説明

地図画像生成装置

【課題】地図画像に対応した管理情報を持つ必要がなく、用途に応じた地図画像を生成することができる地図画像生成装置を得る。
【解決手段】地図上の管理対象の座標を有する管理情報1と、用途に応じて描画方法を切替えるための描画情報3を記憶装置に記憶しておき、描画領域算出装置22により、描画範囲に追加する領域を算出し、この算出結果を考慮して、描画制御装置23により、描画単位と描画順序を設定し、地図描画装置23は、この設定に応じて、管理情報1と用途に応じた描画情報3に対応する地図画像を描画し、地図画像生成/分割装置24は、描画された画像を生成、分割し、地図画像4とするようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、地理情報を閲覧/操作するWebシステムで表示するために、ネットワーク負荷を考慮して分割された地図画像を生成する地図画像生成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
地理情報を閲覧/操作するWebシステムにおいては、工事中、通行止めなどの地図上の管理対象の座標を有する管理情報と、管理情報に対する描画方法を定義した描画情報により、Webシステムで表示するための地図画像を生成するようになっている。
従来の地図画像生成方式では、1つの描画情報を適用して地図を描画した結果の領域を管理情報として、地図画像を生成していた。この管理情報は、例えば、工事中、通行止めを含む地図情報を表示するためのものであり、従来では、地図画像に対応した管理情報を持っていた。
従来では、元となる管理情報から各地図画像に合せた管理情報に変換する処理を行い、この変換処理された地図画像毎の管理情報を使用して、地図描画処理により画像ファイルの領域に、地図画像を描画し、地図画像生成を行っていた。
特許文献1には、携帯情報端末装置で、サーバから取得した画像情報内の表示シーケンス情報に基いて画像表示を行うようにし、着信時等での各機能動作において、従来、機能ごとに必要であった画像データを削減することができるとともに、メモリ使用量を減らすことができるものが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−175542号公報(第4〜6頁、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のものでは、1つの描画情報を適用して地図を描画した結果の領域を管理情報として、地図画像を生成していたため、用途に応じて表示方法を変更する場合、そのつど、変更数分の管理情報を作成する必要があり、管理情報を記憶するための記憶装置の領域が増加するという問題があった。
特許文献1では、機能ごとの画像データを削減するものであっても、上述の問題に対応するものではなかった。
【0005】
この発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、地図画像に対応した管理情報を持つ必要がなく、用途に応じた地図画像を生成することができる地図画像生成装置を得ることを目的にしている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係わる地図画像生成装置においては、地図上の管理対象の座標を有する管理情報と、この管理情報に対し、用途ごとに描画方法を定義した描画情報とを記憶した記憶装置、管理情報及び描画情報を用いて、描画単位で所定の描画順序により地図画像を描画する地図描画手段、及びこの地図描画手段によって描画された地図画像を分割して出力する地図画像分割手段を備えたものである。
【発明の効果】
【0007】
この発明は、以上説明したように、地図上の管理対象の座標を有する管理情報と、この管理情報に対し、用途ごとに描画方法を定義した描画情報とを記憶した記憶装置、管理情
報及び描画情報を用いて、描画単位で所定の描画順序により地図画像を描画する地図描画手段、及びこの地図描画手段によって描画された地図画像を分割して出力する地図画像分割手段を備えたので、1つの管理情報に対して、描画情報を切り替えることで、1つの管理情報に対して、描画情報を切り替えることで、用途に応じた地図画像を生成することができ、従来方式より高速に画像を生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】この発明の実施の形態1による地図画像生成装置を示す構成図である。
【図2】この発明の実施の形態1による地図画像生成装置の管理情報と描画情報を示す図である。
【図3】この発明の実施の形態1による地図画像生成装置を含む全体構成図である。
【図4】この発明の実施の形態2による地図画像生成装置の描画情報切り替えによる地図表示方式を示す図である。
【図5】この発明の実施の形態3による地図画像生成装置の地図描画装置の描画における問題点を説明する図である。
【図6】この発明の実施の形態3による地図画像生成装置の描画情報を適用した地図表示結果の領域の算出方法を示す図である。
【図7】この発明の実施の形態3による地図画像生成装置の描画情報を適用した地図表示結果の領域の算出処理を示すフローチャートである。
【図8】この発明の実施の形態4による地図画像生成装置の地図の描画単位を説明する図である。
【図9】この発明の実施の形態5による地図画像生成装置の地図表示順と管理情報矩形の読み込み方式を示す図である。
【図10】この発明の実施の形態5による地図画像生成装置の描画単位と管理情報の読み込み数を算出する処理を示すフローチャートである。
【図11】この発明の実施の形態5による地図画像生成装置の描画順制御処理を示すフローチャートである。
【図12】この発明の実施の形態6による地図画像生成装置の地図画像分割方式を示す図である。
【図13】この発明の実施の形態6による地図画像生成装置の画像生成/分割/送信処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1による地図画像生成装置を示す構成図である。
図1において、地図画像生成装置2は、描画制御装置21(描画制御手段)と、描画領域算出装置22(描画領域算出手段)と、地図描画装置23(地図描画手段)と、地図画像生成/分割装置24(地図画像分割手段)とを有する。
地図画像生成装置2は、管理情報1と描画情報3とを入力として、地図画像4を生成し、出力する。管理情報1と描画情報3と地図画像4は、記憶装置に格納される。
ここで、管理情報1は、工事中、通行止めなどや、管理する設備などの地図上の管理対象の座標を有する地図情報である。描画情報3は、管理情報1に対する描画方法として、文字の大きさ、シンボルのサイズなどを定義したものであり、管理情報1に対し、用途ごとに表示を変えるように、複数の描画情報3が作成される。
描画制御装置21は、どのような描画単位でかつどの順番で描画するかを制御する。描画単位(1回で描画する領域)と地図描画順序とを制御した地図描画命令を地図描画装置23へ発行する。
描画領域算出装置22は、管理情報に基づき、用途に応じて指定された描画情報を用いた場合の地図描画結果の領域(描画領域)を算出し、描画制御装置21への入力情報とする。このとき、実施の形態3で詳述するように、管理情報の図形の表示欠けが発生しない
ように、画像ファイル(基準画像ファイル)に対応する領域の基準単位に追加すべき領域を算出する。
地図描画装置23は、1つの管理情報に対して、用途に応じて描画情報を切り替えることで、用途に応じた地図画像を描画する。この描画はメモリ上で行われる。
地図画像生成/分割装置24は、地図描画装置23によって描画されたメモリ上の描画結果を画像化するとともに、画像サイズと地図利用時の表示領域(計算機により決定される)に基づいて、適切なサイズに画像を分割する。この地図画像の分割は、Webシステムで表示するためにネットワーク負荷を考慮して行われる。
【0010】
図2は、この発明の実施の形態1による地図画像生成装置の管理情報と描画情報を示す図である。
図2において、1、3は図1におけるものと同一のものである。管理情報1に対応して、業務Aの描画情報3aが設定されている。管理情報1と業務Aの描画情報3aを用いて、地図描画装置23によって業務Aの地図表示6aが描画される。
図2の描画情報3は、文字によって描画方法が表現されている。
【0011】
図3は、この発明の実施の形態1による地図画像生成装置を含む全体構成図である。
図3(a)は、システムの初期構築時に地図画像を生成する場合を示す図、図3(b)は、システム実行時に地図画像を生成する場合を示す図、図3(c)は、システムの初期構築及び更新時に地図画像を生成するとともに、システム実行時で管理情報及び描画情報変更時に地図画像を更新する場合を示す図である。
図3において、1〜4は図1におけるものと同一のものである。全体システムは、クライアント30と、このクライアント30にネットワークを介して接続されたサーバ40と、ネットワークに接続された地図画像生成ツール50により構成されている。
地図画像生成装置2は、図3(a)と図3(c)では、地図画像生成ツール50に含まれる。図3(b)と図3(c)では、地図画像生成装置2と同じ機能の地図画像生成装置12が、サーバ40に含まれている。
【0012】
次に、動作について説明する。
描画領域算出装置22は、用途に応じて選択された描画情報3を入力とし、描画領域を算出して、描画制御装置21に送信する。描画制御装置21は、描画領域算出装置22から送信された描画領域と管理情報1とを入力とし、生成する画像の位置と範囲を地図描画装置23に送信する。
地図描画装置23は、管理情報1と用途に応じて選択された描画情報3とを入力とし、描画制御装置21から送信された、生成する画像の位置と範囲の地図を描画し、描画結果を地図画像生成/分割装置24に送信する。
地図画像生成/分割装置24は、地図描画装置23による描画結果を、分割した画像に生成し、出力するようになっている。
このようにして、管理情報1が1つだけであっても、用途に応じた地図画像を生成することができる。
【0013】
この発明は、サーバ40とクライアント30で構成されるWebシステムで使用される。地図画像生成装置を独立した機能として実現することで、サーバ40の1処理としての実行と、地図画像生成ツール50として独立したツールとしての実行が可能となる。
【0014】
Webシステムの初期構築時に管理情報1や描画情報3が決定され、システム実行時に管理情報1や描画情報3の更新がないシステムの場合は、図3(a)のように、初期構築時に地図画像4を生成する。
また、初期構築時に管理情報1や描画情報3がなく、システム実行時に管理情報1や描画情報3が決定されるシステムの場合は、図3(b)のように、システム実行時に地図画
像4を生成する利用形態をとることができる。
また、初期構築時に管理情報1や描画情報3が決定されるとともに、システム実行時に管理情報1や描画情報3の更新が行われるシステムの場合は、図3(c)のように、初期構築時に地図画像4を生成し、システム実行時で管理情報1や描画情報3が変更された時に、地図画像4を更新する利用形態をとることができる。
このように、地図画像生成装置を使い分けることができる。
【0015】
実施の形態1によれば、管理情報に対応する用途ごとの描画情報をもち、1つの管理情報に対して、描画情報を切り替えることで、用途に応じた地図画像を生成することができ、従来方式より高速に画像を生成することができる。
【0016】
実施の形態2.
図4は、この発明の実施の形態2による地図画像生成装置の描画情報切り替えによる地図表示方式を示す図である。
図4において、1、3a、6aは図2におけるものと同一のものである。図4では、業務Bの描画情報3bと、これを用いて描画される業務Bの地図表示6bが示されている。描画情報3a、3bは、それぞれ「工事中」の描画情報31と、「通行止」の描画情報32とを有し、業務に応じて切替えて、地図描画に用いられるようになっている。
なお、管理情報1の工事中や通行止を示す点は、描画の始まりの点である。ただし、この点が、描画の始まりの点か、または描画の中心の点かを描画情報3で定義できるようにしても良い。
【0017】
実施の形態2では、地図描画装置23で、1つの管理情報1に対する描画情報3a、3bを切り替えることで、用途(業務)に応じて変更された地図表示6a、6bを行うことができる。
工事中や通行止などの管理対象の座標を有する管理情報1に対して、管理対象の種類(工事中や通行止など)毎にどのように表示するかを描画情報3で定義しており、地図描画装置23による地図表示時に管理情報1に描画情報3を適用して地図を表示することで、1つの管理情報1を用いて、業務に応じた地図表示を行うことが可能となる。
【0018】
実施の形態2によれば、1つの管理情報に対して用途ごとに描画情報を切り替えることで、用途に応じた地図を表示することができる。
【0019】
実施の形態3.
実施の形態1の地図描画方法を実行する場合、画像ファイルに対応した表示領域の描画単位で描画が行われるが、この表示領域に管理情報1の座標が含まれる場合と、含まれない場合がある。管理情報を、用途に応じた描画情報により描画したときの図形の領域は、1つの表示領域を超えて、他の表示領域に跨る場合が多いため、管理情報1の座標が含まれない表示領域の場合には、描画した結果の管理情報の図形が欠けるという問題が発生する。
実施の形態3は、この問題に対応するものである。
【0020】
図5は、この発明の実施の形態3による地図画像生成装置の地図描画装置の描画における問題点を説明する図である。
図5において、地図描画装置23により、画像ファイルに対応した表示領域の描画単位で管理情報に対応する図形を描画する場合、管理情報の座標が含まれない表示領域には、管理情報の図形が出力されず、管理情報の図形が欠けるという問題が生じる。画像7aが、表示されるべき地図画像である場合に、画像7bは、地図描画装置23によって描画される地図画像を示し、管理情報の図形が欠けた領域8を有している。
【0021】
図6は、この発明の実施の形態3による地図画像生成装置の描画情報を適用した地図表示結果の領域の算出方法を示す図である。
図6では、指定した描画情報3を適用した描画範囲に追加する領域を算出する方法を示している。
図6(a)は、文字列62を、画像ファイルに対応した表示領域61に表示する場合を説明する図、図6(b)は、シンボル63を表示領域61に表示する場合を説明する図である。
図6(a)で、文字列62を表示領域61に表示する場合には、管理情報の座標が、表示領域61にはないので、図形の表示欠けが生じる。これを防ぐために、管理情報の座標を表示領域61に含めるように、表示領域61の描画範囲を拡張する必要がある。この拡張に当たっては、文字列62の幅と、高さを全て含む領域を描画範囲に追加し、点線で示した描画範囲にまで拡張する。
図6(b)で、シンボル63を表示領域61に表示する場合には、管理情報の座標が、表示領域61にはないので、図形の表示欠けが生じる。これを防ぐために、この座標を表示領域61に含めるように、表示領域61の描画範囲を拡張する必要がある。この拡張に当たっては、シンボル62の幅と、高さを全て含む領域を描画範囲に追加し、点線で示した描画範囲にまで拡張する。
【0022】
図7は、この発明の実施の形態3による地図画像生成装置の描画情報を適用した地図表示結果の領域の算出処理を示すフローチャートである。
【0023】
次に、動作について説明する。
表示図形の欠けが発生するのは、管理情報1の座標が含まれない画像ファイルの表示領域においてである。この表示図形の欠けを防ぐには、管理情報1の座標を描画範囲に含めるようにする。すなわち、表示領域61の矩形に、管理情報1と描画情報3を適用して地図を描画した結果の領域である文字列62や、シンボル63を含むような追加領域を加えた描画範囲とする必要がある。
管理情報1が点、描画情報3が文字列の場合、文字列の幅、高さを含む領域を追加領域とすることで、図6(a)の点線で示した範囲が、管理情報の座標を含めた描画範囲になる。
管理情報1が点、描画情報3がシンボルの場合、シンボルの幅、高さを含む領域を追加領域とすることで、図6(b)の点線で示した範囲が、管理情報の座標を含めた描画範囲になる。
【0024】
次に、図7にしたがって、描画領域算出装置22により、描画範囲の追加領域を算出する処理について説明する。
描画情報3の定義から、該当する描画情報を抽出する(S1)。このとき、描画情報の有無を判定(S2)し、描画情報がある場合、文字かシンボルかを判定する(S3)。
文字の場合には、文字の描画情報である文字列長と文字サイズから、文字列の幅と高さを算出する(S4)。シンボルの場合には、シンボルの描画情報であるシンボルサイズから、シンボルの幅と高さを算出する(S5)。
【0025】
次に、1つ目の描画情報であるかどうかを判定し(S6)、1つ目の描画情報の場合は、描画範囲の追加領域に、算出した文字列またはシンボルの幅と高さを設定する(S7)。
2つ目以降の場合、算出結果が現在の描画範囲の追加領域より大きいか小さいかを判定し(S8)、現在の描画範囲の追加領域より小さい場合は、描画情報抽出(S1)に戻る。
現在の描画範囲の追加領域より大きい場合は、現在の描画範囲の追加領域を更新し、描画範囲の追加領域に算出した幅と高さを設定し(S9)、描画情報抽出(S1)に戻る。
S2で、描画情報がない場合は、描画範囲の追加領域を描画制御装置21へ送る(S10)。
【0026】
実施の形態3によれば、管理情報の座標がない表示領域では、描画範囲の追加領域を設定して描画するので、管理情報の図形の表示欠けが発生しないようにすることができる。
【0027】
実施の形態4.
図8は、この発明の実施の形態4による地図画像生成装置の地図の描画単位を説明する図である。
図8(a)は、従来方式の地図の描画単位1の場合で、1回の描画面積が1×1の場合を示す図、図8(b)は、描画単位1、追加領域2とした場合で、1回の描画面積が3×3の場合を示す図、図8(c)は、本発明の描画単位4、追加領域2とした場合で、1回の描画面積が6×6の場合を示す図である。
なお、図8では、1画像ファイル(基準画像ファイルサイズを有する)を1と定義している。
【0028】
次に、動作について説明する。
実施の形態4は、描画範囲に追加領域を加える場合に、1回の描画において効率的な描画面積とする場合についてのものである。
図8(a)の従来方式では、画像ファイル単位で地図を描画していた。つまり、画像ファイル単位が描画単位(1回で描画する領域)であった。
この描画単位で地図を描画する場合では、例えば、実施の形態3の描画範囲の追加領域を設定する場合、画像ファイルの表示領域に追加領域を加えた範囲が描画単位となり、1回の描画面積が大きくなる。これは図8(b)に示すとおりである。
実施の形態4は、このため、描画制御装置21で、画像ファイルの表示領域よりも広い範囲を描画単位として、描画面積を抑えつつ、描画回数を削減するようにしている。すなわち、図8(c)のように1回の描画面積とする。この場合の描画単位の算出方法は、後述する実施の形態5で詳述する。
【0029】
図8(a)の従来方式では、1回の描画面積を1とすると、16画像ファイル分の描画を行った場合の描画回数は16回、描画面積の合計は16となるが、管理情報の図形の表示欠けが発生する。
図8(b)のように、従来方式に実施の形態3の描画範囲の追加領域を設定する方法では、管理情報の図形の表示欠けは発生しなくなるが、追加領域の幅及び高さを1とすると、1回の描画面積が3×3で9、16画像ファイル分の描画を行った場合の描画回数は16回、描画面積の合計は144となり、描画面積が大きくなってしまう。
このため、本発明は、図8(c)のように、描画制御装置21で算出する複数の画像ファイル分の領域を描画単位として描画を行う。すなわち、16画像ファイル分を1回で描画する。
描画単位を4×4の画像ファイル単位、追加領域の幅及び高さ1で地図を描画する場合、1回の描画面積が6×6で36となり、16画像ファイル分の描画を行った場合の描画回数は1回、描画面積の合計は36となり、描画面積を抑えることが可能となる。
【0030】
実施の形態4によれば、描画範囲に追加領域を設定する場合であっても、複数の画像ファイル分を1回で描画することにより、描画面積を抑えることが可能となる。
【0031】
実施の形態5.
図9は、この発明の実施の形態5による地図画像生成装置の地図表示順と管理情報矩形の読み込み方式を示す図である。
図9(a)は、従来の地図表示順と管理情報矩形の読み込み方式を示す図、図9(b)
は、本発明の地図表示順と管理情報矩形の読み込み方式を示す図である。
図9において、管理情報矩形72には、複数の画像ファイル71が含まれる。ここで、管理情報矩形とは、複数の画像ファイルを含む記憶装置の領域をいう。
矢印は、表示順を示している。図9(a)では、左上から右下に向けて画像ファイル71の単位に画像生成領域全体をジグザグに表示する。この場合、同じ管理情報矩形72を何度も読み込むことになる。図9(b)では、管理情報の読み込み上限4となっており、この管理情報の読み込み上限内の画像生成領域をジグザグに表示する。この場合、管理情報矩形72の読み込みは1回でよい。
【0032】
図10は、この発明の実施の形態5による地図画像生成装置の描画単位と管理情報の読み込み数を算出する処理を示すフローチャートである。
【0033】
図11は、この発明の実施の形態5による地図画像生成装置の描画順制御処理を示すフローチャートである。
【0034】
次に、動作について説明する。
実施の形態5では、描画制御装置21による地図描画順の制御と、管理情報矩形の読み込みについてのものである。
従来方式では、図9(a)のように、左上から右下に向けて画像ファイル単位に管理情報矩形72を読み込み、画像生成領域全体をジグザグに表示(描画)していた。この場合、画像ファイル単位で読み込むため、同じ管理情報矩形72の読み込みが頻繁に発生する。
実施の形態5は、描画制御装置21で、管理情報矩形の読み込み数を設定して、設定した読み込み数に達するまで、読み込んだ管理情報をメモリに保持する。そして、描画単位がメモリに保持されている管理情報の領域の範囲内である場合は、読み込みを実行せず、描画単位がメモリに保持されている管理情報の領域を超えた際に、次の管理情報矩形72の読み込みを実行する。
描画単位がメモリに保持されている管理情報の領域の範囲内である場合は、メモリに保持している管理情報の領域の範囲内を実施の形態4で述べた描画単位で、ジグザグに表示(描画)する。
これにより、メモリに保持している管理情報の領域を有効に利用し、管理情報矩形の読み込み回数を削減するようにしている。
【0035】
次に、図10を用いて、描画制御装置21による、描画単位と管理情報の読み込み数の設定値を算出する処理について説明する。
管理情報1を読み込み、管理情報矩形の最大サイズaを算出する(S11)。これは、管理情報矩形内のデータ量の大きさの最大サイズであり、東京などは大きくなる。次いで、最大サイズの管理情報矩形の読み込みの際のメモリ使用量bを算出する(S12)。
次に、最大サイズの管理情報矩形を使って、基準画像ファイルサイズで表示した場合の表示メモリ使用量cと、描画範囲の追加領域で表示した際の表示メモリ使用量dをそれぞれ算出する(S13)。
【0036】
次いで、本処理を実行する装置(計算機)の使用可能メモリ(計算機ごとに決まっている)を、管理情報矩形の最大サイズの読み込みメモリ使用量bと、画像ファイルサイズ基準値表示メモリ使用量cとの割合になるよう割り当てる(S14)。管理情報矩形の最大サイズの読み込みメモリ使用量bに対応して割当てたものを使用可能最大メモリeとし、画像ファイルサイズ基準値表示メモリ使用量cに対応して割当てたものを使用可能最大メモリfとする。
次いで、最大サイズの管理情報矩形の読み込みメモリ使用量bの1、2、…nの値で、使用可能最大メモリ使用量eに達する値を算出し(S15)、管理情報矩形読み込
み数(管理情報矩形読み込み上限)とする。同様に、基準画像ファイルサイズの表示メモリ使用量cの1、2、…n+描画範囲の追加領域の表示メモリ使用量dの値で、使用可能最大メモリ使用量fに達する値を算出し(S16)、これを描画単位とする。
次に、管理情報矩形読み込み数と描画単位を描画制御処理へ送る(S17)。
【0037】
次に、図11を用いて、描画制御装置21により、描画単位と管理情報矩形の読み込み数の設定値を使って、地図描画装置23に、ジグザグに描画するための地図描画命令を発行する処理について説明する。
図10のフローにより算出された管理情報矩形読み込み数と管理情報矩形サイズaから、管理情報読込上限幅及び高さを算出(S21)し、描画開始位置、描画位置を設定する(S22)。管理情報読込上限幅と高さは、ジグザグの仕方を示している。
次いで、実行する描画範囲(描画位置×描画単位)を算出し(S23)、管理情報読込上限幅以上か以下かを判定(S24)し、管理情報読込上限幅以下であれば、描画命令を地図描画装置23へ発行し(S28)、描画位置を更新する(S29)。
S24で、管理情報読込上限幅以上であれば、ジグザグを下方に折り返す。S23で算出した描画範囲が、管理情報読込上限高さ以上か以下かを判定する(S25)。この判定は、ジグザグを一番下まで実行したかどうかを判定するものである。
管理情報読込上限高さ以下であれば、ジグザグを描画単位高さ分、下方に移行させるため、描画開始位置を、S22で設定した描画開始位置+描画単位高さに設定し(S26)、描画命令を発行して(S28)、描画位置を更新する(S29)。
S25で、管理情報読込上限高さ以上であれば、ジグザグを管理情報矩形読込範囲の一番下まで実行しているので、次の管理情報矩形読込範囲に移動するため、描画開始位置を、描画開始位置+描画単位幅に設定して(S27)、描画命令を発行し(S28)、描画位置を更新する(S29)。
【0038】
実施の形態5によれば、管理情報矩形の読込み上限を算出し、この管理情報矩形の読込み上限内の領域をジグザグに表示するようにしたので、管理情報の読込み回数を減らすことができる。
【0039】
実施の形態6.
図12は、この発明の実施の形態6による地図画像生成装置の地図画像分割方式を示す図である。
図12では、地図画像生成/分割装置24の処理を示し、描画した地図情報を画像化し、クライアント30で表示する画像の単位に分割する。クライアント30の地図表示領域や、クライアント30とサーバ40を結ぶネットワークの環境に応じて分割することで、適切なサイズの画像ファイルを送信することが可能となる。
なお、クライアント30の地図表示領域や、クライアント30とサーバ40を結ぶネットワークの環境が予め決まっている場合は、サーバ40の定義で出力することも可能とする。
【0040】
図12において、クライアント1(30a)は、地図表示領域の幅及び高さ(自装置のディスプレイの幅と高さ)が、800×600で、1ファイルダウンロードサイズが50kbという情報をサーバ40に送信し、サーバ40は、描画制御装置21で定義した基準画像ファイルサイズ50×50(10kb)から、クライアント1(30a)の1ファイルダウンロードサイズ内で、クライアント1(30a)の地図表示領域の幅及び高さに合わせた100×100(40kb)の画像を送信する。
クライアント2(30b)は、地図表示領域の幅及び高さが1200×1200で、1ファイルダウンロードサイズが100kbという情報をサーバ40に送信し、サーバ40は、描画制御装置21で定義した基準画像ファイルサイズ50×50(10kb)から、クライアント2(30b)の1ファイルダウンロードサイズ内で、クライアント2(30
b)の地図表示領域の幅及び高さに合わせた150×150(90kb)の画像を送信する。
【0041】
図13は、この発明の実施の形態6による地図画像生成装置の画像生成/分割/送信処理を示すフローチャートである。
【0042】
次に、図13を用いて、地図画像生成/分割装置24の地図画像を分割する処理について説明する。
基準画像ファイルサイズ、1ファイルダウンロードサイズ、地図表示領域の幅及び高さの比率から分割する画像サイズを算出し(S31)し、地図表示領域に合せて送信枚数を算出する(S32)。
次いで、地図画像が生成されているかどうかを判定し(S33)、地図画像が生成されていない場合は、地図描画装置23の地図表示結果から地図画像を生成して(S34)、S31で算出した画像サイズで、S34で生成した地図画像を分割して(S35)、クライアント30に送信する(S36)。
S33で、地図画像が生成されている場合には、S31で算出した画像サイズで、地図画像を分割して(S35)、クライアント30に送信する(S36)。
【0043】
実施の形態6によれば、クライアントとネットワークの環境に基づく画像サイズで、地図画像を分割して、クライアントに送信することができる。
【符号の説明】
【0044】
1 管理情報
2 地図画像生成装置
3 描画情報
4 地図画像
12 地図画像生成装置
21 描画制御装置
22 描画領域算出装置
23 地図描画装置
24 地図画像生成/分割装置
30 クライアント
40 サーバ
50 地図画像生成ツール
71 画像ファイル
72 管理情報矩形

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地図上の管理対象の座標を有する管理情報と、この管理情報に対し、用途ごとに描画方法を定義した描画情報とを記憶した記憶装置、
上記管理情報及び上記描画情報を用いて、描画単位で所定の描画順序により地図画像を描画する地図描画手段、
及びこの地図描画手段によって描画された地図画像を分割して出力する地図画像分割手段を備えたことを特徴とする地図画像生成装置。
【請求項2】
上記地図描画手段は、管理情報に対し、用途に応じて描画情報を切り替えて上記地図情報を描画することを特徴とする請求項1記載の地図画像生成装置。
【請求項3】
上記描画単位は、地図画像ファイルに対応する領域である基準単位を含み、
上記地図描画手段によって描画される上記管理情報に対応する図形が複数の基準単位に跨る場合に発生する上記図形の表示欠けに対処するために、上記基準単位に追加して描画する追加領域を算出する描画領域算出手段を備えたことを特徴とする請求項1または請求項2記載の地図画像生成装置。
【請求項4】
上記描画領域算出手段によって算出された追加領域を考慮し、上記描画単位と上記所定の描画順序とを設定する描画制御手段を備え、
上記地図描画手段は、上記描画制御手段の出力に基づき、上記地図画像を描画することを特徴とする請求項3記載の地図画像生成装置。
【請求項5】
上記描画制御手段は、上記管理情報の読み出し回数が減るように、上記所定の描画順序を設定することを特徴とする請求項4記載の地図画像生成装置。
【請求項6】
上記地図画像分割手段は、上記地図描画手段によって描画された地図画像を、表示用計算機の表示領域を考慮したサイズに基いて分割することを特徴とした請求項1〜請求項5のいずれかに記載の地図画像生成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−118856(P2012−118856A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−269240(P2010−269240)
【出願日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】