説明

地震用懐中電灯

【課題】懐中電灯の傾倒検出精度の向上、精度維持の容易化、傾倒検出センサーのサイズをコンパクト化、構造の単純化と組付けの容易化でコストダウン及びスイッチの切替えで、地震モードと通常モードの切替え可能と従来の懐中電灯の単一型乾電池2個の内、いずれか1個を外して、前記傾倒検出センサーを組み込んで使用可能とする。
【解決手段】傾倒検出センサー24の構造は、円錐コーン傾斜面を金属ボール15が登る傾斜角度の設定で検出精度を高め、上側コーン電極13と金属ボール15と下側コーン電極14で構成する。また、従来の懐中電灯の単一型乾電池2個の内、いずれか1個を外して、前記傾倒検出センサー24を組み込んだ単二型または単三型乾電池と交換して使用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、地震発生時に停電しても、立てて置いた懐中電灯が転倒するとランプ及びブザーが自動作動し、懐中電灯の所在が即時に分る地震用懐中電灯に関するものある。
【背景技術】
【0002】
下記文献に示す、従来の地震用懐中電灯は傾倒検出センサーが板バネの撓み変化を検出する構造で、検出精度が不十分で、構造が複雑で、コスト高であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−297620号公報
【発明の概要】
【0004】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、前記特許文献では、懐中電灯の転倒を検出するセンサーが、ウエイトを板バネで支え、転倒時に板バネの撓み変化を検出する構造で、板バネの撓み荷重精度を上げることが困難であった。
本案は、懐中電灯の転倒を検出するセンサーをV字円錐形と金属ボールの組み合わせで、立てて置いた懐中電灯が一定角度変化することで金属ボールが移動し、スイッチをオンさせる構造で、部品点数も少なくコスト安で、懐中電灯の傾き角度検出精度の高い地震用懐中電灯を提供するものである。
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
(1)懐中電灯の傾倒検出精度の向上と精度維持の容易化。
(2)倒れ検出センサーのサイズをコンパクト化。
(3)構造の単純化と組付けの容易化でコストダウン。
(4) スイッチの切替で地震モードと通常モードの切替可能に。
(5) 従来の懐中電灯の単一型乾電池2個の内、いずれか1個を外して、前記傾倒検出センサーと単二電池を組み込んで使用可能とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)傾倒検出センサーの構造をV字円錐形の傾斜面を金属ボールが登る傾斜角度の設定で、検出精度を高めた。
(2)傾倒検出センサーは上側V字円錐電極と金属ボールと下側V字円錐電極で構成し小型化。
(3)前記構造で部品点数が少なく、組み付け容易で製造コストが安い。
(4)切替スイッチは、オフ・傾倒点灯・連続点灯に切替え可能で便利。
(5) 従来の懐中電灯の単一型乾電池2個の内、いずれか1個を外して、前記傾倒検出センサーを組込んだ単二型または単三型乾電池と交換して使用する。
【発明の効果】
【0007】
前記解決手段により、従来品に比べ、下記の点が大幅に改善される。
(1)懐中電灯の傾倒検出精度が向上し、精度維持が容易になる。
(2)傾倒検出センサーの小型化で、従来品とほぼ同等サイズでできる。
(3)構造の単純化と組付けの容易化でコストダウンが図れる。
(4)スイッチの切替で、オフ・傾倒点灯・連続点灯に切替え可能で便利。
(5) 従来の懐中電灯にも、傾倒検出センサーを組み込んだ乾電池が使用可能。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本案の側面断面図
【図2】傾倒検出センサーの作動説明図
【図3】本案の切替スイッチ回路説明図
【図4】本案第二実施例の側面断面図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に図1から図4を参照して本案の構造と作動を説明する。
図1から図3は本案第一実施例を示すもので、図4は本案第二実施例を示す。
1懐中電灯は装置全体を示し、3上側キャップに2レンズと4電球をねじ込んだ5反射鏡を28絶縁物を巻いて組込み、9本体ケースを11ケースねじ上に結合し、8単一電池の7電池陽極を上にして2個組込む、その結果、20配線板バネは5反射鏡の裏面と接触し、7電池陽極は6電球電極と電気的に接続する。
次に13上側電極と15金属ボールと16電極スペーサと14下側電極を組込んで19電極保持部材で囲い、24傾倒検出センサーとして組込み、その下側から17電池ばねを組込んで18下側キャップを12ケースねじ下に結合し組付けを完成する。また、9本体ケースの外周に21スイッチ配線部材を収納する凸部を形成し、その外側に22スイッチノブを組み付けて、23スイッチを完成させている。また、4電球はLEDまたはニクロム線電球のいずれを使用しても良い。また、24傾倒検出センサーの構造は図2に示すようにA案とB案があり、相違点は、A案では、13上側電極を平面形に形成し、14下側電極をV字円錐形とし、B案では13上側電極も14下側電極もV字円錐形としている。作動性は、A案では1懐中電灯の4電球を上側にした時はB案と同等であるが、4電球を下側にした時は金属ボールの停止位置が不安定になる時があり、好ましくない。
一方B案は、4電球を上側にした時も、下側にした時も同等に作動し、金属ボールの停止位置も安定するので、B案の方が性能的にも、部品共用の点からも好ましい。
また、24傾倒検出センサーの作動を図2のB案で説明すると、1懐中電灯の4電球を上側にして垂直設置し、平常時は、14下側電極のV字円錐中心位置に15金属ボールは静止し、その時15金属ボールの上面と13上側電極の下面に隙間があり電気的にOFFされており、地震等で1懐中電灯が左側に傾くと15金属ボールは←Sの様に左に移動し、15金属ボールの外周X1及びX2が13上側電極と14下側電極にそれぞれ接触し、10電池陰極は17電池ばねを介して18下側キャップに通電し、4電球を点灯させる。
具体的には図2のB案設計では14下側電極のV字円錐角度が120度に設定されているので、1懐中電灯を30度以上傾けると15金属ボールは←Sの様に左に移動し、4電球を点灯させる。従って、13上側電極も同様なので1懐中電灯の4電球を下側にして使用した場合も同様に作動する。
次に、スイッチ切替回路は、図3に示すようにA案とB案があり、A案は標準的な仕様回路で、スイッチはOFF/無接触、JL/地震点灯、RL/連続点灯で、JL時は懐中電灯を一定角度以上傾けた時24傾倒検出センサーが作動し、4電球を点灯させ、RL時は懐中電灯の傾きと無関係に4電球は連続点灯する。
次にB案は、地震仕様回路で、地震発生時が昼間で4電球が点灯しても白昼で見え難く、放置されると電池消耗のみに成ることを防止するため、JL時は懐中電灯を一定角度以上傾けた時24傾倒検出センサーが作動し、26小型ブザーと25ダイオード介して4電球を点灯させ、RL時は懐中電灯の傾きと無関係に4電球は連続点灯させ、26小型ブザーは25ダイオートが逆特性のため作動しない回路で構成されている。
両者の比較では、B案は部品コストが高くなるが、非常時の懐中電灯所在位置が音声を含めてより明確になり、特に昼間時は、知らずに放置して不要に電池消耗させることを防止することが出来て好ましい。
【0010】
次に、図4で本案の第二実施例を説明する。
各家庭では既に多くの1a従来型懐中電灯をお持ちであり、その1a従来型懐中電灯に本案を採用した改修時の事例で、従来の8単一乾電池2個の内、下側の1個を取り外し、図4の様に24b小型傾倒検出センサーを8a単二電池と組合せ19a電極保持部材で囲んで、27電池センサーユニットを構成し、それを前記8単一乾電池を取り外した代わりに組付けて、17電池ばねと18下側キャップを組付けて完成する。
尚、8単一乾電池の全長L1に対し、8a単二電池と4b小型傾倒検出センサーを組合せた27電池センサーユニットの全長L2の関係は、L1=L2とすることが好ましいが、17電池ばねの撓みで若干の誤差は吸収されるので、L2の寸法は多少変動しても問題ない。また、8a単二電池は単三電池と全長が同じで、太さと容量が異なるもので、電圧仕様は同じなのでいずれを使用しても良い。
作動は、従来型のスイッチは一般に「OFF」と「ボタン点灯」と「連続点灯」に設計されているので、前記「連続点灯」にして、1a従来型懐中電灯の4電球を上にして放置すれば、地震発生と同時に1a従来型懐中電灯は転倒し、4b小型傾倒検出センサーが作動し、4電球が点灯するので1a従来型懐中電灯の居場所を教えてくれてとても便利です。
【産業上の利用可能性】
【0011】
懐中電灯は生活の必需品であると同時に、特に地震発生時の停電には欠かせない準備器具です。しかし、通常の懐中電灯の保管場所は机の上に置いたり、柱に固定していますが、いざ、停電の時には、真っ暗で、その懐中電灯を探すことが困難です。
そこで、本案は懐中電灯に傾倒検出センサーを内蔵させて、懐中電灯を机の上等に立て、スイッチは「地震点灯」で保管すれば、地震発生により懐中電灯は転倒し、小型ブザーと電球が自動的に作動し、音を発しながら周りを照らしてくれ、懐中電灯の居場所を教えてくれるので、安心して懐中電灯を手にする事ができ、とても便利です。音がうるさければ「連続点灯」にすれば、音は消えてランプのみ連続点灯できます。
切替スイッチのモードも「オフ」「傾倒点灯または地震点灯」「連続点灯」を意味する3位置を表示し、「傾倒点灯または詩人点灯」モードでは、懐中電灯を垂直に持てばランプとブザーは消え、傾ければランプ点灯とブザー音がするので、昼間の明るい時でも、他人に注目させる事もできます。地震の多い我が国においては、今後は前記機能を備えた懐中電灯を標準仕様にしたいものです。

【符号の説明】
【0012】
1懐中電灯、2レンズ、3上側キャップ、4光源部材/電球、5反射鏡、6電球電極、7電池陽極、8単一電池、8a単二電池、9本体ケース、10電池陰極、11ケースねじ上、12ケースねじ下、13上側電極、14下側電極、15金属ボール、15a移動後の金属ボール、15b小型金属ボール、16電極スペーサ、17電池ばね、18下側キャップ、19電極保持材、19a電極保持材、20配線板バネ、21スイッチ配線部材、22スイッチノブ、23スイッチ、24傾倒検出センサー/B案、24a傾倒検出センサー/A案、24b小型傾倒検出センサー、25ダイオード、26小型ブザー、27電池センサーユニット、28絶縁物、X1上側接触点、X2下側接触点


【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源部材と電池とばね部材と収納ケースと切替スイッチの部品で構成される懐中電灯において、前記懐中電灯の長手方向を垂直に置き、前記懐中電灯の構成部品の切替スイッチを除く、他の部品のいずれかの間に、上側電極と金属ボールと下側電極で構成される傾倒検出センサーを挿入し、少なくとも前記下側電極は、前記金属ボール中心側に向けてV字円錐形とし、前記懐中電灯が一定角度以上に傾くと前記金属ボールが前記V字円錐中心位置から外側に移動して、前記上側電極と金属ボールと下側電極を電気的に接続し、前記光源部材が点灯するようにしたことを特徴とする地震用懐中電灯。
【請求項2】
前記請求項1に記載の地震用懐中電灯において、前記切替スイッチの切替モードは、少なくとも「オフ」と「傾倒点灯または地震点灯」と「連続点灯」の3位置を設けたことを特長とする地震用懐中電灯。
【請求項3】
前記請求項1及び2に記載の地震用懐中電灯において、電気配線回路は、前記切替スイッチのコモン端子を電池の陽極に接続し、「傾倒点灯」の出力端子に前記傾倒検出センサーを介して小型ブザーを経由して電池の陰極に接続し、「連続点灯」の出力端子に前記光源部材を介して電池の陰極に接続し、前記小型ブザーの入力端子から前記光源部材の入力端子に向けてダイオードを正方向に接続し、「傾倒点灯」時には前記光源と小型ブザーが作動し、「連続点灯」時には前記光源のみが作動するようにしたことを特長とする地震用懐中電灯。
【請求項4】
前記請求項1に記載の地震用懐中電灯において、従来の懐中電灯を使用し、電池は単一型乾電池と単二型または単三型乾電池を直列に配置する構造で、前記単二型または単三型乾電池の陽極側または陰極側に前記傾倒検出センサーを組込み、電池センサーユニットとし、該電池センサーユニットの総全長を前記単一型乾電池の全長と近似長さ寸法に設定し、従来の懐中電灯に内蔵された前記単一型乾電池2個の内、いずれか1個を外して、前記電池センサーユニットを代わりに組み込んで使用することを特長とする地震用懐中電灯。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2012−199038(P2012−199038A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−61868(P2011−61868)
【出願日】平成23年3月21日(2011.3.21)
【特許番号】特許第4968809号(P4968809)
【特許公報発行日】平成24年7月4日(2012.7.4)
【出願人】(709004916)
【Fターム(参考)】