説明

地面を浚渫するためのカッターヘッド、そのようなカッターヘッドを備えるカッターサクション浚渫船、および地面を浚渫するためのカッターヘッドの使用

本発明は、水中で地面を浚渫するためのカッターヘッド(10)であって、このカッターヘッドは、カッターサクション浚渫船(1)のラダー(2)の中心軸の周りで回転可能に取り付け、かつ、横方向の掃引運動で地面をラダーと共に移動するのに好適であり、カッターヘッドは、ベースリング(13)と、ベースリングから中心軸の方向に少し離れて配置されたハブ(14)と、ベースリングからハブまで延在する複数の支持アーム(15)とを含み、支持アーム間には通路開口部(16)が配置され、掘削工具(20)は少なくともそれらの外側自由端において軸対称である、カッターヘッド(10)に関する。本発明のカッターヘッドは、特に一軸圧縮強度(UCS)が少なくとも50MPaの地面の場合の効率が高められている。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水面下で地面を浚渫するためのカッターヘッドに関し、このカッターヘッドは、カッターサクション浚渫船のラダーへの取り付け、および横方向の掃引運動でのラダーによる地面の移動に好適である。本発明はまた、そのようなカッターヘッドを備えるカッターサクション浚渫船、および地面、特に比較的固い地面を浚渫するためのカッターヘッドの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
前段で説明したタイプのカッターヘッドは、例えばNL1031253号明細書から知られている。公知のカッターヘッドは、中心軸の周りで回転可能な旋回体であり、旋回体は、ベースリングと、ベースリングから少し離れて同心円状に配置されたハブとによって形成され、ベースリングとハブとの間には、掘削工具を備える複数の支持アームが延在する。公知の掘削工具はビット様である、つまり、それらの外側自由端に平らな部分を含み、その端面で、定められた直線距離にわたって地面に接触することを意味する。良好な掘削動作のために、公知のカッターヘッドの回転中に掘削工具はまず地面と接触する必要がある。それゆえ、掘削工具は、カッターヘッドの回転方向で見ると支持アームの先頭部分に位置している。
【0003】
カッターヘッドはカッターサクション浚渫船(カッター浚渫船とも称す)との組み合わせで適用される。カッターサクション浚渫船は、いわゆるスパッドポストによって地面に固定された船を含む。この固定ゆえに、浚渫中に発生する反動力を地面に伝達しかつ吸収することができる。カッターサクション浚渫船のラダーには吸引管が取り付けられ、吸引管はカッターヘッドに接続され、それに沿って、浚渫された地面が除去される。浚渫中、カッターヘッドは回転し始め、ラダーと吸引管とが全体的に斜めの角度で水中に下げられて地面に接触する。カッターヘッドは、ウインチを使用して左舷から右舷へ交互にラダーを引っ張ることによって地面を引きずられる。カッターヘッドは、カッターヘッドの軸−ベースリングおよびハブの回転の中心を結ぶ線−の周りで回転するため、掘削工具の端面が、カッターヘッド、ラダーおよび吸引管の重みを受けて大きな力で地面に当たる。これによって生じた破片が、支持アーム間の通路開口部を経由して、吸引管によって吸い上げられて排出される。カッターサクション浚渫船を定められた距離にわたって一度に移動させ、かつ上述の掃引運動を繰り返すことによって地表面全体を浚渫できる。
【0004】
公知のカッターヘッドには、本出願に照らして一軸圧縮強度(UCS)が少なくとも50MPaの地面であると定義された比較的固い地面、例えば岩石を浚渫できないか、または限られた効率でしか浚渫できないかのいずれかであるという欠点がある。UCSは当業者に公知の概念であり、地盤の圧縮強度を示し、地盤の側壁は圧縮中支持されていない。効率は、本出願に照らして、単位時間および単位パワー当たり浚渫される地面の容積を意味すると理解される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、他の利点に加え、地表面をより効率的に浚渫でき、かつ公知のカッターヘッドと比べて効率性を高めて、特に比較的固いタイプの地面を浚渫可能にする、カッターサクション浚渫船用のカッターヘッドを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、この目的のために、中心軸の周りを回転可能な旋回体を含むカッターヘッドであって、旋回体は、ベースリングと、ベースリングから少し離れて配置されたハブとによって形成され、ベースリングとハブとの間には、掘削工具を備える複数の支持アームが延在し、掘削工具が少なくともそれらの外側自由端において、好ましくはそれらの全長に沿って軸対称であり、それにより、それらの縦軸の周りで自由に回転できるようになっている、カッターヘッドが提供される。とりわけカッターヘッドの支持アームに、土壌に接触する側において軸対称である掘削工具を設けることによって、比較的固い地面、特に例えば岩石などを、公知のカッターヘッドよりも高い効率で浚渫できることを見出した。掘削工具が軸対称であることは、地面、特に比較的固い地面の破壊に好ましい効果を有することを見出した。
【0007】
公知の掘削工具は、それらの外側自由端においては比較的幅が広く、浚渫中に受ける大きな力に耐えることができる。カッターサクション浚渫船の水中の部品の重量は、結局のところ、掘削工具と地面との間の接触表面領域にわたって分配される。公知の掘削工具に比較的幅の広い外側自由端を与えることによって、この接触表面領域は比較的大きくなり、それにより、地面に伝達される力は、比較的大きな表面領域にわたって分配される。それゆえ、接触面にかかる平均圧力は限定されたままであり、それにより、掘削工具の破損が回避される。
【0008】
本発明による掘削工具は少なくともそれらの外側自由端において軸対称であり、この部分で地面と接触するため、掘削工具は比較的小さい力でも地面に入り込む。さらに、地面に局所的に加えられる圧力は比較的高く、それにより、地面、特に比較的固い地面が効果的に破砕される。
【0009】
カッターヘッドの好ましい実施形態は、掘削工具は回転対称であり、一層好ましくは円錐状形態であるという特徴を有する。そのような幾何学的形状によって、公知の掘削工具で可能なものよりも高い平均圧力を地面に伝達することができる。本発明による掘削工具、特に好ましい円錐状の変形例の別の利点は、その形状ゆえに、公知の掘削工具よりも占める空間が小さいことである。これによって、多数の掘削工具を備えるカッターヘッドを提供することが可能となり、これがカッターヘッドの浚渫効率に有利であることを見出した。同じ理由から、カッターヘッドの支持アーム間に存在しかつ浚渫された地面を排出する通路開口部も同様に、公知のカッターヘッドの場合よりも小型にできる。これは、本発明による掘削工具があまり通路を妨げないためである。これによって、支持アーム数も増やすことができる。
【0010】
本発明の別の好ましい実施形態によれば、掘削工具は、円錐状の上部に対して直径が小さくされた実質的にシリンダー状のシャンク部分を含む。この実施形態による掘削工具は、カッターヘッドのアームに設けられた結合手段にそのシリンダー状のシャンク部分があるようにして配置される。結合手段は好ましくは、中心孔のあるブロックソケットを含み、中心孔に、回転に備えてシリンダー状のシャンク部分を差し込む。この実施形態では、円錐状部分は、有効長にわたってブロックソケットの外側に突出し、有効長は、掘削工具の全長と比べて比較的短い。これは、従来技術の切歯よりもはるかに大きな力に耐えることができるという利点を有する。さらに、ブロックソケットは、掘削工具を曲げ変形に対して効果的に支持する。好ましい実施形態では、掘削工具は、10〜500mm、一層好ましくは20〜250mm、および最も好ましくは50〜150mmの長さだけそのホルダの外側に突出する。
【0011】
特に好ましい実施形態では、掘削工具は、その回転対称軸の周りを自由にまたは少なくとも容易に回転できるように、好ましくはそのソケットに配置される。これは、掘削工具が回転対称であるために可能となる。作業中に工具の自由なまたは容易な回転を可能にすることは、土壌との摩擦による、掘削工具の土壌に接触する先端の破損およびまた自生発刃の危険性を低減する。これによって、掘削工具の有用寿命は長くなり、かつ破損したまたは先の丸い掘削工具を頻繁に交換する必要がないため貴重な時間を節約できる。
【0012】
掘削工具の円錐状部分は、好ましくは、外端に、土壌と接触する硬化先端を備える。先端は例えばカーバイド製とし得る。
【0013】
別の好ましい実施形態では、本発明によるカッターヘッドは、円錐状掘削工具の上部の曲率半径が最大500mm、一層好ましくは最大350mm、さらに一層好ましくは最大100mm、および最も好ましくは最大50mmであることを特徴とする。さらに別の好ましい変形例は円錐状掘削工具を含み、その上部の曲率半径は、1〜100mm、および一層好ましくは5〜80mmである。さらに別の好ましい変形例では、掘削工具は、円錐状の超硬合金インサートを収容するホルダを含む。
【0014】
本発明によるカッターヘッドの好ましい実施形態は、カッターヘッドが少なくとも5個の支持アーム、一層好ましくは少なくとも10個の支持アーム、および最も好ましくは少なくとも15個の支持アームを含むという特徴を有する。カッターヘッドが、ベースリングとハブとの間に通路開口部を備えた旋回面を含むことも可能である。ここで、開口部間にある旋回面の部分はカッターヘッドの「支持アーム」を形成する。別のオプションは、カッターヘッドに、軸方向に延びる支持アームを設け、その上に、周囲方向に延びる横方向アームを装着することである。
【0015】
掘削工具数は広い制限内で変えることができ、掘削工具数が可能な限り多数であることが有利である。好ましい実施形態では、本発明によるカッターヘッドは、少なくとも50個の掘削工具、一層好ましくは少なくとも100個の掘削工具、さらに一層好ましくは少なくとも140個の掘削工具、および最も好ましくは少なくとも180個の掘削工具を含む。ここで、掘削工具はカッターヘッドの旋回面にわたって規則的にも不規則にも分布できる。支持アーム当たりの掘削工具数は、好ましくは少なくとも10個の掘削工具、一層好ましくは少なくとも15個の掘削工具、一層好ましくは少なくとも20個の掘削工具、および最も好ましくは少なくとも25個の掘削工具である。
【0016】
本発明によるカッターヘッドは、公知のカッターヘッドとは基本的に異なる方法で地面を掘削する。公知のカッターヘッドが大きな力で地面をたたいて大きな破片にするのに対して、本発明によるカッターヘッドは、地面を遙かに小さな断片に破壊する。より多数の掘削工具がカッターヘッドの回転方向にあるため、地面はより迅速に連続して掘削される。この作業は、特に固い地面でより効率性を高めることを見出した。
【0017】
支持アームが、カッターヘッドの回転方向で見るときに先頭部分に第1の一連の掘削工具を含み、および少なくとも1個の支持アームが、中心軸から外方に向く部分に第2の一連の掘削工具を含むことが有利であることをさらに見出した。中心軸から外方に向く支持アームの部分に掘削工具を設けることは異例であるが、効率を高められる。意外にも、掘削工具の、中心軸から外方に向く支持アームの部分への接続は、特に固い地面、例えば岩石に当たる掘削工具によって生じる力を支持アームに伝達するのに十分に強固であることを見出した。従来技術によるものよりも、より多くの掘削工具をこのようにして単一の支持アームに配置することができる。これは、特に比較的固い地面の浚渫に利点をもたらす。
【0018】
有利な実施形態では、支持アーム上の第1の一連の掘削工具は第2の一連の掘削工具に対してずれている。これは浚渫プロセスの効率をさらに高める。掘削工具がずれているため、掘削工具の作業領域が広くなる。これは、第2の一連の掘削工具が第1の一連の掘削工具によって妨害されないためである。
【0019】
さらに別の実施形態では、支持アームはある長さを有し、掘削工具が、支持アームの長さの最大80%に沿って支持アームの中心の両側に配置される。支持アームの外端付近に掘削工具がないことによるカッターヘッドの効率に対する悪影響は見出されていない一方、この措置によって、カッターの構成は単純になり、それゆえ安価となる。他方で、カッターヘッドのハブ付近に掘削工具があることは、カッターヘッドを前進させるのに有利である。
【0020】
掘削工具をカッターヘッドの支持アームと一体的に作製できる。別の方法は、例えば実質的に鋼で供された掘削工具を実質的に鋼製の支持アームに溶接することによって、カッターヘッドを直接支持アームに接続することであり、これは、強固な接続をもたらす。掘削工具は、特に、結合手段によって支持アームに接続される。これによって、摩耗または損傷の結果必要となり得る掘削工具の交換が容易にできるようになる。ここで、溶接接続を利用することなどによって結合手段自体を支持アームと一体的に接続することが有利である。
【0021】
本発明によるカッターヘッドの好ましい実施形態では、カッターヘッドの支持アームは、結合手段および/または掘削工具が変位可能に装着されたガイドを備える。好適なガイドは、例えば結合手段および/または掘削工具が摺動できるガイドレールを含む。好ましい本変形例は、結合手段および/または掘削工具を容易に変位できるという利点を有する。それゆえ、掘削工具間の中間距離を、地面の特性、特に固さに依存して単純な方法で調整できる。
【0022】
本発明はまた、一軸圧縮強度(UCS)が50〜200MPa、好ましくは60〜150MPaおよび最も好ましくは80〜100MPaの地面部分を掘削するための本発明によるカッターヘッドの使用にも関する。カッターヘッドの使用の利点に関しては、上記で既述の本発明によるカッターヘッドの利点を参照されたい。
【0023】
本発明はまた、本発明によるカッターヘッドを備えるカッターサクション浚渫船にも関する。本発明によるカッターヘッドを備えるカッターサクション浚渫船では、地面、特に比較的固い地面、すなわちUCSが50MPa超の地面を、高い効率で浚渫できる。
【0024】
本発明を以下、図面および好ましい実施形態の説明を参照して、本発明をそれらに限定することなく、さらに説明する。図面は必ずしも縮尺通りではない。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】ラダーが取り付けられかつ本発明によるカッターヘッドを備えるカッターサクション浚渫船の部分の概略的な側面図である。
【図2】本発明によるカッターヘッドの斜視図である。
【図3】本発明による掘削工具の詳細な側面図である。
【図4】本発明の別の実施形態による掘削工具の詳細な側面図である。
【図5】本発明のさらに別の実施形態による掘削工具の詳細な側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1は、ラダー2が水平軸3の周りで枢動可能に装着されているカッターサクション浚渫船1を示す。ラダー2は吸入管4を備え、吸入管は、地面の緩んだ部分を水面100より上方のレベルまで吸い上げることができ、それらはその後排出される。ラダー2は、浚渫または破壊するために、カッターサクション浚渫船1の甲板に配置されるウインチ5によって地表面9上で引っ張られる。ウインチは、複数のスイングウインチ(図示せず)およびラダーウインチ8を備える。ラダー2はその外端に、本発明によるカッターヘッド10を備える。カッターヘッド10をラダーウインチケーブル8によって水中に下げ、使用中、カッターサクション浚渫船1の左舷から右舷へのおよびその反対の往復式掃引運動で地表面9上を移動させることができる。地表面上でここに生じる力を吸収できるようにするために、カッターサクション浚渫船1は、スパッドポスト101によって地面に固定される。図1では、左側(右舷)の固定されていない位置にあるスパッドポスト、および右側(左舷)の固定位置にあるスパッドポストを示す。
【0027】
図2を参照すると、本発明によるカッターヘッド10は、その回転軸12の周りを駆動手段(図示せず)によって回転し始めることができる旋回体11を含む。本書では、回転軸12はカッターヘッド10の中心軸と一致している。図示の実施形態では、旋回体11は、船橋から見て時計回りの方向Rに回転し始める。ベースリング13と、ベースリング13から少し離れて配置されたハブ14との間に螺旋状に支持アーム15が延在し、これらの支持アーム15はベースリング13およびハブ14に接続されている。ここでは支持アーム15はアーチ状であり、凸側が回転方向Rに向いている。ベースリング13、ハブ14および支持アーム15は実質的に鋼製である。これは、カッターヘッド10を強固にするだけでなくカッターヘッド10の重みを増し、それにより、浚渫中、カッターヘッド10は重力の影響下で浚渫のために地面の方向に押し進められる。本書では、支持アーム15はカッターヘッド10の周囲に規則的に配置されている。支持アーム15間には通路開口部16が配置されている。カッターヘッド10の回転方向に対して支持アーム15の前縁15aには、支持アーム15に第1の一連の掘削工具を結合するために、実質的に鋼製の結合手段17が溶接されている。同様に実質的に鋼製である結合手段17は、第2の一連の掘削工具20を支持アーム15に結合するために、カッターヘッド10の中心軸から見て外方に向く支持アーム15の縁15bに溶接される。結合手段17は、第1および第2の一連の掘削工具20の前側または地面に当たる側が回転方向Rに向くような向きにされている。
【0028】
図3を参照すると、掘削工具20の実施形態が示されている。全長27を備える図示の掘削工具20は、直径25の実質的にシリンダー状部分22と円錐状の第2の部分23とを含む。掘削工具20は、例えばスナップ接続部220によって、カッターヘッド1の上述の結合手段17にシリンダー状部分22があるように配置できる。永久接続または他の形態の解除式接続も可能である。掘削工具20が結合手段17に配置される状況では、円錐状部分23は、結合手段またはホルダ17の外側に有効長26にわたって突出する。掘削工具20の円錐状部分23は、土壌と接触する外端に硬化先端28を備える。掘削工具20の上部の適切な曲率半径は、いくつかある要因の中で特に地面の特性およびカッターヘッドの特別な設計に依存するが、好ましくは1〜100mmである。掘削工具20の好適な全長27は、好ましくは合計で20〜400mmになる。好適な横断寸法25は、好ましくは合計で10〜100mmになる。好ましい実施形態では、掘削工具20の、ホルダ17の外側に突出する長さ26は10〜500mm、一層好ましくは20〜250mm、および最も好ましくは50〜150mmである。
【0029】
図4および図5に示すように、掘削工具20は好ましくは、中心孔170のあるブロックソケットの形態の結合手段17によって支持アーム15に結合され、その中心孔に、回転に備えて掘削工具20のシリンダー状のシャンク部分22が差し込まれる。図4の実施形態では、カーバイドの先端28を備える円錐状部分23が、掘削工具20の全長と比べると比較的短い有効長にわたってブロックソケットから外側に突出する。ブロックソケット17は、曲げ変形に対して掘削工具20を支持し、掘削工具20の軸方向171に大きな圧縮力を伝えられるようにする。掘削工具20は、左側から中心孔170に、スナップ接続部220がソケット中の対応する環状溝221に係合するまで差し込まれる。係合状態では、掘削工具20は回転対称であるため、掘削工具20は中心孔170において軸171の周りを自由に回転できる。この回転は、シャンク部分22の外面と中心孔170の内面との間、またはソケットの接触面と円錐状部分23との間の摩擦力によって若干妨げられ得るが、本質的には自由に回転できる。
【0030】
図5に示す別の実施形態は、スロット173を備える別個の保持リング172を使用し、それを圧縮することにより小型にできるようにする。(図4に示す実施形態にあるような)対応する環状溝221と係合したら、保持リングは膨張して、シャンク部分22の外面を回転自在にする。掘削工具20の軸方向171へのロッキングは、掘削工具20の後部222を環状リング172に係合することによって達成される。
【0031】
本発明のカッターヘッドは、比較的固い地面を破壊するのに特に好適であり、自生発刃であり、および耐用寿命が延びる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水面下で地面を浚渫するためのカッターヘッド(10)であって、カッターヘッドは、中心軸の周りで回転可能な旋回体(11)を含み、旋回体は、ベースリング(13)と、それから少し離れて配置されたハブ(14)とによって形成され、ベースリングとハブとの間には、掘削工具(20)を備える複数の支持アーム(15)が延在し、それら支持アーム(15)間には通路開口部(16)が存在して、浚渫された地面を排出し、前記掘削工具(20)は、少なくともそれらの外側自由端において軸対称である、カッターヘッド(10)。
【請求項2】
前記掘削工具(20)が、それらの回転対称軸の周りを自由に回転できるように前記支持アーム(15)に配置されることを特徴とする、請求項1に記載のカッターヘッド(10)。
【請求項3】
前記掘削工具(20)が円錐状であることを特徴とする、請求項1または2に記載のカッターヘッド(10)。
【請求項4】
前記円錐状掘削工具(20)の上部の外側自由端における曲率半径が最大50mmであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載のカッターヘッド(10)。
【請求項5】
前記カッターヘッド(10)が少なくとも10個の支持アーム(15)を含むことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載のカッターヘッド(10)。
【請求項6】
支持アーム(15)が少なくとも20個の掘削工具(20)を含むことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載のカッターヘッド(10)。
【請求項7】
前記掘削工具(20)が前記支持アーム(15)に対して、前記地面を通る前記カッターヘッドの回転中に、前記掘削工具が地表面に実質的に垂直に当たるような向きにされることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載のカッターヘッド(10)。
【請求項8】
支持アーム(15)が、前記カッターヘッド(10)の回転方向に見てその先頭部分(15a)に第1の一連の掘削工具(20)を含み、および前記支持アーム(15)が、前記中心軸から外方を向いた部分(15b)に第2の一連の掘削工具(20)を含むことを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載のカッターヘッド(10)。
【請求項9】
同じ支持アーム(15)上に前記第1の一連の掘削工具(20)が前記第2の一連の掘削工具(20)に対してずらして配置されていることを特徴とする、請求項8に記載のカッターヘッド(10)。
【請求項10】
前記掘削工具(20)が結合手段(17)によって前記支持アーム(15)に接続されていることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載のカッターヘッド(10)。
【請求項11】
前記カッターヘッドの前記支持アーム(15)がガイドを含み、そのガイド上に、前記結合手段(17)および/または前記掘削工具(20)が変位可能に装着されていることを特徴とする、請求項10に記載のカッターヘッド(10)。
【請求項12】
一軸圧縮強度(UCS)が少なくとも50MPa、好ましくは少なくとも60MPaおよび最も好ましくは少なくとも80MPaの地面を浚渫するための、請求項1〜11のいずれか一項に記載のカッターヘッド(10)の使用。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか一項に記載のカッターヘッド(10)を備えるカッターサクション浚渫船(1)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2012−532263(P2012−532263A)
【公表日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−518949(P2012−518949)
【出願日】平成22年7月5日(2010.7.5)
【国際出願番号】PCT/EP2010/059568
【国際公開番号】WO2011/003869
【国際公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【出願人】(512004785)ドレッジング インターナショナル エヌ.ブイ. (1)
【氏名又は名称原語表記】DREDGING INTERNATIONAL N.V.
【住所又は居所原語表記】Scheldedijk 30,B2070 Zwijndrecht,Belgium