説明

型枠材高さ調節装置

【課題】型枠材の高さ調節が簡単に行え、一日当たりのアスファルト舗装の作業量を増加させることのできる型枠材高さ調節装置を提供する。
【解決手段】台座11と、この台座11に回転可能に保持され、雄ねじ部17が台座11から上側へ突出するボルト15と、このボルト15の雄ねじ部17に螺合し、型枠材31に取り付けられるナット18とからなり、台座11を、底板12と、この底板12の上側に取り付けられ、ボルト15の頭部16が回転可能な空間を形成するスペーサ13と、このスペーサ13の上側に取り付けられ、ボルト15の頭部16が抜け出るのを阻止する天板14とで構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、アスファルト舗装を施工する際、アスファルト舗装の厚さを調節してアスファルト舗装の表面を同じ高さにし、アスファルト舗装の施工幅を正確に確保するために施工幅の両側または片側に設置する型枠材の高さを調節する型枠材高さ調節装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
アスファルト舗装を施工する際、設置する型枠材の高さは一定であるはずであるが、下地の状態などの現場条件により、型枠材の高さが一定せず、型枠材の高さを調節する必要がある。
【0003】
型枠材の高さを調節は、測量によって求められた基準高をもとにして水糸を現場に張り、水糸の高さに型枠材の上端面が合うように、木材または金属板などのスペーサを型枠材の下に入れることによって行っている(例えば、非特許文献1、非特許文献2、非特許文献3参照。)。
【0004】
【非特許文献1】内田一郎、他5名、『舗装 Vol.2 No.11 1967』株式会社建設図書、昭和42年11月1日発行、p23
【非特許文献2】近藤茂夫、他3名、『道路建設講座(6)道路舗装の施工』株式会社山海堂、昭和47年4月20日発行、p200−201
【非特許文献3】松野三朗、山下弘美、『舗装技術の質疑応答』建設図書、昭和55年10月1日発行、p155−156
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記した方法で型枠材の高さを調節する場合、特に夜間においては、基準高を示す水糸が見にくく、型枠材の高さ調節に手間がかかるため、一日当たりのアスファルト舗装の作業量が限られる。
【0006】
この発明は、上記したような不都合を解消するためになされたもので、型枠材の高さ調節が簡単に行え、一日当たりのアスファルト舗装の作業量を増加させることのできる型枠材高さ調節装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、以下のような発明である。
(1)台座と、この台座に回転可能に保持され、雄ねじ部が前記台座から上側へ突出するボルトと、このボルトの雄ねじ部に螺合し、型枠材に取り付けられるナットと、を備えた型枠材高さ調節装置。
(2)(1)に記載の型枠材高さ調節装置において、前記型枠材は、型枠と、この型枠の下面に取り付けられた取付板とからなり、前記取付板が前記ナットの下面に取り付けられていることを特徴とする。
(3)(1)または(2)に記載の型枠材高さ調節装置において、前記ボルトの雄ねじ部の上側端部に、前記ボルトを回転させる工具の先端部分が係合する係合部を設けたことを特徴とする。
(4)(1)から(3)のいずれか1つに記載の型枠材高さ調節装置において、前記台座は、底板と、この底板の上側に取り付けられ、前記ボルトの頭部が回転可能な空間を形成するスペーサと、このスペーサの上側に取り付けられ、前記ボルトの頭部が抜け出るのを阻止する天板とで構成されていることを特徴とする。
(5)台座と、この台座に直立させて取り付けられた雄ねじ部材と、この雄ねじ部材に螺合するナットと、このナットの下面に取り付けられた円環平板状のフランジ部材と、このフランジ部材の周縁を回転可能に保持し、型枠材に取り付けられる取付部材と、を備えた型枠材高さ調節装置。
(6)(5)に記載の型枠材高さ調節装置において、前記取付部材は、前記型枠材の下側に取り付けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、型枠材に取り付けられたナットがボルトの雄ねじ部に螺合しているので、ボルトを回転させることにより、ナットおよび型枠材を上下させることができる。
したがって、ボルトを回転させることにより、型枠材の高さ調節が簡単に行え、一日当たりのアスファルト舗装の作業量を増加させることができる。
そして、型枠材を、型枠と、この型枠の下面に取り付けられた取付板とで構成し、取付板をナットの下面に取り付けたので、アスファルト舗装の厚さを薄い値から調節することができる。
さらに、ボルトの雄ねじ部の上側端部に、ボルトを回転させる工具の先端部分が係合する係合部を設けたので、工具の先端をボルトの係合部に係合させることにより、ボルトを簡単に回転させて型枠材の高さ調節を簡単に行うことができる。
そして、台座を、底板と、この底板の上側に取り付けられ、ボルトの頭部が回転可能な空間を形成するスペーサと、このスペーサの上側に取り付けられ、ボルトの頭部が抜け出るのを阻止する天板とで構成したので、台座の構成が簡単となって台座が安価になることにより、型枠材高さ調節装置を安価で提供することができる。
また、他の発明によれば、型枠材に取り付けられた取付部材が、雄ねじ部材に螺合するナットに取り付けられたフランジ部材を保持しているので、ナットを回転させることにより、型枠材を上下させることができる。
したがって、ナットを回転させることにより、型枠材の高さ調節が簡単に行え、一日当たりのアスファルト舗装の作業量を増加させることができる。
そして、取付部材を、型枠材の下側に取り付けたので、アスファルト舗装の厚さを薄い値から調節することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、この発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【0010】
図1(a)はこの発明の一実施例である型枠材高さ調節装置の平面図、図1(b)は図1(a)のB−B線による断面図、図1(c)は図1(a)のC−C線による断面図、図2および図3は動作説明図である。
なお、型枠材は、部分図としてある。
そして、図2および図3は、図1(b)に対応させてあるが、一部省略されている。
【0011】
図1において、型枠材高さ調節装置1は、台座11と、この台座11に回転可能に保持され、雄ねじ部17が台座11から上側へ突出するボルト15と、このボルト15の雄ねじ部17に螺合し、型枠材31に取り付けられるナット18とで構成されている。
【0012】
上記した台座11は、平板状で複数の固定孔12aが設けられた底板12と、この底板12の上側(上面)に取り付けられ、ボルト15の頭部16が回転可能な空間を形成する孔13aが設けられた一様な厚さのスペーサ13と、このスペーサ13の上側(上面)に取り付けられ、ボルト15の雄ねじ部17が挿通される挿通孔14aが設けられ、ボルト15の頭部16が抜け出るのを阻止する平板状の天板14とで構成されている。
【0013】
上記したボルト15は、台座11に回転可能に保持される、例えば、さら型の頭部16と、この頭部16に連なり、台座11から上側へ突出する雄ねじ部17とで構成されている。
そして、頭部16と反対側の雄ねじ部17の上側端部には、ボルト15を回転させる、例えば、プラスドライバーの先端部分などが係合する十字溝17aが係合部として設けられている。
【0014】
上記した型枠材31は、ナット18が挿通される貫通孔32aが設けられた一様な幅で一様な厚さの型枠32と、この型枠32の下面に取り付けられた取付板33とで構成されている。
そして、取付板33は、周縁の上面がナット18の下面に取り付けられ、ボルト15の雄ねじ部17が挿通される挿通孔34aが、例えば、0.5m〜2.0mの間隔で設けられるとともに、型枠32に下面側から打ち込まれる、例えば、上側へ尖った三角形状をした複数の打ち込み片32b、および、さら型の頭部を有した取付ねじ36の軸部が挿通される複数の取付孔34cが設けられた、例えば、長さが4mの支持平板部34と、この支持平板部34の両側端から平行して起立し、型枠32の両側面に接する起立側板部35A,35Bとで構成されている。
【0015】
次に、型枠材31の組立の一例について説明する。
まず、型枠32の下面に支持平板部34を対応させ、起立側板部35A,35Bを型枠32の側面に対応させるとともに、貫通孔32aの中心に挿通孔34aの中心を対応させてナット18を位置させる。
そして、支持平板部34の下面を、例えば、金槌などで叩くことにより、複数の打ち込み取付片34bを型枠32内へ打ち込んでナット18を貫通孔32a内に位置させた後、複数の取付孔34cへ取付ねじ36の軸部を挿通して型枠32にねじ込み、図1(b),(c)に示すように、取付板33を型枠32に取り付け、型枠材31とする。
なお、貫通孔34cは下側へ拡開する円錐台形状とされ、取付ねじ36の頭部が支持平板部34の下側へ突出しないようになっている。
【0016】
次に、型枠材高さ調節装置1の設置、高さ調節の一例について説明する。
まず、所定の間隔をおいて所定の位置に台座11を設置する。
次に、設置した台座11の間隔で型枠32に取付板33を取り付けた型枠材31の挿通孔34aへボルト15の雄ねじ部17を挿通し、図2に示すように、ナット18の下側に雄ねじ部17の上端を接触させた状態にする。
この状態で、プラスドライバーの先端をナット18に挿通して雄ねじ部17の上端に設けられている十字溝17aに係合させ、ボルト15を回転させ、雄ねじ部17をナット18に螺合させて支持平板部34を天板14に接触させると、図1(b),(c)に示す状態になる。
そして、各底板12の各固定孔12aに、例えば、釘を打ち込み、釘の頭部で各底板12を所定の位置に固定する。
なお、図1(b),(c)に示す状態で、雄ねじ部17の上端が型枠材31(型枠32)の上面から突出しないで、型枠材31(型枠32)の上面と面一となるように、または、型枠材31(型枠32)の上面よりも下側に位置するのが好ましい。
【0017】
この状態で、型枠材高さ調節装置1を設置した位置の型枠材31(型枠32)の上端を、例えば、トランシットを用いて計測し、型枠材31(型枠32)の上端が所望(所期)の高さとなるように、プラスドライバーの先端を雄ねじ部17の十字溝17aに係合させてナット18を回転させることにより、例えば、図3に示すように、型枠材31(型枠32)の上端を調節する。
この型枠材31(型枠32)の上端の調節を、各型枠材高さ調節装置1に対して行う。
そして、型枠材高さ調節装置1の間隔が長く、アスファルト舗装を施工するときに型枠32が沈む(下降する、撓む)恐れがあれば、型枠32の下側にスペーサを所定間隔で挿入し、型枠32が沈まない(下降しない、撓まない)ようにするのが好ましい。
【0018】
このように、アスファルト舗装の施工幅を正確に確保するために施工幅の両側または片側に設置してアスファルト舗装を行った後、型枠材高さ調節装置1および型枠材31を取り除き、型枠材高さ調節装置1および型枠材31を取り除い部分を補修することにより、アスファルト舗装が完了する。
【0019】
上述したように、この発明の一実施例によれば、型枠材31に取り付けられたナット18がボルト15の雄ねじ部17に螺合しているので、ボルト15を回転させることにより、ナット18および型枠材31を上下させることができる。
したがって、ボルト15を回転させることにより、型枠材31の高さ調節が簡単に行え、一日当たりのアスファルト舗装の作業量を増加させることができる。
そして、型枠材31を、型枠32と、この型枠32の下面に取り付けられた取付板33とで構成し、取付板33をナット18の下面に取り付けたので、アスファルト舗装の厚さを薄い値から調節することができる。
さらに、ボルト15の雄ねじ部17の上側端部に、ボルト15を回転させる工具の先端部分が係合する十字溝17aを設けたので、工具の先端をボルト15の十字溝17aに係合させることにより、ボルト15を簡単に回転させて型枠材31の高さ調節を簡単に行うことができる。
そして、台座11を、底板12と、この底板12の上側に取り付けられ、ボルト15の頭部16が回転可能な空間を形成するスペーサ13と、このスペーサ13の上側に取り付けられ、ボルト15の頭部16が抜け出るのを阻止する天板14とで構成したので、台座11の構成が簡単となって台座11が安価になることにより、型枠材高さ調節装置1を安価で提供することができる。
さらに、型枠材31を最下降させた状態で、雄ねじ部17の上端を型枠材31の上端よりも下側に位置させたので、アスファルト舗装の厚さを最小値にしても、型枠材31から雄ねじ部17が突出せず、効率よくをアスファルト舗装を施工することができる。
【0020】
図4(a),(b)は雄ねじ部に設ける係合部の他の例を示す雄ねじ部の平面図、雄ねじ部の部分側面図、図5(a),(b)は雄ねじ部に設ける係合部のさらに他の例を示す雄ねじ部の平面図、雄ねじ部の部分側面図、図6(a),(b)は雄ねじ部に設ける係合部のさらに他の例を示す雄ねじ部の平面図、雄ねじ部の部分側面図である。
【0021】
図4において、頭部と反対側の雄ねじ部17の上側端部には、ボルト15を回転させる、例えば、マイナスドライバーの先端部分などが係合する直線状の溝17bが係合部として設けられている。
図5において、頭部と反対側の雄ねじ部17の上側端部には、ボルト15を回転させる、例えば、六角の箱スパナ(ボックススパナ)が係合する正六角柱の係合突起17cが係合部として設けられている。
図6において、頭部と反対側の雄ねじ部17の上側端部には、ボルト15を回転させる、例えば、六角レンチの先端部分が係合する正六角柱状の係合凹部17dが係合部として設けられている。
【0022】
図4〜図6に示す溝17b、係合突起17c、係合凹部17dのいずれかを雄ねじ部17の上端に設けても、図1〜図3に示した実施例のように、型枠材の高さを調節することができる。
【0023】
図7は型枠材の他の例を示す説明図、図8は型枠材のさらに他の例を示す説明図であり、図1〜図3と同一または相当部分に同一符号を付し、その説明を省略する。
なお、図7および図8は、図1(c)に対応させた断面図である。
【0024】
図7に示す型枠材31は、図1に示した取付板33から起立側板部35A,35Bを取り除いた他は図1に示す取付板33と同様に構成されている。
図8に示す型枠材31は、図1に示した取付板33から起立側板部35Bを取り除いた他は図1に示す取付板33と同様に構成されている。
【0025】
図7または図8に示した型枠材31を用いても、図1〜図3に示した実施例のように、型枠材31の高さを調節することができる。
【0026】
図9(a)はこの発明の他の実施例である型枠材高さ調節装置の平面図、図9(b)は図9(a)のB−B線による断面図、図9(c)は図9(a)のC−C線による断面図、図10および図11は動作説明図である。
なお、型枠材は、部分図としてある。
そして、図10および図11は、図9(c)に対応させてある。
【0027】
図9において、型枠材高さ調節装置1は、平板状で複数の固定孔21aが設けられた台座21と、この台座21の上面に直立させて取り付けられた雄ねじ部材22と、この雄ねじ部材22に螺合するナット23と、このナット23の下面に取り付けられた円環平板状のフランジ部材24と、このフランジ部材24の周縁を回転可能に保持し、型枠材41に取り付けられる取付部材25とで構成されている。
【0028】
上記した型枠材41は、下側が大径な孔で、上側の孔が下側の孔と同心で下側の孔よりも小径な孔からなり、上側の小径な孔にナット23が挿入される段付き貫通孔42aが設けられた型枠42のみで構成されている。
また、取付部材25は、型枠42に設けられた段付き貫通孔42aの下側の大径な孔に挿入され、図示を省略した取付片に設けた取付孔に釘を打ち込むことにより、型枠42の下面と面一状態に取り付けられる。
そして、型枠42は、例えば、4mの長さで、0.5m〜2.0mの間隔で段付き貫通孔42aが設けられている。
【0029】
次に、取付部材25の型枠材41(型枠42)への取付の一例について説明する。
まず、型枠42に設けられた段付き貫通孔42aの下側の大径な孔の部分に、ナット23が段付き貫通孔42a内に位置するようにして取付部材25を挿入する。
なお、取付部材25を段付き貫通孔42aの下側の大径な孔の部分に挿入したとき、取付部材25の図示を省略した複数の取付片も、取付片収容凹部内に収容される。
そして、取付部材25に設けられた複数の取付片の取付孔へ取付ねじの軸部を挿通してねじ込むと、取付孔は下側へ拡開する円錐台形状とされているので、取付ねじの頭部が取付部材25、型枠42の下側へ突出せず、図9(b),(c)に示すように、取付部材25を型枠材41(型枠42)に取り付けることができる。
また、ナット23の上端は、図9(b),(c)に示す状態で、型枠材41(型枠42)の上面から突出しないで、型枠材41(型枠42)の上面と面一となるように、または、型枠材41(型枠42)の上面よりも下側に位置するのが好ましい。
【0030】
次に、型枠材高さ調節装置1の設置、高さ調節の一例について説明する。
まず、所定の間隔をおいて所定の位置に台座21を設置する。
次に、設置した台座21の間隔で型枠42に取り付けたフランジ部材24へ雄ねじ部材22を挿通し、図10に示すように、ナット23の下側に雄ねじ部材22の上端を接触させた状態にする。
この状態で、六角の箱スパナ(ボックススパナ)の先端を段付き貫通孔42a内へ上側から挿入してナット23に係合させ、ナット23を回転させ、ナット23を雄ねじ部材22に螺合させて取付部材25を台座21に接触させると、図9(b),(c)に示す状態になる。
そして、各台座21の各固定孔21aに、例えば、釘を打ち込み、釘の頭部で各台座21を所定の位置に固定する。
なお、図9(b),(c)に示す状態では、雄ねじ部材22の上端が型枠材41(型枠42)の上面から突出しないで、型枠材41(型枠42)の上面と面一となるように、または、型枠材41(型枠42)の上面よりも下側に位置するのが好ましい。
【0031】
この状態で、型枠材高さ調節装置1を設置した位置の型枠材41(型枠42)の上端を、例えば、トランシットを用いて計測し、型枠材41(型枠42)の上端が所望(所期)の高さとなるように、六角の箱スパナ(ボックススパナ)の先端をナット23に係合させてナット23を回転させることにより、例えば、図11に示すように、型枠材41(型枠42)の上端を調節する。
この型枠材41(型枠42)の上端の調節を、各型枠材高さ調節装置1に対して行う。
そして、型枠材高さ調節装置1の間隔が長く、アスファルト舗装を施工するときに型枠42が沈む(下降する、撓む)恐れがあれば、型枠42の下側にスペーサを所定間隔で挿入し、型枠42が沈まない(下降しない、撓まない)ようにするのが好ましい。
【0032】
このように、アスファルト舗装の施工幅を正確に確保するために施工幅の両側または片側に設置してアスファルト舗装を行った後、型枠材高さ調節装置1および型枠材41を取り除き、型枠材高さ調節装置1および型枠材41を取り除い部分を補修することにより、アスファルト舗装が完了する。
【0033】
上述したように、この発明の他の実施例によれば、型枠材41に取り付けられた取付部材25が、雄ねじ部材22に螺合するナット23に取り付けられたフランジ部材24を保持しているので、ナット23を回転させることにより、型枠材41を上下させることができる。
したがって、ナット23を回転させることにより、型枠材41の高さ調節が簡単に行え、一日当たりのアスファルト舗装の作業量を増加させることができる。
そして、取付部材25を、型枠材41の下側に取り付けたので、アスファルト舗装の厚さを薄い値から調節することができる。
さらに、型枠材41を最下降させた状態で、雄ねじ部材22の上端およびナット23の上端を型枠材41の上端よりも下側に位置させたので、アスファルト舗装の厚さを最小値にしても、型枠材41から雄ねじ部材22およびナット23が突出せず、効率よくをアスファルト舗装を施工することができる。
【0034】
上記した実施例では、固定孔12a,21aに釘を打ち込んで台座11,21を固定する例を示したが、釘を取付ねじに代えたり、底板12、台座21に、支持平板部34に設けた打ち込み取付片32bと同じ形状の複数の打ち込み取付片を設け、この複数の打ち込み取付片を打ち込んで固定したり、釘または取付ねじと複数の打ち込み片とを用いて固定したり、接着剤で貼り付けてもよい。
また、係合部としての係合突起17cを六角柱状(正六角柱状)にした例を示したが、他の形状、例えば、三角柱状(正三角柱状)、四角柱状(正四角柱状)、五角柱状(正五角柱状)、八角柱状(正八角柱状)などにしてもよい。
また、係合部としての係合凹部17dを六角柱状(正六角柱状)の凹部にした例を示したが、他の形状、例えば、三角柱状(正三角柱状)の凹部、四角柱状(正四角柱状)の凹部、五角柱状(正五角柱状)の凹部、八角柱状(正八角柱状)の凹部などにしてもよい。
また、型枠材31,41を最下降させた状態(図1(b),(c)または図9(b),(c))で、雄ねじ部17、雄ねじ部材22、ナット23を型枠材31,41の上側へ突出させない例を示したが、作業に支障がなければ、型枠材31,41を最下降させた状態で、雄ねじ部17、雄ねじ部材22、ナット23を型枠材31,41の上側へ突出させてもよい。
また、型枠32に取付板33を打ち込み取付片32bと取付ねじ36とで取り付ける例を示したが、型枠32に取付板33を打ち込み取付片32bのみ、または、取付ねじ36または釘のみ、または、他の手段、例えば、接着剤などで取り付けてもよい。
また、取付部材25を取付ねじで型枠材41(型枠42)に固定する例を示したが、取付部材25を段付き貫通孔42aへ圧入することにより、取付部材25を取付ねじで型枠材41(型枠42)に取り付けてもよい。
また、型枠材高さ調節装置1を構成する各部材の材質に言及しなかったが、型枠材高さ調節装置1を構成する各部材の材質は、鉄、ステンレス、アルミニウムなどの金属、廃プラスチックを含むプラスチック類で構成することができる。
また、型枠材高さ調節装置1の型枠材31,41への取付は、上記した方法以外の方法、例えば、材質にもよるが、溶接、溶着、接着などでも行うことができる。
また、型枠材31,41(型枠32,42)の上端をトランシットを用いて計測しながら調節する例で説明したが、水糸を張って型枠材31,41(型枠32,42)の上端を調節したり、レベル計を用いて型枠材31,41(型枠32,42)の上端を調節してもよい。
【0035】
この発明の実施例において、型枠32,42の厚さを15mmにした場合、アスファルト舗装の厚さを30mm〜40mm(雄ねじ部17、雄ねじ部材22、ナット23を型枠材31,41の上側へ突出させてもよい場合は、30mm〜50mm)の範囲で調節でき、型枠32,42の厚さを20mmにした場合、アスファルト舗装の厚さを35mm〜50mm(雄ねじ部17、雄ねじ部材22、ナット23を型枠材31,41の上側へ突出させてもよい場合は、35mm〜60mm)の範囲で調節でき、型枠32,42の厚さを30mmにした場合、アスファルト舗装の厚さを45mm〜70mm(雄ねじ部17、雄ねじ部材22、ナット23を型枠材31,41の上側へ突出させてもよい場合は、45mm〜80mm)の範囲で調節でき、型枠32,42の厚さを40mmにした場合、アスファルト舗装の厚さを55mm〜90mm(雄ねじ部17、雄ねじ部材22、ナット23を型枠材31,41の上側へ突出させてもよい場合は、55mm〜100mm)の範囲で調節でき、型枠32,42の厚さを50mmにした場合、アスファルト舗装の厚さを65mm〜110mm(雄ねじ部17、雄ねじ部材22、ナット23を型枠材31,41の上側へ突出させてもよい場合は、65mm〜120mm)の範囲で調節できた。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】(a)はこの発明の一実施例である型枠材高さ調節装置の平面図、(b)は図1(a)のB−B線による断面図、(c)は図1(a)のC−C線による断面図である。
【図2】動作説明図である。
【図3】動作説明図である。
【図4】(a),(b)は雄ねじ部に設ける係合部の他の例を示す雄ねじ部の平面図、雄ねじ部の部分側面図である。
【図5】(a),(b)は雄ねじ部に設ける係合部のさらに他の例を示す雄ねじ部の平面図、雄ねじ部の部分側面図である。
【図6】(a),(b)は雄ねじ部に設ける係合部のさらに他の例を示す雄ねじ部の平面図、雄ねじ部の部分側面図である。
【図7】型枠材の他の例を示す説明図である。
【図8】型枠材のさらに他の例を示す説明図である。
【図9】(a)はこの発明の他の実施例である型枠材高さ調節装置の平面図、(b)は図9(a)のB−B線による断面図、(c)は図9(a)のC−C線による断面図である。
【図10】動作説明図である。
【図11】動作説明図である。
【符号の説明】
【0037】
1 型枠材高さ調節装置
11 台座
12 底板
12a 固定孔
13 スペーサ
13a 孔
14 天板
14a 挿通孔
15 ボルト
16 頭部
17 雄ねじ部
17a 十字溝(係合部)
17b 溝(係合部)
17c 係合突起(係合部)
17d 係合凹部(係合部)
18 ナット
21 台座
21a 固定孔
22 雄ねじ部材
23 ナット
24 フランジ部材
25 取付部材
31 型枠材
32 型枠
32a 貫通孔
33 取付板
34 支持平板部
34a 挿通孔
32b 打ち込み取付片
34c 取付孔
35A 起立側板部
35B 起立側板部
36 取付ねじ
41 型枠材
42 型枠
42a 段付き貫通孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
台座と、
この台座に回転可能に保持され、雄ねじ部が前記台座から上側へ突出するボルトと、
このボルトの雄ねじ部に螺合し、型枠材に取り付けられるナットと、
を備えた型枠材高さ調節装置。
【請求項2】
請求項1に記載の型枠材高さ調節装置において、
前記型枠材は、型枠と、この型枠の下面に取り付けられた取付板とからなり、
前記取付板が前記ナットの下面に取り付けられている、
ことを特徴とする型枠材高さ調節装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の型枠材高さ調節装置において、
前記ボルトの雄ねじ部の上側端部に、前記ボルトを回転させる工具の先端部分が係合する係合部を設けた、
ことを特徴とする型枠材高さ調節装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の型枠材高さ調節装置において、
前記台座は、底板と、この底板の上側に取り付けられ、前記ボルトの頭部が回転可能な空間を形成するスペーサと、このスペーサの上側に取り付けられ、前記ボルトの頭部が抜け出るのを阻止する天板とで構成されている、
ことを特徴とする型枠材高さ調節装置。
【請求項5】
台座と、
この台座に直立させて取り付けられた雄ねじ部材と、
この雄ねじ部材に螺合するナットと、
このナットの下面に取り付けられた円環平板状のフランジ部材と、
このフランジ部材の周縁を回転可能に保持し、型枠材に取り付けられる取付部材と、
を備えた型枠材高さ調節装置。
【請求項6】
請求項5に記載の型枠材高さ調節装置において、
前記取付部材は、前記型枠材の下側に取り付けられている、
ことを特徴とする型枠材高さ調節装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−266991(P2008−266991A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−111208(P2007−111208)
【出願日】平成19年4月20日(2007.4.20)
【出願人】(000201515)前田道路株式会社 (61)
【Fターム(参考)】