説明

埋込型超小型刺激器

電解コンデンサ超小型刺激器を提供する。本発明の超小型刺激器は、生体内に埋込まれると、体液をその電解質として用いる電解コンデンサとして動作するように構成される。また、本発明の超小型刺激器を含む方法およびシステム、ならびに様々な異なる用途における該デバイスおよびシステムの使用方法も提供する。本発明のシステムは、例えば、標的部位を刺激するためのシステムであり得る。本発明の方法は例えば、神経性症状の対象を治療する方法であり得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願および相互参照
【0002】
本特許出願は、2008年11月13日出願の米国仮出願第61/114,437号および2008年11月18日出願の61/115,887号の利益を主張し、その全体の開示内容が、参照により本明細書に援用される。
【0003】
本発明は、小型の電子デバイスに関し、より詳細には、標的部位に電気的な刺激を与える密閉されたデバイスに関する。
【背景技術】
【0004】
神経刺激器は、慢性疼痛、振戦、パーキンソン病、癲癇、失禁、または胃不全麻痺等の様々な症状または状態を治療するために患者に神経刺激療法を提供するために使用される。埋込型刺激器は、電極を含む埋め込み可能な導線を通じて電気パルスの形で電気刺激療法を提供できる。上記の症状または状態を治療するために、この装置で治療しようとする特定の状態によって、脊柱の硬膜外腔もしくは髄腔、および脳周辺、または患者の他の臓器もしくは組織の中の神経に沿って、埋め込み可能な導線を埋め込むことができる。
【0005】
埋め込み可能な導線に関して、導体、電極および刺激器等のいくつかの要素を組み合わせて導線体を作ることができる。導線は、導線体の遠位端から近位端までの長さに亘って伸びる1つまたは複数の導体を含んでいてもよい。導体は、導線の遠位端の1つまたは複数の電極を近位端の1つまたは複数のコネクタに電気的に接続する。電極は組織または臓器との電気的接続点または刺激点を形成するように設計されている。導線コネクタは(端子、コンタクト、またはコンタクト電極と呼ばれることもある)は導線を埋込型パルス発生器もしくはRF受信器(刺激発生源)または他の医療機器に電気的および機械的に接続するようになっている。絶縁材料は、導体間を電気的に絶縁し、外的接触から保護し、身体との適合性を確保するために、導線体を形成し、導体を囲むことができる。
【0006】
こうした導線は挿入部位で体内に埋め込まれ、挿入部位から刺激部位(電極の配置部位)に伸びてもよい。埋込部位は、パルス発生器または受信器(刺激発生源を提供している)を収容する皮下嚢状腔でもよい。埋込部位は、臀部の近くまたは体の他の任意の部分(例、胴部分)等の刺激部位から離れた位置でもよい。1つの一般的な構成は、埋込部位および挿入部位を腰背部分に位置づけ、導線を脊椎の硬膜上腔を通って、背中の中部、上背、首または脳の部分等の刺激部位に伸ばすことである。
【0007】
現在の導線の設計は、経皮導線およびパドル形導線として一般に知られているように異なる形である。パドル形導線は通常経皮導線よりも大きく方向性で、組織または部位に所望の刺激効果があるため使用されることが多い。しかしながら、現在のパドル形導線は、挿入に外科的手段が必要であるため、必要であれば外科的手段を使って除去しなければならない。
【0008】
経皮導線は、特殊な針を使用して硬膜上腔中に容易に導入するように作られている。そのため、そうした導線は通常パドル形導線よりも小さく、断面がほぼ円形である。この小型化したサイズは体内に埋め込みを容易にし、体のもっと多くの部位に埋め込みを可能にし、埋め込みの望ましくない副作用を最小限に抑える。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
電解コンデンサ超小型刺激器を提供する。本発明の超小型刺激器は、生体内に埋め込まれると、体液をその電解質として用いる電解コンデンサとして機能するように構成される。また、本発明の超小型刺激器を含む方法およびシステム、ならびに様々な異なる用途における該デバイスおよびシステムの使用方法も提供する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、本発明の第1の実施形態による超小型刺激器を示す。
【0011】
【図2】図2は、本発明の第2の実施形態による超小型刺激器を示す。
【0012】
【図3】図3は、本発明の第3の実施形態による超小型刺激器を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
電解コンデンサ超小型刺激器を提供する。本発明の超小型刺激器は、生体内に埋め込むと、体液をその電解質として用いる電解コンデンサとして機能するように構成されている。また、本発明の超小型刺激器を含む方法及びシステム、ならびに様々な異なる用途における該デバイスおよびシステムの使用方法も提供する。本発明に従った超小型刺激器は、露出した電極を含んでもよい。露出した電極は、チタンニッケル塗装などで塗装されていてもいなくてもよい、プラチナイリジウム等の白金合金を含むがこれに限定されるものではなく、任意の好都合な材料から製造できる。電極は、露出されて、標的組織に電気刺激を印加するように起動できる限り、任意の好都合な形状をしていてもよい。
【0014】
上記にまとめたように、超小型刺激器は電解コンデンサ超小型刺激器である。本発明の超小型刺激器は電解コンデンサ超小型刺激器であるので、超小型刺激器は、生体内に埋め込まれると、組織および体液がその電解質として用いられる電解コンデンサとして機能するように構成されている。そのため、埋め込みを行うと、体液が超小型刺激器のコンデンサユニットの一部として、具体的には超小型刺激器のコンデンサユニットの電解質として用いられる。
【0015】
いくつかの態様では、超小型刺激器は、密閉された集積回路構成要素、単一の静電容量プレートおよび1つの露出電極を含み、静電容量プレートおよび第2の静電容量プレートである電極が集積回路構成要素に導電的に連結する。本発明の集積回路構成要素は、電気回路構成要素および固体支持体(例、筐体構造)を含んでいる。固体支持体は小さくてもよく、例えば、幅0.5mm〜2mmを含めて0.1mm〜20mmというように0.01mm〜100mmで、長さ0.5mm〜2mmを含めて0.1mm〜20mmというように0.01mm〜100mmで、高さ0.05mm〜2mmを含めておよび0.1mm〜0.5mmを含めて0.01mm〜10mmの寸法を有する。固体支持体要素は、例えばチップ形状、シリンダー形状、球形状、ディスク形状などだがこれに限らない様々な異なる形状であってもよい。意図する用途、製作法などに基づき、特定の形状を選択してもよい。固体支持体を製造する材料は、特定のデバイスにより大幅に異なってもよいが、一定の態様において、固体支持体は、ケイ素等の半導体の材料から構成されている。
【0016】
本発明の超小型刺激器は、神経組織、筋肉組織などを含むがこれに限定されるものではない、様々な異なる種類の組織を刺激するように構成されていてもよい。したがて、超小型刺激器は、デバイスの形状因子または形の点から、ならびに制御装置のプログラミングの点から、刺激の用途に特化して構成されていてもよい。本発明のデバイスは神経刺激の用途専用に構成されていてもよい。このようなデバイスは神経刺激の用途に使用するのに適した様々な形をしていてもよい。以下に詳しく考察されているように、集積回路コントローラの集積回路要素および/またはデバイスの個別にアドレス可能なサテライト電極構造体等の本発明のデバイスの構成要素はまた、神経刺激プロトコルまたは筋肉組織刺激プロトコル等の、関心の対象となっている刺激プロトコル専用のプログラミング(所与のタスクを行うためにプロセッサにより実行される命令の集合)をも含んでもよい。デバイスの一部でもよいプログラミングは、所与のタスクのための命令集合全部、またはデバイスとは異なる構成要素と関連する他の命令と連動して用いられる部分的な命令集合を含んでいてもよく、こうした追加の命令は、デバイスの動作と関連するある時点(例えばデバイスが関心の対象となっている標的組織を刺激する前、刺激している過程、または刺激した後)でデバイスが通信する体外の制御ユニットに存在してもよい。本発明の超小型刺激器は、使用目的に応じて異なってもよい十分な電気刺激を印加するように構成されている。いくつかの態様では、超小型刺激器は、0〜5V等、および0〜1Vを含む、0〜10Vの範囲の電圧で刺激するように構成されている。
【0017】
図1を参照すると、平面超小型刺激器100の側面図が示される。超小型刺激器100は集積回路110および、誘導電源として機能するコイル120を含んでいる。これらの構成要素は密閉されている。誘導電源は、例えば無線周波数エネルギーの形態の電力信号を体外の位置から受信し、受信した信号を集積回路110に電力を供給するエネルギーに変換するように構成された構成要素である。誘導電源は任意の好都合な形であってもよい。いくつかの態様では、誘導電源はコイル120である。誘導電源に用いられるコイルは、疎巻コイルから密巻コイルまで、特定の構成次第で所望によって異なってもよい。誘導電源は、集積回路110の上のコイル120を含む任意の好都合な位置に配置してもよく、または別の実施形態では集積回路110(図示せず)の一部としてもよい。
【0018】
一実施形態では、超小型刺激器100の静電容量プレート130は、内部静電容量プレートとも呼ばれる1つの静電容量プレートを含んでいる。静電容量130は、所望に応じて平面形状または非平面形状を有してもよく、集積回路110等の、超小型刺激器100の他の構成要素に適合するように成形されてもよい。選択された部分170は静電容量プレート130の拡大図を示している。拡大図170は、薄い誘電体層180で覆われている高表面積層175を示している。
【0019】
いくつかの実施形態では、静電容量プレート130は高表面積を有する表面を含んでいる。プレートが、連続的な金属からなる最下層および層180等の高度に多孔質の最上層を有することが重要である。コンデンサプレート130は、チタンニッケル塗装等で塗装されていてもいなくてもよい、プラチナイリジウム等の白金合金を含むがこれに限定されるものではなく、任意の好都合な材料から製造できる。コンデンサプレート130は任意の好都合な形状を有してもよい。高度に多孔質の最上層は、金属表面上に小さい金属球を蒸着させ、その後蒸着した球から高度に多孔質の塗装層をつくるのに十分な温度および/または圧力の条件下にその球を置く工程を含めた、任意の好都合なプロトコルを使用して作ってもよい。いくつかの態様では、国際公開第WO/2008/101107(その開示が参照により本明細書に組み込まれる)として公開されたPCT出願第PCT/US2008/053999号に記載されたような高表面積層が用いられる。コンデンサの表面の塗装も、不規則または乱雑に起伏する上面の形を作ることによって表面積を増やす。この結果は、タンタルおよびタンタル酸化物(例、五酸化タンタル)の陰極アーク沈着によって達成することができる。タンタル酸化物はTa2O5であり、別名五酸化タンタルである。斜方晶相および六方晶相の双方が知られている。タンタル酸化物は、近紫外スペクトル領域から赤外スペクトル領域における塗装に有用な、高屈折率かつ低吸収率材料である。タンタル酸化物は温度がわずか>1470℃で分解する。タンタル酸化物は、自動車エレクトロニクス、携帯電話およびポケットベル、電子回路、薄膜構成要素ならびに高速度工具におけるコンデンサを作るのに使用される。
【0020】
層180を有する静電容量プレート130は、体内に埋め込むと、静電容量プレート130が層180によって体液から離れるように構成してもよい。そのため静電容量プレート130は単一プレートのコンデンサプレートとして構成される。コンデンサプレート130が使用目的用に正常に機能しないほど厚くない限り、層180の厚さは異なってよい。いくつかの例では、層180は、3μm以下等の平均厚さ5μm以下を有し、いくつかの例では、0.1μm以下を含む1μm以下、例えば0.05μm以下を有する。誘電体層が、0.05〜1μmを含む0.01〜3μm等の、0.01〜5μmの範囲の平均の厚さを有し、例えば0.1〜0.5μmの範囲であることが重要である。任意の好都合な誘電体層が提供されてもよく、対象の材料としては、窒化ケイ素および炭化ケイ素等の窒化物、酸化チタンおよびタンタル酸化物等の酸化物等が挙げられるが、これらに限るものではない。いくつかの態様では、静電容量プレート130の層180は、以下に詳しく記載されている密閉要素の一部である。いくつかの態様では、コンデンサプレート130は、二酸化チタン、タンタル酸化物などの遷移金属の酸化物の誘電体層で塗装された遷移金属の第1電極層である。層180は、1つまたは複数の所望の機能を提供するように構成してもよい。いくつかの態様では、層180は、コンデンサプレート130を腐食から保護するように構成されている。いくつかの態様では、層180は、直流電流が体に入るのを防ぐように構成されている。いくつかの態様では、層180は、水による絶縁破壊を防ぐことにより、より高い電圧刺激の使用を可能にする。
【0021】
引き続き図1を参照し、本発明の一態様によれば、超小型刺激器100は電気刺激を標的組織に送り出すように構成された埋込型デバイスである。以下にさらに記載するように、電気刺激の性質は大きく異なってもよい。そのため、超小型刺激器が、体内に見られる高塩濃度、高湿度環境などの生理学的環境に存在する際、機能を維持するように構成されている。本発明の教示による埋込型デバイスは、2日以上、1週間以上、4週間以上、6ヶ月以上、1年以上、5年以上等の様々な期間、これらの条件下で動作および機能性を維持するように構成されている。動作の継続時間は、以下の特許請求された発明に記載の本発明の範囲を限定しない。いくつかの態様では、埋込型デバイスは、10〜50年以上の範囲の期間を含み、5〜70年以上等の1〜80年以上の範囲の期間にわたって生理学的な部位に埋め込まれた際、機能性を維持するように構成されている。
【0022】
図1に示した一実施形態は、孔150を含めた非導電筐体構造体140を示している。筐体140は、静電容量プレート130と静電容量プレート160との間の距離を効果的に広げる。筐体140は、多数の望ましい機能性を提供するように構成してもよい非導電性要素(電気絶縁層など)である。いくつかの態様では、筐体140は、コンデンサプレート130と160との間の距離を効果的に伸ばし、結果的に刺激器のコンデンサと電極との間の距離をそれぞれ伸ばすように構成されている。筐体140は、コンデンサプレート130と160との間の距離を伸ばす役割を果たす限り、様々な異なる構成をしていてもよい。いくつかの態様では、特定の方法でエネルギーを集束させる筐体140の構造が選択される。このような集束はまた、非標的組織(換言すれば、組織の刺激が所望されない)の刺激を防ぐように構成してもよい。筐体140のような集束要素は、所望の刺激事象に必要な全体の電力を減少させるように構成してもよい。この要素は2次元または3次元の構造を有していてもよく、所望に応じて、四角、円盤、三角、卵形、不整形などの任意の好都合な形を有していてもよい。この要素の端がプレート130またはプレート160の端を越えて延伸する距離は異なってもよく、ある特定の態様では、0.05mm以上、例えば、10mm以上を含む5.0mm以上等の、1.0mm以上を含む0.1mm以上、であり、特定の態様においては、距離は100mmを超えてはならない。筐体140は、単一の材料または2つ以上の異なる種類の材料の複合材料から作られてもよい、多数の異なる材料から製造されてもよい。適切な材料の選択に際して、1つの重要な特徴は、機械的強度である。様々の態様において、筐体140は、様々な材料、材料のカテゴリ、および/または材料の組合せから製造されてもよい。いくつかの態様では、米国特許出願第12/238,345号(その開示が参照により本明細書に組み込まれる)に記載の信号増幅要素が、この要素用に使用されるように改造される。
【0023】
一実施形態では、静電容量プレート160は、超小型刺激器100が体内に埋め込まれる際に、組織と体液に直接触れるように構成されている。そのため、超小型刺激器100の静電容量プレート160は、例えば、静電容量160が単一露出電極として構成される場合、刺激要素として構成されてもよい。
【0024】
図1の超小型刺激器100を参照すると、集積回路110は多数の異なる機能ブロック、すなわちモジュールを含んでいる。いくつかの様態では、回路は少なくとも、電力抽出機能ブロック、エネルギー蓄積機能ブロック、センサ機能ブロック、通信機能ブロック、デバイス構成機能ブロック、整流機能ブロックなどの機能ブロックを含んでいる。集積回路110は、受信した高周波信号をクロック、データおよび電力に整流する、デバイスの電極を正または負のどちらかの電圧に接続し、内部静電容量プレートを正または負のどちらかの電圧に接続する、外部電源および/またはプログラミングデバイスと連絡する、情報を格納する、などのうちの1つ以上の機能を実行するように構成してもよい。集積回路110はまた、標的組織に電気刺激パルスを印加するようにコンデンサプレート130およびコンデンサプレート160の極性を反転させるなどして、標的組織に電気刺激を印加する超小型刺激器100を作動させるように構成してもよい。
【0025】
様々な態様では、集積回路110は、任意のまたは全ての機能ブロックを含んでもよく、それら全てが1つの集積回路に存在してもよい。1つの集積回路というのは、異なる所望の機能ブロックの全てを含む1つの集積回路構造体ということである。これらの構造体では、集積回路は、半導体および半導体材料の薄型基板の表面において製造された受動構成要素で構成できる小型電子回路であるモノシック集積回路でもよい。本発明のセンサもまた、基板または回路基板に接合された個々の半導体デバイスならびに受動構成要素から構成される小型電子回路である、ハイブリッドの集積回路である集積回路を含んでいてもよい。
【0026】
本発明の教示による超小型刺激器は、筐体140などの密閉構造体内に密閉された集積回路および誘導電源等の1つまたは複数の構成要素を含むことができる。密閉構造体は、少なくともデバイスの予定された耐用年数の間、超小型刺激器が機能性を維持できるように埋込環境から関心の対象となっている構成要素を密封する構造体である。埋込環境において超小型刺激器の機能性が、1日以上、1週間以上、1ヶ月以上、1年以上、5年以上、10年以上、25年以上、40年以上というように所望の期間維持される限り、密閉構造の性質は異なってもよい。密閉構造体は、集積回路および誘導電源等の超小型刺激の特定の構成要素を保護するように構成されており、したがって、生体に埋め込まれた際、保護された構成要素が長期間変わらず機能する。密閉構造体は、材料の厚い層等の少なくとも1つの障壁構造体を含むことができ、この構造は、関心の対象となっている1つまたは複数の構成要素を格納できる空洞を提供するように構成してもよい。代替として、その構造体は、その構造体によって密封される1つまたは複数の構成要素の形状に一致し、その結果、構造体およびそれによって密封された1つまたは複数の構成要素によって画定される空洞がないように構成してもよい。障壁は、関心の対象となっている1つまたは複数の分子の臨界量の通過を妨げるのに十分なものである。関心の対象となっている分子には、体に関連したイオンと共に、水分子も含まれる。通過が妨げられる臨界量は、センサの予定耐用年数にわたって密封された構成要素の機能に悪影響(腐食による等)を与える量である。
【0027】
いくつかの態様では、密閉構造は、共形無孔封止層であり、封止層は、集積回路構成要素(上述)の外面の少なくとも一部の上に存在する。いくつかの態様では、この共形無孔封止層は、集積回路構成要素部品の外面の実質的に全てに存在してもよい。代替として、この共形無孔封止層は、集積回路構成要素部品の一面のみまたは一面の一部分のみのように、集積回路のいくつかの表面のみに存在していてもよい。そのため、いくつかのセンサは、共形無孔封止層に完全に収納された集積回路を有している。他のセンサは、集積回路構成要素の上面のみが共形無孔封止層に覆われるように構成されている。
【0028】
共形無孔封止層は「薄膜」塗装でもよく、その厚さの点では、関連する集積回路構造体の全容積は著しくは増加せず、層に帰することのできる構造体の容積の増加は、1%以下を含む5%以下等の10%以下の容積である可能性がある。いくつかの態様では、封止層は、1.0μmの厚さの範囲を含む、0.3〜3.0μmの範囲等の0.1〜10.0μmの範囲の厚さを有する。
【0029】
封止層は、封止すべき構成要素上に生成できるので、プラズマ促進化学蒸着、真空蒸着、物理蒸着、スパッタリング、陰極アーク蒸着、低圧化学蒸着などのプレーナー加工プロトコルを含むがこれに限定されるものではない、多数のプロトコルのいずれかを使用することができる。
【0030】
本発明のセンサ用に用いることのできる共形無孔封止層のさらなる記載が、国際公開第WO/2007/120884のもとで公開されたPCT出願第PCT/US2007/009270号に提供されており、その開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0031】
また、密閉構造体として関心の対象となるのは、図1の筐体140のように集積回路構成要素を囲む密閉容器を画定するように構成された、少なくとも1つの導電フィードスルーおよび封止層を有する耐食のホルダである。伝導フィードスルーは、プラチナ、イリジウムなどの金属、金属および半導体の合金、窒化物、半導体またはその他何らかの好都合な材料でもよい。いくつかの態様では、耐食ホルダはケイ素またはセラミックを含んでいる。寸法は異なってもよいが、耐食ホルダは、少なくとも50μmの厚さ等の少なくとも1μmの厚さの壁を有しても良く、壁の厚さは25〜100μmを含む1〜125μmの範囲でもよい。封止層は金属でもよく、関心の対象となる金属には、プラチナおよびプラチナ合金等の貴金属およびその合金が含まれる。封止層の大きさもまた異なってもよく、いくつかの態様においては、20μmの厚さを含む2.0μmの厚さ等の0.5μm以上の厚さで、封止層の厚さは、1〜50μm等の0.5〜100μmの範囲でもよい。特定の構造体では、この構造体はさらに密閉容積に存在する絶縁材料を含んでいる。いくつかの例では、密閉容積は1pt〜1mlの範囲である。
【0032】
いくつかの態様では、体内耐食ホルダは、集積回路構成要素がホルダの一面を除く全ての壁に接するようにして、集積回路構成要素を支えるように構成された筐体140等の構造体である。例えば、ホルダ140は、側壁および底部を含んでもよく、ホルダは、一面を除く全ての面に接する容積で構成要素が支えられるようにして集積回路構成要素を収容している限り、様々な異なる構造を有することができる。したがって、ホルダの形は、所望に応じて四角、円形、卵型、長方形、または他の何らかの形でもよい。
【0033】
本発明のセンサに用いることのできる耐食ホルダのさらなる記載が、国際公開第WO/2006/069323のもとで公開されたPCT出願第PCT/US2005/046815号に提供されており、その開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0034】
筐体140は、所与の超小型刺激器の特定の設計によって多くの異なる特徴を含んでいる。例えば、筐体140は超小型刺激器100を組織に固着するように、縫合孔、かかり、または単独もしくは別の要素と併せて使用できる他の構造等の取付け要素を含んでもよい。
【0035】
筐体140はまた、様々な目的のために含まれる1つまたは複数の所望の生物活性剤用の貯蔵部としての役割をも果たしてもよい。電気絶縁体要素に組込まれていてもよい生物活性剤(要素は、組込まれた生物活性剤を放出するように構成されていてもよい)には、抗炎症薬、組織増殖阻害剤、抗菌剤、化学療法剤などが挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0036】
図2を参照すると、本発明の教示による超小型刺激用の別の構成が示されている。図2では、超小型刺激器200にペレット構造が含まれている。超小型刺激器200の密閉内部は、集積回路210およびコイル220であり、構成要素は上述した通りである。単一露出電極260およびコンデンサプレート230もまた示されている。超小型刺激器200は、小さい空間体積を占めるように小さい形状因子を有している。いくつかの態様では、超小型刺激器は、1mmを含む4mm以下等の8mm以下の容積を占める。いくつかの形態では、超小型刺激器はカプセル構造を有しており、限定された空間のコンテナに能動素子が封止されている。例えば、本発明の超小型刺激器は、米国特許第6,871,099号に記載されているコンテナ構造体を含んでもよい。
【0037】
超小型刺激器は、単独で、または他の埋込デバイスもしくは外部デバイスと協調して動作してもよい。さらに、超小型刺激器は、閉ループ方法で刺激パラメータの制御に使用できる痛みセンサを組込んでもよい。本発明の一実施形態によると、検出および刺激の手段を、単一超小型刺激器に組み込んでもよい。本発明の一実施形態よると、検出手段は検出した情報を、刺激手段を有する少なくとも1つの超小型刺激器に伝える。本発明の一実施形態によると超小型刺激器は単独で動作する。本発明の別の実施形態によると、超小型刺激器は他の超小型刺激器、他の埋込デバイス、または患者の体外の他のデバイスと協調して動作する。例えば、超小型刺激器は、別の埋込超小型刺激器、他の埋込デバイス、または患者の体外の他のデバイスの制御のもとで制御または動作してもよい。超小型刺激器は、他の埋込超小型刺激器、他の埋込デバイス、および/または患者の体外のデバイスと、例えば、RFリンク、超音波リンク、熱リンク、または光リンクを介して連絡してもよい。具体的には、超小型刺激器は、指令および/またはデータを超小型刺激器に送信することができ、かつ好ましくは超小型刺激器から指令および/またはデータを受信することができる外部遠隔制御装置(例、患者および/または医師プログラマ)と連絡できる。
【0038】
別の超小型刺激器などの別のデバイスと併せて動作するように構成されている超小型刺激器の図が図3に示されている。図3では、超小型刺激器300が集積回路310および静電容量プレート320を含んでいる。静電容量プレート320は、密閉構造体330の一部である電極として構成されている。超小型刺激器300は、使用中、第1の静電容量プレート320が分離された刺激器上の類似の静電容量プレートと連携して用いられるように、他の同様の刺激器と協働して動作するように構成されている。
【0039】
上述したように、もう1つの超小型神経刺激器を含むシステムも、提供される。本発明のシステムは超小型刺激器だけで構成してもよく、または内蔵型または外付けの受信器、制御ユニット等の1つまたは複数のさらなる種類の構成要素を含んでもよい。本発明のいくつかのシステムは1つまたは複数の超小型刺激器および内蔵型または外付けの受信機のような個人健康受信器、制御ユニットなどを含んでいる。本発明のいくつかのシステムは、1つ又は複数の超小型刺激器、および例えば、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、国際公開第WO/2008/095183として公開されたPCT出願第PCT/US2008/052845号および国際公開第WO/2006/116718として公開されたPCT/US2006/016370号に記載されているような個人健康受信器を含む。いくつかの態様では、これらの刊行物に記載されているような電極を含む受信器は、刺激パルスを標的組織に供給するように本発明の超小型刺激器と連携して用いられる。いくつかの態様では、本発明のシステムは、例えば、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、WO/2008/095183として公開されたPCT/US2008/052845号に記載されているような摂取可能なイベントマーカーにより送られた信号に応答するように構成されている、1つまたは複数の超小型刺激器を含んでいる。
【0040】
本発明の超小型刺激器を使用した方法もまた提供されている。本発明の方法は、1つまたは複数の、例えば、上述のような本発明の埋込型電気刺激導線を含む、上述のような本発明の超小型刺激を提供する工程を含んでもよい。1つまたは複数の超小型刺激器は、任意の好都合な方法を使用して適切な対象に埋め込んでもよい。埋め込み後、この1つまたは複数の超小型刺激器は、所望に応じて関心の対象となっている状態を治療するために用いることができる。
【0041】
使用中、内科医または他の臨床医等の医療関係者が、患者に提供する刺激療法を決めるために多くのプログラム可能なパラメータの値を選択する。例えば、医療関係者は、患者に与えるパルスの速度および動作周期と共に患者に与える刺激波形の電圧振幅または電流振幅、およびパルス幅を選択できる。医療関係者はまた、パラメータとして、パルスを与えるために使用される分散超小型刺激器のセット内の特定の超小型刺激器を選択でき、その選択された電極の極性を選択できる。パラメータの値の一群は、患者に提供される神経刺激療法を駆動するという意味において、プログラムとして見なすことができる。
【0042】
医療関係者は、プログラミングの過程で、患者に対してテストを行う多くのプログラムのパラメータの値を選択できる。プログラミングデバイスは、特許に埋め込まれた埋込型神経刺激器に、各プログラムに従って神経刺激を与えるように指示し、医療関係者は、患者に対してテストを行う各プログラムの評価情報などの患者からのフィードバックを集める。次に医療関係者は、評価情報に基づいて、埋込型神経刺激器が長期間使用する1つまたは複数のプログラムを選択する。
【0043】
本発明の埋込型超小型刺激器は、患者の標的組織の電気刺激が所望される任意の用途に使用できる。本発明の埋込型超小型刺激器は様々な異なる用途に用いることができる。用途の例としては、慢性疼痛、振戦、パーキンソン病、癲癇、失禁または胃不全麻痺等の様々な症状または状態を治療するために患者に神経刺激療法を提供するためのデバイスおよびシステムの使用が挙げられる。埋込型刺激器は、電極を含む導線を通じて電気パルスの形で電気刺激療法を提供できる。例えば、上述の症状または状態を治療するために電極を患者の脊髄、骨盤神経もしくは胃の近く、または脳内に設置してもよい。本発明の超小型刺激器は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第5,193,539号、5,193,540号、5,312,439号、5,324,316号、5,405,367号、6,051,016号、および6,871,099号ならびに公開出願第20040015205号に記載されているような用途および方法において使用できる。
【0044】
1つまたは複数の超小型刺激器を含むキットもまた、提供される。キットには、上述したものを含めて、所望に応じて受信器、制御器、または他の構成要素を含むことができる。対象キットの様々な様態では、キットは、当該デバイスを使用するための説明書、またはこの説明書を得るための要素(例えば説明書を提供するウェブページにユーザーを誘導するウェブサイトURL)をさらに含み、これらの説明書は通常、基材上に印刷され、この基材は添付文書、パッケージング、試薬コンテナ等のうちの1つまたは複数でもよい。当該キットには、都合又は所望により、1つまたは複数の構成要素が同一のまたは別のコンテナに存在する。
【0045】
本発明は、記述の特定の態様に限定されず、従って変更してもよいことを理解されたい。また、本明細書で使用される用語は、特定の態様を説明する目的用にすぎず、限定することを意図するものではなく、本発明の範囲は、添付の請求項によってのみ限定されることを理解されたい。
【0046】
値の範囲が提供される場合、文脈によって別途明示的に示されない限り、その範囲の上限と下限との間の下限の単位の10分の1までの各介在値、およびその規定範囲内の任意の他の規定値または介在値が、本発明の範囲内に包含されることを理解されたい。これらのより小範囲の上限および下限は、独立して、そのより小範囲内に含まれてもよく、また、本発明の範囲内に包含されるが、規定範囲内の任意の具体的に除外される限界点の制限を受ける。規定範囲が、限界点の一方または両方を含む場合、それら含まれる限界点のうちの一方または両方を除外する範囲もまた、本発明に含まれる。
【0047】
別途定義されない限り、本明細書で使用される技術的および科学的用語はすべて、本発明が属する当技術分野における当業者によって一般的に理解されるものと同一意味を有する。本明細書に説明されるものと類似または同等の任意の方法および材料もまた、本発明の実践または試験で使用可能であるが、本明細書では、代表的例証方法および材料が説明される。
【0048】
本明細書に引用される刊行物および特許はすべて、各個々の刊行物または特許が、参照することによって組み込まれるように具体的かつ個々に示される場合と同様に、参照することによって本明細書に組み込まれ、それと関連して刊行物が引用される方法および/または材料を開示ならびに説明するように参照することによって本明細書に組み込まれる。任意の刊行物の引用は、出願日前のその開示のものであって、本発明が、先行発明を理由として、そのような刊行物に先行する権限がないものの承認として解釈されるべきではない。さらに、提供される刊行物の日付は、実際の公開日と異なる場合があって、個別に確認される必要があり得る。
【0049】
本明細書および添付の請求項で使用されるように、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈によって別途明確に示されない限り、複数参照を含むことに留意されたい。さらに、請求項は、任意の任意選択要素を除外して草案されてもよいことに留意されたい。したがって、本記述は、請求要素の列挙または「負」の制限の使用と関連する「唯一」、「だけ」等の排他的用語の使用のための先行詞としての役割を果たすことが意図される。
【0050】
本開示の熟読によって当業者には明白となるように、本明細書に説明および例証される個々の態様はそれぞれ、個別の構成要素および特徴を有し、本発明の範囲または精神から逸脱することなく、他のいくつかの態様のいずれかの特徴から容易に分離される、またはそれと組み合わせられてもよい。任意の列挙される方法は、列挙される事象の順番または論理的に可能な任意の他の順番で実行可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
標的部位を刺激するためのシステムであって、
密閉された筐体であって、前記筐体の形状は、前記標的部位の集中的な刺激を可能にするように2つの遠位位置を提供する、筐体と、
前記標的部位の刺激を制御するための前記筐体内に固着される、集積回路と、
前記筐体内に固着され、前記集積回路に電力を供給するために前記回路と電気通信する、電源と、
前記筐体の縁部に固着され、前記回路に電気的に連結される、静電容量プレートであって、誘電体層を備える、静電容量プレートと、
前記静電容量プレートから遠位で前記筐体の外面に固着される、導電性要素であって、前記回路に電気的に連結され、前記標的部位と直接接触する、導電性要素と、
を備え、前記筐体は非導電性材料で作製され、前記回路は、前記標的部位を刺激するために前記静電容量プレートに対して前記導電性要素の極性を制御する、システム。
【請求項2】
前記システムが前記体内に埋込まれると、前記静電容量プレートおよび前記導電性要素が体液と共に電解コンデンサを構成する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記システムが体内に埋込まれると、前記誘導体層が前記静電容量プレートを体液から分離する、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記筐体が、前記標的部位に前記筐体を固着するためにその中に開口部を画定する、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
埋込型超小型刺激器であって、
集積回路と、
前記超小型刺激器の外部電源から電力を受取るように構成される、誘導電源と、
をその中に備える、密閉構造体と、
前記集積回路に電気的に連結され、単一の露出電極として構成される、第1の静電容量プレートと、
前記集積回路に導電的に連結される、第2の静電容量プレートと、を備え、前記超小型刺激器は、前記超小型刺激器が体内に埋込まれると、前記第1および第2の静電容量プレートが体液と共に電解コンデンサを構成するように構成された、埋込型超小型刺激器。
【請求項6】
前記密閉構造体が共形無孔封止層を備える、請求項5に記載の埋込型超小型刺激器。
【請求項7】
前記密閉構造体が耐食ホルダを備える、請求項5に記載の埋込型超小型刺激器。
【請求項8】
前記誘導電源がコイルを備える、請求項5に記載の埋込型超小型刺激器。
【請求項9】
前記第2の静電容量プレートが、
高表面積と、
薄い誘電体層と
を含む表面を備える、請求項5に記載の埋込型超小型刺激器。
【請求項10】
前記超小型刺激器が、8mm以下の体積を占める、請求項5に記載の埋込型超小型刺激器。
【請求項11】
前記超小型刺激器が、4mm以下の体積を占める、請求項5に記載の埋込型超小型刺激器。
【請求項12】
前記超小型刺激器が、1mm以下の体積を占める、請求項5に記載の埋込型超小型刺激器。
【請求項13】
神経性症状の対象を治療する方法であって、
標的部位に超小型刺激器を埋込む工程と、
前記対象の神経性症状を治療するのに十分な様式で前記超小型刺激器を作動させる工程であって、前記超小型刺激器が、その静電容量プレートのうちの1つとして体液を使用する電解コンデンサとして動作する、工程と、
を含む、方法。
【請求項14】
第2の超小型刺激器を第2の標的部位に埋込む工程と、
前記対象を治療するために、前記超小型刺激器および前記第2の超小型刺激器の前記作動を調和させる工程と、
をさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記作動させる工程が、電気刺激パルスが前記標的部位に印加されるように、前記超小型刺激器のコンデンサプレートと露出電極との間の極性を反転させる工程を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
神経刺激療レジメンを実施するために前記超小型刺激器をプログラムする工程をさらに含む、請求項15に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2012−508626(P2012−508626A)
【公表日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−536543(P2011−536543)
【出願日】平成21年11月13日(2009.11.13)
【国際出願番号】PCT/US2009/064474
【国際公開番号】WO2010/057051
【国際公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【出願人】(505222679)プロテウス バイオメディカル インコーポレイテッド (65)
【Fターム(参考)】