説明

埋め戻し再生流動化処理材およびその製造方法

【課題】 流動化処理材として高品質を維持し安全性も兼ね備え、真に資源循環型社会に貢献しうる埋め戻し再生流動化処理材を提供する。
【解決手段】 再資源化加工が施された加工溶融スラグと汚泥を造粒固化して加工された加工再生処理土とを混ぜ合わせてなる主材と、セメント系固化材と、水と現地発生土とを混合攪拌させてなり、容積比で、主材が3.4〜4.0、セメント系固化材が0.3〜0.6、水が4.0〜4.2、現地発生土が1.7〜2.0の割合となるように混合攪拌されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流動化処理工法に用いる埋め戻し再生流動化処理材(CLSM:Controlled Low-Stlength Material)に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、掘削工事等で発生した建設残土(現地発生土)に水と固化材とを加えて混合攪拌して埋め戻しに使用する土砂埋戻し充填工法が知られている。また、廃棄物を有効利用するリサイクルの機運の高まりから、焼却灰や溶融スラグ等の廃棄物を混入させて流動化処理材とし、廃棄物の再資源化を図る技術も提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−8361号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1の技術では、出所不明の廃棄物の焼却灰が混入されるおそれがある。そのため、流動化処理土の製品としての安全性や安定性に欠けるという問題がある。特に近年では、資源循環型社会として単にリサイクルを行うだけでなく、リサイクル後の製品についても高い安全性と高機能が求められるようになっており、上記特許文献1の流動化処理土では、このような要求に応えることができない。
【0005】
そこで、本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、流動化処理材として高品質を維持し安全性も兼ね備え、真に資源循環型社会に貢献しうる埋め戻し再生流動化処理材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、本発明に係る埋め戻し再生流動化処理材は、再資源化加工が施された加工溶融スラグと汚泥を造粒固化して加工された加工再生処理土とを混ぜ合わせてなる主材と、セメント系固化材と、水と現地発生土とを混合攪拌してなることを特徴とする。
【0007】
これにより、適正な再生処理で加工されて高い安全性を誇る加工再生処理土と加工溶融スラグを混合させたものを主材として使用するので、高品質と安全性を兼ね備えた埋め戻し再生流動化処理材を実現することができ、真に資源循環型社会に貢献することが可能となる。また、加工溶融スラグを添加することで処理材の強度が確保され、処理材の締固め力、圧密度および付着強度を向上させることができる。
【0008】
ここで、容積比で、主材が3.4〜4.0、セメント系固化材が0.3〜0.6、水が4.0〜4.2、現地発生土が1.7〜2.0の割合で混合攪拌されているとするのが好ましい。
【0009】
これにより、埋め戻し再生流動化処理材の強度を調整することができ、適用箇所に応じた埋め戻し再生流動化処理材が実現可能となる。
【0010】
また、本発明は、再資源化加工が施された加工溶融スラグと汚泥を造粒固化して加工された加工再生処理土とを混ぜ合わせて主材を得る主材製造工程と、前記主材製造工程で得られた主材に、セメント系固化材と、水と現地発生土とを混合攪拌させる処理材製造工程とを含む埋め戻し再生流動化処理材の製造方法として実現することもできる。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る埋め戻し再生流動化処理材によれば、適正な再生処理を経て加工され、安全性の高い加工再生処理土と加工溶融スラグを混合させたものを主材として使用することにより、高品質と安全性とを両立させた埋め戻し再生流動化処理材を得ることができる。特に、加工溶融スラグの添加によって、処理材の強度が確保され、締固め力、圧密度および付着強度に優れた高強度の埋め戻し再生流動化処理材を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る埋め戻し再生流動化処理材およびその製造方法について説明する。
【0013】
本発明に係る埋め戻し再生流動化処理材(CLSM)は、流動性、自己充填性、自己硬化性を備えたスラリー状の埋め戻し材であり、加工再生処理土と加工溶融スラグを混合させてなる主材と、セメント等の固化材と、水と、必要に応じて現地発生土とを混ぜ合わせることにより構成される。
【0014】
主材は、加工再生処理土と加工溶融スラグとを所定の割合で混合させることにより構成される。
【0015】
加工再生処理土は、廃棄物処理工場や建設現場等で再生処理により汚泥を造粒固化して加工された再生処理土である。加工再生処理土として成立する要件は、コーン指数=200KN/m以上、一軸圧縮強度=50KN/m以上で、再泥化を起こさない性能を有することである。なお、ここにいう再泥化を起こさないとは、コンシステンシー係数がNPであり、CBR値が5%以上であることを意味する。この加工再生処理土は、適切な再生処理を経ていることから安全性が担保されているといえる。
【0016】
加工溶融スラグは、溶融物の資源化技術により適正に再資源化の加工が施された溶融スラグである。加工溶融スラグとして成立する要件は、JIS A 5032(一般廃棄物、下水汚泥又はそれらの焼却灰を溶融固化した道路用溶融スラグ)又はJIS A 5031(一般廃棄物、下水汚泥又はそれらの焼却灰を溶融固化したコンクリート用溶融スラグ骨材)に適合していることである。この加工溶融スラグも、適正な再資源化処理を経ていることから同様に安全性が担保されているといえる。
【0017】
本実施の形態における加工再生処理土と加工溶融スラグの物性試験の結果を表1に示す。
【0018】
【表1】

【0019】
この物性試験の結果からわかるように、加工再生処理土の粒度範囲は広範にわたっている一方、加工溶融スラグの粒度範囲は均一に近い範囲に収まっている。この加工再生処理土と加工溶融スラグとを混合攪拌することにより、主材の粒度分布は適正な数値範囲となる。
【0020】
ここで、加工再生処理土と加工溶融スラグの混合試験の結果を表2に示す。
【0021】
【表2】

【0022】
この混合試験の結果からわかるように、加工再生処理土の混入量が多いほど、CBR値が高くなる傾向にある。一方、加工溶融スラグの混入量が多いほど、膨張比が小さく、水分によって膨潤しにくくなって安定性が増す傾向にある。もっとも、加工溶融スラグを多く混入させると、単一の粒度分布に近くなり、主材の粒度の均等係数が小さくなってブリージング(分離上昇水)を招くおそれがある。また、再泥化を起こさない指標であるコンシステンシー係数はNPであるべきといえる。したがって、この混合試験の結果からは、加工再生処理土と加工溶融スラグとの混合割合は1:1とするのが好ましいといえる。
【0023】
本実施の形態に係る埋め戻し再生流動化処理材は、上述の主材に、セメント又はセメント系固化材と、水と、現地発生土(泥土)とを所定の割合で混合攪拌することにより構成される。
【0024】
埋め戻し再生流動化処理材の配合例を表3に示し、配合試験の結果を表4に示す。
【0025】
【表3】

【0026】
【表4】

【0027】
この配合試験において、実施例1は、主材(加工再生処理土と加工溶融スラグ)、現地発生土、固化材および水を容積比でそれぞれ3.5(2+1.5)、2.0、0.3および4.2として混合して得られたものである。また、実施例2は、同様に、容積比でそれぞれ3.4(2+1.4)、2.0、0.6および4.0として混合して得られたものである。なお、容積比で3.4を下回る数値で、主材を混合させると、埋め戻し再生流動化処理材の強度面に劣ることになるので、容積比で3.4以上の数値で主材を混合させるのが好ましい。また、容積比で4.0を上回る数値で主材を混合させると、流動性が損なわれることになり、埋め戻し再生流動化処理材としての流動性が得られなくなるので、容積比で4.0以下の数値で主材を混合させるのが好ましい。
【0028】
従来の流動化処理材では、単位質量試験結果として1.5の数値を超えるのは困難なことがあるのに対して、本実施の形態に係る埋め戻し再生流動化処理材によれば、加工溶融スラグの比重によって1.6以上の数値を確保することができ、工事現場における管理を容易にすることが可能となった。
【0029】
また、実施例1ではブリージング率が1.0%となっている一方、実施例2では0%となっていることから、固化材を増量させるとブリージング率の改善に有効であることわかる。
【0030】
さらに、実施例2における一軸圧縮強度は高強度域に達していることから、実施例1の配合による埋め戻し再生流動化処理材は、再掘削を可能とする必要がある箇所に適用することができ、実施例2の配合による埋め戻し再生流動化処理材は、永久埋め戻しや高強度が要求される箇所の埋め戻しに適用することが好ましいといえる。
【0031】
なお、この配合試験において、目視により処理材の性状を判定したところ、最大粒径物の過多が確認されたため、主材を構成する加工再生処理土と加工溶融スラグとの混合割合に変更を加えた。よって、この配合試験からは、加工再生処理土と加工溶融スラグとの混合割合は0.7〜0.75:1とするのが好ましいことがわかる。
【0032】
以上説明したように、本実施の形態に係る埋め戻し再生流動化処理材によれば、主材として、適正な再生処理を経て加工され、安全性の高い加工再生処理土と加工溶融スラグを混合させたものを使用するので、高品質を維持しつつ安全性も兼ね備えた埋め戻し再生流動化処理材を実現することができる。特に、処理材の強度を確保する加工溶融スラグを添加することにより、処理材の締固め力、圧密度および付着強度は向上されるので、高強度の埋め戻し再生流動化処理材を得ることができる。また、埋め戻し再生流動化処理材の配合比率を変更すれば、強度を調整することができ、適用箇所に応じた埋め戻し再生流動化処理材とすることもできる。
【0033】
さらに、本実施の形態に係る埋め戻し再生流動化処理材に高分子ポリマーを添加して混合攪拌させれば、再度造粒固化することができるので、造粒された製品として再利用することもできる。
【0034】
以上、本発明に係る埋め戻し再生流動化処理材およびその製造方法について、実施形態に基づいて説明したが本発明はこれに限定されるものではなく、本発明の目的を達成でき、かつ発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々設計変更が可能であり、それらも全て本発明の範囲内に包含されるものである。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明は、土砂埋戻し充填工法等の埋め戻し材や、路床・路盤材、保水材、防草材、防塵材、崩落防止材、間詰め材、地中補強杭材等として利用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
再資源化加工が施された加工溶融スラグと汚泥を造粒固化して加工された加工再生処理土とを混ぜ合わせてなる主材と、セメント系固化材と、水と現地発生土とを混合攪拌してなる
ことを特徴とする埋め戻し再生流動化処理材。
【請求項2】
容積比で、
主材が3.4〜4.0、
セメント系固化材が0.3〜0.6、
水が4.0〜4.2、
現地発生土が1.7〜2.0の割合で混合攪拌されている
ことを特徴とする請求項1記載の埋め戻し再生流動化処理材。
【請求項3】
再資源化加工が施された加工溶融スラグと汚泥を造粒固化して加工された加工再生処理土とを混ぜ合わせて主材を得る主材製造工程と、
前記主材製造工程で得られた主材に、セメント系固化材と、水と現地発生土とを混合攪拌させる処理材製造工程とを含む
ことを特徴とする埋め戻し再生流動化処理材の製造方法。