説明

培養を観測するための装置および方法

液体培地における培養物の細胞密度の連続的な計測のためのプローブ(6)とともに用いるために、かつ当該プローブに取付けるために適合される泡排除装置(2)であって、液体の流れが当該装置を通るのを可能にする吸入口および放出口と、当該装置の外側の液体培地からの泡の移入を低減または防止する泡排除手段(20)とを含む泡排除装置が開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
この発明は、曝気された発酵槽の中の細胞培養物の細胞密度の連続的な観測のための装置およびその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
好気性発酵のプロセスは、酵素、抗生物質、診断物質、および治療物質のような、ある生成物質の形成のための重要なメカニズムを提供する。このような生成物質は典型的には、大腸菌またはサッカロマイセス・セレビシエのような微生物の細胞におけるタンパク質の過剰発現によって生成される。
【0003】
実験室規模では、対象のこのような物質は典型的には、より大きい体積の培地を接種するよう用いられる「スタータ」培養物を調整することにより生成される。典型的には、この培地は、三角フラスコ内に収められ、所望の温度でインキュベータに配置される。培地における細胞の成長は、培養物の少量の間欠的試料採取と、外部の分光光度計を用いて培地の光学濃度の計測を行なうこととにより観測される。説明目的でいうと、約600nmで光学濃度を計測することにより、微生物による光の散乱を検知し、結果得られるOD読取値は細胞密度に比例する。これらの細胞は、成長および分裂し、典型的には培養物の光学濃度が所望の値に達すると、対象のタンパク質の過剰発現が、たとえば温度変化または誘導因子の添加などにより誘導される。
【0004】
好気性発酵は、通常、攪拌槽において工業規模で行なわれる。典型的には、光学プローブが、以下の式で規定されるランベルト・ベールの法則に従って培地の光学濃度を計測するのに用いられる。
【0005】
OD=E.L.log10(Io/I)
式中、E=吸光率
L=細胞路長(path length of cell)
o=照射光の強度
I=透過光の強度
工業規模の発酵では、勢いのある攪拌および曝気が、微生物または細胞の最適な成長を支持するよう通常必要とされる。なぜならば、それらは呼吸する必要があるからである。このような条件下では、培地の全曝気液体体積の5分の1ほどが、当該液体内に分散する気泡を含み得る。曝気された培地の液体混合が良好であることは、これら気泡の多くが、培養物の細胞密度を計測するよう用いられる光学プローブの光路を通るのに十分小さくなることを意味する。培地における気泡の存在は、当該培地の見かけ上の細胞密度に影響を与え得る。なぜならば、気泡は、培地およびそこに懸濁される細胞と比較すると異なる光散乱特性を有するからである。この培地における泡による光の散乱は、培地の見かけ上の光学濃度の過大評価を引起す傾向がある。特に、低細胞密度では(気泡対細胞の比が最大の場合)、攪拌槽における計測の時点での気泡の大きさおよび密度のランダムな性質が、細胞密度計測におけるデータ散乱として示される「ノイズ」へと繋がる。蛍光標識付けのようなある適用例の場合、これは問題である。なぜならば、このような場合、標準的なレベルの精度を超える値で、吸光度の非常に小さな変化を検知する必要があるからである。さらに、曝気および攪拌の速度は発酵の間に変動し得、そのためなされる計測に対する気泡の影響も同様に変動し得る。
【0006】
(二酸化炭素の生産速度、酸素消費速度、または蛍光の計測のような)他の方法が、好気性発酵の間の微生物の成長を観測するのに用いられ得るが、好ましい方法は、培養物の細胞密度の計測を伴う。なぜならば、それは温度およびpHのような培養条件に対して感度がより低いからである。ほとんどの場合、培養物の光学濃度の計測は分光光度計を用いて「オフライン」で、典型的には600nmの領域において行なわれる。説明目的でいうと、培養物の光学濃度の「オフライン」計測は、培地の試料を取除き、外部の分光光度計を用いて当該試料の光学濃度を計測することを伴う。しかしながら、このような「オフライン」の計測は典型的には、時間、コスト、および培養体積の損失を増加し得、さらに発酵槽の汚染のリスクを増加させる。さらに、従来の方法を用いると、培養物の細胞密度は、0.8光学濃度(OD)単位、好ましくは0.7OD単位を下回る値についてでしか直接的に正確に計測され得ない。これは、これらの値を上回ると、細胞密度と光学濃度との間の関係がもはや線形でなくなるという事実による。0.7〜0.8を上回るOD値を計測するには、OD値が0.8単位、好ましくは0.7単位を超えないように、試料を希釈しなければならないとともに、得られた計測値を希釈係数で乗算しなければならない。しかしながら、このような希釈は細胞密度の算出に誤差を導入し得、ODのオンライン計測を不可能にする。
【0007】
説明目的でいうと、培養物の光学濃度の「オンライン」計測は、発酵の間、培養物の細胞密度の変化を観測するよう、培地に浸される「その場(in situ)プローブ」を利用することを伴う。しかしながら、このような方法は、光学濃度を正確にかつ信頼できるように算出するには、計測に先立って空気の泡が培地から取除かれなければならないというさらなる複雑さを有する。したがって、このような方法は、典型的には培地のガス抜きをする別個の装置の追加を必要とし、結果、培地の光学濃度の連続的な計測のための方法を提供しない。
【0008】
培養物における濃度変化を観測するためのオンラインプローブの利用が当該技術において公知である。シローチ(Shiloach)およびバハール(Bahar)(第6回ヨーロッパバイオテクノロジー会議(Sixth European Congress on Biotechnology)、フィレンツェ(Florence)、イタリア、1993)は、培養混濁度の変化を追跡できる殺菌可能なオンラインセンサ(セレックス・コーポレイション;Cerex Corporation))の利用を開示する。このプローブは、培養物からの光の放射に基づいており、オフライン混濁度計測に良好な相関性を与える。このプローブは、発酵プロセスの間の直接計測を提供し得るようにデータ取得および制御システムに結び付けられ得る。当該プローブの動作の間、埋込磁石を有するテフロン(登録商標)プランジャが、交番磁界の結果、上下に移動する。このプランジャの移動により、培地はプローブ内に設けられる試料採取チャンバの中に流れ込むことになり、培地からの空気の泡の除去を促進する。典型的には、プランジャの移動は、1分間それが開き、1分間閉じるように回帰し、これにより、新しい光学濃度が2分ごとに与えられる。このように、オンラインセンサは、分光光度計を用いて外部から光学濃度を計測するために発酵槽から培地の試料を取除くオフラインシステムに関連付けられる要件を克服するが、シローチおよびバハールが開示する当該プローブでは、光学濃度の連続的な計測が可能ではない。
【0009】
コムズ(Combs)およびビショップ(Bishop)(工業微生物学会年次大会(Annual Meeting of the Society for Industrial Microbiology)、トロント(Toronto)、カナダ、1993)が、発酵の間に培養物の光学濃度を計測する同様のオンラインプローブ(セレックス・コーポレイション)の利用を開示する。当該プローブの動作の間、ソレノイドが開き、培地は試料チャンバに入り、ライザポートを介して培養物を除泡するようバルブが閉じられ、試料の光学濃度が計測される。したがって、当該プローブの動作はバルブの開閉を必要とし、そのため培地の光学濃度のオンライン計測は連続的ではない。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0010】
発明の概要
第1の局面では、この発明は、液体培地における培養物の細胞密度の連続的な計測のためのプローブとともに用いるために、かつ当該プローブに取付けるために適合される泡排除装置を提供し、当該泡排除装置は、液体の流れが当該装置を通るのを可能にする吸入口および放出口と、当該装置の外側の液体培地からの泡の移入を低減または防止する泡排除手段とを含む。
【0011】
便利なことに、当該装置はプローブの周りに嵌まるスリーブを含み、吸入口および放出口は、液体培地をプローブと、より特定的には、プローブの試料採取アパーチャと連通させる。吸入口および放出口には、当該装置において共有または共通のチャネルが設けられてもよく、またはより好ましくは、吸入口および放出口は当該装置上における異なる場所にある個別の構成要素であってもよい。
【0012】
泡排除手段は、たとえば、一方向のバルブまたは他の流れ制限メカニズムを含んでもよい。好ましくは、泡排除手段は、複数のバッフル、もしくは有孔板、または流路を蛇行させる他のメカニズムを含む。便利なことに、泡排除手段は、泡排除装置の吸入口および/または放出口に位置してもよい。泡排除手段は、泡の大きさもしくは(培地の液体に対する)相対的な浮力、または大きさおよび浮力の両方に基づき泡を排除するよう作用し得る。1つの好ましい実施形態では、この装置は液体培地における泡の大部分の直径よりも小さい断面領域を有するチャネルを含み、したがって泡はチャネルから排除されることになる。
【0013】
泡排除装置は、好ましくは、泡排除手段を含む導管を含む。好ましい実施形態では、泡排除手段は、導管内の蛇行流路を作り出す構造上の特徴を含む。たとえば、導管内の蛇行流路は、複数の重なるバッフルまたは有孔板により作り出されてもよい。
【0014】
各有孔板は、単一または少数の相対的に大きな孔を含んでもよく、または複数の(たとえば5以上)の相対的に小さな孔を含んでもよい。多数の孔が設けられる場合、各孔は、液体培地における泡の大部分が有孔板を通り抜けることができないようにかなり小さくされ得る(なお、このような実施形態において、当該流路は蛇行している必要性はない)。いずれにせよ、孔が多数あれば、液体の流れに対する抵抗はささやかでしかなくなる。各板において1つまたは2つの孔しか設けられない場合、液体の流れを厳しく制限しないよう、これらは必ず相対的に大きなサイズ(たとえば4mm〜6mmの直径の円形の穴)のものでなければならず、好ましくは、蛇行流路を作り出すよう、連続する板の交互の側に対して位置決めされる。
【0015】
典型的には、導管は泡排除装置の吸入口を構成するが、当該装置を通る液体の流れの方向は、発酵槽の中の局在化した状態に従って変動し得る。そのため、導管はしばしば液体放出口として、または同時に放出口および吸入口としてさえ作用し得る。
【0016】
第2の局面では、この発明は、培養物の細胞密度の連続的な計測のためのプローブと組合される、この発明の第1の局面に従った泡排除装置を提供し、プローブは、当該プローブが培養物の特性を計測するのを可能にするよう泡排除装置内の培養物に晒される試料採取アパーチャを含む。
【0017】
好ましい実施形態では、この発明の泡排除装置/プローブ組合せは、培養物の細胞密度のオンライン計測を可能にする。
【0018】
この発明に従えば、「オンライン」という用語は、培地と連続的な流体連通をする泡排除装置/プローブ組合せを指す。一実施形態では、泡排除装置/プローブ組合せは、その場(in situ)、すなわち発酵槽に設けられる。別の実施形態では、泡排除装置/プローブ組合せは発酵槽の外側に設けられるが、たとえばパイプ、チューブ、または他の流体流れチャネルを用いて、培地と連続的な流体連通をする。
【0019】
「オフライン」という用語は、培養物の細胞密度の間欠的な計測を指す。導管および吸入口手段を設けることにより、細胞密度の計測に先立って培地がガス抜きされなければならない先行技術に関連付けられる要件が排除される。したがって、この発明は有利なことに、発酵の間中、培養物の細胞密度の連続的な計測を可能にする。
【0020】
典型的には、培地の細胞密度の計測は、培養物の透過率の直接的な読取値を取ること、または光学濃度値を計算することのいずれかによってなされ得る。
【0021】
この発明に従えば、泡排除装置/プローブ組合せは、抵抗または導電率のような、培養物の特性を計測するのに用いられてもよい。好ましくは、計測される培地の特性は光学特性である。より好ましくは、計測される特性は培養物の光学濃度、たとえば、500nm〜700nmの範囲における培養物の光学濃度である。最も好ましくは、計測される特性は、約600nmである培養物の光学濃度か、または発酵槽において培われる細胞が発現するタンパク質の色もしくは蛍光である。しかしながら、培養物の光学濃度の計測は500nm〜700nmの範囲に制限されず、この発明の泡排除装置/プローブ組合せは、UV範囲における計測を含む、分光光度計の全波長帯にわたる培養物の光学濃度を計測するのに用いられてもよい。
【0022】
好ましくは、この発明の泡排除装置と組合されて用いられてもよいプローブは光学プローブである。より好ましくは、この発明のプローブは、光ファイバを用いて、1つ以上の選択された波長で培地の光学濃度を計測する。典型的には、この光学プローブの光ファイバの周りにチューブまたはスリーブが配置される。最も好ましくは、光学プローブは、光路を形成するとともに反対の方向に光を透過する2つの平行な光ファイバを含む。一実施形態では、光路は、試料採取アパーチャを通り、たとえば光学プローブの端部に設けられる2つのプリズムによって、当該光路の方向が逆になるように反射される。
【0023】
一実施形態では、分光光度計はたとえば光ファイバを用いて光学プローブに結合される。分光光度計は、所望の波長または波長範囲で培地の光学濃度を計測する。この発明の泡排除装置と組合せて用いられてもよいプローブは、連続的な光学濃度計測が分光光度計によってなされるのを可能にする。分光光度計を泡排除装置/プローブ組合せに直接取付けるするのが好ましい。なぜならば、これにより、プローブを分光光度計に接続する外部の光ファイバが必要となるのを回避するからである。
【0024】
好ましくは、光学プローブの光路内に試料採取アパーチャが設けられる。より好ましくは、培地は、当該培地の光学濃度の連続的な計測を可能にするよう、試料採取アパーチャと連続して流体連通する。
【0025】
一実施形態では、光学プローブは2mmの光路を用いる。好ましい実施形態では、光学プローブは1mmの光路を用いる。1mmの光路を用いると、有利なことに、試料採取アパーチャからの気泡の排除が促進される。培地における気泡の存在は、当該培地の見かけ上の細胞密度に影響を与え得る。なぜならば、気泡は光を散乱し、細胞を変位させるからである。したがって、1mmの光路の利用により、細胞密度計測の正確性が向上し、より高い細胞密度の培養物の成長の線形計測が可能になる。一般的には、光路が短ければ、より高い細胞密度でなされる計測の感度が増加する。
【0026】
便利なことに、この発明の泡排除装置/プローブ組合せは、好適な泡排除装置を好適なプローブに取付けることにより作製される。当該プローブは、たとえば、先行技術で公知である種類の、他の部分が従来と同様または実質的に従来である、細胞密度を計測するための光学プローブであってもよい。典型的には、泡排除装置/プローブ組合せは、プローブの上で泡排除装置のスリーブをスライドさせることにより作製される。好ましくは、泡排除装置の放出口と吸入口との間のチャネルが、当該チャネルがプローブの試料採取アパーチャと実質的に並ぶように形成される。より好ましくは、泡排除装置の寸法は、プローブに接続されると、泡排除装置の吸入口から実質的に線形であるとともにプローブの試料採取アパーチャの端から端まで流れる流路が形成されるような寸法である。便利なことに、泡排除装置の寸法は、プローブがスリーブ内において可能な限り遠くに位置決めされると、これにより泡排除装置とプローブとの正確な相対的な位置決めがもたらされるような寸法である。一実施形態では、泡排除装置とプローブとが正確な位置に整列されると、泡排除装置に存在するチャネル内に設けられる付勢係合手段が、プローブ内の対応して形状決めおよび寸法決めされた凹部内に受入れられる。典型的には、プローブの挿入により、泡排除装置のチャネル内に設けられるばねが圧迫される。流路が実質的に線形になるように導管、吸入口、および試料採取アパーチャが整列する位置に到達すると、付勢係合手段は、プローブ内の対応して形状決めおよび寸法決めされた凹部と係合する。
【0027】
好ましくは、泡排除装置のすべての部分(および好ましくは任意の関連付けられるプローブの部分)は生体適合性があり、適切な位置での殺菌状態に耐えることができる。より好ましくは、泡排除装置の金属構成部分はステンレス鋼を含む。
【0028】
好ましくは、泡排除装置のスリーブは、プローブの本体の外側表面に取付けられる。より好ましくは、泡排除装置は、その場(in situ)で、導管が実質的に垂直になるようにプローブに取付けられるので、(培地よりも密度が低い)如何なる気泡も導管を上がり、試料採取アパーチャから離れる傾向にある。最も好ましくは、導管はプローブの試料採取アパーチャの上の位置に取付けられる。
【0029】
好ましい実施形態では、導管における泡排除手段は、重なるバッフルの連なりを含む。より好ましくは、これらのバッフルは上方向に傾斜するような角度で設けられる。重なるバッフルの連なりを設けることには、発酵槽内の培地からの気泡であって、導管を通る気泡の上方向への動きが、培地から泡排除装置の内部への泡の移入と比較して相対的に制限されず、これにより、装置内の培地から気泡を取除くことを促進するとともに、外部の培地からの気泡の下方向への動きを防ぐという利点がある。さらに、気泡は培地よりも低密度であるので、培地内に存在する如何なる気泡も上方向に移動するよう促されるように導管内に相対的に静穏な環境が作り出され、そのため、気泡は培地の表面に向かって上昇することになる。したがって、物理的な排除、合体を促進する流体の流れの十分な静穏、およびベルヌーイ効果すべてが、泡排除装置の内部からの気泡の排除を促進する。ベルヌーイ効果は、水平な流体の流れの場合、流体の流れのベロシティの増加が液体の静圧の減少に繋がる状態を説明する。したがって、導管の先端にわたる外部の培地の急速な動きにより、吸引効果が生成され、これにより気泡の放出を促進するとともに試料採取アパーチャにて培地の補充を促進する。
【0030】
導管の直径は、微生物培養容器において見られる典型的な泡の大きさの分布によって部分的に決定される。好ましくは、重なるバッフル間の最小の分離は4mm以上である。より好ましくは、導管の寸法は4.6mmの最小のバッフル分離を与える。したがって、円筒状の導管の内径は、泡が導管を通って上昇する際に、泡の対して最小4mmの間隙を達成するよう少なくとも12mmであるべきである。
【0031】
テストの際には、必要とされるバッフルの数が、多くのワークの対象であった。バッフルの最大数に対する唯一の制限は、最初の読取値に対する遅延時間である。遅延時間は、プローブを通る流量で除算されるプローブの内部体積と均等である。実際、発酵を開始する最初の約1分以内で細胞密度を計測することは通常重要でないため、この桁の遅延時間は一般的には受入れ可能である。
【0032】
便利なことに、導管は4個〜10個のバッフル、好ましくは4個〜8個のバッフル、最も好ましくは4個〜6個のバッフルを含む。好ましくはバッフルは、曲がりくねったまたは蛇行した流体流路を導管内に作り出すように重なるよう配される。好ましくは、これらのバッフルは一般的に楕円形状であり、チューブの内径と実質的に均等な幅を有する。1つの好ましい実施形態では、導管は円形の断面を有する本質的に円筒形であり、バッフルの1つ以上の各々は導管の内径の55%と75%との間にわたって延在する。1つの好ましい実施形態では、バッフルは導管の壁に対して45°で位置決めされる。
【0033】
この発明に従えば、好ましくは、泡排除装置のスリーブとプローブの外側表面との間に流体密封が与えられる。流体密封を与えることは、泡排除装置内における流体の流れを規制することにおいて重要であり、未規制の手段によって気泡が外部の媒体からプローブ内に入るのを防ぐ。好ましい実施形態では、流体密封は、シリコーンまたはゴムのOリング、ジュビリークリップを用いてか、または金属溶接などによって与えられる。
【0034】
泡排除装置の放出口は典型的には、非水密封または内蔵式の統合機構として設けられてもよい。
【0035】
上述したように、一般的には、泡排除装置を通る液体の流れは最上部から最下部にであるが、流れの方向は、発酵槽における装置の周りの厳密な局在化された条件に依存して逆になり得る。したがって、実際には「放出口」はしばしば吸入口として機能し得る。
【0036】
好ましくは、使用時には、放出口は泡排除装置の下側上に設けられる。より好ましくは、放出口は導管と垂直に実質的に整列される。より好ましくは、放出口は垂直面において導管と実質的に整列される。一実施形態では、放出口は、当該放出口から離れるように液体における泡を偏向するよう機能する傾斜が設けられたカバーによって規定および取囲まれる。好ましくは、放出口に対するこのカバーの角度は30°と60°との間であり、より好ましくは40°と50°との間であり、最も好ましくは約45°である。結果として、如何なる上昇する泡も開口部を通り抜けるのではなく、開口部から離れるよう偏向される傾向になる。
【0037】
放出口は開口部を含み、清掃および排出目的のために、当該開口部を泡排除装置の最低点に設けることが望ましい。泡排除装置の最低点に設けられる開口部がない場合、流体が装置内に閉じ込められ、汚染に繋がり得る。
【0038】
プローブ内への泡の導入を低減または防止するよう、放出口の開口部は小さいのが望ましい。しかしながら、開口部が小さくなればなるほど、泡排除装置およびプローブ組合せを通る流れに対する抵抗が大きくなる。排除装置/プローブ組合せを通る液体培地の妥当な流量を達成するのが望ましいので、プローブは、泡排除装置の外側で全体として培養物を代表する定期的に変化する培地と接触する。典型的には、放出口の開口部は円形であり、0.5mmと1.5mmとの間、より好ましくは0.8mmと1.2mmとの間、最も好ましくは約1mmの半径を有する。これにより、約0.80mm2〜7.07mm2、好ましくは約2.01mm2〜4.43mm2、最も好ましくは約3.14mm2の断面領域を与える。均等な断面領域の他の形状の開口部が設けられてもよい。
【0039】
一実施形態では、放出口はプローブの試料採取アパーチャの下に円筒形のチューブを含む。望ましくは、当該チューブの長さは最小に保たれ、これにより泡排除装置を通る流れに対する抵抗を最小にする。好ましくは、このチューブは1mmと2mmとの間、より好ましくは1.2mmと1.8mmとの間、最も好ましくは約1.4mmの長さを有し、放出口の開口部よりも断面が幅広く、これにより流れに対する抵抗を最小にする。
【0040】
泡排除装置を通る液体の流れは、試料採取アパーチャの上および下にそれぞれ位置する導管および放出口のみを経由するのが望ましい。したがって、一実施形態では、液体および気泡がこのルートによって入り得ないように、試料採取アパーチャの両側上において、プローブと泡排除装置のスリーブとの間に密封が与えられる。好ましくは、流体密封が、シリコーンまたはゴムのOリングを用いて、試料採取アパーチャのいずれの側にも与えられる。Oリングの間の試料採取アパーチャの周りには、最小の摩擦損失で、液体が流れるための十分な空間がなければならない。
【0041】
一実施形態では、導管内の第1のバッフルとスリーブとの間に空間が設けられる。これには、導管に入る気泡が、バッフルに到達する前に上方向のベロシティを得るという利点がある。
【0042】
従来では、光学プローブの包含のための手段を含む発酵槽が作製され得る。通常、これは、発酵槽の壁を通るように設けられる腔またはアパーチャの形態を取る。しかしながら、この発明の泡排除装置/プローブ組合せの寸法は、典型的には大き過ぎるため、当該組合せがこのような腔またはアパーチャを通るのを可能にすることはできない。したがって、便利なことに、泡排除装置はプローブが発酵槽の中に挿入された後でプローブに取付けられる。代替的には、泡排除装置のスリーブが、発酵槽への挿入の前にプローブに取付けられてもよく、その後に導管が取付けられてもよい。いくつかの実施形態では、発酵槽の中へのプローブの挿入の後にプローブに吸入口手段が取付けられる。
【0043】
いくつかの実施形態では、発酵槽に泡排除装置/プローブ組合せの挿入を可能にするアパーチャまたは腔は、プローブに垂直な態様で取付けられる導管および/または放出口が、泡排除装置からの気泡の放出を可能とするよう実質的に垂直かつ最良の向きになるように、概して水平である。しかしながら、プローブに対応するアパーチャまたは腔を有する発酵槽を作製ことも公知であり、当該アパーチャまたは腔は水平ではないが、発酵槽の壁に対して斜めの角度で傾斜し、典型的には下方向に傾斜する。この発明の泡排除装置/プローブ組合せがこのような発酵槽とともにを用いるために最適化されるよう、導管および放出口は、理想的には、泡排除装置/プローブ組合せが発酵槽においてその場(in situ)にある際、導管および放出口は垂直面において実質的に整列するように、プローブの軸に対してある角度で設けられるべきである。都合のよいことに、発酵槽において用いられる標準の角度は一般的に数が限られており、そのためプローブ/導管/放出口組合せの対応する制限された範囲が達成され、それは任意の発酵槽を用いるのに好適なプローブ/導管/放出口組合せを提供するであろう。代替的には、導管および放出口がプローブの位置にかかわらず実質的に垂直な向きに置かれ得るように、各々がプローブの軸に対して異なる角度にある複数の向きにおいてプローブの本体に取付け可能である導管および/または放出口を含む泡排除装置/プローブ組合せを作ることも可能である。
【0044】
典型的には、この発明の泡排除装置/プローブ組合せは、哺乳動物の細胞、酵母の細胞、黴の細胞、細菌の細胞、または昆虫の細胞の成長を観測するのに用いられてもよい。
【0045】
さらに別の局面では、この発明は、上で規定したこの発明の第2の局面に従った泡排除装置/プローブ組合せを含む発酵槽容器を提供する。望ましくは、この発明の発酵槽は攪拌槽を含む。好ましくは、当該発酵槽内の培地が攪拌されるスピードは、成長させる細胞
のタイプに依存する態様で調整されてもよい。典型的には、攪拌スピードは酵母の細胞の成長の間は500rpmと800rpmとの間に設定され、細菌の細胞の成長の間は100rpmから500rpmに設定され、哺乳動物の細胞の成長の間は100rpmより小さく設定される。酵母の細胞の成長の間は、酸素の飽和を維持するようにより速いスピードが必要とされる。対照的に、哺乳動物の細胞の成長の間は、これらの細胞がせん断力に対して非常に敏感であるので、はるかに低いスピードが用いられる。
【0046】
有利なことに、この発明は、プローブにおける光路の大きさに依存して、0.1から20の光学濃度(OD)単位の範囲にわたって正確である。
【0047】
有利なことに、この発明は、培養物の細胞密度の連続的なオンライン計測のための泡排除装置/プローブ組合せを提供する。これにより、試料をオフラインでテストするために細胞の成長の間に培地のアリコートを取除かなければならないか、または当該試料を間欠的にガス抜きしなければならず、そのため光学濃度の計測が連続的ではない先行技術に関連付けられる要件が回避される。有利なことに、導管および吸入口手段は、排除されなければ光学濃度計測の正確性に干渉する気泡をプローブから連続的に排除する。したがって、この発明の泡排除装置/プローブ組合せは、細胞の培養物の成長の信頼可能かつ正確な計測を提供する。
【0048】
便利なことに、(高密度の微生物に対する攪拌および露出に晒される)発酵槽内におけるこの発明の泡排除装置/プローブ組合せの部分は、移動部分および/または電子部品を含まない。これには、この発明の泡排除装置/プローブ組合せが当該技術において公知である他のプローブと比較するとより強固であるという利点がある。
【0049】
第4の局面では、この発明は、この発明の第2の局面に従った泡排除装置/プローブ組合せを用いて、好気性発酵の間に培養物の細胞密度を観測する方法を提供する。
【0050】
第5の局面では、この発明は、プローブから泡を排除する方法を提供し、当該方法は、泡排除装置/プローブ組合せの形態で、プローブと作動可能関係になるよう泡排除装置を取付けるとともに、泡を含む液体培地内で前記組合せを用いるステップを含む。
【0051】
第6の局面では、この発明は、第1の局面に従った泡排除装置または第2の局面に従った泡排除装置/プローブ組合せを作製する方法を提供する。泡排除装置を作成する方法は、好適な導管および好適な放出口をスリーブに結合させるステップを含む。泡排除装置/プローブ組合せを作製する方法は、好適な導管および好適な放出口を作動可能な関係で好適な細胞密度計測プローブに結合させるステップを含む。
【0052】
疑念を避けるために、「好ましい」、「便利である」、「望ましい」、「有利である」などと本明細書で記載されるこの発明の如何なる特徴も、文脈がそうではないと示していなければ、この発明において単独でまたはそのように記載される任意の他の特徴と任意に組合されて用いられてもよい。
【0053】
ここで、例示目的で、この発明を添付の図面を参照して記載する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0054】
実施例1
図1および図2は、この発明の好ましい実施形態に従った泡排除装置/プローブ組合せの構成要素のいくつかを概略的に示す。詳細には、図1は光学プローブ(6)の外側表面(4)に取付けられる吸入口導管(2)を示す。光学プローブ(6)は、矢印(10aおよび10b)で示されるように、逆の方向に光を透過する2つの平行な光路(8aおよび
8b)を含む。2つのプリズム(12aおよび12b)が光学プローブ(6)の一端に設けられ、光路(8a)の方向が逆になるように光を反射する。チューブまたはスリーブ(14)が光ファイバ(8aおよび8b)の周りに設けられ、光学プローブ(6)およびプリズム(12aおよび12b)が、締付具(18)によって適切な位置に保持されるケーシング(16)内に固定される。導管(2)は、上方向に傾斜するような角度で位置する複数のバッフル(20)を含む。この導管(2)は、2つのゴムのOリング(22)によって与えられる流体密封によって光学プローブ(6)に取付けられ、実質的に垂直な向きに、当該プローブの軸に対して概して垂直に位置する。
【0055】
図2は、光学プローブ(6)の外側領域の下側表面に取付けられる放出口(19)を示す。チャネル(21)がこの放出口(19)内に設けられ、プローブの外側表面から放出口(19)の底部まで延在する。放出口(19)の底部には開口部(23)が設けられる。
【0056】
使用時には、泡排除装置/プローブ組合せは発酵槽内に位置し、培地は泡排除装置の吸入口を介してプローブの試料採集アパーチャ(図1の24)に自由に入る。試料採取アパーチャ(24)は、培地の試料を光路が通るように位置決めされる。光学プローブ(6)は、培地の光学濃度を計測する分光光度計(図示せず)に結合され、これにより培地内の細胞の密度の計測値を提供する。培地の光学濃度はある期間にわたって計測され、これにより培養物の細胞密度の連続的なオンライン計測を可能にする。
【0057】
吸入口導管(2)は、光学プローブ(6)の光路の近傍の如何なる気泡も、周りの培地よりも密度が低いため上昇するという当該気泡の自然の傾向によって、出て行くようにするよう、試料採取アパーチャ(図1の24)の上に位置決めされる。バッフル(20)の連なりは、培地から試料採取アパーチャへの気体の望ましくない導入を制限しつつ、気泡の上方向への移動のための道を提供する。気泡が試料採取アパーチャに入ることになる統計学的な可能性は、導管(2)に存在するバッフルの数の対応する増加とともに減少する。さらに、これらバッフルの長さが重なっているために、気泡が当該システムに入るための真っ直ぐな道がない。培地の攪拌は、導管(2)の先端部にわたって吸引効果を作り出し、これは試料採取アパーチャ(24)での培地の補充を促進する。したがって、システムの流体力学は、リアルタイムで(重大な遅延なく)試料採取アパーチャを補充するのに十分である。
【0058】
したがって、泡排除装置の導管および放出口は、泡がプローブと相互作用するのを防止または低減するよう機能し、これにより、曝気された発酵槽内の細胞の成長の間に光学濃度の正確な計測を可能にする。
【0059】
実施例3
泡排除手段の別の実施形態が図3aおよび図3bに示される。
【0060】
図3aでは、円筒形の吸入口導管(2)には、導管内に水平に配される複数の有孔金属板(30)が設けられる。各板(30)は円形であり、単一の相対的に大きい孔(32)を含む。孔(32)も円形であり、4mm〜6mmの直径である。孔(32)は、連続する板(30)の交互の側に対して配置され、これにより導管内に蛇行流路を確立する。
【0061】
図3bに図示される構成は本質的には同様であるが、この実施形態では板(30)がある角度で配置される点は異なる。したがって板(30)は、必ず形状が楕円状である。板(30)が傾斜している構成は、図3aにおいて図示される水平な構成よりも好ましい。なぜならば、この傾斜は板(30)の下側に対して留まっている如何なる浮力のある気泡も上方向に移動するのを促すであろうからである。
【0062】
実施例4
プラスミドpYES3−Paac2−N6His−aac3またはプラスミドpYES3−Paac2−N9His−aac3のいずれかで形質転換されるサッカロマイセス・セレビシエ株WB12の成長特性が、2つの別個の発酵実験において測定された。両方の場合、同じタンパク質、すなわちミトコンドリアADP/ATP担体が発現されたが、これは6つまたは9つのヒスチジン残留物をそれぞれ含む、異なる長さのヒスチジン標識を有する。これらの株の厳密な性質は、この発明にとって重要ではない。すなわち、当該実施例の目的は、この発明に従った泡排除装置/プローブ組合せを用いて得られ得る典型的な結果および高精度を説明することであるからである。
【0063】
サッカロマイセス・セレビシエ細胞を、以下の成分を含む培地において、以下に特定される条件下で成長させた。
【0064】
培地:2g/l細菌性ペプトン、1g/l酵母抽出、0.2g/lアデニン、3g/lグリセロール、20ml/lエタノール(殺菌後に添加)、および2ml〜3ml消泡Aエマルジョン。蒸留水を用いて、これらすべてで1リットルまで作製した。
【0065】
発酵条件:30℃、pH5.0、dO2 80%、攪拌100rpm〜800rpm、および空気の流量0〜15l/分(0〜0.5vvm)。
【0066】
dO2を約80%に維持するよう制御ループを用いて攪拌および空気の流量を変動した。発酵の間に培地のpHを制御するよう、5M水酸化ナトリウムと10%リン酸との水溶液のアリコートを必要に応じて加えた。
【0067】
用いた発酵槽は、ADI1030バイオコントローラ(Bio Controller)を有する(ワーキングボリュームが30lである)40lアプリコン(Applikon)ADI1075であった。
【0068】
用いた光ファイバモジュラ分光計は、ツァイス(Zeiss)ASPECT・プラス・ソフトウェアv.1.62を用いる、PCIインターフェイスカードを経由してコンピュータに接続されるツァイスMCS500であった。用いたプローブは、この発明に準拠するよう、図1に図示されるように本質的には泡排出導管と嵌め合される(660nmで1mmの光学光路を有する)ヘルマ(Hellema)661.760−UV液浸プローブであった。
【0069】
図4は、いずれかのプラスミドで形質転換されるサッカロマイセス・セレビシエWB12の成長曲線を示す。結果から、3つのヒスチジン残留物の添加により、細胞について観察された倍加時間Δt2の値において差が引起されたのがわかり得る。詳細には、pYES3−Paac2−N6His−aac3で形質転換された細胞は、3.53時間のΔt2値を有し、pYES3−Paac2−N9His−aac3で形質転換された細胞は3.98時間のΔt2値を有した。これは、タンパク質の発現に応答する細胞の成長を評価する際におけるこの発明のプローブの精度を証明する。発酵の間、計測は連続的になされた。しかしながら、得られた値は1分間隔でグラフ上に表示される。
【0070】
図5および図6は、(時間(hour)単位での)時間に対する(600nmでの)光学濃度のグラフであり、同様の状況下で得られたサッカロマイセス・セレビシエ株W303およびサッカロマイセス・セレビシエ株YHM1の成長曲線をそれぞれ示す。読取値は、この発明に従った泡排除装置と嵌め合わされる(ダークプロット)か、またはそれと嵌め合わされない(ライトプロット)プローブを用いて取られた。特に発酵の最初の約24時間内では、泡排除装置の利用によってはるかにより正確かつ再現可能なODの読取値が可能
になったということは容易に明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】この発明に従った、培養物の連続的な計測のための泡排除装置/プローブ組合せの構成要素のいくつかの概略図である。
【図2】この発明に従った、培養物の連続的な計測のための泡排除装置/プローブ組合せの構成要素のいくつかの概略図である。
【図3a】この発明の泡排除装置に存在してもよい泡排除手段の他の実施形態の図である。
【図3b】この発明の泡排除装置に存在してもよい泡排除手段の他の実施形態の図である。
【図4】この発明の第1の局面に従った光学プローブを用いてOD(660nm)の計測によって連続的に観測されるサッカロマイセス・セレビシエ細胞の、発酵実験の間における成長を示すグラフの図である。
【図5】発酵実験の間のサッカロマイセス・セレビシエの株についての、時間(時間;hour)に対するOD(600nm)のグラフの図である。
【図6】発酵実験の間のサッカロマイセス・セレビシエの株についての、時間(時間;hour)に対するOD(600nm)のグラフの図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体培地における培養物の細胞密度の連続的な計測のためのプローブとともに用いるために、かつ前記プローブに取付けるために適合される泡排除装置であって、液体の流れが前記装置を通るのを可能にする吸入口および放出口と、前記装置の外側の前記液体培地からの泡の移入を低減または防止する泡排除手段とを含む、泡排除装置。
【請求項2】
培養物の細胞密度の連続的な計測のためのプローブと組合され、前記プローブは、前記プローブが前記培養物の特性を計測するのを可能にするよう、前記泡排除装置のスリーブ内の前記培養物に晒される試料採取アパーチャを含む、請求項1に記載の泡排除装置。
【請求項3】
前記プローブは光学プローブである、請求項2に記載の泡排除装置/プローブ組合せ。
【請求項4】
前記プローブは1つ以上の光ファイバを含む、請求項2または請求項3に記載の泡排除装置/プローブ組合せ。
【請求項5】
前記プローブは培地の光学濃度を計測する、請求項2、3、または4のいずれか1つに記載の泡排除装置/プローブ組合せ。
【請求項6】
前記プローブは、反対の方向に光を透過する2つの光ファイバによって少なくとも部分的に構成される光路を含む、請求項2から請求項5のいずれか1つに記載の泡排除装置/プローブ組合せ。
【請求項7】
前記光路は前記試料採取アパーチャを通り、前記光路に沿って進む光は、前記プローブの端部領域に設けられる2つのプリズムによって180°まで反射され、そのため前記光路の方向は逆になる、請求項6に記載の泡排除装置/プローブ組合せ。
【請求項8】
分光光度計をさらに含む、請求項2から請求項7のいずれかに記載の泡排除装置/プローブ組合せ。
【請求項9】
前記分光光度計は前記プローブの統合構成要素である、請求項8に記載の泡排除装置/プローブ組合せ。
【請求項10】
前記分光光度計は、1つ以上の光ファイバによって前記プローブの残りの部分に光学的に連結される、請求項8に記載の泡排除装置/プローブ組合せ。
【請求項11】
前記プローブは、所望の波長にて前記培地の光学濃度を計測する、請求項2から請求項10のいずれか1つに記載の泡排除装置/プローブ組合せ。
【請求項12】
前記培地は、前記培地の光学濃度の連続的な計測を可能とするよう、前記試料採取アパーチャと連続的に流体連通する、請求項2から請求項11のいずれか1つに記載の泡排除装置/プローブ組合せ。
【請求項13】
前記試料採取アパーチャは、光学濃度計測のために2mmの経路長を作り出す、請求項2から請求項12のいずれか1つに記載の泡排除装置/プローブ組合せ。
【請求項14】
前記試料採取アパーチャは、光学濃度計測のために1mmの経路長を作り出す、請求項2から請求項12のいずれか1つに記載の泡排除装置/プローブ組合せ。
【請求項15】
使用時には実質的に垂直になるように配される導管を含む、請求項2から請求項14の
いずれか1つに記載の泡排除装置/プローブ組合せ。
【請求項16】
前記泡排除手段は、複数のバッフル、および/もしくは複数の有孔板、ならびに/または前記液体培地に存在する泡の大部分の直径よりも小さい断面を有するチャネルを含む、請求項1に記載の泡排除装置または請求項2〜請求項15のいずれか1つに記載の泡排除装置/プローブ組合せ。
【請求項17】
前記泡排除手段は、上方向に傾斜するように前記導管の軸に対してある角度で設けられるバッフルを含む、請求項1に記載の泡排除装置または請求項2から請求項16のいずれか1つに記載の泡排除装置/プローブ組合せ。
【請求項18】
前記導管は4個から10個のバッフルを含む、請求項1に記載の泡排除装置または請求項17に記載の泡排除装置/プローブ組合せ。
【請求項19】
前記導管は4個から8個のバッフルを含む、請求項17もしくは請求項18に記載の泡排除装置または泡排除装置/プローブ組合せ。
【請求項20】
前記導管は4個から6個のバッフルを含む、請求項17もしくは請求項18に記載の泡排除装置または泡排除装置/プローブ組合せ。
【請求項21】
前記バッフルの少なくともいくつかは、前記導管内において前記バッフルの間に、曲がりくねったまたは蛇行した流路を作り出すように重なるよう配される、請求項17から請求項20のいずれか1つに記載の泡排除装置または泡排除装置/プローブ組合せ。
【請求項22】
前記導管は円形の断面を有する本質的に円筒形であり、前記バッフルの1つ以上は前記導管の内径の55%と75%との間にわたって延在する、請求項1に記載の泡排除装置または請求項17から請求項21のいずれか1つに記載の泡排除装置/プローブ組合せ。
【請求項23】
少なくとも1つの流体密封が、前記泡排除装置とプローブの本体の外側表面との間に与えられる、請求項2から請求項22のいずれか1つに記載の泡排除装置/プローブ組合せ。
【請求項24】
流体密封が、前記試料採取アパーチャの各側に与えられる、請求項23に記載の泡排除装置/プローブ組合せ。
【請求項25】
導管において、第1のバッフルと前記試料採取アパーチャとの間に空間が設けられる、請求項2から請求項24のいずれか1つに記載の泡排除装置/プローブ組合せ。
【請求項26】
前記放出口は非水密封として設けられる、請求項1に記載の泡排除装置または請求項2から請求項25のいずれか1つに記載の泡排除装置/プローブ組合せ。
【請求項27】
前記放出口は内蔵式の統合機構として設けられる、請求項1に記載の泡排除装置または請求項2から請求項25のいずれか1つに記載の泡排除装置/プローブ組合せ。
【請求項28】
前記放出口は前記泡排除装置上の構造として設けられる、請求項1に記載の泡排除装置または請求項2から請求項25のいずれか1つに記載の泡排除装置/プローブ組合せ。
【請求項29】
前記放出口は前記泡排除装置の下側上に設けられる、請求項1に記載の泡排除装置または請求項2から請求項28のいずれか1つに記載の泡排除装置/プローブ組合せ。
【請求項30】
前記放出口は前記導管または吸入口と垂直に実質的に整列する、請求項1に記載の泡排除装置または請求項2から請求項29のいずれか1つに記載の泡排除装置/プローブ組合せ。
【請求項31】
前記放出口は前記導管と垂直面で実質的に整列する、請求項1に記載の泡排除装置または請求項2から請求項30のいずれか1つに記載の泡排除装置/プローブ組合せ。
【請求項32】
前記放出口は、前記放出口から離れるように前記液体における前記泡を偏向するよう機能する、傾斜が設けられたカバーによって部分的に規定および取囲まれる、請求項1に記載の泡排除装置または請求項2から請求項31のいずれか1つに記載の泡排除装置/プローブ組合せ。
【請求項33】
前記放出口に対する前記カバーの角度は30°と60°との間である、請求項32に記載の泡排除装置または泡排除装置/プローブ組合せ。
【請求項34】
前記放出口に対する前記カバーの前記角度は40°と50°との間である、請求項33に記載の泡排除装置または泡排除装置/プローブ組合せ。
【請求項35】
前記放出口に対する前記カバーの前記角度は約45°である、請求項33に記載の泡排除装置または泡排除装置/プローブ組合せ。
【請求項36】
前記泡排除装置の最低点に設けられた開口部を含む、先行する請求項のいずれか1つに記載の泡排除装置または泡排除装置/プローブ組合せ。
【請求項37】
前記開口部は円形であり、0.5mmと1.5mmとの間の半径を有する、請求項36に記載の泡排除装置または泡排除装置/プローブ組合せ。
【請求項38】
前記開口部は円形であり、0.8mmと1.2mmとの間の半径を有する、請求項37に記載の泡排除装置または泡排除装置/プローブ組合せ。
【請求項39】
前記開口部は円形であり、約1mmの半径を有する、請求項37に記載の泡排除装置または泡排除装置/プローブ組合せ。
【請求項40】
前記放出口は、前記プローブの前記試料採取アパーチャの下に円筒形のチューブを含む、請求項27から請求項39のいずれか1つに記載の泡排除装置/プローブ組合せ。
【請求項41】
前記円筒形のチューブは1mmと2mmとの間の長さを有する、請求項40に記載の泡排除装置/プローブ組合せ。
【請求項42】
前記円筒形のチューブは1.2mmと1.8mmとの間の長さを有する、請求項41に記載の泡排除装置/プローブ組合せ。
【請求項43】
前記円筒形のチューブは約1.4mmの長さを有する、請求項41に記載の泡排除装置/プローブ組合せ。
【請求項44】
流体密封が前記試料採取アパーチャの各側に与えられる、請求項2から請求項43のいずれか1つに記載の泡排除装置/プローブ組合せ。
【請求項45】
前記流体密封は、シリコーンまたはゴムのOリングを用いて、前記試料採取アパーチャの各側に与えられる、請求項44に記載の泡排除装置/プローブ組合せ。
【請求項46】
請求項1に記載の泡排除装置、または請求項2から請求項45のいずれか1つに記載の泡排除装置/プローブ組合せを含む、発酵槽。
【請求項47】
前記泡排除装置または泡排除装置/プローブ組合せは、前記発酵槽によって規定される体積内に全体としてまたは実質的に存在する、請求項46に記載の発酵槽。
【請求項48】
前記泡排除装置または泡排除装置/プローブ組合せは発酵槽の外側にあるが、パイプ、チューブ、または他の流体流れチャネルを用いて、前記培地と連続的な流体連通をする、請求項46に記載の発酵槽。
【請求項49】
好気性発酵の間に培養物の細胞密度を観測する方法であって、請求項2〜請求項45のいずれか1つに記載の泡排除装置/プローブ組合せの利用を含む、方法。
【請求項50】
培養物の細胞密度の連続的な計測を伴う、請求項49に記載の培養物の細胞密度を観測する方法。
【請求項51】
培養物の細胞密度のオンライン計測を伴う、請求項49または請求項50に記載の培養物の細胞密度を観測する方法。
【請求項52】
前記培養物の透過率の直接的な読取値を取ること、または光学濃度値を計算することのいずれかによって前記培地の前記細胞密度の計測をすることを伴う、請求項49、請求項50、または請求項51のいずれか1つに記載の培養物の細胞密度を観測する方法。
【請求項53】
哺乳動物の細胞、酵母の細胞、黴の細胞、細菌の細胞、または昆虫の細胞の成長を観測するのに用いられる、請求項49〜請求項52のいずれか1つに記載の培養物の細胞密度を観測する方法。
【請求項54】
泡を含む液体と流体流れ接触をするプローブから泡を排除する方法であって、前記プローブと作動可能関係になるように、請求項1に記載の泡排除装置を取付けるステップを含む、方法。
【請求項55】
請求項1に記載の泡排除装置を作製する方法であって、好適な吸入口導管および好適な放出口をスリーブに結合させるステップを含む、方法。
【請求項56】
請求項2〜45のいずれか1つに記載の泡排除装置/プローブ組合せを作製する方法であって、請求項1に記載の泡排除装置を好適な細胞密度計測プローブに取付けるステップを含む、方法。
【請求項57】
実質的に、上述され、添付の図面に図示される、泡排除装置。
【請求項58】
実質的に、上述され、添付の図面に図示される、泡排除装置/プローブ組合せ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3a】
image rotate

【図3b】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公表番号】特表2009−527244(P2009−527244A)
【公表日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−555872(P2008−555872)
【出願日】平成19年2月23日(2007.2.23)
【国際出願番号】PCT/GB2007/000618
【国際公開番号】WO2007/096626
【国際公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【出願人】(597166578)メディカル リサーチ カウンシル (60)
【Fターム(参考)】