説明

地絡検出装置、地絡検出方法、太陽光発電システム、及び地絡検出プログラム

【課題】地絡を確実に検出すると共に、地絡の検出に要する時間を短縮する。
【解決手段】地絡検出装置1では、演算制御部4の各種機能を実行することにより、2つの太陽電池ストリング103,103が太陽光発電システム100から解列され、一の太陽電池ストリング103に対し第1測定部3Aにより第1電圧値の測定が実施されるのと並列的に、他の太陽電池ストリング103に対し第2測定部3Bにより第2電圧値の測定が実施される。よって、測定対象の対地静電容量が下げられる。また、かかる測定時に太陽電池ストリングが負荷装置に対して電気的に切り離される。さらに、解列状態における一及び他の太陽電池ストリング103,103について互いに別の測定が並列的に行われ、第1及び第2電圧値が並列的に測定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地絡検出装置、地絡検出方法、太陽光発電システム、及び地絡検出プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
太陽光を利用して発電を行う太陽光発電システムでは、一般的に、複数の太陽電池モジュールが直列接続されて太陽電池ストリングが構成され、さらに、複数の太陽電池ストリングが並列接続されて太陽電池アレイが構成されている。この太陽電池アレイからの出力は、パワーコンディショナ等の負荷装置に供給され、商用電力系統等に供給される。
【0003】
このような太陽光発電システムにおいて、太陽電池アレイ内に絶縁不良があると、例えば人や物が絶縁不良箇所に触れたときや、絶縁不良箇所と金属架台等とが接触したとき、電気回路が外部と意図しない形で接触する地絡が生じる場合がある。この地絡を検出するものとして、従来、例えば特許文献1に記載された地絡検出装置が知られている。特許文献1に記載の地絡検出装置では、接地された太陽電池アレイの電路から大地に流れる電流値が測定され、この電流値が予め設定された電流設定値を超えたとき、太陽電池アレイの地絡が検出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−158282号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記地絡検出装置では、太陽光発電システムが有する対地静電容量の影響で、地絡を誤検出してしまう虞がある。さらに、地絡検出の際、負荷装置に起因して生じるノイズ(例えば、高周波スイッチ動作や、商用周波数(50〜60Hz)等により生じるノイズ)の影響を受け易く、このことからも、地絡を誤検出してしまう虞がある。
【0006】
また、近年の地絡検出装置においては、例えば太陽光発電システムの普及拡大等に伴い、太陽電池アレイ内の地絡の検出に要する時間を短縮できるものが強く望まれている。
【0007】
そこで、本発明は、地絡を確実に検出すると共に、地絡の検出に要する時間を短縮することができる地絡検出装置、地絡検出方法、太陽光発電システム及び地絡検出プログラムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明に係る地絡検出装置は、複数の太陽電池モジュールが直列接続されて構成された太陽電池ストリングと、複数の太陽電池ストリングが並列接続されて構成された太陽電池アレイと、電力を消費又は変換する負荷装置と、を具備する太陽光発電システムにおいて、太陽電池アレイ内の地絡を検出する地絡検出装置であって、複数の太陽電池ストリングのうち2つ以上の太陽電池ストリングを、互いに電気的に切り離されるようにして太陽光発電システムから解列するスイッチング部と、複数の太陽電池ストリングのそれぞれに対し、地絡検出のための第1測定値を測定する第1測定部と、複数の太陽電池ストリングのそれぞれに対し、第1測定部による測定とは別の測定を実施して地絡検出のための第2測定値を測定する第2測定部と、複数の太陽電池ストリングのそれぞれについて、第1及び第2測定部により測定された第1及び第2測定値に基づいて地絡の有無を判定する判定部と、第1及び第2測定部の動作を少なくとも制御する制御部と、を備え、制御部は、スイッチング部により解列された2つ以上の太陽電池ストリングのうち一の太陽電池ストリングに第1測定部を接続し、当該一の太陽電池ストリングの第1測定値を第1測定部により測定させることと並列的に、スイッチング部により解列された2つ以上の太陽電池ストリングのうち他の太陽電池ストリングに第2測定部を接続し、当該他の太陽電池ストリングの第2測定値を第2測定部により測定させること、を特徴とする。
【0009】
この本発明の地絡検出装置では、地絡検出のための第1及び第2測定値を測定する一及び他の太陽電池ストリングが太陽光発電システムから解列されている。そのため、測定対象の対地静電容量を下げ、対地静電容量による悪影響が地絡検出に及ぶのを軽減できると共に、かかる測定時に太陽電池ストリングが負荷装置に対して電気的に切り離されることから、当該負荷装置に起因して発生するノイズの悪影響が地絡検出に及ぶのを抑制できる。従って、地絡を確実に検出することが可能となる。
さらに、解列状態における一及び他の太陽電池ストリングについて互いに別の測定が並列的に行われ、これにより、第1及び第2測定値が並列的に測定されることとなる。よって、第1及び第2測定値の測定を効率化でき、ひいては地絡検出を効率化することができる。従って、太陽電池アレイ内の地絡の検出に要する時間を短縮することが可能となる。
【0010】
ちなみに、ここでの「一の太陽電池ストリング」とは、任意の少なくとも1つの太陽電池ストリングを意味し、「他の太陽電池ストリング」とは、他(残部)の少なくとも1つの太陽電池ストリングを意味している。また、ここでの「並列的」は、例えば並列、略並列、同時並列、同時並列的、同時、略同時、同時的とも称することができ、具体的には、測定を実施している期間と充放電を実施している期間との間に重複する時間が少なくとも存在することを意味している。これらについては、以下においても同様である。
【0011】
また、スイッチング部は、第1測定部が測定する一の太陽電池ストリング数及び第2測定部が測定する他の太陽電池ストリング数の合計と同数の太陽電池ストリングを太陽光発電システムから解列すること、が好ましい。この場合、必要な太陽電池ストリングのみ解列できるため、太陽電池ストリングの解列の無駄を低減することが可能となる。
【0012】
また、スイッチング部は、解列された太陽電池ストリングについて、判定部により地絡無しと判定された場合に太陽光発電システムに電気的に接続すると共に、判定部により地絡ありと判定された場合に太陽光発電システムから解列した状態のままにすること、が好ましい。この場合、地絡していない太陽電池ストリングを発電に寄与させることができる。
【0013】
また、判定部は、第1及び第2測定値に基づいて絶縁抵抗値を算出し、当該絶縁抵抗値が所定値以下又は未満のときに地絡ありと判定すること、が好ましい。この場合、絶縁抵抗値は太陽電池ストリングの対地電位によらないものであることから、地絡の有無の判定を好適に行うことができる。
【0014】
また、第1測定部は、スイッチング部により解列された一の太陽電池ストリングに接続された際に、当該一の太陽電池ストリングの対地電位を第1電位状態にして第1測定値を測定し、第2測定部は、スイッチング部により解列された他の太陽電池ストリングに接続された際に、当該他の太陽電池ストリングの対地電位を第1電位状態とは異なる第2電位状態にして第2測定値を測定すること、が好ましい。この場合、2種の電位状態(すなわち、第1及び第2電位状態)から地絡を検出する際において、地絡の検出に要する時間を短縮することができる。
【0015】
また、第1測定部は、一方側が接地電位に接続されると共に他方側が太陽電池ストリングに接続可能な第1電路と、第1電路上に設けられた直流電源と、を少なくとも含み、スイッチング部により解列された一の太陽電池ストリングに第1電路の他方側を接続することで当該一の太陽電池ストリングを第1電位状態にして、第1電路に流れる電流値に関する測定値を第1測定値として測定し、第2測定部は、一方側が接地電位に接続されると共に他方側が太陽電池ストリングに接続可能な第2電路を少なくとも含み、スイッチング部により解列された他の太陽電池ストリングに第2電路の他方側を接続することで当該他の太陽電池ストリングを第2電位状態にして、第2電路に流れる電流値に関する測定値を第2測定値として測定すること、が好ましい。
【0016】
この場合、第1及び第2電路を流れる電流値に関する第1及び第2測定値をそれぞれ監視することで、太陽電池ストリングの地絡を好適に検出することが可能となる。なお、「電流値に関する測定値」は、例えば、電流センサ等を用いて接地電位との間に流れる電流値を直接監視する場合には当該電流値が相当し、電圧計等を用いて第1及び第2電路上の所定箇所の電圧値(或いは所定区間の電圧降下値)を監視する場合には当該電圧値(又は当該電圧降下値)が相当する(以下同様)。また、電圧値を監視する場合、例えば、第1電路上に第1抵抗を設けると共に第2電路上に第2抵抗を設け、第1抵抗に生じる第1電圧降下値を第1測定値として測定し、第2抵抗に生じる第2電圧降下値を第2測定値として測定することも可能である。
【0017】
また、第1測定部は、一方側が接地電位に接続された第1抵抗を有し、スイッチング部により解列された一の太陽電池ストリングの正極側のみに第1抵抗の他方側を接続することで当該一の太陽電池ストリングを第1電位状態にして、第1抵抗に流れる電流値に関する測定値を第1測定値として測定し、第2測定部は、一方側が接地電位に接続された第2抵抗を有し、スイッチング部により解列された他の太陽電池ストリングの負極側のみに第2抵抗の他方側を接続することで当該他の太陽電池ストリングを第2電位状態にして、第2抵抗に流れる電流値に関する測定値を第2測定値として測定すること、が好ましい。この場合、第1及び第2抵抗を流れる電流値に関する第1及び第2測定値をそれぞれ監視することで、太陽電池アレイ内の地絡を好適に検出することが可能となる。
【0018】
また、第1測定部は、一方側が接地電位に接続され第1周波数の第1交流電圧値を有する第1交流電源を少なくとも含み、スイッチング部により解列された一の太陽電池ストリングに第1交流電源の他方側を接続することで当該一の太陽電池ストリングを第1電位状態にして、第1交流電源と接地電位との間に流れる電流値のうち第1交流電圧値と同位相の電流値に関する測定値を第1測定値として測定し、第2測定部は、一方側が接地電位に接続され第1周波数とは異なる第2周波数の第2交流電圧値を有する第2交流電源を少なくとも含み、スイッチング部により解列された他の太陽電池ストリングに第2交流電源の他方側を接続することで当該他の太陽電池ストリングを第2電位状態にして、第2交流電源と接地電位との間に流れる電流値のうち第2交流電圧値と同位相の電流値に関する測定値を第2測定値として測定すること、が好ましい。
【0019】
この場合、第1交流電源及び接地電位間に流れる電流値のうち第1周波数と同位相の電流値に関する測定値と、第2交流電源及び接地電位間に流れる電流値のうち第2周波数と同位相の電流値に関する測定値とをそれぞれ監視することで、太陽電池ストリングの地絡を好適に検出することが可能となる。なお、「電流値に関する測定値」は、例えば、電流センサ等を用いて接地電位との間に流れる電流値を直接監視する場合には当該電流値が相当し、抵抗を設けこの抵抗に生じる電圧値を電圧計等を用いて監視する場合には当該電圧値が相当する(以下同様)。
【0020】
また、本発明に係る地絡検出方法は、複数の太陽電池モジュールが直列接続されて構成された太陽電池ストリングと、複数の太陽電池ストリングが並列接続されて構成された太陽電池アレイと、電力を消費又は変換する負荷装置と、を具備する太陽光発電システムにおいて、太陽電池アレイ内の地絡を検出する地絡検出方法であって、複数の太陽電池ストリングのうち2つ以上の太陽電池ストリングを、互いに電気的に切り離されるようにして太陽光発電システムから解列する解列ステップと、複数の太陽電池ストリングのそれぞれに対し、地絡検出のための第1測定値を測定する第1測定ステップと、複数の太陽電池ストリングのそれぞれに対し、第1測定ステップの測定とは別の測定を実施して地絡検出のための第2測定値を測定する第2測定ステップと、複数の太陽電池ストリングのそれぞれについて、第1及び第2測定ステップにより測定された第1及び第2測定値に基づいて地絡の有無を判定する判定ステップと、を備え、第1測定ステップでは、解列ステップで解列された2つ以上の太陽電池ストリングのうち一の太陽電池ストリングにおける第1測定値を測定し、第2測定ステップでは、第1測定ステップで第1測定値を測定することと並列的に、解列ステップで解列された2つ以上の太陽電池ストリングのうち他の太陽電池ストリングにおける第2測定値を測定すること、を特徴とする。
【0021】
また、本発明に係る太陽光発電システムは、複数の太陽電池モジュールが直列接続されて構成された太陽電池ストリングと、複数の太陽電池ストリングが並列接続されて構成された太陽電池アレイと、電力を消費又は変換する負荷装置と、上記地絡検出装置と、を具備することを特徴とする。
【0022】
また、本発明に係る地絡検出プログラムは、複数の太陽電池モジュールが直列接続されて構成された太陽電池ストリングと、複数の太陽電池ストリングが並列接続されて構成された太陽電池アレイと、電力を消費又は変換する負荷装置と、を具備する太陽光発電システムにおいて、太陽電池アレイ内の地絡を検出するための地絡検出プログラムであって、複数の太陽電池ストリングのうち2つ以上の太陽電池ストリングを、互いに電気的に切り離されるようにして太陽光発電システムから解列させる解列機能と、複数の太陽電池ストリングのそれぞれに対し、地絡検出のための第1測定値を測定させる第1測定機能と、複数の太陽電池ストリングのそれぞれに対し、第1測定機能による測定とは別の測定を実施させて地絡検出のための第2測定値を測定させる第2測定機能と、複数の太陽電池ストリングのそれぞれについて、第1及び第2測定機能により測定させた第1及び第2測定値に基づいて地絡の有無を判定する判定機能と、をコンピュータに実行させ、第1測定機能では、解列機能で解列させた2つ以上の太陽電池ストリングのうち一の太陽電池ストリングにおける第1測定値を測定させ、第2測定機能では、第1測定機能で第1測定値を測定させることと並列的に、解列機能で解列させた2つ以上の太陽電池ストリングのうち他の太陽電池ストリングにおける第2測定値を測定させること、を特徴とする。
【0023】
これら本発明に係る地絡検出方法、太陽光発電システム、及び地絡検出プログラムにおいても、地絡検出のための第1及び第2測定値を測定する一及び他の太陽電池ストリングを太陽光発電システムから解列することができる。また、解列状態における一及び他の太陽電池ストリングについて互いに別の測定を並列的に行うことができ、地絡検出を効率化することができる。よって、上記作用効果、すなわち、地絡を確実に検出すると共に、地絡の検出に要する時間を短縮するという作用効果が奏される。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、地絡を確実に検出すると共に、地絡の検出に要する時間を短縮することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】第1実施形態に係る地絡検出装置を備えた太陽光発電システムの一状態を示す概略構成図である。
【図2】図1の太陽光発電システムにおける他の状態を示す概略構成図である。
【図3】本実施形態の第1電位状態の例を示す図である。
【図4】本実施形態の第2電位状態の例を示す図である。
【図5】図1の地絡検出装置の演算制御部を示す機能ブロック図である。
【図6】図1の地絡検出装置の動作を示すフローチャートである。
【図7】図1の地絡検出装置の動作を示す他のフローチャートである。
【図8】図1の地絡検出装置における太陽電池ストリングごとの動作スキームを示す図である。
【図9】第2実施形態に係る地絡検出装置を備えた太陽光発電システムの一状態を示す概略構成図である。
【図10】図9の太陽光発電システムにおける他の状態を示す概略構成図である。
【図11】図9の地絡検出装置の動作を示すフローチャートである。
【図12】図9の地絡検出装置における太陽電池ストリングごとの動作スキームを示す図である。
【図13】第3実施形態に係る地絡検出装置を備えた太陽光発電システムの一状態を示す概略構成図である。
【図14】図13の太陽光発電システムにおける他の状態を示す概略構成図である。
【図15】図13の地絡検出装置の動作を示すフローチャートである。
【図16】(a)は本実施形態における電位状態の例を示す図、(b)は本実施形態における電位状態の他の例を示す図である。
【図17】図13の地絡検出装置における太陽電池ストリングごとの動作スキームを示す図である。
【図18】第4実施形態に係る地絡検出装置を備えた太陽光発電システムの一状態を示す概略構成図である。
【図19】図18の太陽光発電システムにおける他の状態を示す概略構成図である。
【図20】図18の太陽光発電システムにおける別の他の状態を示す概略構成図である。
【図21】図18の太陽光発電システムにおけるさらに別の他の状態を示す概略構成図である。
【図22】図18の地絡検出装置の動作を示すフローチャートである。
【図23】図18の地絡検出装置における太陽電池ストリングごとの動作スキームを示す図である。
【図24】第5実施形態に係る地絡検出装置を備えた太陽光発電システムの一状態を示す概略構成図である。
【図25】図24の太陽光発電システムにおける他の状態を示す概略構成図である。
【図26】(a)は本実施形態における電位状態の例を示す図、(b)は本実施形態における電位状態の他の例を示す図である。
【図27】図24の地絡検出装置の動作を示すフローチャートである。
【図28】図24の地絡検出装置における太陽電池ストリングごとの動作スキームを示す図である。
【図29】電位状態の別の例を示す図である。
【図30】電位状態のさらに別の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態について説明する。図1,2は、第1実施形態に係る地絡検出装置を備えた太陽光発電システムを示す概略構成図、図3は、図1に示す地絡検出装置の演算制御部を示す機能ブロック図である。図1,2に示すように、地絡検出装置1は、太陽光発電システム100において太陽電池アレイ101内の地絡を検出するものである。そこで、まず、この太陽光発電システム100について説明する。
【0027】
太陽光発電システム100は、太陽光エネルギを利用して発電を行う発電システムであり、太陽電池アレイ101と、パワーコンディショナ(負荷装置)102と、を備えている。太陽電池アレイ101は、太陽光エネルギを電気エネルギへ変換し、直流出力としてパワーコンディショナ102へ供給する。太陽電池アレイ101は、複数の太陽電池ストリング103が並列接続されて構成されている。つまり、太陽電池アレイ101においては、第1〜第n太陽電池ストリング103〜103が並列接続されている(nは2以上の整数)。
【0028】
複数の太陽電池ストリング103のぞれぞれは、複数(ここでは、8つ)の太陽電池モジュール104が直列接続されて構成されている。これら複数の太陽電池ストリング103は、パワーコンディショナ102に対し、後述の解列用スイッチ7を介して接続されている。
【0029】
パワーコンディショナ102は、太陽電池アレイ101から供給された直流出力を交流出力に変換し、この交流出力を後段の電力系統(例えば商用電力系統)へ供給する。このパワーコンディショナ102は、最大出力が得られるよう太陽電池アレイ101の動作電圧を制御する動作電圧制御機能と、電力系統の異常が検知された場合に安全にシステム停止する等の系統保護機能と、を有している。なお、パワーコンディショナ102は、絶縁トランスを有するトランス絶縁型であってもよいし、トランスレス(非絶縁)型であってもよい。
【0030】
本実施形態の地絡検出装置1は、切替部2と、第1及び第2測定部3A,3Bと、演算制御部4と、記憶部5と、を備えている。切替部2は、電気回路の開閉を行う部位であり、具体的には、2つ以上(ここでは、2つ)の太陽電池ストリング103を太陽光発電システム100から同時解列し、解列状態の一の太陽電池ストリング103を第1測定部3Aに接続するのと並列的に、解列状態の他の太陽電池ストリング103を第2測定部3Bに接続する。なお、ここでの「一」とは、任意の少なくとも1つを意味し、「他」とは、他部(残部)のうちの少なくとも1つを意味している。
【0031】
この切替部2は、各太陽電池ストリング103を太陽光発電システム100から解列するための解列用スイッチ(スイッチング部)7と、解列した太陽電池ストリング103を第1測定部3Aに接続するための第1測定用スイッチ8と、解列した太陽電池ストリング103を第2測定部3Bに接続するための第2測定用スイッチ9と、を有している。この切替部2内では、各太陽電池ストリング103の正極側同士及び負極側同士が集約されて結線され、並列接続された正極母線及び負極母線が構成されている。
【0032】
解列用スイッチ7は、太陽電池ストリング103とパワーコンディショナ102との間に位置し、これらの電気的な接続/非接続を切り替える。解列用スイッチ7は、各太陽電池ストリング103の正極及び負極のそれぞれに直列接続された解列用スイッチ素子7aを複数含んで構成されている。解列用スイッチ素子7aは、演算制御部4に接続されており、演算制御部4からの指示信号に応じてオンオフを切り替える。ここでの解列用スイッチ素子7aは、通常時にオン状態とされて電気的接続状態とされる一方、地絡検出時にオフ状態とされて電気的遮断状態とされる。
【0033】
複数の解列用スイッチ素子7aのパワーコンディショナ102側の端子は、正極側同士及び負極側同士で結線され、これにより、正極母線及び負極母線が構成されている。これら正極母線及び負極母線は、パワーコンディショナ102に接続されている。解列用スイッチ素子7aとしては、FET(電界効果トランジスタ,Field Effect Transistor)等の半導体スイッチや、リレースイッチ等の機械式スイッチを用いることができる。
【0034】
このように構成された解列用スイッチ7では、2つの太陽電池ストリング103の正極側及び負極側に接続された2組の解列用スイッチ素子7a,7aが順次にオフ状態とされる。これにより、2つの太陽電池ストリング103が太陽光発電システム100から電気的に切り離されて解列される解列状態が、複数の太陽電池ストリング103に対し順次に実施される。
【0035】
第1測定用スイッチ8は、太陽電池ストリング103と第1測定部3Aとの間に位置し、これらの電気的な接続/非接続を切り替える。この第1測定用スイッチ8は、各太陽電池ストリング103の中点に接続された測定用スイッチ素子8aを含んで構成されている。測定用スイッチ素子8aは、演算制御部4に接続されており、演算制御部4からの指示信号に応じてオンオフ切替を実施する。ここでの測定用スイッチ素子8aは、通常時にオフ状態とされて電気的遮断状態とされる一方、地絡検出時にオン状態とされて電気的接続状態とされる。
【0036】
また、複数の測定用スイッチ素子8aにおける第1測定部3A側の端子は、結線されて母線が構成され、この母線は、第1測定部3Aに接続されている。測定用スイッチ素子8aとしては、FET等の半導体スイッチや、リレースイッチ等の機械式スイッチを用いることができる。
【0037】
このように構成された測定用スイッチ8では、解列用スイッチ7により2つ以上の太陽電池ストリング103が太陽光発電システム100から解列されたとき、そのうちの一の太陽電池ストリング103に接続された測定用スイッチ素子8aがオン状態とされる。これにより、当該太陽電池ストリング103が、第1測定部3Aで測定可能とされる。
【0038】
第2測定用スイッチ9は、太陽電池ストリング103と第2測定部3Bとの間に位置し、これらの電気的な接続/非接続を切り替える。この第2測定用スイッチ9は、各太陽電池ストリング103の中点に接続された測定用スイッチ素子9aを含んで構成されている。測定用スイッチ素子8aは、演算制御部4に接続されており、演算制御部4からの指示信号に応じてオンオフ切替を実施する。ここでの測定用スイッチ素子9aは、通常時にオフ状態とされて電気的遮断状態とされる一方、地絡検出時にオン状態とされて電気的接続状態とされる。
【0039】
また、複数の測定用スイッチ素子9aにおける第2測定部3B側の端子は、結線されて母線が構成され、この負極母線は、第2測定部3Bに接続されている。測定用スイッチ素子9aとしては、FET等の半導体スイッチや、リレースイッチ等の機械式スイッチを用いることができる。
【0040】
このように構成された測定用スイッチ9では、解列用スイッチ7により2つ以上の太陽電池ストリング103が太陽光発電システム100から解列されたとき、そのうちの他の太陽電池ストリング103に接続された測定用スイッチ素子9aがオン状態とされる。これにより、当該太陽電池ストリング103が、第2測定部3Bで測定可能とされる。
【0041】
第1及び第2測定部3A,3Bは、解列された太陽電池ストリング103について地絡検出のための測定を行うものである。第1測定部3Aは、一方側が接地電位(大地)Gに接続された第1抵抗31Aと、第1抵抗31Aの他方側に接続された第1直流電源32Aと、第1抵抗31Aに生じる第1電圧値Vを測定する第1電圧計33Aと、を含んでいる。この第1測定部3Aは、切替部2により解列された一の太陽電池ストリング103に接続することにより当該一の太陽電池ストリング103に直流電圧(DC電圧)を印加し、この状態で第1電圧値Vを第1測定値として測定する。
【0042】
第1抵抗31Aは、第1電路上において切替部2と接地電位Gとの間に設けられている。第1抵抗31Aの抵抗値は、地絡発生時の安全性の観点から所定下限値以上とされ、且つ、後述の測定値の測定容易性の観点から所定上限値以下とされている(以下の抵抗において同様)。第1直流電源32Aは、第1電路上において切替部2と第1抵抗31Aとの間に設けられている。この第1直流電源32Aは、太陽電池ストリング103の中点に対し、負電圧の直流電圧を印加し、ここでは、第1直流電圧値Vdの直流電圧を印加する。これにより、太陽電池ストリング103を、第1電位状態とさせる。なお、このような構成により、第1電路は、一方側が接地電位Gに接続されると共に他方側が太陽電池ストリング103に接続可能となっている。
【0043】
図3は、本実施形態の第1電位状態の例を示す図である。図中において、Z軸は対地電位、X軸は時間、Y軸は太陽電池ストリング中の座標をそれぞれ示している。また、同図において、説明を簡単化するため、太陽電池ストリング103中の電位を、負極側から正極側に向けて直線的に増加するものとして図示している。これらについては、図4,16,26,29,30で同様である。
【0044】
図3に示すように、電位状態は、“太陽電池ストリング103中の各点の対地電位が、太陽電池ストリング103の中の座標(負極及び正極間の電路位置を現す指標)と、時間と、の関数にしてどの様に表されるか”を意味している(以下の電位状態において同様)。本実施形態の第1電位状態は、第1直流電圧値Vdの印加により、太陽電池ストリング103の各座標の対地電位が、時間経過に伴って変動した後に時間的に安定(収束)した状態のものである。
【0045】
具体的には、図示するように、第1電位状態は、電圧200Vの太陽電池ストリング103の中点に第1直流電圧値Vdとして−140Vの対地電圧を印加することにより、太陽電池ストリング103の負極の対地電位が−240V、太陽電池ストリング103の中点の対地電位が−140V、太陽電池ストリング103の正極の対地電位が−40Vとなり、これらの電位状態で安定した(時間の経過に対して殆ど変動しない)状態となっている。
【0046】
なお、第1直流電圧値Vdは、地絡検出の感度向上の観点から所定下限値以上とされ、且つ、測定対象の太陽電池回路を破損防止する観点から所定上限値以下とされている(以下の直流電圧値において同様)。
【0047】
図1,2に示すように、この第1直流電源32Aは、演算制御部4に接続されており、演算制御部4からの指示信号に応じて第1直流電圧値Vdの直流電圧を印加する。また、演算制御部4は、第1直流電源32Aにより印加させた第1直流電圧値Vdを記憶部5に記憶する。
【0048】
第1電圧計33Aは、第1抵抗31Aと第1直流電源32Aとの間、及び第1抵抗31Aと接地電位Gとの間に接続されている。第1電圧計33Aは、演算制御部4に接続されており、演算制御部4からの指示信号に応じて第1電圧値Vの測定を実行し、その測定結果を演算制御部4に対し出力する。演算制御部4は、当該測定結果を記憶部5に記憶する。
【0049】
第2測定部3Aは、一方側が接地電位Gに接続された第2抵抗31Bと、第2抵抗31Bの他方側に接続された第2直流電源32Bと、第2抵抗31Bに生じる第2電圧値Vを測定する第2電圧計33Aと、を含んでいる。この第2測定部3Bは、切替部2により解列された他の太陽電池ストリング103に接続することにより当該他の太陽電池ストリング103に直流電圧(DC電圧)を印加し、この状態で第2電圧値Vを第2測定値として測定する。
【0050】
第2抵抗31Bは、第2電路上において切替部2と接地電位Gとの間に設けられている。この第2抵抗31Bの抵抗値は、上記第1抵抗31Aと等しい抵抗値とされている。第2直流電源32Bは、第2電路上において切替部2と第2抵抗31Bとの間に設けられている。この第2直流電源32Bは、太陽電池ストリング103の中点に対し、正電圧の直流電圧を印加し、ここでは、上記第1直流電圧値Vdとは異なる電圧値の第2直流電圧値Vdの直流電圧を印加する。これにより、太陽電池ストリング103を、異なる第2電位状態とさせる。なお、このような構成により、第2電路は、一方側が接地電位Gに接続されると共に他方側が太陽電池ストリング103に接続可能となっている。
【0051】
図4は、本実施形態の第2電位状態の例を示す図である。図4に示すように、本実施形態の第2電位状態は、第1電位状態とは異なる電位状態である。ここでの第2電位状態は、第2直流電圧値Vdの印加により、太陽電池ストリング103の各座標の対地電位が、時間の経過に伴って変動した後に時間的に安定した状態のものである。
【0052】
具体的には、図示するように、本実施形態の第2電位状態は、電圧200Vの太陽電池ストリング103の中点に第2直流電圧値Vdとして+80Vの対地電圧を印加することにより、太陽電池ストリング103の負極の対地電位が−20V、太陽電池ストリング103の中点の対地電位が+80V、太陽電池ストリング103の正極の対地電位が+180Vとなり、これらの電位状態で安定した状態となっている。
【0053】
図1,2に示すように、この第2直流電源32Bは、演算制御部4に接続されており、演算制御部4からの指示信号に応じて第2直流電圧値Vdの直流電圧を印加する。また、第2直流電源32Bは、印加する第2直流電圧値Vdを記憶部5に記憶する。
【0054】
第2電圧計33Bは、第2抵抗31Bと第2直流電源32Bとの間、及び第2抵抗31Bと接地電位Gとの間に接続されている。第2電圧計33Bは、演算制御部4に接続されており、演算制御部4からの指示信号に応じて第2電圧値Vの測定を実行し、その測定結果を記憶部5に記憶する。
【0055】
演算制御部4は、地絡検出装置1全体を制御するためのもの(コンピュータ)である。ここでの演算制御部4は、後述の地絡検出プログラムを実行し、第1及び第2測定部3A,3Bによる測定、記憶及び測定結果に基づく演算、並びに地絡存否の判定を実施する。この演算制御部4は、切替部2、第1及び第2測定部3A,3B及び記憶部5に接続されている。演算制御部4としては、CPU(Central Processing Unit)により構成してもよいし、アナログIC回路やPLD(Programmable Logic Device)回路により構成してもよい。
【0056】
この演算制御部4は、図5に示すように、ストリング選定機能、解列制御機能(解列機能)、第1測定機能、第2測定機能、記憶機能、演算機能及び地絡判定機能を有している。ストリング選定機能は、太陽光発電システム100から解列させる太陽電池ストリング103を選定する。解列制御機能は、切替部2の解列用スイッチ7へオンオフ切替を指示して、太陽電池ストリング103の解列を制御する。
【0057】
第1測定機能は、切替部2の第1測定用スイッチ8へオンオフ切替を指示すると共に、第1直流電源32Aを制御して太陽電池アレイ101へ第1直流電圧値Vdの直流電圧を印加させ、そして、第1電圧計33Aへ測定実施を指示する。第2測定機能は、切替部2の第2測定用スイッチ9へオンオフ切替を指示すると共に、第2直流電源32Bを制御して太陽電池アレイ101へ第2直流電圧値Vdの直流電圧を印加させ、そして、第2電圧計33Bへ測定実施を指示する。
【0058】
記憶機能は、各太陽電池ストリング103の測定状況や電圧計33A,33Bの測定結果及び演算結果を記憶部5に記憶する。演算機能は、記憶部5に記憶された測定結果に基づき演算を実施する。地絡判定機能は、演算機能による演算結果に基づいて地絡の有無を判定する。
【0059】
記憶部5は、演算制御部4が実行する地絡検出プログラム、太陽電池アレイ101の測定状況、第1及び第2測定部3A,3Bによる測定結果、及び演算制御部4による演算結果を記憶するための記録媒体である。なお、記憶部5としては、半導体メモリや磁気記憶装置等を用いることができる。また、記憶部5に地絡検出プログラムの全部又は一部が記憶されていない場合には、外部記憶装置(例えば、ハードディスク)に地絡検出プログラムの全部又は一部を記憶し、これを読み込むことにより演算制御部4にて地絡検出に係る処理を実行させてもよい。
【0060】
次に、地絡検出装置1により実施される地絡検出方法(地絡検出プログラムによる動作)の一例について、図6,7に示すフローチャートを参照しつつ例示して説明する。
【0061】
上述した地絡検出装置1において太陽電池アレイ101内の地絡を検出する場合、例えば図8の動作スキームに示すように、複数の太陽電池ストリング103のうち2つの太陽電池ストリング103を太陽光発電システム100から順次に解列する(図中の太枠)。このとき、解列状態の一方の太陽電池ストリング103に対し第1電圧値Vの測定を実施するのと並列的に、解列状態の他方の太陽電池ストリング103に対し第2電圧値V2の測定を実施する。
【0062】
なお、図8中では、8つの太陽電池ストリング103からなる太陽電池アレイ101について例示している。また、図1,2に示す地絡検出装置1の状態は、図8中のTIME=1,2のときの状態にそれぞれ対応している。
【0063】
具体的には、太陽電池アレイ101内の地絡検出の際、演算制御部4の各種機能を実行して次の処理を行う。すなわち、iは1以上の整数とし、i>nのときi=i−nとし、iの初期値をnとしたとき、図6のフローチャートに示すように、まず、複数の太陽電池ストリング103の中から、太陽光発電システム100に対して解列させる第i太陽電池ストリング103を選択し、選択した第i太陽電池ストリング103に対応する解列用スイッチ素子7a,7aをオフにし、これにより、第i太陽電池ストリング103を太陽光発電システム100から電気的に切り離して解列し、解列状態とする(S1)。
【0064】
続いて、複数の太陽電池ストリング103の中から、第(i+1)太陽電池ストリング103を選択し、選択した第(i+1)太陽電池ストリング103に対応する解列用スイッチ素子7a,7aをオフにし、これにより、第(i+1)太陽電池ストリング103を太陽光発電システム100から電気的に切り離して解列し、解列状態とする(S2)。
【0065】
続いて、解列状態の第i及び第(i+1)太陽電池ストリング103,103のうち一方の第(i+1)太陽電池ストリング103に対応する測定用スイッチ素子8aをオンにし、当該第(i+1)太陽電池ストリング103を第1測定部3Aに接続する(S3)。そして、第1直流電源32Aにより、太陽電池ストリング103の中点に負電圧の第1直流電圧値Vdを印加する(S4)。これにより、当該太陽電池ストリング103を第1電位状態とする。この状態で、第1電圧計33Aにより第1抵抗31Aに生じる第1電圧値Vを測定し、当該測定結果を記憶部5に記憶する(S5)。
【0066】
また、上記S3〜S5の処理と並列的に、解列状態の他方の第i太陽電池ストリング103に対応する測定用スイッチ素子9aをオンにし、当該第i太陽電池ストリング103を第2測定部3Bに接続する(S6)。そして、第2直流電源32Bにより、太陽電池ストリング103の中点に正電圧の第2直流電圧値Vdを印加する(S7)。これにより、当該太陽電池ストリング103を第2電位状態とする。この状態で、第2電圧計33Bにより第2抵抗31Bに生じる第2電圧値V2を測定し、当該測定結果を記憶部5に記憶する(S8)。
【0067】
ここでは、第1及び第2電圧値V,V2は、その値が一定に安定したときの値としている。これら第1及び第2電圧値V,V2は、時間を変数とする関数にして表される値(時間波形等)としてもよい。
【0068】
続いて、解列状態の第i太陽電池ストリング103について、解列用スイッチ素子7a,7aをオン状態にして太陽光発電システム100に接続すると共に、測定用スイッチ素子9aをオフにして第2測定部3Bから切り離す(S9)。
【0069】
続いて、全ての太陽電池ストリング103について第1及び第2電圧値V,Vの測定(上記S3〜S6)が完了していない場合、i=i+1としながら上記S2〜S9を繰り返す(S10)。
【0070】
一方、全ての太陽電池ストリング103について第1及び第2電圧値V,V2の測定が完了した場合、解列状態の第(i+1)太陽電池ストリング103について、解列用スイッチ素子7a,7aをオン状態にして太陽光発電システム100に接続すると共に、測定用スイッチ素子8aをオフにして第1測定部3Aから切り離す(S11)。
【0071】
ここで、図7のフローチャートに示すように、各太陽電池ストリング103について記憶部5に第1及び第2電圧値V,Vが記憶された場合、これら第1及び第2電圧値V1,Vに基づいて当該太陽電池ストリング103における地絡の有無を判定する。すなわち、第1電圧値Vに基づいて、第1抵抗31Aを介して流れる漏れ電流(つまり、漏洩電流又は零相電流)の電流値である第1漏れ電流値Iを求める。これと共に、第2電圧値Vに基づいて、第2抵抗31Bを介して流れる漏れ電流の電流値である第2漏れ電流値Iを求め、これら漏れ電流値I,Iの変化から地絡の有無を判定する。
【0072】
具体的には、まず、下式(1)により第1及び第2漏れ電流値I,Iから絶縁抵抗値Rleakを演算する(S12)。そして、演算した絶縁抵抗値Rleakと、予め記憶部5に記憶されている基準抵抗値とを比較し、太陽電池アレイ101の地絡判定を行う(S13)。より具体的には、絶縁抵抗値Rleakが基準抵抗値よりも小さい又は以下の場合、「地絡あり」と判定する一方、絶縁抵抗値Rleakが基準抵抗値以上又は基準抵抗値よりも大きいの場合、「地絡無し」と判定する。
leak=(Vd−Vd)/(I−I)−Rd …(1)
但し、Rd:第1及び第2抵抗の抵抗値
【0073】
そして、上記S13における地絡判定結果が「地絡無し」であれば、解列状態の測定対象の太陽電池ストリング103について、解列用スイッチ素子7a,7aをオン状態にして太陽光発電システム100に接続する(S14)。一方、地絡判定結果が「地絡あり」であれば、解列状態の測定対象の太陽電池ストリング103について、解列用スイッチ素子7a,7aをオフのままにして解列状態を維持することとなる(S15)。
【0074】
以上、本実施形態では、地絡検出のために第1及び第2電圧値V,Vを測定する太陽電池ストリング103を、太陽光発電システム100から電気的に切り離して解列している。このように、測定対象を小さい単位にすることから、当該測定対象の対地静電容量を下げることができ(つまり、測定対象の電路を短くし、及び総面積を小さくすることができ)、対地静電容量により流れる電流の悪影響が地絡検出に及ぶのを抑制することが可能となる。
【0075】
これと共に、第1及び第2電圧値V,Vの測定時に太陽電池ストリング103がパワーコンディショナ102に対して電気的に切り離されることとなり、当該パワーコンディショナ102に起因して発生するノイズの悪影響が測定に及ぶのをも抑制できる。従って、地絡を確実に検出することが可能となる。
【0076】
さらに、本実施形態では、解列状態における一及び他の太陽電池ストリング103,103について互いに別の測定が並列的に(同じタイミングで)行われ、これにより、第1及び第2電圧値V,Vが並列的に測定されることとなる。よって、第1及び第2電圧値V,Vの測定を効率化でき、ひいては地絡検出を効率化することができる。従って、太陽電池アレイ101内の地絡の検出に要する時間(太陽電池アレイ101の地絡検出にかかる総時間)を短縮することが可能となる。
【0077】
また、本実施形態では、第1及び第2抵抗31A,31Bで生じる第1及び第2電圧値V,Vをそれぞれ監視することで、太陽電池ストリングの地絡を好適に検出することが可能となる。特に、第1及び第2電圧値V,Vの変化から地絡の有無を判定することができ、よって、漏れ電流値を確実に検知するために太陽電池ストリング103に対地高電位を生じさせる必要がなく、地絡検出時の安全性を高めることができる。
【0078】
また、本実施形態では、解列状態の太陽電池ストリング103の地絡を検出することから、測定対象の対地静電容量を下げることができるため、第1及び第2測定用スイッチ8,9の切り替えの際、対地静電容量による突入電流が発生する虞を抑制することが可能となる。
【0079】
また、本実施形態では、第1測定部3Aが測定する一の太陽電池ストリング103の数と、第2測定部3Bが測定する他の太陽電池ストリング103の数との合計(ここでは2つ)に対し同数の太陽電池ストリング103が、太陽光発電システム100から解列される。よって、必要な太陽電池ストリング103のみ解列でき、太陽電池ストリング103の解列の無駄を低減することが可能となる。
【0080】
また、本実施形態では、上述したように、解列された太陽電池ストリング103について、地絡無しと判定された場合に太陽光発電システム103に電気的に接続される一方で、地絡ありと判定された場合に太陽光発電システム103から解列状態のままにされる。よって、地絡していない太陽電池ストリング103を発電に好適に寄与させることができる。
【0081】
また、本実施形態では、絶縁抵抗値Rleakが算出され、当該絶縁抵抗値Rleakが所定値以下又は未満のときに地絡ありと判定される。電流値から地絡を判定するとき、測定対象の対地電位が変化すると電流値が変化してしまうため、場合によっては判定が煩雑になることもある。この点、絶縁抵抗値Rleakは太陽電池ストリング103の対地電位によらないものであることから、地絡の有無の判定を容易且つ好適に行うことができる。
【0082】
また、本実施形態では、解列された一の太陽電池ストリング103に第1測定部3Aが接続された際、当該一の太陽電池ストリング103の対地電位が第1電位状態にされて第1電圧値Vが測定され、解列された他の太陽電池ストリング103に第2測定部3Bが接続された際、当該他の太陽電池ストリング103の対地電位が第2電位状態にされて第2電圧値Vが測定される。この場合、意図的に太陽電池ストリング103の対地電位を2種(複数)の電位状態に変化させ、地絡位置の電位によらずに高感度に地絡を検出する際において、当該地絡の検出に要する時間を短縮することができる。
【0083】
なお、本実施形態では、第1測定部3Aが第1直流電源32Aを備えない構成(つまり、第1測定部3Aが太陽電池ストリング103に0Vの直流電圧を印加する構成)としてもよいし、又は、第2測定部3Bが第2直流電源32Bを備えない構成(つまり、第2測定部3Bが太陽電池ストリング103に0Vの直流電圧を印加する構成)としてもよい。
【0084】
また、本実施形態では、第1及び第2直流電源32A,32Bにより太陽電池ストリング103の中点に直流電圧を印加する構成としたが、これに限定されず、太陽電池ストリング103の何れかの箇所に直流電圧を印加する構成としてもよい。
【0085】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について説明する。なお、本実施形態では、上記第1実施形態と異なる点について主に説明する。
【0086】
図9,10は、第2実施形態に係る地絡検出装置を備えた太陽光発電システムを示す概略構成図である。図9,10に示すように、本実施形態の地絡検出装置201は、切替部2(図1参照)に代えて切替部202を備えていると共に、第1及び第2充放電部6A,6Bをさらに備えている。
【0087】
切替部202は、4つの太陽電池ストリング103を太陽光発電システム200から同時解列する。また、切替部202は、解列状態であって第1測定部3Aによる測定前の太陽電池ストリング103を第1充放電部6Aに接続するのと並列的に、解列状態であって第2測定部3Bによる測定前の太陽電池ストリング103を第2充放電部6Bに接続する。
【0088】
この切替部202は、解列した太陽電池ストリング103を第1充放電部6Aに接続するための第1充放電用スイッチ23と、解列した太陽電池ストリング103を第2充放電部6Bに接続するための第2充放電用スイッチ24と、を有している。
【0089】
第1充放電用スイッチ23は、太陽電池ストリング103と第1充放電部6Aとの間に位置し、これらの電気的な接続/非接続を切り替える。この第1充放電用スイッチ23は、各太陽電池ストリング103の中点に接続された複数の充放電用スイッチ素子23aを含んで構成されている。充放電用スイッチ素子23aは、演算制御部4に接続されており、演算制御部4からの指示信号に応じてオンオフ切替を実施する。ここでの充放電用スイッチ素子23aは、通常時にオフ状態とされて電気的遮断状態とされる一方、充放電時にオン状態とされて電気的接続状態とされる。
【0090】
また、複数の充放電用スイッチ素子23aにおける第1充放電部6A側の端子は、結線されて母線が構成され、この母線は、第1充放電部6Aに接続されている。充放電用スイッチ素子23aとしては、FET等の半導体スイッチや、リレースイッチ等の機械式スイッチを用いることができる。
【0091】
このように構成された第1充放電用スイッチ23では、解列用スイッチ7により4つの太陽電池ストリング103が太陽光発電システム200から解列されたとき、そのうちの第1及び第2測定部3A,3Bに電気的に接続されていない太陽電池ストリング103,103の一方における充放電用スイッチ素子23aがオン状態とされる。これにより、当該一方の太陽電池ストリング103が、第1充放電部6Aで充放電可能とされる。
【0092】
第2充放電用スイッチ24は、太陽電池ストリング103と第2充放電部6Bとの間に位置し、これらの電気的な接続/非接続を切り替える。この第2充放電用スイッチ24は、各太陽電池ストリング103の中点に接続された複数の充放電用スイッチ素子24aを含んで構成されている。充放電用スイッチ素子24aは、演算制御部4に接続されており、演算制御部4からの指示信号に応じてオンオフ切替を実施する。ここでの充放電用スイッチ素子24aは、通常時にオフ状態とされて電気的遮断状態とされる一方、充放電時にオン状態とされて電気的接続状態とされる。
【0093】
また、複数の充放電用スイッチ素子24aの第2充放電部6B側の端子は、結線されて母線が構成され、この母線は、第2充放電部6Bに接続されている。充放電用スイッチ素子24aとしては、FET等の半導体スイッチや、リレースイッチ等の機械式スイッチを用いることができる。
【0094】
このように構成された第2充放電用スイッチ24では、解列用スイッチ7により4つの太陽電池ストリング103が太陽光発電システム100から解列されたとき、そのうちの第1及び第2測定部3A,3Bに電気的に接続されていない太陽電池ストリング103,103の他方における充放電用スイッチ素子24aがオン状態とされる。これにより、当該他方の太陽電池ストリング103が、第2充放電部6Bで充放電可能とされる。
【0095】
第1充放電部6Aは、解列された太陽電池ストリング103に対し、その対地電位が第1測定部3Aに接続した時の対地電位と等しくなるよう接続する。これにより、第1充放電部6Aでは、当該太陽電池ストリング103の対地静電容量中の電荷量が、第1測定部3Aに接続した時の対地静電容量中の電荷量と等しくなるよう充放電(充電又は放電)される。
【0096】
具体的には、この第1充放電部6Aは、一方側が接地電位Gに接続された第1抵抗61Aと、第1抵抗61Aの他方側に接続された第1直流電源62Aと、を含んでいる。第1抵抗61Aは、電路上において切替部202と接地電位Gとの間に設けられている。第1抵抗61Aの抵抗値は、上記第1抵抗31Aと等しい抵抗値とされている。第1直流電源62Aは、電路上において切替部202と第1抵抗61Aとの間に設けられている。この第1直流電源62Aは、太陽電池ストリング103の中点に対し、負電圧の直流電圧を印加し、ここでは、上記第1直流電源32Aと等しい第1直流電圧値Vdの直流電圧を印加する。これにより、太陽電池ストリング103を第1電位状態とさせる。この第1直流電源62Aは、演算制御部4に接続されており、演算制御部4からの指示信号に応じて第1直流電圧値Vdの直流電圧を印加する。
【0097】
第2充放電部6Bは、解列された太陽電池ストリング103に対し、その対地電位が第2測定部3Bに接続した時の対地電位と等しくなるよう接続する。これにより、第2充放電部6Bでは、当該太陽電池ストリング103の対地静電容量中の電荷量が、第2測定部3Bに接続した時の対地静電容量中の電荷量と等しくなるよう充放電される。
【0098】
具体的には、この第2充放電部6Bは、一方側が接地電位Gに接続された第2抵抗61Bと、第2抵抗61Bの他方側に接続された第2直流電源62Bと、を含んでいる。第2抵抗61Bは、電路上において切替部202と接地電位Gとの間に設けられている。第2抵抗61Bの抵抗値は、上記第2抵抗31Bと等しい抵抗値とされている。第2直流電源62Bは、電路上において切替部202と第2抵抗61Bとの間に設けられている。この第2直流電源62Bは、太陽電池ストリング103の中点に対し、正電圧の直流電圧を印加し、ここでは、上記第2直流電源32Bと等しい第2直流電圧値Vdの直流電圧を印加する。これにより、太陽電池ストリング103を第2電位状態とさせる。この第2直流電源62Bは、演算制御部4に接続されており、演算制御部4からの指示信号に応じて第2直流電圧値Vdの直流電圧を印加する。
【0099】
また、演算制御部4は、切替部202の充放電用スイッチ23,24へオンオフ切替を指示して解列状態における太陽電池ストリング103へ充放電実施を指示する充放電機能をさらに有している。
【0100】
次に、地絡検出装置201により実施される地絡検出方法(地絡検出プログラムによる動作)の一例について、図11に示すフローチャートを参照しつつ例示して説明する。
【0101】
このような本実施形態において太陽電池アレイ101内の地絡を検出する場合、図12の動作スキームに示すように、複数の太陽電池ストリング103のうち、4つの太陽電池ストリング103を太陽光発電システム200から順次に解列する(図中の太枠)。このとき、解列状態の太陽電池ストリング103に第1測定部3Aを接続して第1電圧値Vを測定するのと並列的に、これとは別の解列状態の太陽電池ストリング103に第2測定部3Bを接続して第2電圧値Vを測定する。これに併せて、解列状態であって第1測定部3Aによる測定前の太陽電池ストリング103に第1充放電部6Aを接続して充放電する(第1充放電)のと並列的に、解列状態であって第2測定部3Bによる測定前における太陽電池ストリング103に第2充放電部6Bを接続して充放電する(第2充放電)。
【0102】
なお、図12中では、8つの太陽電池ストリング103からなる太陽電池アレイ101について例示している。また、図9,10に示す地絡検出装置201の状態は、図12中のTIME=1,2のときの状態にそれぞれ対応している。
【0103】
具体的に説明すると、iは1以上の整数とし、i>nのときi=i−nとし、iの初期値をnとしたとき、図11のフローチャートに示すように、まず、第i太陽電池ストリング103を選択し太陽光発電システム200から解列し、第(i+1)太陽電池ストリング103を選択し太陽光発電システム200から解列し、第(i+2)太陽電池ストリング103を選択し太陽光発電システム200から解列し、第(i+3)太陽電池ストリング103を選択し太陽光発電システム100から解列する(S21〜S24)。
【0104】
続いて、解列状態の太陽電池ストリング103のうち第i太陽電池ストリング103に対応する測定用スイッチ素子9aをオンにし、当該第i太陽電池ストリング103を第2測定部3Bに接続する(S25)。そして、第2直流電源32Bにより、太陽電池ストリング103の中点に負電圧の第2直流電圧値Vdを印加する(S26)。これにより、当該太陽電池ストリング103を第2電位状態とする。この状態で、第2電圧計33Bにより第2抵抗31Bに生じる第2電圧値Vを測定し、当該測定結果を記憶部5に記憶する(S27)。
【0105】
また、上記S25〜S27の処理と並列的に、解列状態の太陽電池ストリング103のうち第(i+2)太陽電池ストリング103に対応する測定用スイッチ素子8aをオンにし、当該第(i+2)太陽電池ストリング103を第1測定部3Aに接続する(S28)。そして、第1直流電源32Aにより、太陽電池ストリング103の中点に正電圧の第1直流電圧値Vdを印加する(S29)。これにより、当該太陽電池ストリング103を第1電位状態とする。この状態で、第1電圧計33Aにより第1抵抗31Aに生じる第1電圧値Vを測定し、当該測定結果を記憶部5に記憶する(S30)。
【0106】
また、上記S25〜S30の処理と並列的に、解列状態の太陽電池ストリング103のうち第(i+1)太陽電池ストリング103に対応する充填用スイッチ素子24aをオンにし、当該第(i+1)太陽電池ストリング103を第2充放電部6Bに接続し、当該太陽電池ストリング103を第2電位状態とする(S31)。これにより、第(i+1)太陽電池ストリング103の対地静電容量に蓄えられた電荷量が、第2測定部3Bに接続したときの対地静電容量に蓄えられる電荷量と等しくなるまで、第2充放電部6Bにより充放電させる(S32)。
【0107】
また、上記S25〜S32の処理と並列的に、解列状態の太陽電池ストリング103のうち第(i+3)太陽電池ストリング103に対応する充填用スイッチ素子23aをオンにし、当該第(i+3)太陽電池ストリング103を第1充放電部6Aに接続し、当該太陽電池ストリング103を第1電位状態とする(S33)。これにより、第(i+3)太陽電池ストリング103の対地静電容量に蓄えられた電荷量が、第1測定部3Aに接続したときの対地静電容量に蓄えられる電荷量と等しくなるまで、第1充放電部6Aにより充放電させる(S34)。
【0108】
続いて、解列状態の第i太陽電池ストリング103について、解列用スイッチ素子7a,7aをオン状態にして太陽光発電システム200に接続すると共に、測定用スイッチ素子9aをオフにして第2測定部3Bから切り離す(S35)。
【0109】
続いて、全ての太陽電池ストリング103について第1及び第2電圧値V,Vの測定が完了するまで、i=i+1としながら上記S24〜S35を繰り返す(S36)。全ての太陽電池ストリング103について電圧値V,Vの測定が完了した場合、解列状態の第(i+1)〜(i+3)太陽電池ストリング103について、解列用スイッチ素子7a,7aをオン状態にして太陽光発電システム200に接続すると共に、測定用スイッチ素子8a及び充放電用スイッチ素子23a,24aをオフにして切り離す(S37)。
【0110】
なお、各太陽電池ストリング103について記憶部5に電圧値V,Vが記憶された場合、図7のフローチャートに示す上記手順と同様にして、電圧値V,Vに基づき当該太陽電池ストリング103の地絡の有無を判定する。
【0111】
以上、本実施形態においても、電圧値V,Vを測定する一及び他の太陽電池ストリング103,103を太陽光発電システム200から解列することができる。また、解列状態における一及び他の太陽電池ストリング103,103について互いに別の測定を並列的に行うことができるため、地絡検出を効率化することができる。よって、上記作用効果、すなわち、地絡を確実に検出すると共に、地絡の検出に要する時間を短縮するという作用効果が奏される。
【0112】
ここで、一般的に、太陽電池ストリング103における測定用スイッチ素子8a,9aをオンにして当該太陽電池ストリング103を第1及び第2測定部3A,3Bに接続した直後では、測定される第1及び第2電圧値V,Vが太陽電池ストリング103の対地静電容量に起因して変動する場合があるため、通常は、かかる変動が落ち着くまで地絡検出に係る測定の実施を待機する必要がある。
【0113】
この点、本実施形態では、上述したように、解列状態の太陽電池ストリング103,103について第1及び第2電圧値V,Vを測定するのと並列的に、第1及び第2電圧値V,Vを測定する前の太陽電池ストリング103,103を予め充放電させている。よって、太陽電池ストリング103に第1及び第2測定部3A,3Bを接続直後において、測定される第1及び第2電圧値V,Vの変動を抑制でき、待つことなくすぐに、かかる測定を実施することが可能となる。従って、太陽電池アレイ101内の地絡の検出に要する時間を一層短縮することが可能となる。
【0114】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態について説明する。なお、本実施形態では、上記第1実施形態と異なる点について主に説明する。
【0115】
図13,14は、第3実施形態に係る地絡検出装置を備えた太陽光発電システムを示す概略構成図である。図13,14に示すように、本実施形態の地絡検出装置301は、切替部2(図1参照)に代えて切替部302を備え、第1及び第2測定部3A,3Bに代えて第1及び第2測定部303A,303Bを備えている。
【0116】
切替部302は、第1測定用スイッチ8に代えて第1測定用スイッチ308を有し、第2測定用スイッチ9に代えて第2測定用スイッチ309を有している。第1測定用スイッチ308は、太陽電池ストリング103と第1測定部303Aとの間に位置し、これらの電気的な接続/非接続を切り替えるものであり、各太陽電池ストリング103の負極側に接続された測定用スイッチ素子308aを含んで構成されている。測定用スイッチ素子308aは、演算制御部4に接続されており、演算制御部4からの指示信号に応じてオンオフ切替を実施する。ここでの測定用スイッチ素子308aは、通常時にオフ状態とされて電気的遮断状態とされる一方、測定時にオン状態とされて電気的接続状態とされる。
【0117】
第2測定用スイッチ309は、太陽電池ストリング103と第2測定部303Bとの間に位置し、これらの電気的な接続/非接続を切り替えるものであり、各太陽電池ストリング103の正極側に接続された測定用スイッチ素子309aを含んで構成されている。測定用スイッチ素子309aは、演算制御部4に接続されており、演算制御部4からの指示信号に応じてオンオフ切替を実施する。ここでの測定用スイッチ素子309aは、通常時にオフ状態とされて電気的遮断状態とされる一方、測定時にオン状態とされて電気的接続状態とされる。
【0118】
第1測定部303Aは、一方側が接地電位Gに接続された第1抵抗331Aと、第1抵抗331Aに生じる電圧を測定する第1電圧計332Aと、を有している。第1抵抗331Aは、その他方側が太陽電池ストリング103の負極母線に第1測定用スイッチ308を介して電気的に接続可能とされている。第1抵抗331Aは、その抵抗値が抵抗値Rdとされている。
【0119】
第1電圧計332Aは、切替部302と第1抵抗331Aとの間、及び第1抵抗331Aと接地電位Gとの間に電気的に接続されており、第1抵抗331Aの電圧降下値及びその符号を測定する。ここでは、第1電圧計332Aは、電圧降下値を負極側電圧降下値(第2測定値)Vとして測定する。なお、電圧降下値の符号は、例えば、接地電位Gに向かって電流が流れる方向を正とし、逆向きを負として設定することができる。
【0120】
また、第1電圧計332Aは、解列された太陽電池ストリング103の正極と負極との間の電位差(以下、「極間電圧値」という)及びその符号を測定する。極間電圧値の符号は、例えば、負極側電位を基準として正極側電位の大小を比較することで設定することができる。第1電圧計332Aは、演算制御部4に接続されており、演算制御部4からの指示信号に応じて各種測定を実行し、その測定結果を記憶部5に記憶する。
【0121】
第2測定部303Bは、一方側が接地電位Gに接続された第2抵抗331Bと、第2抵抗331Bに生じる電圧を測定する第2電圧計332Bと、を有している。第2抵抗331Bは、その他方側が太陽電池ストリング103の正極母線に第2測定用スイッチ309を介して電気的に接続可能とされている。この第2抵抗331Bは、その抵抗値が上記第1抵抗331Aと等しい抵抗値Rdとされている。
【0122】
第2電圧計332Bは、切替部302と第2抵抗301Bとの間、及び第2抵抗301Bと接地電位Gとの間に電気的に接続されており、第2抵抗301Bの電圧降下値及びその符号を測定する。ここでは、第2電圧計332Bは、電圧降下値を正極側電圧降下値(第1測定値)Vとして測定する。また、第2電圧計332Bは、解列された太陽電池ストリング103の極間電圧値及びその符号を測定する。第2電圧計332Bは、演算制御部4に接続されており、演算制御部4からの指示信号に応じて各種測定を実行し、その測定結果を記憶部5に記憶する。
【0123】
次に、地絡検出装置301により実施される地絡検出方法(地絡検出プログラムによる動作)の一例について、図15に示すフローチャートを参照しつつ例示して説明する。
【0124】
このような本実施形態において太陽電池アレイ101内の地絡を検出する場合、例えば図17の動作スキームに示すように、複数の太陽電池ストリング103のうち2つの太陽電池ストリング103を太陽光発電システム300から順次に解列する(図中の太枠)。このとき、解列状態の一方の太陽電池ストリング103における負極側に第1測定部303Aを接続し第1電位状態として、第1抵抗331Aの負極側電圧降下値Vを測定する。
【0125】
本実施形態の第1電位状態は、太陽電池ストリング103の負極側に第1測定部303Aを接続したときを基点にして、太陽電池ストリング103の各座標の対地電位が、図16(a)に示す状態となって安定するものである。すなわち、例えば電圧値200Vの太陽電池ストリング103では、負極側の対地電位が接地電位と等電位(=0V)となると共に、負極側から正極側に向けて対地電位が200Vまで一定増加する(つまり、負極側が0Vとなるように各座標の対地電位がZ軸方向に平行移動されている)。
【0126】
これと並列的に、解列状態の他方の太陽電池ストリング103における正極側に第2測定部303Bを接続し第2電位状態として、第2抵抗331Bの正極側電圧降下値Vを測定する。本実施形態の第2電位状態は、第1電位状態とは異なる電位状態である。ここでの第2電位状態は、太陽電池ストリング103の正極側に第2測定部303Bを接続したときを基点にして、太陽電池ストリング103の各座標の対地電位が、図16(b)に示す状態となって安定するものである。すなわち、例えば電圧値200Vの太陽電池ストリング103では、正極側の対地電位が接地電位と等電位(=0V)となると共に、正極側から負極側に向けて対地電位が−200Vまで一定減少する(つまり、正極側が0Vとなるように各座標の対地電位がZ軸方向に平行移動されている)。
【0127】
なお、図17中では、8つの太陽電池ストリング103からなる太陽電池アレイ101について例示している。また、図13,14に示す地絡検出装置301の状態は、図17中のTIME=1,2のときの状態にそれぞれ対応している。
【0128】
具体的に説明すると、iは1以上の整数とし、i>nのときi=i−nとし、iの初期値をnとしたとき、図15のフローチャートに示すように、第(i+1)太陽電池ストリング103を選択し太陽光発電システム300から解列した後(上記S2の後)、解列状態の太陽電池ストリング103,103のうち一方の第i太陽電池ストリング103について、測定用スイッチ素子308aをオンにして負極側を第1測定部303Aに接続する(S16)。この状態で、第1電圧計332Aにより第i太陽電池ストリング103の負極側電圧降下値Vとその符号とを測定し、当該測定結果を記憶部5に記憶する(S17)。
【0129】
上記S16,S17の処理と並列的に、解列状態の他方の第(i+1)太陽電池ストリング103について、測定用スイッチ素子309aをオンにして正極側を第2測定部303Bに接続する(S18)。この状態で、第2電圧計332Bにより第(i+1)太陽電池ストリング103の正極側電圧降下値Vとその符号とを測定し、当該測定結果を記憶部5に記憶する(S19)。そして、全ての太陽電池ストリング103について電圧降下値V,Vの測定(上記S16〜S19)が完了しているか否かの判定を行う上記S10に移行することとなる。
【0130】
なお、各太陽電池ストリング103について記憶部5に電圧降下値V,Vが記憶された場合、図7のフローチャートに示す上記手順と同様にして、電圧降下値V,Vに基づき当該太陽電池ストリング103の地絡の有無を判定する。すなわち、上記S12として、太陽電池ストリング103の極間電圧値及びその符号をさらに測定して下式(3)により絶縁抵抗値Rleakを算出する。その後、太陽電池アレイ101の地絡判定を行う上記S13へ移行する。
leak=Rd×|V/(V3−V4)|−Rd …(3)
但し、V:極間電圧値
【0131】
ここでは、電圧降下値V,Vは、その値が一定に安定したときの値としている。これら電圧降下値V,Vは、時間を変数とする関数にして表される値(時間波形等)としてもよい。
【0132】
以上、本実施形態では、電圧降下値V,Vを測定する一及び他の太陽電池ストリング103,103を太陽光発電システム300から解列することができる。また、解列状態における一及び他の太陽電池ストリング103,103について互いに別の測定を並列的に行うことができるため、地絡検出を効率化することができる。よって、上記作用効果、すなわち、地絡を確実に検出すると共に、地絡の検出に要する時間を短縮するという作用効果が奏される。
【0133】
また、本実施形態では、電圧降下値V,Vをそれぞれ監視することで、太陽電池アレイ内の地絡を好適に検出することが可能となる。特に、本実施形態では、零相電流を監視して地絡を検出するのではなく、上述したように、電圧降下値V,Vを測定して演算してなる絶縁抵抗値Rleakにより地絡の有無を判定するため、対地絶縁不良を予め好適に検知することができる。加えて、電圧降下値V,Vのバランスから、地絡箇所を検知することも可能となる。
【0134】
[第4実施形態]
次に、本発明の第4実施形態について説明する。なお、本実施形態では、上記第3実施形態と異なる点について主に説明する。
【0135】
図18〜21は、第4実施形態に係る地絡検出装置を備えた太陽光発電システムを示す概略構成図である。図18〜21に示すように、本実施形態の地絡検出装置401は、切替部302(図13参照)に代えて切替部402を備えていると共に、第1及び第2充放電部406A,406Bをさらに備えている。
【0136】
切替部402は、4つの太陽電池ストリング103を太陽光発電システム400から同時解列する。また、切替部402は、解列状態であって第1測定部303Aによる測定前の太陽電池ストリング103を第1充放電部406Aに接続するのと並列的に、解列状態であって第2測定部303Bによる測定前の太陽電池ストリング103を第2充放電部406Bに接続する。
【0137】
この切替部402は、解列した太陽電池ストリング103を第1充放電部406Aに接続するための第1充放電用スイッチ423と、解列した太陽電池ストリング103を第2充放電部406Bに接続するための第2充放電用スイッチ424と、を有している。
【0138】
第1充放電用スイッチ423は、太陽電池ストリング103と第1充放電部406Aとの間に位置し、これらの電気的な接続/非接続を切り替える。この第1充放電用スイッチ423は、各太陽電池ストリング103の負極側に接続された複数の充放電用スイッチ素子423aを含んで構成されている。充放電用スイッチ素子423aは、演算制御部4に接続されており、演算制御部4からの指示信号に応じてオンオフ切替を実施する。ここでの充放電用スイッチ素子423aは、通常時にオフ状態とされて電気的遮断状態とされる一方、充放電時にオン状態とされて電気的接続状態とされる。
【0139】
また、複数の充放電用スイッチ素子423aの第1充放電部406A側の端子は、結線されて負極母線が構成されている。この負極母線は、第1充放電部406Aに接続されている。充放電用スイッチ素子423aとしては、FET等の半導体スイッチや、リレースイッチ等の機械式スイッチを用いることができる。
【0140】
このように構成された第1充放電用スイッチ423では、解列用スイッチ7により4つの太陽電池ストリング103が太陽光発電システム400から解列されたとき、そのうちの第1及び第2測定部403A,403Bに電気的に接続されていない太陽電池ストリング103,103の一方における充放電用スイッチ素子423aがオン状態とされる。これにより、当該一方の太陽電池ストリング103が、第1充放電部406Aで充放電可能とされる。
【0141】
第2充放電用スイッチ424は、太陽電池ストリング103と第2充放電部406Bとの間に位置し、これらの電気的な接続/非接続を切り替える。この第2充放電用スイッチ424は、各太陽電池ストリング103の正極側に接続された複数の充放電用スイッチ素子424aを含んで構成されている。充放電用スイッチ素子424aは、演算制御部4に接続されており、演算制御部4からの指示信号に応じてオンオフ切替を実施する。ここでの充放電用スイッチ素子424aは、通常時にオフ状態とされて電気的遮断状態とされる一方、充放電時にオン状態とされて電気的接続状態とされる。
【0142】
また、複数の充放電用スイッチ素子424aの第2充放電部406B側の端子は、結線されて正極母線が構成されている。この正極母線は、第2充放電部406Bに接続されている。充放電用スイッチ素子424aとしては、FET等の半導体スイッチや、リレースイッチ等の機械式スイッチを用いることができる。
【0143】
このように構成された第2充放電用スイッチ424では、解列用スイッチ7により4つの太陽電池ストリング103が太陽光発電システム400から解列されたとき、そのうちの第1及び第2測定部303A,303Bに電気的に接続されていない太陽電池ストリング103,103の他方における充放電用スイッチ素子424aがオン状態とされる。これにより、当該他方の太陽電池ストリング103が、第2充放電部406Bで充放電可能とされる。
【0144】
第1充放電部406Aは、解列された太陽電池ストリング103に対し、その対地電位が第1測定部303Aに接続した時の対地電位と等しくなるよう接続して第1電位状態とさせる。これにより、第1充放電部406Aでは、当該太陽電池ストリング103の対地静電容量中の電荷量が、第1測定部303Aに接続した時の対地静電容量中の電荷量と等しくなるよう充放電される。第1充放電部406Aは、一方側が接地電位Gに接続された第1抵抗461Aを含んでいる。第1抵抗461Aの抵抗値は、上記第1測定部303Aの第1抵抗331Aと等しい抵抗値とされている。
【0145】
第2充放電部406Bは、解列された太陽電池ストリング103に対し、その対地電位が第2測定部303Bに接続した時の対地電位と等しくなるよう接続して第2電位状態とさせる。これにより、第2充放電部406Bでは、当該太陽電池ストリング103の対地静電容量中の電荷量が、第2測定部303Bに接続した時の対地静電容量中の電荷量と等しくなるよう充放電される。第2充放電部406Bは、一方側が接地電位Gに接続された第2抵抗461Bを含んでいる。第2抵抗461Bの抵抗値は、上記第2測定部303Bの第2抵抗331Bと等しい抵抗値とされている。
【0146】
また、演算制御部4は、切替部402の第1及び第2充放電用スイッチ423,424へオンオフ切替を指示して解列状態の太陽電池ストリング103へ充放電実施を指示する充放電機能をさらに有している。
【0147】
次に、地絡検出装置401により実施される地絡検出方法(地絡検出プログラムによる動作)の一例について、図22に示すフローチャートを参照しつつ例示して説明する。
【0148】
このような本実施形態において太陽電池アレイ101内の地絡を検出する場合、図23の動作スキームに示すように、複数の太陽電池ストリング103のうち、4つの太陽電池ストリング103を太陽光発電システム400から順次に解列する(図中の太枠)。このとき、解列状態の太陽電池ストリング103に第1測定部303Aを接続して負極側電圧降下値Vを測定するのと並列的に、これとは別の解列状態の太陽電池ストリング103に第2測定部303Bを接続して正極側電圧降下値Vを測定する。これに併せて、解列状態であって第1測定部303Aによる測定前の太陽電池ストリング103に第1充放電部406Aを接続して充放電するのと並列的に、解列状態であって第2測定部303Bによる測定前における太陽電池ストリング103に第2充放電部306Bを接続して充放電する。
【0149】
なお、図23中では、8つの太陽電池ストリング103からなる太陽電池アレイ101について例示している。また、図18〜21に示す地絡検出装置401の状態は、図23中のTIME=1〜4のときの状態にそれぞれ対応している。
【0150】
具体的に説明すると、iは1以上の整数とし、i>nのときi=i−nとし、iの初期値をn−2としたとき、図22のフローチャートに示すように、第(i+3)太陽電池ストリング103を選択し太陽光発電システム400から解列した後(上記S24の後)、解列状態の第i太陽電池ストリング103n−2の測定用スイッチ素子308aをオンにして第1測定部303Aに接続する(S41)。これにより、当該太陽電池ストリング103n−2を第1電位状態とする。この状態で、第1電圧計332Aにより第i太陽電池ストリング103n−2の負極側電圧降下値Vとその符号を測定し、当該測定結果を記憶部5に記憶する(S42)。
【0151】
上記S41、S42の処理と並列的に、解列状態の第(i+2)太陽電池ストリング103の測定用スイッチ素子309aをオンにして第2測定部303Bに接続する(S43)。これにより、当該太陽電池ストリング103を第2電位状態とする。この状態で、第2電圧計332Bにより第(i+2)太陽電池ストリング103の正極側電圧降下値Vとその符号を測定し、当該測定結果を記憶部5に記憶する(S44)。
【0152】
上記S41〜S44の処理と並列的に、解列状態の第(i+1)太陽電池ストリング103n−1の充放電用スイッチ素子423aをオンにして第1充放電部406Aに接続し、当該太陽電池ストリング103n−1を第1電位状態とする(S45)。これにより、第(i+1)太陽電池ストリング103n−1の対地静電容量に蓄えられた電荷量が、その負極側を第1測定部303Aに接続したときの対地静電容量に蓄えられる電荷量と等しくなるまで、第1充放電部406Aにより充放電させる(S46)。
【0153】
上記S41〜S46の処理と並列的に、解列状態の第(i+3)太陽電池ストリング103の充放電用スイッチ素子424aをオンにして第2充放電部406Bに接続し、当該太陽電池ストリング103を第2電位状態とする(S47)。これにより、第(i+3)太陽電池ストリング103の対地静電容量に蓄えられた電荷量が、その正極側を第2測定部303Bに接続したときの対地静電容量に蓄えられる電荷量と等しくなるまで、第2充放電部406Bにより充放電させる(S48)。
【0154】
そして、解列状態の第i太陽電池ストリング103n−2について、解列用スイッチ素子7a,7aをオン状態にして太陽光発電システム400に接続する上記S35へ移行する。なお、本実施形態においても、各太陽電池ストリング103について記憶部5に電圧降下値V,Vが記憶された場合、図7のフローチャートに示す上記手順と同様にして、当該太陽電池ストリング103の地絡の有無を判定することができる。
【0155】
以上、本実施形態においても、電圧降下値V,Vを測定する一及び他の太陽電池ストリング103,103を太陽光発電システム400から解列することができる。また、解列状態における一及び他の太陽電池ストリング103,103について互いに別の測定を並列的に行うことができるため、地絡検出を効率化することができる。よって、上記作用効果、すなわち、地絡を確実に検出すると共に、地絡の検出に要する時間を短縮するという作用効果が奏される。
【0156】
また、本実施形態では、上述したように、解列状態の太陽電池ストリング103,103について電圧降下値V,Vを測定するのと並列的に、電圧降下値V,Vを測定する前の太陽電池ストリング103,103を予め充放電させている。よって、太陽電池ストリング103に第1及び第2測定部303A,303Bを接続直後において、測定される電圧降下値V,Vの変動を抑制でき、待つことなくすぐに、かかる測定を実施することが可能となる。従って、太陽電池アレイ101内の地絡の検出に要する時間を一層短縮することが可能となる。
【0157】
[第5実施形態]
次に、本発明の第5実施形態について説明する。なお、本実施形態では、上記第1実施形態と異なる点について主に説明する。
【0158】
図24,25は、第5実施形態に係る地絡検出装置を備えた太陽光発電システムを示す概略構成図である。図24,25に示すように、本実施形態の地絡検出装置501は、切替部2(図1参照)に代えて切替部502を備え、第1及び第2測定部3A,3B(図1参照)に代えて第1及び第2測定部503A,503Bを備えている。
【0159】
切替部302は、第1測定用スイッチ8に代えて第1測定用スイッチ508を有し、第2測定用スイッチ9に代えて第2測定用スイッチ509を有している。第1測定用スイッチ508は、太陽電池ストリング103と第1測定部503Aとの間に位置し、これらの電気的な接続/非接続を切り替えるものであり、各太陽電池ストリング103の正極側に接続された測定用スイッチ素子308aを含んで構成されている。
【0160】
第2測定用スイッチ509は、太陽電池ストリング103と第2測定部503Bとの間に位置し、これらの電気的な接続/非接続を切り替えるものであり、各太陽電池ストリング103の正極側に接続された測定用スイッチ素子509aを含んで構成されている。
【0161】
第1測定部503Aは、一方側が第1抵抗531Aを介して接地電位Gに接続された第1交流電源532Aと、第1交流電源532Aと接地電位Gとの間に流れる第1漏れ電流値I及びその波形を測定する波形観測装置533Aと、を有している。
【0162】
第1交流電源532Aは、太陽電池ストリング103に対し、第1周波数f1の第1交流電圧値Vaを有する交流電圧(ACバイアス)を印加する。これにより、太陽電池ストリング103を、第1電位状態とさせる。
【0163】
本実施形態の第1電位状態は、第1周波数f1を有する交流電圧の印加を基点にして、太陽電池ストリング103の各座標の対地電位が、図26(a)に示す状態となるものである。すなわち、例えば電圧値200Vの太陽電池ストリング103の中点に対し、振幅100Vで低周波数の第1周波数f1を有する交流電圧を時間=0の時点にて印加したとき、各座標の対地電位が振動しはじめ、その後、振幅100V及び低周波数で定常に振動する。
【0164】
この第1交流電源532Aの他方側は、太陽電池ストリング103の正極母線に第1測定用スイッチ508を介して電気的に接続されている。なお、第1交流電圧値Vaの電圧振幅は、地絡検出の感度向上の観点から所定下限値以上とされ、且つ、電気回路破損防止の観点から所定上限値以下とされている。また、ここでの第1交流電圧値Vaは、好ましい値として、1つの太陽電池ストリング103の電圧値と同程度の電圧値とされている。
【0165】
この第1交流電源532Aは、演算制御部4に接続されており、演算制御部4からの指示信号に応じて交流電圧値Vaを印加する。また、第1交流電源532Aは、交流電圧値Vaの波形を記憶部5に記憶する。第1抵抗531Aは、その抵抗値が抵抗値Rdとされている。波形観測装置533Aは、切替部502と第1抵抗531Aとの間、及び第1抵抗531Aと接地電位Gとの間に電気的に接続されており、第1交流電源532Aと接地電位Gとの間に流れる第1漏れ電流値I及びその波形を測定する。
【0166】
第2測定部503Aは、一方側が第2抵抗531Aを介して接地電位Gに接続された第2交流電源532Bと、第2交流電源532Bと接地電位Gとの間に流れる第2漏れ電流値I及びその波形を測定する波形観測装置533Bと、を有している。
【0167】
第2交流電源532Bは、太陽電池ストリング103に対し、第2周波数f2の第2交流電圧値Vaを有する交流電圧(ACバイアス)を印加する。これにより、太陽電池ストリング103を、第1電位状態とさせる。
【0168】
本実施形態の第2電位状態は、第1電位状態とは異なる電位状態である。ここでの第2電位状態は、第2周波数f2を有する交流電圧の印加を基点にして、太陽電池ストリング103の各座標の対地電位が、図26(b)に示す状態となるものである。すなわち、例えば電圧値200Vの太陽電池ストリング103の中点に対し、振幅100Vで高周波数の第2周波数f1を有する交流電圧を時間=0の時点にて印加したとき、各座標の対地電位が振動しはじめ、その後、振幅100V及び高周波数で定常に振動する。
【0169】
この第2交流電源532Bの他方側は、太陽電池ストリング103の正極母線に第2測定用スイッチ509を介して電気的に接続されている。なお、第2交流電圧値Vaの電圧振幅は、上記第1交流電圧値Vaの電圧振幅と等しい値とされている。
【0170】
この第2交流電源532Bは、演算制御部4に接続されており、演算制御部4からの指示信号に応じて第2交流電圧値Vaを印加する。また、第2交流電源532Bは、第2交流電圧値Vaの波形を記憶部5に記憶する。第2抵抗531Bは、その抵抗値が上記第1抵抗531Aと等しい抵抗値Rdとされている。波形観測装置533Bは、切替部502と第2抵抗531Bとの間、及び第2抵抗531Bと接地電位Gとの間に電気的に接続されており、第2交流電源532Bと接地電位Gとの間に流れる第2漏れ電流値I及びその波形を測定する。
【0171】
次に、地絡検出装置501により実施される地絡検出方法(地絡検出プログラムによる動作)の一例について、図27に示すフローチャートを参照しつつ例示して説明する。
【0172】
このような本実施形態において太陽電池アレイ101内の地絡を検出する場合、例えば図28の動作スキームに示すように、複数の太陽電池ストリング103のうち2つの太陽電池ストリング103を太陽光発電システム500から順次に解列する(図中の太枠)。このとき、解列状態の一方の太陽電池ストリング103に第1測定部503Aを接続して第1漏れ電流値I及びその波形を測定するのと並列的に、解列状態の他方の太陽電池ストリング103に第2測定部503Bを接続して第2漏れ電流値I及びその波形を測定する。
【0173】
なお、図28中では、8つの太陽電池ストリング103からなる太陽電池アレイ101について例示している。また、図24,25に示す地絡検出装置501の状態は、図28中のTIME=1,2のときの状態にそれぞれ対応している。
【0174】
具体的に説明すると、iは1以上の整数とし、i>nのときi=i−nとし、iの初期値をnとしたとき、図27のフローチャートに示すように、第(i+1)太陽電池ストリング103を選択し太陽光発電システム500から解列した後(上記S2の後)、解列状態の他方の第(i+1)太陽電池ストリング103について、測定用スイッチ素子508aをオンにして第1測定部503Aに接続する(S51)。そして、第1交流電源532Aにより、太陽電池ストリング103に第1周波数f1の第1交流電圧値Vaを印加する(S52)。これにより、当該太陽電池ストリング103を第1電位状態とする。この状態で、波形観測装置533Aにより第(i+1)太陽電池ストリング103の第1漏れ電流値I及びその波形を測定し、当該測定結果を記憶部5に記憶する(S53)。
【0175】
上記S51〜S53の処理と並列的に、解列状態の太陽電池ストリング103,103のうち一方の第i太陽電池ストリング103について、測定用スイッチ素子509aをオンにして第2測定部503Bに接続する(S54)。そして、第2交流電源532Bにより、太陽電池ストリング103に第2周波数f2の第2交流電圧値Vaを印加する(S55)。これにより、当該太陽電池ストリング103を第2電位状態とする。この状態で、波形観測装置533Bにより第i太陽電池ストリング103の第2漏れ電流値I及びその波形を測定し、当該測定結果を記憶部5に記憶する(S56)。そしてその後、全ての太陽電池ストリング103について漏れ電流値I,Iの測定(上記S51〜S56)が完了しているか否かの判定を行う上記S10に移行することとなる。
【0176】
なお、各太陽電池ストリング103について記憶部5に漏れ電流値I,I及びその波形が記憶された場合、図7のフローチャートの上記手順と同様にして、以下に示すように当該太陽電池ストリング103の地絡の有無を判定する。
【0177】
具体的には、まず、上記S12として、次の処理を行う。すなわち、第1漏れ電流値Iについて、第1交流電圧値Vaの同位相成分である漏れ電流値I1−Rと、第1交流電圧値Vaの位相に対し90°異なる成分である漏れ電流値I1−Cと、に分離する。また、第2漏れ電流値Iについて、第2交流電圧値Vaの同位相成分である漏れ電流値I2−Rと、第2交流電圧値Vaの位相に対し90°異なる成分である漏れ電流値I2−Cと、に分離する。
【0178】
続いて、各交流電源532A,532Bの第1及び第2周波数f1,f2に対し、漏れ電流値I1−R,I2−Rをそれぞれプロットする。そして、f=0における漏れ電流値を漏れ電流値I3−R0として外挿して求め、この漏れ電流値I3−R0で第1交流電圧値Va(又は第2交流電圧値Va)を除すことにより絶縁抵抗値Rleakを求める。そしてその後、太陽電池アレイ101の地絡判定を行う上記S13へ移行する。
【0179】
以上、本実施形態では、漏れ電流値I,Iを測定する一及び他の太陽電池ストリング103,103を太陽光発電システム500から解列することができる。また、解列状態における一及び他の太陽電池ストリング103,103について互いに別の測定を並列的に行うことができるため、地絡検出を効率化することができる。よって、上記作用効果、すなわち、地絡を確実に検出すると共に、地絡の検出に要する時間を短縮するという作用効果が奏される。
【0180】
また、本実施形態では、第1漏れ電流値Iのうち第1交流電圧値Vaと同位相の電流値I1−Rと、第2漏れ電流値Iのうち第2交流電圧値Vaと同位相の電流値I2−Rとをそれぞれ監視することで、太陽電池ストリング103の地絡を好適に検出することが可能となる。
【0181】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、各請求項に記載した要旨を変更しない範囲で変形し、又は他のものに適用したものであってもよい。
【0182】
例えば、上記実施形態では、負荷装置としてパワーコンディショナ102を備えているが、負荷装置は、電力を消費又は変換するものであればよく、コンバータや蓄電池等の直流負荷であってもよい。また、各太陽電池ストリング103を構成する太陽電池モジュール104の数は、2〜7つでもよいし、9つ以上でもよい。
【0183】
また、太陽光発電システムから同時解列される太陽電池ストリング103の数は、3つ又は5つ以上であってもよい。さらに、第1測定部によって測定する太陽電池ストリング103の数、及び第2測定部によって測定する太陽電池ストリング103の数は、2つ以上であってもよい。
【0184】
また、上記実施形態においては、第1及び第2電位状態として、時間的に安定(収束)した状態(図3、図4及び図16(a),(b)参照)、又は、時間的に一定周期で振動する状態(図26(a),(b)参照)を用いて測定する構成を例に説明したが、これに限定されるものではない。
【0185】
例えば、図29(a),(b)に示すように、太陽電池ストリング103の対地電位が一の安定状態から他の安定状態へと急峻に変動する過程を含めて一つの電位状態として捉え、これら二つの電位状態を用いて測定をする構成としてもよい。或いは、図30(a),(b)に示すように、太陽電池ストリング103の対地電位が一の安定状態から他の安定状態へとなだらかに変動する過程を含めて一つの電位状態として捉え、これら二つの電位状態を用いて測定する構成としてもよい。
【0186】
なお、上記実施形態では、複数の太陽電池ストリング103により太陽電池ストリング群を構成し、複数の太陽電池ストリング群により太陽電池アレイ101を構成してもよい。この場合、複数の太陽電池ストリング群のうち2つ以上の太陽電池ストリング群が太陽光発電システムから解列され、解列状態の一の太陽電池ストリング群に対し第1測定部による測定が実施されるのと並列的に、解列状態の他の太陽電池ストリング群に対し第2測定部による測定が実施されることとなる。
【0187】
ちなみに、上記の「等しい」は、略等しいを含んでおり、製造上、設計上及び計測上のばらつきや誤差を許容するものである。また、第1及び第2電位状態は上述したものに限定されず、種々の電位状態であってもよい。以上において、演算制御部4、第1測定用スイッチ8,308,508及び第2測定用スイッチ9,309,509が制御部を構成する。また、演算制御部4が判定部を構成する。
【符号の説明】
【0188】
1,201,301,401,501…地絡検出装置、3A,303A,503A…第1測定部、3A,303A,503A…第2測定部、4…演算制御部(判定部,制御部)、7…解列用スイッチ(スイッチング部)、8,308,508…第1測定用スイッチ(制御部)、9,309,509…第2測定用スイッチ(制御部)、31A…第1抵抗、31B…第2抵抗、32A…直流電源、100,200,300,400,500…太陽光発電システム、101…太陽電池アレイ、102…パワーコンディショナ(負荷装置)、103…太陽電池ストリング、104…太陽電池モジュール、331A…第1抵抗、331B第2抵抗、532A…第1交流電源、532B…第2交流電源、G…接地電位、I1−R…漏れ電流値(第1測定値)、I2ーR…漏れ電流値(第2測定値)、O1…第1接続部、O2…第2接続部、V…電圧値(第1測定値)、V…電圧値(第2測定値)、V…負極側電圧降下値(第2測定値)、V…正極電圧降下値(第1測定値)、Va…第1交流電圧値、Va…第2交流電圧値。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の太陽電池モジュールが直列接続されて構成された太陽電池ストリングと、複数の前記太陽電池ストリングが並列接続されて構成された太陽電池アレイと、電力を消費又は変換する負荷装置と、を具備する太陽光発電システムにおいて、前記太陽電池アレイ内の地絡を検出する地絡検出装置であって、
複数の前記太陽電池ストリングのうち2つ以上の前記太陽電池ストリングを、互いに電気的に切り離されるようにして前記太陽光発電システムから解列するスイッチング部と、
複数の前記太陽電池ストリングのそれぞれに対し、地絡検出のための第1測定値を測定する第1測定部と、
複数の前記太陽電池ストリングのそれぞれに対し、前記第1測定部による測定とは別の測定を実施して地絡検出のための第2測定値を測定する第2測定部と、
複数の前記太陽電池ストリングのそれぞれについて、前記第1及び第2測定部により測定された前記第1及び第2測定値に基づいて地絡の有無を判定する判定部と、
前記第1及び第2測定部の動作を少なくとも制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記スイッチング部により解列された2つ以上の前記太陽電池ストリングのうち一の太陽電池ストリングに前記第1測定部を接続し、当該一の太陽電池ストリングの前記第1測定値を前記第1測定部により測定させることと並列的に、
前記スイッチング部により解列された2つ以上の前記太陽電池ストリングのうち他の太陽電池ストリングに前記第2測定部を接続し、当該他の太陽電池ストリングの前記第2測定値を前記第2測定部により測定させること、を特徴とする地絡検出装置。
【請求項2】
前記スイッチング部は、前記第1測定部が測定する前記一の太陽電池ストリング数及び前記第2測定部が測定する前記他の太陽電池ストリング数の合計と同数の前記太陽電池ストリングを前記太陽光発電システムから解列すること、を特徴とする請求項1記載の地絡検出装置。
【請求項3】
前記スイッチング部は、解列された前記太陽電池ストリングについて、前記判定部により地絡無しと判定された場合に前記太陽光発電システムに電気的に接続すると共に、前記判定部により地絡ありと判定された場合に前記太陽光発電システムから解列した状態のままにすること、を特徴とする請求項1又は2記載の地絡検出装置。
【請求項4】
前記判定部は、前記第1及び第2測定値に基づいて絶縁抵抗値を算出し、当該絶縁抵抗値が所定値以下又は未満のときに地絡ありと判定すること、を特徴とする請求項1〜3の何れか一項記載の地絡検出装置。
【請求項5】
前記第1測定部は、前記スイッチング部により解列された前記一の太陽電池ストリングに接続された際に、当該一の太陽電池ストリングの対地電位を第1電位状態にして前記第1測定値を測定し、
前記第2測定部は、前記スイッチング部により解列された前記他の太陽電池ストリングに接続された際に、当該他の太陽電池ストリングの対地電位を前記第1電位状態とは異なる第2電位状態にして前記第2測定値を測定すること、を特徴とする請求項1〜4の何れか一項記載の地絡検出装置。
【請求項6】
前記第1測定部は、
一方側が接地電位に接続されると共に他方側が前記太陽電池ストリングに接続可能な第1電路と、前記第1電路上に設けられた直流電源と、を少なくとも含み、
前記スイッチング部により解列された前記一の太陽電池ストリングに前記第1電路の他方側を接続することで当該一の太陽電池ストリングを前記第1電位状態にして、前記第1電路に流れる電流値に関する測定値を前記第1測定値として測定し、
前記第2測定部は、
一方側が接地電位に接続されると共に他方側が前記太陽電池ストリングに接続可能な第2電路を少なくとも含み、
前記スイッチング部により解列された前記他の太陽電池ストリングに前記第2電路の他方側を接続することで当該他の太陽電池ストリングを前記第2電位状態にして、前記第2電路に流れる電流値に関する測定値を前記第2測定値として測定すること、を特徴とする請求項5記載の地絡検出装置。
【請求項7】
前記第1測定部は、
一方側が接地電位に接続された第1抵抗を有し、
前記スイッチング部により解列された前記一の太陽電池ストリングの正極側のみに前記第1抵抗の他方側を接続することで当該一の太陽電池ストリングを前記第1電位状態にして、前記第1抵抗に流れる電流値に関する測定値を前記第1測定値として測定し、
前記第2測定部は、
一方側が接地電位に接続された第2抵抗を有し、
前記スイッチング部により解列された前記他の太陽電池ストリングの負極側のみに前記第2抵抗の他方側を接続することで当該他の太陽電池ストリングを前記第2電位状態にして、前記第2抵抗に流れる電流値に関する測定値を前記第2測定値として測定すること、を特徴とする請求項5記載の地絡検出装置。
【請求項8】
前記第1測定部は、
一方側が接地電位に接続され第1周波数の第1交流電圧値を有する第1交流電源を少なくとも含み、
前記スイッチング部により解列された前記一の太陽電池ストリングに前記第1交流電源の他方側を接続することで当該一の太陽電池ストリングを前記第1電位状態にして、前記第1交流電源と接地電位との間に流れる電流値のうち前記第1交流電圧値と同位相の電流値に関する測定値を前記第1測定値として測定し、
前記第2測定部は、
一方側が接地電位に接続され前記第1周波数とは異なる第2周波数の第2交流電圧値を有する第2交流電源を少なくとも含み、
前記スイッチング部により解列された前記他の太陽電池ストリングに前記第2交流電源の他方側を接続することで当該他の太陽電池ストリングを前記第2電位状態にして、前記第2交流電源と接地電位との間に流れる電流値のうち前記第2交流電圧値と同位相の電流値に関する測定値を前記第2測定値として測定すること、を特徴とする請求項5記載の地絡検出装置。
【請求項9】
複数の太陽電池モジュールが直列接続されて構成された太陽電池ストリングと、複数の前記太陽電池ストリングが並列接続されて構成された太陽電池アレイと、電力を消費又は変換する負荷装置と、を具備する太陽光発電システムにおいて、前記太陽電池アレイ内の地絡を検出する地絡検出方法であって、
複数の前記太陽電池ストリングのうち2つ以上の前記太陽電池ストリングを、互いに電気的に切り離されるようにして前記太陽光発電システムから解列する解列ステップと、
複数の前記太陽電池ストリングのそれぞれに対し、地絡検出のための第1測定値を測定する第1測定ステップと、
複数の前記太陽電池ストリングのそれぞれに対し、前記第1測定ステップの測定とは別の測定を実施して地絡検出のための第2測定値を測定する第2測定ステップと、
複数の前記太陽電池ストリングのそれぞれについて、前記第1及び第2測定ステップにより測定された前記第1及び第2測定値に基づいて地絡の有無を判定する判定ステップと、を備え、
前記第1測定ステップでは、
前記解列ステップで解列された2つ以上の前記太陽電池ストリングのうち一の太陽電池ストリングにおける前記第1測定値を測定し、
前記第2測定ステップでは、
前記第1測定ステップで前記第1測定値を測定することと並列的に、前記解列ステップで解列された2つ以上の前記太陽電池ストリングのうち他の太陽電池ストリングにおける前記第2測定値を測定すること、を特徴とする地絡検出方法。
【請求項10】
複数の太陽電池モジュールが直列接続されて構成された太陽電池ストリングと、
複数の前記太陽電池ストリングが並列接続されて構成された太陽電池アレイと、
電力を消費又は変換する負荷装置と、
請求項1〜8の何れか一項記載の地絡検出装置と、を具備することを特徴とする太陽光発電システム。
【請求項11】
複数の太陽電池モジュールが直列接続されて構成された太陽電池ストリングと、複数の前記太陽電池ストリングが並列接続されて構成された太陽電池アレイと、電力を消費又は変換する負荷装置と、を具備する太陽光発電システムにおいて、前記太陽電池アレイ内の地絡を検出するための地絡検出プログラムであって、
複数の前記太陽電池ストリングのうち2つ以上の前記太陽電池ストリングを、互いに電気的に切り離されるようにして前記太陽光発電システムから解列させる解列機能と、
複数の前記太陽電池ストリングのそれぞれに対し、地絡検出のための第1測定値を測定させる第1測定機能と、
複数の前記太陽電池ストリングのそれぞれに対し、前記第1測定機能による測定とは別の測定を実施させて地絡検出のための第2測定値を測定させる第2測定機能と、
複数の前記太陽電池ストリングのそれぞれについて、前記第1及び第2測定機能により測定させた前記第1及び第2測定値に基づいて地絡の有無を判定する判定機能と、をコンピュータに実行させ、
前記第1測定機能では、
前記解列機能で解列させた2つ以上の前記太陽電池ストリングのうち一の太陽電池ストリングにおける前記第1測定値を測定させ、
前記第2測定機能では、
前記第1測定機能で前記第1測定値を測定させることと並列的に、前記解列機能で解列させた2つ以上の前記太陽電池ストリングのうち他の太陽電池ストリングにおける前記第2測定値を測定させること、を特徴とする地絡検出プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図27】
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【図28】
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【図3】
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【図4】
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【図16】
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【図26】
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【図29】
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【図30】
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【公開番号】特開2013−33826(P2013−33826A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−168703(P2011−168703)
【出願日】平成23年8月1日(2011.8.1)
【出願人】(000004444)JX日鉱日石エネルギー株式会社 (1,898)
【Fターム(参考)】