培地作成用シャーレ
【課題】滑り性がよく、培地の剥離が回避できる培地作成用シャーレを提供する。
【解決手段】底面部と、前記底面部の外周に配設される側壁とからなる培地作成用シャーレ本体であって、前記シャーレ本体は、底面部の下面に不連続に形成される足部が形成され、前記側壁、底面部および足部は、角部が円弧で形成されることを特徴とする、培地作成用シャーレ本体である。足部や側壁の角部が円弧で形成されるため滑り性に優れ、かつ傷つきが回避される。
【解決手段】底面部と、前記底面部の外周に配設される側壁とからなる培地作成用シャーレ本体であって、前記シャーレ本体は、底面部の下面に不連続に形成される足部が形成され、前記側壁、底面部および足部は、角部が円弧で形成されることを特徴とする、培地作成用シャーレ本体である。足部や側壁の角部が円弧で形成されるため滑り性に優れ、かつ傷つきが回避される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャーレ本体と蓋部とからなる培地作成用シャーレに関し、より詳細には、角部が円弧に成形され、滑り性および傷つき性が改良された培地作成用シャーレ本体および蓋部、並びに前記シャーレ本体と蓋部とからなる培地作成用シャーレに関する。
【背景技術】
【0002】
シャーレは、入れ子になるようにわずかに口径の異なる、ごく浅い円筒形の容器が2枚で一組として構成される。これらをそれぞれシャーレ本体と蓋部と称すれば、蓋部はシャーレ本体よりもやや大きくて浅く、シャーレ本体は前記蓋部よりもやや小さく、かつ深く構成されている。シャーレ本体の上端は底面部と平行になるように加工されているので、蓋部を装着したシャーレ本体を静置すると、自重でシャーレ本体と蓋部とが密着し、適度にシールされるようになっている。なお、シャーレ本体に充填された培地は、充填後に蓋部を装着した後にシャーレを反転して、蓋部を載置台側に向けて保管されることが一般的である。この態様であれば、雑菌が培地表面に落ちるのを回避することができるからである。
【0003】
保管時の収納性を向上するものとして、円形に天板に周壁を形成すると共に前記天板を凹陥して当該天板と同心で一定幅を有する環状のリブを形成してなり、さらにそのリブにその幅の外側一部を凹成してなるスタッキングボスを複数形成したシャーレの蓋部がある(特許文献1)。蓋部を特殊形状とすることで圧縮荷重による変形を回避でき、かつ蓋部同士の密着も回避しうるという。
【0004】
また、蓋部を開ける作業を容易にするため、把手用ツバを形成したシャーレもある(特許文献2)。特許文献2では、把手用ツバの指の当る部分にR(アール)を付けると蓋部を開ける際の指の当りが柔らかくなると記載している。
【0005】
一方、培地作成用シャーレ本体に培地を充填し、その後にシャーレをさかさまにして保存すると、培地が乾燥し、シャーレ本体から培地が剥離する場合がある。
このような培地の落下を防止しうる培地作成用シャーレも開発されている。シャーレ本体の内側がその中央に配設した隔壁で2つに区分される分画培地作成用シャーレであるが、各区画の底面部の上面が、それを囲む隔壁および内側壁の根元で連続的に窪み、かつ該底面部が平坦に形成されている(特許文献3)。連続的な窪み部が隔壁および内側壁の根元に形成されると、窪み部が非連続的に形成された分画培地と相違して著しく培地の剥離が抑制される、という。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−112464号
【特許文献2】特開2005−312317号
【特許文献3】特許第4204674号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
隔壁の存在しない培地作成用シャーレでも、分画培地作成用シャーレと同様に培地の剥離が生じうる。しかしながら、従来から、通常の培地作成用シャーレにおいて、培地の剥離防止が意図されることは無かった。
【0008】
また、上記特許文献3記載に開示される分画培地作成用シャーレは、培地の剥離防止は十分でない。その理由は明確ではないが、合成樹脂製のシャーレ本体はそりや歪みなどの変形が生じやすく、このような変形によって培地が剥離しやすくなると推察される。すなわち、一般に、培地作成用シャーレは透明な合成樹脂を使用して射出成形で製造され、樹脂の注入口は底面部の中央部となる。この態様では、側壁を両手で把持すると、形状が左右対称であるため容易に側壁がゆがみ、この歪みによって培地が剥離されやすいのである。
【0009】
また、培地の剥離は、シャーレ本体の歪みだけでなく、培地を充填してから使用するまでの振動によっても発生すると考えられる。例えば、培地を充填したシャーレ本体に植菌する際、また、植菌後にインキュベーターに挿入する際にも、シャーレ本体の底面部と載置台との摩擦によって振動が発生し、このような振動によって剥離が発生しやすくなる。
【0010】
更に、シャーレ本体に蓋部を装着する際に、シャーレ本体の外周と蓋部の内周とのサイズが大きく異なると、シャーレ本体と蓋部とが接触する際に振動を発生しやすい。このような振動は、培地剥離の一因となる。
【0011】
加えて、培地作成用シャーレは、保存時には、複数の培地作成用シャーレを安定かつコンパクトに積層しうることが好ましい。しかも、このような保存時または使用時の積層の際にも、振動の発生を回避しうることが好ましい。
【0012】
上記現状に鑑みて、本発明は、培地の剥離を防止しうる培地作成用シャーレを提供することを目的とする。
また、本発明は、複数の培地作成用シャーレを安定かつ簡便に積層しうる、培地作成用シャーレを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、培地作成用シャーレにおける培地の剥離を詳細に検討した結果、シャーレ本体の底面部に足部を配設し、この足部を不連続に形成することで使用時の歪みを回避できること、シャーレ本体の角部を円弧で形成すると滑り性が向上するため振動が低減し、振動による培地の剥離を回避しうること、シャーレ本体に装着する蓋部に、前記シャーレ本体の側壁の上端と嵌合しうる縁高部を形成すると、収納性を向上させることができ、前記縁高部の上面に突起部を形成すると、保存時の足部として機能し、載置台との摩擦を低減して培地の剥離を効率的に回避することができることなどを見出し、本発明を完成させた。
【0014】
すなわち本発明は、底面部と、前記底面部の外周に配設される側壁とからなる培地作成用シャーレ本体であって、前記シャーレ本体は、底面部の下面に不連続に形成される足部が形成され、前記側壁、底面部および足部は、角部が円弧で形成されることを特徴とする、培地作成用シャーレ本体を提供するものである。
【0015】
また本発明は、前記底面部には、前記側壁近傍に設けられた凸部が形成されることを特徴とする、上記培地作成用シャーレ本体を提供するものである。
また、本発明は、前記底面部に形成した足部が、シャーレ本体の中央部を通過するいずれかの軸に対して非対称に形成されることを特徴とする、前記シャーレ本体を提供するものである。
【0016】
また、本発明は、天面部と、前記天面部の外周に配設される側壁とからなるシャーレの蓋部であり、前記天面部には、シャーレ本体の側壁の上端と嵌合しうる縁高部が形成され、前記縁高部の内側には、複数個のリブが形成されていることを特徴とする、シャーレの蓋部を提供するものである。
【0017】
また、前記蓋部の縁高部の上面には、突起部が形成されていることを特徴とする、上記シャーレの蓋部を提供するものである。
前記突起部は、不連続に構成されていてもよい、上記シャーレの蓋部を提供するものである。
【0018】
更に、本発明は、前記蓋部は、前記縁高部、突起部の角部が円弧で形成されていることを特徴とする、上記シャーレの蓋部を提供するものである。
加えて、本発明は、上記培地作成用シャーレ本体と、上記シャーレの蓋部とからなる培地作成用シャーレを提供するものである。
【0019】
また、本発明は、上記培地作成用シャーレに、培地を充填してなる培地を提供するものである。
【発明の効果】
【0020】
本発明の培地作成用シャーレによれば、シャーレ本体の底面部の外周近傍に足部が形成されるため、載置台との接触面を低減することができ、摩擦による振動を抑制することができる。このため、これに培地を充填すると振動によって生ずる培地の剥離を効率的に抑制することができる。また、前記足部は、不連続かつ中央部から非対称であるため、シャーレ本体を左右から把持した場合でも歪みが少なく、歪みによる培地の剥離を効率的に回避することができる。
【0021】
また、蓋部にシャーレ本体の側壁上端と嵌合しうる縁高部を形成すると、複数の培地作成用シャーレを上方に積層する場合にも前記底面部と縁高部とが組み合わさり、積層幅を減少して省スペースで保管することができる。
【0022】
また、蓋部の縁高部に突起部を形成すると、保存時の足部として機能し、載置台との摩擦を低減して培地の剥離を効率的に回避することができる。
また、本発明の培地作成用シャーレは、射出成形によって製造することができ、製造が容易であり、かつ安価に製造することができる。
【0023】
本発明の分画培地は、上記培地作成用シャーレに培地を充填したものであり、保管時や作業時の振動による培地の剥離が抑制されたものである。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】図1は、本発明の培地作成用シャーレであり、本発明のシャーレ本体(100)に蓋部(200)を装着した状態を説明する図であり、図1(a)は、培地作成用シャーレ(300)の平面図であり、図1(b)は培地作成用シャーレ(300)の側面図であり、図1(c)は培地作成用シャーレ(300)の底面図である。
【図2】図2は、本発明の培地作成用シャーレ本体(100)の好適な態様の一例を説明する図である。図2(a)は、前記シャーレ本体(100)の平面図、図2(b)は右側面図、図2(c)は正面図、図2(d)は底面図である。
【図3】図3は、本発明の培地作成用シャーレ本体(100)の好適な態様の一例を説明する図であり、図2と相違して、底面部の上面(10a)に複数の凸部(30)が形成される態様を示す。
【図4】図4は、本発明のシャーレ本体(100)に形成された凸部(30)を説明する図であり、図4(a)は、図3(a)のA−A線の部分断面図であり、図4(b)は、図3(a)のB−B線の部分断面図である。
【図5】図5は、本発明のシャーレ本体(100)の底面部(10)に形成した足部(40)を説明する図であり、図3(d)のC−C線の部分断面図である。
【図6】図6は、本発明のシャーレ本体(100)において、足部(30)と凸部(30)との関係を示す説明図である。
【図7】図7は、本発明のシャーレの蓋部(200)の好適な態様の一例を説明する図であり、図7(a)は平面図、図7(b)は左側面図、図7(c)は右側面図、図7(d)は正面図、図7(e)は底面図である。
【図8】図8は、本発明で使用する蓋部(200)の縁高部(230)を説明する図であり、図7(a)のA−A線の部分断面図である。蓋部(200)を装着する際のシャーレ本体を破線で示し、複数の培地作成用シャーレを積層する場合の培地作成用シャーレ本体(100)を蓋部(200)の上部に破線で示す。
【図9】図9は、本発明で使用する蓋部(200)に形成した突起部(240)および縁高部(230)を説明する図であり、図7(a)のB−B線近傍の部分拡大図である。
【図10】図10は図7(e)のC−C線近傍の部分拡大図であり、縁高部(230)の内側に形成されたリブ(235a)およびリブ(235b)を説明する図である。
【図11】図11は、図7(a)のB−B線断面であり、本発明で使用する蓋部(200)の縁高部(230)の内側に形成されたリブ(235a)、リブ(235b)を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の第一は、底面部と、前記底面部の外周に配設される側壁とからなる培地作成用シャーレ本体であって、前記シャーレ本体は、底面部の下面に不連続に形成される足部が形成され、前記側壁、底面部および足部は、角部が円弧で形成されることを特徴とする、培地作成用シャーレ本体である。
【0026】
また、本発明の第二は、天面部と、前記天面部の外周に配設される側壁とからなるシャーレの蓋部であり、前記天面部には、シャーレ本体の側壁の上端と嵌合しうる縁高部が形成され、前記縁高部の内側には、複数個のリブが形成されていることを特徴とする、シャーレの蓋部である。
【0027】
また、本発明の第三は、上記培地作成用シャーレ本体と、上記蓋部からなる培地作成用シャーレである。
更に、本発明の第四は、前記培地作成用シャーレに、培地を充填してなる培地である。以下、図面を用いて本発明を詳細に説明する。
【0028】
(1)培地作成用シャーレ本体
本発明の培地作成用シャーレ(300)は、培地作成用シャーレ本体(100)と蓋部(200)とからなる。図1に本発明の培地作成用シャーレ(300)の一例であって、前記シャーレ本体(100)に蓋部(200)を装着した状態の平面図、底面図および側面図を示す。図1(a)は、培地作成用シャーレの平面図であり、蓋部(200)の天面部(210)とその外周に配設された側壁(220)と、天面部(210)の一部であって側壁(220)近傍に形成された縁高部(230)、ならびに前記縁高部(230)の上部に不連続に形成された突起部(240)を示している。図1(b)は培地作成用シャーレ(300)の側面図であり、シャーレ本体(100)に、それより大径かつ短い蓋部(200)が装着される態様を示す。また、図1(c)は培地作成用シャーレ(300)の底面図であり、シャーレ本体(100)の底面部(10)とその外周に配設された側壁(20)と、前記側壁(20)の近傍に不連続に形成された足部(40)とを示している。ただし、図1は例示であり、本発明は上記図1に限定されるものではない。
【0029】
図2は、図1に示すシャーレ本体(100)を説明する図である。図2(a)は、前記シャーレ本体(100)の平面図、図2(b)は右側面図、図2(c)は正面図、図2(d)は底面図である。なお、左側面図は、右側面図と対称であり、また背面図は正面図と対称である。
【0030】
(i)底面部
本発明の培地作成用シャーレ本体は、前記図2に示すように、底面部(10)と、前記底面部(10)の外周に配設される側壁(20)とからなり、底面部の下面に不連続に形成される足部(40)が形成される。
【0031】
底面部(10)の形状は、図2に示すように円形でもよいが、これに限定されるものではなく、三角形、四角形その他の多角形であってもよい。培地を充填する面を底面部(10)の上面(10a)、他方を底面部(10b)の下面とすれば、前記上面(10a)は、平面であってもよく、凹凸が形成されるものであってもよい。このような凹凸としては、例えば、上面(10a)の外周近傍に形成する円弧状の溝などがある。
【0032】
例えば、図3(a)に示すように、前記上面部(10a)の側壁(20)の内周近傍に形成する凸部(30)を例示することができる。前記凸部は、2〜20個形成することができ、好ましくは2〜10個、より好ましくは2〜5個である。図3(a)は、4個の凸部を形成したシャーレ本体の平面図であり、図3(b)はその底面図である。なお、前記凸部(30)は、上面(10a)に均等に配設されているが、前記上面(10a)の中央を通過するいずれかの軸を仮定した場合に、前記軸に非対称に配設されるものであってもよい。凸部(30)が左右非対称に構成されている場合には、シャーレ本体(100)を左右から把持した際に均等に生ずる歪みを効率的に回避することができるからである。なお、凸部(30)は、コロニーの識別性に影響を与えないように、シャーレの直径が10cmの場合で例示すれば、側壁(20)から3mm以内にその頂部が配置されるように配設されることが好ましい。
【0033】
図4(a)に、図3(a)のA−A線の部分断面図を示す。凸部(30)の高さ(h1)は、0.5〜3mm、より好ましくは1.0〜2.5mmである。また、幅(w1)は、0.3〜1.0mm、より好ましくは0.4〜0.8mmである。この範囲で底面部(10)の歪みを回避でき、かつ培地を充填した後に培地の底面部に凹凸を形成して、その剥離を効率的に抑制することができる。
【0034】
前記凸部(30)は、角部の全てが円弧で形成されることが好ましい。凸部(30)の角部が円弧であれば培地充填時の気泡の発生を抑制することができ、および培地固化後に角部からのヒビ割れを抑制することができる。
【0035】
図4(b)に、図3(a)のB−B線の部分断面図を示す。底面部(10)が線状に突出して凸部(30)が形成される態様が示されている。なお、凸部(30)の長さ(L1)に制限はないが、好ましくは、凸部(30)の全長は、シャーレ本体(100)の全周の30〜90%、より好ましくは50〜90%である。
【0036】
なお、上記は、底面部の上面(10a)に凸部(30)を形成する場合で例示したが、同じ形状が凹部となって形成される場合であってもよい。底面部(10)の上面(10a)に凹凸を形成することで培地の剥離を回避することができる。
【0037】
一方、本発明では前記図2に示すように、底面部(10)の上面(10a)は平面であってもよい。平面であれば、微生物の視認性に優れる。
(ii)側壁
本発明の培地作成用シャーレ本体において、前記底面部(10)の外周に配設される側壁(20)は、前記底面部(10)の周辺に略直角に連設されるが、上端部がやや広がるテーパー状であってもよい。
【0038】
また、本発明では、前記底面部(10)および側壁(20)は、角部の全てが円弧で形成される。したがって、側壁(20)の上端部の角部も円弧で形成される。前記図4(a)に示すように、底面部(10)と側壁部(20)とを連設してなる角部も円弧で形成されることが好ましい。なお、前記図4では、底面部(10)の上面(10a)に凸部(30)が形成される態様を示すが、このような凸部(30)が存在しない場合も同様である。この態様を図5に示す。図5は、図3(d)のC−C線の部分断面図である。
【0039】
本発明では、図5に示すように、前記側壁(20)の上端部には膨らみ部(23)が形成されていてもよい。前記膨らみ部(23)の角部は、円弧に形成される。側壁(20)の上端に角部が円弧状の膨らみ部(23)が形成されると、蓋部(200)との接触面積が低減するため、頂部が円弧であればより蓋部との摩擦を低減することができ、振動などによるキズを回避することができる。
【0040】
(iii)足部
本発明では、前記底面部(10)の下面(10b)には、足部(40)が形成されている。図2(d)に示すシャーレ本体(100)では、底面部(10)の下面(10b)に均等に4個の足部(40)が形成されている。足部(40)を形成することで、底面部(10)と載置台との摩擦が低減し、振動による培地の剥離を回避することができる。
【0041】
また、足部(40)の数と長さは特に制限されるものではなく、例えば側壁(20)に沿って形成した連続した輪状の足部であってもよく、複数に分断された不連続の突起物からなるものであってもよい。更に、足部(40)は、例えば、シャーレ本体(100)の中央部を通過するいずれかの軸を仮定した場合に、前記軸に対して非対称に配設されるものであってもよい。足部(40)を非対称に配設すると、使用時や保管時の歪みをより効率的に回避することができる。
【0042】
また、底面部の上面(10a)に前記凸部(30)を形成する場合には、例えば図6に示すように、足部(40)が底面部(10)の上面に形成した前記凸部(30)と凸部(30)との間隙に、底面部(10)の下面(10b)に足部(40)が形成されることが好ましい。底面部(10)の上面(10a)の凸部(30)と底面部(10)の下面の足部(40)とが相互に凸部(30)間、足部(40)間の間隙を埋めるように配設されることで、シャーレ本体(100)の変形を抑制することができる。
【0043】
本発明において、前記図5に示すように、足部(40)の高さ(h2)は、0.2〜3mm、より好ましくは0.5〜2mmである。
本発明では、前記足部(40)も、角部が円弧で形成されることを特徴とする。頂部が円弧であればより載置台との摩擦を低減することができる。
【0044】
(2)蓋部
本発明のシャーレの蓋部(200)は、図7に示すように、天面部(210)と、前記天面部(210)の外周に配設される側壁(220)とからなり、前記天面部(210)には、シャーレ本体(100)の側壁(20)の上端と嵌合しうる縁高部(230)が形成されている。なお、図7(b)は、図1に示す本発明で好適に使用できる蓋部(200)の左側面図、図7(c)は右側面図、図7(d)は正面図、図7(e)は底面図である。なお、背面図は正面図と同一である。
【0045】
(i)縁高部
本発明では、シャーレ本体(100)の側壁(20)の上端と嵌合しうる縁高部(230)が形成されていることを特徴とする。シャーレ本体(100)の側壁(20)の上端が、蓋部(200)に形成した縁高部(230)に装着されると、使用時の蓋部(200)の動きが低減するため、振動や衝撃によって発生しやすいキズの発生を抑制することができる。
【0046】
図7(a)のA−A線の部分断面図を図8に示す。本発明で使用する蓋部(200)に形成される縁高部(230)は、側壁部(220)の近傍に配設された連続した輪状の縁高部(230)であることが好ましい。なお、図8において、符号240は、後記する突出部である。更に、蓋部(200)を装着する際のシャーレ本体(100)を破線で示し、複数の培地作成用シャーレを積層する場合の培地作成用シャーレ本体(100)を蓋部(200)の上部に破線で示す。
【0047】
蓋部(200)の外周近傍に形成した前記縁高部(230)によって、相対的に蓋部(200)の天面部(210)が凹み、この凹み部に他のシャーレ本体(100)を載置するとシャーレ本体(100)の足部(40)が天面部(210)の前記凹み部と接触して安定して積層される。前記縁高部(230)の幅(w2)は、1.5〜5mm、より好ましくは2〜4mmである。上記範囲であれば、シャーレ本体(100)の側壁(20)の上端の幅は、一般には0.8〜1.5mmであるため、蓋部(200)の縁高部(230)にシャーレ本体(100)の側壁(20)を簡便に装着でき、かつ蓋部(200)のゆれを防止することができる。また、天面部(210)にシャーレ本体(100)を安定して積層することができる。なお、摩擦を回避するためには、シャーレ本体(100)の底面部(10)は、蓋部(200)の天面部(210)と接触しないことが好ましい。従って、蓋部(200)の前記縁高部(230)の深さは、足部(40)の高さ(h2)よりも浅くなるように調製することが好ましい。
【0048】
(ii)突起部
本発明では、蓋部(230)の天面部(210)の上面に、突起部(240)が形成されていてもよい。図7(a)には、天面部(210)の外周近傍に、均等に5個の突起部(240)が形成されている態様を示す。シャーレ(300)は、培地を充填した後に、天地を反転して保存されることが一般的である。従って、蓋部(200)の天面部(210)に突起部(240)を形成すると、保存時の足部として機能し、載置台との摩擦を低減して培地の剥離を効率的に回避することができる。従って、前記突起部(240)の高さ(h3)は、足部(40)と同様に、0.2〜3mm、より好ましくは0.5〜2mmである。
【0049】
前記突起部(240)は、前記したシャーレ本体(100)に形成した足部(40)と同様に、複数に分断された不連続の突起物からなるものであってもよい。また、天面部(210)に左右または上下非対称に配設されるものであってもよい。使用時や保管時の歪みをより効率的に回避することができる。
【0050】
更に、前記突起部(240)も、角部が円弧で形成されることが好ましい。頂部が円弧であればより載置台との摩擦を低減することができる。
図9に、図7(a)のB−B線近傍の部分拡大図を示す。図9には、突起部(240)と突起部(240)との間に間隙が形成される態様が示されている。本発明では、シャーレ本体(100)の足部(40)などの角部を円弧で形成して摩擦を低減しているが、これによって、培地作成用シャーレを積層した場合にわずかの振動で積層物が崩れる場合がある。しかしながら、蓋部(200)の上面外周に突起部(240)を形成すれば、前記突起部(240)が障壁となり、このようなすべりを止めることができる。
【0051】
(iii)リブ
本発明では、蓋部(200)の前記縁高部(230)の内側に、前記縁高部(230)の底面と平行して配設されるリブ(235a)が形成されてもよい。更に、前記リブ(235a)の側壁に形成されるリブ(235b)が形成されてもよい。図10に図7(e)のC−C線近傍の部分拡大図を示す。
【0052】
前記リブ(235a)の高さ(h4)は、0.1〜1.0mmである。リブ(235a)は、縁高部(230)のいずれに形成されていてもよく、その数は3〜20個であることが好ましい。また、リブ(235b)は、前記リブ(235a)の一部に形成されていればよく、そのサイズは問わない。
【0053】
図7(a)のB−B線断面を図11に示す。なお、破線は、蓋部(200)を装着する際のシャーレ本体(100)である。前記リブ(235a)が存在しない場合には、シャーレ本体(100)の側壁(20)の上端と縁高部(230)の内側の全面とが接触するが、上記リブ(235a)を形成すると、シャーレ本体(100)の側壁(20)の上端と上記リブ(235a)とが接触するため、蓋部(200)とシャーレ本体(100)との接触によるキズの発生を抑制し、通気性を確保することで底面部(10)に培地を充填した後の水滴の発生を抑制することができる。更に、接触面積を低減し、蓋部(200)が振動した場合にもその衝撃の伝達量を低減し、培地の剥離を防止することができる。同様に、リブ(235b)を形成すると、シャーレ本体(100)の側壁(20)の外側と蓋部(200)の側壁(220)との接触面積が低減し、前記リブ(235a)と同様に、蓋部(200)とシャーレ本体(100)との接触によるキズの発生防止、通気性確保による水滴の抑制効果が発揮される。更に、前記接触面積の低減により、シャーレ本体(100)または蓋部(200)が振動した場合にもその衝撃の伝達量を更に低減し、培地の剥離を防止することができる。
【0054】
(3)培地作成用シャーレ
前記培地作成用シャーレ本体(100)に蓋部(200)を装着して、本発明の培地作成用シャーレ(300)を調製することができる。ポリスチレンなどで製造して透明なシャーレとすることができる。
【0055】
(4)培地作成用シャーレおよび蓋部の製造方法
本発明の培地作成用シャーレ(300)は、シャーレ本体(100)、蓋部(200)をそれぞれ射出成形、型抜き成型などで製造することができる。
【0056】
培地作成用シャーレ(300)を構成する部材としては、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂やポリアミド系樹脂、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ABS、ASなどを例示することができる。なお、射出成形の際の樹脂注入口は、底面部(10)または天面部(210)の中央部であることが好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明によれば、培地の剥離が効率的に抑制された培地作成用シャーレを提供することができ、有用である。
【符号の説明】
【0058】
10・・・培地作成用シャーレ本体の底面部、
10a・・・培地作成用シャーレ本体の底面部の上面、
10b・・・培地作成用シャーレ本体の底面部の下面、
20・・・培地作成用シャーレ本体の側壁、
30・・・培地作成用シャーレ本体の底面部に形成した凸部、
40・・・培地作成用シャーレ本体の底面部に形成した足部、
100・・・培地作成用シャーレ本体、
200・・・蓋部、
210・・・蓋部の天面部、
220・・・蓋部の側壁、
230・・・蓋部の縁高部、
235・・・縁高部の内側に形成したリブ、
240・・・蓋部の上面に形成した突起部、
300・・・本発明の培地作成用シャーレ
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャーレ本体と蓋部とからなる培地作成用シャーレに関し、より詳細には、角部が円弧に成形され、滑り性および傷つき性が改良された培地作成用シャーレ本体および蓋部、並びに前記シャーレ本体と蓋部とからなる培地作成用シャーレに関する。
【背景技術】
【0002】
シャーレは、入れ子になるようにわずかに口径の異なる、ごく浅い円筒形の容器が2枚で一組として構成される。これらをそれぞれシャーレ本体と蓋部と称すれば、蓋部はシャーレ本体よりもやや大きくて浅く、シャーレ本体は前記蓋部よりもやや小さく、かつ深く構成されている。シャーレ本体の上端は底面部と平行になるように加工されているので、蓋部を装着したシャーレ本体を静置すると、自重でシャーレ本体と蓋部とが密着し、適度にシールされるようになっている。なお、シャーレ本体に充填された培地は、充填後に蓋部を装着した後にシャーレを反転して、蓋部を載置台側に向けて保管されることが一般的である。この態様であれば、雑菌が培地表面に落ちるのを回避することができるからである。
【0003】
保管時の収納性を向上するものとして、円形に天板に周壁を形成すると共に前記天板を凹陥して当該天板と同心で一定幅を有する環状のリブを形成してなり、さらにそのリブにその幅の外側一部を凹成してなるスタッキングボスを複数形成したシャーレの蓋部がある(特許文献1)。蓋部を特殊形状とすることで圧縮荷重による変形を回避でき、かつ蓋部同士の密着も回避しうるという。
【0004】
また、蓋部を開ける作業を容易にするため、把手用ツバを形成したシャーレもある(特許文献2)。特許文献2では、把手用ツバの指の当る部分にR(アール)を付けると蓋部を開ける際の指の当りが柔らかくなると記載している。
【0005】
一方、培地作成用シャーレ本体に培地を充填し、その後にシャーレをさかさまにして保存すると、培地が乾燥し、シャーレ本体から培地が剥離する場合がある。
このような培地の落下を防止しうる培地作成用シャーレも開発されている。シャーレ本体の内側がその中央に配設した隔壁で2つに区分される分画培地作成用シャーレであるが、各区画の底面部の上面が、それを囲む隔壁および内側壁の根元で連続的に窪み、かつ該底面部が平坦に形成されている(特許文献3)。連続的な窪み部が隔壁および内側壁の根元に形成されると、窪み部が非連続的に形成された分画培地と相違して著しく培地の剥離が抑制される、という。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−112464号
【特許文献2】特開2005−312317号
【特許文献3】特許第4204674号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
隔壁の存在しない培地作成用シャーレでも、分画培地作成用シャーレと同様に培地の剥離が生じうる。しかしながら、従来から、通常の培地作成用シャーレにおいて、培地の剥離防止が意図されることは無かった。
【0008】
また、上記特許文献3記載に開示される分画培地作成用シャーレは、培地の剥離防止は十分でない。その理由は明確ではないが、合成樹脂製のシャーレ本体はそりや歪みなどの変形が生じやすく、このような変形によって培地が剥離しやすくなると推察される。すなわち、一般に、培地作成用シャーレは透明な合成樹脂を使用して射出成形で製造され、樹脂の注入口は底面部の中央部となる。この態様では、側壁を両手で把持すると、形状が左右対称であるため容易に側壁がゆがみ、この歪みによって培地が剥離されやすいのである。
【0009】
また、培地の剥離は、シャーレ本体の歪みだけでなく、培地を充填してから使用するまでの振動によっても発生すると考えられる。例えば、培地を充填したシャーレ本体に植菌する際、また、植菌後にインキュベーターに挿入する際にも、シャーレ本体の底面部と載置台との摩擦によって振動が発生し、このような振動によって剥離が発生しやすくなる。
【0010】
更に、シャーレ本体に蓋部を装着する際に、シャーレ本体の外周と蓋部の内周とのサイズが大きく異なると、シャーレ本体と蓋部とが接触する際に振動を発生しやすい。このような振動は、培地剥離の一因となる。
【0011】
加えて、培地作成用シャーレは、保存時には、複数の培地作成用シャーレを安定かつコンパクトに積層しうることが好ましい。しかも、このような保存時または使用時の積層の際にも、振動の発生を回避しうることが好ましい。
【0012】
上記現状に鑑みて、本発明は、培地の剥離を防止しうる培地作成用シャーレを提供することを目的とする。
また、本発明は、複数の培地作成用シャーレを安定かつ簡便に積層しうる、培地作成用シャーレを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、培地作成用シャーレにおける培地の剥離を詳細に検討した結果、シャーレ本体の底面部に足部を配設し、この足部を不連続に形成することで使用時の歪みを回避できること、シャーレ本体の角部を円弧で形成すると滑り性が向上するため振動が低減し、振動による培地の剥離を回避しうること、シャーレ本体に装着する蓋部に、前記シャーレ本体の側壁の上端と嵌合しうる縁高部を形成すると、収納性を向上させることができ、前記縁高部の上面に突起部を形成すると、保存時の足部として機能し、載置台との摩擦を低減して培地の剥離を効率的に回避することができることなどを見出し、本発明を完成させた。
【0014】
すなわち本発明は、底面部と、前記底面部の外周に配設される側壁とからなる培地作成用シャーレ本体であって、前記シャーレ本体は、底面部の下面に不連続に形成される足部が形成され、前記側壁、底面部および足部は、角部が円弧で形成されることを特徴とする、培地作成用シャーレ本体を提供するものである。
【0015】
また本発明は、前記底面部には、前記側壁近傍に設けられた凸部が形成されることを特徴とする、上記培地作成用シャーレ本体を提供するものである。
また、本発明は、前記底面部に形成した足部が、シャーレ本体の中央部を通過するいずれかの軸に対して非対称に形成されることを特徴とする、前記シャーレ本体を提供するものである。
【0016】
また、本発明は、天面部と、前記天面部の外周に配設される側壁とからなるシャーレの蓋部であり、前記天面部には、シャーレ本体の側壁の上端と嵌合しうる縁高部が形成され、前記縁高部の内側には、複数個のリブが形成されていることを特徴とする、シャーレの蓋部を提供するものである。
【0017】
また、前記蓋部の縁高部の上面には、突起部が形成されていることを特徴とする、上記シャーレの蓋部を提供するものである。
前記突起部は、不連続に構成されていてもよい、上記シャーレの蓋部を提供するものである。
【0018】
更に、本発明は、前記蓋部は、前記縁高部、突起部の角部が円弧で形成されていることを特徴とする、上記シャーレの蓋部を提供するものである。
加えて、本発明は、上記培地作成用シャーレ本体と、上記シャーレの蓋部とからなる培地作成用シャーレを提供するものである。
【0019】
また、本発明は、上記培地作成用シャーレに、培地を充填してなる培地を提供するものである。
【発明の効果】
【0020】
本発明の培地作成用シャーレによれば、シャーレ本体の底面部の外周近傍に足部が形成されるため、載置台との接触面を低減することができ、摩擦による振動を抑制することができる。このため、これに培地を充填すると振動によって生ずる培地の剥離を効率的に抑制することができる。また、前記足部は、不連続かつ中央部から非対称であるため、シャーレ本体を左右から把持した場合でも歪みが少なく、歪みによる培地の剥離を効率的に回避することができる。
【0021】
また、蓋部にシャーレ本体の側壁上端と嵌合しうる縁高部を形成すると、複数の培地作成用シャーレを上方に積層する場合にも前記底面部と縁高部とが組み合わさり、積層幅を減少して省スペースで保管することができる。
【0022】
また、蓋部の縁高部に突起部を形成すると、保存時の足部として機能し、載置台との摩擦を低減して培地の剥離を効率的に回避することができる。
また、本発明の培地作成用シャーレは、射出成形によって製造することができ、製造が容易であり、かつ安価に製造することができる。
【0023】
本発明の分画培地は、上記培地作成用シャーレに培地を充填したものであり、保管時や作業時の振動による培地の剥離が抑制されたものである。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】図1は、本発明の培地作成用シャーレであり、本発明のシャーレ本体(100)に蓋部(200)を装着した状態を説明する図であり、図1(a)は、培地作成用シャーレ(300)の平面図であり、図1(b)は培地作成用シャーレ(300)の側面図であり、図1(c)は培地作成用シャーレ(300)の底面図である。
【図2】図2は、本発明の培地作成用シャーレ本体(100)の好適な態様の一例を説明する図である。図2(a)は、前記シャーレ本体(100)の平面図、図2(b)は右側面図、図2(c)は正面図、図2(d)は底面図である。
【図3】図3は、本発明の培地作成用シャーレ本体(100)の好適な態様の一例を説明する図であり、図2と相違して、底面部の上面(10a)に複数の凸部(30)が形成される態様を示す。
【図4】図4は、本発明のシャーレ本体(100)に形成された凸部(30)を説明する図であり、図4(a)は、図3(a)のA−A線の部分断面図であり、図4(b)は、図3(a)のB−B線の部分断面図である。
【図5】図5は、本発明のシャーレ本体(100)の底面部(10)に形成した足部(40)を説明する図であり、図3(d)のC−C線の部分断面図である。
【図6】図6は、本発明のシャーレ本体(100)において、足部(30)と凸部(30)との関係を示す説明図である。
【図7】図7は、本発明のシャーレの蓋部(200)の好適な態様の一例を説明する図であり、図7(a)は平面図、図7(b)は左側面図、図7(c)は右側面図、図7(d)は正面図、図7(e)は底面図である。
【図8】図8は、本発明で使用する蓋部(200)の縁高部(230)を説明する図であり、図7(a)のA−A線の部分断面図である。蓋部(200)を装着する際のシャーレ本体を破線で示し、複数の培地作成用シャーレを積層する場合の培地作成用シャーレ本体(100)を蓋部(200)の上部に破線で示す。
【図9】図9は、本発明で使用する蓋部(200)に形成した突起部(240)および縁高部(230)を説明する図であり、図7(a)のB−B線近傍の部分拡大図である。
【図10】図10は図7(e)のC−C線近傍の部分拡大図であり、縁高部(230)の内側に形成されたリブ(235a)およびリブ(235b)を説明する図である。
【図11】図11は、図7(a)のB−B線断面であり、本発明で使用する蓋部(200)の縁高部(230)の内側に形成されたリブ(235a)、リブ(235b)を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の第一は、底面部と、前記底面部の外周に配設される側壁とからなる培地作成用シャーレ本体であって、前記シャーレ本体は、底面部の下面に不連続に形成される足部が形成され、前記側壁、底面部および足部は、角部が円弧で形成されることを特徴とする、培地作成用シャーレ本体である。
【0026】
また、本発明の第二は、天面部と、前記天面部の外周に配設される側壁とからなるシャーレの蓋部であり、前記天面部には、シャーレ本体の側壁の上端と嵌合しうる縁高部が形成され、前記縁高部の内側には、複数個のリブが形成されていることを特徴とする、シャーレの蓋部である。
【0027】
また、本発明の第三は、上記培地作成用シャーレ本体と、上記蓋部からなる培地作成用シャーレである。
更に、本発明の第四は、前記培地作成用シャーレに、培地を充填してなる培地である。以下、図面を用いて本発明を詳細に説明する。
【0028】
(1)培地作成用シャーレ本体
本発明の培地作成用シャーレ(300)は、培地作成用シャーレ本体(100)と蓋部(200)とからなる。図1に本発明の培地作成用シャーレ(300)の一例であって、前記シャーレ本体(100)に蓋部(200)を装着した状態の平面図、底面図および側面図を示す。図1(a)は、培地作成用シャーレの平面図であり、蓋部(200)の天面部(210)とその外周に配設された側壁(220)と、天面部(210)の一部であって側壁(220)近傍に形成された縁高部(230)、ならびに前記縁高部(230)の上部に不連続に形成された突起部(240)を示している。図1(b)は培地作成用シャーレ(300)の側面図であり、シャーレ本体(100)に、それより大径かつ短い蓋部(200)が装着される態様を示す。また、図1(c)は培地作成用シャーレ(300)の底面図であり、シャーレ本体(100)の底面部(10)とその外周に配設された側壁(20)と、前記側壁(20)の近傍に不連続に形成された足部(40)とを示している。ただし、図1は例示であり、本発明は上記図1に限定されるものではない。
【0029】
図2は、図1に示すシャーレ本体(100)を説明する図である。図2(a)は、前記シャーレ本体(100)の平面図、図2(b)は右側面図、図2(c)は正面図、図2(d)は底面図である。なお、左側面図は、右側面図と対称であり、また背面図は正面図と対称である。
【0030】
(i)底面部
本発明の培地作成用シャーレ本体は、前記図2に示すように、底面部(10)と、前記底面部(10)の外周に配設される側壁(20)とからなり、底面部の下面に不連続に形成される足部(40)が形成される。
【0031】
底面部(10)の形状は、図2に示すように円形でもよいが、これに限定されるものではなく、三角形、四角形その他の多角形であってもよい。培地を充填する面を底面部(10)の上面(10a)、他方を底面部(10b)の下面とすれば、前記上面(10a)は、平面であってもよく、凹凸が形成されるものであってもよい。このような凹凸としては、例えば、上面(10a)の外周近傍に形成する円弧状の溝などがある。
【0032】
例えば、図3(a)に示すように、前記上面部(10a)の側壁(20)の内周近傍に形成する凸部(30)を例示することができる。前記凸部は、2〜20個形成することができ、好ましくは2〜10個、より好ましくは2〜5個である。図3(a)は、4個の凸部を形成したシャーレ本体の平面図であり、図3(b)はその底面図である。なお、前記凸部(30)は、上面(10a)に均等に配設されているが、前記上面(10a)の中央を通過するいずれかの軸を仮定した場合に、前記軸に非対称に配設されるものであってもよい。凸部(30)が左右非対称に構成されている場合には、シャーレ本体(100)を左右から把持した際に均等に生ずる歪みを効率的に回避することができるからである。なお、凸部(30)は、コロニーの識別性に影響を与えないように、シャーレの直径が10cmの場合で例示すれば、側壁(20)から3mm以内にその頂部が配置されるように配設されることが好ましい。
【0033】
図4(a)に、図3(a)のA−A線の部分断面図を示す。凸部(30)の高さ(h1)は、0.5〜3mm、より好ましくは1.0〜2.5mmである。また、幅(w1)は、0.3〜1.0mm、より好ましくは0.4〜0.8mmである。この範囲で底面部(10)の歪みを回避でき、かつ培地を充填した後に培地の底面部に凹凸を形成して、その剥離を効率的に抑制することができる。
【0034】
前記凸部(30)は、角部の全てが円弧で形成されることが好ましい。凸部(30)の角部が円弧であれば培地充填時の気泡の発生を抑制することができ、および培地固化後に角部からのヒビ割れを抑制することができる。
【0035】
図4(b)に、図3(a)のB−B線の部分断面図を示す。底面部(10)が線状に突出して凸部(30)が形成される態様が示されている。なお、凸部(30)の長さ(L1)に制限はないが、好ましくは、凸部(30)の全長は、シャーレ本体(100)の全周の30〜90%、より好ましくは50〜90%である。
【0036】
なお、上記は、底面部の上面(10a)に凸部(30)を形成する場合で例示したが、同じ形状が凹部となって形成される場合であってもよい。底面部(10)の上面(10a)に凹凸を形成することで培地の剥離を回避することができる。
【0037】
一方、本発明では前記図2に示すように、底面部(10)の上面(10a)は平面であってもよい。平面であれば、微生物の視認性に優れる。
(ii)側壁
本発明の培地作成用シャーレ本体において、前記底面部(10)の外周に配設される側壁(20)は、前記底面部(10)の周辺に略直角に連設されるが、上端部がやや広がるテーパー状であってもよい。
【0038】
また、本発明では、前記底面部(10)および側壁(20)は、角部の全てが円弧で形成される。したがって、側壁(20)の上端部の角部も円弧で形成される。前記図4(a)に示すように、底面部(10)と側壁部(20)とを連設してなる角部も円弧で形成されることが好ましい。なお、前記図4では、底面部(10)の上面(10a)に凸部(30)が形成される態様を示すが、このような凸部(30)が存在しない場合も同様である。この態様を図5に示す。図5は、図3(d)のC−C線の部分断面図である。
【0039】
本発明では、図5に示すように、前記側壁(20)の上端部には膨らみ部(23)が形成されていてもよい。前記膨らみ部(23)の角部は、円弧に形成される。側壁(20)の上端に角部が円弧状の膨らみ部(23)が形成されると、蓋部(200)との接触面積が低減するため、頂部が円弧であればより蓋部との摩擦を低減することができ、振動などによるキズを回避することができる。
【0040】
(iii)足部
本発明では、前記底面部(10)の下面(10b)には、足部(40)が形成されている。図2(d)に示すシャーレ本体(100)では、底面部(10)の下面(10b)に均等に4個の足部(40)が形成されている。足部(40)を形成することで、底面部(10)と載置台との摩擦が低減し、振動による培地の剥離を回避することができる。
【0041】
また、足部(40)の数と長さは特に制限されるものではなく、例えば側壁(20)に沿って形成した連続した輪状の足部であってもよく、複数に分断された不連続の突起物からなるものであってもよい。更に、足部(40)は、例えば、シャーレ本体(100)の中央部を通過するいずれかの軸を仮定した場合に、前記軸に対して非対称に配設されるものであってもよい。足部(40)を非対称に配設すると、使用時や保管時の歪みをより効率的に回避することができる。
【0042】
また、底面部の上面(10a)に前記凸部(30)を形成する場合には、例えば図6に示すように、足部(40)が底面部(10)の上面に形成した前記凸部(30)と凸部(30)との間隙に、底面部(10)の下面(10b)に足部(40)が形成されることが好ましい。底面部(10)の上面(10a)の凸部(30)と底面部(10)の下面の足部(40)とが相互に凸部(30)間、足部(40)間の間隙を埋めるように配設されることで、シャーレ本体(100)の変形を抑制することができる。
【0043】
本発明において、前記図5に示すように、足部(40)の高さ(h2)は、0.2〜3mm、より好ましくは0.5〜2mmである。
本発明では、前記足部(40)も、角部が円弧で形成されることを特徴とする。頂部が円弧であればより載置台との摩擦を低減することができる。
【0044】
(2)蓋部
本発明のシャーレの蓋部(200)は、図7に示すように、天面部(210)と、前記天面部(210)の外周に配設される側壁(220)とからなり、前記天面部(210)には、シャーレ本体(100)の側壁(20)の上端と嵌合しうる縁高部(230)が形成されている。なお、図7(b)は、図1に示す本発明で好適に使用できる蓋部(200)の左側面図、図7(c)は右側面図、図7(d)は正面図、図7(e)は底面図である。なお、背面図は正面図と同一である。
【0045】
(i)縁高部
本発明では、シャーレ本体(100)の側壁(20)の上端と嵌合しうる縁高部(230)が形成されていることを特徴とする。シャーレ本体(100)の側壁(20)の上端が、蓋部(200)に形成した縁高部(230)に装着されると、使用時の蓋部(200)の動きが低減するため、振動や衝撃によって発生しやすいキズの発生を抑制することができる。
【0046】
図7(a)のA−A線の部分断面図を図8に示す。本発明で使用する蓋部(200)に形成される縁高部(230)は、側壁部(220)の近傍に配設された連続した輪状の縁高部(230)であることが好ましい。なお、図8において、符号240は、後記する突出部である。更に、蓋部(200)を装着する際のシャーレ本体(100)を破線で示し、複数の培地作成用シャーレを積層する場合の培地作成用シャーレ本体(100)を蓋部(200)の上部に破線で示す。
【0047】
蓋部(200)の外周近傍に形成した前記縁高部(230)によって、相対的に蓋部(200)の天面部(210)が凹み、この凹み部に他のシャーレ本体(100)を載置するとシャーレ本体(100)の足部(40)が天面部(210)の前記凹み部と接触して安定して積層される。前記縁高部(230)の幅(w2)は、1.5〜5mm、より好ましくは2〜4mmである。上記範囲であれば、シャーレ本体(100)の側壁(20)の上端の幅は、一般には0.8〜1.5mmであるため、蓋部(200)の縁高部(230)にシャーレ本体(100)の側壁(20)を簡便に装着でき、かつ蓋部(200)のゆれを防止することができる。また、天面部(210)にシャーレ本体(100)を安定して積層することができる。なお、摩擦を回避するためには、シャーレ本体(100)の底面部(10)は、蓋部(200)の天面部(210)と接触しないことが好ましい。従って、蓋部(200)の前記縁高部(230)の深さは、足部(40)の高さ(h2)よりも浅くなるように調製することが好ましい。
【0048】
(ii)突起部
本発明では、蓋部(230)の天面部(210)の上面に、突起部(240)が形成されていてもよい。図7(a)には、天面部(210)の外周近傍に、均等に5個の突起部(240)が形成されている態様を示す。シャーレ(300)は、培地を充填した後に、天地を反転して保存されることが一般的である。従って、蓋部(200)の天面部(210)に突起部(240)を形成すると、保存時の足部として機能し、載置台との摩擦を低減して培地の剥離を効率的に回避することができる。従って、前記突起部(240)の高さ(h3)は、足部(40)と同様に、0.2〜3mm、より好ましくは0.5〜2mmである。
【0049】
前記突起部(240)は、前記したシャーレ本体(100)に形成した足部(40)と同様に、複数に分断された不連続の突起物からなるものであってもよい。また、天面部(210)に左右または上下非対称に配設されるものであってもよい。使用時や保管時の歪みをより効率的に回避することができる。
【0050】
更に、前記突起部(240)も、角部が円弧で形成されることが好ましい。頂部が円弧であればより載置台との摩擦を低減することができる。
図9に、図7(a)のB−B線近傍の部分拡大図を示す。図9には、突起部(240)と突起部(240)との間に間隙が形成される態様が示されている。本発明では、シャーレ本体(100)の足部(40)などの角部を円弧で形成して摩擦を低減しているが、これによって、培地作成用シャーレを積層した場合にわずかの振動で積層物が崩れる場合がある。しかしながら、蓋部(200)の上面外周に突起部(240)を形成すれば、前記突起部(240)が障壁となり、このようなすべりを止めることができる。
【0051】
(iii)リブ
本発明では、蓋部(200)の前記縁高部(230)の内側に、前記縁高部(230)の底面と平行して配設されるリブ(235a)が形成されてもよい。更に、前記リブ(235a)の側壁に形成されるリブ(235b)が形成されてもよい。図10に図7(e)のC−C線近傍の部分拡大図を示す。
【0052】
前記リブ(235a)の高さ(h4)は、0.1〜1.0mmである。リブ(235a)は、縁高部(230)のいずれに形成されていてもよく、その数は3〜20個であることが好ましい。また、リブ(235b)は、前記リブ(235a)の一部に形成されていればよく、そのサイズは問わない。
【0053】
図7(a)のB−B線断面を図11に示す。なお、破線は、蓋部(200)を装着する際のシャーレ本体(100)である。前記リブ(235a)が存在しない場合には、シャーレ本体(100)の側壁(20)の上端と縁高部(230)の内側の全面とが接触するが、上記リブ(235a)を形成すると、シャーレ本体(100)の側壁(20)の上端と上記リブ(235a)とが接触するため、蓋部(200)とシャーレ本体(100)との接触によるキズの発生を抑制し、通気性を確保することで底面部(10)に培地を充填した後の水滴の発生を抑制することができる。更に、接触面積を低減し、蓋部(200)が振動した場合にもその衝撃の伝達量を低減し、培地の剥離を防止することができる。同様に、リブ(235b)を形成すると、シャーレ本体(100)の側壁(20)の外側と蓋部(200)の側壁(220)との接触面積が低減し、前記リブ(235a)と同様に、蓋部(200)とシャーレ本体(100)との接触によるキズの発生防止、通気性確保による水滴の抑制効果が発揮される。更に、前記接触面積の低減により、シャーレ本体(100)または蓋部(200)が振動した場合にもその衝撃の伝達量を更に低減し、培地の剥離を防止することができる。
【0054】
(3)培地作成用シャーレ
前記培地作成用シャーレ本体(100)に蓋部(200)を装着して、本発明の培地作成用シャーレ(300)を調製することができる。ポリスチレンなどで製造して透明なシャーレとすることができる。
【0055】
(4)培地作成用シャーレおよび蓋部の製造方法
本発明の培地作成用シャーレ(300)は、シャーレ本体(100)、蓋部(200)をそれぞれ射出成形、型抜き成型などで製造することができる。
【0056】
培地作成用シャーレ(300)を構成する部材としては、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂やポリアミド系樹脂、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ABS、ASなどを例示することができる。なお、射出成形の際の樹脂注入口は、底面部(10)または天面部(210)の中央部であることが好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明によれば、培地の剥離が効率的に抑制された培地作成用シャーレを提供することができ、有用である。
【符号の説明】
【0058】
10・・・培地作成用シャーレ本体の底面部、
10a・・・培地作成用シャーレ本体の底面部の上面、
10b・・・培地作成用シャーレ本体の底面部の下面、
20・・・培地作成用シャーレ本体の側壁、
30・・・培地作成用シャーレ本体の底面部に形成した凸部、
40・・・培地作成用シャーレ本体の底面部に形成した足部、
100・・・培地作成用シャーレ本体、
200・・・蓋部、
210・・・蓋部の天面部、
220・・・蓋部の側壁、
230・・・蓋部の縁高部、
235・・・縁高部の内側に形成したリブ、
240・・・蓋部の上面に形成した突起部、
300・・・本発明の培地作成用シャーレ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底面部と、前記底面部の外周に配設される側壁とからなる培地作成用シャーレ本体であって、
前記シャーレ本体は、底面部の下面に不連続に形成される足部が形成され、
前記側壁、底面部および足部は、角部が円弧で形成されることを特徴とする、培地作成用シャーレ本体。
【請求項2】
前記底面部には、前記側壁近傍に設けられた凸部が形成されることを特徴とする、請求項1記載の培地作成用シャーレ本体。
【請求項3】
天面部と、前記天面部の外周に配設される側壁とからなるシャーレの蓋部であり、
前記天面部には、シャーレ本体の側壁の上端と嵌合しうる縁高部が形成され、
前記縁高部の内側には、複数個のリブが形成されていることを特徴とする、シャーレの蓋部。
【請求項4】
前記蓋部は、前記縁高部、突起部の角部が円弧で形成されていることを特徴とする、請求項3記載のシャーレの蓋部。
【請求項5】
請求項1または2記載の培地作成用シャーレ本体と、請求項3または4記載のシャーレの蓋部とからなる培地作成用シャーレ。
【請求項6】
請求項5記載の培地作成用シャーレに、培地を充填してなる培地。
【請求項1】
底面部と、前記底面部の外周に配設される側壁とからなる培地作成用シャーレ本体であって、
前記シャーレ本体は、底面部の下面に不連続に形成される足部が形成され、
前記側壁、底面部および足部は、角部が円弧で形成されることを特徴とする、培地作成用シャーレ本体。
【請求項2】
前記底面部には、前記側壁近傍に設けられた凸部が形成されることを特徴とする、請求項1記載の培地作成用シャーレ本体。
【請求項3】
天面部と、前記天面部の外周に配設される側壁とからなるシャーレの蓋部であり、
前記天面部には、シャーレ本体の側壁の上端と嵌合しうる縁高部が形成され、
前記縁高部の内側には、複数個のリブが形成されていることを特徴とする、シャーレの蓋部。
【請求項4】
前記蓋部は、前記縁高部、突起部の角部が円弧で形成されていることを特徴とする、請求項3記載のシャーレの蓋部。
【請求項5】
請求項1または2記載の培地作成用シャーレ本体と、請求項3または4記載のシャーレの蓋部とからなる培地作成用シャーレ。
【請求項6】
請求項5記載の培地作成用シャーレに、培地を充填してなる培地。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−211990(P2011−211990A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−84978(P2010−84978)
【出願日】平成22年4月1日(2010.4.1)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年4月1日(2010.4.1)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】
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