説明

型枠の埋込システム

鉄筋コンクリート構造物で利用することができる環境的に持続可能な型枠の埋込システム。本発明の目的は、構造物の二酸化炭素排出量及び総合エネルギを最小にすることによって、環境的に持続可能性を最高水準で達成する構造システムを提供することである。この設計された型枠の埋込システムは、埋立地の廃材にとなる材料を用いる。埋込システムは、建物の建設のための原材料、打設の労力、材料の輸送運搬を大幅に削減するように設計されている。この設計された埋込システムで用いられる、埋立地に廃棄されるであろう材料は、限定されないが、プラスチックボトル、ビニール袋、廃棄発泡スチロール、梱包材、ゴムタイヤ及び同様な廃棄物を含み、好ましくは管理された形状に圧縮され、又は集合されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建造物(buildings)又は他の構造物(structures)のコンクリート施工に関する。特に、ここに説明する環境的に持続可能な型枠の埋込システム(sustainable form-inclusion system)は、建物の構造物では必要とされない、埋立地に廃棄されるであろう廃棄物(waste material)を、コンクリートに代えて用いるように設計されている。埋込システムは、骨組構造(framed structures)において、剪断作用(shear behavior)よりも曲げ作用(bending behavior)が勝る構造物の領域に配置される。これらの領域に配置されるコンクリートは、通常、現場打設コンクリート(cast-in-situ)又はプレキャストコンクリート(precast)であり、ほとんど構造的な効果を与えず、構造物に重さを増すだけである。
【背景技術】
【0002】
構造物は、コンクリートで造られてきたし、日々造られている。これらの構造物は、オングレード(on-grade)に造られ、骨組構造に懸架されている(suspended)。これらの構造物は、風及び震動事象(seismic events)に起因した荷重だけでなく、重力荷重(gravity loads)にも耐えるように設計されていなければならない。コンクリートは、建設工程中に、構造物の多くの領域に打設されるが、打設される場所によっては、構造的な効果を何ら与えない。
【0003】
プレキャストコンクリートのロングスパン骨組システム(Precast long-span framing systems)では、多くの場合、構造物を最適化する骨組要素(framing elements)を用いている。これは、T字状の骨組要素(T-shaped framing elements)又は中空コア(hollow cores)を有するスラブシステム(slab systems)によって達成することができる。中空コア厚板システム(hollow core planking system)のスパンクリート中空コア厚板(Spancrete Hollowcore Plank)は、断面の中心領域のコンクリートを不要にするために、構造部材(structural element)に沿った中空断面(open sections)を用いて、重量を軽減している。
【0004】
埋込システムは、オングレード構造(on-grade structures)と骨組構造の両方に導入されている。多くの場合、軽量の型枠(forms)が導入されている。これらの型枠は、主に、コンクリートを必要としないボイド(voids)を形成するための要素を含んでいる。これらのボイド用の骨組は、骨組木材(framed wood)、成形発泡スチロール(fabricated Styrofoam)又は同様の材料、プラスチックを含んでいる。これらの場合、埋込物は、原材料を用いて製造される。
【0005】
他のシステムでは、キャスティング工程(casting process)中に、埋込物を構造物内に埋め込んでいる。これらの埋込物は、製品、例えば「ソノボイド(Sonovoid)」、すなわちキャップされたソノチューブシステム(capped Sonotube system)である。また他のシステム、例えばバブルデッキ(Bubbledeck)は、予め成型された製品ボール(preformed, fabricated balls)を備えており、この埋込要素(inclusion elements)を製造するには、かなりの総合エネルギ(embodied energy)を必要とする。
【0006】
環境的に持続可能な型枠の埋込システム(environmentally sustainable form-inclusion system)が必要とされている。この要求は、本発明によって満たされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、コンクリート構造物及び同様の他の構造物に利用することができる環境的に持続可能な型枠の埋込システムを提供する。環境的に持続可能な型枠の埋込システムは、鋼鉄の及び/又は複合材料の鉄筋コンクリート構造物内に組み込むことができ、懸架され、又はオングレードに造られている。
【0008】
環境的に持続可能な型枠の埋込システムは、コンクリート構造物内に現場打設で、あるいは部分的に又は完全にプレキャストで配置することができる。環境的に持続可能な型枠の埋込システムは、構造上は必要とされないコンクリートを削減するために、埋立地に廃棄されるであろう廃棄物(Waste materials)を利用して、コンクリート構造物内に配置される。
【0009】
多くの構造物では、建設が容易という理由だけで、コンクリートが打設されており、実際にはコンクリートをほとんど必要としない領域が存在する。また、垂直支持体(柱又は壁)なしで、長い構造スパンを達成するために、骨組では、通常、梁及び桁が使われている。平坦な鉄筋コンクリートスラブは、通常、枠部材間(framing members)に載架(span)されている。これらの構造物は、建設するためにはかなりの量の材料及び労働を必要とし、それぞれの構造物は、組み立てて、解体する専用の型枠装置(formwork systems)を必要とする。これらの枠部材は、通常、居住用の構造(occupied structures)、特に建物のサービスシステムの配管(building service system distribution)及び天井の内法高(clear heights)に対して、障害となる。更に、将来空間を間仕切る間仕切壁(future space partitions)を設けることは、幾何学的な調整が必要なので、難しい。
【0010】
本発明に係る環境的に持続可能な型枠の埋込システムは、構造物内にボイドを設け、内蔵型枠(internal forms)を組み立てるという難しい労力をかけることなく、ビルトイン骨組システム(built-in framing system)を造るときに、構造物に対して、底面を平坦に形成することができる。ロングスパン構造条件(Long-span structural conditions)は、従来通りに形成された梁及びスラブ構造物(beam and slab structure)よりも小さな総構造深さ(structural depth)で達成することができる。梁及びスラブの建設と同様に、本発明に係る環境的に持続可能な型枠の埋込構造物は、従来の軟鉄筋及び/又は高強度プレストレスケーブルを組み込むことができる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る環境的に持続可能な型枠の埋込システムは、コンクリート構造物内に、様々な形状で配置することができる。骨組構造では、埋込システムは、二方向のセルレイアウト(two-way cellular layout)で、一方向の連続的なセルレイアウトで又は両方の組合せで配置することができる。二方向のスラブシステムでは、コンクリートは、構造物の2つの交差する柱間帯(middle strips)、一般的には垂直支持体間の中間に位置する構造物の中央領域(central area)に打設され、柱間帯は、重力及び積載荷重に起因して、剪断力が小さく、主に曲げが働く領域である。この領域は、剪断荷重(shear load)がほとんど存在しないので、鉄筋に、密着性及び連続性(bonding and continuum)を、また、最小の剪断抵抗だけを与えるコンクリートを必要とする。本発明に係る埋込システムは、これらの領域に高い密度(high concentration)で配置される。これと同じシステムにおいて、一方、垂直支持体の近くの二方向のスラブ骨組システム(two-way slab framing system)では、コンクリートは、構造物のために欠かせない。ここでは、剪断力が最も大きく、荷重をフレームシステムから垂直支持体に伝達するために、コンクリートが必要とされる。これらの領域には、埋込システムが相対的に低い集中度で配置される。環境的に持続可能な型枠の埋込システムは、同様の方法によって、一方向のスラブ又は梁システムに配置することができ、型枠の埋込システムは、剪断力が小さい領域、通常は支持体から離れた領域に最も高い集中度で配置され、剪断力が最も大きな支持体の近くの領域には、最も低い集中度で配置される。
【0012】
構造物の重量を軽減することは、コンクリートの量を削減するだけでなく、必要な鉄筋又は予負荷ケーブル(pre-stressing cables)の量も減らす。また、重力荷重に耐えるという構造的要求を低減する。重量を軽減しているので、振動質量(seismic mass)も軽減される。地震から加わる横荷重(lateral loads)は少なくなる。また、基礎系(foundation systems)に対する要求も減り、建設に必要とされる材料を削減する。本発明に係る型枠の埋込システムは、枠組みされた床スラブ(floor slabs)、梁、柱、壁、充填材(fills)、構造物オングレード(structures on grade)等に配置することができる。
【0013】
本発明に係る埋込システムで用いられる充填材は、これらに限定されるものではないが、プラスチックボトル(plastic bottles)、ビニール袋(plastic bags)、廃棄発泡スチロール(waste Styrofoam)、梱包材(packing materials)、ゴムタイヤ(rubber tires)及び他の同様な廃棄物(Waste materials)を含むことができる。これらの廃棄物は、管理された形状(controlled shapes)に圧縮又は組み立てることができる。これらの型枠の形状は、球形、四角形、長方形、円柱形とすることができる。廃棄物は、再構成することなく、これらの形状に集合され、組み立てられる。キャップを有するプラスチックボトルは、コンクリートを打設するための流体静力学的な荷重(hydrostatic load)が加わったときに、部分的にだけ圧縮された内部空気室(internal air chamber)を形成し、設計された幾何学的な結束された単体に集合され、構造物内に配置することができる。プラスチックボトル、ゴムタイヤ又は同様な廃棄物は、構造物内に配置するために、部分的に圧縮され、結束され、プラスチック又はシュリンクラップで覆われる。プラスチックによるラッピング、シュリンクラップ又は同様の処理は、埋込システムの全体的な形状を維持して、コンクリートの流し込み中に埋込システムを入れることを防止する。
【0014】
本発明に係る軽量の埋込システムは、コンクリートの打設中に、浮き上がる傾向がある。したがって、流し込みが、現場又はプレキャストプラントで実行されるかに拘わらず、埋込システムは、コンクリートの流し込み中に、垂直方向に規制しなければならない。この規制は、コンクリート施行で一般的に用いられているフォームタイ(form-ties)又は同様の装置を用いて達成される。
【0015】
吊りコンクリート骨組システム(suspended concrete framing systems)の耐火性(Fire rating)は、全ての補強筋(reinforcing)に対して最小のコンクリート被り(concrete cover)を与えることによって、また、耐火性の必要条件を満たす全体的な枠組アセンブリを与えることによって達成される
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る環境的に持続可能な型枠の埋込システム10の集合体30を含む枠組鉄筋コンクリート構造物の全体的な平面図である。
【図2A】図1に示す枠組鉄筋コンクリート構造物の切断線2Aによって切断された断面図である。
【図2B】図1に示す枠組鉄筋コンクリート構造物の切断線2Bによって切断された断面図である。
【図3】図1に示す枠組鉄筋コンクリート構造物用の環境的に持続可能な型枠の埋込システムの分解平面図である。
【図4A】図3に示す環境的に持続可能な型枠の埋込システム10の集合体30の詳細な分解平面図である。
【図4B】図1及び図3に示す環境的に持続可能な型枠の埋込システム10と共に用いられる鉄筋の詳細な平面図である。
【図5A】図4Aの環境的に持続可能な型枠の埋込システム10の集合体30の切断線Aによって切断された断面図である。
【図5B】図5Aに示す環境的に持続可能な型枠の埋込システム10の集合体30で用いられる鉄筋の詳細な断面図である。
【図5C】環境的に持続可能な型枠の埋込システム10の集合体30を図5Aに示す型枠に固定するのに用いられる鉄筋のフォームタイ40の詳細な断面図である。
【図6】図4Aの環境的に持続可能な型枠の埋込システム10の集合体30である再利用の埋込材料の球状配置を切断線Aによって切断した断面図である。
【図7】図4Aの環境的に持続可能な型枠の埋込システム10の集合体30である再利用の埋込材料の圧砕配置を切断線Aによって切断した断面図である。
【図8】図4Aの環境的に持続可能な型枠の埋込システム10の集合体30である再利用の埋込材料の千鳥状の配置を切断線Aによって切断した断面図である。
【図9】図4Aの環境的に持続可能な型枠の埋込システム10の集合体30である再利用の埋込材料の積み重ねられた配置を切断線Aによって切断した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、本発明の環境的に持続可能な型枠の埋込システム10の実施の形態を含む枠組みされた鉄筋コンクリート構造物の全体的な平面図である。鉄筋コンクリート構造物は、鋼鉄の鉄筋(steel rebars)で補強されたコンクリート、鉄筋コンクリートと構造用鋼材(structural steel)の組合せ、及び/又は1つ以上の複合材料(composite materials)で構成することができる。
【0018】
図1に示すように、環境的に持続可能な型枠の埋込システム10は、鉄筋コンクリート桁12によって支持された鉄筋コンクリートスラブ(reinforced concrete slab)24(通常は、建物の床として使われる)を備える。埋込システム10の複数の集合体(embodiments)30が、鉄筋コンクリートスラブ24内に埋め込まれる。鉄筋コンクリートスラブ24は、2つの方向に亘って載架(span)されており、重力荷重を効率的に支持し、それらの荷重を鉄筋コンクリート桁12に伝達している。鉄筋コンクリートスラブ24内の剪断力及び曲げモーメントの大きさは、場所によって異なっている。鉄筋コンクリートスラブ24内で、剪断力及び曲げモーメントの相対的な大きさが一致する帯板(strips)14、16を定義する。各帯板14を柱帯(column strip)として定義し、各帯板16を柱間帯(middle strip)として定義する。区画18、20、22を、剪断力及び曲げモーメントの相対的な大きさの観点から定義する。加えられる重力荷重を考慮すると、区画18は、相対的に最大の正の曲げモーメント及び相対的に最小の剪断力に対応し、区画20は、中間の曲げモーメント及び中間の剪断力に対応し、区画22は、相対的に最大の負の曲げモーメント及び相対的に最大の剪断力に対応する。区画18には、環境的に持続可能な型枠の埋込システム10の集合体30が相対的に最も多数集中されて配置され、区画20には、環境的に持続可能な型枠の埋込システム10の集合体30が中程度に集中されて配置され、区画22には、環境的に持続可能な型枠の埋込システム10の集合体30が相対的に最も少なく集中されて配置される。
【0019】
図2Aは、環境的に持続可能な型枠の埋込システム10の集合体30を含む枠組みされた鉄筋コンクリート構造物の断面図である。図2Aに示すように、環境的に持続可能な型枠の埋込システム10は、鉄筋コンクリート桁12によって支持された鉄筋コンクリートスラブ24を備える。鉄筋コンクリートスラブ24内の剪断力及び曲げモーメントの大きさは、場所によって異なっている。したがって、鉄筋コンクリートスラブ24内で、剪断力及び曲げモーメントの相対的な大きさが一致する帯板を定義する。この断面図で例示する帯板14を柱帯として定義し、帯板16を柱間帯として定義する。区画20、22は、剪断力及び曲げモーメントの大きさが異なる領域を定義している。区画20は、中間の曲げモーメント及び中間の剪断力に対応し、区画22は、相対的に最大の負の曲げモーメント及び相対的に最大の剪断力に対応する。したがって、区画20には、環境的に持続可能な型枠の埋込システム10の集合体30が中程度に集中されて配置され、区画22には、環境的に持続可能な型枠の埋込システム10の集合体30がより少なく集中して配置される。
【0020】
図2Bは、環境的に持続可能な型枠の埋込システム10の集合体30を含む枠組みされた鉄筋コンクリート構造物の他の断面図である。図2Bに示すように、環境的に持続可能な型枠の埋込システム10は、鉄筋コンクリート桁12によって支持された鉄筋コンクリートスラブ24を備える。鉄筋コンクリートスラブ24内の剪断力及び曲げモーメントの大きさは、場所によって異なっている。したがって、鉄筋コンクリートスラブ24内で、剪断力及び曲げモーメントの大きさが一致する帯板を定義する。この断面図に示す帯板16は、柱間帯に対応し、帯板14を柱帯として定義する。区画18、20は、剪断力及び曲げモーメントの大きさが異なる領域を定義している。区画18は、相対的に最大の正の曲げモーメント及び相対的に最小の剪断力に対応し、区画20は、中間の曲げモーメント及び中間の剪断力に対応する。したがって、区画18には、環境的に持続可能な型枠の埋込システム10の集合体30が相対的に多数集中されて配置され、区画20には、環境的に持続可能な型枠の埋込システム10の集合体30が中程度に集中されて配置される。
【0021】
図3は、図1に示す環境的に持続可能な型枠の埋込システム10の柱間の枠組みされた鉄筋コンクリート構造物の分解平面図である。図3に示すように、環境的に持続可能な型枠の埋込システム10は、鉄筋コンクリート桁12によって支持された鉄筋コンクリートスラブ24を備える。鉄筋コンクリートスラブ24は、2つの方向に亘って載架されており、重力荷重を効率的に支持し、それらの荷重を鉄筋コンクリート桁12に伝達している。鉄筋コンクリートスラブ24内の剪断力及び曲げモーメントの大きさは、場所によって異なっている。したがって、鉄筋コンクリートスラブ24内の剪断力及び曲げモーメントの相対的な大きさが一致する帯板14、16を定義する。各帯板14を柱帯として定義し、各帯板16を柱間帯として定義する。区画18、20、22は、剪断力及び曲げモーメントの相対的な大きさの観点から定義する。区画18は、相対的に最大の正の曲げモーメント及び相対的に最小の剪断力に対応し、区画20は、中間の曲げモーメント及び中間の剪断力に対応し、区画22は、相対的に最大の負の曲げモーメント及び相対的に最大の剪断力と対応する。したがって、区画18には、環境的に持続可能な型枠の埋込システム10の集合体30が最も多数集中して配置され、区画20には、環境的に持続可能な型枠の埋込システム10の集合体30が中程度に集中して配置され、区画22には、環境的に持続可能な型枠の埋込システム10の集合体30が最も少なく集中して配置される。各環境的に持続可能な型枠の埋込システム10の各集合体30は、鉄筋コンクリートスラブ24の区画内に働く曲げモーメント及び剪断力の大きさに対応した集中度で配置される。
【0022】
図4Aは、図3に示す環境的に持続可能な型枠の埋込システム10の集合体30の詳細な分解平面図である。環境的に持続可能な型枠の埋込システム10の集合体30は、鉄筋コンクリートスラブ24に配置される。再生材(recycled material)32は、鉄筋36の枠組内に配置される。鉄筋36は、集合体30の上方、下方及び各側方に配置される。プラスチック製シュリンクラップ34は、再生材32を上面、下面及び側面から封入する(encapsulate)。
【0023】
図4Bは、図4Aに示す環境的に持続可能な型枠の埋込システム10の集合体30で用いる鉄筋網(reinforcing steel system)38の詳細な平面図である。鉄筋36は、各集合体30の上方、下方及び各側方に配置される。
【0024】
図5Aは、鉄筋36内に配置される再生材32を示す環境的に持続可能な型枠の埋込システム10の集合体30の断面図である。鉄筋36は、環境的に持続可能な型枠の埋込システム10の集合体30の上方、下方及び各側方に配置される。プラスチック製シュリンクラップ34は、再生材32を、上面、下面及び側面から封入する。フォームタイ40は、環境的に持続可能な型枠の埋込システム10の集合体30を、一時的に鉄筋コンクリート構造物型枠44に固定して、コンクリートの流し込み中に、集合体30が浮き上がるのを防止するために用いられる。鉄筋チェア42は、プラスチック製シュリンクラップ34に封入された再生材32を、コンクリートで十分に覆うために用いられる。
【0025】
図5Bは、図5Aに示す環境的に持続可能な型枠の埋込システム10の集合体30で用いる鉄筋網38の詳細な断面図である。鉄筋網38は、軟鉄筋高強度プレストレスケーブル(mild reinforcing steel, high strength pre-stressed cables)、すなわち軟鉄筋と高強度プレストレストケーブルとの組合せとすることができる。鉄筋36は、環境的に持続可能な型枠の埋込システム10の上方、下方及び各側方に配置される。フォームタイ40は、環境的に持続可能な型枠の埋込システム10の集合体30を、一時的に鉄筋コンクリート構造物型枠44に固定して、コンクリートの流し込み中に、集合体30が浮き上がるのを防止するために用いられる。
【0026】
図5Cは、環境的に持続可能な型枠の埋込システム10の集合体30を、図5Aに示すコンクリート構造物型枠44に固定するのに用いられる鉄筋フォームタイ40の詳細な断面図である。
【0027】
図6は、環境的に持続可能な型枠の埋込システム10の集合体30の断面図であり、球状の丸められた(spherical arrangement)再利用された埋込材料(recycled inclusion material)50の配置を示している。鉄筋36は、環境的に持続可能な型枠の埋込システム10の集合体30の上方、下方及び各側方に配置される。フォームタイ40は、環境的に持続可能な型枠の埋込システム10の集合体30を、一時的に鉄筋コンクリート構造物型枠44に固定して、コンクリートの流し込み中に、集合体30が浮き上がるのを防止するために用いられる。
【0028】
図7は、環境的に持続可能な型枠の埋込システム10の集合体30の断面図であり、圧砕され(crushed)、再利用された埋込材料60を示している。鉄筋36は、環境的に持続可能な型枠の埋込システム10の集合体30の上方、下方及び各側方に配置される。フォームタイ40は、環境的に持続可能な型枠の埋込システム10の集合体30を、一時的に鉄筋コンクリート構造物型枠44に固定して、コンクリートの流し込み中に、集合体30が浮き上がるのを防止するために用いられる。
【0029】
図8は、環境的に持続可能な型枠の埋込システム10の集合体30の断面図であり、千鳥状の(staggered)再利用された埋込材料70を示している。鉄筋36は、環境的に持続可能な型枠の埋込システム10の集合体30の上方、下方及び各側方に配置される。フォームタイ40は、環境的に持続可能な型枠の埋込システム10の集合体30を、一時的に鉄筋コンクリート構造物型枠44に固定して、コンクリートの流し込み中に、集合体30が浮き上がるのを防止するために用いられる。
【0030】
図9は、環境的に持続可能な型枠の埋込システム10の集合体30の断面図であり、積み重ねられ(stacked)、再利用された埋込材料80を示している。鉄筋36は、環境的に持続可能な型枠の埋込システム10の集合体30の上方、下方及び各側方に配置される。フォームタイ40は、環境的に持続可能な型枠の埋込システム10の集合体30を、一時的に鉄筋コンクリート構造物型枠44に固定して、コンクリートの流し込み中に、集合体30が浮き上がるのを防止するために用いられる。
【0031】
したがって、環境的に持続可能な型枠の埋込システム10を構造物に導入することにより、埋立地に廃棄されるであろう材料を用いて、最適の構造効率(optimum structural efficiency)が達成される。材料は、要求される力を構造物内に伝達できるように、設計された位置及び密度で配置される。再生材の比重(density)は、鉄筋コンクリートの比重よりも大幅に小さいので、構造物に対する要求は、軽減される。したがって、骨組構造(framed structures)に要求される構造的なコンクリート及び鋼鉄の補強を減らすことができ、また、これらに限定されるものではないが、柱及び壁を含む、垂直荷重及び横荷重に耐える構造部材(vertical and lateral load-resisting structural elements)に要求される構造的なコンクリートと、補強筋と、コンクリート及び補強筋の組合せと、構造用鋼材(structural steel)とを減らすことができる。構造物の質量が大幅に削減されるので、地震荷重(seismic loads)を負担する構造物の耐横荷重系(lateral load-resisting system)に対する要求を減らすことができる。したがって、基礎系(foundation systems)に対する要求も減らすことができ、負担荷重に耐えるための必要な構造材料を削減することができる。
【0032】
上述した装置及び方法は、単に本発明の原理の応用を例示したものであり、他の多くの実施の形態及び変形例を、特許請求の範囲で定義した発明の精神及び範囲を逸脱することなく、実施できることは言うまでもない。
【0033】
例えば、ここに説明した環境的に持続可能な型枠の埋込システム10は、鉄筋コンクリート又は構造用鋼材からなる梁骨組(beam framing)に、1つの方向に亘って載架されるスラブを含む、骨組構造の他の構成要素(configurations)に組み込むことができる。更に、枠組みされた鉄筋コンクリートスラブシステムは、構造用鋼材、あるいは構造用鋼材とコンクリートの組合せからなる補強壁又は補強柱(reinforced walls or columns)上に支持することができる。
【0034】
この環境的に持続可能な型枠の埋込システム10は、鉄筋コンクリート壁式構造(reinforced concrete wall construction)に、鉄筋コンクリート梁、すなわちポストテンション梁(reinforced concrete or post-tensioned beams)に、道路建設に用いられる構造物、例えば道路及び橋梁(roads and bridges)に用いることができる。この環境的に持続可能な型枠の埋込システム10は、構造骨組条件及び要求に基づく交互配置構成(alternate placement configuration)を用いてもよい。環境的に持続可能な型枠の埋込システム10の集合体30の交互配置は、構造物の柱帯14及び/又は柱間帯16に用いることができる。全体的な構成は、直線的である必要がなく、放射状であってもよく、あるいは不規則に間隔を空けられてもよい。鉄筋コンクリート、すなわちポストテンション梁骨組は、鉄筋コンクリート柱12間を載架するのに用いることができる。この骨組は、環境的に持続可能な型枠の埋込システム10の集合体30を含むことができる。鉄筋コンクリート壁は、環境的に持続可能な型枠の埋込システム10の集合体30を含むことによって、鉄筋コンクリート柱12の代わりに、骨組構造を支持するのに用いることができる。ガラス、ゴムタイヤ、発泡スチロール、ガラス繊維等を含む交互配置の再生材は、環境的に持続可能な型枠の埋込システム10の集合体30内の詰め物(filler)として用いることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
型枠の埋込システムにおいて、
少なくとも1つの骨組構造を有する鉄筋コンクリート構造物を備え、
上記骨組構造は、少なくとも1つの型枠埋込アセンブリを有し、
各型枠埋込アセンブリは、再生材からなり、上記骨組構造内に埋め込まれていることを特徴とする型枠の埋込システム。
【請求項2】
上記鉄筋コンクリート構造物は、現場打設であることを特徴とする請求項1記載の型枠の埋込システム。
【請求項3】
上記鉄筋コンクリート構造物の少なくとも一部は、プレキャストであることを特徴とする請求項1記載の型枠の埋込システム。
【請求項4】
上記骨組構造は、コンクリートスラブであることを特徴とする請求項1記載の型枠の埋込システム。
【請求項5】
上記鉄筋コンクリート構造物は、少なくとも1つの鉄筋コンクリート柱を有することを特徴とする請求項1記載の型枠の埋込システム。
【請求項6】
コンクリートの流し込み中に、各型枠埋込アセンブリを、対応する骨組構造に保持する複数のフォームタイを更に備える請求項1記載の型枠の埋込システム。
【請求項7】
上記再生材は、キャップされたプラスチックボトルであることを特徴とする請求項1記載の型枠の埋込システム。
【請求項8】
上記再生材は、球状に丸められたビニール袋であることを特徴とする請求項1記載の型枠の埋込システム。
【請求項9】
上記再生材は、圧砕されたプラスチックボトルであることを特徴とする請求項1記載の型枠の埋込システム。
【請求項10】
上記再生材は、千鳥状に配列された、キャップされたプラスチックボトルであることを特徴とする請求項1記載の型枠の埋込システム。
【請求項11】
上記再生材は、積み重ねられた、キャップされたプラスチックボトルであることを特徴とする請求項1記載の型枠の埋込システム。
【請求項12】
上記鉄筋コンクリート構造物は、鉄筋コンクリートと構造用鋼材の組合せからなることを特徴とする請求項1記載の型枠の埋込システム。
【請求項13】
上記鉄筋コンクリート構造物は、複合材料からなることを特徴とする請求項1記載の型枠の埋込システム。
【請求項14】
各骨組構造は、軟鉄筋を有することを特徴する請求項1記載の型枠の埋込システム。
【請求項15】
各骨組構造物は、高強度プレストレスケーブルを有することを特徴とする請求項1記載の型枠の埋込システム。
【請求項16】
各骨組構造物は、軟鉄筋と高強度プレストレスケーブルの組合せからなることを特徴とする請求項1記載の型枠の埋込システム。
【請求項17】
各骨組構造物は、
コンクリートスラブと、
上記コンクリートスラブ内に配置された複数の型枠埋込アセンブリとを有し、
上記型枠埋込アセンブリの相対的な集中度は、上記コンクリートスラブの正の曲げモーメントが相対的に大きい領域において、高いことを特徴する請求項1記載の型枠の埋込システム。
【請求項18】
上記再生材は、プラスチックに封入されていることを特徴とする請求項1記載の型枠の埋込システム。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2012−509422(P2012−509422A)
【公表日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−536425(P2011−536425)
【出願日】平成21年11月11日(2009.11.11)
【国際出願番号】PCT/US2009/063953
【国際公開番号】WO2010/056691
【国際公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.フォームタイ
【出願人】(509311850)スキッドモア オーウィングス アンド メリル リミテッド ライアビリティ パートナーシップ (8)