説明

地盤強度の診断システム

【課題】 ネットワークを通じて地盤調査の必要性の有無を比較的正確に自己判断する。
【解決手段】住所と当該住所の近隣の地形図データ34を含む地形図データベース32と、地形図データ34上の土地の位置とその土地位置毎の地盤分類42と地盤改良率43とを対応付けた地盤改良率データベース40とを記憶した記憶装置30と、地形図データ34を端末装置12のディスプレイに表示する表示制御手段21と、住所を示す情報と、ディスプレイに表示された地形図データ34上の土地の位置を特定する情報の入力を要求するデータ入力要求手段22と、土地の位置を特定する情報が入力したとき、地盤改良率データベース40を検索して、該当する土地の地盤の改良率を含む診断結果を出力する自己診断手段24を備える

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概略の地盤強度を予測し地盤改良工事の必要性の有無を判断するための、地盤強度の診断システムと地盤強度の診断プログラムとその記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
建物の耐震性に、地盤の強度は大きく影響する。建物を建設するときに、一般ユーザは、建設業者や設計事務所を通じて地盤の調査を依頼する。地盤の調査は、住宅建設を請け負う側の業務の一貫として実施されることが多い。そこで、この地盤調査と地盤改良と建物の建設業務を確実に連携させるためのシステムが開発されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−129544号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
建物の売買をする前や建物の建設を計画する前に、予め地盤の強度を診断し、地盤改良の必要性等を知っておくことが好ましい。これにより適切な構造の建物を選択できる。しかしながら、地盤の精密な診断には相当の費用が発生する。簡便な診断のみでは診断の信頼性が低い。
本発明は、以上の点に着目してなされたもので、ネットワークを通じて簡易な自己診断を可能にして、地盤改良の必要性の有無を比較的正確に自己判断できる、地盤強度の診断システムと地盤強度の診断プログラムとその記録媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
以下の構成はそれぞれ上記の課題を解決するための手段である。
〈構成1〉
住所と当該住所の近隣の地盤の特徴を図示した地形図データを含む地形図データベースと、上記地形図データ上の土地の位置とその土地位置毎の地盤分類と地盤の改良率とを対応付けた地盤改良率データベースとを記憶した記憶装置と、上記地形図データを、ネットワークを通じて接続された端末装置のディスプレイに表示する表示制御手段と、住所を指定する情報と、上記ディスプレイに表示された地形図データ上の土地の位置を指定する情報の入力を要求するデータ入力要求手段と、上記データ入力要求手段の要求に従って、上記住所を指定する情報が入力されたとき、地形図データベースを検索して該当する住所の近隣の地形図データを選択し、上記ディスプレイに表示された上記地形図データ上の土地の位置を指定する情報が入力されたとき、上記地盤改良率データベースの対応するデータを検索するデータベース検索手段と、上記表示制御手段に対して上記選択された地形図データを表示するように要求し、上記地盤改良率データベースの検索結果から、対応する土地の地盤の改良率と上記地盤分類の解説を含む診断結果を出力する自己診断手段を備えたことを特徴とする地盤強度の診断システム。
【0005】
利用者の端末装置に、住所の近隣の地盤の特徴を図示した地形図データを表示させ、実際に利用者が指定する土地の位置を入力させる。地形図から見た実際の土地位置から、該当する土地の過去の地盤の改良率を示して、地盤改良の要否判定のための情報とする。同時に、地盤分類の解説を含めて診断結果を生成し出力するので、説得力がある情報を提供できる。
【0006】
〈構成2〉
構成1に記載の地盤強度の診断システムにおいて、上記地形図データベースには、実際に土地を撮影して取得された鳥瞰図的画像からなる実写地形図データもしくは代表的な地形図を仮想的に表示した鳥瞰図的画像からなるモデル地形図データが含まれることを特徴とする地盤強度の診断システム。
【0007】
精密な航空写真が既に撮影された土地ばかりではない。精密な航空写真が撮影されていない土地は、CG等により3D画像(鳥瞰図的画像)を生成して、地形図データを蓄積する、利用者はこれらの地形図データによって、指定する土地の周辺の地形の状態を確認できる。
【0008】
〈構成3〉
構成1または2に記載の地盤強度の診断システムにおいて、上記地盤改良率データベースには、地盤分類と対応させて、地盤分類と改良率の関係を説明した解説が含まれることを特徴とする地盤強度の診断システム。
【0009】
コンピュータにより自動的に出力される診断結果について、利用者の理解を深めるための情報を付加する。利用者が指定する土地の位置から、地盤分類を特定し、これと過去の地盤の改良率の関係を説明すれば、地盤改良の必要性の有無を容易に理解できる。
【0010】
〈構成4〉
構成1乃至3のいずれかに記載の地盤強度の診断システムにおいて、上記データベース検索手段は、上記利用者が指定する土地の位置を特定する情報が入力されたとき、上記地形図データ中の相対位置座標を取得し、この相対位置座標から該当する土地の位置座標を取得して、その位置座標に対応させて記憶された地盤分類を選択することを特徴とする地盤強度の診断システム。
【0011】
近隣の精密な地盤診断データが無い地域では、住所だけで具体的な地形はわからないことも多い。利用者は、地形図データを見ながら、直接、指定する土地の地形を入力できる。これにより、信頼性の高い診断結果を出力できる。
【0012】
〈構成5〉
構成1乃至4のいずれかに記載の地盤強度の診断システムにおいて、上記地盤改良率データは、地盤分類毎に、過去に地盤診断をして地盤改良をしたものの割合を示したものであることを特徴とする地盤強度の診断システム。
【0013】
理論的な地盤改良の必要性を表示してもよいが、過去の実績を提示することで、地盤改良の要否を示す情報を提示できる。これは、理論的な予測に比べて実際に即したもので、説得力がある。
【0014】
〈構成6〉
構成1乃至5のいずれかに記載の地盤強度の診断システムにおいて、上記データ入力要求手段は、地盤分類が困難な土地の性質を表す付帯情報の入力を受け付けて、上記自己診断手段は、上記地盤改良率を増減するよう補正することを特徴とする地盤強度の診断システム。
【0015】
地形図上の位置とともに、土地の性質を表す付帯情報は重要である。この付帯情報により結論が大きく相違することがある。そこで、付帯情報に応じて地盤改良率を補正するようにした。
【0016】
〈構成7〉
コンピュータを、住所と当該住所の近隣の地盤の特徴を図示した地形図データを含む地形図データベースと、上記地形図データ上の土地の位置とその土地位置毎の地盤分類と地盤の改良率とを対応付けた地盤改良率データベースとを記憶した記憶装置と、上記地形図データを、ネットワークを通じて接続された端末装置のディスプレイに表示する表示制御手段と、住所を指定する情報と、上記ディスプレイに表示された地形図データ上の土地の位置を指定する情報の入力を要求するデータ入力要求手段と、上記データ入力要求手段の要求に従って、上記住所を指定する情報が入力されたとき、地形図データベースを検索して該当する住所の近隣の地形図データを選択し、上記ディスプレイに表示された上記地形図データ上の土地の位置を指定する情報が入力されたとき、上記地盤改良率データベースの対応するデータを検索するデータベース検索手段と、上記表示制御手段に対して上記選択された地形図データを表示するように要求し、上記地盤改良率データベースの検索結果から、対応する土地の地盤の改良率と上記地盤分類の解説を含む診断結果を出力する自己診断手段、として機能させる地盤強度の診断プログラム。
【0017】
〈構成8〉
コンピュータを、住所と当該住所の近隣の地盤の特徴を図示した地形図データを含む地形図データベースと、上記地形図データ上の土地の位置とその土地位置毎の地盤分類と地盤の改良率とを対応付けた地盤改良率データベースとを記憶した記憶装置と、上記地形図データを、ネットワークを通じて接続された端末装置のディスプレイに表示する表示制御手段と、住所を指定する情報と、上記ディスプレイに表示された地形図データ上の土地の位置を指定する情報の入力を要求するデータ入力要求手段と、上記データ入力要求手段の要求に従って、上記住所を指定する情報が入力されたとき、地形図データベースを検索して該当する住所の近隣の地形図データを選択し、上記ディスプレイに表示された上記地形図データ上の土地の位置を指定する情報が入力されたとき、上記地盤改良率データベースの対応するデータを検索するデータベース検索手段と、上記表示制御手段に対して上記選択された地形図データを表示するように要求し、上記地盤改良率データベースの検索結果から、対応する土地の地盤の改良率と上記地盤分類の解説を含む診断結果を出力する自己診断手段、として機能させる地盤強度の診断プログラムを記録したコンピュータで読み取り可能な記録媒体。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
この地盤強度の診断システムでは、利用者自らが、指定した土地に関する情報を収集して利用者端末装置から入力する。サーバでは、該当する土地の地盤分類を検索して表示し、その地盤については、過去にどの程度の割合で実際に地盤改良工事が行われたかを示す診断結果を出力する。利用者は、この診断結果を参考にして、指定した土地について、地盤改良工事の要否を判断するための専門家に調査を依頼するべきかどうかを判断する。これにより、該当する土地の性質や地盤改良に関する知識を習得することもできる。以下、本発明の実施の形態を実施例毎に詳細に説明する。
【実施例1】
【0019】
図1は実施例1の地盤強度の診断システムを示すブロック図である。
地盤強度の診断システム10は、利用者端末装置12とネットワーク14を介して接続されたサーバ16に搭載されている。利用者端末装置12は、例えば、ディスプレイ2と本体制御装置3とキーボード4とマウス5とを備えている。このディスプレイ2にブラウザによりサーバの提供するウェブページを表示する。サーバ16により制御されるウェブページを用いて、指定した土地に関する情報を入力すると、上記の診断結果が返される。
【0020】
このような制御をするために、サーバ16には、演算処理装置20と記憶装置30とが設けられている。演算処理装置20は、表示制御手段21とデータ入力要求手段22とデータベース検索手段23と自己診断手段24とを備えている。これらの手段は、サーバ16のコンピュータにそれぞれ所定の演算処理を実行させるコンピュータプログラムである。
【0021】
一方、記憶装置30には、地図データベース26、地形図データベース32、地盤改良率データベース40、改良実績データベース50等のデータベースが記憶されている。また、地盤分類42や付帯情報60の具体的な内容を示すデータも記憶されている。地図データベース26は、日本地図27や都道府県地図28を含む。地形図データベース32は、住所33に対応する地形図データ34を含む。地形図データ34は実写地形図データベース35やモデル地形図データベース36からなる。地盤改良率データベース40は、土地の位置座標41に対応する地盤分類42やその地盤改良率43を含む。改良実績データベース50は、該当する住所33において既に実施された地盤の強度52や地盤改良工事の種類53や費用54を含む。地盤分類42は、場所名リスト46と解説47に対応付けて記憶されている。付帯情報60は、補正係数61と対応付けて記憶されている。
【0022】
表示制御手段21は、地形図データ34を、利用者端末装置12のディスプレイ2に表示する機能を持つ。データ入力要求手段22は、住所33を指定する情報と、前記ディスプレイに表示された地形図データ34上の土地の位置を指定する情報の入力を要求する機能を持つ。データベース検索手段23は、データ入力要求手段22の要求に従って、住所33を指定する情報が入力されたとき、地形図データベース32を検索して該当する住所33の近隣の地形図データ34を選択する機能を持つ。
【0023】
データベース検索手段23は、ディスプレイ2に表示された地形図データ34上の土地の位置を指定する情報が入力されたとき、地盤改良率データベース40の対応するデータを検索する機能を持つ。自己診断手段24は、地盤改良率データベース40の対応するデータが検索されると、表示制御手段21に対して選択された地形図データ34を表示するように要求する機能を持つ。さらに、地盤改良率データベース40の検索結果から、対応する土地の地盤改良率43と地盤分類42の解説47を含む診断結果を、利用者端末装置側に出力する機能を持つ。
【0024】
図2は、利用者端末装置12に表示される画面例説明図である。
以下の図面を用いて、利用者端末装置12の具体的な操作方法を説明する。図の上部に示した画面70は、診断開始時に表示される画面である。データ入力要求手段22は、地図データベース26を参照して、まず、日本地図27を表示する。マウス5(図1)を用いて、該当する県が指定されると、データベース検索手段23は都道府県地図28を検索する。表示制御手段21は、これにより、図の下側の画面74を表示する。ここで、住所入力ウインドウ76を用いて住所を指定する。なお、当初から住所入力ウインドウ76を表示して住所を直接指定しても構わない。
【0025】
具体的な住所33が指定されると、データベース検索手段23(図1)は、地形図データベース32を検索して、対応する地形図データ34を検索する。その住所を含む地域の航空写真があれば、実写地形図データベース35が検索されて表示される。無い場合には、予めその住所を含む地域のために用意されたモデル地形図データベース36が表示される。実写地形図データベース35は、実際に土地を撮影して取得された航空写真のような鳥瞰図的画像である。モデル地形図データベース36は、代表的な地形図を仮想的に表示した鳥瞰図的画像である。衛星写真のような平面的なものでもよいが、いわゆる3D画像が好ましい。なお、モデル地形図データベース36を全ての地域の地形にそれぞれ適合するように準備するのは容易でない。従って、例えば、川のある場所、海のある場所、都会、山岳地帯、というように、典型的なものを数種類用意して、そのいずれかを選択して表示するようにしてよい。利用者が任意の地形図データ34を選択できるようにしても構わない。地形図データは、静止画でも動画でもよい。例えば、該当する土地を複数の方向から見た鳥瞰図や縦断面図を表示すると、利用者はその土地をより客観的に再認識するので、明確に該当する土地の状態を特定できる。
【0026】
図3は、地形図データ34の例説明図である。
図のように、地形図データ34がディスプレイに表示されたとき、利用者はマウス5を操作して(図1)、カーソル77により、対象となる土地を指定する。土地の指定がこの図では不明確な場合には、拡大図や別の角度から見た図等を再表示するとよい。地形図が詳細で具体的であれば、カーソル77で指定された位置から、該当する土地の構造や性質も正確に把握できる。例えば、図の扇状地の上とか、自然堤防の上とか、三角州の上とか、干拓地上とかいう指定がされると、地盤改良率データベース40を参照して、土地の位置座標41に対応する地盤分類42が自動的に特定できる。
【0027】
ディスプレイには、地形図データが表示され、カーソル77で位置が指定されると、画面上の相対位置座標が取得される。この相対位置座標から該当する土地の位置座標を取得する。例えば、地形図データを地盤分類に着目して小領域に分割する。ある範囲に含まれた位置が指定されると、その範囲に対応する地盤分類が特定される。従って、地盤分類を特定するための位置座標は単数あるいは複数の領域で表示されるとよい。なお、土地の位置を指定するために、マウス5(図1)の代わりに、デジタイザ、タッチパネル等の各種のポインティングデバイスを使うことができる。また、例えば、地図中に表示された数字や記号をキーボードを用いて指定してもよい。
【0028】
図4は、地盤分類と地盤改良率の関係を示すデータ説明図である。
地盤分類42は、図1に示すように、場所名リスト46で分かりやすい言葉で表現され、さらに、解説47でもっと具体的な説明がされる。例えば、地盤分類が「埋立地」であれば、「埋立地は、廃棄物や浚渫土砂や建設残土等を大量に積み上げて人工的に造成された土地で、・・・砂分が多い所は液状化の危険がある。粘土層が厚い所は軟弱地盤になる。・・」といった解説データが蓄積されている。これにより、利用者は、指定した土地の性質を理解し、地盤改良の必要性の根拠を知ることができる。なお、こらに詳細な専門的データを保存しておいてもよい。これは、利用者から地盤改良のための調査依頼を受けた専門家の参考にすることができる。
【0029】
地盤改良率データベース40(図1)はさらに、地盤分類42と地盤改良率43とを対応付けて記憶している。図4に示すように、地盤分類42毎に、該当する土地の地盤改良率43を数値(%)で示している。地盤改良率43は、その分類の地盤について、過去に地盤改良をしたものの割合である。例えば、埋立地であれば、実際に調査をしたもののうち60%について、過去に地盤改良工事を行っているという情報を提供する。利用者は、念のために地盤調査をしてみようというように、決断をする。なお、地盤分類42の一部には、その地盤の一般的な性質を付加してもよい。その一例を図示したが、こうした情報は解説データに含めても良いし、任意の場所に表示してもよい。
【0030】
図5と図6は、付帯情報の説明図である。
利用者の個々の土地にはそれぞれ様々な事情がある。地形図からみた地盤分類だけでは不十分なことがある。例えば、図3を用いて、河川の流域の自然堤防上が対象として指定されたものとする。このとき、図5に示すような拡大図を表示して、さらに具体的な位置を特定させるとよい。自然堤防、後背湿地、段丘といった区別が、一般利用者には難しいからである。さらに具体的に、人工的な堤防の図や湖沼、用水路等、各種の構造物を表示してより具体的な位置の特定をすることが好ましい。
【0031】
また、例えば、図6に示すように、切り土や盛り土をした斜面や造成地のような場合には、その事情も加味することが好ましい。場所AとBとでは、地盤の強度が異なることがある。即ち、地盤分類では分類できない土地の性質を表す情報を考慮して、より正確な結果を提供することができる。例えば、図4によれば、丘陵地の地盤改良率は10%であるが、造成をした盛り土の場合には20%というように補正を加える。この補正は、図1に示すように、付帯情報60と補正係数61とを対応付けたデータを利用して計算するとよい。自己診断手段24(図1)は、このような演算処理を自動的に実行するとよい。
【実施例2】
【0032】
図7は、上記のシステムの動作フローチャートである。また、図8は、そのシーケンスチャートである。
以下、上記のサーバ16を制御するコンピュータプログラムの実施例を説明する。上記のシステムは、例えば、図7や図8に示すような手順で処理される。まず、図8に示すように、利用者は、利用者端末装置12を操作して、サーバ16のプログラムを起動する。表示制御手段21は、日本地図27を利用者端末装置12のディスプレイに表示する(ステップS11)。ステップS12では、利用者が都道府県を指定する。データ入力要求手段22は、そのボタンクリックイベントを検出する。ステップS13では、表示制御手段21が指定された該当都道府県地図を表示する。
【0033】
ステップS14では、データ入力要求手段22がディスプレイに住所入力ウインドウ76を表示する。そして、その住所データの取得をする。ステップS15では、データベース検索手段23が地形図データベース32を検索して、該当する地形図データを取得する。表示制御手段21はステップS16で、その地形図データを利用者端末装置12のディスプレイに表示する。利用者端末装置12で対象となる土地が指定されると、ステップS17で、データ入力要求手段22がそのマウスのクリックイベントを検出する。ステップS18では、画面上で相対位置座標を取得する。データベース検索手段23は、ステップS19で相対位置座標から土地の位置座標を演算する。この結果を使用して、ステップS20で地盤改良率データベース40の検索をする。こうして、ステップS21で地盤の改良率と地盤分類の解説に相当するデータを得する。その結果は、自己診断手段24にわたされる。ステップS22で、自己診断手段24は、その結果を編集して、利用者端末装置12のディスプレイに表示出力する。
【0034】
図9は、診断結果の出力例説明図である。
図の画面81のように、利用者が入力した住所33と、利用者の指定により特定された地盤分類42と、その解説47と、地盤改良率43とが結果として表示される。また、利用者が入力した付帯情報にしたがって、地盤改良率43をどの程度補正して考慮するかも提示される。こうして利用者が入力したデータとその結果は、記憶装置30に一時記憶しておくとよい。利用者が、見積もり依頼をするときには、ボタン82がクリックされる。利用者がすぐに地盤調査依頼をするときは、ボタン83がクリックされる。いずれの場合にも、記憶装置に一時記憶されたデータを、営業担当者に転送して有効に利用することができる。また、利用者の入力したデータとその結果とをデータベースに追加する機能を設けると、住所と土地の構造や性質との関係を示す具体的なデータが累積的に蓄積できる。これは、例えば、問い合わせの多い地域について情報を蓄積して、回答の精度を高めることに利用できる。
【0035】
以上のシステムにおいて、例えば、あらゆる住所の土地の構造や性質が全てデータベースに記憶されていれば、利用者が対象となる土地の住所を入力したとき、簡単に地盤改良の必要性を資料で説明できる。しかしながら、このようなデータベースは現実には存在しないし、実現は困難である。航空写真だけでは個々の土地の構造や性質を正確に把握することはできない。もちろん、航空写真が無い場所も少なくない。そこで、上記の実施例では、住所を指定したとき、その地域の概略的な地形図を表示し、利用者に、対象となる土地の位置を図上で直接入力させることにした。
【0036】
地形図が詳細で具体的であれば、指定された位置から、該当する土地の構造や性質も正確に把握できる。これにさらに利用者の気付いた情報を付帯情報として加味すると、その土地について、地盤改良の必要性について、信頼度の高い診断ができる。利用者は、このような作業を通じて、対象となる土地の状態を再認識し、同時に過去の地盤改良率の意味を認識することができる。
【0037】
以上のシステムにおいて、サーバ16の記憶装置30と演算処理装置20は、サーバ16に内蔵されていても外付けされていても構わない。記憶装置30には、利用者端末装置12により閲覧可能なウェブデータが記憶されている。ウェブデータは、それぞれ所定のURL(Uniform Resource Locator)を用いて、ネットワークを通じて閲覧可能な状態にされる。ウェブデータは、HTML(Hyper Text Mark-up Language)、SGML(Standard Generalized Mark-up Language)、XML(eXtensible Markup Language) 等の形式で作成されたもので、ネットワークを通じてブラウザにより閲覧可能な形式のデータである。
【0038】
ウェブデータ中には、VBScript(Visual Basic Script:Microsoft社の開発したプログラミング言語)やJava(登録商標)(Sun Microsystems社の開発したプログラミング言語)、Java(登録商標)Script(Sun Microsystems社とNetscape Communications社が開発したスクリプト言語)等で記述したコンピュータプログラムが含まれており、ブラウザ上で所定の処理を実行する。
【0039】
上記の演算処理装置にインストールされたコンピュータプログラムは、それぞれ独立したプログラムモジュールを組み合わせて構成してもよいし、全体を一体化したプログラムにより構成してもよい。コンピュータプログラムにより制御される処理の全部または一部を同等の機能を備えるハードウエアで構成しても構わない。また、上記のコンピュータプログラムは、既存のアプリケーションプログラムに組み込んで使用してもよい。上記のような本発明を実現するためのコンピュータプログラムは、例えばCD−ROMのようなコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して、任意の情報処理装置にインストールして利用することができる。また、ネットワークを通じて任意のコンピュータのメモリ中にダウンロードして利用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】実施例1の地盤強度の診断システムを示すブロック図である。
【図2】利用者端末装置12に表示される画面例説明図である。
【図3】地形図データ34の例説明図である。
【図4】地盤分類と地盤改良率の関係を示すデータ説明図である。
【図5】付帯情報の説明図である。
【図6】付帯情報の説明図である。
【図7】上記のシステムの動作フローチャートである。
【図8】上記のシステムのシーケンスチャートである。
【図9】診断結果の出力例説明図である。
【符号の説明】
【0041】
10 地盤強度の診断システム
12 利用者端末装置
14 ネットワーク
16 サーバ
20 演算処理装置
21 表示制御手段
22 データ入力要求手段
23 データベース検索手段
24 自己診断手段
26 地図データベース
27 日本地図
28 都道府県地図
30 記憶装置
32 地形図データベース
33 住所
34 地形図データ
35 実写地形図データベース
36 モデル地形図データベース
40 地盤改良率データベース
41 土地の位置座標
42 地盤分類
43 地盤改良率
46 場所名リスト
47 解説
50 改良実績データベース
52 地盤の強度
53 地盤改良工事の種類
54 費用
60 付帯情報
61 補正係数
70 画面
74 画面
76 住所入力ウインドウ
77 カーソル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
住所と当該住所の近隣の地盤の特徴を図示した地形図データを含む地形図データベースと、前記地形図データ上の土地の位置とその土地位置毎の地盤分類と地盤の改良率とを対応付けた地盤改良率データベースとを記憶した記憶装置と、
前記地形図データを、ネットワークを通じて接続された端末装置のディスプレイに表示する表示制御手段と、
住所を指定する情報と、前記ディスプレイに表示された地形図データ上の土地の位置を指定する情報の入力を要求するデータ入力要求手段と、
前記データ入力要求手段の要求に従って、前記住所を指定する情報が入力されたとき、地形図データベースを検索して該当する住所の近隣の地形図データを選択し、前記ディスプレイに表示された前記地形図データ上の土地の位置を指定する情報が入力されたとき、前記地盤改良率データベースの対応するデータを検索するデータベース検索手段と、
前記表示制御手段に対して前記選択された地形図データを表示するように要求し、前記地盤改良率データベースの検索結果から、対応する土地の地盤の改良率と前記地盤分類の解説を含む診断結果を出力する自己診断手段を備えたことを特徴とする地盤強度の診断システム。
【請求項2】
請求項1に記載の地盤強度の診断システムにおいて、
前記地形図データベースには、実際に土地を撮影して取得された鳥瞰図的画像からなる実写地形図データもしくは代表的な地形図を仮想的に表示した鳥瞰図的画像からなるモデル地形図データが含まれることを特徴とする地盤強度の診断システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の地盤強度の診断システムにおいて、
前記地盤改良率データベースには、地盤分類と対応させて、地盤分類と改良率の関係を説明した解説が含まれることを特徴とする地盤強度の診断システム。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の地盤強度の診断システムにおいて、
前記データベース検索手段は、前記利用者が指定する土地の位置を特定する情報が入力されたとき、前記地形図データ中の相対位置座標を取得し、この相対位置座標から該当する土地の位置座標を取得して、その位置座標に対応させて記憶された地盤分類を選択することを特徴とする地盤強度の診断システム。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の地盤強度の診断システムにおいて、
前記地盤改良率データは、地盤分類毎に、過去に地盤診断をして地盤改良をしたものの割合を示したものであることを特徴とする地盤強度の診断システム。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載の地盤強度の診断システムにおいて、
前記データ入力要求手段は、地盤分類が困難な土地の性質を表す付帯情報の入力を受け付けて、前記自己診断手段は、前記地盤改良率を増減するよう補正することを特徴とする地盤強度の診断システム。
【請求項7】
コンピュータを、
住所と当該住所の近隣の地盤の特徴を図示した地形図データを含む地形図データベースと、前記地形図データ上の土地の位置とその土地位置毎の地盤分類と地盤の改良率とを対応付けた地盤改良率データベースとを記憶した記憶装置と、
前記地形図データを、ネットワークを通じて接続された端末装置のディスプレイに表示する表示制御手段と、
住所を指定する情報と、前記ディスプレイに表示された地形図データ上の土地の位置を指定する情報の入力を要求するデータ入力要求手段と、
前記データ入力要求手段の要求に従って、前記住所を指定する情報が入力されたとき、地形図データベースを検索して該当する住所の近隣の地形図データを選択し、前記ディスプレイに表示された前記地形図データ上の土地の位置を指定する情報が入力されたとき、前記地盤改良率データベースの対応するデータを検索するデータベース検索手段と、
前記表示制御手段に対して前記選択された地形図データを表示するように要求し、前記地盤改良率データベースの検索結果から、対応する土地の地盤の改良率と前記地盤分類の解説を含む診断結果を出力する自己診断手段、
として機能させる地盤強度の診断プログラム。
【請求項8】
コンピュータを、
住所と当該住所の近隣の地盤の特徴を図示した地形図データを含む地形図データベースと、前記地形図データ上の土地の位置とその土地位置毎の地盤分類と地盤の改良率とを対応付けた地盤改良率データベースとを記憶した記憶装置と、
前記地形図データを、ネットワークを通じて接続された端末装置のディスプレイに表示する表示制御手段と、
住所を指定する情報と、前記ディスプレイに表示された地形図データ上の土地の位置を指定する情報の入力を要求するデータ入力要求手段と、
前記データ入力要求手段の要求に従って、前記住所を指定する情報が入力されたとき、地形図データベースを検索して該当する住所の近隣の地形図データを選択し、前記ディスプレイに表示された前記地形図データ上の土地の位置を指定する情報が入力されたとき、前記地盤改良率データベースの対応するデータを検索するデータベース検索手段と、
前記表示制御手段に対して前記選択された地形図データを表示するように要求し、前記地盤改良率データベースの検索結果から、対応する土地の地盤の改良率と前記地盤分類の解説を含む診断結果を出力する自己診断手段、
として機能させる地盤強度の診断プログラムを記録したコンピュータで読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−57707(P2009−57707A)
【公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−223667(P2007−223667)
【出願日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【出願人】(000183428)住友林業株式会社 (540)
【出願人】(506285541)スミリンベーステクノ株式会社 (11)
【Fターム(参考)】