説明

培養装置および培養装置制御プログラム

【課題】 培養装置の恒温室の酸素濃度を制御し、安定的な培養を可能とすること。
【解決手段】 所定の環境条件に調整された恒温室内で培養容器の試料を培養する培養装置であって、窒素ガスを発生して恒温室に供給する供給部と、ユーザ操作に基づいて、試料の種類、培養容器の種類、試料を培養する培地の種類、培地の培地量、培地に添加される添加物の種類、添加物の特性のうち少なくとも1つを含む培養対象情報と、恒温室内における温度、湿度、二酸化炭素濃度、酸素濃度、窒素濃度のうち少なくとも1つを含む内部環境情報との少なくとも一方を培養情報として取得する取得部と、培養装置の内部環境条件を決定する際に用いる、培養に関する参照情報を記憶する記憶部と、培養情報に基づいて参照情報を参照し、培養に関する培養装置の内部環境条件を決定する決定部と、内部環境条件にしたがって、供給部を制御する供給制御部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の環境条件に調整された恒温室内で培養容器の試料を培養する培養装置、および、培養装置の制御をコンピュータで実現するための培養装置制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、各種の微生物や細胞を培養するために恒温室を備えた培養装置が一般的に知られている(例えば、特許文献1参照)。このような培養装置では、恒温室の環境条件(例えば、温度、湿度、二酸化炭素濃度、酸素濃度、窒素濃度等)を監視し、変化に応じて上記の各パラメータを調整することにより、恒温室の内部を所定の環境条件に保っている。
【0003】
このような培養装置による培養に関して、近年、受精卵やES細胞等の生体試料の培養を行う際に、酸素濃度を通常大気以下の濃度に維持して培養を行う、いわゆる「低酸素培養」が盛んである。
【特許文献1】特開2004−16194号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した低酸素培養においては、培養装置の恒温室の環境条件が変化すると、生体試料の培養に影響を及ぼす可能性がある。そのため、恒温室の環境条件の維持、特に、酸素濃度の制御が重要であることが知られている。上述した公知技術のように、恒温室の内部を所定の環境条件に保つための様々なアプローチが従来から行われているが、低酸素培養においては、特に、恒温室の酸素濃度の厳密な制御が求められている。
【0005】
本発明の培養装置および培養装置制御プログラムは、培養装置の恒温室の酸素濃度を制御し、安定的な培養を可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の培養装置は、所定の環境条件に調整された恒温室内で培養容器の試料を培養する培養装置であって、窒素ガスを発生して前記恒温室に供給する供給部と、ユーザ操作に基づいて、前記試料の種類、前記培養容器の種類、前記試料を培養する培地の種類、前記培地の培地量、前記培地に添加される添加物の種類、前記添加物の特性のうち少なくとも1つを含む培養対象情報と、前記恒温室内における温度、湿度、二酸化炭素濃度、酸素濃度、窒素濃度のうち少なくとも1つを含む環境情報との少なくとも一方を培養情報として取得する取得部と、前記培養装置の内部環境条件を決定する際に用いる、培養に関する参照情報を記憶する記憶部と、前記培養情報に基づいて前記参照情報を参照し、培養に関する前記培養装置の内部環境条件を決定する決定部と、前記内部環境条件にしたがって、前記供給部を制御する供給制御部とを備える。
【0007】
なお、好ましくは、前記培養容器の試料を撮像して観察画像を生成する観察部と、前記観察画像を画像解析して評価する評価部と、前記評価部による評価内容を、新たな前記参照情報として前記記憶部に記憶する記憶制御部とを備えても良い。
【0008】
また、好ましくは、前記培養装置は、第1筐体と、前記第1筐体と隔離して設置される第2筐体とからなるとともに、顕微鏡を具備し、前記顕微鏡は、前記第1筐体内に試料台および前記恒温室を有し、前記第2筐体内に前記試料台の駆動部と前記試料台に載置された試料を観察する顕微鏡の対物レンズの駆動部とを有しても良い。
【0009】
また、上記発明に関する構成を、培養装置の制御をコンピュータで実現するための培養装置制御プログラムに変換して表現したものも本発明の具体的態様として有効である。
【発明の効果】
【0010】
本発明の培養装置および培養装置制御プログラムによれば、培養装置の恒温室の酸素濃度を制御し、安定的な培養を可能とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を用いて本発明の実施形態について説明する。
【0012】
図1は本実施形態の培養装置の全体構成を示す概要正面図である。培養装置は、インキュベータ1と窒素供給装置2とからなる。そして、インキュベータ1は、第1筐体10と、第2筐体11とで構成されている。また、図2は、インキュベータ1の全体構成を示す概要正面図である。
【0013】
第1筐体10は、第2筐体11の上側に配置されている。第1筐体10の内部には、断熱材で覆われた恒温室12が形成されている。第1筐体10の正面側は開口部10aをなしている。そして、この開口部10aは観音開きの正面扉13によって開閉可能に閉塞されている。また、第1筐体10の右側面下寄りの位置には、培養容器(ウエルプレート、フラスコ、ディッシュ等)が通過可能な搬出入口15が形成されている。この搬出入口15は、駆動機構16によりスライドする自動扉17で開閉可能に閉塞されている。さらに、第1筐体10の底面には、後述の顕微鏡ユニット26の配置用の開口部(不図示)が正面からみて左寄りの位置に形成されている。
【0014】
恒温室12の内部の各壁面には、ペルチェ素子等を用いた温度調整装置が複数内蔵されている。温度調整装置の構成は公知技術と同様であるため説明を省略する。また、恒温室12の内部には、噴霧装置等を備えた湿度調整装置が備えられている。湿度調整装置の構成は公知技術と同様であるため説明を省略する。さらに、恒温室12内部の壁面にはガス導入部21が配置されている。ガス導入部21は窒素供給装置2および外気供給装置(不図示)と接続されている。そして、ガス導入部21は各供給装置から恒温室12にガスを導入して、恒温室12内の二酸化炭素濃度、酸素濃度および窒素濃度を調整する。さらに、恒温室12の内側の上面には、恒温室12の内部の環境条件を検出するための内部センサ22が配置されている。
【0015】
第1筐体10の恒温室12内には、収納部23と、容器搬送機構24と、容器搬出入機構25と、顕微鏡ユニット26とが収納される。
【0016】
収納部23は、ストッカー等を備え、第1筐体10の正面からみて恒温室12内の右側に配置される。収納部23の内部は、例えば、複数の棚で上下に区画されている。そして、収納部23には培養容器を水平に収納できるようになっている。また、収納部23の最下段は容器搬出入機構25を配置するスペースとなっている。
【0017】
培養容器は、容器搬送機構24による運搬を容易にするために、例えば、トレー状のホルダー等に載置されて取り扱われる。容器搬送機構24は、第1筐体10の正面からみて恒温室12内の中央に配置される。容器搬送機構24は、不図示の搬送アームやモータ等を備え、培養容器が載置されたホルダーを左右方向、上下方向、前後方向の各方向に移動させることが可能である。したがって、容器搬送機構24は、培養容器が載置されたホルダーを、収納部23、容器搬出入機構25、顕微鏡ユニット26の間で相互に移動可能である。
【0018】
容器搬出入機構25は、収納部23の最下段において搬出入口15の近傍に設置されている。容器搬出入機構25は、培養容器が載置されたホルダーを載置可能な搬送テーブルや搬送テーブルを搬出入口15の外部へ往復動させるモータユニット等を有している。
【0019】
顕微鏡ユニット26は、第1筐体10の正面からみて恒温室12内の左側に配置される。顕微鏡ユニット26は、培養容器等を載置する試料台、照明装置、撮像部等を有している。この顕微鏡ユニット26は第1筐体10の底面の開口部に嵌め込まれて配置されている。そして、試料台や照明装置は第1筐体10の恒温室12内に配置されるが、顕微鏡ユニット26の本体部分は大半が第2筐体11側に収納される。
【0020】
一方、第2筐体11には、上記の顕微鏡ユニット26の本体部分と、培養装置制御ユニット40とが格納されている。なお、図1および図2で示したインキュベータ1は、一例であり、その構成はこの例に限定されない。
【0021】
窒素供給装置2の内部には、窒素ガスをインキュベータ1に供給する窒素供給部50、窒素ガスを発生する窒素発生部51、各部を制御する供給装置制御ユニット60が収納される。
【0022】
窒素供給部50は、窒素発生部51から供給される窒素ガスをインキュベータ1に供給する。なお、窒素供給部50の出力は、インキュベータ1のガス導入部21に接続される。窒素発生部51は、供給装置制御ユニット60の指示に応じて、窒素ガスを発生する。なお、窒素発生部51により発生した窒素ガスは、窒素供給部50に供給される。窒素発生部51による窒素ガスの発生量等は、供給装置制御ユニット60の指示にしたがって制御される。
【0023】
図3は、培養装置におけるインキュベータ1と窒素供給装置2との関係を示すブロック図である。
【0024】
インキュベータ1の培養装置制御ユニット40は、培養装置CPU41と、操作部42と、表示パネル43と、参照情報記憶部44とを有している。培養装置CPU41は、駆動機構16、ガス導入部21、内部センサ22、容器搬送機構24、容器搬出入機構25、顕微鏡ユニット26と接続されている。そして、培養装置CPU41は所定のプログラムにしたがって上記各部を制御する。
【0025】
操作部42はキーボード等の入力手段を有しており、培養装置CPU41を介してインキュベータ1の各部を動作させる。すなわち、培養装置CPU41は、操作部42からの入力に基づき、恒温室12内の環境条件の調整、恒温室12内外への培養容器の搬出入、培養容器の試料の観察、恒温室12内での培養容器の搬送等の動作を実行する。また、表示パネル43は培養装置CPU41から出力された恒温室12の環境条件等を出力表示する。参照情報記憶部44は、後述する内部環境条件の決定に用いる参照情報を予め記憶する。参照情報の詳細および参照情報の利用方法に関する詳細は後述する。
【0026】
窒素供給装置2の供給装置制御ユニット60は、供給装置CPU61を有している。供給装置CPU61は、窒素供給部50および窒素発生部51と接続されている。そして、供給装置CPU61は所定のプログラムにしたがって上記各部を制御する。また、培養装置CPU41と供給装置CPU61とは相互に接続される。
【0027】
以下、本実施形態の培養装置の動作を説明する。まず、培養装置の各部の基本的な動作について簡単に説明する。
【0028】
培養装置の動作時には、培養装置CPU41は内部センサ22により恒温室12内の環境条件を監視する。環境条件に変動がある場合には、培養装置CPU41は不図示の温度調整装置、湿度調整装置、ガス導入部21のいずれかを動作させて恒温室12内の環境条件を一定に調整する。なお、培養装置CPU41は、ガス導入部21を動作させる場合には、供給装置CPU61に指示を行い、窒素供給装置2を動作させる(詳細は後述する)。
【0029】
操作部42から培養容器の搬送指示がある場合、CPUは容器搬送機構24のモータをそれぞれ駆動させて培養容器や培養容器が載置されたホルダーを搬送する。このとき、容器搬送機構24は、(1)収納部23内での培養容器の入れ替え、(2)容器搬出入機構23への培養容器の受け渡し、(3)顕微鏡ユニット26への培養容器の受け渡し、のいずれかを実行する。
【0030】
操作部42から培養容器の観察指示がある場合、培養装置CPU41は顕微鏡ユニット26を動作させて培養容器の試料を観察する。このとき、培養装置CPU41は顕微鏡ユニット26の照明装置で試料を照明する。そして、培養装置CPU41は操作部42からの指示に応じて試料台を水平方向に移動させる。これにより、培養容器の任意位置における試料の観察が可能となる。また、培養装置CPU41は、操作部42からの指示に応じて撮像部を駆動し観察画像を生成する。
【0031】
操作部42から培養容器の搬出指示がある場合、培養装置CPU41は駆動機構16を動作させて自動扉17を開放する。そして、培養装置CPU41は容器搬出入機構25のモータユニットを駆動させて搬送テーブルの培養容器およびホルダーを恒温室12外に搬出する。同様に、操作部42から培養容器の搬入指示がある場合、培養装置CPU41は容器搬出入機構25のモータユニットを駆動させて搬送テーブルの培養容器およびホルダーを恒温室12内に搬入する。そして、培養装置CPU41は駆動機構16を動作させて自動扉17を閉鎖する。
【0032】
次に、培養装置の動作時の培養装置CPU41の動作を、図4のフローチャートを参照して説明する。
【0033】
まず、ステップS1において、培養装置CPU41は、操作部42を介したユーザ操作に基づいて、培養情報を取得する。
【0034】
培養情報には、培養対象情報と環境情報とが含まれる。培養対象情報は、培養容器において培養される試料の種類(細胞種、菌種等)、培養容器の種類(ウエルプレート、フラスコ、ディッシュ等)、培地の種類、培地に添加される添加物の種類(pH指示薬、血清、各種試薬等)、添加物の特性等の情報である。また、環境情報は、恒温室12内の温度、湿度、二酸化炭素濃度、酸素濃度、窒素濃度等の情報である。
【0035】
ステップS2において、培養装置CPU41は、ステップS1で取得した培養情報に基づいて、参照情報記憶部44に記憶した参照情報を参照し、培養に関する内部環境条件を決定する。
【0036】
参照情報とは、培養に関する内部環境条件を決定するためのデータベースである。参照情報には、培養情報(培養対象情報と環境情報との少なくとも一方)に対応づけて、内部環境条件が定められている。培養装置CPU41は、ステップS1で取得した培養情報に基づいて、この参照情報を参照し、最適な内部環境条件を決定する。例えば、内部環境条件として、温度:37℃、湿度:90%RH、二酸化炭素濃度5%、酸素濃度5%といった数値を決定する。
【0037】
なお、培養に際しては、培地の種類や添加物の種類(培地の組成)によって、培地中と恒温室12内の雰囲気とで二酸化炭素濃度や酸素濃度が異なってしまう場合がある。二酸化炭素濃度に関しては、培地に添加するバッファリング剤等により、この問題を解消する工夫が一般的である。しかし、酸素濃度に関しては、今のところ好適なバッファリング剤がなく、この問題を解消することができない。しかし、参照情報として、培地中と恒温室12内の雰囲気との酸素濃度の差異を記憶しておき、この参照情報を利用して内部環境条件を決定することにより、酸素濃度についても上述の問題を解決することができる。すなわち、ステップS2において決定される二酸化炭素濃度や酸素濃度は、ステップS1において取得した培養情報中の二酸化炭素濃度や酸素濃度とは異なる値に決定される場合もある。
【0038】
ステップS3において、培養装置CPU41は、ステップS2で決定した内部環境条件にしたがって、各部に制御情報を出力する。特に、培養装置CPU41は、ステップS2で決定した酸素濃度にしたがって、供給装置CPU61に制御情報を出力する。供給装置CPU61は、培養装置CPU41から受け付けた制御情報にしたがって窒素発生部51を制御し、窒素ガスを算出させるとともに、窒素供給部50を制御し、窒素ガスをインキュベータ1のガス導入部21に供給する。
【0039】
以上説明した一連の処理により、インキュベータ1における試料の培養状態(内部環境条件)を、培養対象やユーザにより指定された内部環境を反映して、自動的に設定することができる。
【0040】
次に、顕微鏡ユニット26による観察画像の生成時の培養装置CPU41の動作を、図5のフローチャートを参照して説明する。
【0041】
ステップS11において、培養装置CPU41は、顕微鏡ユニット26から観察画像を取得する。
【0042】
ステップS12において、培養装置CPU41は、ステップS11において取得した観察画像を画像解析して評価する。例えば、培養装置CPU41は、観察画像から試料が含まれる領域を抽出し、試料の生育状態(生育数、サイズ等)や汚染の有無等を検出する。そして、検出結果に基づいて培養状態を評価する。
【0043】
ステップS13において、培養装置CPU41は、ステップS12における評価内容を新たな参照情報として参照情報記憶部44に記憶する。
【0044】
以上説明した一連の処理により、インキュベータ1において培養を行うたびに、新たな参照情報を追加し、以降の培養時に利用することができる。
【0045】
以上説明したように、本実施形態によれば、培養対象情報と環境情報との少なくとも一方を培養情報として取得する。そして、取得した培養情報に基づいて予め記憶された参照情報を参照し、培養に関する内部環境条件を決定する。さらに、決定した内部環境条件にしたがって、窒素ガスを恒温室に供給する供給部を制御する。したがって、恒温室の酸素濃度を制御し、安定的な培養を可能とすることができる。特に、低酸素培養等、恒温室の環境条件のさらに厳密な維持が求められる状況にも対応することができる。
【0046】
また、本実施形態によれば、培養容器の試料を撮像して観察画像を生成し、生成した観察画像を画像解析して評価する。そして、評価内容を新たな参照情報として記憶する。したがって、培養を行うたびに、新たな参照情報を追加し、以降の培養時に利用することができる。そのため、培養時に発生した異常等にも対応が可能になるとともに、より好適な内部環境条件を決定することができる。
【0047】
なお、本実施形態の図4のステップS12において説明した画像解析は一例であり、どのような画像解析を行っても良い。また、観察画像そのものを参照情報として記憶する構成としても良い。
【0048】
また、本実施形態では、インキュベータ1の培養装置CPU41をメインCPUとする例を挙げて説明したが、インキュベータ1および窒素供給装置2を統括的に制御するコンピュータのCPUをメインCPUとしても良い。また、窒素供給装置2の供給装置CPU61をメインCPUとしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】培養装置の全体構成を示す概要正面図である。
【図2】インキュベータ1の全体構成を示す概要正面図である。
【図3】培養装置におけるインキュベータ1と窒素供給装置2との関係を示すブロック図である。
【図4】培養装置の動作時の培養装置CPU41の動作を示すフローチャートである。
【図5】観察画像の取得時の培養装置CPU41の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0050】
1…インキュベータ、2…窒素供給装置、12…恒温室、21…ガス導入部、26…顕微鏡ユニット、40…培養装置制御ユニット、41…培養装置CPU、42…操作部、43…表示部、44…参照情報記憶部、50…窒素供給部、51…窒素発生部、60…供給装置制御ユニット、61…供給装置CPU


【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の環境条件に調整された恒温室内で培養容器の試料を培養する培養装置であって、
窒素ガスを発生して前記恒温室に供給する供給部と、
ユーザ操作に基づいて、前記試料の種類、前記培養容器の種類、前記試料を培養する培地の種類、前記培地の培地量、前記培地に添加される添加物の種類、前記添加物の特性のうち少なくとも1つを含む培養対象情報と、前記恒温室内における温度、湿度、二酸化炭素濃度、酸素濃度、窒素濃度のうち少なくとも1つを含む環境情報との少なくとも一方を培養情報として取得する取得部と、
前記培養装置の内部環境条件を決定する際に用いる、培養に関する参照情報を記憶する記憶部と、
前記培養情報に基づいて前記参照情報を参照し、培養に関する前記培養装置の内部環境条件を決定する決定部と、
前記内部環境条件にしたがって、前記供給部を制御する供給制御部と
を備えたことを特徴とする培養装置。
【請求項2】
請求項1に記載の培養装置において、
前記培養容器の試料を撮像して観察画像を生成する観察部と、
前記観察画像を画像解析して評価する評価部と、
前記評価部による評価内容を、新たな前記参照情報として前記記憶部に記憶する記憶制御部とを備える
ことを特徴とする培養装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の培養装置において、
前記培養装置は、第1筐体と、前記第1筐体と隔離して設置される第2筐体とからなるとともに、顕微鏡を具備し、
前記顕微鏡は、前記第1筐体内に試料台および前記恒温室を有し、前記第2筐体内に前記試料台の駆動部と前記試料台に載置された試料を観察する顕微鏡の対物レンズの駆動部とを有する
ことを特徴とする培養装置。
【請求項4】
所定の環境条件に調整された恒温室内で培養容器の試料を培養するとともに、窒素ガスを発生して前記恒温室に供給する供給部を備えた培養装置に対する制御をコンピュータで実現する培養装置制御プログラムであって、
前記試料の種類、前記培養容器の種類、前記試料を培養する培地の種類、前記培地の培地量、前記培地に添加される添加物の種類、前記添加物の特性のうち少なくとも1つを含む培養対象情報と、前記恒温室内における温度、湿度、二酸化炭素濃度、酸素濃度、窒素濃度のうち少なくとも1つを含む環境情報との少なくとも一方を培養情報として取得する取得ステップと、
前記培養情報に基づいて、予め記憶した培養に関する参照情報を参照し、培養に関する内部環境条件を決定する決定ステップと、
前記内部環境条件にしたがって、前記供給部を制御する制御ステップと
をコンピュータで実現することを特徴とする培養装置制御プログラム。
【請求項5】
請求項4に記載の培養装置制御プログラムにおいて、
前記培養容器の試料を撮像して観察画像を生成する観察ステップと、
前記観察画像を画像解析して評価する評価ステップと、
前記評価ステップにおける評価内容を、新たな前記参照情報として記憶する記憶ステップとを有する
ことを特徴とする培養装置制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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