説明

埋込型の照明器具

【課題】天井に取り付けられる埋込型の照明装置の、上下方向及び水平方向の動きを拘束する簡易な構成を提供する。
【解決手段】照明器具600は、主要部品として、反射部670と、LED基板630が取り付けられた放熱部610とからなる。反射部670には、3つの止め具672と、3つの板バネ671とが取り付けられる。それぞれの止め具672は、照明器具600が天井板にあけられた取付開口穴に埋め込まれると、押え金具672−6が天井板の上面を、略鉛直方向に押圧することで照明器具600を上下方向に支持する。それぞれの板バネ671は、照明器具600が天井板にあけられた取付開口穴に埋め込まれると、取付開口穴の天井板上面側の周縁を、略鉛直方向と略水平方向との成分に分解可能な斜め鉛直方向にバネ復元力に基づく押圧力によって押圧することで照明器具600を支持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天井板などの取り付け板にあけられた取り付け開口に埋め込んで取り付ける埋込型のLED照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、LEDを用いた照明器具では高出力化(大光量化)が求められており、照明器具の器具発光面が大型化し、LEDを実装するLED基板が大きくなり、LED基板からの発熱量が大きくなっている。LED基板からの発熱量の増大に伴いヒートシンクも大きくなり、照明器具全体の重量が増大している。
【0003】
従来では、バネの復元力を用いた2個ないし3個の取付装置(例えば特許文献1の取付装置3)で、照明器具を天井に取り付けていた。しかし、ヒートシンクの大型化に伴い照明器具の重量が増大すると、2、3個の取付装置で照明装置を固定することが困難となる。また、特許文献2の本体取付バネでは、照明器具の重量をささえられない場合もある。
【0004】
照明器具の重量を支えることが可能なバネとした場合、バネの復元力が強くなりすぎてしまい、天井を破損する可能性もある。
【0005】
照明器具の重量を支持しつつ天井破損の防止を図るため、例えば特許文献3で使用しているような板ばねを4個以上用いることも考えられるが、各板ばねの取り付けの際、各板バネを同時に抑えることが困難であり、作業性も悪化する。
【0006】
また、特許文献1の取付装置を3個以上とした場合は作業性は良好であるが、バネASSYの幅が太いため、埋め込み穴径の小さな器具には対応ができなくなってしまう。
【0007】
また、照明装置の取付装置は、地震等により振動が発生した場合に、照明装置を固定、保持することが要求される。取付装置として板バネを用いる場合は、左右方向(水平方向)、及び上下方向の動きを規制することはできるが、さまざまな板厚の天井板に対応することが困難である。つまり、板厚の薄い天井板に対しては、側面でみて板バネ形状が水平気味になるので上下方向の支持力は大きいが、板厚の厚い天井板の場合は側面で見て板バネ形状が垂直側に近づくので上下方向の支持力は小さくなる。すなわち、板バネの場合には上下方向の支持に課題がある。
【0008】
特許文献1のような取付装置の場合は、上下方向の動きは規制するが、横方向の動きが規制できない。その為、埋め込み穴(天井穴)との間にクリアランスがあると、照明器具自体が水平方向に動いてしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平9−129023号公報
【特許文献2】特開2010−182432号公報
【特許文献3】特開2006−40773号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
この発明は、天井に取り付けられる埋込型の照明装置の、上下方向及び水平方向の動きを拘束する構成の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明の埋込型の照明器具は、
一方の面である上面と他方の面である下面とを有し略水平に配置される取付板にあけられた取付開口穴に、前記下面側から埋め込まれることで前記取付板に取り付けられる埋込型の照明器具において、
複数の光源が実装される実装面と、前記実装面の反対側の面となる裏面とを有する光源実装基板と、
前記光源実装基板に実装された前記複数の光源を収納して前記複数の光源の発した光を出射する光出口が形成されると共に、内側が反射面に形成され、かつ、前記光出口の周縁に設けられた外向フランジ部であって前記照明器具が前記取付開口穴に埋め込まれると、前記取付開口穴の周縁周辺の前記下面に対向する外向フランジ部を有する反射部と、
前記光出口の周に沿うように前記反射部に取り付けられる複数の第1支持具と、
前記光出口の周に沿うように前記反射部に取り付けられる弾性体である複数の第2支持具と
を備え、
前記複数の第1支持具は、
前記照明器具が前記取付開口穴に埋め込まれると、前記取付板の前記上面を、略鉛直方向に押圧することで前記照明器具を支持し、
前記複数の第2支持具は、
前記照明器具が前記取付開口穴に埋め込まれると、前記取付開口穴の前記上面側の周縁を、前記略鉛直方向と略水平方向との成分に分解可能な斜め方向に前記弾性体の復元力に基づく押圧力によって押圧することで前記照明器具を支持することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
この発明により、天井に取り付けられる埋込型の照明装置に対して、上下方向及び水平方向の動きを、簡易な構成で拘束することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施の形態1における照明器具600の斜視図。
【図2】実施の形態1における照明器具600の分解斜視図。
【図3】実施の形態1における放熱部610の組み付け状態を示す図。
【図4】実施の形態1における放熱部610が反射部670(ヒートシンク固定部673)に取り付けられた状態を示す図。
【図5】実施の形態1における板バネ671及び止め具672の取り付け概要を示す図。
【図6】実施の形態1における板バネ671、止め具672によって、天井板680に対して照明器具600の移動が拘束される状態を示す図。
【図7】実施の形態1における照明器具600を天井板680に設けられた取付開口穴681に取り付ける過程を示す図。
【図8】実施の形態1における照明器具600の取り付け前の(a)上面図、(b)A−A断面図、(c)C方向矢視図。
【図9】実施の形態1における照明器具600の取り付け後の(a)上面図、(b)A−A断面図、(c)C方向矢視図。
【図10】実施の形態1における照明器具本体501の斜視図。
【図11】実施の形態1におけるV型バネ505をアーム504に組み付けた状態を示す斜視図。
【図12】実施の形態1におけるアーム504にV型バネ505を組み付けた状態の側面図。
【図13】実施の形態1における押え片506aの下端部と照明器具本体501の外向フランジ部502によって天井板510を挟持する状態を示す図。
【図14】実施の形態1における照明器具の斜視図。
【図15】図14の照明器具を天井に固定するための板バネの配置説明図。
【図16】実施の形態1における照明器具の天井への取り付け方法を示す図。
【図17】実施の形態1における照明器具800の外観を示す斜視図及び分解斜視図。
【図18】実施の形態1における本体部100をさらに分解した斜視図。
【図19】実施の形態1における本体取り付けバネ180を示す正視図。
【図20】実施の形態1における機器本体110を示す正面図及びB−B端面図(一部)及び破断背面図。
【図21】実施の形態1における板バネ671,止め具672の取り付けバリエーションを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
実施の形態1.
図1は、本実施の形態1に係る照明器具600の斜視図である。図2は、照明器具600の分解斜視図である。図3は、放熱部610の組み付け状態を示す図である。図4は、放熱部610が反射部670(ヒートシンク固定部673)に取り付けられた状態を示す。図5は、反射部670への、板バネ671(第2支持具)及び止め具672(第1支持具)の取り付けの概要を示す図である。
【0015】
(照明器具600の特徴)
照明器具600は、例えば天井板(取付板)などの取付開口穴に埋め込まれた状態で使用される天井埋込型の照明器具である。実施の形態1に係る照明器具600の特徴は、以下の点である。照明器具600は、図3、あるいは図5(b)、(c)に示すように、3個の「板バネ671」が化粧枠676の周に沿って、照明器具600が天井板に設置されたときの化粧枠天井側に取り付けられる。また、3個の「止め具672」が化粧枠676の周に沿って、化粧枠天井側に取り付けられる。図3に示すように、それぞれの止め具672は、板バネ671どうしの間に配置される。
図6は、板バネ671、止め具672によって、天井板680に対して照明器具600の移動が拘束される状態を示す図である。照明器具600は、上面680Aと下面680Bとを有し略水平に配置される天井板680(取付板)にあけられた取付開口穴681に、下面680B側から埋め込まれることで天井板680に取り付けられる。図6(a)は、照明器具600が天井板680に取り付けられた場合の断面図であり、図6(a)の断面A−Aに相当する。図6(b)は、図6(a)のX方向矢視を模式的に描いた図であり、板バネ671、止め具672は、X方向矢視で、化粧枠676の周に略60度間隔で配置される。図6(a)に示すように、止め具672の押え金具672−6は、化粧枠676の外向フランジ部676−1と共に照明器具600の天井板680に対する上下方向(白抜き矢印)の移動を拘束する。また、板バネ671は、天井板680に開けられた取付開口穴681の天井板680の上面680A側の縁をY方向に押圧することで照明器具600の水平方向の移動を拘束(白抜き矢印方)する。すなわち板バネ671は、X方向矢視(図6(b))において、化粧枠676の円形状の周に沿って略120度おきに配置されており、Y1方向に取付開口穴681の縁を押圧するので照明器具600の水平方向の移動が拘束される。板バネ671、止め具672による照明器具600の移動拘束の詳細は、後述する。このように照明器具600の特徴は、照明器具600が3個の板バネ671と、板バネ671どうしの間に配置された3個の止め具672とを備え、照明器具600は止め具672と外向フランジ部676−1とで上下方向の動きが規制され、板バネ671で水平方向の動きが規制されることで、耐振動性能が向上する点にある。このように、3つの止め具672は、照明器具600が取付開口穴681に埋め込まれると、天井板680の上面680Aを、略鉛直方向(図6(a)のZ方向)に押圧することで照明器具600を支持する。また3つの板バネ671は、照明器具600が取付開口穴681に埋め込まれると、取付開口穴681の上面680A側の周縁を、略鉛直方向と略水平方向との成分に分解可能な斜め方向(図6(a)のY方向)にバネ復元力に基づく押圧力によって押圧することで照明器具600を支持する。
【0016】
次に図2を参照して、照明器具600の構成を説明する。照明器具600は、放熱部610、絶縁シート620、LED基板630、押さえ枠650、カバー660、反射部670を備える。
【0017】
(放熱部610)
放熱部610は、LED基板630が取り付けられる基板取付面611(平坦部)を備える。放熱部610は、基板取付面611に取り付けられたLED基板630に実装されたLED640から発せられる熱を放熱するヒートシンクである。基板取付面611の裏側には、LED640から発せられる熱を効率よく放熱するための放熱フィン619が設けられる。放熱部610は、熱を伝達する金属、例えば、アルミニウムにより形成される。
【0018】
(絶縁シート620)
絶縁シート620は、LED基板630と基板取付面611との間に配置される。絶縁シート620は、LED基板630の断面から露出する金属部分と基板取付面611との間を電気的に絶縁する。絶縁シート620は、LED基板630の周縁の断面から露出する金属部分と基板取付面611との絶縁距離を確保するため、LED基板630よりも大きく形成される。
【0019】
(LED基板630)
LED基板630は、光源である複数のLED640が実装される実装面634と、実装面634の裏側の面である非実装面635(裏面)とを有する。LED基板630は、例えば、アルミニウム基板である。
【0020】
(基板取付ねじ631)
基板取付ねじ631(固定ねじ)は、LED基板630の所定の箇所を基板取付面611に固定するためのねじである。基板取付ねじ631は、経年劣化が少なく信頼性の高い金属性のねじである。ブッシュ632は、絶縁材により形成されており、基板取付ねじ631の一部を覆って、基板取付ねじ631の絶縁を確保するための部材である。
【0021】
(LED基板630)
LED基板630は、ブッシュ632と基板取付ねじ631のねじ軸部631b(ねじ棒)とを貫通させる基板貫通孔633を中央部に有する。本実施の形態では、LED基板630の中央部分を基板取付面611に固定する場合について説明するが、基板取付面611に固定するLED基板630上の位置は、中央部分以外の箇所でもよい。基板取付面611に固定するLED基板630上の位置に関わらず、本実施の形態を適用することができる。
【0022】
LED基板630は、実装面634にLED640(光源)を実装する。LED基板630の非実装面635は、基板取付面611と面接触するように取り付けられる。本実施の形態では、非実装面635は、絶縁シート620を介して放熱部610の基板取付面611に当接(面接触)する。
【0023】
(絶縁シート620)
上述したように、絶縁シート620は、LED基板630の周縁の断面から露出する金属部分と基板取付面611との絶縁距離を確保するために用いられる。しかし、例えば、LED基板630の周縁の断面から金属部分が露出しないようにコーティングする等の加工を施すことにより、絶縁シート620を省くことができる場合がある。以下の説明において、「非実装面635と基板取付面611とが面接触する」、「非実装面635と基板取付面611とが当接する」、「非実装面635と基板取付面611とが密着する」等と記載した場合には、絶縁シート620あるいはコーティング等により、LED基板630と基板取付面611との間が絶縁されていることが前提である。
【0024】
LED基板630の非実装面635と放熱部610の基板取付面611とは、面接触するとともに熱接続している。基板取付面611は、LED基板630に実装されているLED640から発生する熱を受け取る。そして、基板取付面611で受け取られた熱は、放熱部610の放熱フィン619から放熱される。このとき、基板取付面611がLED640から発生する熱を効率よく受け取ることができるように、基板取付面611とLED基板630の非実装面635とはできるだけ密着させることが好ましい。
【0025】
(押さえ枠650)
押さえ枠650は、開口を有するリング状(環状)の枠である。押さえ枠650は、LED基板630の実装面634の周縁近傍を基板取付面611方向に押し付けながら基板取付面611に固定される。これにより、LED基板630の周縁近傍を基板取付面611に固定させる。押さえ枠650は、開口部分にLED640が位置するようにLED640の周囲に配置される。
【0026】
(カバー660)
カバー660は、押さえ枠650の開口に位置するLED640を覆うように基板取付面611に固定される。
【0027】
(反射部670)
反射部670は、光の照射方向に広がって形成される反射板675と、光の照射方向の反対側に形成された開口(底部開口674)と、反射板675の光の照射方向側の端部に設けられた化粧枠676とを備える。また、反射部670は、放熱部610を固定するヒートシンク固定部673と、照明器具600を天井面等に設けられた取り付け孔に固定するための板バネ671及び止め具672とを備える。図1、図2に示すように、反射部670は、LED基板630に実装された複数のLED640を収納してLED640の発した光を出射する光出口677(底部開口674に対して反対側の開口)が形成されている。反射部670は、内側が反射面(反射板675)に形成され、かつ、光出口677の周縁に設けられた外向フランジ部676−1であって照明器具600が取付開口穴681(図6、図7)に埋め込まれると、取付開口穴681の周縁周辺の下面680B(図6)に対向する外向フランジ部676−1を有する。止め具672(第1支持具)は、後述の図8(a)などに示すように、光出口677の周に沿うように反射部670に取り付けられ、同様に、板バネ671も光出口677の周に沿うように反射部670に取り付けられる。
【0028】
図7は、照明器具600を天井板680に設けられた取付開口穴681に取り付ける過程を示す図である。(a)は取付前、(b)は取付中、(c)は取付後を示す。「(a)取付前」から「(b)取付中」では、板バネ671、止め具672を取付開口穴681を通すようにして、照明器具600を上方に持ち上げる。
図8は、取付前における(a)上面図、(b)A−A断面図、(c)C方向矢視を示す
図9は、取付後における(a)上面図、(b)A−A断面図、(c)C方向矢視を示す。図8(c)では上方に位置する押え金具672−6が、図9(c)では下方に位置している。板バネ671、止め具672の動作については、以下に、個別に後述する。
【0029】
(止め具672の動作)
図10〜図13を参照して、止め具672(押え金具672−6)の動作を説明する。止め具672は様々なタイプが考えられるが、以下では、止め具672を、照明器具本体501に配置される取付装置503として説明する。すなわち、図1〜図9で述べた止め具672は、取付装置503の構成とする。
【0030】
図10は、照明器具本体501の斜視図である。図10において、照明器具本体501は、下端外周縁部に外向フランジ部502が設けられている。照明器具本体501は、照明器具本体501を天井に取り付けるための取付装置503を備える。取付装置503は照明器具本体501を挟んで対称位置に各1個設置されている。取付装置503は一端が照明器具本体501の外向フランジ部502に固定されたアーム504、交差部がアーム504の下端部に取り付けられたV型バネ505、アーム504とV型バネ505に係合してアーム504に沿って上下方向移動可能に取り付けられた押え金具506および押え金具506に係合して押え金具506を下方へ引き落す引き落し金具507から構成されている。
【0031】
アーム504は矩形状に形成され、その縁部504aが内側(アーム504を照明器具本体501に取り付けたときにおける照明器具本体501側)に折り曲げられ断面コ字状に形成されている。アーム504の両側の縁部504aにはスリット504bが設けられている。なお、このアーム504は外向フランジ部502に対してほぼ直角に立設されている。
【0032】
次に、押え金具506の形状について説明する。押え金具506は矩形状の押え片506a、押え片506aの上部両側に形成されたガイド片506b、両ガイド片506bのすぐ下方に設けられV型バネ505と係合する係合片506c、押え片506aの下部両側に形成された押圧片506dを備えている。ガイド片506bはアーム504に設けられた両縁部504aに係合して、押え金具506をアーム504の上下方向移動可能に案内する。
【0033】
次に、引き落し金具507の形状について説明する。引き落し金具507は線材をU字状に曲げ加工して形成されたものであり、腕部507aと両方の腕部507aを接続する接続部507bとから構成されている。そして、腕部507aの先端部は内方に折り曲げられさらに先端側が照明器具本体501側へ折り曲げられている。また、両腕部507aの基端部は照明器具本体501から離れる方向へ折り曲げられ、外方へ突出している。
【0034】
図11はV型バネ505をアーム504に組み付けた状態を示す斜視図である。図11に基づいてV型バネ505の形状について説明する。V型バネ505は1本のバネ線材を曲げ加工して形成され、両脚部505a、両脚部505aの交点部にコイル状に形成されたコイル状部505b及び両脚部505aの先端に形成されたリング部505cから構成されている。そして、両脚部505aの中央より若干先端寄りの位置が外方向(アーム504を照明器具本体501に取り付けたときにおける照明器具本体501から離れる方向)でかつ両脚部505aが近付く方向に折り曲げられ、先端折曲部505eが形成されている。
【0035】
図12はアーム504にV型バネ505を組み付けた状態の側面図である。この図から分かるように、V型バネ505の両脚部505aとアーム504は所定の角度αを成して装着されている。
【0036】
次に、再び図10に基づいて、上記のように構成されたアーム504、V型バネ505、押え金具506及び引き落し金具507の組み付け状態について説明する。図10に示したように、V型バネ505の両脚部505aは押し狭められた状態でその先端折曲部505eが押え金具506のガイド片506bに外方から把持されている。このときV型バネ505はその両側の先端折曲部505eがほぼ平行になると共に外方に向かって延出した形状になる。そのため押え片506aはアーム504側に密着した状態でアーム504の上部に保持される。また、引き落し金具507はその先端部がアーム504のスリット504bに挿入されると共に、押え金具506のガイド片506b上部に係合した状態でアーム504に取り付けられている。このとき、V型バネ505はその弾性により広がろうとしているが、先端折曲部505eがほぼ平行であるため、押え金具506に下向きの力を及ぼすことはない。この図10に示す状態が照明器具本体501を天井に取り付ける前のセッティング状態である。
【0037】
次に、図10のようにセッティングされた照明器具本体501を天井に取り付ける方法及びその際の取付装置503の動作を説明する。セッティング状態にある照明器具本体501を天井に設けた取付開口穴513に挿入する。そして、引き落し金具507の接続部507bが天井下面512に当接し、さらに照明器具本体501を押し上げると接続部507bが天井下面512により押し下げられる。接続部507bが押し下げられると、押え金具506のガイド片506b上部に係合している引き落し金具507の先端部が押え金具506を引き下げることになる。
【0038】
押え金具506が引き下げられ、押え金具506の係合片506cがV型バネ505の先端折曲部505eを通過してV形状部に至ると、V型バネ505の広がろうとする力が押え金具506の係合片506cに下方に向かう力を及ぼすことになる。また、このV形状部ではV型バネ505の両脚部505aがアーム504と所定の角度αを成しているので、両脚部505aに係合している押え金具506の係合片506cはその両端部の上部側がV型バネ505によって内方(照明器具本体501側方向)に押されることになる。その結果、押え金具506の押え片506aの下端部がアーム504から浮き上がることになる。すなわち、押え金具506の係合片506cがV型バネ505のV形状部に至った状態では、V型バネ505は押え片506aの下端部をアーム504から離れる方向に付勢すると共に押え金具506を下方へ移動させる方向にも付勢することになる。
【0039】
押え金具506はV型バネ505の付勢力によって押え片506aの下端部をアーム504から浮き上がらせた状態でアーム504に沿って降下して押え片506aの下端部が天井の上面511に当接すると、図13に示すように押え片506aの下端部と照明器具本体501の外向フランジ部502によって天井板510を挟持することになり、照明器具本体501は天井に取り付けられる。
【0040】
(天井面から取り外す場合)
次に、上記のようにして天井面に取り付けられた照明器具の取り外し方法及びその際の取付装置503の動作を説明する。照明器具を取り外すには、照明器具本体501を下方へ引き下げる。このとき、押え片506aの下端部は天井の上面511に当接した状態で押え金具506がアーム504上を上方に移動する。そして、押え金具506の係合片506cがV型バネ505の両脚部505aにおける折曲部を通過し、先端折曲部505eに至ると押え金具506のC型部が先端折曲部505eに沿って外方に移動し、図10に示したように押え片506aはアーム504側に密着する。このような状態になることによって、埋込式照明器具を取付開口穴513から下方に抜き取ることができる。
【0041】
図14〜図16を参照して、図1〜図9で述べた板バネ671の動作を説明する。以下では、板バネ671を、第1板バネ403aと想定して説明する。すなわち、図1〜図9で述べた板バネ671は、第1板バネ403aの構成とする。図14は、照明器具の斜視図である。図15は、図14の照明器具を天井に固定するための板バネの配置説明図である。この照明器具は、ランプを内部に収納してランプの光を光出口401aから射出するランプケース401(以下、ケース401という)、ケース401の光出口401aの外周を構成して、取り付けようとする天井の開口周縁と係合する天井取付部材とを備える。ケース401は内側が光反射面として構成された筒状体であり、その外形は光出口401aを形成している平面と直交するケース401の中心軸に対して基本的に対称となっている。なお、ケース401は筒状に限らず、回転楕円状、半球状等他の形状であってもよい。
【0042】
天井取付部材は、ケース401の光出口401aの先端部外周に配置された枠(または枠体)402と、この枠402からケース401の側面(外側壁面)401b方向へ斜めに延びて天井の開口部周縁と弾性力を利用して係合可能な板バネとからなる。なお、ケース401と枠402とは一体成形で形成してもよい。
【0043】
板バネは、一対の第1板バネ403a,403aと、第1板バネ403aより長さの短い一対の第2板バネ403b,403bとからなる。第1板バネ403a,403aはケース401を挟んで対向配置され、第2板バネ403b,403bは第1板バネ403a,403aが対向する方向とほぼ直交する方向にケース401を挟んで対向配置されている。すなわち、ケース401の光出口401a方向から見た各板バネの配置は図15に示すようになっている。第2板バネ403bの長さは、第1板バネ403aより少なくとも天井の板厚分は短くするものとし、第1板バネ403aの1/2程度とするのが好ましく、第1板バネ403aの1/3程度とするのがより好ましい。このような板バネの長さの相違により、照明器具を天井に取り付ける際の操作性(または取扱性)が向上するからである。なお、ここでは第1板バネ403aおよび第2板バネ403bの枠402側を根本部403ar,403brとし、第1板バネ403aおよび第2板バネ403bの開放端側を先端部403at,403btとし、第1板バネ403aの先端部403atには天井の開口部周縁に引掛り可能な折曲部を設けている。
【0044】
また、ケース401の光出口401aと反対側の上部からは天板405がケース401の中心軸方向と略直交する方向に延ばされ、その天板405には、ランプの電流制御を行う安定器406や電源端子台407が搭載されている。
【0045】
図16は、照明器具の天井への取付方法を示す図である。図16を参照して、照明器具の天井への取付方法を説明する。まず、第1板バネ403a,403aを操作しながら安定器406およびケース401を第1板バネ403a,403aとともに天井408の開口部409から天井裏へ挿入し、第1板バネ403a,403aの先端部(折曲部)403atを天井408の開口部409周縁に掛止させて、照明器具を仮止めする(図16(a))。続いて、第2板バネ403b,403bを操作しながら安定器406およびケース401を第1板バネ403a,403aおよび第2板バネ403b,403bとともに天井408の開口部409内へ更に挿入し、枠402が天井408の開口部409周縁に届くまで押し込む(図16(b))。こうすることで、第1板バネ403a,403aおよび第2板バネ403b,403bの根本部403ar,403brがその弾性力により開口部409周縁の内面を押し広げるよう開口部409の周縁に当たって係合し、照明器具が天井408に固定される(図16(c))。
【0046】
次に、図17〜図20を参照して、止め具672の別のバリエーション(本体取り付けバネ180)を説明する。以下の図17〜図20の説明では、止め具672の代替となる本体取り付けバネ180、及び本体取り付けバネ180に関係する本体取付け開口部113、取り付けバネ当接部114等の要素についてのみ説明する。図10〜図13では、V型バネ505によって下方に付勢される押え金具506を有する取付装置503を説明した。以下の図17〜図20では、止め具672に相当する要素として、本体取り付けバネ180を説明する。以下では本体取り付けバネ180が照明器具800に使用される場合を説明するが、図1〜図9で説明した照明器具600に本体取り付けバネ180が使用される場合、照明器具600は、以下に説明する機器本体110(図18)、本体取付け開口部113(図18)、取り付けバネ当接部114(図18)等の要素を有することになる。本体取り付けバネ180は、機器本体110を取り付け面に固定するための部品である。後述のように、二つの本体取り付けバネ180は、機器本体110の外側の互いに対称な位置に取り付けられる。
【0047】
図17は、本体取り付けバネ180が使用される照明器具800の外観を示す斜視図及び分解斜視図である。照明器具800は、本体部100と枠部200とに分解でき、本体部100は、機器本体110と電池ケース120とからなる。本体取り付けバネ180は、機器本体110を天井などの取り付け面に固定するための部分である。図17に示すように、二つの本体取り付けバネ180は、機器本体110の外側の互いに対称な位置に取り付けられる。
【0048】
図18は、本体部100をさらに分解した斜視図である。図18では、2つの本体取り付けバネ180と、本体取付け開口部113との関係を示した。本体取付け開口部113(側面開口部)は、本体取り付けバネ180を取り付けるために、二つの枠取付け開口部111に挟まれた間の位置に設けられた穴であり、略T字状の形状である。本体取付け開口部113は、Z方向に細長く、一番上の端の部分が、幅が広くなっていて、ここから本体取り付けバネ180を挿入することにより、本体取り付けバネ180を取り付ける。取り付けバネ当接部114は、機器本体110の円筒状側面の一部を潰して平らにしたような形状であり、本体取付け開口部113の周囲の本体取り付けバネ180と当接する部分に設けられている。
【0049】
本体取り付けバネ180は、一部が機器本体110内に収納され、残りの部分が本体取付け開口部113から機器本体110の外に出る位置に取り付けられる。
【0050】
図19は、本体取り付けバネ180を示す正視図である。本体取り付けバネ180(取付具)は、一枚の板を折り曲げた形状の板バネであり、中央接続部181、下端舌部182、二つの開口挿入部183、二つの押さえ爪部184、二つの裏面押さえ部185、二つの翼部186、二つの上端舌部187を有する。本体取り付けバネ180は、上端舌部187を除き、左右ほぼ対称な形状である。中央接続部181は、概ね長方形状である。下端舌部182は、中央接続部181の下側の辺から先を奥の方へ約90度折り曲げた形をしている。開口挿入部183は、中央接続部181の左右の辺から先を下端舌部182と同じ奥の方へ約90度折り曲げた形をしている。二つの開口挿入部183は、互いにほぼ平行である。押さえ爪部184は、開口挿入部183の斜め上側の辺から先を外の方へ約90度折り曲げた形であり、牛の角のような形状である。二つの押さえ爪部184は、ほぼ同じ平面上にある。裏面押さえ部185は、開口挿入部183の奥側の辺から先を外の方へ約90度折り曲げた形をしている。二つの裏面押さえ部185は、ほぼ同じ平面上にある。翼部186は、裏面押さえ部185の外側の辺から先を奥の方へ約90度折り曲げた形をしている。二つの翼部186は、互いにほぼ平行である。上端舌部187は、翼部186の上側の辺から先を内の方へ約90度折り曲げた形をしている。二つの上端舌部187は、互いにほぼ平行であり、先端が重なっている。
【0051】
図20は、機器本体110を示す正面図及びB−B端面図(一部)及び破断背面図である。本体取付け開口部113の上端付近の幅Wは、本体取り付けバネ180の二つの翼部186間の長さより長く、本体取り付けバネ180の先端を、機器本体110の外から内へ挿入することができる。本体取付け開口部113の下側の幅Wは、本体取り付けバネ180の中央接続部181の幅よりもわずかに狭く、本体取り付けバネ180の先端を挿入すると、本体取り付けバネ180がわずかに変形し、板バネの応力で本体取り付けバネ180が固定される。本体取り付けバネ180の開口挿入部183の下端と、機器本体110の鍔部115との間に取り付け面を挟み込む位置に、本体取り付けバネ180を固定する。このとき、本体取り付けバネ180の押さえ爪部184と、裏面押さえ部185との間に、機器本体110の取り付けバネ当接部114が挟まれている。機器本体110が下方向に動こうとすると、押さえ爪部184を下に曲げようとする力が働くので、押さえ爪部184と裏面押さえ部185との間隔が狭くなり、取り付けバネ当接部114を強く挟み込み、機器本体110が動くのを防ぐ。
【0052】
本体取り付けバネ180が取り付けられる位置は、枠取付けバネ210の輪部211の上、二つの腕部212の間の位置になる。したがって、本体取り付けバネ180と枠取付けバネ210とは干渉することはない。
【0053】
以上、図3、図8等に示したように、照明器具600が、3つの板バネ671、及び3つの止め具672を備える構成を説明した。板バネ671、止め具672の個数としては各3個が好ましいが、限定するものではない。各個数は、照明器具の大きさや重量等によって適宜、変更することができる。
図21は、照明器具600の上面図を単純化した図であるが、(a)のように各2個(90度おき)でもよいし、(b)のように各4個(45度おき)でもよい。
【0054】
実施の形態1の照明器具600では、3組の止め具672と、3組の板バネ671とを、化粧枠676の周囲に上面矢視でみて交互に60度間隔で配置する構成とした。この構成によって、照明器具600は取り付け作業性が良好であり、また天井面に確実に取り付けることが可能となる。また、照明器具600の前記構成によって、放熱部610の大型化に伴い照明器具600の重量が増大した場合にも、上下方向及び水平方向の動きを、簡易な構成で拘束することができる。照明器具600の前記構成は、放熱部610に起因する重量増加に限らず、電源装置に起因する重量増加など、あらゆる重量増加に対して適用できる。
【符号の説明】
【0055】
110 機器本体、111 枠取付け開口部、113 本体取付け開口部、114 取り付けバネ当接部、115 鍔部、171 電池収納部、180 本体取り付けバネ、181 接続部、182 下端舌部、183 開口挿入部、184 押さえ爪部、185 裏面押さえ部、186 翼部、187 上端舌部、401 ケース、401a 光出口、401b 側面、402 枠、403a 第1板バネ、403b 第2板バネ、403ar,403br 根本部、403at,403bt 先端部、405 天板、406 安定器、407 電源端子台、408 天井、409 開口部、501 照明器具本体、502 外向フランジ部、503 取付装置、504 アーム、504a 縁部、504b スリット、505 V型バネ、505a 両脚部、505b コイル状部、505c リング部、505e 先端折曲部、506 押え金具、506a 押え片、506b ガイド片、506c 係合片、506d 押圧片、507 引き落し金具、507a 腕部、507b 接続部、510 天井板、511 天井の上面、512 天井下面、513 取付開口穴、600 照明器具、610 放熱部、611 基板取付面、619 フィン、620 絶縁シート、630 LED基板、631 基板取付ねじ、632 ブッシュ、633 基板貫通孔、634 実装面、635 非実装面、640 LED、650 押さえ枠、660 カバー、670 反射部、671 板バネ、672 止め具、672−6 押え金具、673 ヒートシンク固定部、674 底部開口、675 反射板、676 化粧枠、676−1 外向フランジ部、677 光出口、680 天井板、680A 上面、680B 下面、681 取付開口穴。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の面である上面と他方の面である下面とを有し略水平に配置される取付板にあけられた取付開口穴に、前記下面側から埋め込まれることで前記取付板に取り付けられる埋込型の照明器具において、
複数の光源が実装される実装面と、前記実装面の反対側の面となる裏面とを有する光源実装基板と、
前記光源実装基板に実装された前記複数の光源を収納して前記複数の光源の発した光を出射する光出口が形成されると共に、内側が反射面に形成され、かつ、前記光出口の周縁に設けられた外向フランジ部であって前記照明器具が前記取付開口穴に埋め込まれると、前記取付開口穴の周縁周辺の前記下面に対向する外向フランジ部を有する反射部と、
前記光出口の周に沿うように前記反射部に取り付けられる複数の第1支持具と、
前記光出口の周に沿うように前記反射部に取り付けられる弾性体である複数の第2支持具と
を備え、
前記複数の第1支持具は、
前記照明器具が前記取付開口穴に埋め込まれると、前記取付板の前記上面を、略鉛直方向に押圧することで前記照明器具を支持し、
前記複数の第2支持具は、
前記照明器具が前記取付開口穴に埋め込まれると、前記取付開口穴の前記上面側の周縁を、前記略鉛直方向と略水平方向との成分に分解可能な斜め方向に前記弾性体の復元力に基づく押圧力によって押圧することで前記照明器具を支持することを特徴とする埋込型の照明器具。
【請求項2】
前記埋込型の照明器具は、さらに、
前記光源実装基板の前記裏面側を受けることで前記光源実装基板が取り付けられる平坦部を有し、前記複数の光源の発光に伴って前記光源実装基板に発生した熱を前記平坦部から吸収して放熱する放熱部を備えたことを特徴とする請求項2記載の埋込型の照明器具。
【請求項3】
前記複数の第1支持具と、前記複数の第2支持具とは、
前記反射部に同数が取り付けられ、
前記第2支持具は、
前記反射部において、前記第1支持具どうしの間の位置に取り付けられることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の埋込型の照明器具。
【請求項4】
前記複数の第1支持具と、前記複数の第2支持具とは、
前記反射部に3個ずつ取り付けられることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の埋込型の照明器具。
【請求項5】
前記複数の第2支持具は、いずれも、
板ばねであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の埋込型の照明器具。
【請求項6】
前記光源実装基板に実装される前記複数の光源は、
LEDであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の埋込型の照明器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2013−54977(P2013−54977A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−193488(P2011−193488)
【出願日】平成23年9月6日(2011.9.6)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【出願人】(390014546)三菱電機照明株式会社 (585)
【Fターム(参考)】