培養観察装置及び情報管理方法
【課題】培養容器に培養される試料と取得されたデータとの取り違えを未然に防止する。
【解決手段】観察対象となる試料が培養された培養容器の種類を選択する第1入力と、前記第1入力により前記培養容器の種類として特定の培養容器が選択された場合に、該特定の培養容器に培養される前記試料の情報を入力する第2入力と受け付ける入力操作部と、前記特定の培養容器を撮像する撮像部と、前記撮像部によって取得される前記特定の培養容器の画像から、前記試料が培養される培養領域の位置を特定する画像解析部と、前記画像解析部により前記位置が特定された培養領域に対して識別情報を付与する情報付与部と、前記操作部により選択された前記培養容器の種類及び前記情報付与部により付与された識別情報を前記試料の情報に関連付けて管理する情報管理部と、を備えたことを特徴とする。
【解決手段】観察対象となる試料が培養された培養容器の種類を選択する第1入力と、前記第1入力により前記培養容器の種類として特定の培養容器が選択された場合に、該特定の培養容器に培養される前記試料の情報を入力する第2入力と受け付ける入力操作部と、前記特定の培養容器を撮像する撮像部と、前記撮像部によって取得される前記特定の培養容器の画像から、前記試料が培養される培養領域の位置を特定する画像解析部と、前記画像解析部により前記位置が特定された培養領域に対して識別情報を付与する情報付与部と、前記操作部により選択された前記培養容器の種類及び前記情報付与部により付与された識別情報を前記試料の情報に関連付けて管理する情報管理部と、を備えたことを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、培養される試料を観察し、観察時に試料の画像などを取得することが可能な培養観察装置及び情報管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
各種の微生物や細胞などの試料をディッシュやフラスコ、ウェルプレートなどの培養容器にて培養し、培養した試料を自動的に観察する培養観察装置が提供されている。このような培養観察装置においては、観察で得られるデータは、容器単位やウェルプレートの1穴毎に管理している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−262856号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような培養容器にて培養される試料には、例えば不妊治療に用いられる卵細胞や再生医療に用いられる細胞など、特定の患者に由来する細胞もある。しかしながら、このような細胞を試料とした観察で得られるデータは、他の試料の観察と同様のデータと同様に管理されることから、ユーザがデータを参照するなどして識別していることが多い。このため、特定の患者に由来する細胞からなる試料を観察して得られるデータが、対応する試料とは異なる試料の観察から得られるデータとして誤って取り扱われる原因となりやすい。
【0005】
本発明は、上述した課題を解決するために発明されたものであり、培養容器に培養される試料と取得されたデータとの取り違えを未然に防止する手段を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の培養観察装置は、観察対象となる試料が培養された培養容器の種類を選択する第1入力と、前記第1入力により前記培養容器の種類として特定の培養容器が選択された場合に、該特定の培養容器に培養される前記試料の情報を入力する第2入力と受け付ける入力操作部と、前記特定の培養容器を撮像する撮像部と、前記撮像部によって取得される前記特定の培養容器の画像から、前記試料が培養される培養領域の位置を特定する画像解析部と、前記画像解析部により前記位置が特定された培養領域に対して識別情報を付与する情報付与部と、前記操作部により選択された前記培養容器の種類及び前記情報付与部により付与された識別情報を前記試料の情報に関連付けて管理する情報管理部と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
また、前記入力操作部は、患者を特定する患者ID情報を入力する第3入力を受け付け、前記情報管理部は、前記第3入力の前記患者ID情報と前記各種情報とを関連付けて管理することが好ましい。
【0008】
また、前記培養容器を複数収納可能な収納部と、前記培養容器を、前記収納部と前記撮像部との間で搬送可能な搬送部と、をさらに備えていることが好ましい。
【0009】
また、前記収納部が設けられ、内部が所定の環境条件に維持可能な恒温室を備え、前記撮像部は、前記恒温室の外部から前記収納部へ搬送する前に前記特定の培養容器を撮像することが好ましい。
【0010】
また、前記搬送部は、前記試料の観察が実行されていない場合に、前記収納部の所定位置に保持される前記特定の培養容器を前記撮像部に向けて搬送し、前記撮像部は、前記搬送部により搬送された前記特定の培養容器を撮像することが好ましい。
【0011】
また、前記試料は、例えば患者由来を特定する必要のある不妊治療に用いられる卵細胞、又は再生医療に用いられる細胞などインキュベータ環境で培養することが必要な浮遊、接着細胞からなることが好ましい。
【0012】
また、本発明の情報管理方法は、観察対象となる試料が培養された培養容器の種類を選択する容器選択工程と、前記培養容器の種類として特定の培養容器が選択された場合に、対応する培養容器に培養された前記試料の情報を入力する入力工程と、前記特定の培養容器として選択された前記培養容器を撮像する撮像工程と、前記撮像工程によって取得される前記培養容器の画像から、前記試料が培養される培養領域の位置を特定し、前記位置が特定された培養領域に対して識別情報を付与する情報付与工程と、少なくとも前記培養容器の種類を示す情報及び前記識別情報を、前記試料の情報に関連付けて管理する管理工程と、を備えたことを特徴とする。
【0013】
また、前記培養容器は、予め設定された領域に収納され、前記撮像工程は、収納された前記培養容器に対して実行されることが好ましい。
【0014】
また、前記培養容器は、予め設定された領域に収納され、前記撮像工程は、前記培養容器を前記予め設定された領域に向けて搬送する前に実行されることが好ましい。
【0015】
また、前記識別情報が付与された培養領域に培養された試料を観察する観察工程と、前記培養領域に培養された試料に対する観察スケジュールの管理を行うスケジュール管理工程と、をさらに備えていることが好ましい。
【0016】
また、前記情報管理部は、前記観察工程にて取得された画像を、前記試料の管理情報に関連付けて記憶することが好ましい。
【0017】
また、前記試料は、例えば患者由来を特定する必要のある不妊治療に用いられる卵細胞、又は再生医療に用いられる細胞などインキュベータ環境で培養することが必要な浮遊、接着細胞からなることが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、特定の培養容器が使用されている場合には、該培養容器に培養される試料に関するデータが一括管理されるので、他の培養容器に培養される試料から取得されたデータとの取り違えを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本実施形態の細胞培養観察装置のブロック図である。
【図2】本実施形態の細胞培養観察装置の正面図である。
【図3】図2において正面扉を開いた状態を示す図である。
【図4】筐体側面方向からみたストッカーを示す図である。
【図5】試料の培養を行う培養容器の一例を示す図である。
【図6】IVF用のディッシュを培養容器とした場合の一例を示す図である。
【図7】(a)容器搬送機構を筐体正面方向から示す図、(b)容器搬送機構を筐体上面方向から示す図である。
【図8】搬送アーム部の構成を示す正面図である。
【図9】搬送アーム部の構成を示す側面図である。
【図10】観察ユニットの構成を示す概略図である。
【図11】登録時の処理の流れを示すフローチャートである。
【図12】ストッカーの収納状態を示す画面の一例を示す図である。
【図13】培養容器の種類を選択する選択画面の一例を示す図である。
【図14】患者IDを入力する入力画面の一例を示す図である。
【図15】ラベリング処理を実行する際の処理画面の一例を示す図である。
【図16】ラベリング処理が終了したときの処理画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本実施形態の細胞培養観察装置の構成を詳細に示す。なお、以下に示す細胞培養観察装置は一例であり、本実施形態に示す細胞培養観察装置の構成に限定されるものではない。図1から図3に示すように、細胞培養観察装置11は、微生物や細胞などの試料を培養する第1筐体12と、制御ユニット14を収納する第2筐体13とを有している。細胞培養観察装置11の組立状態において、第1筐体12は第2筐体13の上部に配置される。
【0021】
第1筐体12は、内部が断熱材で覆われた恒温室15を備えている。この恒温室15は、第1筐体12の正面に形成された正面開口16と、第1筐体12の左側面に形成された搬出入口17とによって外部と連絡している。第1筐体12の正面開口16は、観音開きの正面扉18により閉塞される。また、第1筐体12の搬出入口17は、スライド式の自動扉19によって閉塞される。この搬出入口17の大きさは培養容器30が通過可能なサイズに設定されている。一方、第1筐体12の底面には、正面側からみて右寄りの位置に開口20が形成されている。後述する観察ユニット28は、上記の開口20を介して恒温室15内に配置される。なおこの恒温室15は、図示を省略した温度調整装置、噴霧装置などにより、恒温室15内部の環境条件が予め定めた環境条件となるように維持される。
【0022】
恒温室15の内部には、ストッカー25と、容器搬出入機構26と、容器搬送機構27と、観察ユニット28の一部とがそれぞれ配置される。ストッカー25は、第1筐体12の正面からみて恒温室15の左側に配置される。図4は、筐体側面方向からみたストッカー25を示す図である。ストッカー25は複数の棚を有しており、各々の棚には、培養容器30が載置されたホルダー32を複数収納することができる。なお、このストッカー25においては、予めホルダー32を収納する位置(以下、収納位置)が設けられており、これら複数の収納位置のそれぞれには、各収納位置を示す番号(以下、収納番号)が付されている。このストッカー25の最下段は第1筐体12の搬出入口17の位置に対応している。
【0023】
図5(a)から図5(c)に示すように、培養容器30としては、ディッシュ30a、ウェルプレート30b、フラスコ30cなどが挙げられる。各々の培養容器30には、培養対象となる試料(細胞など)が液体培地とともに保持される。これら培養容器30は、透明なトレー状のホルダー32に載置されて取り扱われる。このホルダー32の両側面にはそれぞれ支持片33が外向きに形成されている。なお、ディッシュ30aは、大きさの異なる複数種類のいずれかが使用されることから、ホルダー32上には、試料及び液体培地が保持された単一のディッシュ30a、又は複数のディッシュ30aが載置される。
【0024】
図6に示すように、培養容器30としてディッシュ30aが用いられる場合には、ディッシュ30aの底面に所定間隔を空けて培養液を滴下することで複数の液体培地31を形成し、形成される全ての液体培地31、或いはその一部に試料を含有させることで試料を培養することも可能である。以下、培養液を滴下することで形成される液体培地31をドロップ31と称して説明する。
【0025】
なお、このようなドロップ31にて培養される試料としては、体外受精(IVF:In Vitro Fertilization)や人工授精(AIH:Artificial Insemination with Husband's semen)などの不妊治療に用いられる卵細胞や、再生医療に用いられる細胞など、特定の患者に由来した細胞が挙げられる。以下、試料として体外受精(以下、IVF)に用いられる卵細胞を用いる場合について説明する。なお、卵細胞を培養するためのディッシュ30aを、IVF用のディッシュ35と称して説明する。
【0026】
容器搬出入機構26は、ストッカー25の最下段に設置される。この容器搬出入機構26は、培養容器30を搬出入するために設けられている。この容器搬出入機構26は、培養容器30およびホルダー32を載置可能な搬送テーブル26aと、搬送テーブル26aを搬出入口17の外部へ往復動させるモータユニット26bとから構成される。
【0027】
容器搬送機構27は、第1筐体12の正面からみて恒温室15の中央に配置される。図7から図9に示すように、容器搬送機構27は、長方形状の基台41と、垂直フレーム42と、搬送アーム部43とを有している。なお、容器搬送機構27の各部は、基台41などに内蔵されたモータ(不図示)によって駆動する。また、容器搬送機構27の各部の位置は、エンコーダなどにより制御ユニット14にモニタされる。
【0028】
基台41には、垂直フレーム42が前後方向(図中のY方向)に移動可能に取り付けられている。垂直フレーム42は上下方向に延長する一対のガイドレールで構成されている。この垂直フレーム42の間には、搬送アーム部43が上下方向(図中のZ方向)に移動可能に取り付けられている。
【0029】
また、搬送アーム部43は、容器支持部44と、摺動機構部45とを有している。容器支持部44の本体は、ホルダー32の全体の幅よりも若干幅広に設定されている。この容器支持部44の両側縁には、下向きに1組の引掛爪46が形成されている。そして、ホルダー32の支持片33と引掛爪46との係合により、容器支持部44はホルダー32を支持できるように構成されている。一方、摺動機構部45は容器支持部44の上面側に配置されており、容器支持部44を左右方向(図中のX方向)に摺動させる。かかる摺動機構部45の動作により、ストッカー25、容器搬出入機構26、観察ユニット28のいずれかと、容器搬送機構27との間で培養容器30を載置したホルダー32の受け渡しが可能となる。
【0030】
観察ユニット28は、第1筐体12の正面からみて恒温室15の右側に配置される。この観察ユニット28は第1筐体12の底面の開口20に嵌め込まれて配置される。この観察ユニット28は、試料台47と、試料台47の上方に張り出したアーム48と、本体部分49とを有している。そして、試料台47およびアーム48は第1筐体12の恒温室15内に配置される一方で、本体部分49は第2筐体13に収納される。
【0031】
図10に示すように、観察ユニット28は、試料台47と、第1照明部51および第2照明部52と、顕微観察部53と、容器観察部54と、画像処理部55とを有している。
【0032】
試料台47は透光性の材質で構成されており、その上に培養容器30がホルダー32ごと載置される。この試料台47は水平方向(X方向およびY方向)に移動可能に構成されており、顕微観察部53および容器観察部54に対してホルダー32の位置を調整することができる。
【0033】
また、第1照明部51はアーム48内に配置されており、試料台47の上側から培養容器30を照明する。一方、第2照明部52は本体部分49に内蔵されており、試料台47の下側から培養容器30を照明する。
【0034】
顕微観察部53は本体部分49に内蔵されており、顕微光学系および撮像素子(いずれも不図示)を有している。この顕微観察部53は、第1照明部51の照明光によって試料を顕微観察した画像を撮像する。
【0035】
容器観察部54はアーム48に収納されており、撮影光学系および撮像素子(いずれも不図示)を有している。容器観察部54は、第2照明部52の照明光によって培養容器30の全体観察した画像を撮像する。この容器観察部54は、新たに搬入された培養容器30がIVF用のディッシュ35となる場合に、該IVF用のディッシュ35に対するマクロ撮影を実行する。
【0036】
画像処理部55は、顕微観察部53および容器観察部54からの画像出力をA/D変換するとともに、顕微観察時の画像データまたは容器観察時の画像データをそれぞれ生成する。なお、これら画像データは、後述するデータベース部62に記憶された管理ファイル64として記憶される。
【0037】
次に、第2筐体13の構成の概要を説明する。第2筐体13には、上記の観察ユニット28の本体部分49と、制御ユニット14とが格納される。また、第2筐体13の前面には、モニタ56aおよび入力部56bを備えた操作パネル56が配置されている。なお、操作パネル56の入力部56bとしてはタッチパネルが挙げられるが、モニタ56aと入力部56bとを個別に設ける場合、入力部56bとしては、キーボードやマウスなどが用いられる。この制御ユニット14には、通信回線57を介してコンピュータ58を接続することも可能である。
【0038】
ここで、制御ユニット14は、自動扉19の扉開閉機構19a、容器搬出入機構26、容器搬送機構27、観察ユニット28、操作パネル56のモニタ56aおよび入力部56bとそれぞれ接続されている。そして、制御ユニット14は、所定のプログラムに従って細胞培養観察装置11の各部を統括的に制御する。一例として、制御ユニット14は、ユーザの設定した観察スケジュールに基づいて、観察ユニット28および容器搬送機構27を制御して、培養容器30の観察シーケンスを自動的に実行する。
【0039】
ここで、制御ユニット14は、通信部61と、データベース部62と、第1メモリ63および第2メモリ64と、CPU65とを有している。なお、通信部61、データベース部62、メモリ63はそれぞれCPU65と接続されている。
【0040】
通信部61は、無線または有線の通信回線57を介して、細胞培養観察装置11の外部にあるコンピュータ58とのデータ送受信を実行する。
【0041】
データベース部62には、恒温室15内での環境条件(温度、湿度、二酸化炭素濃度)の履歴情報などが記憶される。また、データベース部62には、顕微観察部53や容器観察部54による観察により得られた画像データが記憶される。
【0042】
例えば培養容器がIVF用のディッシュ35となる場合には、顕微観察部53や容器観察部54による観察により得られた画像データが、入力部56bにて入力された登録データとまとめられた管理ファイル64として記憶される。登録データは、ホルダー32に載置される培養容器30の種類、形状などの情報、収納位置を示す収納番号の情報、登録した日時の情報などの他に、患者IDや患者名などの患者情報が挙げられる。例えば複数のIVF用のディッシュ35を同一のホルダー32に載置している場合には、画像データは、ホルダー32に載置されるIVF用のディッシュ35毎にまとめられて格納される。この場合、ディッシュ35を識別するための番号(ディッシュ番号)や、後述するラベリング処理により検出される各ディッシュに保持されるドロップ31の位置や、これらドロップ31に付された識別番号の情報などを付帯情報として、各IVF用のディッシュ35に対応する画像データに付与してもよいし、ディッシュ番号毎のフォルダを生成し、生成したフォルダ内に、各ディッシュの画像データや登録情報などを格納することも可能である。
【0043】
なお、管理ファイル64のファイル名としては、患者IDが用いられる。なお、患者IDが「1234678」など7桁の数字で示されるものであれば、管理ファイルのファイル名は、「1234678」となる。また、ホルダー32に複数のIVF用のディッシュ35を載置している場合には、患者IDと、IVF用のディッシュ35のディッシュ番号とがファイル名として用いられる。この場合、患者IDが「1234678」で5個のディッシュを用いている場合には、例えば「1234678 001−005」となる。
【0044】
さらに、複数のホルダー32にIVF用のディッシュ35を載置し、それぞれのホルダー32にて培養観察を行う場合には、例えばホルダー32毎の管理ファイル64が作成される。この場合、1つ目のホルダー64の管理ファイルのファイル名が例えば「1234678 001−005」であれば、2つ目のホルダー64のファイル名が例えば「1234678 006−010」となる。
【0045】
一方、培養容器30がIVF用のディッシュ35以外となる場合には、搬入時に入力部56bによる入力操作によって登録された登録データと容器観察時や顕微観察時に得られる画像データとが対応付けられて記憶される。この場合、登録データとしては、培養容器の種類や収納番号、ホルダー32に載置されたときの識別番号、登録した日時などがとなる。なお、培養容器30として複数のディッシュ30aを用いるのであれば、例えばディッシュ毎に管理ファイルを生成しても良い。
【0046】
本実施形態では、IVF用のディッシュ35の場合にのみデータベース部62に管理ファイル64を生成しているが、IVF用のディッシュ35以外の培養容器30であっても、管理ファイルを生成することも可能である。
【0047】
メモリ63には、上記の観察シーケンスでの観察所要時間を演算するための演算用データや上記の観察シーケンスのスケジュールデータが記録されている。演算用データとしては、例えば培養容器30の搬送時間に関するデータや、観察ユニット28による撮像動作の所要時間に関するデータが挙げられる。また、スケジュールデータは、各々の観察シーケンスの開始時刻および観察所要時間を示す観察スケジュールや観察ユニット28の撮像条件を規定するためのデータである。このスケジュールデータは、上述した管理ファイル64のファイル名と対応付けられて記憶される。なお、スケジュールデータは、管理ファイルと対応付けられていれば良く、例えば管理ファイル64と個別に記憶されていても、管理ファイル64内に記憶しても良い。
【0048】
CPU65は、制御ユニット14の各種の演算処理を実行するプロセッサである。このCPU65は、画像解析部66、演算部67、スケジュール管理部68及びタイマ69の機能を有している。
【0049】
画像解析部66は、後述するラベリング処理が実行されたときに、ユーザの操作による入力部56bの入力操作に基づいて、ホルダー32に載置されるIVF用のディッシュ35の全体観察画像を解析する。この解析により、ホルダー32に載置されるIVF用のディッシュ35に保持されるドロップ31の領域と、ドロップ31が形成されていない領域(以下、背景領域)とが特定される。なお、ラベリング処理時には、入力部56bの入力操作によりドロップ31の位置と背景の位置とが順次指定されていくので、画像解析部66は、指定されたドロップの位置に該当する画素の画素値(RGB値、或いはYCbCr値)と、指定された背景の位置に該当する画素の画素値とを参照して、例えばドロップの位置に該当する画素の画素値と近似する領域を含む矩形の領域をドロップの領域、その他の領域を背景領域として特定する。そして、特定されたドロップの領域に対して、先に説明したドロップの位置を指定した順序に基づいて、ドロップを識別するための識別番号を対応付ける。
【0050】
演算部67は、観察スケジュールの登録処理において培養容器30の観察所要時間の演算を行う。スケジュール管理部68は、観察スケジュールの登録処理を行う。また、タイマ69は、観察スケジュールを管理する際に使用される。
【0051】
次に、この細胞培養観察装置11にて新たに培養容器30を用いた培養観察を行う際に実行される処理の流れについて図11のフローチャートを用いて説明する。
【0052】
ステップS101は、収納位置を選択する処理である。制御ユニット14のCPU65は、操作パネル56のモニタ56aに、ストッカー25の収納状態を示す画面70を表示する。図11に示すように、ストッカー25の収納状態を示す画面70には、表示エリア71が設けられ、この表示エリア71によって、ストッカー25における培養容器30の収納状態を把握することができる。この表示エリア71に表示されるアイコンは、GUI(Graphical User Interface)形式のアイコンからなる。なお、表示エリア71に表示される各アイコンは、ストッカー25に設けられる収納位置と同一の配置となるように配置されている。
【0053】
例えばストッカー25の収納位置に培養容器30が収納されていない場合に、収納位置に対応するアイコンとして、予め収納位置に割り振られた収納番号が記されたアイコン72が表示される。一方、ストッカー25の収納位置に培養容器30が収納されている場合には、培養容器30の種類を示すマーク(図中不図示)とタイトル名とを表示するアイコン73,74が表示される。なお、ストッカー25に収納される培養容器30がIVF用のディッシュ35となる場合には、タイトル名として患者IDが用いられたアイコン(アイコン73)となる。一方、ストッカー25に収納された培養容器30がIVF用のディッシュ35以外となる場合には、タイトル名として登録した日付が用いられたアイコン(アイコン74)となる。なお、タイトル名は、CPU65がデータベース部62に記憶された管理ファイル64の登録データを参照することで決定される。
【0054】
上述した表示エリア71の側方(図中左側方)には、ユーザを変更する際に入力操作されるアイコン75、詳細設定の入力操作を行うアイコン77等の他に、恒温室15の環境条件を表示する表示エリア78などが設けられている。
【0055】
このステップS101の処理においては、表示エリア71に表示されたアイコンのいずれかに対する入力操作を実行する。なお、この入力操作は、入力部56bを操作することによって実行される。
【0056】
ステップS102は、新規登録であるか否かを判定する処理である。CPU65は、ステップS101において入力操作が実行されたアイコンによって、新規登録であるか否かを判定する。例えば入力操作されたアイコンがスタッカー25の収納位置に割り振られた収納番号からなるアイコンであれば、CPU65は新規登録であると判定する。この場合、ステップS102の判定がYesとなり、ステップS103に進む。一方、入力操作されたアイコンが培養容器30の種類とタイトル名とを表示するアイコンであれば、CPU65は新規登録ではないと判定する。ステップS102の判定がNoとなり、ステップS112に進む。
【0057】
ステップS103は、培養容器の種類を選択する処理である。このステップS103の処理が実行されると、CPU65は、ステップS101にて表示したストッカー25の収納状態を示す画面70から、培養容器30の種類を選択する選択画面80に切り替える。図13に示すように、培養容器30の種類を選択する選択画面80は、その中央に複数の培養容器の種類が表示される表示エリア81が設けられている。この表示エリア81には、この細胞培養観察装置11にて使用することができる培養容器の種類の一覧が表示される。なお、培養容器としては、例えば「96WP(96穴のウェルプレート)」、「60PD(直径60mmのペトリディッシュ)」、「24WP(24穴のウェルプレート)」などが挙げられる。
【0058】
また、表示エリア81の上方には、今までに選択された頻度の順に表示する際に操作されるアイコン82や、培養容器30の名前順に表示する際に操作されるアイコン83が設けられている。ユーザは、入力部56bの操作により、新たに培養観察を行う培養容器30の種類を選択することで入力操作を実行する。
【0059】
ステップS104は、選択された培養容器30の種類が、IVF用のディッシュ35に該当するか否かを判定する。ステップS103における入力操作によって、例えば「60PD IVF(直径60mmのIVF用のペトリディッシュ)」や「35PD IVF(直径35mmのIVF用のペトリディッシュ)」が入力操作された場合には、CPU65は、IVF用のディッシュ35が選択されたと判定する。この場合、ステップS104の処理がYesとなり、ステップS105に進む。
【0060】
一方、「24WP」や「60PD」などが入力操作された場合には、CPU65はIVF用のディッシュ35以外の培養容器が選択されたと判定する。この場合、ステップS112に進む。この場合、CPU65は、選択されたアイコンに対応するストッカー25の収納位置に付された収納番号、登録された培養容器の種類及び登録日時などの情報を登録データとしてデータベース部62に記憶する。
【0061】
ステップS105は、患者IDを入力する処理である。このステップS105が実行されると、CPU65は、培養容器30の種類を選択する選択画面80から、患者IDを入力する入力画面85に切り替える。図14に示すように、この入力画面85は、例えば「0」〜「9」までの数字やアルファベットなどのアイコンが表示される。ユーザは、アイコンの入力操作を行いながら患者IDを入力する。そして、入力操作が終了し「OK」を示すアイコン86の入力操作を行うと、患者IDの入力操作が終了する。
【0062】
この入力操作が終了すると、CPU65は患者IDをファイル名とした管理ファイル64をデータベース部62に生成するとともに、登録データを管理ファイル64の内部に生成する。なお、この処理が終了すると、CPU65は、患者IDの入力画面85からストッカー25の選択画面70に切り替える。この表示の際に、選択されたアイコンの表示が、収納位置に割り振られた収納番号のアイコンから、培養容器の種類とタイトル名(この場合、患者ID)とが記されたアイコンに切り替えられて表示される。
【0063】
ステップS106は、培養容器を搬入する処理である。CPU65は、開閉機構19aを駆動させて、排出入口17を開放し、目的の培養容器30が載置されたホルダー32を開放した排出入口17から恒温室15の内部に搬入する。なお、搬入されたホルダー32は、容器搬出入機構26上に載置される。
【0064】
ステップS107は、試料の観察中であるか否かを判定する処理である。CPU65は、観察スケジュール情報を読み出して、ストッカー25の内部に収納された培養容器30のいずれかを用いた試料の観察が実行されているか否かを判定する。なお、試料の観察としては、培養容器30に保持された試料を観察することの他に、培養容器30が載置されたホルダー32をストッカー25と試料台47との間で搬送することも含まれる。例えば試料の観察が実行されている場合にはCPU65はYesと判定し、ステップS108に進む。一方、試料の観察が実行されていない場合には、CPU65はNoと判定し、ステップS110に進む。
【0065】
ステップS108は、培養容器を収納する処理である。このステップS108は、ステップS107において、試料の観察中であると判定された場合に実行される。CPU65は、容器搬送機構27を駆動させて、容器搬出入機構26に載置されたホルダー32を、ステップS101にて選択された収納位置に搬送する。これにより、搬入された培養容器30を載置したホルダー32がストッカー25の内部に収納される。この場合、CPU65は、データベース部62に生成された管理ファイル64に、ラベリング処理が未処理である旨のデータを付加する。
【0066】
ステップS109は、試料の観察が終了したか否かを判定する。上述したように、試料の観察としては、培養容器30に保持された試料を観察することの他に、培養容器30をストッカー25と試料台47との間で搬送することも含まれる。つまり、これらいずれかの動作が実行されている場合には、CPU65は、試料の観察が終了していないと判定する。この場合、ステップS109の判定処理はNoとなり、試料の観察が終了するまで、このステップS109の判定処理が実行される。一方、上述した動作が実行されていない場合には、CPU65は試料の観察が終了したと判定する。この場合、ステップS109の判定処理はYesとなり、ステップS110に進む。
【0067】
ステップS110は、培養容器のマクロ撮影を実行する処理である。上述したステップS107によりNoとなる場合の次の処理として、このステップS110の処理が実行された場合、容器搬出入機構26にホルダー32が載置されている。CPU65は容器搬送機構27を駆動させ、容器搬出入機構26に載置されたホルダー32を観察ユニット28に向けて搬送する。これにより、培養容器30を載置したホルダー32が試料台47に載置される。
【0068】
一方、ステップS109の判定処理でYesとなる場合の次の処理として、このステップS110の処理が実行された場合、ストッカー25の内部にラベリング処理が未実行の培養容器30が収納されている。CPU65は、データベース部62を参照し、ラベリング処理が未処理であることを示すデータが記憶されている管理ファイル64があるか否かを判定する。この判定で、ラベリング処理が未処理であることを示すデータが記憶されている管理ファイル64がある場合には、その管理ファイル65の登録データを参照して、登録データに基づく収納位置にある培養容器30を特定する。そして、CPU65は、容器搬送機構27を駆動させて、特定された培養容器30のホルダー32をストッカー25から観察ユニット28に向けて搬送する。
【0069】
特定された培養容器30のホルダー32が試料台47に載置された後、CPU65は、容器観察部54を駆動させ、容器観察としての培養容器30のマクロ撮影を実行する。これにより、培養容器30の全体観察画像データが取得される。なお、この全体観察画像データは、該当する管理ファイル64に記憶される。このマクロ撮影が終了すると、CPU65は容器搬送機構27を駆動させ、観察ユニット28の試料台47に載置された培養容器30をストッカー25に向けて搬送し、登録データとして書き込まれた収納位置へと収納する。
【0070】
ステップS111は、ラベリング処理である。ステップS110におけるマクロ撮影において、培養容器30の全体観察画像データが取得されている。CPU65は、管理ファイル64から、全体観察画像データを読み出す。そして、CPU65は、モニタ56aにラベリング処理の実行画面90を表示する。ラベリング処理の実行画面90は、ステップS110にて取得された全体観察画像データに基づく画像(全体観察画像)を表示する表示エリア91と、ラベリングの対象となる識別番号及び背景を示すアイコンとが設けられている。なお、図15においては、IVF用の培養容器において、8個のドロップ31を形成している場合の例を示しているので、ラベリングの対象となる識別番号を示すアイコンは、8個のアイコン(図中符号92a〜92i)からなる。
【0071】
ユーザは、入力部56bを操作してラベリング処理を行う位置、つまり、卵細胞が培養されるドロップ31の位置にポインタ93を移動させた後、入力操作を実行する。ディッシュ35上に形成される全てのドロップ31、或いはその一部のドロップ31において卵細胞が培養されている場合には、卵細胞が培養されるドロップ31のそれぞれにポインタ93を移動させながら入力操作を行う。そして、最後に背景となる位置にポインタ93を移動させた後、入力操作を実行する。これら入力操作を行うと、CPU65は、入力操作された位置と順番に基づいて、全体観察画像に含まれるドロップ31を自動的に検出し、検出されたドロップ31を含む矩形のエリア枠と、ラベリングした結果を、画像に重畳させて表示する(図16参照)。CPU65は、データベース部62に記憶された登録データを読み出し、ラベリング処理の結果、つまり、卵細胞が培養されているドロップ31の位置や、ラベリングした結果を示す情報を書き加える。そして、この登録データをデータベース部62に記憶された管理ファイル64の内部に書き込む。
【0072】
ステップS112は、観察スケジュールを設定するか否かを判定する処理である。このステップS112に進むと、モニタ56aには、ストッカー25の収納状態を示す画面70に切り替わる。この画面70に設けられたファンクションボタン77の入力操作が実行されると、詳細設定を行う画面になる(図示省略)。この詳細設定を行う画面は、観察時の倍率や観察位置など観察条件の設定や観察スケジュールの設定を行うことができる。なお、CPU65は、この画面において入力部56bによる観察スケジュールの設定を行う旨の入力操作が行われたか否かを判定する。入力部56bによる観察スケジュールの設定を行う旨の入力操作が実行された場合には、CPU65は、観察スケジュールを設定すると判定する。この場合、ステップS112の処理がYesとなり、ステップS113に進む。一方、入力部56bによる観察スケジュールの設定を行う旨の入力操作が実行されていない場合には、CPU65は、観察スケジュールを設定しないと判定する。この場合、ステップS112の処理がNoとなる。この場合、詳細設定を行う画面からストッカー25の収納状態を示す画面70を表示させる旨の入力操作が行われたときに、新規の培養容器に対する登録処理が終了する。
【0073】
ステップS113は、観察スケジュールを設定する処理である。なお、観察スケジュールの設定については、例えば特開2008−241699号公報に記載された方法などが挙げられる。この観察スケジュールの設定が終了すると、詳細設定を行う画面からストッカー25の収納状態を示す画面70が表示され、新規の培養容器に対する登録処理が終了する。この観察スケジュールを登録することで、登録された観察スケジュールに基づいた顕微観察が顕微観察部52にて自動的に実行され、顕微観察時に得られる画像データが、対応する管理ファイル64として記憶されていく。これにより、データベース部62に記憶される管理ファイル64が顕微観察される毎に更新されていく。なお、管理ファイル64に記憶される画像データは、ストッカー25の収納状態を示す表示画面において、ユーザの意図するアイコンを操作することで、表示させることが可能である。
【0074】
このように、新たに搬入する培養容器30がIVF用のディッシュ35など、特定の培養容器の場合にのみ、管理ファイル64が生成されて、登録時のデータや観察により得られるデータが一括管理される。なお、複数のIVF用のディッシュ35を1つのホルダー32に載置した場合であっても、得られるデータは、ディッシュ毎に管理されるので、同一のホルダー35に載置されるディッシュ毎に得られたデータを取り違えることもない。
【0075】
また、複数のホルダー32に分散してIVF用のディッシュ35を管理する場合であっても、ホルダー35毎に登録時のデータや観察により得られるデータが一括管理されるので、ホルダー35と、該ホルダー35に載置されたIVF用のディッシュ35の試料に関する管理ファイル64との取り違えの発生を防止することができる。さらに、特定の培養容器の場合には、管理ファイルを生成するので、他の培養容器に培養される試料を観察することで得られるデータと区別して管理することができる。
【0076】
なお、本実施形態では、制御ユニット14にデータベース部62を設け、このデータベース部62に管理ファイル64を記憶させているが、これに限定する必要はなく、細胞培養観察装置11に接続されるコンピュータ58に、管理ファイル64を記憶するデータベース部を設けてもよい。
【0077】
また、この他に、図1に示す制御ユニットの構成をコンピュータに備えるようにしても良い。この場合、図1に示す画像解析部66、演算部スケジュール管理部68、タイマ69などの機能や、図11に示すフローチャートの機能を実行させるためのプログラムを設け、このプログラムをコンピュータにより実行させることも可能である。この場合、上述したプログラムは、メモリーカード、光学ディスク、磁気ディスクなどのコンピュータに読み取り可能な記憶媒体に記憶させておくことも可能である。
【0078】
本実施形態では、IVF用のディッシュ35については、その詳細を記載していないが、IVF用のディッシュ35の外周面に、患者IDを示すバーコードを貼付することも可能である。この場合、IVF用のディッシュ35に貼付されるバーコードは、ユーザが貼付しても良いし、バーコードを自動的に貼付するための自動貼付装置を設け、この自動貼付装置によりIVF用のディッシュ35の外周面にバーコードを貼付することも可能である。この自動貼付装置を用いる場合には、予め用いる培養容器の種類や患者IDなどを登録しておき、登録した患者IDを示すバーコードをディッシュ貼付した後に、ドロップを形成させればよい。
【符号の説明】
【0079】
11…細胞培養観察装置、15…恒温室、25…ストッカー、27…容器搬送機構、30…培養容器、53…容器観察部、56b…入力部、62…データベース部、65…CPU、66…画像解析部
【技術分野】
【0001】
本発明は、培養される試料を観察し、観察時に試料の画像などを取得することが可能な培養観察装置及び情報管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
各種の微生物や細胞などの試料をディッシュやフラスコ、ウェルプレートなどの培養容器にて培養し、培養した試料を自動的に観察する培養観察装置が提供されている。このような培養観察装置においては、観察で得られるデータは、容器単位やウェルプレートの1穴毎に管理している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−262856号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような培養容器にて培養される試料には、例えば不妊治療に用いられる卵細胞や再生医療に用いられる細胞など、特定の患者に由来する細胞もある。しかしながら、このような細胞を試料とした観察で得られるデータは、他の試料の観察と同様のデータと同様に管理されることから、ユーザがデータを参照するなどして識別していることが多い。このため、特定の患者に由来する細胞からなる試料を観察して得られるデータが、対応する試料とは異なる試料の観察から得られるデータとして誤って取り扱われる原因となりやすい。
【0005】
本発明は、上述した課題を解決するために発明されたものであり、培養容器に培養される試料と取得されたデータとの取り違えを未然に防止する手段を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の培養観察装置は、観察対象となる試料が培養された培養容器の種類を選択する第1入力と、前記第1入力により前記培養容器の種類として特定の培養容器が選択された場合に、該特定の培養容器に培養される前記試料の情報を入力する第2入力と受け付ける入力操作部と、前記特定の培養容器を撮像する撮像部と、前記撮像部によって取得される前記特定の培養容器の画像から、前記試料が培養される培養領域の位置を特定する画像解析部と、前記画像解析部により前記位置が特定された培養領域に対して識別情報を付与する情報付与部と、前記操作部により選択された前記培養容器の種類及び前記情報付与部により付与された識別情報を前記試料の情報に関連付けて管理する情報管理部と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
また、前記入力操作部は、患者を特定する患者ID情報を入力する第3入力を受け付け、前記情報管理部は、前記第3入力の前記患者ID情報と前記各種情報とを関連付けて管理することが好ましい。
【0008】
また、前記培養容器を複数収納可能な収納部と、前記培養容器を、前記収納部と前記撮像部との間で搬送可能な搬送部と、をさらに備えていることが好ましい。
【0009】
また、前記収納部が設けられ、内部が所定の環境条件に維持可能な恒温室を備え、前記撮像部は、前記恒温室の外部から前記収納部へ搬送する前に前記特定の培養容器を撮像することが好ましい。
【0010】
また、前記搬送部は、前記試料の観察が実行されていない場合に、前記収納部の所定位置に保持される前記特定の培養容器を前記撮像部に向けて搬送し、前記撮像部は、前記搬送部により搬送された前記特定の培養容器を撮像することが好ましい。
【0011】
また、前記試料は、例えば患者由来を特定する必要のある不妊治療に用いられる卵細胞、又は再生医療に用いられる細胞などインキュベータ環境で培養することが必要な浮遊、接着細胞からなることが好ましい。
【0012】
また、本発明の情報管理方法は、観察対象となる試料が培養された培養容器の種類を選択する容器選択工程と、前記培養容器の種類として特定の培養容器が選択された場合に、対応する培養容器に培養された前記試料の情報を入力する入力工程と、前記特定の培養容器として選択された前記培養容器を撮像する撮像工程と、前記撮像工程によって取得される前記培養容器の画像から、前記試料が培養される培養領域の位置を特定し、前記位置が特定された培養領域に対して識別情報を付与する情報付与工程と、少なくとも前記培養容器の種類を示す情報及び前記識別情報を、前記試料の情報に関連付けて管理する管理工程と、を備えたことを特徴とする。
【0013】
また、前記培養容器は、予め設定された領域に収納され、前記撮像工程は、収納された前記培養容器に対して実行されることが好ましい。
【0014】
また、前記培養容器は、予め設定された領域に収納され、前記撮像工程は、前記培養容器を前記予め設定された領域に向けて搬送する前に実行されることが好ましい。
【0015】
また、前記識別情報が付与された培養領域に培養された試料を観察する観察工程と、前記培養領域に培養された試料に対する観察スケジュールの管理を行うスケジュール管理工程と、をさらに備えていることが好ましい。
【0016】
また、前記情報管理部は、前記観察工程にて取得された画像を、前記試料の管理情報に関連付けて記憶することが好ましい。
【0017】
また、前記試料は、例えば患者由来を特定する必要のある不妊治療に用いられる卵細胞、又は再生医療に用いられる細胞などインキュベータ環境で培養することが必要な浮遊、接着細胞からなることが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、特定の培養容器が使用されている場合には、該培養容器に培養される試料に関するデータが一括管理されるので、他の培養容器に培養される試料から取得されたデータとの取り違えを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本実施形態の細胞培養観察装置のブロック図である。
【図2】本実施形態の細胞培養観察装置の正面図である。
【図3】図2において正面扉を開いた状態を示す図である。
【図4】筐体側面方向からみたストッカーを示す図である。
【図5】試料の培養を行う培養容器の一例を示す図である。
【図6】IVF用のディッシュを培養容器とした場合の一例を示す図である。
【図7】(a)容器搬送機構を筐体正面方向から示す図、(b)容器搬送機構を筐体上面方向から示す図である。
【図8】搬送アーム部の構成を示す正面図である。
【図9】搬送アーム部の構成を示す側面図である。
【図10】観察ユニットの構成を示す概略図である。
【図11】登録時の処理の流れを示すフローチャートである。
【図12】ストッカーの収納状態を示す画面の一例を示す図である。
【図13】培養容器の種類を選択する選択画面の一例を示す図である。
【図14】患者IDを入力する入力画面の一例を示す図である。
【図15】ラベリング処理を実行する際の処理画面の一例を示す図である。
【図16】ラベリング処理が終了したときの処理画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本実施形態の細胞培養観察装置の構成を詳細に示す。なお、以下に示す細胞培養観察装置は一例であり、本実施形態に示す細胞培養観察装置の構成に限定されるものではない。図1から図3に示すように、細胞培養観察装置11は、微生物や細胞などの試料を培養する第1筐体12と、制御ユニット14を収納する第2筐体13とを有している。細胞培養観察装置11の組立状態において、第1筐体12は第2筐体13の上部に配置される。
【0021】
第1筐体12は、内部が断熱材で覆われた恒温室15を備えている。この恒温室15は、第1筐体12の正面に形成された正面開口16と、第1筐体12の左側面に形成された搬出入口17とによって外部と連絡している。第1筐体12の正面開口16は、観音開きの正面扉18により閉塞される。また、第1筐体12の搬出入口17は、スライド式の自動扉19によって閉塞される。この搬出入口17の大きさは培養容器30が通過可能なサイズに設定されている。一方、第1筐体12の底面には、正面側からみて右寄りの位置に開口20が形成されている。後述する観察ユニット28は、上記の開口20を介して恒温室15内に配置される。なおこの恒温室15は、図示を省略した温度調整装置、噴霧装置などにより、恒温室15内部の環境条件が予め定めた環境条件となるように維持される。
【0022】
恒温室15の内部には、ストッカー25と、容器搬出入機構26と、容器搬送機構27と、観察ユニット28の一部とがそれぞれ配置される。ストッカー25は、第1筐体12の正面からみて恒温室15の左側に配置される。図4は、筐体側面方向からみたストッカー25を示す図である。ストッカー25は複数の棚を有しており、各々の棚には、培養容器30が載置されたホルダー32を複数収納することができる。なお、このストッカー25においては、予めホルダー32を収納する位置(以下、収納位置)が設けられており、これら複数の収納位置のそれぞれには、各収納位置を示す番号(以下、収納番号)が付されている。このストッカー25の最下段は第1筐体12の搬出入口17の位置に対応している。
【0023】
図5(a)から図5(c)に示すように、培養容器30としては、ディッシュ30a、ウェルプレート30b、フラスコ30cなどが挙げられる。各々の培養容器30には、培養対象となる試料(細胞など)が液体培地とともに保持される。これら培養容器30は、透明なトレー状のホルダー32に載置されて取り扱われる。このホルダー32の両側面にはそれぞれ支持片33が外向きに形成されている。なお、ディッシュ30aは、大きさの異なる複数種類のいずれかが使用されることから、ホルダー32上には、試料及び液体培地が保持された単一のディッシュ30a、又は複数のディッシュ30aが載置される。
【0024】
図6に示すように、培養容器30としてディッシュ30aが用いられる場合には、ディッシュ30aの底面に所定間隔を空けて培養液を滴下することで複数の液体培地31を形成し、形成される全ての液体培地31、或いはその一部に試料を含有させることで試料を培養することも可能である。以下、培養液を滴下することで形成される液体培地31をドロップ31と称して説明する。
【0025】
なお、このようなドロップ31にて培養される試料としては、体外受精(IVF:In Vitro Fertilization)や人工授精(AIH:Artificial Insemination with Husband's semen)などの不妊治療に用いられる卵細胞や、再生医療に用いられる細胞など、特定の患者に由来した細胞が挙げられる。以下、試料として体外受精(以下、IVF)に用いられる卵細胞を用いる場合について説明する。なお、卵細胞を培養するためのディッシュ30aを、IVF用のディッシュ35と称して説明する。
【0026】
容器搬出入機構26は、ストッカー25の最下段に設置される。この容器搬出入機構26は、培養容器30を搬出入するために設けられている。この容器搬出入機構26は、培養容器30およびホルダー32を載置可能な搬送テーブル26aと、搬送テーブル26aを搬出入口17の外部へ往復動させるモータユニット26bとから構成される。
【0027】
容器搬送機構27は、第1筐体12の正面からみて恒温室15の中央に配置される。図7から図9に示すように、容器搬送機構27は、長方形状の基台41と、垂直フレーム42と、搬送アーム部43とを有している。なお、容器搬送機構27の各部は、基台41などに内蔵されたモータ(不図示)によって駆動する。また、容器搬送機構27の各部の位置は、エンコーダなどにより制御ユニット14にモニタされる。
【0028】
基台41には、垂直フレーム42が前後方向(図中のY方向)に移動可能に取り付けられている。垂直フレーム42は上下方向に延長する一対のガイドレールで構成されている。この垂直フレーム42の間には、搬送アーム部43が上下方向(図中のZ方向)に移動可能に取り付けられている。
【0029】
また、搬送アーム部43は、容器支持部44と、摺動機構部45とを有している。容器支持部44の本体は、ホルダー32の全体の幅よりも若干幅広に設定されている。この容器支持部44の両側縁には、下向きに1組の引掛爪46が形成されている。そして、ホルダー32の支持片33と引掛爪46との係合により、容器支持部44はホルダー32を支持できるように構成されている。一方、摺動機構部45は容器支持部44の上面側に配置されており、容器支持部44を左右方向(図中のX方向)に摺動させる。かかる摺動機構部45の動作により、ストッカー25、容器搬出入機構26、観察ユニット28のいずれかと、容器搬送機構27との間で培養容器30を載置したホルダー32の受け渡しが可能となる。
【0030】
観察ユニット28は、第1筐体12の正面からみて恒温室15の右側に配置される。この観察ユニット28は第1筐体12の底面の開口20に嵌め込まれて配置される。この観察ユニット28は、試料台47と、試料台47の上方に張り出したアーム48と、本体部分49とを有している。そして、試料台47およびアーム48は第1筐体12の恒温室15内に配置される一方で、本体部分49は第2筐体13に収納される。
【0031】
図10に示すように、観察ユニット28は、試料台47と、第1照明部51および第2照明部52と、顕微観察部53と、容器観察部54と、画像処理部55とを有している。
【0032】
試料台47は透光性の材質で構成されており、その上に培養容器30がホルダー32ごと載置される。この試料台47は水平方向(X方向およびY方向)に移動可能に構成されており、顕微観察部53および容器観察部54に対してホルダー32の位置を調整することができる。
【0033】
また、第1照明部51はアーム48内に配置されており、試料台47の上側から培養容器30を照明する。一方、第2照明部52は本体部分49に内蔵されており、試料台47の下側から培養容器30を照明する。
【0034】
顕微観察部53は本体部分49に内蔵されており、顕微光学系および撮像素子(いずれも不図示)を有している。この顕微観察部53は、第1照明部51の照明光によって試料を顕微観察した画像を撮像する。
【0035】
容器観察部54はアーム48に収納されており、撮影光学系および撮像素子(いずれも不図示)を有している。容器観察部54は、第2照明部52の照明光によって培養容器30の全体観察した画像を撮像する。この容器観察部54は、新たに搬入された培養容器30がIVF用のディッシュ35となる場合に、該IVF用のディッシュ35に対するマクロ撮影を実行する。
【0036】
画像処理部55は、顕微観察部53および容器観察部54からの画像出力をA/D変換するとともに、顕微観察時の画像データまたは容器観察時の画像データをそれぞれ生成する。なお、これら画像データは、後述するデータベース部62に記憶された管理ファイル64として記憶される。
【0037】
次に、第2筐体13の構成の概要を説明する。第2筐体13には、上記の観察ユニット28の本体部分49と、制御ユニット14とが格納される。また、第2筐体13の前面には、モニタ56aおよび入力部56bを備えた操作パネル56が配置されている。なお、操作パネル56の入力部56bとしてはタッチパネルが挙げられるが、モニタ56aと入力部56bとを個別に設ける場合、入力部56bとしては、キーボードやマウスなどが用いられる。この制御ユニット14には、通信回線57を介してコンピュータ58を接続することも可能である。
【0038】
ここで、制御ユニット14は、自動扉19の扉開閉機構19a、容器搬出入機構26、容器搬送機構27、観察ユニット28、操作パネル56のモニタ56aおよび入力部56bとそれぞれ接続されている。そして、制御ユニット14は、所定のプログラムに従って細胞培養観察装置11の各部を統括的に制御する。一例として、制御ユニット14は、ユーザの設定した観察スケジュールに基づいて、観察ユニット28および容器搬送機構27を制御して、培養容器30の観察シーケンスを自動的に実行する。
【0039】
ここで、制御ユニット14は、通信部61と、データベース部62と、第1メモリ63および第2メモリ64と、CPU65とを有している。なお、通信部61、データベース部62、メモリ63はそれぞれCPU65と接続されている。
【0040】
通信部61は、無線または有線の通信回線57を介して、細胞培養観察装置11の外部にあるコンピュータ58とのデータ送受信を実行する。
【0041】
データベース部62には、恒温室15内での環境条件(温度、湿度、二酸化炭素濃度)の履歴情報などが記憶される。また、データベース部62には、顕微観察部53や容器観察部54による観察により得られた画像データが記憶される。
【0042】
例えば培養容器がIVF用のディッシュ35となる場合には、顕微観察部53や容器観察部54による観察により得られた画像データが、入力部56bにて入力された登録データとまとめられた管理ファイル64として記憶される。登録データは、ホルダー32に載置される培養容器30の種類、形状などの情報、収納位置を示す収納番号の情報、登録した日時の情報などの他に、患者IDや患者名などの患者情報が挙げられる。例えば複数のIVF用のディッシュ35を同一のホルダー32に載置している場合には、画像データは、ホルダー32に載置されるIVF用のディッシュ35毎にまとめられて格納される。この場合、ディッシュ35を識別するための番号(ディッシュ番号)や、後述するラベリング処理により検出される各ディッシュに保持されるドロップ31の位置や、これらドロップ31に付された識別番号の情報などを付帯情報として、各IVF用のディッシュ35に対応する画像データに付与してもよいし、ディッシュ番号毎のフォルダを生成し、生成したフォルダ内に、各ディッシュの画像データや登録情報などを格納することも可能である。
【0043】
なお、管理ファイル64のファイル名としては、患者IDが用いられる。なお、患者IDが「1234678」など7桁の数字で示されるものであれば、管理ファイルのファイル名は、「1234678」となる。また、ホルダー32に複数のIVF用のディッシュ35を載置している場合には、患者IDと、IVF用のディッシュ35のディッシュ番号とがファイル名として用いられる。この場合、患者IDが「1234678」で5個のディッシュを用いている場合には、例えば「1234678 001−005」となる。
【0044】
さらに、複数のホルダー32にIVF用のディッシュ35を載置し、それぞれのホルダー32にて培養観察を行う場合には、例えばホルダー32毎の管理ファイル64が作成される。この場合、1つ目のホルダー64の管理ファイルのファイル名が例えば「1234678 001−005」であれば、2つ目のホルダー64のファイル名が例えば「1234678 006−010」となる。
【0045】
一方、培養容器30がIVF用のディッシュ35以外となる場合には、搬入時に入力部56bによる入力操作によって登録された登録データと容器観察時や顕微観察時に得られる画像データとが対応付けられて記憶される。この場合、登録データとしては、培養容器の種類や収納番号、ホルダー32に載置されたときの識別番号、登録した日時などがとなる。なお、培養容器30として複数のディッシュ30aを用いるのであれば、例えばディッシュ毎に管理ファイルを生成しても良い。
【0046】
本実施形態では、IVF用のディッシュ35の場合にのみデータベース部62に管理ファイル64を生成しているが、IVF用のディッシュ35以外の培養容器30であっても、管理ファイルを生成することも可能である。
【0047】
メモリ63には、上記の観察シーケンスでの観察所要時間を演算するための演算用データや上記の観察シーケンスのスケジュールデータが記録されている。演算用データとしては、例えば培養容器30の搬送時間に関するデータや、観察ユニット28による撮像動作の所要時間に関するデータが挙げられる。また、スケジュールデータは、各々の観察シーケンスの開始時刻および観察所要時間を示す観察スケジュールや観察ユニット28の撮像条件を規定するためのデータである。このスケジュールデータは、上述した管理ファイル64のファイル名と対応付けられて記憶される。なお、スケジュールデータは、管理ファイルと対応付けられていれば良く、例えば管理ファイル64と個別に記憶されていても、管理ファイル64内に記憶しても良い。
【0048】
CPU65は、制御ユニット14の各種の演算処理を実行するプロセッサである。このCPU65は、画像解析部66、演算部67、スケジュール管理部68及びタイマ69の機能を有している。
【0049】
画像解析部66は、後述するラベリング処理が実行されたときに、ユーザの操作による入力部56bの入力操作に基づいて、ホルダー32に載置されるIVF用のディッシュ35の全体観察画像を解析する。この解析により、ホルダー32に載置されるIVF用のディッシュ35に保持されるドロップ31の領域と、ドロップ31が形成されていない領域(以下、背景領域)とが特定される。なお、ラベリング処理時には、入力部56bの入力操作によりドロップ31の位置と背景の位置とが順次指定されていくので、画像解析部66は、指定されたドロップの位置に該当する画素の画素値(RGB値、或いはYCbCr値)と、指定された背景の位置に該当する画素の画素値とを参照して、例えばドロップの位置に該当する画素の画素値と近似する領域を含む矩形の領域をドロップの領域、その他の領域を背景領域として特定する。そして、特定されたドロップの領域に対して、先に説明したドロップの位置を指定した順序に基づいて、ドロップを識別するための識別番号を対応付ける。
【0050】
演算部67は、観察スケジュールの登録処理において培養容器30の観察所要時間の演算を行う。スケジュール管理部68は、観察スケジュールの登録処理を行う。また、タイマ69は、観察スケジュールを管理する際に使用される。
【0051】
次に、この細胞培養観察装置11にて新たに培養容器30を用いた培養観察を行う際に実行される処理の流れについて図11のフローチャートを用いて説明する。
【0052】
ステップS101は、収納位置を選択する処理である。制御ユニット14のCPU65は、操作パネル56のモニタ56aに、ストッカー25の収納状態を示す画面70を表示する。図11に示すように、ストッカー25の収納状態を示す画面70には、表示エリア71が設けられ、この表示エリア71によって、ストッカー25における培養容器30の収納状態を把握することができる。この表示エリア71に表示されるアイコンは、GUI(Graphical User Interface)形式のアイコンからなる。なお、表示エリア71に表示される各アイコンは、ストッカー25に設けられる収納位置と同一の配置となるように配置されている。
【0053】
例えばストッカー25の収納位置に培養容器30が収納されていない場合に、収納位置に対応するアイコンとして、予め収納位置に割り振られた収納番号が記されたアイコン72が表示される。一方、ストッカー25の収納位置に培養容器30が収納されている場合には、培養容器30の種類を示すマーク(図中不図示)とタイトル名とを表示するアイコン73,74が表示される。なお、ストッカー25に収納される培養容器30がIVF用のディッシュ35となる場合には、タイトル名として患者IDが用いられたアイコン(アイコン73)となる。一方、ストッカー25に収納された培養容器30がIVF用のディッシュ35以外となる場合には、タイトル名として登録した日付が用いられたアイコン(アイコン74)となる。なお、タイトル名は、CPU65がデータベース部62に記憶された管理ファイル64の登録データを参照することで決定される。
【0054】
上述した表示エリア71の側方(図中左側方)には、ユーザを変更する際に入力操作されるアイコン75、詳細設定の入力操作を行うアイコン77等の他に、恒温室15の環境条件を表示する表示エリア78などが設けられている。
【0055】
このステップS101の処理においては、表示エリア71に表示されたアイコンのいずれかに対する入力操作を実行する。なお、この入力操作は、入力部56bを操作することによって実行される。
【0056】
ステップS102は、新規登録であるか否かを判定する処理である。CPU65は、ステップS101において入力操作が実行されたアイコンによって、新規登録であるか否かを判定する。例えば入力操作されたアイコンがスタッカー25の収納位置に割り振られた収納番号からなるアイコンであれば、CPU65は新規登録であると判定する。この場合、ステップS102の判定がYesとなり、ステップS103に進む。一方、入力操作されたアイコンが培養容器30の種類とタイトル名とを表示するアイコンであれば、CPU65は新規登録ではないと判定する。ステップS102の判定がNoとなり、ステップS112に進む。
【0057】
ステップS103は、培養容器の種類を選択する処理である。このステップS103の処理が実行されると、CPU65は、ステップS101にて表示したストッカー25の収納状態を示す画面70から、培養容器30の種類を選択する選択画面80に切り替える。図13に示すように、培養容器30の種類を選択する選択画面80は、その中央に複数の培養容器の種類が表示される表示エリア81が設けられている。この表示エリア81には、この細胞培養観察装置11にて使用することができる培養容器の種類の一覧が表示される。なお、培養容器としては、例えば「96WP(96穴のウェルプレート)」、「60PD(直径60mmのペトリディッシュ)」、「24WP(24穴のウェルプレート)」などが挙げられる。
【0058】
また、表示エリア81の上方には、今までに選択された頻度の順に表示する際に操作されるアイコン82や、培養容器30の名前順に表示する際に操作されるアイコン83が設けられている。ユーザは、入力部56bの操作により、新たに培養観察を行う培養容器30の種類を選択することで入力操作を実行する。
【0059】
ステップS104は、選択された培養容器30の種類が、IVF用のディッシュ35に該当するか否かを判定する。ステップS103における入力操作によって、例えば「60PD IVF(直径60mmのIVF用のペトリディッシュ)」や「35PD IVF(直径35mmのIVF用のペトリディッシュ)」が入力操作された場合には、CPU65は、IVF用のディッシュ35が選択されたと判定する。この場合、ステップS104の処理がYesとなり、ステップS105に進む。
【0060】
一方、「24WP」や「60PD」などが入力操作された場合には、CPU65はIVF用のディッシュ35以外の培養容器が選択されたと判定する。この場合、ステップS112に進む。この場合、CPU65は、選択されたアイコンに対応するストッカー25の収納位置に付された収納番号、登録された培養容器の種類及び登録日時などの情報を登録データとしてデータベース部62に記憶する。
【0061】
ステップS105は、患者IDを入力する処理である。このステップS105が実行されると、CPU65は、培養容器30の種類を選択する選択画面80から、患者IDを入力する入力画面85に切り替える。図14に示すように、この入力画面85は、例えば「0」〜「9」までの数字やアルファベットなどのアイコンが表示される。ユーザは、アイコンの入力操作を行いながら患者IDを入力する。そして、入力操作が終了し「OK」を示すアイコン86の入力操作を行うと、患者IDの入力操作が終了する。
【0062】
この入力操作が終了すると、CPU65は患者IDをファイル名とした管理ファイル64をデータベース部62に生成するとともに、登録データを管理ファイル64の内部に生成する。なお、この処理が終了すると、CPU65は、患者IDの入力画面85からストッカー25の選択画面70に切り替える。この表示の際に、選択されたアイコンの表示が、収納位置に割り振られた収納番号のアイコンから、培養容器の種類とタイトル名(この場合、患者ID)とが記されたアイコンに切り替えられて表示される。
【0063】
ステップS106は、培養容器を搬入する処理である。CPU65は、開閉機構19aを駆動させて、排出入口17を開放し、目的の培養容器30が載置されたホルダー32を開放した排出入口17から恒温室15の内部に搬入する。なお、搬入されたホルダー32は、容器搬出入機構26上に載置される。
【0064】
ステップS107は、試料の観察中であるか否かを判定する処理である。CPU65は、観察スケジュール情報を読み出して、ストッカー25の内部に収納された培養容器30のいずれかを用いた試料の観察が実行されているか否かを判定する。なお、試料の観察としては、培養容器30に保持された試料を観察することの他に、培養容器30が載置されたホルダー32をストッカー25と試料台47との間で搬送することも含まれる。例えば試料の観察が実行されている場合にはCPU65はYesと判定し、ステップS108に進む。一方、試料の観察が実行されていない場合には、CPU65はNoと判定し、ステップS110に進む。
【0065】
ステップS108は、培養容器を収納する処理である。このステップS108は、ステップS107において、試料の観察中であると判定された場合に実行される。CPU65は、容器搬送機構27を駆動させて、容器搬出入機構26に載置されたホルダー32を、ステップS101にて選択された収納位置に搬送する。これにより、搬入された培養容器30を載置したホルダー32がストッカー25の内部に収納される。この場合、CPU65は、データベース部62に生成された管理ファイル64に、ラベリング処理が未処理である旨のデータを付加する。
【0066】
ステップS109は、試料の観察が終了したか否かを判定する。上述したように、試料の観察としては、培養容器30に保持された試料を観察することの他に、培養容器30をストッカー25と試料台47との間で搬送することも含まれる。つまり、これらいずれかの動作が実行されている場合には、CPU65は、試料の観察が終了していないと判定する。この場合、ステップS109の判定処理はNoとなり、試料の観察が終了するまで、このステップS109の判定処理が実行される。一方、上述した動作が実行されていない場合には、CPU65は試料の観察が終了したと判定する。この場合、ステップS109の判定処理はYesとなり、ステップS110に進む。
【0067】
ステップS110は、培養容器のマクロ撮影を実行する処理である。上述したステップS107によりNoとなる場合の次の処理として、このステップS110の処理が実行された場合、容器搬出入機構26にホルダー32が載置されている。CPU65は容器搬送機構27を駆動させ、容器搬出入機構26に載置されたホルダー32を観察ユニット28に向けて搬送する。これにより、培養容器30を載置したホルダー32が試料台47に載置される。
【0068】
一方、ステップS109の判定処理でYesとなる場合の次の処理として、このステップS110の処理が実行された場合、ストッカー25の内部にラベリング処理が未実行の培養容器30が収納されている。CPU65は、データベース部62を参照し、ラベリング処理が未処理であることを示すデータが記憶されている管理ファイル64があるか否かを判定する。この判定で、ラベリング処理が未処理であることを示すデータが記憶されている管理ファイル64がある場合には、その管理ファイル65の登録データを参照して、登録データに基づく収納位置にある培養容器30を特定する。そして、CPU65は、容器搬送機構27を駆動させて、特定された培養容器30のホルダー32をストッカー25から観察ユニット28に向けて搬送する。
【0069】
特定された培養容器30のホルダー32が試料台47に載置された後、CPU65は、容器観察部54を駆動させ、容器観察としての培養容器30のマクロ撮影を実行する。これにより、培養容器30の全体観察画像データが取得される。なお、この全体観察画像データは、該当する管理ファイル64に記憶される。このマクロ撮影が終了すると、CPU65は容器搬送機構27を駆動させ、観察ユニット28の試料台47に載置された培養容器30をストッカー25に向けて搬送し、登録データとして書き込まれた収納位置へと収納する。
【0070】
ステップS111は、ラベリング処理である。ステップS110におけるマクロ撮影において、培養容器30の全体観察画像データが取得されている。CPU65は、管理ファイル64から、全体観察画像データを読み出す。そして、CPU65は、モニタ56aにラベリング処理の実行画面90を表示する。ラベリング処理の実行画面90は、ステップS110にて取得された全体観察画像データに基づく画像(全体観察画像)を表示する表示エリア91と、ラベリングの対象となる識別番号及び背景を示すアイコンとが設けられている。なお、図15においては、IVF用の培養容器において、8個のドロップ31を形成している場合の例を示しているので、ラベリングの対象となる識別番号を示すアイコンは、8個のアイコン(図中符号92a〜92i)からなる。
【0071】
ユーザは、入力部56bを操作してラベリング処理を行う位置、つまり、卵細胞が培養されるドロップ31の位置にポインタ93を移動させた後、入力操作を実行する。ディッシュ35上に形成される全てのドロップ31、或いはその一部のドロップ31において卵細胞が培養されている場合には、卵細胞が培養されるドロップ31のそれぞれにポインタ93を移動させながら入力操作を行う。そして、最後に背景となる位置にポインタ93を移動させた後、入力操作を実行する。これら入力操作を行うと、CPU65は、入力操作された位置と順番に基づいて、全体観察画像に含まれるドロップ31を自動的に検出し、検出されたドロップ31を含む矩形のエリア枠と、ラベリングした結果を、画像に重畳させて表示する(図16参照)。CPU65は、データベース部62に記憶された登録データを読み出し、ラベリング処理の結果、つまり、卵細胞が培養されているドロップ31の位置や、ラベリングした結果を示す情報を書き加える。そして、この登録データをデータベース部62に記憶された管理ファイル64の内部に書き込む。
【0072】
ステップS112は、観察スケジュールを設定するか否かを判定する処理である。このステップS112に進むと、モニタ56aには、ストッカー25の収納状態を示す画面70に切り替わる。この画面70に設けられたファンクションボタン77の入力操作が実行されると、詳細設定を行う画面になる(図示省略)。この詳細設定を行う画面は、観察時の倍率や観察位置など観察条件の設定や観察スケジュールの設定を行うことができる。なお、CPU65は、この画面において入力部56bによる観察スケジュールの設定を行う旨の入力操作が行われたか否かを判定する。入力部56bによる観察スケジュールの設定を行う旨の入力操作が実行された場合には、CPU65は、観察スケジュールを設定すると判定する。この場合、ステップS112の処理がYesとなり、ステップS113に進む。一方、入力部56bによる観察スケジュールの設定を行う旨の入力操作が実行されていない場合には、CPU65は、観察スケジュールを設定しないと判定する。この場合、ステップS112の処理がNoとなる。この場合、詳細設定を行う画面からストッカー25の収納状態を示す画面70を表示させる旨の入力操作が行われたときに、新規の培養容器に対する登録処理が終了する。
【0073】
ステップS113は、観察スケジュールを設定する処理である。なお、観察スケジュールの設定については、例えば特開2008−241699号公報に記載された方法などが挙げられる。この観察スケジュールの設定が終了すると、詳細設定を行う画面からストッカー25の収納状態を示す画面70が表示され、新規の培養容器に対する登録処理が終了する。この観察スケジュールを登録することで、登録された観察スケジュールに基づいた顕微観察が顕微観察部52にて自動的に実行され、顕微観察時に得られる画像データが、対応する管理ファイル64として記憶されていく。これにより、データベース部62に記憶される管理ファイル64が顕微観察される毎に更新されていく。なお、管理ファイル64に記憶される画像データは、ストッカー25の収納状態を示す表示画面において、ユーザの意図するアイコンを操作することで、表示させることが可能である。
【0074】
このように、新たに搬入する培養容器30がIVF用のディッシュ35など、特定の培養容器の場合にのみ、管理ファイル64が生成されて、登録時のデータや観察により得られるデータが一括管理される。なお、複数のIVF用のディッシュ35を1つのホルダー32に載置した場合であっても、得られるデータは、ディッシュ毎に管理されるので、同一のホルダー35に載置されるディッシュ毎に得られたデータを取り違えることもない。
【0075】
また、複数のホルダー32に分散してIVF用のディッシュ35を管理する場合であっても、ホルダー35毎に登録時のデータや観察により得られるデータが一括管理されるので、ホルダー35と、該ホルダー35に載置されたIVF用のディッシュ35の試料に関する管理ファイル64との取り違えの発生を防止することができる。さらに、特定の培養容器の場合には、管理ファイルを生成するので、他の培養容器に培養される試料を観察することで得られるデータと区別して管理することができる。
【0076】
なお、本実施形態では、制御ユニット14にデータベース部62を設け、このデータベース部62に管理ファイル64を記憶させているが、これに限定する必要はなく、細胞培養観察装置11に接続されるコンピュータ58に、管理ファイル64を記憶するデータベース部を設けてもよい。
【0077】
また、この他に、図1に示す制御ユニットの構成をコンピュータに備えるようにしても良い。この場合、図1に示す画像解析部66、演算部スケジュール管理部68、タイマ69などの機能や、図11に示すフローチャートの機能を実行させるためのプログラムを設け、このプログラムをコンピュータにより実行させることも可能である。この場合、上述したプログラムは、メモリーカード、光学ディスク、磁気ディスクなどのコンピュータに読み取り可能な記憶媒体に記憶させておくことも可能である。
【0078】
本実施形態では、IVF用のディッシュ35については、その詳細を記載していないが、IVF用のディッシュ35の外周面に、患者IDを示すバーコードを貼付することも可能である。この場合、IVF用のディッシュ35に貼付されるバーコードは、ユーザが貼付しても良いし、バーコードを自動的に貼付するための自動貼付装置を設け、この自動貼付装置によりIVF用のディッシュ35の外周面にバーコードを貼付することも可能である。この自動貼付装置を用いる場合には、予め用いる培養容器の種類や患者IDなどを登録しておき、登録した患者IDを示すバーコードをディッシュ貼付した後に、ドロップを形成させればよい。
【符号の説明】
【0079】
11…細胞培養観察装置、15…恒温室、25…ストッカー、27…容器搬送機構、30…培養容器、53…容器観察部、56b…入力部、62…データベース部、65…CPU、66…画像解析部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
観察対象となる試料が培養された培養容器の種類を選択する第1入力と、前記第1入力により前記培養容器の種類として特定の培養容器が選択された場合に、該特定の培養容器に培養される前記試料の情報を入力する第2入力と受け付ける入力操作部と、
前記特定の培養容器を撮像する撮像部と、
前記撮像部によって取得される前記特定の培養容器の画像から、前記試料が培養される培養領域の位置を特定する画像解析部と、
前記画像解析部により前記位置が特定された培養領域に対して識別情報を付与する情報付与部と、
前記操作部により選択された前記培養容器の種類及び前記情報付与部により付与された識別情報を前記試料の情報に関連付けて管理する情報管理部と、
を備えたことを特徴とする培養観察装置。
【請求項2】
請求項1に記載の培養観察装置において、
前記入力操作部は、患者を特定する患者ID情報を入力する第3入力を受け付け、
前記情報管理部は、前記第3入力の前記患者ID情報と前記各種情報とを関連付けて管理することを特徴とする培養観察装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の培養観察装置において、
前記培養容器を複数収納可能な収納部と、
前記培養容器を、前記収納部と前記撮像部との間で搬送可能な搬送部と、をさらに備えていることを特徴とする培養観察装置。
【請求項4】
請求項3に記載の培養観察装置において、
前記収納部が設けられ、内部が所定の環境条件に維持可能な恒温室を備え、
前記撮像部は、前記恒温室の外部から前記収納部へ搬送する前に前記特定の培養容器を撮像することを特徴とする培養観察装置。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の培養装置において、
前記搬送部は、前記試料の観察が実行されていない場合に、前記収納部の所定位置に保持される前記特定の培養容器を前記撮像部に向けて搬送し、
前記撮像部は、前記搬送部により搬送された前記特定の培養容器を撮像することを特徴とする培養観察装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の培養観察装置において、
前記試料は、不妊治療に用いられる卵細胞、又は再生医療に用いられる細胞などインキュベータ環境で培養することが必要な浮遊、接着細胞からなることを特徴とする培養観察装置。
【請求項7】
観察対象となる試料が培養された培養容器の種類を選択する容器選択工程と、
前記培養容器の種類として特定の培養容器が選択された場合に、対応する培養容器に培養された前記試料の情報を入力する入力工程と、
前記特定の培養容器として選択された前記培養容器を撮像する撮像工程と、
前記撮像工程によって取得される前記培養容器の画像から、前記試料が培養される培養領域の位置を特定し、前記位置が特定された培養領域に対して識別情報を付与する情報付与工程と、
少なくとも前記培養容器の種類を示す情報及び前記識別情報を、前記試料の情報に関連付けて管理する管理工程と、
を備えたことを特徴とする情報管理方法。
【請求項8】
請求項7に記載の情報管理方法において、
前記培養容器は、予め設定された領域に収納され、
前記撮像工程は、収納された前記培養容器に対して実行されることを特徴とする情報管理方法。
【請求項9】
請求項7又は請求項8に記載の情報管理方法において、
前記培養容器は、予め設定された領域に収納され、
前記撮像工程は、前記培養容器を前記予め設定された領域に向けて搬送する前に実行されることを特徴とする情報管理方法。
【請求項10】
請求項7から請求項9のいずれか1項に記載の情報管理方法において、
前記識別情報が付与された培養領域に培養された試料を観察する観察工程と、
前記培養領域に培養された試料に対する観察スケジュールの管理を行うスケジュール管理工程と、をさらに備えていることを特徴とする情報管理方法。
【請求項11】
請求項10に記載の情報管理方法において、
前記情報管理部は、前記観察工程にて取得された画像を、前記試料の管理情報に関連付けて記憶することを特徴とする情報管理方法。
【請求項12】
請求項7から請求項11のいずれか1項に記載の情報管理方法において、
前記試料は、不妊治療に用いられる卵細胞、又は再生医療に用いられる細胞などインキュベータ環境で培養することが必要な浮遊、接着細胞からなることを特徴とする情報管理方法。
【請求項1】
観察対象となる試料が培養された培養容器の種類を選択する第1入力と、前記第1入力により前記培養容器の種類として特定の培養容器が選択された場合に、該特定の培養容器に培養される前記試料の情報を入力する第2入力と受け付ける入力操作部と、
前記特定の培養容器を撮像する撮像部と、
前記撮像部によって取得される前記特定の培養容器の画像から、前記試料が培養される培養領域の位置を特定する画像解析部と、
前記画像解析部により前記位置が特定された培養領域に対して識別情報を付与する情報付与部と、
前記操作部により選択された前記培養容器の種類及び前記情報付与部により付与された識別情報を前記試料の情報に関連付けて管理する情報管理部と、
を備えたことを特徴とする培養観察装置。
【請求項2】
請求項1に記載の培養観察装置において、
前記入力操作部は、患者を特定する患者ID情報を入力する第3入力を受け付け、
前記情報管理部は、前記第3入力の前記患者ID情報と前記各種情報とを関連付けて管理することを特徴とする培養観察装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の培養観察装置において、
前記培養容器を複数収納可能な収納部と、
前記培養容器を、前記収納部と前記撮像部との間で搬送可能な搬送部と、をさらに備えていることを特徴とする培養観察装置。
【請求項4】
請求項3に記載の培養観察装置において、
前記収納部が設けられ、内部が所定の環境条件に維持可能な恒温室を備え、
前記撮像部は、前記恒温室の外部から前記収納部へ搬送する前に前記特定の培養容器を撮像することを特徴とする培養観察装置。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の培養装置において、
前記搬送部は、前記試料の観察が実行されていない場合に、前記収納部の所定位置に保持される前記特定の培養容器を前記撮像部に向けて搬送し、
前記撮像部は、前記搬送部により搬送された前記特定の培養容器を撮像することを特徴とする培養観察装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の培養観察装置において、
前記試料は、不妊治療に用いられる卵細胞、又は再生医療に用いられる細胞などインキュベータ環境で培養することが必要な浮遊、接着細胞からなることを特徴とする培養観察装置。
【請求項7】
観察対象となる試料が培養された培養容器の種類を選択する容器選択工程と、
前記培養容器の種類として特定の培養容器が選択された場合に、対応する培養容器に培養された前記試料の情報を入力する入力工程と、
前記特定の培養容器として選択された前記培養容器を撮像する撮像工程と、
前記撮像工程によって取得される前記培養容器の画像から、前記試料が培養される培養領域の位置を特定し、前記位置が特定された培養領域に対して識別情報を付与する情報付与工程と、
少なくとも前記培養容器の種類を示す情報及び前記識別情報を、前記試料の情報に関連付けて管理する管理工程と、
を備えたことを特徴とする情報管理方法。
【請求項8】
請求項7に記載の情報管理方法において、
前記培養容器は、予め設定された領域に収納され、
前記撮像工程は、収納された前記培養容器に対して実行されることを特徴とする情報管理方法。
【請求項9】
請求項7又は請求項8に記載の情報管理方法において、
前記培養容器は、予め設定された領域に収納され、
前記撮像工程は、前記培養容器を前記予め設定された領域に向けて搬送する前に実行されることを特徴とする情報管理方法。
【請求項10】
請求項7から請求項9のいずれか1項に記載の情報管理方法において、
前記識別情報が付与された培養領域に培養された試料を観察する観察工程と、
前記培養領域に培養された試料に対する観察スケジュールの管理を行うスケジュール管理工程と、をさらに備えていることを特徴とする情報管理方法。
【請求項11】
請求項10に記載の情報管理方法において、
前記情報管理部は、前記観察工程にて取得された画像を、前記試料の管理情報に関連付けて記憶することを特徴とする情報管理方法。
【請求項12】
請求項7から請求項11のいずれか1項に記載の情報管理方法において、
前記試料は、不妊治療に用いられる卵細胞、又は再生医療に用いられる細胞などインキュベータ環境で培養することが必要な浮遊、接着細胞からなることを特徴とする情報管理方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2010−220511(P2010−220511A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−69719(P2009−69719)
【出願日】平成21年3月23日(2009.3.23)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月23日(2009.3.23)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】
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