割する。図5Bの5列目かつ5行目の区画が処理対象の場合、制御部20は、4列目の区画上の分割線L1よりも右側の分割部分D1に関する地物情報と、当該地物Gの残りの部分に関する地物情報とに分割する。なお、n=5,u=1であるため、分割線L1の位置(n−u)は4列目である。ステップS120において、分割部21cの機能により制御部20は、分割部分D1に関する地物情報を(n−r)列目から(n−u)列目までの範囲のいずれかの区画に対応付けるように設定する。図5Bの5列目かつ5行目の区画が処理対象の場合、制御部20は、分割部分D1に関する地物情報を4列目の区画に対応付けるように設定する。なお、n=5,r=1,u=1であるため、地物情報が対応付け可能な範囲である(n−r)列目から(n−u)列目までの範囲に属する列は4列目のみである。以上により図5Bの5列目かつ5行目の区画が処理対象の場合の経度軸方向の処理が完了し、次に緯度軸方向の処理を実行する。
【0034】
ステップS130において、判定部21aの機能により制御部20は、wがs以下であるか否か判定する。図5Bの5列目かつ5行目の区画が処理対象の場合、3行目から5行目までの範囲にわたって未処理の地物Gが存在し、w=2はs=1以下でないと判定される。ステップS135において、分割部21cの機能により制御部20は、(m−v)行目の区画上に設けられた分割線L2よりもm行側の分割部分D1に関する地物情報と、当該地物Gの残りの部分に関する地物情報とに分割する。図5Bの5列目かつ5行目の区画が処理対象の場合、制御部20は、4行目の区画上の分割線L2よりも上側の分割部分D1に関する地物情報と、当該地物Gの残りの部分に関する地物情報とに分割する。なお、m=5,v=1であるため、分割線L2の位置(m−v)は4行目である。ステップS140において、分割部21cの機能により制御部20は、分割部分D1に関する地物情報を(m−s)行目から(m−v)行目までの範囲のいずれかの区画に対応付けるように設定する。図5Bの5列目かつ5行目の区画が処理対象の場合、制御部20は、分割部分D1に関する地物情報を4行目の区画に対応付けるように設定する。なお、m=5,s=1,v=1であるため、地物情報が対応付け可能な範囲である(m−s)行目から(m−v)行目までの範囲に属する行は4行目のみである。以上により図5Bの5列目かつ5行目の区画が処理対象の場合の緯度軸方向の処理が完了し、4列目かつ4行目の区画が分割部分D1に関する地物情報を対応付ける区画として設定されたこととなる。
【0035】
ステップS150において、地図データ作成プログラム21の機能により制御部20は、分割部分D1に関する地物情報を設定された区画に対応付ける。図5Bの5列目かつ5行目の区画が処理対象の場合、分割部分D1に関する地物情報が4列目かつ4行目の区画に対応付けられることとなる。地物Gのうち分割部分D1の残りの部分は、未処理の地物Gとして以降取り扱われる。以上のようにして、分割部分D1に関する地物情報の対応付けが完了すると、ステップS155において制御部20は左下隅の区画を処理対象として選択しなかったと判定し、ステップS100に戻り、次に図5Bの4列目かつ5行目の区画を処理対象として選択する。以下、図5Bの4列目かつ5行目の区画が処理対象の場合の処理を説明する。
【0036】
図5Bの4列目かつ5行目の区画が処理対象の場合、ステップS105において制御部20は地物存在条件を満足すると判定する。4列目の区画上、および、5行目の区画上に未処理の地物G(分割部分D1を除く部分)が存在するからである。次のステップS110において判定部21aの機能により制御部20は、tがr以下であると判定する。未処理の地物Gは3列目から4列目までの範囲にわたって存在し、t=1はr=1以下となるからである。次のステップS125において非分割部21bの機能により制御部20は、未処理の地物Gに関する地物情報を分割することなく(n−r)列目から(n−t)列目までの範囲内のいずれかの区画に対応付けると設定する。図5Bの4列目かつ5行目の区画が処理対象の場合、分割しなかった地物Gに関する地物情報を3列目の区画に対応付けると設定する。なお、n=4,r=1,t=1であるため、地物情報が対応付け可能な範囲である(n−r)列目から(n−t)列目までの範囲に属する列は3列目のみである。以上により図5Bの4列目かつ5行目の区画が処理対象の場合の経度軸方向の処理が完了し、次に緯度軸方向の処理を実行する。
【0037】
図5Bの4列目かつ5行目の区画が処理対象の場合、ステップS130において制御部20は、wがs以下でない判定する。未処理の地物Gは3行目から5行目までの範囲にわたって存在し、w=2はs=1以下とならないからである。さらにステップS135において制御部20は、4行目の区画上の分割線L3よりも上側の分割部分D2に関する地物情報と、当該地物Gの残りの部分に関する地物情報とに分割する。なお、m=5,v=1であるため、分割線L3の位置(m−v)は4行目である。さらにステップS140において制御部20は、分割部分D2に関する地物情報を4行目の区画に対応付けるように設定する。なお、m=5,s=1,v=1であるため、地物情報が対応付け可能な範囲(m−s)行目から(m−v)行目までの範囲に属する行は4行目のみである。以上により図5Bの4列目かつ5行目の区画が処理対象の場合の緯度軸方向の処理が完了し、3列目かつ4行目の区画が分割部分D2に関する地物情報を対応付ける区画として設定されたこととなる。ステップS150にて分割部分D2に関する地物情報を3列目かつ4行目の区画に対応付けると、次に図5Bの5列目かつ4行目の区画が処理対象として選択される。以下、図5Bの5列目かつ4行目の区画が処理対象の場合の処理を説明する。
【0038】
図5Bの5列目かつ4行目の区画が処理対象の場合、ステップS105において制御部20は地物存在条件を満足すると判定する。5列目の区画上、および、4行目の区画上に未処理の地物G(分割部分D1,D2を除く部分)が存在するからである。次のステップS110において制御部20は、tはr以下でないと判定する。5列目かつ4行目の区画が処理対象の場合、3列目から5列目までの範囲にわたって未処理の地物Gが存在し、t=2はr=1以下とならないからである。次のステップS115において制御部20は、未処理の地物Gに関する地物情報を4列目の区画上の分割線L4よりも右側の分割部分D3に関する地物情報と、当該地物Gの残りの部分に関する地物情報とに分割する。なお、n=5,u=1であるため、分割線L4の位置(n−u)は4列目である。次のステップS120において制御部20は、分割部分D3に関する地物情報を4列目の区画に対応付けるように設定する。なお、n=5,r=1,u=1であるため、地物情報が対応付け可能な範囲である(n−r)列目から(n−u)列目までの範囲に属する列は4列目のみである。以上により図5Bの5列目かつ4行目の区画が処理対象の場合の経度軸方向の処理が完了し、次に緯度軸方向の処理を実行する。
【0039】
図5Bの5列目かつ4行目の区画が処理対象の場合、ステップS130において判定部21aの機能により制御部20は、wがs以下であると判定する。図5Bの5列目かつ4行目の区画が処理対象の場合、3行目から4行目までの範囲にわたって未処理の地物Gが存在し、w=1はr=1以下となるからである。ステップS145において非分割部21bの機能により制御部20は、未処理の地物G(分割部分D3)に関する地物情報を分割することなく3行目の区画に対応付けると設定する。なお、m=4,s=1,w=1であるため、地物情報が対応付け可能な範囲である(m−s)行目から(m−w)行目までの範囲に属する行は3行目のみである。以上により図5Bの5列目かつ4行目の区画が処理対象の場合の緯度軸方向の処理が完了し、4列目かつ3行目の区画が分割部分D3に関する地物情報を対応付ける区画として設定されたこととなる。ステップS150にて分割部分D3に関する地物情報を4列目かつ3行目の区画に対応付けると、次に図5Bの3列目かつ5行目の区画が処理対象として選択される。なお、この時点で、未処理の地物Gの部分は残りの部分D4のみとなっている。
【0040】
図5Bの3列目かつ5行目の区画が処理対象の場合、ステップS105において制御部20は地物存在条件を満足しないと判定する。3列目かつ5行目の区画についての参照範囲R内における5行目の区画上に未処理の部分D4が存在しないからである。従って、次に図5Bの4列目かつ4行目の区画が処理対象として選択される。図5Bの4列目かつ4行目の区画が処理対象の場合、ステップS105において制御部20は地物存在条件を満足すると判定する。4列目かつ4行目の区画についての参照範囲R内における4列目の区画上および4行目の区画上に未処理の部分D4が存在するからである。次のステップS110において制御部20は、tがr以下であると判定する。未処理の部分D4は3列目から4列目までの範囲にわたって存在し、t=1はr=1以下となるからである。tがr以下であると判定されると、ステップS125において制御部20は、分割することなく部分D4に関する地物情報を3列目の区画に対応付けると設定する。なお、n=4,r=1,t=1であるため、地物情報が対応付け可能な範囲である(n−r)列目から(n−t)列目までの範囲に属する列は3列目のみである。以上により図5Bの4列目かつ4行目の区画が処理対象の場合の経度軸方向の処理が完了し、次に緯度軸方向の処理を実行する。
【0041】
次のステップS130において制御部20は、wはs以下であると判定する。未処理の部分D4は3行目から4行目までの範囲にわたって存在し、w=1はs=1以下となるからである。次のステップS145において制御部20は、分割することなく部分D4に関する地物情報を3行目の区画に対応付けるように設定する。なお、m=4,s=1,w=1であるため、地物情報が対応付け可能な範囲である(m−s)行目から(m−w)行目に属する行は3行目のみである。以上により図5Bの4列目かつ4行目の区画が処理対象の場合の緯度軸方向の処理が完了し、ステップS150にて制御部20は3列目かつ3行目の区画に部分D4に関する地物情報を対応付ける。その結果、図5Bに示す地物Gの全部に関する地物情報が各部分D1〜D4に分割され、いずれかの区画に対応付けられたこととなる。すなわち、図5Bの地物Gについての処理が完了する。以上の処理を、左下隅の区画を処理対象とするまで実行することにより、初期地図データ30aにて設定された区画に対して地物情報が対応付けられた地図データ30cが作成できる。さらに、制御部20は、各部分D1〜D4の連結状態を示すリンクデータを地図データ30cに添付する。なお、制御部20は、地図データ30cに参照範囲Rの幅を指定するr,sを示す情報を添付することにより、ナビゲーション装置100にてr,sに基づく参照範囲Rを参照するように指定してもよい。
【0042】
以上説明したように本実施形態においては、8個の区画にわたって存在する地物Gに関する地物情報を4個の部分D1〜D4に関する地物情報に分割でき、8個の区画ごとに分割するよりも分割数が低減できる。5列目の区画上に存在する部分D1,D3は、5列目の区画についての参照範囲R(4列目から5列目までの範囲)に属する4列目の区画に対応付けられるため、ナビゲーション装置100は、5列目の区画上に存在する部分D1,D3についての情報を取得できる。4列目の区画上に存在する部分D1〜D4は、4列目の区画についての参照範囲R(3列目から4列目までの範囲)に属する3列目および4列目の区画に対応付けられるため、ナビゲーション装置100は、4列目の区画上に存在する部分D1〜D4についての情報を取得できる。さらに、3列目の区画上に存在する部分D2,D4は、3列目の区画についての参照範囲R(2列目から3列目までの範囲)に属する3列目の区画に対応付けられるため、ナビゲーション装置100は、3列目の区画上に存在する部分D2,D4についての情報を取得できる。
【0043】
同様に5行目の区画上に存在する部分D1〜D2は、5行目の区画についての参照範囲R(4行目から5行目までの範囲)に属する4行目の区画に対応付けられるため、ナビゲーション装置100は、5行目の区画上に存在する部分D1〜D2についての情報を取得できる。4行目の区画上に存在する部分D1〜D4は、4行目の区画についての参照範囲R(3行目から4行目までの範囲)に属する3行目および4行目の区画に対応付けられるため、ナビゲーション装置100は、4行目の区画上に存在する部分D1〜D4についての情報を取得できる。さらに、3行目の区画上に存在する部分D3,D4は、3行目の区画についての参照範囲R(2行目から3行目までの範囲)に属する3行目の区画に対応付けられるため、ナビゲーション装置100は、3行目の区画上に存在する部分D3,D4についての情報を取得できる。
【0044】
(4)他の実施形態:
なお、地図データ作成処理を行った結果、地物が存在していない区画に地物情報が対応付けられる場合には、当該地物情報をさらに分割して、地物が存在する区画上に対応付けてもよい。例えば、図5Bの4列目かつ4行目の区画上には地物Gが存在していないが当該区画に分割部分D1に関する地物情報が対応付けられている。従って、分割部分D1を5列目かつ5行目の区画上の分割線により分割し、上側の一方に関する地物情報を4列目かつ5行目の区画に対応付け、右側の一方に関する地物情報を5列目かつ4行目の区画に対応付けてもよい。
【0045】
できるだけ分割部分の大きさを大きくして地物情報を分割することが、分割数の抑制のために望ましい。分割線は(n−u)列目の区画上、すなわち(n−r)列目から(n−1)列目までの範囲内に設けられるため、r=uとして、当該範囲内のうち最もn列から遠い(n−r)列目の区画上に分割線を設ければ分割部分の大きさを最も大きくすることができる。図6Aは、r=u=2とした場合における地図データ作成処理の結果を示す模式図である。同図に示すように、r=u=2とすることにより、2列周期で分割線L1〜L4を設けることができ、地物情報の分割数を低減できる。さらに、図6Bに示すように、分割線L1〜L3を(n−u)列目の区画上における(n−u−1)列目の区画との境界上に設けることにより、分割線L1〜L3を3列周期とし分割数をより低減させてもよい。
【0046】
前記実施形態では、r=sの場合を例示したがr≠sの参照範囲Rを使用する場合でも、本発明の手法により分割数が抑制できる。また、r≠u,s≠vとした場合でも、本発明の手法により分割数が抑制できる。むろん、r,u,s,vは前記実施形態に例示した値に限られない。また、区画の形状は正方形であっても、長方形であってもよい。
なお、地物情報を分割する方向は三軸方向であってもよく、例えば水平面上の二直交軸方向、および、鉛直軸方向に地物情報を分割する場合でも、同様の手法が適用できる。また、所定軸方向は経度軸や緯度軸に沿った方向である必要はなく、任意の方向とすることができる。
【0047】
本発明において、ナビゲーション装置100がn行目の区画上に存在する地物に関する情報を取得する処理の負荷の軽減を重視するほどr,u,s,vを小さくし、地物情報の分割数の抑制を重視するほどr,u,s,vを大きくすればよい。例えば、ナビゲーション装置100が備えるCPUやRAMのハードウェアスペックが低いほど、r,u,s,vを小さくしてもよいし、ナビゲーション装置100が地図データ300aを記録するために備える記録媒体300の記録容量が小さいほど、r,u,s,vを大きくしてもよい。
【符号の説明】
【0048】
10…地図データ作成装置、20…制御部、21…地図データ作成プログラム、21a…判定部、21b…非分割部、21c…分割部、30…記録媒体、30a…初期地図データ、30c…地図データ、100…ナビゲーション装置、200…制御部、210…ナビゲーションプログラム、210a…地物情報取得部、300…記録媒体、300a…地図データ、300a…地図データ、30b…地物DB、G…地物、L1〜L4…分割線。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地図上の所定軸方向に予め設定されたn列目(nは自然数)の区画上に存在する地物に関する情報を、(n−r)列目(rは自然数)からn列目までの範囲内の区画に対応付けられた地物情報を参照して取得する地物情報取得装置のための地図データを作成する地図データ作成装置であって、
(n−t)列目(tは自然数)からn列目にわたって前記地物が存在する場合に、tがr以下であるか否かを判定する判定手段と、
tがr以下であると判定された場合に、前記地物に関する前記地物情報を分割することなく(n−r)列目から(n−t)列目までの範囲内のいずれの区画に対応付ける非分割手段と、
tがr以下でないと判定された場合に、前記地物に関する前記地物情報を(n−u)列目(uはu≦rを満足する自然数)の区画上に設けられた分割線よりもn列側の分割部分に関する前記地物情報と、当該地物の残りの部分に関する前記地物情報とに分割し、当該分割部分に関する前記地物情報を(n−r)列目から(n−u)列目までの範囲内のいずれかの区画に対応付ける分割手段と、
を備える地図データ作成装置。
【請求項2】
前記分割手段は、(n−r)列目の区画上に分割線を設ける、
請求項1に記載の地図データ作成装置。
【請求項3】
r=u=1である、
請求項1または請求項2のいずれかに記載の地図データ作成装置。
【請求項4】
地図上の所定軸方向に予め設定されたn列目(nは自然数)の区画上に存在する地物に関する情報を、(n−r)列目(rは自然数)からn列目までの範囲内の区画に対応付けられた地物情報を参照して取得する地物情報取得装置のための地図データを作成する地図データ作成方法であって、
(n−t)列目(tは自然数)からn列目にわたって前記地物が存在する場合に、tがr以下であるか否かを判定する判定工程と、
tがr以下であると判定された場合に、前記地物に関する前記地物情報を分割することなく(n−r)列目から(n−t)列目までの範囲内のいずれの区画に対応付ける非分割工程と、
tがr以下でないと判定された場合に、前記地物に関する前記地物情報を(n−u)列目(uはu≦rを満足する自然数)の区画上に設けられた分割線よりもn列側の分割部分に関する前記地物情報と、当該地物の残りの部分に関する前記地物情報とに分割し、当該分割部分に関する前記地物情報を(n−r)列目から(n−u)列目までの範囲内のいずれかの区画に対応付ける分割工程と、
を含む地図データ作成方法。
【請求項5】
地図上の所定軸方向に予め設定されたn列目(nは自然数)の区画上に存在する地物に関する情報を、(n−r)列目(rは自然数)からn列目までの範囲内の区画に対応付けられた地物情報を参照して取得する地物情報取得装置のための地図データを作成する機能をコンピュータに実行させる地図データ作成プログラムであって、
(n−t)列目(tは自然数)からn列目にわたって前記地物が存在する場合に、tがr以下であるか否かを判定する判定機能と、
tがr以下であると判定された場合に、前記地物に関する前記地物情報を分割することなく(n−r)列目から(n−t)列目までの範囲内のいずれの区画に対応付ける非分割機能と、
tがr以下でないと判定された場合に、前記地物に関する前記地物情報を(n−u)列目(uはu≦rを満足する自然数)の区画上に設けられた分割線よりもn列側の分割部分に関する前記地物情報と、当該地物の残りの部分に関する前記地物情報とに分割し、当該分割部分に関する前記地物情報を(n−r)列目から(n−u)列目までの範囲内のいずれかの区画に対応付ける分割機能と、
をコンピュータに実行させる地図データ作成プログラム。
【請求項6】
地図上の所定軸方向に予め設定された所定軸方向における(n−t)列目(tは自然数)からn列目までの範囲にわたって存在する地物であって、tがr(rは自然数)以下である前記地物に関する前記地物情報が分割されることなく(n−r)列目から(n−t)列目までの範囲内のいずれの区画に対応付けられ、
前記所定軸方向における(n−t)列目(tは自然数)からn列目までの範囲にわたって存在する前記地物であって、tがr以下でない前記地物に関する前記地物情報が(n−u)列目(uはu≦rを満足する自然数)の区画上に設けられた分割線よりもn列側の分割部分に関する前記地物情報と、当該地物の残りの部分に関する前記地物情報とに分割され、当該分割部分に関する前記地物情報が(n−r)列目から(n−u)列目までの範囲内のいずれかの区画に対応付けられた地図データを記録する地図データ記録手段と、
n列目の区画上に存在する前記地物に関する情報を、地図データにおける(n−r)列目からn列目までの範囲内の区画に対応付けられた前記地物情報を参照して取得する地物情報取得手段と、
を備える地物情報取得装置。
【請求項7】
地図上の所定軸方向に予め設定されたn列目(nは自然数)、かつ、前記所定軸方向に直交する直交軸方向に予め設定されたm行目(mは自然数)の区画上に存在する地物に関する情報を、(n−r)列目(rは自然数)からn列目までの範囲内、かつ、(m−s)行目(sは自然数)からm行目までの範囲内の区画に対応付けられた地物情報を参照して取得する地物情報取得装置のための地図データを作成する地図データ作成装置であって、
(m−s)行目からm行目までの範囲内において、(n−t)列目(tは自然数)からn列目にわたって前記地物が存在する場合に、tがr以下であるか否かを判定するとともに、
(n−r)列目からn列目までの範囲内において、(m−w)行目(wは自然数)からm行目にわたって前記地物が存在する場合に、wがs以下であるか否かを判定する判定手段と、
tがr以下であると判定された場合に、前記地物に関する前記地物情報を前記所定軸方向に分割することなく(n−r)列目から(n−t)列目までの範囲内のいずれの区画に対応付けるとともに、
wがs以下であると判定された場合に、前記地物に関する前記地物情報を前記直交軸方向に分割することなく(m−s)行目から(m−w)行目までの範囲内のいずれの区画に対応付ける非分割手段と、
tがr以下でないと判定された場合に、前記地物に関する前記地物情報を(n−u)列目(uはu≦rを満足する自然数)の区画上に設けられた分割線よりもn列側の分割部分に関する前記地物情報と、当該地物の残りの部分に関する前記地物情報とに分割し、当該分割部分に関する前記地物情報を(n−r)列目から(n−u)列目までの範囲内のいずれかの区画に対応付けるとともに、
wがs以下でないと判定された場合に、前記地物に関する前記地物情報を(n−v)行目(vはv≦sを満足する自然数)の区画上に設けられた分割線よりもm行側の分割部分に関する前記地物情報と、当該地物の残りの部分に関する前記地物情報とに分割し、当該分割部分に関する前記地物情報を(m−s)行目から(m−v)行目までの範囲内のいずれかの区画に対応付ける分割手段と、
を備える地図データ作成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2012−83466(P2012−83466A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−228389(P2010−228389)
【出願日】平成22年10月8日(2010.10.8)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】