説明

地図関連データーの圧縮送信システム

【課題】 端末に大容量記憶装置を備えることなく、必要なデーターを高速に端末に取得する。
【解決手段】 位置情報端末100はGPSモジュール105が出力する緯度経度データーを位置情報基地局200へ送信する。位置情報基地局200は受信した緯度経度の周辺のデーターを、地図データー202、緯度経度データー203、アドレスデーター204から抽出し圧縮して位置情報端末100へ送信する。位置情報端末100は受信したデーターを復元して記憶装置108の2次元配列に格納し、GPSモジュール105が出力する緯度経度データーをもとに2次元配列におけるインデックスを算出して、地図上の現在位置及びアドレスを取得し、LCD表示パネル104に表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、サーバーで地図関連データーを圧縮して送信し端末で復元する地図関連データーの圧縮送信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、GPSにより緯度経度の形態で得られる自己の位置情報に基づき、画面上に表示された地図へ自己の現在位置を表示する装置が知られている。また、特許文献1に記載されているように、緯度経度と住所を対応づけて記憶する住所データベースを備え、GPSにより得られる位置情報に基づき、住所データベースを参照して住所の形態で自己の位置情報を表示する装置が知られている。
【特許文献1】特公平7-49959号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記の従来技術によれば、画面上に表示される地図データー、GPSにより得られる緯度経度と地図上の位置、住所を対応させる緯度経度データー、住所データベースは、CD−ROM等の外部記憶装置に格納される。CD−ROM等の大容量記憶装置を用いた端末は小型化が困難で携帯に不便である。
この発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、端末に大容量記憶装置を備えることなく、必要なデーターを高速に端末に取得することができる地図関連データーの圧縮送信システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この発明は上記の課題を解決するためになされたもので、請求項1に記載の発明は、位置情報端末と位置情報基地局とが通信ネットワークを介して接続された地図関連データーの圧縮送信システムにおいて、前記位置情報基地局は、前記地図関連データーを記憶する記憶手段と、前記記憶された地図関連データーを圧縮する圧縮手段と、前記圧縮された地図関連データーを位置情報端末へ送信する送信手段とを備え、前記位置情報端末は、前記位置情報基地局から前記圧縮された地図関連データーを受信する受信手段と、前記圧縮された地図関連データーを復元する復元手段と、前記復元された地図関連データーを記憶する記憶手段とを備えることを特徴とする地図関連データーの圧縮送信システムである。
【0005】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の地図関連データーの圧縮送信システムにおいて、前記地図関連データーは、ドット毎に色番号が割り当てられた地図データーであり、前記位置情報基地局の記憶手段は、前記地図データーのドット毎の色番号を2次元配列に記憶し、前記圧縮手段は、前記2次元配列に記憶されたデーターを前記色番号ごとに前記色番号が格納されている格納番地を列挙する形式に圧縮し、前記復元手段は、前記圧縮されたデーターを前記位置情報端末の記憶手段に確保された2次元配列において前記列挙された格納番地に前記色番号を格納する形式に復元することを特徴とする。
【0006】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の地図関連データーの圧縮送信システムにおいて、前記地図関連データーは、格子状に区分けされた各々の領域の緯度経度データーであり、前記位置情報基地局の記憶手段は、前記各々の領域の緯度経度データーを第1のインデックスと第2のインデックスとで格納番地を特定する2次元配列に記憶し、前記圧縮手段は、前記2次元配列の先頭の格納番地に格納した緯度の値を示す第1の値と、前記2次元配列において前記第1のインデックスが増加するごとに格納している緯度の値が変化する大きさを示す第2の値と、前記2次元配列の先頭の格納番地における第1のインデックスの値を示す第3の値と、前記2次元配列における前記第1のインデックスの方向のデーター数を示す第4の値と、前記2次元配列の先頭の格納番地に格納した経度の値を示す第5の値と、前記2次元配列において前記第2のインデックスが増加するごとに格納している経度の値が変化する大きさを示す第6の値と、前記2次元配列の先頭の格納番地における第2のインデックスの値を示す第7の値と、前記2次元配列における前記第2のインデックスの方向のデーター数を示す第8の値とを用いて表記する形式に圧縮し、前記復元手段は、前記圧縮された緯度経度データーを、前記位置情報端末の記憶手段に確保された2次元配列において、前記第3の値を第1のインデックスの値とし、前記第7の値を第2のインデックスの値として特定される格納番地を前記2次元配列の先頭の格納番地とし、前記第1の値を緯度の値とし、前記第5の値を経度の値として前記先頭の格納番地に格納し、前記2次元配列において緯度経度データーを復元する範囲を、第1のインデックスの方向は前記第4の値が示すデーター数とし、第2のインデックスの方向は前記第8の値が示すデーター数として特定し、前記特定された領域の各々の格納番地に、前記第1のインデックスが1増加するごとに緯度を前記第2の値だけ増加させ、前記第2のインデックスが1増加するごとに経度を前記第6の値だけ増加させて前記2次元配列に復元することを特徴とする。
【0007】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の地図関連データーの圧縮送信システムにおいて、前記地図関連データーは、格子状に区分けされた各々の領域のアドレスデーターであり、前記位置情報基地局の記憶手段は、前記各々の領域のアドレスデーターを2次元配列に記憶し、前記圧縮手段は、前記2次元配列における連続した格納番地においてアドレスが連続して1づつ増加または減少する場合に、前記連続して1づつ増加または減少するアドレスにおける先頭のアドレスを示す先頭アドレスと、前記先頭アドレスを格納した前記2次元配列の格納番地を示す先頭アドレス格納番地と、前記連続して1づつ増加または減少するアドレスにおける末尾のアドレスを示す末尾アドレスと、前記末尾アドレスを格納した前記2次元配列の格納番地を示す末尾アドレス格納番地とを用いて表記する形式に圧縮し、前記復元手段は、前記圧縮されたアドレスデーターを、前記位置情報端末の記憶手段に確保された2次元配列において、前記先頭アドレス格納番地から前記末尾アドレス格納番地までの連続した格納番地に、前記先頭アドレスから開始して前記末尾アドレスまでアドレスを1づつ増加または減少させて復元することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、従来CD−ROM等の外部記憶装置に格納していた地図関連データーを通信ネットワークに接続されたサーバーに格納し、必要なデーターを圧縮して端末へ送信する構成としたので、端末に大容量記憶装置を備えることなく、通信ネットワークを介して必要なデーターを高速に端末に取得することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図面を参照し、この発明の実施の形態について説明する。図1はこの発明の実施の形態による地図関連データーの圧縮送信システムの構成を示すブロック図である。
位置情報端末100は、例えばGPS受信機を備えた携帯電話である。位置情報端末100は、通信ネットワーク300を介して位置情報基地局200と通信を行う。通信ネットワーク300は、例えば携帯電話網である。
位置情報端末100の携帯電話ブロック101は、音声及びデーターの送受信を行う携帯電話通信モジュール102、操作が必要なときに使用されるキーボード103、地図、現在位置、アドレスを表示するLCD表示パネル104から構成される。
図2はLCD表示パネル104に表示される地図120の例である。LCD表示パネル104は横240、縦320のドットを有し、ドット毎に1つの色を表示することにより、パネル上に画像、文字等を表示する。
GPSモジュール105は、GPSの電波を受信して自己の現在位置を示す緯度経度データーを出力するGPS受信機である。
【0010】
コントローラー106は、データーバス111を介して、携帯電話ブロック101、GPSモジュール105、記憶装置108、Row Columnアドレスデコーダー109を制御し、また、位置情報基地局200から受信した圧縮データーを復元する。制御プログラムROM(制御プログラムリードオンリーメモリー)107には、コントローラー106のプログラムが記憶される。
【0011】
地図画面データー112は、LCD表示パネル104に表示される横240、縦320のドット毎に表示する色を特定するコードが割り当てられたデーターであり、240×320の2次元配列による格納領域に格納される。地図画面データー112の各ドットに対応する地図上の位置の緯度経度及びアドレスが、それぞれ緯度経度2次元配列データー113、アドレス2次元配列データー114として格納される。これらのデーターも240×320の2次元配列による格納領域に格納される。そして、上述した2次元配列におけるデーターの格納番地はRowインデックス及びColumnインデックスで特定される。
【0012】
2次元配列の格納領域の大きさは上記に限定されず、2次元配列の格納領域の数が異なっても動作の仕組みは同様であるため、以下の説明では、図2に示す左上の太枠内の領域であって、図3に示す縦10ドット、横10ドットの領域を対象として説明する。このデーターは2次元配列の(R21,C21)から(R30,C30)の領域に格納される。地図上で、図3の左下は道路の一部、右上は敷地の一部、黒はこれらの境界線である。地図記号と色及び色番号の対応表の例を[表1]に示す。
【0013】
【表1】

[表1]によれば、地図記号「道路」の色は「ライトブルー」、色番号は「1」、地図記号「敷地」の色は「ベージュ」、色番号は「5」である。したがって、例えば2次元配列の(R23,C21)、(R24,C21)、・・・は色番号1、(R21,C21)、(R21,C22)、・・・は色番号5が格納される。
【0014】
緯度経度2次元配列データー113は、地図画面データー112の各ドットに対応する地図上の位置の緯度経度データーである。緯度経度2次元配列データー113の例を[表2]に示す。
【0015】
【表2】

このデーターは2次元配列の(R11,C11)から(R20,C20)の領域に格納される。
アドレス2次元配列データー114は、地図画面データー112の各ドットに対応する地図上の位置のアドレスデーターである。アドレス2次元配列データー114の例を[表3]に示す。
【0016】
【表3】

このデーターは2次元配列の(R1,C1)から(R10,C10)の領域に格納される。
後で説明するように、上記の地図画面データー112、緯度経度2次元配列データー113、アドレス2次元配列データー114は、それぞれのデーターが格納された2次元配列の格納領域のRowインデックス及びColumnインデックスに所定の演算を行うことで相互に対応づけされる。
【0017】
記憶装置108のRowレジスター115、Columnレジスター116は、Row Columnアドレスデコーダー109が出力するRow値及びColumn値を記憶する。この値は2次元配列に格納されたデーターのインデックスを算出するときに使用される。
[表4]はRow Columnアドレスデコーダー109内に記憶されるデーターの例である。
【0018】
【表4】

[表4]は緯度経度2次元配列データー113の内容をもとに生成され、緯度経度2次元配列データー113のRow値及びColumn値と緯度経度の対応関係を示すものである。Row Columnアドレスデコーダー109は、GPSモジュール105によって測定された緯度経度データーを[表4]によってRow値及びColumn値に変換し、データーバス111へ出力する。
【0019】
位置情報基地局200のデーターサーバー201は、地図データー202、緯度経度データー203、アドレスデーター204を対応づけて記憶する。対応づけの方法は、位置情報端末100の記憶装置108における地図画面データー112、緯度経度2次元配列データー113、アドレス2次元配列データー114の対応づけと同様である。
データーサーバー201は、これらのデーターから必要な部分を抽出し、2次元配列を確保して抽出されたデーターを記憶し、以下で説明するような形式に圧縮する。この処理は位置情報端末100からデーター取得の要求があったときに行われ、圧縮されたデーターは通信制御部205を介して位置情報端末100へ送信される。
【0020】
まず、地図データー202から抽出されたデーターの圧縮表記について説明する。抽出されたデーターは図3と同様とする。データーサーバー201は2次元配列を確保し、抽出されたデーターを(R21,C21)から(R30,C30)の領域に格納する。次の圧縮データー1は、抽出されたデーターの一部を圧縮表記した例である。
1(R23,C21)(R24,C21)、5(R21,C21)(R21,C22)・・・圧縮データー1
【0021】
圧縮データー1は、地図データー202の2次元配列における格納番地(R23,C21)(R24,C21)に色番号1を格納し、格納番地(R21,C21)(R21,C22)に色番号5を格納することを表す。格納番地ごとに色番号を表記する形式と異なり、同じ色番号を格納する格納番地を列挙する形式となっており、データー量が圧縮される。
【0022】
次に、緯度経度データー203から抽出されたデーターの圧縮表記について説明する。抽出されたデーターは表2と同様とし、2次元配列の(R11,C11)から(R20,C20)の領域に格納する。
[表2]において、例えばN18”の表記は緯度を表す「北緯35度39分18秒」の「北緯」と「18秒」の部分を表し、「35度39分」の部分は省略している。同様に、例えばE41” の表記は経度を表す「東経139度44分41秒」の「東経」と「41秒」の部分を表し、「139度44分」の部分は省略している。[表2]のRowインデックスは,R11からはじまって10個あり、Rowインデックスが増加する方向に、緯度の値が北緯35度39分18秒から始まって1秒づつ増加しており、[表2]のColumnインデックスはC11から始まって10個あり、Columnインデックスが増加する方向に、経度の値が東経139度44分41秒から始まって1秒づつ増加している。次の圧縮データー2は、これを圧縮表記した例である。
(N35 39’ 18”、1”、R11、10)(E139 44’ 41”、1”、C11、10)・・・圧縮データー2
【0023】
圧縮データー2の第1の括弧内の「、」で区切られた4つの値は、緯度経度データー203が格納される2次元配列の先頭の格納番地に格納される緯度、2次元配列においてRowインデックスが増加するごとに緯度が変化する大きさ、2次元配列の先頭の格納番地におけるRowインデックスの値、2次元配列におけるRowインデックスの方向のデーター数を表す。圧縮データー2の第2の括弧内の「、」で区切られた4つの値は、2次元配列の先頭の格納番地に格納される経度、2次元配列においてColumnインデックスが増加するごとに経度が変化する大きさ、2次元配列の先頭の格納番地におけるColumnインデックスの値、2次元配列におけるColumnインデックスの方向のデーター数を表す。このように表記すれば、格納番地ごとに緯度経度データーを表記する形式と異なり、データー量が圧縮される。
【0024】
次に、アドレスデーター204から抽出されたデーターの圧縮表記について説明する。抽出されたデーターは表3と同様とし、2次元配列の(R1,C1)から(R10,C10)の領域に格納する。
アドレスは緯度経度のような規則性はないが、連続した格納番地においてアドレスを表す数字が1づつ増加または減少する場合、例えば、1丁目−1、1丁目−2、1丁目−3のようにアドレスを表す数字が1づつ増加する場合には、この連続したアドレスを圧縮表記することができる。次の圧縮データー3は、抽出されたアドレスデーター204の一部を圧縮表記した例である。
(1丁目−1 R1,C1)(1丁目−4 R4,C1)、(2丁目−1 R5,C1)(2丁目−10 R4,C2)・・・圧縮データー3
【0025】
圧縮データー3の「(1丁目−1 R1,C1)(1丁目−4 R4,C1)」の部分は、格納番地(R1,C1)から(R4,C1)にかけては、アドレスが1丁目−1から1丁目−4まで連続して1づつ増加していることを表す。また、圧縮データー3の「(2丁目−1 R5,C1)(2丁目−10 R4,C2)」の部分は、格納番地(R5,C1)から(R10,C1)までと(R1,C2)から(R4,C2)までの連続した格納番地においては、アドレスが2丁目−1から2丁目−10まで連続して1づつ増加していることを表す。ここで連続したアドレスとは、上記のように2次元配列の端の格納番地までアドレスが連続して1づつ増加または減少し、列または行をかえて、当該2次元配列の反対側の端から引き続き連続して1づつ増加または減少する場合も含まれる。このように表記すれば、格納番地ごとにアドレスを表記する形式と異なり、データー量が圧縮される。
【0026】
次に上記で説明したシステムの動作を説明する。まず、図4を参照して、位置情報端末100が、地図、現在位置、アドレスを表示するために必要なデーターを位置情報基地局200から取得する処理の流れを説明する。
まず、コントローラー106は、GPSモジュール105から自己の現在位置を示す緯度経度データーを取得する(ステップS11)。
次に、コントローラー106は、取得した緯度経度データーを携帯電話通信モジュール102を介して位置情報基地局200へ送信し、緯度経度データーが示す位置の周辺を指定範囲として、当該範囲の地図データー202と、当該範囲の地図データー202に対応づけられた範囲の緯度経度データー203及びアドレスデーター204を要求する(ステップS12)。
【0027】
位置情報基地局200の通信制御部205が位置情報端末100から緯度経度データー及びデーター取得の要求を受信すると、データーサーバー201は指定範囲の地図データー202と、当該範囲に対応づけられた範囲の緯度経度データー203及びアドレスデーター204とを抽出する。抽出されたデーターは、前述の図3、[表2]、[表3]と同様であるとして説明する。抽出されたデーターは以下のような手順で、前述の圧縮データー1、圧縮データー2、圧縮データー3のような形式に圧縮される。
【0028】
まず、データーサーバー201は、圧縮処理を行うため、データーを格納する2次元配列の領域を確保し、対象範囲の地図データー202を格納番地(C21,R21)から(C30,R30)に格納する。データーサーバー201は、色番号ごとに、先頭に色番号、続いて2次元配列においてその色番号を格納する格納番地が列挙された形式で出力する。例えば、まず、色番号1を格納している格納番地を(R21,C21)から(R30,C30)まで順に調べていき、見つかったら色番号と格納番地を出力し、さらに見つかったら格納番地を追加して出力し、全ての格納番地について調べ終わったら、色番号2について同様に処理を行う。[表1]によれば色番号は19まで存在するので、この処理を色番号19まで繰り返して行う。位置情報基地局200は、通信制御部205を介して、データーサーバー201からの出力結果を位置情報端末100へ送信する。
【0029】
次に、データーサーバー201は、指定範囲の地図データー202に対応づけられた範囲の緯度経度データー203を2次元配列の格納番地(R11,C11)から(R20,C20)に格納する。データーサーバー201は、2次元配列の先頭の格納番地に格納されている緯度の値である「N35 39’ 18”」と、2次元配列においてRowインデックスが増加するごとに緯度が変化する大きさである「1”」と、2次元配列の先頭の格納番地におけるRowインデックスの値であるR11と、2次元配列におけるRowインデックスの方向のデーター数である10とを第1のデーターとし、2次元配列の先頭の格納番地に格納されている経度の値である「E139 44’ 41”」と、2次元配列においてColumnインデックスが増加するごとに経度が変化する大きさである「1”」と、2次元配列の先頭の格納番地におけるColumnインデックスの値であるC11と、2次元配列におけるColumnインデックスの方向のデーター数である10とを第2のデーターとして出力する。位置情報基地局200は、通信制御部205を介して、データーサーバー201からの出力結果を位置情報端末100へ送信する。
【0030】
次に、データーサーバー201は、指定範囲の地図データー202に対応づけられた範囲のアドレスデーター204を2次元配列の格納番地(R1,C1)から(R10,C10)に格納する。データーサーバー201は、格納番地(R1,C1)から(R10,C1)まで、次に、格納番地(R1,C2)から(R10,C2)まで、その次に、格納番地(R1,C3)から(R10,C3)まで、というように、格納番地(R1,C1)から(R10,C10)まで、格納されたアドレスデーターを調べていき、連続した格納番地においてアドレスが連続して1づつ増加または減少していた場合に、連続して1づつ増加または減少するアドレスにおける先頭のアドレスと、先頭のアドレスを格納した2次元配列の格納番地と、連続して1づつ増加または減少するアドレスにおける末尾のアドレスと、末尾のアドレスを格納した2次元配列の格納番地とを出力する。連続した格納番地においてアドレスが連続して1づつ増加または減少していない場合には、当該格納番地に格納されたアドレスについては、例えば、(アドレス、格納番地)の形式で出力する。位置情報基地局200は、通信制御部205を介して、データーサーバー201からの出力結果を位置情報端末100へ送信する。
【0031】
なお、前記の格納されたアドレスデーターを調べていく順序は、格納番地(R1,C1)から(R1,C10)まで、次に、格納番地(R2,C1)から(R2,C10)まで、その次に、格納番地(R3,C1)から(R3,C10)まで、というように、格納番地(R1,C1)から(R10,C10)まで調べていく順序でもよい。
【0032】
位置情報端末100のコントローラー106は、携帯電話通信モジュール102を介して、指定範囲の地図データー202の圧縮データーを受信する(ステップS13)。コントローラー106は、記憶装置108にデーターを復元して格納する2次元配列の領域を確保する。
圧縮データーは、前述の圧縮データー1のように、色番号ごとに、先頭に色番号、続いて2次元配列においてその色番号を格納する格納番地が列挙されているので、確保された2次元配列の列挙された格納番地に色番号を格納する。この処理により、図3のように、格納番地(R21,C21)から(R30,C30)に地図画面データー112が生成される(ステップS14)。
【0033】
次に、コントローラー106は、携帯電話通信モジュール102を介して、指定範囲の地図データー202に対応づけられた範囲の緯度経度データー203の圧縮データーを受信する(ステップS15)。コントローラー106は、記憶装置108にデーターを復元して格納する2次元配列の領域を確保する。
【0034】
コントローラー106は、第1の括弧内における第3の値をRowインデックスの値とし、第2の括弧内における第3の値をColumnインデックスの値として特定される格納番地を2次元配列の先頭の格納番地とする。第1の括弧内における第1の値を緯度の値とし、第2の括弧内における第1の値を経度の値として先頭の格納番地に格納する。データーサーバー201において抽出された範囲の緯度経度データーはRowインデックスの方向に圧縮データーの第1の括弧内における第4の値が示すデーター数の格納領域と、Columnインデックスの方向に圧縮データーの第2の括弧内における第4の値が示すデーター数の格納領域とを有するので、各々の格納番地にRowインデックスが1増加するごとに緯度を第1の括弧内の第2の値だけ増加させ、Columnインデックスが1増加するごとに経度を第2の括弧内の第2の値だけ増加させて2次元配列に格納する。
【0035】
このようにして[表2]のような緯度経度2次元配列データー113が生成される(ステップS16)。この各インデックスに10づつ加算した格納番地が、地図画面データー112の格納番地(R21,C21)から(R30,C30)である。したがって、緯度経度2次元配列データー113における格納番地を示すRow値及びColumn値に10づつ加算することにより、緯度経度に対応する地図画面データー112における格納番地のインデックスを算出することができる。
【0036】
次に、コントローラー106は、緯度経度2次元配列データー113における緯度経度とRow値及びColumn値の対応関係をRow Columnアドレスデコーダー109に記憶する(ステップS17)。緯度ごとに対応するRow値を記憶し、経度ごとに対応するColumn値を記憶する。緯度経度2次元配列データー113に基づき、緯度N18”からN27”に対応してR11からR20の値を記憶し、経度E41”からE50”に対応してC11からC20の値が記憶したものが[表4]となる。ここで、[表2]と同様に[表4]においても、N18”の表記は緯度を表す「北緯35度39分18秒」の「35度39分」の部分を省略し、E41”の表記は経度を表す「東経139度44分41秒」の「139度44分」の部分を省略している。
【0037】
Row Columnアドレスデコーダー109は、緯度経度データーが入力されたときに、これらの値をもとにRow値及びColumn値を取得することにより、緯度経度2次元配列データー113における当該緯度経度データーの格納番地のRowインデックス及びColumnインデックスを取得することができる。
【0038】
次に、コントローラー106は、携帯電話通信モジュール102を介して、指定範囲の地図データー202に対応づけられた範囲のアドレスデーター204の圧縮データーを受信する(ステップS18)。コントローラー106は、記憶装置108にデーターを復元して格納する2次元配列の領域を確保する。
受信した圧縮データーのうち圧縮データー3のような表記の部分の意味は既に述べた通りである。コントローラー106は、2次元配列において、圧縮データー3の「(1丁目−1 R1,C1)(1丁目−4 R4,C1)」の部分の表記に基づき、4つの連続した格納番地(R1,C1)から(R4,C1)にかけて、アドレスを1丁目−1から1丁目−4までの4つの連続したアドレスを1づつ増加させて格納する。同様に、圧縮データー3の「(2丁目−1 R5,C1)(2丁目−10 R4,C2)」の部分の表記に基づき、格納番地(R5,C1)から(R10,C1)までの6つの連続した格納番地と(R1,C2)から(R4,C2)までの4つの連続した格納番地にかけて、アドレスを2丁目−1から2丁目−10まで10の連続したアドレスを1づつ増加させて格納する。受信したデーターのうち、連続した格納番地においてアドレスが連続して1づつ増加または減少していない場合には、(アドレス、格納番地)の形式となっているので、当該格納番地に当該アドレスを格納する。
【0039】
以上により、[表3]のように、復元したアドレスデーター204が格納番地(R1,C1)から(R10,C10)に格納されアドレス2次元配列データー114が生成される(ステップS19)。この各インデックスに10づつ加算した格納番地が、緯度経度2次元配列データー113の格納番地(R11,C11)から(R20,C20)である。したがって、緯度経度2次元配列データー113における格納番地に対応するアドレスは、緯度経度2次元配列データー113における格納番地を示すRow値及びColumn値から10づつ減算することによりインデックスを算出することができる。
【0040】
図5は、ここまでの処理で記憶された地図画面データー112、緯度経度2次元配列データー113、アドレス2次元配列データー114の対応づけを示す。図5の3つの平面は2次元配列の格納領域を表し、3つの平面の上下に対応する位置、例えば、(R1,C1)、(R11,C11)、(R21,C21)は地図上で同じ位置の地図画面データー、緯度経度データー、アドレスデーターである。緯度経度2次元配列データー113における格納番地のRowインデックス及びColumnインデックスにそれぞれ10づつ加算すると、地図上で同じ位置の地図画面データーの格納番地となる。同様に、緯度経度2次元配列データー113における格納番地のRowインデックス及びColumnインデックスからそれぞれ10づつ減算すると、地図上で同じ位置のアドレスデーターの格納番地となる。
以上の処理で、位置情報端末100のLCD表示パネル104に、地図、現在位置、アドレスを表示するために必要なデーターが位置情報端末100内に記憶される。
【0041】
次に、図6を参照して、位置情報端末100が、LCD表示パネル104に表示された地図上に現在位置及びアドレスを表示する処理の流れを説明する。
コントローラー106は、GPSモジュール105から自己の現在位置を示す緯度経度データーを取得し(ステップS21)、取得した緯度経度データーをRow Columnアドレスデコーダー109へ入力する。Row Columnアドレスデコーダー109は入力された緯度経度データーに対応するRow値及びColumn値を出力する。出力されたRow値及びColumn値を記憶装置108のRowレジスター115、Columnレジスター116に記憶する(ステップS22)。
【0042】
次に、コントローラー106はRowレジスター115、Columnレジスター116の値をもとに、地図画面データー112における格納番地を算出する(ステップS23)。前述の通り、Row Columnアドレスデコーダー109は、緯度経度2次元配列データー113における緯度経度とRow値及びColumn値の対応関係を記憶している。したがって、ステップS21で取得した緯度経度を、ステップS22においてRow Columnアドレスデコーダー109に入力して得られたRow値及びColumn値は、当該緯度経度が格納された緯度経度2次元配列データー113の格納番地のRowインデックス及びColumnインデックスである。前述の通り、この格納番地の各インデックスに10づつ加算すれば、地図画面データー112における格納番地を算出することができる。
【0043】
コントローラー106は、地図画面データー112の内容をLCD表示パネル104に表示し、さらに、LCD表示パネル104に、上記で算出された地図画面データー112における格納番地に対応する位置に、自己現在位置マーク121を表示する(ステップS24)。図7はLCD表示パネル104の表示例である。
【0044】
次に、コントローラー106はRowレジスター115、Columnレジスター116の値をもとに、アドレス2次元配列データー114における格納番地を算出する(ステップS25)。上記の通り、Rowレジスター115、Columnレジスター116の値は、ステップS21で取得した緯度経度が格納された緯度経度2次元配列データー113の格納番地のRowインデックス及びColumnインデックスである。また、前述の通り、アドレス2次元配列データー114における格納番地は、緯度経度2次元配列データー113における格納番地の各インデックスから10づつ減算して算出することができる。アドレス2次元配列データー114において、算出された格納番地のデーターを取得し、現在位置アドレス表示122をLCD表示パネル104に表示する(ステップS26)。図7はLCD表示パネル104の表示例である。
【0045】
なお、上記の実施形態においては、記憶装置108に2次元配列の領域を確保し、地図画面データー112を(R21,C21)から(R30,C30)、緯度経度2次元配列データー113を(R11,C11)から(R20,C20)、アドレス2次元配列データー114を(R1,C1)から(R10,C10)に格納したが、2次元配列のインデックスのとり方は上記に限定されない。緯度経度2次元配列データー113の格納番地のインデックスに基づいて地図画面データー112及びアドレス2次元配列データー114の格納番地のインデックスが算出でき、各格納番地が重複しないように確保すればよい。
【産業上の利用可能性】
【0046】
この発明は、地図関連データーを圧縮して送信し端末で復元する携帯電話やPDA等に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】この発明の実施形態による地図関連データーの圧縮送信システムの構成を示すブロック図である。
【図2】LCD表示パネル104に表示される地図120の例である。
【図3】地図画面データー112の例である。
【図4】位置情報端末100が位置情報基地局200からデーターを取得する処理の流れを示すフローチャートである。
【図5】記憶装置108に確保された2次元配列に格納されるデーターの格納番地の関係を示す図である。
【図6】位置情報端末100が現在位置及びアドレスを表示する処理の流れを示すフローチャートである。
【図7】LCD表示パネル104に表示される地図120、自己現在位置マーク121、現在位置アドレス表示122の例である。
【符号の説明】
【0048】
100…位置情報端末、101…携帯電話ブロック、102…携帯電話通信モジュール、103…キーボード、104…LCD表示パネル、105…GPSモジュール、106…コントローラー、107…制御プログラムROM、108…記憶装置、109…Row Columnアドレスデコーダー、111…データーバス、112…地図画面データー、113…緯度経度2次元配列データー、114…アドレス2次元配列データー、115…Rowレジスター、116…Columnレジスター、120…地図、121…自己現在位置マーク、122…現在位置アドレス表示、200…位置情報基地局、201…データーサーバー、202…地図データー、203…緯度経度データー、204…アドレスデーター、205…通信制御部、300…通信ネットワーク


【特許請求の範囲】
【請求項1】
位置情報端末と位置情報基地局とが通信ネットワークを介して接続された地図関連データーの圧縮送信システムにおいて、
前記位置情報基地局は、
前記地図関連データーを記憶する記憶手段と、
前記記憶された地図関連データーを圧縮する圧縮手段と、
前記圧縮された地図関連データーを位置情報端末へ送信する送信手段と、
を備え、
前記位置情報端末は、
前記位置情報基地局から前記圧縮された地図関連データーを受信する受信手段と、
前記圧縮された地図関連データーを復元する復元手段と、
前記復元された地図関連データーを記憶する記憶手段と、
を備えることを特徴とする地図関連データーの圧縮送信システム。
【請求項2】
前記地図関連データーは、ドット毎に色番号が割り当てられた地図データーであり、
前記位置情報基地局の記憶手段は、前記地図データーのドット毎の色番号を2次元配列に記憶し、
前記圧縮手段は、前記2次元配列に記憶されたデーターを前記色番号ごとに前記色番号が格納されている格納番地を列挙する形式に圧縮し、
前記復元手段は、前記圧縮されたデーターを前記位置情報端末の記憶手段に確保された2次元配列において前記列挙された格納番地に前記色番号を格納する形式に復元することを特徴とする請求項1に記載の地図関連データーの圧縮送信システム。
【請求項3】
前記地図関連データーは、格子状に区分けされた各々の領域の緯度経度データーであり、
前記位置情報基地局の記憶手段は、前記各々の領域の緯度経度データーを第1のインデックスと第2のインデックスとで格納番地を特定する2次元配列に記憶し、
前記圧縮手段は、前記2次元配列の先頭の格納番地に格納した緯度の値を示す第1の値と、前記2次元配列において前記第1のインデックスが増加するごとに格納している緯度の値が変化する大きさを示す第2の値と、前記2次元配列の先頭の格納番地における第1のインデックスの値を示す第3の値と、前記2次元配列における前記第1のインデックスの方向のデーター数を示す第4の値と、前記2次元配列の先頭の格納番地に格納した経度の値を示す第5の値と、前記2次元配列において前記第2のインデックスが増加するごとに格納している経度の値が変化する大きさを示す第6の値と、前記2次元配列の先頭の格納番地における第2のインデックスの値を示す第7の値と、前記2次元配列における前記第2のインデックスの方向のデーター数を示す第8の値とを用いて表記する形式に圧縮し、
前記復元手段は、前記圧縮された緯度経度データーを、前記位置情報端末の記憶手段に確保された2次元配列において、前記第3の値を第1のインデックスの値とし、前記第7の値を第2のインデックスの値として特定される格納番地を前記2次元配列の先頭の格納番地とし、前記第1の値を緯度の値とし、前記第5の値を経度の値として前記先頭の格納番地に格納し、前記2次元配列において緯度経度データーを復元する範囲を、第1のインデックスの方向は前記第4の値が示すデーター数とし、第2のインデックスの方向は前記第8の値が示すデーター数として特定し、前記特定された領域の各々の格納番地に、前記第1のインデックスが1増加するごとに緯度を前記第2の値だけ増加させ、前記第2のインデックスが1増加するごとに経度を前記第6の値だけ増加させて前記2次元配列に復元することを特徴とする請求項1に記載の地図関連データーの圧縮送信システム。
【請求項4】
前記地図関連データーは、格子状に区分けされた各々の領域のアドレスデーターであり、
前記位置情報基地局の記憶手段は、前記各々の領域のアドレスデーターを2次元配列に記憶し、
前記圧縮手段は、前記2次元配列における連続した格納番地においてアドレスが連続して1づつ増加または減少する場合に、前記連続して1づつ増加または減少するアドレスにおける先頭のアドレスを示す先頭アドレスと、前記先頭アドレスを格納した前記2次元配列の格納番地を示す先頭アドレス格納番地と、前記連続して1づつ増加または減少するアドレスにおける末尾のアドレスを示す末尾アドレスと、前記末尾アドレスを格納した前記2次元配列の格納番地を示す末尾アドレス格納番地とを用いて表記する形式に圧縮し、
前記復元手段は、前記圧縮されたアドレスデーターを、前記位置情報端末の記憶手段に確保された2次元配列において、前記先頭アドレス格納番地から前記末尾アドレス格納番地までの連続した格納番地に、前記先頭アドレスから開始して前記末尾アドレスまでアドレスを1づつ増加または減少させて復元することを特徴とする請求項1に記載の地図関連データーの圧縮送信システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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