説明

地被植物の植生方法並びに地被植物マット

【課題】 雑草の生育を防止して地被植物の確実な植生を図るとともに、移植を容易にする地被植物の植生方法並びにその方法によりできた地被植物マットの提供を図る。
【解決手段】 地被植物Aを植生する方法であって、土壌10に遮光性シート11を敷設して覆土し、その上方に植生ネット12を敷設して覆土し、そこへ地被植物Aを植え付けることで植生を行う方法である。遮光性シート11として、古新聞等の古紙を採用し得る。また、上記植え付け植生された地被植物Aを、植生ネット12ごと地被植物マット15として移植箇所へ移植し、さらに植生を行うことも可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地被植物の植生方法並びに地被植物マットに関し、詳しくは、雑草の生育を防止して確実な植生を図るとともに、移植を容易にする地被植物の植生方法並びにその方法によりできた地被植物マットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在における地被緑化の方法は、一般的に、張芝や洋芝の吹付や、直接的な地被植物の植栽によって行なわれている。かかる地被緑化に用いられている地被植物の代表としては、イネ科の暖地型芝草としてノシバ、コウライシバ、バミューダグラス(ティフトンシバ)等、同イネ科の寒地型芝草(冬芝)としてベントグラス類、ブルーグラス類、フェスク類、ライグラス類等、その他の地被植物として地被用草本類、矮性低木類、つる植物類等が中心的に用いられている。
【0003】
しかしながら、かかる従来の方法によると、地被植物の植生と同時に雑草の繁殖を許すこととなる。地被植物がある程度成長するまでに雑草が繁殖してしまうと、土壌栄養分のほとんどが雑草に取られてしまい、地被植物の植生を阻害することとなる。したがって、該地被植物の成長に合わせて、雑草の繁殖を防止するための植生管理が必要であり、非常にコスト並びに手間のかかるものであった。
【0004】
【特許文献1】特開2003−27488号公報
【特許文献2】特開平11−4604号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記問題点を鑑み、雑草の生育を防止して地被植物の確実な植生を図るとともに、移植を容易にする地被植物の植生方法並びにその方法によりできた地被植物マットを提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を達成するために、本発明は、地被植物を植生する方法であって、土壌に遮光性シートを敷設して覆土し、その上方に植生ネットを敷設して覆土し、そこへ地被植物を植え付けることで植生が行われる地被植物の植生方法を採用している。
【0007】
また、本発明は、前記地被植物の植生方法において、遮光性シートが、古新聞等の古紙からなる構成を採用し得る。
【0008】
さらに、本発明は、前記地被植物の植生方法において、植え付け植生された地被植物を、植生ネットごと移植箇所へ移植した後に、さらに植生が行われる方法を採用することが可能である。
【0009】
そしてまた、本発明は、上記した地被植物の植生方法によりできた地被植物マットである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、遮光性シートを用いることにより、地被植物の根部より下方へ太陽光が届くのを防ぐことができるため、雑草の繁殖を効果的に防止することが可能となる。
【0011】
また、本発明によれば、遮光性シートより被覆された雑草は、太陽光を得られずに枯れ果ててしまうため、既に雑草が生えている場所において、雑草を除去することなしに、そのまま本発明にかかる方法を施工することが可能であり、施工が非常に容易である。
【0012】
さらに、本発明によれば、植生ネットに地被植物の根部が絡むことで、該植生ネットと地被植物とが一体化して、植物マットとして自由に移植することが可能であり、地被緑化の施工性に資する効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明にかかる地被植物の植生方法を示す説明図である。
【図2】本発明にかかる地被植物マットを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明にかかる地被植物の植生方法並びに地被植物マットの実施形態を、図面に基づき説明する。
【0015】
図1は、本発明にかかる地被植物の植生方法を示す説明図である。
すなわち、本発明にかかる地被植物の植生方法は、以下の各工程を経てなされる。
【0016】
まず、土壌10に遮光性シート11を敷設する。
敷設場所については、地被緑化を施工する場所に直接敷設してもよく、あるいは、別途地被植物Aを植生するために用意された場所で行ってもよい。
【0017】
遮光性シート11は太陽光を遮るために使用されるもので、該遮光性シート11が敷設されると、土壌10におけるそれより下方へは、太陽光が届かないこととなる。したがって、遮光性シート11より下方においては、あらゆる植生が防止される。
【0018】
なお、遮光性シート11の材質については、特に限定するものではなく、太陽光を遮ることが可能であればよい。また、該遮光性シート11の大きさについては、特に限定するものではなく、一の施工場所全体を一枚の遮光性シート11により敷設する大きさであってもよく、あるいは、複数枚の遮光性シート11を組み合わせ一の施工場所全体をカバーする大きさであってもよい。
ところで、該遮光性シート11については、古新聞等の古紙が考え得る。かかる古紙を使用することにより、古紙の有効利用を促進するとともに、土壌10中で時間の経過とともに分解されて自然(土壌10)へ還るため、環境的にも優しい材質選択となる。
【0019】
遮光性シート11を敷設した後、その上から土壌10により覆土を行う。
次いで、その上に植生ネット12を敷設する。
該植生ネット12は、地被植物Aの根部A1を絡ませるためのものであって、該地被植物Aの根部A1が絡み易いよう、網状あるいは格子状となっている。
【0020】
なお、植生ネット12の材質については、特に限定するものではないが、例えば、生分解性樹脂などが考え得る。また、該植生ネット12の大きさ・形状については、特に限定するものではなく、移植性等を考慮して適宜決定される。例えば、一辺が約1m四方の正方形状や、幅1m・長さ2mの長方形状などが考え得る。
【0021】
植生ネット12を敷設した後、その上から再度土壌10により覆土を行う。
以上の工程を経てできた土壌10に、地被植物Aを植え付け、植生を行うこととなる。
【0022】
植え付けられる地被植物Aについては、特に限定するものではなく、例えば、ツルマンネングザやリュウノヒゲ、ユキノシタなど多種多様な地被植物Aの中から、適宜最適な植種を選択すればよい。
【0023】
また、該地被植物Aを、種の段階から土壌10へ播種してもよく、あるいは、育苗された地被植物Aの苗株を土壌10へ植え付けてもよい。
【0024】
以上の工程を経ることで、本発明にかかる地被植物の植生方法がなされる。最終的に植生が行われた地被植物Aは、遮光性シート11により周辺に雑草が生えることなく、その根部A1が植生ネット12に絡んだ状態となる。
【0025】
なおこのとき、上記した本発明の施工場所が地被緑化を要する場所でなく、別途用意された場所であった場合、地被植物Aの根部A1が絡んだ植生ネット12ごと上方へ持ち上げ、これを地被植物マット15として地被緑化を要する場所へ自由に移植することが可能である。図2は、本発明にかかる地被植物マット15を示す斜視図である。
すなわち、あらかじめ用意された地被植物Aの植生用地で本発明を施工し、必要に応じて地被緑化場所へ移植することを可能ならしめるものであり、施工性の向上に資するものである。
【0026】
以上、本発明にかかる地被植物Aの植生方法並びに地被植物マット15において、上記列記した工程を経る以外は、植生環境や植生期間等について、特に限定するものではなく、選択された地被植物Aの植種に合わせて、適宜決定される。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明は以上の通りであって、従来の地被緑化方法と比較して、雑草の繁殖の抑制を実現するとともに、移植性の向上に成功したことが最大の効果であるといえる。すなわち、本発明にかかる地被植物の植生方法が、遮光性シート11を用いることにより、土壌10中における地被植物Aの根部A1より下方への太陽光を遮ることで、地被植物A周辺における雑草の繁殖を抑制することが可能となり、また、植生ネット12を用いることにより、地被植物Aの根部A1が該植生ネット12に絡んで一体化して、地被植物マット15として自由に移植することが可能であるといった、従来技術では為し得なかった優れた効果を奏するものであって、かつ、実用化容易であり、本発明の産業上の利用可能性は大きいと考えられる。
【符号の説明】
【0028】
10 土壌装置
11 遮光性シート
12 植生ネット
15 地被植物マット
A 地被植物
A1 根部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地被植物を植生する方法であって、土壌に遮光性シートを敷設して覆土し、その上方に植生ネットを敷設して覆土し、そこへ地被植物を植え付けることで植生が行われることを特徴とする地被植物の植生方法。
【請求項2】
前記地被植物の植生方法において、遮光性シートが、古新聞等の古紙からなることを特徴とする請求項1に記載の地被植物の植生方法。
【請求項3】
前記地被植物の植生方法において、植え付け植生された地被植物を、植生ネットごと移植箇所へ移植した後に、さらに植生が行われることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の地被植物の植生方法。
【請求項4】
前記請求項1または請求項2に記載の方法によりできた地被植物マット。

【図1】
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【図2】
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